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2008.03.31(Mon)

【世界激震】米中ダブル崩壊の日は来るか(4)~怪物ランドへようこそ 

  みなさん、藤子不二雄氏の作品で、『怪物くん』という漫画があるのをご存じでしょうか?(詳しくは●こちらを参照)
  「怪物くん」という魔物のヒーローが、「ドラキュラ」「フランケンシュタイン」「オオカミ男」という三人(?)の手下を連れて大活躍するというお話なのですが、この登場人物を

  怪物くん=アメリカ政府(米軍)
  ドラキュラ=アメリカの金融資本
  フランケンシュタイン=中国
  オオカミ男=日本政府


  と、置き換えてみると、ぴったりだということを先日発見しました。(笑)
  ●ウィキペディアのキャラクター説明を見ると、かなり面白いです。前回の記事でも述べたように、アメリカの金融資本が吸血鬼=ドラキュラだというのはいいとして、怪物くんの紹介を見てみます。

>常識外れでプライドが高く、短気でわがまま

  アメリカそのものですね(笑)。●怪物くんの主題歌の歌詞で「悪魔怪獣なんでもこい」と謳っていますが、「悪魔怪獣」を「イスラム教国やセルビアのような国」と置き換えると見事に意味が通じるのも笑えます。

  続いて狼男を見てみると、

>怪物ランドでは著名な料理人で、怪物屋敷の食卓や家事を担っている。
>気さくで人がよく、世話好き。


  これも日本にぴったりです。後で述べるように、アメリカの財政を支えているのは日本の意味不明のドル買い(為替介入)だからです。
 
  では、中国の役割をしているフランケンシュタインはどうでしょう。

>怪力と手先の器用さで主に屋敷の手入れや買い物の荷物持ちをしている。

  屋敷=怪物くんの住処だと考えると、これは結構当たっています。別に、中国人が手先が器用だというわけではありません。後述するように、アメリカの台所を支えているのは、実は中国だからです。

  もっとも、現実世界の「怪物くん」は、原作と一点だけ違うところがあります。それは、全てを牛耳っているのがドラキュラだというところです。
  そういう配役を頭に入れていただいた上で、本題に入りましょう。

  このシリーズで何度も述べているように、1971年の米中国交回復以降中国に期待されていた役割は、「過剰生産によってデフレを起こす」ことでした。
  デフレとは、簡単に言うとお金の量より物の量の方が多い状態のことです。当然物の値段は下がり、それに伴って企業の売り上げ→従業員の給料→国民が物を買う力(購買力)の順に下がっていきます。購買力の低下はさらに企業の業績を低迷させます。これが、いわゆるデフレスパイラルというやつです。
  このような状況は、日本を始め多くの国にとって好ましくないのですが、そうでない国もあります。1980年代以降のアメリカのような金融中心経済の国です。
  金融中心経済の国にとっては、他国のデフレはまたとないビジネスチャンスなのです。なぜなら、デフレになった国は株価や地価も低迷するのが普通なので、そういった国の優良資産を買いたたくことができるからです。●こちらのリンクを見ていただくとすぐわかるのですが、東京で最も地価が高い一帯である銀座の目抜き通り・中央通りを歩いてみると、外国のファッションブランド会社が作った持ちビルがたくさんあります。バブルの頃はこんなことをやろうと思っても、地価が高すぎる上に、為替取引が自由でなかったために非常に困難でした。ところが、日本のデフレによる経済低迷のおかげで、「侵略」に成功したのです。
  もちろん、ただデフレにするだけでは当該国の資産買い占めがうまくいかないので、国内資本を守るための仕組みを変えさせたり(いわゆる規制緩和)、国営または公営企業が支配している優良資産を手放すためのカイカク(JRや郵便局の民営化)を同時に行わせるわけです。
  そういうときにドラキュラは絶対に表に出てきません。出てくるのは怪物くんです。「悪魔怪獣なんでもこーい」とわめき散らし(北朝鮮やイラクの脅威を世界中に吹聴し)たり、「俺やドラキュラに住みやすいように家を改造しろ!」(規制緩和や民営化をしろ)と脅かしたりして、その隙にドラキュラが血を吸うわけです。見事なコンビネーションです。
  
  もっとも、当のアメリカにもこういうデフレの波は押し寄せるわけで、それをどう乗り切るかが問題になります。デフレを放置するとやがて中国製品に市場を支配され、失業者があふれることになるので、選挙の時に深刻な影響が出ます。政府は、なんらかの形でデフレを感じさせない方策を打たなくてはいけません。
  アメリカがとった方法はいくつかありますが、その一つが「第三次産業による雇用の吸収」です。
  ●こちらのグラフを見ると、1990年にはアメリカの非農業(農業は1%未満)就業人口のうち77%がサービス業だということが分かります。これがだいたい第三次産業だということができます。
  三次産業の典型は、「商業」「運輸業」です。この二つの業種は、扱う品物が輸入製品でも全く問題がありません。ピッツバーグの工場で生産された鉄鋼材をシカゴの商社が仲介して売買し、運送業者がニューヨークまで運ぶ取引だろうと、韓国の工場で生産され、ロサンゼルスに陸揚げされた鉄鋼材を同じ商社が仲介してニューヨークまで運ばせる取引だろうと、たいした違いはないということです。
  むしろ、海外との取引の方が手数料や運送料が高額になり、取引あたりに動く金額は大きくなります。そうだとすれば、物の取引を活発にして、トラックが長い距離を頻繁に往復するようになれば、製造業がなくなった分を穴埋めできるというわけです。
  あるいは、「金融」も第三次産業です。金を貸して金利を取るだけで、GDPに立派にカウントされます。株の売り買いも同じです。ドラキュラ同士で銀行口座の数字を右に左にいじくるだけで(最近はオンラインの取引ばかりなのでこれも簡単)お客の血を吸うことができるというわけです。
  「サービス業」というのは、上のような産業にくっついて業績をのばす産業です。たとえば、商社や銀行がたくさん従業員を雇用すれば、会社の近くにあるコーヒーショップの売り上げが伸びるでしょうし、ビルの掃除をする業者も儲かるはずです。
  こういう産業は何も物を生産していません。しかし、国家の経済力を示すGDP(国内総生産)という数字も、結局はどれだけ頻繁にお金が行き交ったかという指標に過ぎませんから、製造業が死んでも、三次産業で盛り返せば数字上は経済発展していることになります。
  そんなことをしていたら国内で扱う物がなくなってしまうのではないか、と思うかもしれませんが、そうしたら輸入すればいいのです。
  そして、そのためには輸入品は安ければ安いほどいいはずです。ここでフランケンシュタインの出番になるというわけです。中国が世界中にばらまいている工業製品の最大の行き先はアメリカです(中国の輸出相手国1位はアメリカで、アメリカの輸入相手国1位も中国)。怪物くんの家は、フランケンシュタインが作った品物がなければ成り立たなくなっているほどなのです。
  お金が足りなくなったら、アメリカドルを印刷して公共事業や社会保障としてばらまけばオッケーです。ブレトン・ウッズ体制の崩壊後は金(ゴールド)の裏付けがいらなくなったのですから、札は刷り放題です。刷りまくったアメリカドルで、安い中国製品を買う。買った品物を国内でたらい回しにして「経済活動」を行う。これが、アメリカン・ウェイ・オブ・ライフ(笑)です。
  もっとも、この方法には一点だけ欠点があります。あまりにもたくさんドルを刷りすぎてしまうと、世界中にあふれてしまって、価値が暴落してしまうということです。ドラキュラである国際金融資本にとっては、自分の持っている資産の価値が下がることになるので、困ってしまいます。
  そこで、怪物くんの出番です。「怪物ランドのプリンスである俺の世話をしろ」と他の国を恫喝するのです。要するに、金がないからアメリカ国債を買え、というわけです。
  このとき、決まって真っ先に怪物くんのアメリカ国債を買うのが、世話好きでお人好しのオオカミ男(日本政府)なのです。典型的なのは、小泉政権下の為替介入です(●こちらのリンクを参照)。なんと、2003年度末に35兆円もの円売り・ドル買いを行っています。そして、その金のほぼ全てがアメリカ国債になり、外貨準備に積まれることになりました。
  こういうオオカミ男の怪物くんに対する過剰なゴマすりを正当化するために、北朝鮮だの、中国の脅威だのが喧伝され、それを増幅するために靖国神社騒ぎがあったのではないか・・・とすら思えてきます。
  
  漫画だと怪物同士が馬鹿をやってると笑っていられますが、現実世界では日本国民を初めとして世界中の人びとがドラキュラに血を吸われて苦しんでいます。こんな悪辣な手法が長続きするはずがありません。
  しかし、これは序の口。アメリカには「詐欺」「強盗」としか思えないデフレ回避策があるのです。

  次回は、三次産業へのシフト以外にアメリカがとった方策を紹介し、その危険性について述べてみようと思います。

(おまけ)
白黒テレビ時代の怪物くん・オープニングテーマ
http://www.youtube.com/watch?v=z1cY0pfSKkw

  「かわいこちゃんには弱い」などという惰弱な歌詞(笑)が入っていない分、アメリカくんに近いような気がします。

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2008.03.26(Wed)

【世界激変】米中ダブル崩壊の日は来るか(3)~吸血鬼アメリカ 

  ●前回の記事ではアメリカの製造業が70年代から衰退し、今日では自国の生産をまかなう能力もなくなってしまったという話をしました。
  しかし、アメリカのGDP(国内総生産)は相変わらず世界一です。そのアメリカの経済を支えているのが、「金融」という特殊な業種なのです。

  金融とは何か、誤解を恐れずに断言すれば「吸血鬼」です。

  吸血鬼というのは、●ドラキュラのように、他人の生き血を吸って生きていく魔物です。その生き血は、「金利」と呼ばれています。たとえば、弁済期が1年後の借入金に年利5%という金利がついていたら、1年後には借りたお金に5%上乗せして返さなくてはなりません。
  この5%には大きな意味があります。貸した人間に金利を支払うために、5%余計に働かなくてはいけない人間がいるということです。
  では、貸した人間が何か特別なことをしたのかというと、ただ貸しただけです。札束をヒョイと渡す、あるいは銀行口座の数字をちょっといじるだけで済んでしまいます。実質的に見たら、何もしていないのと同じです。
  つまり、金利を取るという行為は、余っているお金のある人間だけに許される行為であり、本来的に差別や格差を前提としているのです。放っておくと、貸し手は金利という生き血を吸ってどんどん大きくなり、逆に借り手は一生懸命働いても、稼いだ利益が金利を下回っていれば何も手にすることができません。
  だからこそ、昔は金利が邪悪なものと考えられていました。中世まで、キリスト教は利子を付けた金の貸し借りを禁じていました(だから、ヨーロッパで金融業をやっていたのはユダヤ人だけだった)。イスラム教は今でも禁止しています。金利という仕組みを許すと、金持ちが一人勝ちしてしまうということを、昔の人は経験的に知っていたのかもしれません。

  アメリカが吸血鬼、すなわち金融中心主義の国になるまでにはいくつか段階があるのですが、主なポイントを上げてみます。

1.1978年 確定拠出型年金(いわゆる401K)制度の創設
2.1980年 金融制度改革法で、預金金利の自由化
3.1987年 銀行子会社による証券業務取り扱いを開放


  1.によって企業年金(アメリカは公的年金が弱いので、これが年金の主力)の多くが証券市場に流れ込むことになりました。これによって、アメリカの株価は一時期をのぞいて逐次高値を更新していくことになります。この上がり続ける証券市場と、日本やヨーロッパよりも高めに設定した金利で、アメリカは世界中から投機マネーを呼び込むことに成功します。
  一方、2.によって、預金を扱う銀行間の競争が激化します。経営基盤の大きな銀行が客寄せのために金利をつり上げると、中小銀行はついていけなくなり、廃業したり、大手銀行に経営権を譲ってしまうこともしばしばでした。
  そして、これによって規模を大きくした銀行が、証券取引という形で資金を積極的に運用するようできるようになったのが3.です。
  こうして、アメリカの金融制度改革は、中小の銀行を「間引き」して、巨大な資金を動かす大金融資本を形成する結果を生みました。おそらく、それが狙いだったのでしょう。
 
 こうなると、地元の製造業の運転資金を貸し付けるなど、ばかばかしくてやっていられなくなるわけです。もともと日本や西ドイツの産業競争力の向上と、それにともなう産業の空洞化でうまみがなくなっている製造業は、これで決定的にとどめを刺されました。
  ゼネラル・エレクトリック(GE)という企業をご存じでしょうか。この企業は「ダウ・ジョーンズ工業平均」というニューヨーク株式市場のインデックス(株価指標)が創設された当時のメンバーとしては唯一の生き残りです。名前の通り、電気機器を作っていたのですが、1970年代から事業を縮小し、いつの間にかテレビ放送局を買収したり、保険や証券取引を扱ったりする会社になってしまいました。今は、中心は企業向け融資(GEキャピタル)や個人向け金融(GEマネー)です。
  このGEの変身ぶりこそが、アメリカの縮図だといっても差し支えないでしょう。それくらい、アメリカは変わってしまったのです。

  面白いことに、アメリカが金融中心経済に切り替わっていくのと比例して、徐々に資本主義経済を取り入れていった国があります。それが中国です。
  中国が市場経済を導入する構えを見せたのは、1978年以降です。いわゆる「改革開放」が唱えられ、市場経済への移行をにらんだ様々な政策(たとえば、生産責任制度)を導入していきます。外国企業に進出場所を開放し始めたのもこの時期です。
  これによって生じた国民の反発が形になったのが「天安門事件」だったのですが、中国は民主化の声を弾圧して改革を断行します。そして、1992年にはついに市場経済を導入しました。
  その結果として、中国には外国からの投資がなだれ込みました。そして、いつしか世界の工場などと言われるようになったのです。日本や、他の先進国の工業製品や食料品の需要を食い荒らしながら・・・。
  もうおわかりですね。そのとき、外国企業が中国で行う設備投資のお金を融通したのは・・・金融中心経済に移行していたアメリカの金融機関だったのです。
  中華人民共和国の生みの父・毛沢東が死去したのが1976年でした。小平たちが市場経済導入をスタートさせているのはその2年後です。これは全くの想像ですが、もしかしたら、米中国交回復と同時か、その少し後ぐらいに、アメリカ側と小平が「中国に市場経済を導入して、アメリカと中国で世界を制覇しよう」というような密約を交したのかも知れません。そうでも考えなければ、両国の、まるでコインの裏表のような変貌を説明することが出来ません。

  アメリカと中国が衝突する、という主張をよく見かけますが、ちゃんちゃらおかしい。冷戦前後の混乱期の米中の動きを見れば、アメリカにとって最大の友好国は中国であるというのは歴然とした事実なのです。

  次回は、このアメリカと中国の関係を詳しく見ていきます。ここにこそ、将来の世界の変化を読み解く鍵が隠れているからです。

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2008.03.23(Sun)

米中ダブル崩壊の日は来るか(2)~アメリカ製造業壊滅絵巻 

  ●前回は、アメリカを国際貿易の中心とする仕組み(いわゆるブレトン・ウッズ体制)が、日本や西ドイツといった国々の産業競争力の向上に伴って機能しなくなってきたということをお話ししました。

  ここで、アメリカの「敵」になってしまった国の経済発展について見てみましょう。たとえば、我々の日本です。
  日本は今でも貿易依存率が2割程度の国ですが、ニクソン・ショック以前はさらに低く、10%程度でした。当時の日本は強大な産業競争力を持っており、メイドインジャパンを世界中(特にアメリカ)に売り込んでその利益を国内に還流し、どんどんでかくなっている化け物のような国です。
  日本が右肩上がりで成長することができた強みは、国民全体の所得を無理のない形で上昇させて、総需要をふくらませていたことにあります。その鍵は、インフレ率に比例して生産性が向上するという、絶妙の経済政策にありました。
  インフレ(物に対して金が余っている状態)になると、物価が上昇しますが、それは裏を返せば企業が物を売る値段も高くなるということです。賃金も上昇する傾向になりますから、それに合わせる形で物を作る量を増やせば、経済全体が一回り大きくなった形で、物と金の関係がイコールになります。ここに、輸出であげた利益を付け加えれば、それだけ需要が大きくなっていくというわけです。
  この経済政策を可能にしていた要因は、二つありました。一つは「地価のゆるやかな上昇」、そしてもう一つは「官僚による統制」です。前者が穏やかなインフレを誘導し、後者が生産性の上昇とそれによって生じた利益の配分をコントロールしていたのです。
  日本ほどではないにしても、冷戦崩壊までに経済発展を成し遂げた国(韓国や台湾、西ヨーロッパ諸国)はこのような仕組みを多かれ少なかれ持っていました。
  アメリカはソ連と競争する上でそれらの国の成長は黙認していたのですが、これらの国々、特に日本がアメリカ中心の貿易システムを脅かすようになってきて、考え方を変えたのです。

  さて、これらの「敵」をアメリカが叩きつぶすためにはどうすればいいのか?

  簡単です。「インフレ率に比例して生産性が向上する」という、経済発展の公式を狂わせればいいのです。要するに、世界中にデフレ(金に対して物が余っている状態)を起こせばいいわけです。
  細かい話をし出すとキリがないので、アメリカの情報戦略などは省略しますが、このデフレを世界的に起こすために絶対に必要だった国があります。それが中国なのです。
  ドルと金の交換停止をしたのはニクソン政権ですが、そのニクソン政権が同時に行ったことがあります。それが「米中国交回復」です。
  この事件はよく、ソ連陣営から中国を引きはがすために行った外交行動だと言われることがありますが、あまりにも表面的な見方でしょう。だいいち、冷戦というのは、前回も述べたように、国際貿易に参加してくるとアメリカを中心とした国際貿易が不安定になりかねない(地政学的にシーパワーの勢力圏でない)国々を、共産圏という形でソ連が囲い込んでいたものです。このシステムも完璧ではないので、時折局地紛争というエラーが生じますが、アメリカの国際貿易支配にとってはメリットの方が圧倒的に多い仕組みでした。
  そうなると、米中国交回復の本当の目的は、中国を国際貿易の世界に参加させ、世界中を生産過剰=デフレ状態にたたき込むことだったのです。
  中国の最大の武器は、今も昔も人口と、それを背景にした単価の安い生産力です。中国が共産圏の囲いから外に出たしばらく後の1980年でさえ4億3千万人の就業人口がいました(現在は7億人に届く勢い)。そもそも中国の人民元は国際的に取引されている通貨ですらなかったので、給料が払われていると言っても人件費はただみたいなものです。
  これが、いきなり国際貿易体制の中に参加してきたらどうなるか?生産が過剰になるに決まっています。もっとも、中国には近代的な工業を可能にするような工業設備は、戦前に日本が作り上げた満州の重化学工業地域くらいしかありません。
  そこで導入されたのが「経済特区」です。工業がほとんど根付いていない南部の沿岸都市に外資を呼び込み、安い労働力を利用させるようにしたのです。
  この発想も、もしかしたらアメリカの上層部(投資銀行や証券会社、ロックフェラーやモルガンのような財閥)がアドバイスしたのかもしれません。なにしろ、中国の国際貿易デビューは、アメリカと国交を回復したからこそ実現できたのですから・・・。
  ●こちらのホームページを見ていただくとよくわかりますが、中国の工業生産額は1990年代初めから急激に伸び始めています。1980年から20年で約15倍です。同じ時期の世界のGDPは約3倍に増えているのと比べると、そのすさまじさがわかるというものです。
  当然ながら、中国国内にはこの工業生産を消費するための購買力(個人や家庭の手持ちの金)はありません。その大半が、輸出に回ったと考えて間違いありません。この輸出は、冷戦中には存在しなかったわけですから、どこか他の国(たとえば日本)の工業生産が沈んだとしても、ものすごい生産過剰状態になったということです。
  アメリカの狙い通り、経済的なライバルだった日本はデフレの泥沼に陥りました。他の工業国も軒並み生産過剰になり、工業生産を縮小せざるを得なくなりました。中国を「開放」して、世界中をデフレの渦に巻き込むという作戦は成功したのです。

  しかし、疑問に思うことがありませんか。そんなことをしたら、世界一の工業生産額を誇るアメリカの工業も潰れてしまい、デフレで経済が立ちゆかなくなってしまうのではないか、ということです。

  結論を言うと、アメリカ(少なくともその上層部)は、自国の工業が潰れようが構わないという考えでいたのです。

  実は、アメリカでは1970年代から「産業の空洞化」現象が進んでいました。産業の空洞化とは、「企業が海外に生産拠点を移すことによって、雇用の減少などの弊害が生じること」とでも理解しておけばいいでしょう。
  その動機は、利潤追求という企業の論理です。アメリカ人を雇ったら金がかかるから、たとえば南アフリカやバングラデシュみたいな発展途上国に生産拠点を移してしまえという感じです。ここ10年くらいで日本の企業が中国に次々進出していったのも同じ動機です。
  アメリカの場合は、もともとが人工的に作られた国だと言うこともあって、その辺は徹底しています。非農業部門の就業人口割合を見ると、1970年のアメリカの製造業の割合は27.3%でしたが、1990年にはなんと17.3%まで低下しています。10%の低下ですよ。ただごとではありません。アメリカの農業はもともと大規模で機械化されていますから、農業で雇用を吸収したわけではありません。みんな、サービス業に流れたのです。
  これは、自然とそうなったというより、あえてそのようにしたのだと考えるべきです。つまり、アメリカは、製造業の部門で日本や西ドイツのような追撃者と競争することを完全にやめたのです。
  そして、工業製品は日本などからの輸入で補い、雇用はサービス業で吸収するという方向を固めたのではないかと思われます。国内で循環させる金は、赤字財政支出でまかない、不足した税収は国債の発行で穴埋めするのです。なにしろ、アメリカドルはすでに金(ゴールド)の裏付けを必要としなくなっているのですから、札を刷って使いたい放題なわけです。
  そうして、1980年代のアメリカは輸入の増加と赤字国債の連発で「貿易赤字」「財政赤字」の双子の赤字を抱えることになりました。
  この頃のニュースなどを見ると、デトロイトの町の真ん中で日産の車がボコボコにされる映像などがよく出てきていました。日本の輸出でアメリカの雇用が失われているというのが、アメリカ国内での見方だったようです。アメリカ政府もその意向に沿う形で、自動車交渉や日米構造協議などで、「アメリカ製品を輸入しろ」「輸出しないで内需を拡大しろ」と日本にやかましく命じていました。
  しかし、今となってみると、これは単に政府が国民に対してまじめに仕事しているふりをしていただけなのではないか、という気がするのです。要するに、選挙対策です。本気で輸入を止めたければ、日本以外にも、アメリカ向け輸出をするために海外に生産拠点を移したアメリカ企業(●こちらのグラフを参照)の方をなんとかしなければならなかったはずなのに、その対策は全くしませんでした。
  そうこうするうちに、アメリカの産業は決定的な打撃を被ることになりました。まず、工業製品を作るための道具(中間財)を輸入に頼るようになってしまったのです。●こちらのグラフを見ると、消費財の輸入がプラザ合意(1985年)によるドル高是正後に減少しているのに対して、資本財の輸入はずっと増加しているのがわかります。要するに、製品や部品を作るための道具を、日本などの技術力に優れた国から輸入し続けていたということです。
  それがさらに進むと、今度は部品まで輸入に頼るようになってしまいました●こちらのグラフを参照)。もうこれでは、アメリカ本土の工場はただの製品組み立て工場になってしまうことになります。
  そして、現在では、その組み立てすら中国の工場に奪われてしまっているのです。アメリカの製造業の雇用は全体の13.3%しかありません(農業人口は0.7%だから、非農業部門でも14%に達しないことが推定される)。
  アメリカが世界の産業をリードする、などという、冷戦の頃には当たり前だった図式は、もう完全に過去のものになってしまったようです。アメリカには、もはや自国の生産をまかなっていけるだけの工業力はないのです。

  しかし、それにも関わらず、アメリカがなぜGDPでぶっちぎりの世界1位の座に君臨していられるのでしょうか?

  その理由は、アメリカは日本や西ドイツなどの工業国と違う次元に戦いの場を移したからです。その舞台は「金融」です。実は、これこそが、世界中がデフレになっても、アメリカだけが一人勝ちすることが(一時期ではあるが)できた秘密なのです。

  次回は、金融が基幹産業となったアメリカの姿を見ながら、この金融という不思議な業種についてじっくり考えてみたいと思います。

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2008.03.21(Fri)

【世界激変】米中ダブル崩壊の日は来るか(1)~アメリカは世界の中心 

  ●年頭の記事で、2008年は動乱の年になるのではないか、ということを述べましたが、主に「自民党による売国の加速化」と「日本の周辺国の情勢の不安定化(中国と朝鮮の冷戦)」にしか触れませんでした。
  しかし、ここのところ「もう、戦後体制が完全に終わりを告げるのではないか?」という予感がしてきました。それほど、決定的な出来事が立て続けに起こったからです。

  その出来事とは、「アメリカのドル暴落」「チベット紛争の勃発」です。

  一見別の国で起こった、ジャンルの違う現象(前者は経済、後者は民族問題)なのですが、この二つの現象は相互にリンクしています。そして、これらの出来事をきっかけにして、最終的には、アメリカと中国という両大国が揃って壊滅的打撃を受け、世界の勢力図が一変する可能性が出てきたように思えるのです。
  そこで、「米中ダブル崩壊の日に備えて」と銘打って、続き物で記事を書いてみたいと思っています。今回は初回なので、そもそもなぜ「米中がダブルで崩壊する」といえるのか、その前提条件から話しておきたいと思います。経済に強い人にはまだるっこしい話になるかも知れませんが、お付き合い下さい。

  まず、知っておかなければならないのは、戦後の国際経済は、アメリカが世界的な需要を創出することで国際貿易が成立してきたということです。

  「アメリカが需要を創出する」というのは、世界で作られた品物(特に工業製品)の買い手は何を置いてもまずアメリカだったということです。すでに日本とドイツが連合国に敗北する前から、「今後は国際貿易はドルを共通通貨にして行う」ということが既定事実になっていたからです。
  国際的な決済通貨として、第二次大戦前はイギリスのポンドとアメリカのドルが並立していましたが、結局英仏がブロック経済を実施してドイツやイタリアを国際貿易から締め出し、大戦に至ってしまいました。そのような事態を招かないように・・・という建前で開かれたのが「ブレトン・ウッズ会議」です。しかし、実際は戦後の世界経済を牛耳るのはイギリスかアメリカかという一大決戦の場だったと考えた方がいいようです。
  すでにイギリスに世界をリードする力はないと知っていたイギリス代表の経済学者ケインズは「バンコール」という新しい国際決済通貨の創設を提案したのですが、会議をリードしたのは連合軍の主力であったアメリカでした。そして、「国際通貨基金(IMF)」と「世界銀行」という二つの国際機関が、アメリカドルで貸し付けや援助を行うことが決まったのです。それだけでなく、国際決済通貨となるアメリカドルには、金(ゴールド)との交換券としての役割を与え、誰でもアメリカ政府に35ドルを出せば1オンスの金と交換できるという決まりを設けました。いわゆる「ブレトン・ウッズ体制」というものです。
  それ以降、ブレトン・ウッズ体制の理念に乗っ取って、戦争で傷ついた国々にドルでの援助が行われました。ヨーロッパ(特に西ドイツ)復興プランである「マーシャル・プラン」などがそうです。日本もこの恩恵を受けました。
  その後の貿易システムは、戦前とはかなり違ったものになりました。それは、日本の首都圏の鉄道が、東京の都心から放射線状に広がっているのと同じだとイメージするとわかりやすいかもしれません。要するに、各国はアメリカに物を売ってドルを稼ぎ、それを使って他国(もちろんアメリカを含む。というかそれがメイン)から物を買うというように、アメリカ中心の貿易をするようになったのです。
  もちろん、ドルには金という裏付けがありましたし、何よりアメリカはソ連という競争相手がいたせいで、各国には「ややアメリカが損するくらいのギブ・アンド・テイク」という姿勢で臨んでいた気がします。日本や西ドイツに最恵国待遇を与えて、どんどん物を買ってくれていたというのもその現れだったでしょう。
  また、ありがたいことに、どう考えてもアメリカにとって採算が取れなさそうな地域は、共産圏(東欧や北朝鮮、中国など)という形でソ連が管理してくれていました。この辺を見ると、冷戦というのは、アメリカとソ連が一種の共犯関係になっていたのかもしれません。

  しかし、アメリカにとって誤算だったのは、さんざん痛めつけておいた敗戦国、特に日本と西ドイツの産業がどんどん発展したということです。この二カ国は輸出で稼いだアメリカドルを外貨準備という形で積み上げていきました。
  また、各国の石油の決済もドルで行われていたため、産油国を中心にオイル・ダラーと言われるドルが貯め込まれました。本来、ブレトン・ウッズ体制のもとでは、アメリカが発行したドルが国際貿易を通じてアメリカに帰ってくる(いわゆる「ドル還流」)ことが原則だったのですが、それがうまく働かなくなってきたのです。
  それにも関わらず、アメリカは国債発行という形でドルを発行し続けました。そうでもしなければ、世界中に展開するアメリカ軍の維持ができないからです。
  それが限界に達したのが、1971年のドルと金の交換停止、いわゆる「ニクソン・ショック」です。これによって、アメリカドルは裏付けの全くない通貨になってしまったわけです。

  このニクソン・ショックのあたりで、もうすでにアメリカの上層部(たとえば、●連邦準備制度委員会を構成している銀行や証券会社)は、次の方向を向いて走り始めていたのだと思います。

  次回は、その方向転換について触れて、冷戦後の世界経済の仕組みについて説明しておきたいと思います。

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