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2008.03.23(Sun)

米中ダブル崩壊の日は来るか(2)~アメリカ製造業壊滅絵巻 

  ●前回は、アメリカを国際貿易の中心とする仕組み(いわゆるブレトン・ウッズ体制)が、日本や西ドイツといった国々の産業競争力の向上に伴って機能しなくなってきたということをお話ししました。

  ここで、アメリカの「敵」になってしまった国の経済発展について見てみましょう。たとえば、我々の日本です。
  日本は今でも貿易依存率が2割程度の国ですが、ニクソン・ショック以前はさらに低く、10%程度でした。当時の日本は強大な産業競争力を持っており、メイドインジャパンを世界中(特にアメリカ)に売り込んでその利益を国内に還流し、どんどんでかくなっている化け物のような国です。
  日本が右肩上がりで成長することができた強みは、国民全体の所得を無理のない形で上昇させて、総需要をふくらませていたことにあります。その鍵は、インフレ率に比例して生産性が向上するという、絶妙の経済政策にありました。
  インフレ(物に対して金が余っている状態)になると、物価が上昇しますが、それは裏を返せば企業が物を売る値段も高くなるということです。賃金も上昇する傾向になりますから、それに合わせる形で物を作る量を増やせば、経済全体が一回り大きくなった形で、物と金の関係がイコールになります。ここに、輸出であげた利益を付け加えれば、それだけ需要が大きくなっていくというわけです。
  この経済政策を可能にしていた要因は、二つありました。一つは「地価のゆるやかな上昇」、そしてもう一つは「官僚による統制」です。前者が穏やかなインフレを誘導し、後者が生産性の上昇とそれによって生じた利益の配分をコントロールしていたのです。
  日本ほどではないにしても、冷戦崩壊までに経済発展を成し遂げた国(韓国や台湾、西ヨーロッパ諸国)はこのような仕組みを多かれ少なかれ持っていました。
  アメリカはソ連と競争する上でそれらの国の成長は黙認していたのですが、これらの国々、特に日本がアメリカ中心の貿易システムを脅かすようになってきて、考え方を変えたのです。

  さて、これらの「敵」をアメリカが叩きつぶすためにはどうすればいいのか?

  簡単です。「インフレ率に比例して生産性が向上する」という、経済発展の公式を狂わせればいいのです。要するに、世界中にデフレ(金に対して物が余っている状態)を起こせばいいわけです。
  細かい話をし出すとキリがないので、アメリカの情報戦略などは省略しますが、このデフレを世界的に起こすために絶対に必要だった国があります。それが中国なのです。
  ドルと金の交換停止をしたのはニクソン政権ですが、そのニクソン政権が同時に行ったことがあります。それが「米中国交回復」です。
  この事件はよく、ソ連陣営から中国を引きはがすために行った外交行動だと言われることがありますが、あまりにも表面的な見方でしょう。だいいち、冷戦というのは、前回も述べたように、国際貿易に参加してくるとアメリカを中心とした国際貿易が不安定になりかねない(地政学的にシーパワーの勢力圏でない)国々を、共産圏という形でソ連が囲い込んでいたものです。このシステムも完璧ではないので、時折局地紛争というエラーが生じますが、アメリカの国際貿易支配にとってはメリットの方が圧倒的に多い仕組みでした。
  そうなると、米中国交回復の本当の目的は、中国を国際貿易の世界に参加させ、世界中を生産過剰=デフレ状態にたたき込むことだったのです。
  中国の最大の武器は、今も昔も人口と、それを背景にした単価の安い生産力です。中国が共産圏の囲いから外に出たしばらく後の1980年でさえ4億3千万人の就業人口がいました(現在は7億人に届く勢い)。そもそも中国の人民元は国際的に取引されている通貨ですらなかったので、給料が払われていると言っても人件費はただみたいなものです。
  これが、いきなり国際貿易体制の中に参加してきたらどうなるか?生産が過剰になるに決まっています。もっとも、中国には近代的な工業を可能にするような工業設備は、戦前に日本が作り上げた満州の重化学工業地域くらいしかありません。
  そこで導入されたのが「経済特区」です。工業がほとんど根付いていない南部の沿岸都市に外資を呼び込み、安い労働力を利用させるようにしたのです。
  この発想も、もしかしたらアメリカの上層部(投資銀行や証券会社、ロックフェラーやモルガンのような財閥)がアドバイスしたのかもしれません。なにしろ、中国の国際貿易デビューは、アメリカと国交を回復したからこそ実現できたのですから・・・。
  ●こちらのホームページを見ていただくとよくわかりますが、中国の工業生産額は1990年代初めから急激に伸び始めています。1980年から20年で約15倍です。同じ時期の世界のGDPは約3倍に増えているのと比べると、そのすさまじさがわかるというものです。
  当然ながら、中国国内にはこの工業生産を消費するための購買力(個人や家庭の手持ちの金)はありません。その大半が、輸出に回ったと考えて間違いありません。この輸出は、冷戦中には存在しなかったわけですから、どこか他の国(たとえば日本)の工業生産が沈んだとしても、ものすごい生産過剰状態になったということです。
  アメリカの狙い通り、経済的なライバルだった日本はデフレの泥沼に陥りました。他の工業国も軒並み生産過剰になり、工業生産を縮小せざるを得なくなりました。中国を「開放」して、世界中をデフレの渦に巻き込むという作戦は成功したのです。

  しかし、疑問に思うことがありませんか。そんなことをしたら、世界一の工業生産額を誇るアメリカの工業も潰れてしまい、デフレで経済が立ちゆかなくなってしまうのではないか、ということです。

  結論を言うと、アメリカ(少なくともその上層部)は、自国の工業が潰れようが構わないという考えでいたのです。

  実は、アメリカでは1970年代から「産業の空洞化」現象が進んでいました。産業の空洞化とは、「企業が海外に生産拠点を移すことによって、雇用の減少などの弊害が生じること」とでも理解しておけばいいでしょう。
  その動機は、利潤追求という企業の論理です。アメリカ人を雇ったら金がかかるから、たとえば南アフリカやバングラデシュみたいな発展途上国に生産拠点を移してしまえという感じです。ここ10年くらいで日本の企業が中国に次々進出していったのも同じ動機です。
  アメリカの場合は、もともとが人工的に作られた国だと言うこともあって、その辺は徹底しています。非農業部門の就業人口割合を見ると、1970年のアメリカの製造業の割合は27.3%でしたが、1990年にはなんと17.3%まで低下しています。10%の低下ですよ。ただごとではありません。アメリカの農業はもともと大規模で機械化されていますから、農業で雇用を吸収したわけではありません。みんな、サービス業に流れたのです。
  これは、自然とそうなったというより、あえてそのようにしたのだと考えるべきです。つまり、アメリカは、製造業の部門で日本や西ドイツのような追撃者と競争することを完全にやめたのです。
  そして、工業製品は日本などからの輸入で補い、雇用はサービス業で吸収するという方向を固めたのではないかと思われます。国内で循環させる金は、赤字財政支出でまかない、不足した税収は国債の発行で穴埋めするのです。なにしろ、アメリカドルはすでに金(ゴールド)の裏付けを必要としなくなっているのですから、札を刷って使いたい放題なわけです。
  そうして、1980年代のアメリカは輸入の増加と赤字国債の連発で「貿易赤字」「財政赤字」の双子の赤字を抱えることになりました。
  この頃のニュースなどを見ると、デトロイトの町の真ん中で日産の車がボコボコにされる映像などがよく出てきていました。日本の輸出でアメリカの雇用が失われているというのが、アメリカ国内での見方だったようです。アメリカ政府もその意向に沿う形で、自動車交渉や日米構造協議などで、「アメリカ製品を輸入しろ」「輸出しないで内需を拡大しろ」と日本にやかましく命じていました。
  しかし、今となってみると、これは単に政府が国民に対してまじめに仕事しているふりをしていただけなのではないか、という気がするのです。要するに、選挙対策です。本気で輸入を止めたければ、日本以外にも、アメリカ向け輸出をするために海外に生産拠点を移したアメリカ企業(●こちらのグラフを参照)の方をなんとかしなければならなかったはずなのに、その対策は全くしませんでした。
  そうこうするうちに、アメリカの産業は決定的な打撃を被ることになりました。まず、工業製品を作るための道具(中間財)を輸入に頼るようになってしまったのです。●こちらのグラフを見ると、消費財の輸入がプラザ合意(1985年)によるドル高是正後に減少しているのに対して、資本財の輸入はずっと増加しているのがわかります。要するに、製品や部品を作るための道具を、日本などの技術力に優れた国から輸入し続けていたということです。
  それがさらに進むと、今度は部品まで輸入に頼るようになってしまいました●こちらのグラフを参照)。もうこれでは、アメリカ本土の工場はただの製品組み立て工場になってしまうことになります。
  そして、現在では、その組み立てすら中国の工場に奪われてしまっているのです。アメリカの製造業の雇用は全体の13.3%しかありません(農業人口は0.7%だから、非農業部門でも14%に達しないことが推定される)。
  アメリカが世界の産業をリードする、などという、冷戦の頃には当たり前だった図式は、もう完全に過去のものになってしまったようです。アメリカには、もはや自国の生産をまかなっていけるだけの工業力はないのです。

  しかし、それにも関わらず、アメリカがなぜGDPでぶっちぎりの世界1位の座に君臨していられるのでしょうか?

  その理由は、アメリカは日本や西ドイツなどの工業国と違う次元に戦いの場を移したからです。その舞台は「金融」です。実は、これこそが、世界中がデフレになっても、アメリカだけが一人勝ちすることが(一時期ではあるが)できた秘密なのです。

  次回は、金融が基幹産業となったアメリカの姿を見ながら、この金融という不思議な業種についてじっくり考えてみたいと思います。

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Comment

●ご参考

金融的利益条件をひたすら考えているのが80年以降の米国当局者です
http://sun.ap.teacup.com/souun/417.html
アジアから世界への「デフレ不況」の“輸出:20世紀「大恐慌」と21世紀「世界同時デフレ不況
http://sun.ap.teacup.com/souun/1017.html
早雲 | 2008年03月23日(日) 02:32 | URL | コメント編集

米国がそんな事が出来るのもドルが基軸通貨だからこそなんだよね。
更に米国は日独を潰す為にプラザ合意で為替を強引に上げさせましたしね。
更に更に冷静構造崩壊後は露骨に内政干渉(=対日年次改革要望書)をして
輸出で稼いだ金を日本国内に還元させないようにしようとしていますね。
それが構造改革の真の狙いだと思います。
稼いだ額以上の金が米国に還流する仕組み作りこそ構造改革ですよ。
企業利益の総計だけは年々増え続け既にバブル期の2倍以上なのに日本国や国民はどんどん貧しくなってるでしょ?
国民に還元する分がどこか他に流れてるって事です。
法人税減税しての緊縮しかり、株式の持ち合い解消しての害人売りしかり、35兆円もの為替介入しかり。
更に米国は日中接近を非常に恐れてますね。
確か10年ほど前に米国の議会に中国の経済成長で一番トクをするのは日本企業であると言う報告書が出されましたよね。
それ以来、どちらかと言うと親中だった日本のメディアが一変しましたよね。
私は日中双方で反日・反中感情を煽ってるのは米英の工作員だと思いますがね。
同様に地下資源が豊富なロシアとの関係強化も米国は恐れています。
鈴木宗男が叩かれた背景だと思いますね。
かつて田中角栄がインドネシアと米英メジャーを通さない原油ルートを築こうとして失脚しちゃいましたからね。
つくづく日本は米国の属国に過ぎない事を痛感してます。
もっとも今は属国どころか利益を吸い上げられるだけの植民地と化していますが。
政治家も官僚もマスコミも売国する事が一番利益になりますからね。
出世するには売国、稼ぎたいなら売国、これが今の日本の姿ですよ。
外資に天下ってもメディアはスルーですしね。
族議員は叩くが外資族議員は優遇されますしね。
この国は駄目かも知れませんね。
かつての南米や東南アジアのようになるんでしょうね。
ある政治評論家が小泉改革を称して日本のサイパン化・グアム化だとおっしゃいましたが
まさにそのとおりなんじゃないでしょうか。
国民の多くはそんな事に全く気付いてませんしね。
それどころか小泉再登板や改革を歓呼の声を持って迎えるんじゃないでしょうかw?
名前未入力 | 2008年03月23日(日) 16:52 | URL | コメント編集

●>>名前未入力の方

>この国は駄目かも知れませんね。

  それなら、このブログをご覧になる必要はございませんよ。

  立ち上がる意志がなければ、現状をコメント欄でどれだけ精緻に分析しても無意味なのではありませんか?

  
ろろ | 2008年03月23日(日) 19:51 | URL | コメント編集

●キッシンジャードクトリン

何かあまりにも正鵠を得たエントリで感服しました。

実は、米中国交回復には単なる中ソ離反意外のものを感じていました。未だにキッシンジャーが対中投資のコンサル会社をしているところから、キッシンジャードクトリンなるものを感じていました。私なんかよりも遥かに的確に深くまとめてくださって今後のエントリを期待しています。

私は
1、中ソ離反
2、中国市場を開拓
3、中国の基盤整備のために日独から資金を引き出す。
4、ある時点で日独を中国市場から締め出すために共産政府をあえて残す。
5、アメリカが中国市場を独占する
6、中国を民主化により解体

というシナリオだと思っています。
実は、これは、ペリーが150年前、ルーズベルトが70年前に練ったシナリオの再実行だと思います。そして、過去の失敗と同様に、アメリカ独自の驕りと無知によって第4段階から計画が破綻し始めたと思います。しかし、これに「デフレ」という要因を入れるとかなり意図が鮮明になります。

実は、今回のチベット暴動の真の目的は、日独の締め出しだと思っています。ドイツはメルケル首相がダライラマ14世と会談したことで、すでに締め出されつつあり、EUが今回の件で五輪をボイコットすると英仏資本も締め出しに合うでしょう。中国から見ればアメリカ資本さえ投資してくれれば他の国は締め出してもいいのです。そして福田総理の正念場です。(福田総理は中国の挑発に乗らず、日銀サボータージュでアメリカ経済崩壊を傍観しています。)

とにかく、アメリカは過去3回に渡って、日本を踏み台にして中国市場独占を企てています。
1、ペリードクトリンは、南北戦争と清朝崩壊で頓挫
2、ルーズベルトドクトリンは、米ソ冷戦と中華民国崩壊で頓挫
3、キッシンジャードクトリンは、米経済破綻と中国共産党崩壊で頓挫
すると思います。
1回目は日本はうまく立ち回った
2回目は日本は渦中に巻き込まれた。
3回目こそ、1回目と2回目を教訓にうまく立ち回りたいと思います。福田総理は今のところ順調です。ただ、最後までうまく立ち回れるか、日本にとっては本当に綱渡りです。実際2回目も、満鉄の利権分与で戦禍回避の可能性もあったのですが、当時の日本人にはあの屈辱の決断は難しかったでしょう。同様に今の日本人にも屈辱の決断で戦禍を回避する分岐点がくるはずです。それが何かは分かりません。

最後に、私は安倍総理のことは評価していますが、安倍総理は支持基盤的に上記の綱渡りは困難だと判断して、福田総理に変わったのだと思います。(多分、安倍総理の就任中にアメリカで大きく東アジア政策が変わったのでしょう。)安倍麻生中川ラインは福田総理の綱渡りが成功した暁に、新しい世界秩序を画策するために、今は野にいるのでしょう。
タカダ | 2008年03月24日(月) 12:33 | URL | コメント編集

●>>タカダさん

>今後のエントリを期待しています。

  どうもありがとうございます。

>安倍麻生中川ラインは福田総理の綱渡りが成功した暁に、
>新しい世界秩序を画策するために、今は野にいるのでしょう。

  なるほどねえ。

  あまり期待しすぎない方がいいと思いますよ。裏切られた時の反動が大きいですから。

ろろ | 2008年03月25日(火) 01:36 | URL | コメント編集

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