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2008.08.13(Wed)

【戦略】ロシアの次の狙いはどこか?【地政学】 

  ●先日の記事で取り上げた話題の続報です。

露大統領、軍事作戦停止を表明
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080812/erp0808121846004-n1.htm
------------以下引用------------
 ロシアのメドベージェフ大統領は12日、グルジア領内と南オセチア自治州などに展開しているロシア軍の軍事作戦の停止を決定したと表明した。インタファクス通信が伝えた。

 メドベージェフ大統領は露国防省高官との会合で、「われわれの治安部隊とわれわれの市民の安全は回復した。南オセチアへの侵略者は罰せられた」と述べ、軍事介入の目的が達せられたとの見方を示した。
------------引用以上------------

  この話題について、産経新聞の記者さんがガンバッテ書いた感想文が出ています。

ロシアの戦闘停止表明 背景に冷戦後の勢力圏後退への反撃
http://sankei.jp.msn.com/world/america/080812/amr0808122012013-n1.htm
------------以下引用------------
 メドべージェフ大統領は12日、戦闘を停止する意向を表明した。ロシア、グルジア双方が実際に停戦合意に至るのか、なお不透明だが、ロシアが交渉に応じるタイミングを計り始めていたとしても不思議ではない情勢ではある。冷戦後、欧州周辺で勢力圏の一方的な後退を強いられてきたロシアからすれば、今回の紛争はそれに対する反撃を加える意味があった。
------------引用以上------------

  こういう感じで単語の羅列が続くのですが、あとは興味がある方だけリンク先の記事をお読みになってください。
  この感想文もそうなのですが、どうもこういう国際政治についての解説というのは、なにか場当たり的で、知識の羅列みたいになっていることが多いという感じがしないでしょうか。そういう記事を読むと、なんかスゴイという気がするだけで、物事の本質が全く見えてこないこともしばしばです。私も昔は、背景知識マニアみたいになっていたことがあったほどです。
  それでは、結局こういう話題はマニアだけのものになってしまいます。このブログを読んでいる方には、なんとか細かい知識なしでもこれらのニュースの本質を知ってもらえたらと思います。

  実は、この停戦うんぬんよりももっと注目すべき記事がその前に出ていました。どこが注目部分か、みなさんには分かりますか?

露、グルジアの4都市に侵攻、首都攻防の懸念
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080812/erp0808121103003-n1.htm
------------以下引用------------
ロシアとグルジアが交戦する南オセチア紛争でロシア軍は12日までに、グルジアの独立派支配地域を大きく越えて同国西部と中部に侵攻した。ロシアは中部ゴリなど4都市に部隊を進めているようだ。グルジアは首都トビリシの近郊まで退却して防衛線を張る戦術に転じ、首都では攻防戦の懸念から緊張が高まっている。

 グルジアからの報道によると、ロシア軍は11日夜以降、首都トビリシから北西約60キロにあるスターリンの故郷ゴリや黒海沿岸のポチ、西部のセナキ、ズグディディに部隊を進めた。ただ、ゴリではすでに住民が退避して街全体がもぬけの殻と化すなど、各地での大きな戦闘や住民への攻撃は伝えられていない。

 ロシア軍はこれまで独立派支配地域を越えることはないと言明していた。

 グルジアのサーカシビリ大統領は国家安全保障会議で「ロシアはグルジア全土を征服しようとしている」と危機を訴えるとともに、テレビ演説で国民に団結と冷静な行動を求めた。大統領はトビリシ市民に自宅待機を呼びかけ、12日は多くの商店や銀行が休業するとみられる。

 ロイター通信によると、グルジア政府は「グルジア軍は首都防衛のために退却している。政府は緊急に国際的な介入を求めている」との声明を出した。

 一方、ロシア国防省当局者はインタファクス通信に、「トビリシに進軍する計画はない。グルジア指導部はパニックに陥っているようだ」と発言し、「ゴリに部隊はいない」「ポチには偵察隊を出しただけだ」などとグルジア側の情報に反論している。

 ロシアのグルジア侵攻を受け、ポーランドとウクライナ、バルト3国の大統領らは近くトビリシを訪問し、グルジア支援の立場を示す方針を決めた。
------------引用以上------------

  正解は、ここです。

>ポーランドとウクライナ、バルト3国の大統領らは近くトビリシを訪問し、
>グルジア支援の立場を示す方針を決めた。


  これらの国々の厳守ががなぜ、ロシア軍による空爆すら囁かれるグルジアの首都トビリシに赴き、グルジア支援の怪気炎を上げる必要があったのでしょうか?
  知識の収集では分かりませんが、「地政学」が分かっていればその理由が簡単に分かります。要するに、これらの国々は、次にロシアのターゲットになることが確定している国だということです。
  まず、ヨーロッパの地図を見てみましょう。

ヨーロッパ

  以前から私は、ロシアは天然資源を通じてヨーロッパ大陸を支配しようとしているという話をしています。上の地図の「ウクライナ(Ukraine)」「ポーランド(Poland)」「バルト三国(Polanの右上の三つの国)」の位置を頭に入れた上で、次の二つの図を見てください。

石油パイプライン
欧州の石油パイプライン

天然ガスパイプライン
欧州天然ガスパイプライン

注:両方とも、計画中のパイプラインを含む

  どうでしょうか。ウクライナ、ポーランドは、きれいにパイプラインの通り道に位置していますね。もしこの二カ国をロシアが思い通りに動かせれば、
  そうでなくても、バルト三国を支配して、バルト海から西ヨーロッパまで改訂パイプラインを敷設することができれば御の字というわけです。(もっとも、ここでもポーランドの経済水域がかかってくる)
  もし、これらの国々をロシアが支配する、具体的に言うと、パイプラインの権益を自由に設定できる状態になった場合、中東からスエズ運河経由でタンカーで運ぶよりも圧倒的に低コストの天然資源がヨーロッパに供給されることになります。これによって中東で産出される原油、天然ガスの地位は相対的に下がることになり、この権益を支配しているアメリカやイギリスにとっては頭の痛い事態になります。
  一番まずいのは、石油をアメリカドルで決済できなくなることです。いまだに多くの国が石油をドルで決済しており、アメリカは札を刷ればただで石油を買えるという地位にあります。札を刷ってインフレにならないのか?と思いますが、そこはちゃんと考えていて、自分のいいなりになってヘコヘコしているばかりの某巨大産業国家に塩漬けのアメリカ国債という形で紙屑同然のドルを押しつけて、市場に必要以上のドルが出回らないようにしているのです(●こちらのリンクを参照)。
  
  今回、グルジアがテクニカル・ノックアウトともいうべき状態になったことで、この地域でアメリカも表立ってグルジア支援をできなくなりました。たとえば、●アメリカによるこのような支援は、ロシアがソ連崩壊後急激に弱体化した時期だからこそできたことで、ロシアが資源高で力をつけ、グルジアとロシアの対立が世界の耳目を集めるようになってしまった今では、かなり難しくなるということです。
  そうなると、今度はロシアは上に出てきたようなターゲットに攻撃を始めるはずです。特に危ないのは、パイプラインの通過料を国家財政の当てにしている「ウクライナ」です。2004年にオレンジ革命という民主化を成し遂げたのですが、その後パイプラインの扱いをめぐってロシアと関係が悪化、2006年の議会選挙では、親ロシアの野党が圧勝しました。なんといってもウクライナの人口の20%はロシア人なのですから、この結果も順当と言えば順当だといえます。
  ウクライナの大統領の任期は5年で、今の親米派大統領の任期は2009年で切れます。その後、誰が大統領になるか、おそらく
  アメリカとしてはそれまでにロシアからのパイプライン抜きでウクライナにエネルギー供給する方法を確立しておきたかったのでしょうが、今回のロシアのグルジア侵攻でほぼ不可能な情勢になってきました。
  そうなると、アメリカは、東欧をアメリカ陣営に取り込むという戦略を、近いうちに根本から見直さなくてはならなくなる可能性があります。それも当然で、歴史上、西から来て東欧を安定的に支配下に置いた勢力はいないのです。ナポレオンも、ヒトラーもみな数年で東欧を放棄してしまいました。
  そう考えると、ヨーロッパを東西に分断し、同盟国を手厚く扱った冷戦時代の戦略は、それなりに理にかなっていたということができます。アメリカは、カネと情報で世界を支配できるという妄想を捨てて、冷戦の頃の合理的な世界戦略に回帰すべきなのではないでしょうか?

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