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2009.11.24(Tue)

非電化工房「もみがらハウス作りワークショップ」顛末記(下) 

           ここぼくんち

  記事のアップが滞りがちですみません。ここのところ忙しいことと、正直ブログを書くのが億劫になり始めたことがあり、ずいぶん遅れましたが、11月8日に栃木県那須町の非電化工房で開催された「籾殻ハウスづくりワークショップ」の報告と雑感をまとめておきます。
  
  11月3日には、主に土壁の材料となる泥づくりと、籾殻ハウス内部の漆喰塗りの作業を行いました。そのとき酵素などを混ぜて粘度を高めた土を、いよいよ外壁として塗り込んでいきます。

           よく見ると籾殻が

  土を塗り込める前の外壁です。簾(すだれ)を用意し、そこに断熱材の役割をする籾殻を詰めてあります。籾殻が隙間から見えますね。

           みんなで土壁塗り1

  そこに、こうやってみんなで手分けして泥を塗っていきます。3日のような底冷えのするヒデはなかったものの、関東最北部の那須の空気は冷たく、手が冷えます。真ん中で屈んでいるニット帽の男性が、今回のプロジェクトリーダーである建築士の不破博志さんです。

           みんなで土壁塗り2
 
  もちろん、休みの日に集まってやっているからというのもあるのでしょうが、みんな楽しそうに、すすんで仕事に取り組んでいきます。不破さんや、応援に来た左官の大森さんたち数名をのぞけば、みんな素人です。それでも、作業自体滞りなく進んでいきます。人手の足りないところには、手の空いた人が応援に入るなど、無理強いをしなくてもちゃんと作業として回っていくのです。
  おそらく、昔の家造りというのは、こんな感じでやっていたのではないでしょうか。農作業が暇になる時期に、手の空いた人間が同じ集落の仲間を助けるという実利的な面ももちろんあるのでしょうが、なにより「みんなで何かやること」の喜びがそこにはあります。
  近代化が成し遂げられ、カネを払ってプロにお願いすることで、時間や手間をかけずに建築や修繕ができるようにはなりました。しかし、そもそもそういうプロにお願いするためのカネは、一日の大半を他人のために働いて稼がなければならないのです。当たり前ですが、現代では何のためにやっているかよく分からない仕事があまりにも多いので、ほとんどの人はやり甲斐を持てずに悶々としたまま働いています。
  我々の今の生活というのは、なにか非常に余計な迂回をしているような気がしてなりません。

  さて、  一通り塗り終わったあと、コテを使ってみんなで仕上げをし、こんな感じになりました。

           土壁一応完成

  なかなか家らしくなってきました。あとは、屋根を葺いて、外壁を仕上げれば終わりです。色的にもう少し映えるように、最後は白い漆喰で外壁を塗るようです。
  
           籾殻ハウス玄関

  三角形の玄関です。なぜ三角形なのかというと、リーダーの不破さんによると、三角形が多角形の中で一番強度が強いからだそうです。確かに、外壁を見ても、全て三角形を互い違いになるように組み合わせています。
  もちろん、あけっぱなしでは困りますから、この後ステップを兼ねる三角形の扉をとりつけて、中に入ったら手すりを持って引っ張り上げられるようにするとのことです。

           籾殻ハウス天窓

  天窓が開いているのは、二つの目的があります。一つは、中央部に据え付けた薪ストーブの排気口にするためで、もう一つは、藤村先生(非電化工房代表)の開発した「非電化換気装置」というのを取り付けるためです。なんでも、風が吹くと外気を取り込んで、その勢いで中の空気も排出するという優れものだそうです。
  籾殻が作り出す空気の層が外気を断熱し、中には空気が循環する。まさに理想の住宅のできあがりです。

           日干し煉瓦1

  余った泥を使って、左官である高橋さんの指導の下、日干し煉瓦を作っているところです。このまま乾燥させれば、門から玄関までの飛び石など、いろいろな用途で使えるとのこと。

  そうやって、規定の作業が全て終わったので、夕方の5時くらいから交流会とあいなりました。

  冒頭で、藤村先生から、一応、籾殻ハウス作りじたいはこの3回目で終わる予定だったのですが、上でも書いたような外壁の仕上げ作業のために、もう一回(11月22日)に追加のワークショップを開くことが発表されました。 。私も是非参加したかったのですが、ちょうど休日に出勤しなければならない日だったので断念せざるをえませんでした。
  それでも、一つの区切りということで、プロジェクトリーダーの不破さんから今回の籾殻ハウス作りの趣旨説明のようなお話がありました。
  そもそも、この企画は、藤村先生が各地で主催する●発明起業塾川崎校に参加していた不破さんが、藤村先生から出された宿題の答えでした。その課題とは、

  「建築確認が要らない、素人が安く作れる家を発明しなさい」

  というものだったそうです。
  現行の建築基準法では、床面積が10平方メートル以上の建築物は全て建築確認を受けなければなりません。確認を受ければいいだけの話ですが、その後表示登記や保存登記などのお金もかかりますし、なによりそうやって作られた普通の建物は、固定資産税の課税対象になってしまいます。それをなんとか出来ないものか、と思って、藤村先生が不破さんに頼んだのだそうです。
  そんなものは無視すればいいという人もいるのですが、ヤクザや野武士でもあるまいし、普通の胆力の持ち主では無理です。

  しかし、10平方メートルの床面積では狭すぎるのではないか?という人は当然いるでしょう。私も当然そう思いました。

  そこも不破さんはちゃんと考えていました。上に挙げたいくつかの写真をよく見ていただくと、籾殻ハウスの壁が、床から外に向かって張り出しているのがお分かりでしょう。これによって、人の腰から目線にかけての部分の広さは約15平方メートルまで広がっています。つまり、感覚的にはほぼ1,5倍の広さになるわけです。私も他の参加者の方達数人といっしょに中に入ってああでもないこうでもないと感想を述べ合いましたが、窮屈な感じは全くしません。これを二つ三つ作れば、4、5人の家族でも十分生活していけるような感じです。
  もちろん、この床面積をごまかすテクニックも、あまり派手にやりすぎると罰則の対象になるようですが、そのへんは1級建築士である不破さんが周到な計算を施しています。専門家の知恵というのは、こういうことのために使うものなのだと、改めて思いました。

  その後も参加者の自己紹介(今度は私も簡単に収めました)や質問等、軽食を交えながら楽しい時間が過ぎていきます。今回もやはり、発明起業塾の卒業生が多数参加していました。
  もうそろそろ時間か、という頃に、非電化工房そのものについてのやりとりが行われていたので、私がしめくくりにふさわしい(笑)質問を藤村先生にぶつけてみました。

  「先生は、どういう未来になってほしいと思っていらっしゃいますか」

  藤村先生がされたのは、以下のようなお話です。多少記憶が曖昧になっているところもありますが、ご容赦下さい。

  自分は平和主義者であり、原発や核燃料サイクル施設などの形で、科学技術があらぬ方向に向かっていくことを非常に残念に感じている。本来科学技術というものは、人間を幸福にするためのもののはずなのに、それが一部の先進国と大企業のものになってしまっている。そういう一部の人間たちを「ギャフンと言わせたい」と思い、非電化にこだわった発明を続けている。
  発明起業塾で後進を育てているのも、そこで育った人たちが地域社会の中に入っていき、本当に地域の人びとを幸せにするような発明をして世の中を良くしてほしいと思っているからだ。限られた人生だが、できるだけのことをやっていき、多くの人びとが幸福を感じられるような世の中になっていってほしい・・・。

  以前の私であれば、先生が「平和主義者」で「原発反対」と聞いた途端に、ありがちな偏見を抱いてしまったことは確実(笑)なので、イデオロギーのバカさ加減に疲れ切ったあとに非電化工房の仕事の一端に関われたのは幸運でした。
  しかし、そんな私も、藤村先生や不破さん、さらには発明起業塾を出て各地で奮闘されている人びとや、先生のお弟子さんたちに比べれば足元にも及びません。私は、具体的に何もやっていないのです。
  いや、ただ何もやっていないというより、ブログで近代経済システムを批判しただけで何かやったような気になっているわけですから、自己満足の部分が大きく、ネット右翼やブログのコメント愛国者、さらには自民党叩きやイラク戦争反対だけが生き甲斐になっている地球市民ブロガーとたいした差はなかったというのが実情でしょう。近代経済システムを捨てろというのも、一つのイデオロギーには違いないのです。
  自己弁護をするわけではありませんが、普通の庶民は頭では分かっていても、なかなか行動に踏み出せないものです。現代のように、賃労働や自己研鑽というものが異常な時間的負担を生んでいるならなおさらです。本当は私も行動に踏み出せないワーキングプアの人びとや派嫌切りにあった人たちを批判できる立場にはないのです。

  しかし、それでも一つ希望を持って良いのは、藤村先生やお弟子さんたちのように、誰でも使える、誰でもできるような方法で、今の世の中を少しずつでも改善していこうとしている人たちがいるということです。
  その根本にあるのは、人の役に立ちたい、喜ぶ顔がみたいという純粋な思いでしょう。それなしに、やれ世の中を変えたいとか、システムを転換するとか言ってみても、おそらくごく少数の人たち以外は共感してもらえないはずです。
  非電化工房と、そこに集まる方々の言葉や表情に、素朴な感情を思い出させてもらい、さらには脳みそと文字に偏った自分のやり方を反省する機会をいただけたことは、非常に大きな収穫でした。  
  
  なにやら興味深い発明が今後ともいろいろ企画されているそうなので、その成果や進捗状況を拝見しに、那須の非電化工房にうかがいたいと思っています。よろしかったら、このブログをご覧の関東や南東北の方もご一緒にいかがでしょうか。

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【追記】

  ついに、籾殻ハウスが完成したようです。

摩訶不思議なり。籾殻ハウス。 (非電化工房弟子入り日記)
http://plaza.rakuten.co.jp/hidenkawwoofer/diary/200911230000/

  ああ、ここが自分の塗った辺りだな・・・と思うと、なにか感慨深いものを感じます。
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Comment

●法律って変わりますからね。

>現行の建築基準法では、床面積が10平方メートル以上の建築物は全て建築確認を受けなければなりません。

 以前に波状の鉄板コルゲート・シートで家を作る方がいらっしゃいまして、その2~3作目かと思われる「幻庵」についての記事で、「砕石の上にコルゲート・シートを組んだ物は基礎が無い。だから建築物ではないので確認がいらない」とありました。
 これの上に土を盛れば、下は物置 上は庭 というのができるのじゃないかなと思っていましたが、今は法律が変わって確認を受けなくてはいけないみたいですね。

 法は三章のみ とはいかない物なのでしょうね。

では、また。
仙 | 2009年11月25日(水) 21:27 | URL | コメント編集

お疲れがなかなかなおっていないようで、少し案じております。
さて、
「もみがらハウス」設計者の不破さんのブログにも、
ワークショップの総括と、美しい写真が載っていました。

総括(1)
http://fuwahirosi.exblog.jp/9297714/
総括は(1)~(4)まであり、(2)には設計図もありますね。
お知らせまで。
びーちぇ | 2009年11月27日(金) 06:15 | URL | コメント編集

手が不器用なの自覚してるので、こういうの実行できるの凄いなと思います。

カネが無い → 住むとこ無い → ホームレス

こうなりたくないので、1円でも多く得るために不満を溜めこんで働いているんですが。
やっぱり形となってるのを見ると、驚きます。
何と言ったらいいのか・・・・

>その根本にあるのは、人の役に立ちたい、喜ぶ顔がみたいという純粋な思いでしょう

これ良く解ります。
経営者からは、カネ儲けのために命懸けでやれと良く言われます。
でも、カネ儲けのためだけに命使えません。

同業他社や他人より優越して、見下せるのはいいぞと言われましても。
とりとめのない事言ってすみません。
勤めてるとこが、零細系のブラックに近い会社なので。
ロン | 2009年11月28日(土) 21:11 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

>>仙さん

  お役人さんも国民の生命や安全を思って規制を作っていますから、それはそれで役にやっていると思います。
  ただ、それでは救えない何かがあるわけで、その「ニーズ」をうまいことかなえるのが専門家の役割ではないかと。不破さんの姿勢には、今後の専門家のあるべき姿を見ました。

>>びーちぇさん

  ご心配おかけしてすみません。
  設計図まで公開するとは、やはりこの方は違いますね。素晴らしい。
  近代が終わっても、きっと不破さんのような「職人」は生き残っていけることでしょう。

>>ロンさん

>手が不器用なの自覚してるので

  私もそうです。
  どうも、不安定な時代には文系というのは役に立たないような気がします。そう思うと、子供達の理科離れというのは怖いですね。

>カネ儲けのためだけに命使えません。

  誰かに命じられて賭けるものでもありませんからね。
  日常的にそのような環境にいらっしゃるのは、正直気の毒です。
  しかし、ロンさんが本記事に触発され、そのようにご自分の状況をお書きになったことを、私は嬉しく思います。
  何の励ましにもならないかもしれませんが、うまくやっていってほしいと願っています。別の職場に移られるチャンスがあるとよいですね。

ろろ | 2009年11月29日(日) 23:42 | URL | コメント編集

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