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2009.09.06(Sun)

韓国の経済を見ることは、我々自身について知ることである(1) 

復調韓国、雇用は不振 サービス業に不況直撃
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200909050265.html

 日米欧に先駆けて景気回復が進む韓国で、「雇用なき回復」への懸念が高まっている。公共部門の一時雇用などで見かけの情勢悪化は一服したが、民間の雇用創出は進まない。経済構造の変化や急速な高学歴化にも対応が追いつかず、雇用不振の解決は長期戦の様相だ。

■対策、一時しのぎ

 「韓国の4~6月期の経済成長率は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中でトップ」。韓国でこんなニュースが一斉に伝えられた。

 3日発表された4~6月期の実質国内総生産(GDP、暫定値)成長率は前期比2・6%増。7月の鉱工業生産は前年同月比でも10カ月ぶりのプラス。リーマン・ショック前の水準を上回った。

 だが、肝心の雇用がついてこない。「改善」もみられるが、これには事情がある。

 ソウル近郊の仁川市。古くからの住宅街から坂を上った一角で8月下旬、男性数人が地面に板を並べ、散策路をつくっていた。市内に住む李基浩さん(60)は「先行きに不安はあるけど、今はこの仕事がある。感謝しないとね」。

 政府が6月から始めた「希望勤労」事業だ。経済危機で仕事がなく生活の苦しい低所得層に公共の仕事を提供、月約83万ウォン(約6万2千円)分を現金と商品券で支給する。同じ日、ソウル西部の麻浦区でも、地元の50~60代の女性らがごみからペットボトルなどを仕分けていた。

 韓国政府は金融危機後、希望勤労以外にも雇用対策を矢継ぎ早に繰り出してきた。賃金削減などで雇用を維持するワークシェアリング推進や、公共機関や企業で若者が一時就業するインターンの拡大などだ。リストラで失業者があふれた97~98年の通貨危機でなめた辛酸が背景にある。

 その結果、6月の就業者数は前年同月比でわずか4千人増とはいえ、7カ月ぶりのプラス。7月も7万6千人減と、20万人程度の減少が続いた5月以前より改善した。減少幅が100万人を超えた98年当時より傷は浅い。7月までの失業率も4%程度。一気に6~7%を超えた通貨危機時よりは低い。

 当面の危機は、ある程度抑え込んだ。だが、結局は一時しのぎにすぎない。

 2月に大学を卒業して求職活動中の男性(26)は「インターンで働く友人をみても、数カ月で終わる仕事では学ぶこともない」と冷ややかだ。6カ月間の希望勤労も清掃など単純作業ばかり。働く人も50~60歳以上が多い。職を失った非正規職の若者や働き盛りの30~40代の「希望」にはなっていない。

 6月以降の就業者数も、希望勤労による25万人程度の増加をのぞけば、実質的には減少幅が拡大。韓国政府関係者も「雇用なき成長が懸念される」と認める。

              韓国の実質経済成長率と雇用の推移

■高学歴化、求人にズレ

 景気とともに業績が回復しても、企業が採用拡大に動くまでには時間がかかる。だが韓国開発研究院の兪京濬・財政成果評価室長は「非正規職の増加や、輸出が好調でも雇用が増えないなど、雇用不振は構造的問題」と指摘する。

 韓国でも先進国と同様に、雇用創出力の低下がじりじりと進む。製造業は工場の海外移転に加え、液晶パネルや半導体といった装置産業は必要な人手が少ない。「主な輸出製品で、部品などの輸入依存が高まっている」(韓国銀行)という問題も抱える。

 就業者の約6割が働くサービス業は、小売りや飲食業など零細自営業者が多い。就業者全体の約3割を占める自営業は通貨危機後の失業者を吸収してきたが、昨年来の内需不振で廃業が相次いだ。

 既存の受け皿の揺らぎに加え、深刻な若年失業問題は急速な高学歴化も要因だ。

 95年に5割を超えた大学進学率は08年には8割超と、5割強の日本を大きく上回る。雇用情勢が悪化する中、少しでも良い職を、という意識が強いためだ。

 だが、「大卒」の肩書を手にする人が増えても、期待する好待遇の職場はその分増えていない。7月の29歳以下の若年失業率は前年同月比1・1ポイント高い8・5%。統計上の失業者以外にも就職をあきらめたり、資格取得などで「就職準備中」だったり、事実上失業状態の人も多い。

 8月末、ソウルで開かれた就職面接会。受付に長い行列ができ、各ブースでは参加者が熱心に面接を受けていた。「条件さえあえば、早く決めたい」と焦る若者も多かったが、ある中小企業の担当者は明かす。「経験不足なのに期待する賃金水準は高い。大企業志向も強く、すぐやめる心配もある。どうしても求人と求職にミスマッチがある」

 政府も環境や医療福祉など成長産業の強化による雇用創出を打ち出す。良質の雇用をどれだけ生み出せるかが問われるが、成果は未知数だ。


  このブログはよくある朝鮮・中国叩きのブログではないのですが、それでも韓国についての記事を書くと、ブログ拍手なるものの数が増えます。賢明な読者各位には、特定の外国が不幸になるといううわっぺりの結論だけを捉えて喜ぶような低次元な人間にならないように願っております。
  さて、今回の記事ですが、かなり重要な問題提起を行っています。たとえば、ここです。

>4~6月期の実質国内総生産(GDP、暫定値)成長率は前期比2・6%増。

  経済成長したのに、なぜ雇用がついてこないのでしょうか。これを理解するには、経済成長率というものの持つ意味を理解しなくてはいけません。

  日本の実質経済成長率(内閣府による)

  実は日本でも、実質経済成長率が上昇していたのに、雇用がいっこうに回復しない時期がありました。小泉政権の中盤から安倍政権の時代にかけて(2006~2007年)です。上のグラフの一番右は、いわゆる「リーマン・ショック」があった2008年ですが、そこまでは確かに年2%程度の「経済成長」をしています。
  しかし、この「実質」というのがくせ者です。この数字は、名目の経済成長率に対して、物価指数の下落などを差し引いて修正したものなのです。
  理屈としては、経済成長がそのままで、物価だけ下落したとすれば、国民経済全体の購買力(ものを買う力)は相対的にアップしたことになるわけですが、裏を返せば、デフレが悪化して物価がどんどん下がれば、本当の経済力(名目GDP)がマイナスになっても、「実質的に」プラスになったと評価されてしまうのです。
  要するに、実質経済成長率がプラスになったからといって、国民が手にする賃金その他の購買力が向上しているというわけではありません。このへんは、マスコミも(意図的かどうかは分からないが)まぜこぜにして報道しているので要注意です。

  記事の方の注釈を続けましょう。韓国政府は、かなりアクティブに雇用対策を打ち出しているようですが、その中身には疑問符をつけざるを得ません。

>賃金削減などで雇用を維持するワークシェアリング推進

>公共機関や企業で若者が一時就業するインターンの拡大

  ワークシェアリングは、ひところ日本でも話題になりましたが、結局同じパイを分ける人数が増えているだけで、国民全体の購買力の拡大には寄与していません。
  また、インターンがいくら拡大しても、通常の雇用ではないので、結局また職を探さざるを得ないという状況は変わりません。
  もっとひどい言い方をすると、こうやって雇用を確保することで、かえって労働力がだぶつく結果を生み、数字の上での賃金は低下していく可能性すらあります。別にこの辺は統計など取らなくても、必要とされている雇用を上回る労働力が提供される(労働力のインフレ状態)なら、当然に起こりうることということができます。
  確かに、「失業率」という数字は劇的に改善するのでしょうが、問題は雇用の質です。極端な例ですが、いくら完全雇用を達成しても、ほとんどの人間が年収100万円しかもらえないのだとしたら、消費活動は活発にならず、景気はよくなりません。韓国がやっていることは、これと全く同じことです。
  こういう場面では、「職を選んでいるからあぶれるのだ」とか「努力しない人間が悪い」という、ネット右翼や小泉・竹中信者の決めゼリフ(というか、それしか言えない)は全く意味がありません。椅子取りゲームをしようと言っても、椅子が竹ひごでできている椅子になど、誰も座ろうとは思わないでしょう。
  さらに、従来のサービス業についても、

>内需不振で廃業が相次いだ

  ここらへんも、バブル崩壊後の日本とよく似ています。
  ●前の記事でも述べたように、もう韓国にはまともな内需と呼べるようなものは残っていません。もともと貿易依存率が70%を超える外需依存体質だったのですから、当然といえば当然です。

>「経験不足なのに期待する賃金水準は高い。大企業志向も強く、
>すぐやめる心配もある。どうしても求人と求職にミスマッチがある」

  これも、日本とよく似た状況です。親の世代が経験して、当たり前のことだとして継承された価値観が、「時代の変化」と齟齬を来しているのです。
  私もそうですが、「最悪でも結婚して家庭を持ち、マイホームとはいかなくてもマンションくらいは持てるのではないか」と思っていた時期もあります。今もそういう価値観の残りカスみたいなものがあり、頭を悩ませることがあります。
  これを、「考えが甘い」と一概に切って捨てることはどうかと思います。たとえは悪いですが、「天皇陛下は現人神ですよ」と子供の頃から教わってきた人が、ある日突然天皇陛下に「すいません。私じつは人間でした」と言われたら、わけがわからなくなるでしょう。同時に、「いや、それでも自分にとって天皇陛下は雲の上の存在だ」と信じようともするでしょう。戦前を知らない子供や孫の世代が「テンノーってさあ」などと口にするようになっても、皇太子が民間から嫁さんをもらっても、皇族が東京都の職員の家に嫁いで普通の主婦として暮らしていても、そういう観念はなかなか変わらないものだと思います。
  そこをどうやって軟着陸させるか、もっと有り体に言えば、諦めさせるか、というのは、社会の安定にも関わる問題です。「負け組」が生まれるのは、あるべき自分と、今の自分にあまりにも乖離があるからです。このへんは、もっと政治家や官僚が真剣に悩むべき問題でしょう。
  しかし、最近私は、この辺についてはほぼ完全に諦めました。政府という存在に、現代の経済の仕組みが生み出す問題の根本的な解決は不可能だという確定した理解が得られたからです。

  すみません。この辺で次回に続きます。上記の引用記事で、私は妙な場所を大きなフォントにして強調していますが、その謎解きも次回行います。

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