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2008.10.07(Tue)

留学すれば、「自分」になれるのか(前) 

  ※タイトルはあれですが、一応経済の記事です。

  面白いニュース記事が見つかったので、紹介しておきます。


ゲートウェイ21破綻:債権者説明会 「詐欺だ」800人怒り 預かり金流用、常態化
http://mainichi.jp/select/biz/news/20081006ddm041020082000c.html

破産申し立て中の留学支援会社大手「ゲートウェイ21」(東京都新宿区)の債権者説明会が5日、東京都内であり、福井伴昌社長は「本当にすみませんでした」と土下座して謝罪した。経営破綻(はたん)後、社長が公の場で発言するのは初めて。社長は「集めた資金をそのまま海外送金すればよかったが、会社が存続できない状態となり手をつけた」と資金流用を認めた。約800人の被害者は「詐欺だ」と厳しく批判した。

 同社は、留学予定者から預かった資金を、専属契約する海外の現地法人を介して、留学先やホームステイ先に支払う。このシステム通りに送金されれば留学に支障はないが、実際には払われていないケースが相次いでいた。

 会場から「預かり金に手をつけたのか」と追及されると、福井社長は「その通り。そうせざるを得なかった」と認めた。使途は先行してあっせんした他の留学生の費用だけでなく、会社の事務所の家賃や人件費にも及んでいた。さらに「『送金が集中する3、4、8、9月を乗り切れば』と思っていた。昨年もそれで乗り切った」と流用が常態化していたことも認めた。

 説明会に同席した野間啓弁護士は「昨年6月ごろから資金繰りが厳しくなっていた」と説明した。

 一方で個人的な蓄財など私的流用は否定。「私財を4000万円(会社に)入れた。個人財産は残っていない」と強調した。野間弁護士が「返金は難しい」と話すと、ため息に包まれた。男性が「あなた(社長)を刑事告訴します」と発言すると、一斉に拍手が起こった。

 訪れた被害者が会場(定員約200人)に入りきれず、外の歩道に50メートル以上の列を作った。参加者を入れ替え説明会を2度を開いたが、流用した原因は「全国展開に伴って経費が増え、売り上げが落ちたため」とだけ説明した。

 イタリアで料理人の修業をするため、肉体労働のアルバイトでためた約80万円を支払った埼玉県北川辺町の男性(30)は「答えられなくなると『すみません』で済ます。具体的なことは聞けなかった」とあきれ顔だった。


  どうやら、留学斡旋を生業にしている業者が破綻して、隠れていた経営の実態が明るみに出たという話のようです。
  ちなみに、この「ゲートウェイ21」という会社は、先月の30日に東京地裁に破産申し立てを行っており、負債総額は13億円でした。近頃相次いでいる不動産大手の倒産に比べると規模が小さいものの、業界では最大手だっただけに、影響は決して小さくはありません。

>「集めた資金をそのまま海外送金すればよかったが、会社が存続できない状態となり手をつけた」

  簡単に言えば、留学を希望する人からカネを預かり、そのカネを外国に送るまでのタイムラグを利用して、「資金繰り」をしていたということです。
  会社の会計というのは、飛行機のブラックボックスみたいもので、決算に至るまで、実際はお金がどういう風に使われているか分かりません。「帳尻合わせ」とはよく言ったもので、一件うまく行っているはずの会社が、蓋を開けると火の車だったということがよくあります。
  この会社だけではなく、およそ会社というのは徹頭徹尾バーチャル(仮想現実)の存在であり、資本金がいくらあろうと、本当にお金を持っているわけではありません。バランスシートや決算書が綺麗にまとまっていても、それが張りぼてだったということはいくらでもあります。そこには当然詐欺の危険がつきまとうわけですが、それを言ったら世の中が回っていかないというのが、今の我々が生きる社会だということです。

>流用した原因は「全国展開に伴って経費が増え、売り上げが落ちたため」とだけ説明した

  この部分は、よくある話だと済ませずに、もう少し考えてみましょう。ゲートウェイ社の破産が報じられた記事から一部引用します。


留学仲介「ゲートウェイ21」破綻、負債総額12~13億円
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080929-OYT1T00467.htm

 ・・・民間の信用調査会社によると、同社は1997年設立。東京・銀座のほか、大阪、名古屋、福岡、札幌などの主要都市に支社を置いている。豪州や北米地域の大学や語学学校への留学仲介で業績を伸ばし、年間7000~8000人の実績があった。2006年6月期は約26億円の売り上げがあったが、昨年ごろから業績は伸び悩んだという。


  まだ設立して10年強の若い会社だったようです。その設立した年が消費税の税率アップで経済成長率がマイナスに転じた年だったというのも、何か因縁めいている気がします。
  実は、この年を最後に、アメリカに語学留学する外国人の中で、日本人が1位ではなくなっています(●こちらのリンクを参照。ちなみに1位はインドで、以下中国、韓国、日本となっている)。日本の家計に余裕が無くなり、語学留学をする学生が減ったということがよく分かります。  
  しかし、そんな状況でも、ゲートウェイ社が大きく実績を伸ばすことが出来たわけです。なぜなのだろうかと考えると、それは「不況」だからです。

  何を言っているんだ、少し前に家計に余裕が無くなって大学生が減った、と書いておいて、今度は不況だから留学斡旋が増えただって?完全に矛盾しているじゃないか!

  そう思っていらっしゃる皆さん、私の書いたことは逆説的なようですが、間違ってはいません。

  まず、ゲートウェイ21というのは、非常に格安の留学斡旋を行っていた会社です。不況になると、消費者は価格を第一にした選択をするものです。そういうときに、既存の業者は今までの慣習に従うことを第一に考えて対応が遅れるのですが、新発の業者は顧客のニーズに過激なほど忠実に従うことで業績を伸ばそうとします。
  ●こちらのリンク(グーグルのキャッシュ)をご覧頂くと、ゲートウェイ社は、とにかく手数料を抑えるために「企業努力」していたことがよく分かります。


>この度、留学会社ゲートウェイ21ではこの夏だけの限定で、語学学校のへの
>留学手続きに関する手数料を「無料」で手配させていただく
>「留学手数料完全¥0無料」キャンペーンを実施いたします。
>各語学学校がホームページやパンフレット等で提示する授業料、宿泊費を
>日本円に換算した料金そのままで
皆様にご提供させて頂きます。


>最大“8っ”の無料特典付!

>留学相談、来社及び電話による留学カウンセリング
>語学学校、語学留学費用の見積り依頼
>語学学校入学手続費用
>各種航空券手配
>海外旅行傷害保険手配
>語学学校への授業料送金手数料
>現地語学学校関係者による到着時空港ピックアップ
>現地語学学校関係者による生活サポート


  留学相談や費用の見積もりが無料なのはどこでも同じだと思うのですが、入学手続きや各種の手配(旅行会社でも数千円取る)は結構なサービスです。授業料の送金手数料に至っては、完全な持ち出しです。
  しかも、その料金で謳っているサービスがものすごいのです。これも●グーグルのキャッシュから引用します。

>自社完全サポートコース【ゲートウェイ21オリジナル】

>渡航前から渡航後まで海外留学、海外生活に精通した留学のプロが
完全サポートいたします。語学学校や自社契約ホームステイの手配など、渡航先で携わる
>サポートや手配を現地ステーションが全てベースで対応します。
>専用車でお一人様からの空港送迎、24時間緊急サポートなど、
>現地在住歴の長い日本人スタッフが対応します。
>また世界132拠点で展開する個人向けの海外危機管理サービスの日本総代理店にして、
>留学生皆様に海外危機管理サービスの案内も行なっております。万人に対して
>安心安全に渡航が出来る海外留学スタイルですが、初めての留学の方、
>今度こそ海外留学を失敗したくない!という方に特にお勧めです。


  料金をガンガン割引しているのに、こんなサービスできるのか?とお思いの人もいらっしゃるでしょう。全くその通りで、多くの現地業者が、ゲートウェイ社の費用の立て替えで経営難に陥っているという声も聞こえてきています。ただでさえ留学生が減っている現状で、大きな紹介先だったゲートウェイ社の要求を呑まざるを得なかったところも多いのでしょう。
  私のいる塾業界でも、夏期講習を無料にして客を呼び込む塾があったりします。中身に自信がないというのもあるのでしょうが、北海道の塾業界ではこれが大きな問題になっていたりします(●こちらのブログを参照)。激安だとか、無料サービスだとかいったものは、消費者からすればありがたいことですが、同業他社にはたまったものではありません。他の留学斡旋会社の苦虫をかみつぶした表情が想像できます。
  こういうことをやっているゲートウェイ社ですから、売り上げを上げるために全国展開せざるを得なかったのでしょう。薄利多売なら、パイを大きくすることでしか借入金の返済ができないからです。
  しかし、果たせるかな、ゲートウェイ社が「前方への逃走」を加速化させた2000年代初頭というのは、ちょうど小泉カイカク真っ盛りの時期であり、この時期はそのまま地方の需要が減少していく時期でもありました。極論を言ってしまえば、21世紀に入ってからの日本で、活発なお金のフロー(流動)が生じているのは、日本では東京とその周辺だけなのです。そして、その状況は今も変わっていません。ますます加速している感すらあります。
  このような、国全体という観点で見たマクロの経済循環というのは、個々の経済主体(個人や企業)の努力では変えようがありません。せいぜい出来ることと言えば、倹約やリストラくらいです。
  そういう状況で他人より一歩ぬきんでるには、「あり得ないサービス」を提供するしかありません。「あり得ない」というのは、多くの場合、

▲従業員等の無賃労働
▲常軌を逸した経費節減
▲下請けや取引先に対する異常な要求
▲出来もしないことを出来ると言って責任を取らない


  といった要素に支えられています。「無賃労働」や「取引先への異常な要求」という点では、●小売り大手の「ドンキホーテ」●家電販売の「ヤマダ電機」が「話題」になりました。「常軌を逸した経費節減」の極致が派遣社員の多用という形で多くの企業が取り入れている要素です。今回のゲートウェイ社の場合は「出来もしないことを出来ると言って責任を取らない」ケースの典型といえるでしょう。
  そういう詐欺的な営業活動をしているのはなぜかというと、そうでもしないと生き残れないからです。遵法意識は必要だと思いますが、それだけではやっていけないというのも事実でしょう。やたらと株式配当をよこせとうるさい外資の株主が増えている昨今では、とにかく利益を出すことが善であるという錯覚すら生じていると言えます。
  それもこれも、全てマクロのレベルで経済がおかしくなっているからであり、これを是正するのが本来の政府の役割のはずです。ゲートウェイ社が設立された1997年以降の日本の政府がやってきたことといえば、

▲年金や健康保険の個人負担増
▲低減税率の廃止
▲医療費の抑制
▲公共事業の大幅な削減


  といった感じで、デフレをさらに悪化させる施策ばかりです。おかげさまで、1997年から2006年まで、日本人の平均給与は10年連続で減少しました。2007年に少し上向いたものの、2500万人以上の給与所得者が400万円以下に分布しており、200万円以下の層は2年連続で1000万人を超えました。上下が開いただけで、全く改善などしていません。
  そうかと思えば、その10年で利益を2倍にしている日本企業に対しては法人税を減税しています。そこで上がった利益が、外国の金融資本に配当や利息という形で吸い上げられています。アホとかバカというより、売国という方が適当かも知れません。

  そういう意味では、ゲートウェイ21というのも、日本国の支配層のマクロ経済政策の犠牲者ということができるかもしれません。地政学でよく言われる「戦略の失敗を戦術でカバーすることはできない」という言葉と同じように、「マクロ経済の失敗は、ミクロな努力ではカバーすることができない」ということです。
  そういうことを理解せずに、個々人が努力すれば経済は活性化すると主張するのは、もはや犯罪的といえるほど罪深い行為だと思っています。

  さて、私が今回ゲートウェイ社破綻の記事を取り上げたのは、経済の話というだけではなく、もっと大きな理由があります。

  それは、実は私も留学を志望していたことがあるからです。いろいろあって未遂に終わりましたが、外国の大学に留学する算段がつくところまでは行きました。そういうわけで、今回の事件については他人事と思えないことがいくつかあります。
  次回は、おおよそ経済の記事とは思えない妙なタイトルの解題をしてみたいと思っています。お楽しみに。

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Comment

規模を大きくしても、最終的な利益に繋がってない
これは大企業のほとんどでしょうね、自業自得ですが。
過去の失敗を反省もしてない様です、輸出を強化しようとしてる松下は相当なダメージでしょう、ソニー辺りも、韓国、チュウゴクは国の崩壊の一端になるでしょうね。

blogや一部の学者も警鐘を鳴らしてたのに、一定の安全弁も設けて無かったなんてカシコイ割に無様ですね、この連中をマンセーしてたクズ共も
サブプライムなんて大した事無い、なんて
アー恥ずかしい
む~ | 2008年10月08日(水) 07:59 | URL | コメント編集

●TBです

ミクロの連関的活動の総体がマクロであり、マクロという実体もマクロから“自由”なミクロも存在しません。
http://sun.ap.teacup.com/souun/727.html
ミクロはマクロの有機的構成体:ミクロは各組織各器官であり、マクロはその有機的統一体(概念)
http://sun.ap.teacup.com/souun/728.html
早雲 | 2008年10月08日(水) 10:13 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

>>む~さん

  これからどうなるかは分かりませんが、円高になっているのは、日本が比較的ダメージを負わずに済んだということなのかもしれません。株が売られているのは、米国金融機関から伝播した信用収縮によるものでしょう。
  市場の動向というのは、「雰囲気」に左右されていることもあります。適切な需要拡大策を採れば自然と回復すると思います。採れば、ですが・・・。

>>早雲さん

  経済学の小難しい本よりも、よほど本質的なお話ですね。
ろろ | 2008年10月10日(金) 02:36 | URL | コメント編集

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