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2010.02.04(Thu)

マイケル・ジャクソン風の影絵が語るもの 

人形劇の人気者、いまや孫悟空よりM・ジャクソン=中国の伝統文化に及ぶ欧米文化の波―SP紙
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100204-00000005-rcdc-cn

2010年1月31日、シンガポール紙ザ・ストレーツ・タイムズは「欧米文化にさらされる中国文化」と題した記事を掲載した。2月1日付で環球時報が伝えた。

記事は冒頭で、「中国が台頭、米国は衰退」しているのは経済面だけだと綴った。文化面では欧米文化が続々と中国に流入しており、中国の固有の伝統文化もその影響を受けつつある。

四川省の成都市に住む周さんは、伝統的な皮製の人形を使った影絵芝居「王皮影」に長年携わっている。しかし、彼の上演する芝居で観客の人気を呼んでいる登場人物は西遊記の孫悟空でもなければ、猪八戒でもない。マイケル・ジャクソンの曲に合わせて踊り、ムーンウォークを披露する西洋風のキャラクターが注目を集めるのだ。

周さん自身、「伝統的な影絵芝居など退屈で面白くない」という。こうした風潮は四川省や影絵芝居に限らず、中国全土で一般的なものとなっている。他国の侵略行為は何も武力による戦争とは限らない。戦争よりも静かで、より効果的な“文化の侵略”が、われわれ東洋人の日常生活で密かに進行していると記事は結んでいる。



  中国を見ていると、なにか以前(一部では現在進行形)の日本を思い出します。

  明治以降我々は「西欧化=進歩」と信じて物質文明を発展させてきました。カネをかけようが借金をしようが、「努力」をすればカネが得られて全てが解決すると疑いませんでした。今でも、政府が再分配を強化して、GDP的な発展をすれば問題は全て解決するという風に主張しているブログがあったりしますが、そういうところの人たちも、基本的には明治維新以降つくられたものの考え方に乗っかっているといえます。
  しかし、最近はそういう風潮が反転しつつあるのを感じます。農業を志す若者がぼちぼち出始め、家庭菜園のセミナーは結構な盛況です。経済的な事情があるにしても、新車を無理して買うより自転車で楽しむ人も多くなっています。伝統的な文化に目を向ける人が少なくないことも、いろいろな場面で目にしています。
  なんでそういう流れが出てくるのかなと思いましたが、競争や「努力」(=自分の商品価値を向上させる苦役)をするのに、みんな疲れてしまったのかもしれません。私が●この記事のような視点を持つに至ったのも、多分時代の雰囲気がそういう風になってきているからでしょう。
  経済的な発展が望めなくなっているのは、一面では不幸なことかもしれませんし、生存すら危うくなっている人が少なくないという状況には手当が必要なのでしょう。しかし、単に景気が悪いとか、これ以上発展は臨めないというのが、自分達が何者か見つめ直す機会になるとしたら、悪いことばかりではないと思うこともあります。

  他方、中国は欧米やかつての日本の発展コースを「速習」して今の地位を築きました。
  日本は基本的に敗戦直後の対外借り入れと、総動員体制をベースに発達した工業力を民需にスライドさせることで対米黒字を稼いで、数十年掛けてGDPを世界2位にまでしました。
  しかし、中国はそうではなくて、80年代後半から今までの間、行き場の無くなった世界の投資マネーを一気に受け入れ、外国の技術や生産システムを臓器移植するようにして経済発展をしてきました。
  中国には低所得層が多いため、消費財が全国民に行き渡っていません。貿易黒字を国民の購買力に転換する仕組みを作れば、これからまだまだものが売れるでしょう。日本を初めとした先進国では今後デフレ以外の展開は考えにくく、安いチュウゴク製・チュウゴク産の需要がなくなることはありません。これからも「発展」は続くでしょう。

  しかし、それに比例して、中国は自分を見失い、狭い価値観に自分を追い込んでいっているように見えてなりません。その価値観とは、欧米的物質文明です。
  マイケルジャクソンの影絵が受けるのも、彼がアメリカのスターだからであり、決して美意識の発露ではありません。
  上で取り上げた記事の男性の発言からも分かるように、どうも物質文明が進歩すると、その社会にあった伝統的な文化は「つまらない」だの「刺激がない」だのといった理由で切り捨てられていく運命にあるようです。以前からこのブログで言っているように、「人間の精神のあり方を決めているのは、その人や集団が置かれている物的条件である」という定理が、ここでも当てはまるように思えます。
  日本人の場合、そういう発展レースやそれに伴う価値観の変化に疲れたら、戻っていく場所がいろいろあります。私は結構旅行をする方ですが、昔は中高年の人しか見かけなかった神社やお寺に、若い人が参拝しているのを見かけます。神道のように、商業化されていない伝統文化というのも、戻っていける場所の一つです。国粋主義や天皇に対する盲目的崇拝はまさに明治維新以降の欧米化の産物ですが、そういう人たちの中にも、伝統的な文化に良い意味ではまってしまう人も少なくありません。

  では、中国はどうなのかというと、私は正直「やばいんじゃないか」と思っています。

  中国では共産党が天下を取って以来、基本的に唯物論教育ばかりやっています。「神などというものはいない」とか「マルクスや毛沢東の共産思想こそが最も進歩した考え方だ」という北朝鮮っぽい側面も確かにあるのですが、それ以前にとにかく中国の子供は昔から科学の進歩や物質文明の発展こそが最上の価値だということを叩き込まれています。
  小平の「改革開放」以降、中国で拝金主義がはびこったのは、急激に経済発展したとか、昔から中国では戦乱が絶えなかったとかいう歴史的背景もあると思うのですが、「とにかくモノやカネこそが幸せの尺度だ」という教育を、毛沢東の時代から受けていたことが一番大きな原因ではないかと思うのです。この辺は、日本の一方的な知識の伝授が優先される教育が、戦前の忠君愛国による洗脳をより功利主義寄りにスライドさせたのと事情がよく似ています。
  日本の場合は、明治維新による文化破壊(廃仏毀釈や神道合祀令など)があっても到底破壊しきれないほど伝統的なものが強かったことや、天皇家が近代化のシンボルでありながら伝統の守り手として機能したことなどがあり、物質文明に染まる以前の記憶を取り戻す場所がまだ残っています。
  しかし、中国では共産党政権になってから、宗教的な組織は徹底的に弾圧され、民間信仰も教育で否定され、漢方薬や気功のようなカネになりそうな文化はみんな政府の教育研究機関が「合理的に」管理してしまっています。

  経済的に行き詰まった時、彼らに戻っていく場所があるのでしょうか?

  急速な「発展」の弊害は、もうすでにいろいろな所に現れています。不況のどん底にある日本以上にうつ病の患者が多い(●この記事を参照)ことなど見ても、日本以上に「近代的」になりつつあるのかもしれません。

  昔は中国というと私の嫌いな国ナンバーワンであり、今でも正直中国人の行動様式や、中国政府の高圧的な言動にはむかつくことがしばしばです。
  しかし、最近どうも私の中には、「中国はかわいそうだ」という思いが強くなってきています。
  欧米の仲間になりたくて背伸びをして、一度は敗戦し、今度はカネの力で世界のトップに立とうとしたら、巧妙にハシゴを外され、地べたに叩きつけられた、というのが、我が国の明治以降の歴史です。そして、日本が急降下していくときは、いつもどこかの国がカネや利権をかっさらっていってしまうという展開の繰り返しです。
  中国の人びとが学ぶべきなのは、「日本のように豊かで文明的な国になろう」というのではなく、「カネやモノに狂って自分を見失った日本のようにならないでおこう」ということなのです。
  しかし、中国の共産党政権もまた、明治維新の日本同様に、トップダウンで近代化を推し進めることをレゾン・デートルとしている以上、そういう流れを覆すことはないでしょう。残念なことですが、行くところまで行くしかないようです。
  日本としては、中国が「行くところまで行った」時に、どのように危機管理をすべきか、そのことを考えておく他はありません。GDP2位、人口13億の国が崩壊すれば、辛亥革命や、国共内戦の比ではない混乱が起こるでしょう。それに備えて、締めるべきところは今から締めておき、相互依存をなるべく少なくしていくようにすべきです。
  今の政府や官僚に、そういうことが出来るかは分かりませんが・・・。

  最後に、私が尊敬している中国の思想家の言葉を引用しておきます。

  知人者智 自知者明 勝人者有力 自勝者強 知足者富 

  (人を知る者は智、自ら知る者は明なり。人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し。足るを知る者は富む。)

>知足者富

  この言葉の意味を、我々は今一度深く噛みしめるべきでしょう。
  中国の人びとにも、そうであってもらいたいものです。


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EDIT  |  22:42 |  中国・朝鮮  | TB(0)  | CM(1) | Top↑

Comment

>>足るを知る者は富む。

いい言葉ですよね。
仏教のいう「煩悩」は無限な欲のことをいい、
何事にもほどほどに欲することが重要そうですが、
近代的な価値観、最大限まで利益を追求する考え方とは
反対ですよね。

ところで最近メディアで小泉進次郎氏の
報道が不自然に多いような気がするんですけど、
やはり誰かが彼をPUSHしているんでしょうか?
nasubi | 2010年02月05日(金) 00:15 | URL | コメント編集

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