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2011.09.09(Fri)

読売新聞の悪あがきが痛々しいまでになってきたのですが 

  ●自分のところの社長だった人物が、外国の工作員だったということが少しずつ知られるようになってきたからか、突撃ラッパを吹いても日本国民党が動かないからか、いよいよあの大新聞が本格的におかしくなってきました。

エネルギー政策 展望なき「脱原発」と決別を(9月7日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110906-OYT1T01165.htm

 ◆再稼働で電力不足の解消急げ◆

 電力をはじめとしたエネルギーの安定供給は、豊かな国民生活の維持に不可欠である。

 ところが、福島第一原子力発電所の事故に伴い定期検査で停止した原発の運転再開にメドが立たず、電力不足が長期化している。

 野田首相は、電力を「経済の血液」と位置づけ、安全が確認された原発を再稼働する方針を示している。唐突に「脱原発依存」を掲げた菅前首相とは一線を画す、現実的な対応は評価できる。

 首相は将来も原発を活用し続けるかどうか、考えを明らかにしていない。この際、前首相の安易な「脱原発」に決別すべきだ。

 ◆節電だけでは足りない◆

 東京電力と東北電力の管内で実施してきた15%の電力制限は、今週中にすべて解除される。

 企業や家庭の節電努力で夏の電力危機をひとまず乗り切ったが、先行きは綱渡りだ。

 全国54基の原発で動いているのは11基だ。再稼働できないと運転中の原発は年末には6基に減る。来春にはゼロになり、震災前の全発電量の3割が失われる。

 そうなれば、電力不足の割合は来年夏に全国平均で9%、原発依存の高い関西電力管内では19%にも達する。今年より厳しい電力制限の実施が不可避だろう。

 原発がなくなっても、節電さえすれば生活や産業に大きな影響はない、と考えるのは間違いだ。

 不足分を火力発電で補うために必要な燃料費は3兆円を超え、料金に転嫁すると家庭で約2割、産業では4割近く値上がりするとの試算もある。震災と超円高に苦しむ産業界には大打撃となろう。

 菅政権が再稼働の条件に導入したストレステスト(耐性検査)を着実に実施し、原発の運転再開を実現することが欠かせない。

 電力各社が行ったテスト結果を評価する原子力安全・保安院と、それを確認する原子力安全委員会の責任は重い。

 運転再開への最大の難関は、地元自治体の理解を得ることだ。原発の安全について国が責任を持ち、首相自ら説得にあたるなど、誠意ある対応が求められる。

 野田首相は就任記者会見で、原発新設を「現実的に困難」とし、寿命がきた原子炉は廃炉にすると述べた。これについて鉢呂経済産業相は、報道各社のインタビューで、将来は基本的に「原発ゼロ」になるとの見通しを示した。

 ◆「新設断念」は早過ぎる◆

 代替電源を確保する展望があるわけではないのに、原発新設の可能性を全否定するかのような見解を示すのは早すぎる。

 首相は脱原発を示唆する一方、新興国などに原発の輸出を続け、原子力技術を蓄積する必要性を強調している。だが、原発の建設をやめた国から、原発を輸入する国があるとは思えない。

 政府は現行の「エネルギー基本計画」を見直し、将来の原発依存度を引き下げる方向だ。首相は、原発が減る分の電力を、太陽光など自然エネルギーと節電でまかなう考えを示している。

 国内自給できる自然エネルギーの拡大は望ましいが、水力を除けば全発電量の1%に過ぎない。現状では発電コストも高い。過大に期待するのは禁物である。

 原子力と火力を含むエネルギーのベストな組み合わせについて、現状を踏まえた論議が重要だ。

 日本が脱原発に向かうとすれば、原子力技術の衰退は避けられない。蓄積した高い技術と原発事故の教訓を、より安全な原子炉の開発などに活用していくことこそ、日本の責務と言えよう。

 ◆原子力技術の衰退防げ◆

 高性能で安全な原発を今後も新設していく、という選択肢を排除すべきではない。

 中国やインドなど新興国は原発の大幅な増設を計画している。日本が原発を輸出し、安全操業の技術も供与することは、原発事故のリスク低減に役立つはずだ。

 日本は原子力の平和利用を通じて核拡散防止条約(NPT)体制の強化に努め、核兵器の材料になり得るプルトニウムの利用が認められている。こうした現状が、外交的には、潜在的な核抑止力として機能していることも事実だ。

 首相は感情的な「脱原発」ムードに流されず、原子力をめぐる世界情勢を冷静に分析して、エネルギー政策を推進すべきだ。


馬鹿馬鹿しい話がいくつも含まれているのですが、与太話にいちいち構っている暇もないので、やっと公に出てきた「原発推進=核抑止力」論に絞って論評してみます。

まず、そもそも核開発には原発が要りません。北朝鮮がプルトニウムを濃縮するために、原子力発電所を建てたのでしょうか。中国も、核保有に成功した時点で、原発を1基も建設していませんでした。原発54基でせっせと濃縮ウラン燃料を核分裂させ、六ヶ所村で再処理して、敦賀市の高速増殖炉「もんじゅ」に送り込み、大量のプルトニウムを保有するなどというプロセスは明らかに不要です。

北朝鮮の例で、もう少し詳しく見てみます。●北朝鮮のプルトニウム保有は50キロ程度と推測されています。これだけのプルトニウムで、アメリカが懐柔に乗り出し、中国は●東北工程による朝鮮半島併合正当化の動きを止めています。プルトニウムが1キロあれば核爆弾1個が作れるそうですから、北朝鮮程度のプルトニウムでも安全保障上は十分だということができるでしょう。

翻って、日本は、核分裂性のプルトニウムだけで約31トン(国内で約6.8トン、英仏に預託している分が約24.1トン)も保有しています(●こちらのPDFを参照)。核爆弾31000個分も保有しているわけです。確かに、兵器に転用はできますが、こんなに作ってどうしようというのでしょう。核武装目的と言うより、税金を突っ込んで利権をあさる道具としてちょうどいいので、ダラダラ続けてきた結果なのではないでしょうか。

それに、本格的に核兵器に転用するというなら、そもそも電力会社という民間企業に管理させるべきではありません。核武装は、やるからには絶対に成功させなければならない事業です。そうであれば、ウランの濃縮からプルトニウムの保管に至るまで、全て国家の責任でやるべきです。もちろん、そのためには、核武装するという日本国内での合意形成がなければなりません。

だいいち、「原発は核抑止力として必要だ!」と言ってみたところで、原発推進に向けた国論形成になにか役立つのでしょうか。核武装と聞いてアツくなるような人たちは、国家主義者が多く、左翼が推進してきたゲンパツハンタイ運動を毛嫌いしている人びとですから、ほぼ全員が原発推進派とみて間違いありません。そういう人が、この社説を見て、自己の世界観を強化するということは大いにあり得るとしても、そういうマニアックな(あるいは、非常に単純な)人びとを除いた普通の人たちが、「そうか、やっぱり原発は必要なんだ!」という意見を持つことは、まず考えられません。

結局、このような社説は、読売新聞が原発応援団だということを強く印象づけるだけで、たいしたメリットはないということです。

もう、読売新聞も、いい加減観念して、こういう社説でも書いてみたらどうでしょうか。

電力制限解除 脱原発で省エネ強化を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2011090802000054.html

 東京電力と東北電力管内の電力使用制限令が九日解除される。原発事故で失った電力を節電が補い、停電回避にめどがついたためだ。この流れを省エネの技術革新につなげ、脱原発を果たしたい。

 驚異とさえ表現できる節電といえるだろう。この夏、東電管内の電力消費は前年に比べ連日九百万~一千万キロワット下回った。実に中型の原発十基分にも相当する。

 浜岡原発を停止した中部電力管内では原発一基分、百万キロワットを節約した。家庭の節電に加え、消費電力がピークを越えて停電を招かぬよう、自動車業界が電力消費の少ない土、日曜操業に振り替えたことが主因だ。

 東電福島第一原発の事故を境に定期点検で停止した原発は再開のめどが立っていない。経済界から「停止が長引けば工場を海外に移さざるを得なくなる」と脅しともとれる不満が聞こえてくるが、経団連や日本商工会議所に深刻な事態が報告された形跡はない。なぜ、放射性物質をまき散らす危険性が潜む原発にこだわるのか。

 東電、東北電管内の大口需要者に前年比15%の削減を義務づけた政府の制限令発動を機に、電力不足の不安を抱える企業は節電に突っ走った。30%を超える企業も続出し、乾いたぞうきんを絞るどころか、大量の水があふれ出た。

 無駄な電力を減らせばコスト削減で利益が膨らむ。省電力の余地があることに気づいた企業は空調の自動制御機器などを導入し業績改善につなげた。そこに日本が目指す方向の手掛かりがある。

 国内の照明すべてを発光ダイオード(LED)に置き換えると、原発十三基分の電力が節約できるという。電力不足を和らげるハイテク製品であり、国境を越えたビジネス拡大の潜在力を秘める。

 野田佳彦首相は原発の新増設を「現実的に困難」と段階的に減らす考えを明らかにした。ならば電力の三割近くを頼ってきた原発を何に置き換えるのか。脱原発に向けたエネルギー政策の転換は日本の省エネ産業育成にも直結する。

 太陽光や風力など、再生可能エネルギーの技術力を高め、不安定な再生エネの需給を自動調整する送電網、スマートグリッドの開発も急がねばならない。電力供給の技術革新は欧米や韓国などがしのぎを削っており、悠長に構えていては出遅れる。

 首相は一刻も早く脱原発を決断し、それをバネに日本の省エネ技術の競争力向上を促して世界をリードする気概を示すときだ。


個人的には、太陽光や風力に期待をすると痛い目に遭うと思うので、賛成できないところもあるのですが、それでも、それなりに名前が知られた(共産党の機関誌「赤旗」以外の)新聞が、「脱原発を」と主張したのは、大変なことです。ネット上だけではなく、現実の世界でも大きな変化が起きつつあるという感じを受けます。

読売新聞も、かつての社主の偉大すぎる業績にとらわれることなく、日本国民が希望を持てるような社説を書いてみたらどうでしょうか。そうすれば、●押し紙に頼って内情はボロボロの発行部数も、少しは上向きになるかもしれませんよ。

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