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2009.02.10(Tue)

「バイ・アメリカン条項」が持つ意味(2)~いよいよ「応仁の乱」が始まる 

  ●前回の記事の続きです。

米景気対策法案、72兆円規模に圧縮で合意…上院可決へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090207-OYT1T00394.htm?from=main2

米上院の民主党と一部の共和党議員は6日夜(日本時間7日午前)、審議中の景気対策法案について、一時は9000億ドル以上に膨らんだ事業規模を7800億ドル(約72兆円)まで1000億ドル以上圧縮する妥協案で合意した。

 米主要メディアによると、歳出拡大に慎重な共和党の主張に民主党が歩み寄った。民主党のリード上院院内総務は「数日以内に可決したい」との意向を示した。法案が可決されれば、8200億ドル規模の法案を可決した下院と協議、一本化したうえで16日までの法案成立を目指す。

 オバマ大統領は6日、雇用悪化など深刻化する景気の落ち込みを指摘し、「法案成立を滞らせているのは、無責任で許し難い」と議会の対応を厳しく批判していた。

 一方、公共事業で米国製品の調達を義務づける「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項については、国際協定に違反しないことを明確にして法案に盛り込む見通しだ。米国と政府調達協定を結んでいる日本や欧州連合(EU)など主な先進国は、適用除外になるとみられる。


  例の「バイ・アメリカン条項」がどうなったかというと、

>米国と政府調達協定を結んでいる日本や欧州連合(EU)など主な先進国は、
>適用除外になるとみられる。


  政府調達協定というのは、政府が公共事業などをやる際に、他国製品を締め出す措置を制限するものです。WTO●こちらのリンクに締結国が出ていますが、鉄鋼の対米輸出に力を入れている「日本」や「韓国」が入っています。
  なんだぁ、それじゃあんまり意味ないじゃないか、と思う人もいるでしょうが、それでも、中国やブラジルを締め出すことが出来るというのはかなり大きいです。

  本来自由貿易という弱肉強食ルールは、アメリカという国の最も得意とする領域のはずです。そのアメリカが、なぜ自由貿易に真っ向から挑戦するような規制を設けようとするのでしょうか。ここをきちんと知らなければ、今回のニュースの意味が分かったことにはなりません。

  前回言及した1971年の「ニクソンショック」がアメリカにもたらしたものは、産業構造の大転換でした。同年以降のアメリカ国内経済というのは、製造業の雇用がどんどん減っていき、その反面としてサービス業や金融業、ITといった「虚業」がその受け皿になっていく過程だと言っても過言ではありません。
  これは、単に二次産業から三次産業へ人が移動したという以上の意味があります。●こちらの記事でも述べましたが、新興の業種では、労働慣行が確立していないために、経営者側に有利な雇用体系を導入することが可能です。たとえば、サービス業はアルバイトが多いですし、金融業は派遣労働者が非常に多い分野です。ITに至っては、同じ英語を話すインドに「オフショア開発」などと称して作業を丸投げしています(●こちらのリンクを参照)。
  そういう雇用の置き換えが顕著に現れているのが、労働組合の加入率です。1980年には22%強あったアメリカの全労働者の組合加入率は、2000年に13%まで低下しています。新興の業種は組合が弱いか、ウォルマート(全米ナンバー1の小売業者)のように、経営者にとって邪魔な企業組合が全く存在しないのが普通です。そういう企業の方が、いまやアメリカの多数派になってしまっているということです。
  そうやって、数としての雇用は維持していても、支払っている賃金はどんどん抑制されていっているわけです。これでは、購買力が落ちるに決まっています。しかし、新たに政府が投資をしても、農業は大規模化されすぎていて新たな雇用を生み出す余地がなく、安定した雇用を生み出す製造業は壊滅状態です。
  そこで、議会の方で、景気対策ということで比較的反発の少ない方法を採り、「もう自由貿易なんていらない。自国民を食わせろ」というメッセージを発するに至ったのです。

  アメリカは、今現在の過剰な消費を美徳とするライフスタイルさえ改めれば(それが一番難しいと思うが)、一国だけ、もしくは、北米大陸とメキシコだけで経済を回していくことができる可能性があります。このブログでも、石油減耗が進めば、そういう経済にせざるを得ないという話をしましたが、もしかしたらアメリカはそういう方向に向かって走り出したのかもしれません。
  ただ、アメリカを食い物にしてきた人々は、そんな状況を座視するはずがありません。「金融資本」「商社」といった典型的なグローバリストは、アメリカと他国の間をつなぐ役割だからこそ、手数料や金利を稼ぐことができるわけです。
  彼らが一番おそれているのは、他国がアメリカの流れに追随することです。日本の場合は、●営業赤字を理由に社員を切りまくっていながら株主に2000億円も中間配当できる「株主利益の最大化」カンパニー(笑)を中心として、グローバリスト企業がのさばっているので、あまり心配はないとして、外国製品に市場を侵食されている中規模の国々、たとえば欧州諸国や台湾、東南アジアの国々がそういった動きに出てきたら、非常に困った事態になるでしょう。世界規模で不要不急なものを「安いから」「いいものだから」と言いながら、右に左に動かして利益を得るという状況が否定されるからです。以下のニュースは、そんな彼らの叫び(笑)です。

WTO非公式閣僚会合、「バイアメリカン」条項に批判相次ぐ
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090131AT3S3100H31012009.html
 世界貿易機関(WTO)は31日、スイスのダボスで非公式閣僚会合を開いた。約20カ国・地域が出席し、金融危機を乗り切るためにも多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の再開が重要だとの認識で一致した。米議会が景気対策法案に米国製鉄鋼の使用を義務づける「バイアメリカン」条項を盛り込むことを検討している点については「保護主義」との批判が相次いだ。

 WTOは昨年12月中旬、当初目標としていた昨年内の大枠合意を断念し、交渉が頓挫していた。この日の非公式閣僚会合を受けて、今月に事務レベルの協議を開始する。ただ今回の会合には米政府の閣僚が出席せず、交渉の大枠合意を目指す閣僚会合開催の時期は決まらなかった。

 日本からは二階俊博経済産業相、石破茂農相の2人が非公式閣僚会合に出席した。


  当たり前の反応です。ダボス会議というのは、●旧ブログの記事で指摘したように、グローバリストが今後地球をどのようにして食い物にしようか相談するための打ち合わせ、もしくは、決定事項の伝達の場(石破・二階の両大臣はそういうご用聞きのために出向いており、「是非出席したい」とのたまった我が国の首相はグローバリストの使用人だということ)ですから、自分たちの飯の種になる遠隔地貿易を否定するような行動は一切許容しません。
  こういう連中にとっては自国愛好的な消費傾向、たとえば日本人の「国産食料好き」など、邪魔者以外の何者でもありません。だから、そういう動きが出てこないよう、マスコミを使ったり、政治家を動かしたり、いろいろな形で世界中を一体化させようとしています。
  アメリカ議会は今後、「バイ・アメリカン条項」を他の製品にも拡大すると言っていますが、おそらくそこまで来たら、グローバリスト側の強力な巻き返しがあるでしょう。冒頭に紹介したニュースの通り、結局アメリカの国益重視派も、折れざるを得なかったというわけです。
  それでも、今後「バイ・アメリカン」勢力が主張を曲げなければ、私は、次の中間選挙でマスコミや学者(つまり、グローバリストの飼い犬)を総動員して、民主党を大敗させる方向に持っていくと踏んでいます。イラク戦争を喝采してしまう国です。その程度の情報操作に簡単にひっかかってしまうことでしょう。オバマ大統領はそういうことを分かっていて、グローバリストを刺激しないように釘を刺したのが、前回の中央日報の記事だということです。

  ここで忘れてはならないのは、政治の力で、国産や自国製品を買わせようとなると、どうしてもグローバリストの反撃を受けやすくなるということです。。我が国でも今年9月で民主党を中心とした政権が生まれるでしょうが、彼らが「バイ・ジャパニーズ」的な政策を打ち出しても、それを実行することはまず出来ないだろうと思います。
  それでも、そういう国内経済重視派が台頭し、グローバリストと喧嘩をする意味はあります。政府の介入でも何でもやれば、少なくとも急激な崩壊は避けられるからです。

  しかし、それはおそらく問題の解決にはなりません。グローバリゼーションを生み出している「何か」を、個々人の生活レベルで相対化していくしか、解決の方法はありません。
  それが以前お話しした●入会共同体●地域通貨、さらには●海藻バイオマスや海洋牧場といった話なのですが、そういうことは政府内での「国益重視派」と「グローバル経済派」の抗争をよそに、地方で粛々と進めていくべき課題だと思っています。海藻バイオマスの方は少々難しいので、石油減耗が本格的になってくる前に、国策で、もしくは海岸沿いの自治体が共同でカネを出してやるしかありません。

  たとえて言うなら、これから起こるのは●「応仁の乱」です。

  室町時代に幕府の支配を事実上終わらせたこの戦乱は、領地をほったらかしてにして京都での政争に参加していた守護大名たちの対立によって起きました。当時の幕府を牛耳っていたのは、将軍の足利義政ではなく、その正室である日野富子です。富子は、京都の各地に関所を設けて通行料を取ったり、高利貸しから賄賂を受けたりして、殖財に励んでいました。そんな情けない幕府が、守護大名を抑えられないのは当然です。
  将軍=内閣、日野富子=経団連や経済財政諮問会議、勝ち組企業、守護大名=各政党と置き換えれば、見事に今の日本の状況と重なります。アメリカでも似たようなものです。
  室町幕府は、義政の祖父である足利義満が将軍の頃、日明貿易を始めてから急速にカネカネの政治を行うようになっていきました。これも、日本が外需依存やチュウゴク産の輸入に走り、アメリカが自国の製造業をほっぽらかしにしてチュウゴク製製品をドルで買いあさっていることと見事に重なります。
  応仁の乱が終わった後の日本は、戦国時代に完全に突入しました。京都で領民そっちのけの政争に明け暮れていた守護大名の多くは、在地領主だった守護代や家臣たちの下克上にあい、没落していきました。そういう時代が、日本やアメリカ、のみならず全世界で起きる可能性があるということです。
  しかし、これは逆に言えば、地方が自分たちの置かれた条件に合った政治をやれるチャンスでもあります。しかし、それを生かすにはできることから準備をしていかなければいけません。「バイ・ジャパニーズ」派や、分配強化を主張する勢力にぶら下がっては、グローバリストに巻き返されたときに、本当に死にます。
  そうはいっても、「バイ・アメリカン」「バイ・ジャパニーズ」を唱える政治家にはとりあえずがんばってもらわなければなりません。彼らが踏ん張ってこそ、次の時代が生まれるのです。応仁の乱が戦国時代につながったのも、11年間も権力の空白が続いたからです。

  くれぐれも、一気呵成に物事を解決できると豪語する人たちに、みなさんが扇動されないように願っています。戦前は、「不景気を解決するには満州進出しかない」というプロパガンダで、おかしな方向へ走り出してしまいました。民主党と自民党が憲法9条改正のために連立政権を作り、いつの間にか軍拡を行って、動乱状態に突入した中国に「進出」する可能性が本当にないと、誰が保証できるのでしょうか?
  そういう事態を防げるのは、庶民の生活感覚だと私は信じています。庶民に対して生活苦から目をそらすようなアピールをしてくる連中や、逆に「政府紙幣さえあれば全ての問題は解決できる」などというご都合主義の売り文句をしてくる連中には、敢然とノーを突きつけましょう。

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Comment

●素晴らしいエントリです

> くれぐれも、一気呵成に物事を解決できると豪語する人たちに、みなさんが扇動されないように願っています。戦前は、「不景気を解決するには満州進出しかない」というプロパガンダで、おかしな方向へ走り出してしまいました。民主党と自民党が憲法9条改正のために連立政権を作り、いつの間にか軍拡を行って、動乱状態に突入した中国に「進出」する可能性が本当にないと、誰が保証できるのでしょうか?

う~む、鋭いですねえ。
勉強になります。
喜八 | 2009年02月10日(火) 14:05 | URL | コメント編集

●戦前から学んでみれば

久しぶりの投稿です。

☆==================
 民主党と自民党が憲法9条改正のために連立政権を作り、いつの間にか軍拡を行って、動乱状態に突入した中国に「進出」する可能性が本当にないと、誰が保証できるのでしょうか?
==================☆

 その時になって、支那中共との開戦を、先頭に立って煽り立てるマスコミは、他でもない朝日新聞でしょう(笑)
尊野ジョーイ | 2009年02月11日(水) 20:34 | URL | コメント編集

敵さんを甘く見ちゃいけませんよ。
円天と言う燃やす為の藁人形を育て、この時期に燃やして見せた奴らですからね。
でも、ちょっとだけ早かったな。連中の勘も鈍ってるって事かな?
三輪耀山 | 2009年02月12日(木) 23:43 | URL | コメント編集

 バイ・アメリカン条項1,2拝見しました。
 世界中で行き交うモノとカネの「摩擦熱」でヌクヌク肥え太った連中にしたら今までのように効率よく搾取できなくなり。下民どもが小賢しくも逆らおうとしている・・・、まぁ金も情報もこっちが握っているがね・・といったところでしょうか。
 冷戦時代のアメリカのネットワークからはみ出た勢力をソ連が引き受けたように、アメリカの世界からはみ出す勢力(イスラム圏・アフリカ)、現在注目度がいまいち(日本のマスコミが伝えない)な地域が今後の世界情勢にどう絡んでくるとお考えかいつか記事になることを期待しています(オバマ氏の対話路線はブッシュの一国強行路線のアンチだけではなく国益を生む流れに使っていくんじゃないかと・・)
 
 
ウヰスキー | 2009年02月13日(金) 00:58 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

>>喜八さん

  小沢さんがいなくなって、京都2区選出の社会人経験ゼロのあれが代表になったら、そういう流れになります。その点、私は護憲や平和主義を掲げている方に(別に思想は理解するつもりはないが)頑張ってほしいと思っています。

>>尊野ジョーイさん

  そして、ネット右翼のみなさんは、国益だの誇りある国だの、そういうお題目を唱えてその動きに乗ると思います。

>>三輪さん

>円天と言う燃やす為の藁人形を育て、この時期に燃やして見せた奴らですからね。

  あまり興味がないので全くその組織のことは調べていなかったのですが、中央銀行制度をいつまでも続けないとこうなる、という見せしめだったわけですか。よろしくないですね。
  しかし、政府紙幣を賞賛している人たちにも、おかしな人が多いですね。デフレギャップを埋めるための手段としては理論的に正しいとは思いますが、それを使う前に購買力の引き上げ措置を何か取れませんかね?

>>ウヰスキーさん

>世界中で行き交うモノとカネの「摩擦熱」でヌクヌク肥え太った連中

  なるほど、言い得て妙ですね。
  で、摩擦力ですり切れるのは世界中の庶民だと。まったくふざけた連中です。
  しかし、そういうやり方を素晴らしいと褒め称える人が減ってきたように感じます。気のせいでしょうか?

>アメリカの世界からはみ出す勢力(イスラム圏・アフリカ)、現在注目度が
>いまいち(日本のマスコミが伝えない)な地域が今後の世界情勢に
>どう絡んでくるとお考えか

  うーん、どうでしょうね。
  イスラム勢力はともかく、アフリカは単体で難しい気がしますね。それこそ、私以外に専門に扱っている方がいるので、そういう方のブログなりホームページを参照された方がいいでしょう。
  まあ、こればかりは今後どうなるか分かりませんが・・・。
ろろ | 2009年02月14日(土) 22:55 | URL | コメント編集

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