2017年05月 / 04月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫06月
--.--.--(--)

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:-- |  スポンサー広告  | Top↑
2008.04.09(Wed)

【世界激震】米中ダブル崩壊の日は来るか(5)~金融国家アメリカの綱渡り 

  これまでの流れをまとめておくと、

  ブレトン・ウッズ協定によってドル基軸体制が完成→日本や西ドイツが産業競争力でアメリカを脅かす→アメリカが「世界的デフレとそれに伴う金融国家化」という戦略に変更→米中国交回復・中国の輸出超過で世界がデフレ化

  という感じになりそうです。そして、金融国家となったアメリカは、世界中の優良資産を買いあさり、ドルを垂れ流して中国に物を作らせて「繁栄」を享受しているというわけです。

  このやり方の欠点は、世界的なデフレはアメリカ自身をも直撃するということです。しかし、デフレそのものを克服するような政策をとれば、金融中心経済の強みがなくなってしまいます。
  そこで、アメリカは一貫してデフレを前提にした社会構造の変革を行うようになりました。その一つが、前回紹介した「第三次産業(サービス業)へのシフト」だったのです。

  最近分かったのですが、アメリカの政治・経済を理解するときには絶対押さえておかねばならない鉄則があります。それは、以下の二つです。

(1)アメリカはグローバリストの利益追求のための道具となっている
(2)しかし、(1)を知られてはならないので、恒久的に選挙対策を打たなければならない


  (1)は70年代から始まる産業の空洞化、そして80年代の金融中心経済への移行に現れています。利益を極大化するためには、雇用の減少などの国民の不利益を顧みないグローバリスト(詳しくは●こちらを参照)の性格そのものです。歴代の政権に、ゴールドマン・サックスやメリル・リンチといった金融企業の役員が参加したり、逆に政権から「天下り」したりしている事実を見ても、間違いないでしょう。
  しかし、そういう実態を国民が知ってしまうと、グローバリストをアメリカから追放しろという運動が起こりかねません。ただでさえ、グローバリストの側には「ユダヤ人」という叩かれやすい人々がたくさんいますから、いったんばれたら混乱は必至です。
  そこから目をそらすには、選挙民に利益を与える、もしくはそういう風に見せかける必要があるのです。それが選挙対策ということです。デフレを国民に「感じさせない」というのも、これに含まれます。
  そして、この(1)と(2)は、本当は両立しない命題なので、やろうとすると様々な問題が起こってきます。それが、アメリカの政治や外交をおかしくしている原因です。
  
  では、サービス業へのシフトと並んで、アメリカが選挙対策としてやってきたことは何か。今回取り上げておきたいのは、「投資バブル」です。

  投資というのは、企業に活動資金を与えることです。企業が発行した株を買ったり、お金を貸したりすることがその典型です。
  この投資には、大きな効用があります。それは、輸出してカネを儲ける方法(貿易黒字)によらずに需要を創出することができる点です。
  本来、投資というのは、なんらかの形でカネを出した人に返さなくてはならないものです。そのお金を、あたかも実収入のようにして、設備投資や従業員の給料の支払いに充てることができるということです。
  たとえば、アメリカで「これからはIT(情報技術)産業が盛んになる」という評判が高まったとします。これは儲かりそうだ、ということで、アメリカ人も含めて、世界中の人がアメリカのIT企業(たとえばマイクロソフトやアップル)の株を買うでしょう。
  そうすれば、そのIT企業は事業拡大のために、人を雇ったり、新たなオフィスのためにパソコンなどの事務機器を購入することになります。これで失業率が減り、事務機器のメーカーの売り上げが上がります。そうなると、そのメーカーの従業員も給料が上がったりするわけです。
  こうすれば、他人に物を買ってもらう苦労をしなくても、簡単に国民を養っていけるのです。「外国から投資を呼び込め」という風にさかんに主張している人が言いたいのは、要するにこういうことです。
  しかし、万が一儲からなかったらどうするのでしょうか?心配ありません。そういうときのために、投資には便利な殺し文句が用意されています。それが「自己責任」というやつです。
  要するに、企業に投資するというのは儲かるときもあればそうでないときもあるから、儲かりそうな企業に自分の責任で投資しようね、ということです。そうすれば、たとえある企業の業績や、ある国の経済が急落したとしても、自分の見る目がなかったということになるのです。

  え?それって要するに「詐欺」じゃないのかって?

  はっきり言ってしまえば、そうです。投資というのは、一種の詐欺です。うちにお金を出せばこんなに儲かるよ、と、投資家を呼び込んでも、その企業が成功するかは誰もわかりませんし、多くの場合事業というのは失敗に終わるからです。
  それでも、多くの企業が成功するための条件というのはあります。それは、その国の総需要(要するに国民が物を買うための金)が拡大し続けることです。言い換えると、投資が成功する可能性が高いのは、国自体が本当に儲かっている場合だけなのです。
  しかし、アメリカは輸出でもうけるという道をほとんどあきらめてしまっている(完全に、ではない。次回に詳述)国だったはずです。いまさら、貿易黒字を増やすわけにはいきません。では、どうすれば詐欺師の烙印を押されずに済むのか。

  その方法は一つしかありません。常に「投資バブル」を起こし続けることです。

  バブルというのは、泡のことです。実体を大きく超えて、泡のように経済がふくらむことをバブル経済などと言ったりします。投資がたくさん集まってくると、それを使って需要を増やすことができますから、その国の経済が強くなったように見えるのです。
  アメリカの最近政権を見てみると、必ず一度はバブル経済が起こっています。アメリカの様々な業種の企業500社の株価動向を反映した「S&P500」という価指数の推移を見ながら、確認してみましょう。

S&P500


  こうしてみると、1980年代から上昇が始まっているのがよくわかるのではないでしょうか。それ以前の時期は、インフレ率を考えると株価はほとんど変わっていません。非常に対照的です。

  まず、1980年代後半に大きく株価が上昇しているのがわかります。共和党政権(レーガン・ブッシュ父)の下で、アメリカが金融中心経済に変わっていった時代です(●本シリーズ3回目の記事を参照)。この時期は日本でもバブル経済でした。アメリカにもかなりのジャパンマネーが流れ込んでいます。それだけ、アメリカの金融に制約がなく、リターンが多く見込めたということです。
  次に、1995年から急上昇がきています。これは、民主党(クリントン)政権時代の「ITバブル」です。みなさんの周りで、急にパソコンが目につき始めたり、インターネットという言葉が聞こえ始めたりしたのは、この時期だったはずです。
  この時期には、「アマゾンドットコム」のように、インターネットを使った新しいタイプの企業が出始めました。それらの企業は業績が必ずしもよかったわけではありませんが、これから期待できるということで株価が上がり続けました。企業としても、株式を発行して資金を調達しやすい環境だったというわけです。
  だめ押しとして、アメリカはこの時期一貫して金利を高くする政策をとっていました。インフレ懸念ということですが、要するに国債だとか貸し付けに高い金利がつくようにして、投資を呼び込んでいたのです。その時期に、アメリカを脅かす唯一の存在だった日本が実質ゼロ金利政策を実行していた(というか、アメリカにさせられていた)こともあり、アメリカは世界中の投資マネーを一手に引きつける存在になりました。  

  さらに、2000年代中頃に入って再び上昇に転じているのは、「住宅バブル」です。ここで出てくるのが例の「サブプライム・ローン」というやつです。
  サブプライムというのは、プライムレート(優遇された金利)にはできないが、その一つ下という意味らしいです。金利を一定期間据え置きして、何年かしたら(普通のローンより高い)利息を払い始めるという形になっていました。もし、利息を払えなくなっても、建てた家と土地を抵当に入れているので大丈夫というわけです。もしもの時も安心、ということで、低所得層でも利用者が増えました。
  他方で、金融機関はサブプライムローン利用者への債権を証券化して、いろんなところに売りさばくということもやっていました。「据え置き期間が終わったら高い金利が取れるから、利回りのいい商品ですよ」という風に宣伝していたそうです。
  ちょっと考えてみると分かりますが、「低」所得層が高い金利を払えなくなる可能性は非常に高いわけです。じゃあ抵当に入っている家を競売すればいい、といっても、家が高く売れなければだめなわけで、住宅価格が上がり続けない限りは必ず破綻する運命です。それがサブプライム・ローンだったのです。

  永久にあがり続けることを前提として、活発な投資が行われる・・・典型的なバブル経済です。日本でも、土地の値段が永久に上がり続けると言われていた時期がありました。しかし、やはり破綻しました。
  はっきり言えば、投資で経済を回すというのはそういうものなのです。どこかから利益をとってくるわけではないのですから、実体などはじめからありません。
  困ったことに、投資バブルには必ずバブル崩壊というものがあります。上のS&P500の推移を見ていただくとよく分かりますが、レーガン=ブッシュ時代は1987年、ITバブルは2002年に急落しています。最近では、住宅バブルもサブプライム・ローンの焦げ付きで崩壊し始めています。
  おそらく、アメリカの株価は今後2年ほど下がり続けるでしょう。アメリカが本当の意味で経済を立て直すまで、下げは止まりません。

  しかし、アメリカにそんな秘策があるのでしょうか?

  あるとすれば、一つは、再び投資バブルを起こすことです。投資というのは、先行きに対する期待感で成り立っている側面が大きい分野です。今はサブプライム・ローンで大騒ぎになっている余波が来ていますが、そのうちそういうニュースが聞こえなくなり(あるいは、意図的にロイターやAP通信が流さなくなり)、新しい投資ネタが出てくるかもしれません。
  もし株でもうけたいな、と思っているひとは、日本語ではなく、英語でアメリカのニュースをチェックすれば、そういう動向をすぐにつかめるかもしれません。日本で本格的に「アメリカでは今○○がいい」などと言われ始めるのは、向こうの企業や金融機関が日本の馬鹿な投資家をカモにするための餌です。それを信じるよりは、まだアメリカ国民向けの餌に飛びついた方が少しは儲かるからです。
  しかし、はっきり言っておきますが、私はもうそういう期待はしない方がいいと思っています。もうそろそろ、アメリカの金融中心経済も限界が来ているのではないかと思うからです。

  実は、もう一つアメリカが経済を立て直せそうな方法があります。

  それは、

  「戦争」

  です。この点に次回は触れてみたいと思います。

★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
スポンサーサイト

テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

EDIT  |  09:37 |  米中ダブル崩壊  | TB(4)  | CM(8) | Top↑

Comment

●TBありがとうございます。

資本-国家-民族
http://sun.ap.teacup.com/souun/630.html

ご参考:
アホならまだ救いがあるが、わかっていてやっている売国奴だから救いがない
http://sun.ap.teacup.com/souun/1142.html
金利と物価の関係 《日銀政策会議に見られる根源的な誤り》
http://sun.ap.teacup.com/souun/1065.html
今後の世界と日本
http://sun.ap.teacup.com/souun/196.html
早雲 | 2008年04月09日(水) 18:11 | URL | コメント編集

●バブルの連鎖

エンロンバブル・サブプライムローンと次々にバブルを作り出し、アメリカ国民を騙してきたのですね。これは、素人が手を出して儲かる世界ではないですね。
ケーキ屋 | 2008年04月09日(水) 19:33 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

>>早雲さん

  三つ目のリンク先が特に面白かったです。

>>ケーキ屋さん

  ご来訪ありがとうございます。

>素人が手を出して儲かる世界ではないですね。

  そもそも、個人投資家というのは「やられ役」ですからね。大多数の人が損をして、一部のインサイダーと、ごくまれにラッキーな素人が儲かるというのが投資の世界です。
  バブルの頃の証券会社は、個人投資家を「ドブ」と呼んでいたそうです。モルガンとかロックフェラーとかロスチャイルドとかいった連中にとっては、地球人はみんな「ドブ」なんでしょうね。
ろろ | 2008年04月10日(木) 13:27 | URL | コメント編集

●はじめまして

 はじめまして。丁寧な説明があり、解かりやすいです。
ろっし | 2008年04月10日(木) 15:24 | URL | コメント編集

●久しぶりです

とても、まとまっているし、切り口も鋭い!と思いましたので、るいネットに引用させてもらいました。みんなの役に立つと思いました。
TBしましたので、覗いてみてください~。
遊撃手 | 2008年04月10日(木) 23:19 | URL | コメント編集

●コメントありがとうございます

>>ろっしさん

  そう言っていただけるのが一番の喜びです。
  是非またいらっしゃってください。

>>遊撃手さん

  TB反映させておきました。

>みんなの役に立つと思いました。

  やりがいがあるというものです。
ろろ | 2008年04月10日(木) 23:29 | URL | コメント編集

http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-379.html
http://klingon.blog87.fc2.com/blog-entry-372.html

ろろ様は以前に「中国と米国が争う訳ない」と書いておられましたが、私の意見は逆でした。
何故ならば、「中国の狙っている地位とは、アメリカを崩壊させて、台湾と日本を美味しく食べて、その後にアメリカの地位を自分達が占めたい」そう願っているからです。

つまり、中国とは「アメリカの真性の商売仇」を目指している国なのです。
日本その他の国が「絶対にやろうとしなかった事」を中国は平気で行っているのです。
今この時点でね。普通に考えてこのままで済む訳がないと思いますがね。
三輪耀山 | 2008年04月13日(日) 09:17 | URL | コメント編集

●>>三輪さん

  なるほど、その見方もうなずけます。

  しかし、それでも現在のグローバル貿易システムが続く限りは、米中の利害は一致しており、その限りでお互いを食い合うような米中激突はないでしょう。もちろん、シーパワーの天領に中国が手を出してきた場合は別ですが、そうでなければ、やはりグローバリストのテコの役割を務める中国は可能な限り生かそうとするのではないでしょうか。
  また、正義の味方アメリカが悪の帝国中国を叩くというような、馬鹿な期待をしているブロガーや保守論客が多いようなので、そのへんも見越して書いたというのもあります。そういう連中は、対米隷属を前提に話をしているようなのが多いですからね。
ろろ | 2008年04月14日(月) 00:11 | URL | コメント編集

コメントを投稿する


管理者だけに表示

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

金融国家アメリカの誤魔化し戦略?

ブログ『日々是勉強』http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-112.htmlの記事“【世界激震】米中ダブル崩壊の日は来るか(5)~金融国家アメリカの綱渡り” から、金融国家となったアメリカの、いわば誤魔化しの戦略を以下に引用、整理します。 ◆戦略変更
2008/04/10(木) 23:04:42 | 遊撃手

金融国家アメリカの誤魔化し戦略?

◆投資の構造 >サービス業へのシフトと並んで、アメリカが選挙対策としてやってきたことは何か。今回取り上げておきたいのは、「投資バブル」です。 投資というのは、企業に活動資金を与えることです。企業が発行した株を買ったり、お金を貸したりすることがその典...
2008/04/10(木) 23:17:15 | 遊撃手

二度と戦を起こさぬ為

二度と戦に巻き込まれない為に 二度と戦を起こさぬ為に 徳川家康はこのように考えて幕府を創った。 創始者の性格はその後の組織に遺伝す...
2008/04/11(金) 23:19:41 | 明けの明星 

自業自得、でしょうね。大手マスメディアの広告収入の落ち込み&アメリカの変調。

 ひたすら大広告主である外資系金融企業や経団連系の輸出中心企業の意向に沿って、国内経済弱体化のために張り切って論陣を張って来た大手マスメディア。  アメリカの金融バブルの崩壊で、上記の広告主の広告規模縮小の影響をモロ受けてんでしょうね。代わりの広告主を...
2008/07/14(月) 00:07:30 | ふしぶじゑ日記
 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。