「海洋覇権国家・中国」は誕生するのか?(1)
中国、ソマリア沖海賊対策で駆逐艦など3隻派遣決定
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081220AT2M2002920122008.html
アフリカ・ソマリア近海で海賊被害が頻発している問題で、中国政府は26日、人民解放軍の艦艇3隻をソマリア周辺海域に派遣する。国営の新華社が20日報じた。中国船舶や乗員の安全を守ることに加え、世界食糧計画(WFP)など国際機関の人道支援物資を運搬する船舶を護衛するのが目的。
海軍南海艦隊の駆逐艦2隻と補給艦1隻が海南省三亜から出航し、スエズ運河への航路に位置するソマリア北部のアデン湾でも警備活動を実施する。軍事交流を目的とした親善訪問を除き、中国海軍の遠洋での任務は初めて。
これは、日本を取り巻く安全保障や国際政治の力学に関して言えば、今年一番のニュースかも知れません。
もっとも、「中国が遂に覇権主義に走り始めた!」などという、単細胞な中国脅威論を唱えたいのではありません。以下で、今回の中国政府の決定の持つ意味考えてみます。
当たり前ですが、国連安保理の常任理事国でありながら、分担金を1%しか払っていないような国が、海賊掃討という国際社会への貢献目的で艦艇をアフリカまで派遣するわけがありません。ちゃんとした、地政学的な狙いがあります。
まず、世界地図を見てみましょう。

赤い○が付いているところが、今回中国が駆逐艦を派遣することに決めた海域です。
それ以外にも、妙な場所に3箇所○印がついているのがご覧いただけるでしょうか。この場所は、いわゆる「チョークポイント」と言われる場所です。
チョークポイントとは、文字通り海が絞まっている(チョーク)ところです。左から「スエズ運河」「マラッカ海峡」「台湾海峡」です。
もし、日本(東アジア)からヨーロッパまで最短距離で行きたいと思った場合、この三つのポイントは絶対に通らなければなりません。そして、チョークしているポイントですから、ここを軍艦にふさがれた場合、逃げることができません。
そうだとすれば、もしこの三つの海域を同時に支配することが出来れば、アメリカ大陸を除く世界の貿易はその国が完全に牛耳ることが出来ます。これを実現した国は、歴史上たった二つしかありません。19世紀のイギリス、そして20世紀のアメリカです。この二つの国の大きな特徴は、他国と隔絶した海軍力を持っており、自国や友好国の艦船がこの海域を通過しようとしたとき、パーフェクトに安全を確保することができていました。この二カ国が、他国に忌み嫌われながらも世界のリーダーとして君臨できていたのは、その圧倒的な海軍力で海上貿易の安全を守っていたからです。まさに彼らは「シーパワー」だったわけです。
しかし、ここ最近、アフリカ東海岸で海賊事件が多発しているように、アメリカの海洋覇権にかげりが見えてきています。アメリカが従来相手にしていたのは、冷戦時代のソ連のような大がかりな敵であり、ソマリア沖の海賊のように、どこからか現れて民間の船を襲撃するような敵ではなかったので、対応が遅れているのでしょう。
それに追い打ちを掛けるように、今年の中頃、アメリカ発の金融危機が勃発しました。産業力で日本やドイツに追いつかれそうになったアメリカは、1970年代以降、ずっと金融中心の経済システムで世界をリードしてきたわけですが、その経済システムゆえに衰退を余儀なくされているのです。
そこに首を突っ込んできたのが、中国というわけです。
主に冷戦時代に形成され、今にいたっているアメリカの海洋覇権というのは、中国からしてみれば目の上のたんこぶです。他国の資源を好き勝手に奪いたい(たとえば、アフリカの資源を買いあさりたい)と思っても、アメリカの機嫌を損ねてしまったら、それを自国に運ぶ手段を断絶させられてしまうのです。これでは、本当の意味での覇権国家にはなれません。
そこで、中国は成長する経済力を背景に、海軍の増強にいそしんできました。ソ連が崩壊して、陸上に強大な敵がいなくなったというのも大きい要因です。ミサイル開発と並んで、中国は潜水艦や空母の増強に力を入れてきました。
近年では、「真珠の数珠つなぎ」戦略と言われるものを実行しています。マラッカ海峡から中東までの海域に、数珠つなぎで海軍の拠点を作り、シーレーン(海上輸送路)を自力で防衛できるようにするという戦略です。
たとえば、友好国の一つである●ミャンマー領の「ココ諸島」に海軍基地を建設(注:PDFです)したりしています。近年ミャンマーで反政府勢力の動きが活発になっていますが、その辺と中国の軍事戦略には何らかの関係があるのかも知れません。アウン・サン・スー・チー女史の旦那がイギリス人だという辺りからも、何か匂ってきます。
そして、今回のソマリア沖への軍艦覇権です。下心がないなどと言って、信じる人の方が少ないでしょう。
世界的な金融危機というのも、中国には好都合です。他の金融中心経済の国(欧米はだいたいそうだし、日本もそういう部分が近年は強くなってきた)が地盤沈下を起こせば、世界中がデフレになり、安価なチュウゴク製品の需要はますます大きくなるからです。
中国政府も、経済の見通しは強気です。
中国、鉱工業生産回復で09年は8%成長へ=人民銀副総裁
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35550720081220
中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は、来年は鉱工業生産が回復し、8%ないし、それを若干上回る成長を記録するとの見通しを示した。
11月の各種経済指標は中国経済が予想以上のペースで鈍化していることを示したが、ここ数週間、中国当局者からは比較的明るい経済見通しが聞かれている。
中国証券報(電子版)によると、易副総裁は、金融関係の会合で消費と投資が安定し、政府の景気対策が輸出減少を補うとの見方を示した。
企業の在庫調整が進んでおり、大半が来年半ばまでに調整が終了する、とした中銀調査の結果を紹介し、過去2カ月間大きく落ち込んでいる鉱工業生産も遅くとも来年第3・四半期までに正常に戻るとの見方を示した。
中国の統計が当てにならないのはよく知られていますが、だからといって見くびるのは非常に危険です。「中国は日本にとって嫌な存在である」という事実と、「中国は脆弱な国で、すぐにでも崩壊する」という希望的観測とは完全に区別して考えるべきです。私は上に書いた理由から、アメリカやイギリスの沈没に比べれば、中国経済は比較的浅い傷で済むと思っています。
では、本当に中国は三つのチョークポイント全てを支配することが出来るのでしょうか?
次回、その辺を考えてみたいと思います。
追伸:●「いろり」のない文明のもろさの続編は、もうしばらくお待ち下さい。
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副島隆彦さんの中国赤い資本主義は平和な帝国を目指すっていう本があるんですが、それによると文化大革命で中国人は大変などん底を経験したから、それ以上酷いことにはならないという自信?があって今は豊かになりたいと思っている国みたいですね。日本で例えるなら第2次世界大戦で沢山の人間が死に原爆を経験して、そのなかでもがきだした時代に似てるのかもしれません。大体20年位ズレてるイメージです。
今回の大恐慌もある程度影響は出ても中国は乗り切る可能性高いと思います。前の地震の時、中国人はまとまる努力をしてました。あれが出来るなら中国には勢いがあるから分裂はないかもと思い始めました。そんな状況では逆にダライ・ラマの方が悪い立場になりかねない。オリンピックで野球で負けて監督が責められましたがこれと同じ理由でチベット人にダライ・ラマは責められてもおかしくありません。
そんな中国がアメリカのような覇権を握りたいと思うなら日本はどうするのか?アメリカにくっついてきた日本の立場から見て、覇権って大変なんですよね。ならヨーロッパはどうか?戦争はしないでアメリカとこの何十年か付き合った訳です。日本はヨーロッパの立場がいいと思います。どこが覇権をとろうが自国を維持する。これを目指すしかない。一緒に覇権を〜となると戦前と同じ、喜ぶのは資本家だけで普通の日本人は次々死んでいくような血みどろの道です。これは避けたいんですよね。
中国にも民衆の解放を重視するような国内を何とかしたいと思ってる人がいるので中国内の問題(砂漠化とか)を解決するとかの協力はそういう人とやるような状況にさせるとかでしょうか。
これからの覇権って実力も勿論必要ですがある程度の人気(外国の)も必要な気がします。ネットの普及は全世界の人間が皆記者になる可能性を作った。悪い事はあっという間に全世界に広がる訳です。まず国内がどれだけ纏まって国民が豊かであるか、国民の支持がどれだけかを実績として世界に見せる。それを見た世界の国はその首相なり大統領の実力を認める。これが発言力が得る第一歩。他国の悩み?を自国はこれで成功したと勧める事が出来る。上手くいったらそれらの国から支持を得る。そうやって覇権に近づくような気もします。有無を言わさず力だけでではこれからの世界では難しい。勿論実力あってですがね。
今回の記事には関係ないことのコメントで申し訳ないのですが、民主党が出している農業者戸別所得保障法案についてあまりにも説得力がない案だとこのブログ主さんは言ってらっしゃいますが、どう思われますか?
http://www.ops.dti.ne.jp/~makinoh2/trueth/nougyo.html
蛇足ですが、その方の議論に問題があると思うなら、ご自分でそこのブログ主に疑問をぶつけたらいかがですか。私が所得補償にどういう期待をしているか、こちらの記事をお読みになっていればお分かりでしょう。
コメント欄でURLを書かれると、アクセス解析やらブログ検索やらで向こうさんがこちらをご覧になることがあります。それで粘着されたり、炎上だとかいう状態になったら、こっちもいいトバッチリです。そういうの、好きじゃないんですよ。
>>幸未来願さん
取り急ぎなので、また後でコメントいたします。
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