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2011.05.11(Wed)

電力事業を見直すということ 

今まで「キセーカンワ」というと、小泉政権が外資や大企業の都合の良いように弱肉強食の世界を作り出すための仕組みだと思っていた。その考えは基本的に変わっていないが、


「本当に規制緩和が必要な分野もある」


ということも、最近は考えるようになってきた。それが、電気事業というものだ。

この電気事業というものは、実に不便な仕組みになっている。

仮に、私が自分の家の裏庭にバイオガスのプラントを作り、それを用いたガスタービン発電で電気を作れるようになったとする。

その電気を他人に売るには、「特定電気事業者」にならなければならない。これは、平成7年になってやっと認められた仕組みで、それまでは地域独占の電力会社以外は電気を作って他人様に売ることは全くできなかった。

だから、平成7年をもって電力事業は「規制緩和」したと言われている。電気事業連合会もそういう風に言っているし、一応●六本木エネルギーサービス(注:PDFです)のような特定電気事業者も存在はしている。

しかし、これをもって規制緩和などというのは詐欺に等しい。電気事業法を見てみれば分かる。


第五条(許可の基準)

経済産業大臣は、第三条第一項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

(略)

六  特定電気事業でその供給地点が一般電気事業者の供給区域内にあるものにあつては、その事業の開始によつて当該一般電気事業者の供給区域内の電気の使用者の利益が阻害されるおそれがないこと。



一般事業者(=東京電力)を利用している人間を損させるような業者は電力事業に参入させない、ということを言っている。建前としては、電気はライフラインだから、それをちゃんと維持できない業者を参入させられない、ということなのだろう。

しかし、たとえば、電気を使うということは、その家庭の自己責任のはずだ。東京電力の電気供給を自分からNOと言っているわけだから、「利益を阻害される」もクソもない。それに、たかだか震度5くらいの地震で原発の冷却用の電源を喪失したり、自分たちのミスを正面から認めずにダラダラ放射性物質を地球環境に垂れ流しているような連中に、公共性という言葉を語る資格はない。

電力会社でなくても、自己完結する発電システムは作れる。げんに製鉄所やNTTはそうしている。

一般事業者、すなわち東京電力から供給される電気とミックスして使うと安全上支障があるなどと言われる。東京ガスが主導している●エネファームという燃料電池は、停電になるとシステムが作動しなくなってしまうが、そういう配慮のためらしい。

しかし、それも程度の問題でしかない。JR東日本などは、自社の発電所と東京電力からの電気を普段から併用している。同じ事をどうして家庭用燃料電池でやってはいけないのだろうか。


要するに、日本政府は、家庭向け電力供給に特定電気事業者を参入させる気など初めからないのである。


裏を返せば、特定事業者を自由に参入させれば、それによって地域単位で勝手に電気を調達できるようになり、エネルギーを一元管理して国民生活を統制するということができなくなる。「計画停電」という馬鹿げたイベントは、まさに、東京電力が首都圏の人間の生殺与奪を握っていることを見せつけるための大がかりな恫喝だった、というのは考えすぎだろうか。

要するに、我々が自律して、お上や大企業に頼らなくなるという事態を、政府や電力会社という「電力ムラ」の住人達は怖れているのである。そういう規制こそぶっ壊すべきである。小泉や竹中がやっていた「キセーカンワ」は、単なる弱者の競争激化でデフレを起こさせるためだけのものであり、本当にたたき壊すべきである一般電気事業者のようなヘドロ溜まりは放置してきたのだ。

こういうことを書くと、電力事業を自由化したら、アメリカのカリフォルニア州で起こった大規模停電のような事態が起こりかねないという人がよくいる。

しかし、それは論点がずれている。電源が分散すれば、かえって大規模停電は起こりにくくなるはずだ。それもそのはずで、カリフォルニア州のケースは、単に小売価格を自由化しただけの話で、簡単な話、東京電力のような大きな会社が好きな値段で消費者に売電できるようになったというだけの話である。それでは利益目当てに無茶苦茶なリストラが横行するに決まっている。

もし、経産省の役人が、あくまで一般事業者から電気を恵んでもらっている哀れな子羊ちゃんたちの利益を守りたい(という建前で電力会社を守る)というのなら、一つ案がある。

「特定電気事業者を一種、二種に分け、通常の業者を一種、地方自治体を二種にして特定電気事業に参入させる」

「第二種は自治体単位に限って電力供給を認める」


ことである。その上で、第二種は、第一種と違い、許可推定条項でもつけておいて、不許可理由を限定するというのがいいだろう。

たとえば、神奈川県にある小田原市が第二種特定電気事業者として参入してきたとする。そうしたら、小田原市は自分で電気を作って、小田原市民に売ることができるというわけだ。

中身は、それこそバイオガスを燃やすなり、マイクロ水力発電なり、ゴミ焼却場の発電なり、何でもいい。その地域にあったものを、勝手に選択して勝手に売ればいいのだ。

そうなると、メンテナンスがしやすいから、自家発電か、それに限りなく近い狭い単位の電力供給になるだろう。もちろん、対象となる地域の市民が一般事業者から買いたいというなら、好きにすればいい。

地方自治体に発電事業なんかできない、などという人は勉強が足りない。公営電気事業というものがちゃんと法律上も規定されている。たとえば、●栃木県は9箇所の発電所を運営している

ただ、その作った電気の行き先が問題だ。公営電気事業は、特別に認められた「卸供給事業者」でしかない。作った電気は原則、東京電力のような一般電気事業者に売ることしかできない。

だから、それをその地域の住民のために活かせるような法改正をすればいいのである。

そして、世界的に見ても高コストな事業用電力は、いわゆる「特定規模電気事業者」だけでなく、幅広い商業発電を認めて、健全な競争を促す。公共交通(電車やモノレール)などには、税金を優遇して、自家発電用の会社を作らせるといいかもしれない。

こうすれば、公益性を保持しつつ、技術の部分を導入する部分だけ民間企業の力を借りられるようになり、地元に密着した発電方式を開発・発展させる中小企業も出てくる。要するに、今水道でやっているようなことと同じような仕組みを電気にも導入するのである。

市民も、自分の自治体が何をやっているかということに、もっと強い関心を持つようになる。かりに、大企業と結びついておかしな電力事業をやっているというなら、それこそ市役所に押しかければいい。現状では、東京電力や経済産業省という伏魔殿があるだけで、市民の声は電力事業の内容に全く繁栄されない。

●入会地の話でも書いたが、なぜ環境問題が解決しないのかというと、資源を調達する場所が自分たちの手の届くところにないからである。だから、首都圏の人間のために、福島県浜通り地方に超危険で超非効率的な発電施設ができてしまうのだ。自分の近くにエネルギー供給設備があれば、だれもウランやプルトニウムを使おうとは思わない。

何事も、地域単位の小さな環にした方がコントロールしやすいのだ。小さな循環系であれば、傷ついてもすぐに再生ができる。その点、今の電力供給は、東京電力がこけたらみんな死んでしまうようになっている。心臓や肺をひとつの営利企業に握られているようなものだ。

今必要なのは、単体の技術(たとえば、風力発電)がどれだけ優位かという論争ではなく、そもそも健全なイノベーションが出てくるような土台ではないだろうか。当たり前だが、そこには原子力という、外部電源がなければ暴走するような超欠陥エネルギーは、存在する余地がない。

そのような「良い競争」によって目指すべき目標は、災害等の危険を可能な限り分散し、国家全体としては軽微な被害に留めつつ。各地域が実情にあったエネルギーを作り出して自律していくことだ。大規模な設備による一括管理は、大元が傷ついた時とりかえしのつかない破綻を来す。しかも、文句を言っても相変わらず業者に都合の良い規制は続いていく。

もっと我々から見て近いところへ、我々の生活の基盤を引き寄せなければならない。

その時、既存の電力会社の設備投資が、などという配慮は一切不要だ。公益に奉仕するはずの一般電気事業者様が役人や政治屋と癒着することで、原発がどんどん作られてきたし、何かそれをクリーンだとか資源の節約だとかのたまうプロパガンダが通用してきたわけだ。

エネルギーシフトを目指す国会議員の集まりも出来たそうだ。是非、電気事業法の見直しを検討課題にしてもらいたいと思う。

当たり前だが、電気というのは、電力会社やその投資家がカネを儲けるための道具ではない。我々が生活するための手段である。本当なら、電気も使わずになんとかするのが理想だが、現状ではそれもなかなか難しい。

それならば、せめてその電気の供給のされ方を、もっと庶民の近いところに引き戻すことができないだろうか。今ほんとうに必要なのは、「エネルギーの地方分権」なのだと思う。


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Comment

●送電会社を相互会社に

送発電を分離して、送電会社を相互会社にせよ。

相互会社って保険業にしか認めてられていないんでしたっけ?
契約者が社員という組織形態は、送電会社に相応しいと思いますが。


それとも、送電会社を外資へ売り払う方が近道かな?
送電網という資産を担保にIMFに融資を求め、それを元手に被災者救済、とか。


愚樵 | 2011年05月12日(木) 06:51 | URL | コメント編集

●>>愚樵さん

>相互会社って保険業にしか認めてられていないんでしたっけ?

相互会社という形態は保険業法が認めているものなので、その認識で合っています。

しかし、じゃあ同じ事は無理なのかというと、そうとも思いません。「組合」方式を使えばいいのです。商法の匿名組合でも民法上の組合でもいいと思うのですが、送電線は規模が大きいですから、農協や信用金庫のように、特別法を作って協同組合を作らせるのが一番良いでしょう。

超党派でそういう議員立法をすべきです。官僚にやらせると、電気事業法のようなクソ法令になってしまいます。
ろろ | 2011年05月12日(木) 10:34 | URL | コメント編集

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