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2009.08.31(Mon)

衆院選の結果について 

民主党単独の「圧倒的多数」ならず

衆院選:民主308議席で圧勝、政権交代へ-自民、歴史的敗北
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003017&sid=akp4o5cAyll4&refer=jp_news_index

第45回衆院選は30日投票され、即日開票された。鳩山由紀夫代表率いる民主党が300議席を超える地滑り的勝利を収め、政権交代を果たす見通しになった。民主党は31日、社民党と国民新党との連立協議など新政権樹立に向けた準備に着手する。

  各党がウェブサイトで発表した獲得議席によると、定数480議席のうち、民主党が単独過半数(241議席)を超え、308議席を確保した。自民党は119議席と公示前の300議席から半分以下、公明党も21議席と公示前の31議席から10議席減の大敗を喫した。与党が大勝した2005年衆院選と逆の構図となった。総務省によると投票率は小選挙区で69.28%と前回より1.77ポイント上昇した。

  鳩山代表は31日午前0時50分すぎ、都内の開票センターで記者会見し、「国民の皆さんが勇気を持って政権交代を選んでいただいた。すべてはこれからだと思っている」と勝利宣言をした。閣僚人事については31日朝のNHKの番組で「首班指名前後に一気に作り上げて行きたい」と述べた。

  これに先立ち、麻生太郎首相は30日夜、NHKに出演し、「国民の声を真摯(しんし)に受け止め、われわれとしては反省の上に立って出直さなければいけない。わたしとしては責任を負わなければならない」と敗北を宣言、自民党総裁を引責辞任する考えを示した。共同通信によると、落選した公明党の太田昭宏代表も31日の記者会見で辞任の意向を事実上表明したという。

連立政権

  民主党は、社民党と国民新両党との連立政権樹立を目指す方針。鳩山代表は官房長官、財務相、外相には国会議員を充てる方針をすでに表明している。鳩山氏は31日未明の会見では、新設する国家戦略局の担当大臣や財務相の人選を特に重視する考えも示した。

   (中略)

  自民党が衆院第一党の座を失うのは55年以来、初めて。海部俊樹元首相、中川昭一前財務相、柳沢伯夫元金融相ら自民党の大物議員と公明党では太田代表とともに北側一雄幹事長も落選した。与謝野馨財務相、町村信孝前官房長官らは選挙区で敗れたものの、NHK報道によると比例代表で復活当選した。

  自民党の細田博之幹事長は31日未明の記者会見で、麻生総裁の後任を選ぶための総裁選挙は9月末になるとの見通しを示した。


  私はまずほっとしたことがあります。それは、民主党が単独で320議席を獲得しなかったということが確定したからです。
  この320という議席は、衆議院全体の3分の2にあたる数で、絶対安定多数(全ての常任委員会で委員の過半数を確保し、かつ各委員会で委員長を独占するのに必要な議席数、269議席)を超えて、法律案を再議決することで、参議院で否決された法案も成立に持ち込める数です。
  これで、民主党「だけ」で独断専行し、おかしな法律が次々とできあがるという危機的状況は免れることができました。
  上記の引用記事で、これだけの多数を取ったにもかかわらず、なぜ民主党が社民党、国民新党と連立政権を作りたがるのか不思議に思った方もいるでしょう。
  蛇足かもしれませんが説明しておくと、これは参議院の議決を円滑にするためです。民主党は参議院で単独過半数(=法律案や予算を自分たちだけで可決できる数、121議席)に達する議席を持っていません。それゆえ、参議院で合計10議席を持っている国民新党・社民党と共同で議会運営をしなければならないわけです。
  2007年の参議院選挙で野党が過半数を制して以来、自民党は提出する法案のほとんどについて野党の足止めを食らい、思うように政権運営ができなくなりました。
  もちろん、それ以前は連立与党で圧倒的多数を得ていたので、法律なら衆議院で再議決をしてしまえばいいわけです。それに、予算や条約の承認であれば放って置いても衆議院の議決が国会の議決になります。
  しかし、実際の政治は、どの時期に法律を制定するかとか、いつまでに予算を決めなければならないとか、いろいろな時間的制約があります。どうしても早く成立させたいなら、野党と協議をして妥協案を提示するしかありません。
  そこまでしてダメなら、会期をまたいで継続審議ということもたまにありますが、だいたいは「廃案」になります。今年の7月の解散でお流れになってしまった法律案には、●児童ポルノの単純所持の処罰規定や、●「共謀罪」の創設といったかなり危険なものも含まれています。それを考えれば、野党が衆参問わず、法案審議で抵抗し、時間を稼ぐことの意義というのは否定できないことになるでしょう。
  そうなると、民主党が、●前の記事で述べたような「小泉政権以上のピュアなカイカク」を推し進めようとしても、国民新党や社民党の意見を斟酌して法案審議をせざるを得ない状況があるのは間違いないわけです。衆議院で再可決することも、民主党「だけ」ではできません。この点は、少し安心して良いでしょう。
  2007年の参院選は、それほど大きな意味があったわけです。自民党支持者の方々は、強行採決を連発するなど増長しきった国会運営を行い、年金のようなセンシティブな話題を当初まともに取り合おうとしなかった安倍内閣の稚拙な政権運営をもっと真剣に批判しておくべきだったでしょう。安倍こそがいわゆる「ねじれ国会」の状況を生み出し、衆院選の大敗を生み出した張本人だと言っても過言ではないのです。

勝負は2010年の参議院選挙

  さて、今度成立するであろう「鳩山内閣」は、そのような参議院の機能をフルに活用して衆議院の大勝に結びつけたのですから、参議院で単独過半数を得ることの重要性を十分に認識しているはずです。以下の記事は、それを裏付けるものでしょう。

参院選、単独過半数なら連立解消も 民主・鳩山氏
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090616AT3S1502C15062009.html

 民主党の鳩山由紀夫代表は15日、J―WAVE番組で、政権獲得後の社民、国民新両党との連立政権の枠組みについて「来年7月の参院選で民主党が単独過半数を取ればそのことは消えていくと思うが、それまでの間は連立が最優先課題だ」と述べた。参院選で単独過半数を獲得すれば連立を解消する可能性に触れたもので、両党からの反発も予想される。


  この発言をしたのは6月15日です。まだ衆院選の公示も出ていない頃から本音を漏らしてしまうあたり、この鳩山という政治家の脇の甘さを如実に示しているということができます。
  しかし、党内に岡田克也、野田佳彦・前原誠司ら松下政経塾出身者などの「超カイカク派」を抱えている民主党としては、党内をまとめるためにも、マスコミ受けがあって、財界や外資に受けのいい法案をどんどん通したいことでしょう。鳩山としても、自分が深い関係にあるロシアとの北方領土問題の解決など、歴史に名を残す業績を挙げたくて仕方がないはずです。
  もちろん、そういった状況が、国民にとってプラスになるものという保証はできません。
  逆に言えば、他の政党がやるべきことはもう一つしかないのです。それは、

  「2010年の参院選で、民主党に単独過半数を取らせない」

  これさえやれれば、でたらめなカイカクによって日本国をメチャメチャにされることを食い止めることが可能になります。
  今回の選挙でたった120議席たらずしか獲得できなかった自民党や、衆院で合計10議席しかない国民新党や社民党にそんなことが可能なのかと思われる方も多いでしょう。
  しかし、不思議なもので、国政選挙で大勝した後の選挙というのは、必ず揺り戻しが来るものです。
  たとえば、あの小泉純一郎が首相に就任して「小泉旋風」が吹き荒れた2001年の参院選は、与党だけで121議席中78議席を取り圧勝しました。しかし、その2年後(2003年)の衆議院選挙では自民党単独では過半数を確保できず、公明党・保守新党と足してやっと安定多数を得るのがやっとでした。また、その翌年(2004年)の参議院選挙は、民主党が改選議席で自民党を上回る実質的な自民党の敗北でした。
  今でこそ鳩山由紀夫の顔に「この人なら何かを変えてくれるかも」とトキメキを感じる(笑)人が多くいたとしても、1年間ずっと眺めていればさすがに飽きが来るでしょう。また、前回の記事でも書いたように、日本の経済には45兆円という巨大な需給ギャップが生じており、民主党のやるような予算の組み替えでは、来年の7月までに景気がみるみるうちに上昇気流に乗るということはあまり考えにくい状況です。
  これが自民党なら、ご主人様のアメリカ様や外資様にお願いしたり、財務省様に年金資金を突っ込んでもらったりして株価を操作しながら「ほーらこんなに景気がよくなりましたよ」という猿芝居でもやれるのでしょうが、民主党は家計に直接カネを渡して景気を刺激するという方針を採っていますから、幸か不幸かそういう八百長は仕組めません(これから方針が変わる可能性はあるが・・・)。
  そうなると、民主党が次の参院選までに高得点を挙げて、国民の期待をさらに高めることは難しい状況です。

カス政党の再生はできるか

  しかし、だからといって楽観など全くできません。
  なぜなら、追撃の一番手である自民党が、目を覆うばかりの馬鹿政党、凄まじいまでのカスの集まりになってしまったからです。
  ●こちらのリンク先で、自民党の当選した議員を見て下さい。特に、比例で復活している議員(「比当」が付いている)に注目です。

>町村信孝
>小池百合子
>長勢甚遠
>馳浩
>北村茂男
>塩谷立
>松浪健太
>谷畑孝
>高市早苗
>中川秀直
>衛藤 征士郎
>谷川弥一


  はい、そうです。自民党町村派の面々です。もちろん、小選挙区当選組にも、山本拓、高木毅、稲田知美、安倍晋三、西村康稔、下村博文といったメンツが混じっています。もちろん、町村派の番長格である森喜朗も健在です。
  そのほか「消費税パラノイア」の与謝野、小泉の番犬だった武部、安倍チャン(笑)の番犬だった塩崎、保守政党にいるのに夫婦別姓を唱えちゃってる野田聖子、大卒後アメリカのシンクタンクに籍を置いて当選前から親子二代にわたるアメリカの飼い犬ぶりを見せている小泉シンジロー(爆)などなど、もうそうそうたる顔ぶれです。
  こんなメンツが、「今までやってきた構造カイカクは間違いでした!!」と、田舎の車座集会で平謝りできるわけがありません。もう来るべき所まで来てしまった感があります。
  それでも、なんとか保守政党らしい姿勢を見せてほしいものですが、どの議員もドブ板選挙より創価学会の組織票を当てにすることに慣れてしまっているので、なかなか意識の変革はできそうにありません。
  あえてまだ使えそうな人を挙げると、

>園田博之

>額賀福志郎

>平沢勝栄

>石破茂


  くらいでしょうが、どうもパッとしません。平沢はテレビによく出る人なので置いておくとしても、他の3人は「古い自民党」などとマスコミに揶揄されてしまいそうなタイプです。
  そういう人の方が議員としてはまともな活動をしていることが多いと思うのですが、上に挙げたようなカス議員たちは、マスコミが作り出した風に乗って、公明党の組織票と、統一協会その他から無料で貸し出される運動員を使いながら、民主党叩きでもして楽に勝とうという堕落したやり方に慣れてしまっています。
  鳩山代表は記者会見で、「自民党はこの敗戦を肥やしにして頑張ってもらいたい」というような趣旨の発言をしていましたが、そこまでエールを送る余裕があるくらい、自民党は敵ではないと踏んでいるのかもしれません。
  私もなんとか自民党に好意的に書いて上げようと努力しているのですが、額賀さんたち4人を除く上掲のメンバーの名前を見ると「おまえが落選すればよかったんだよ!」と毒づきたくなるようなカス議員ばかりなので、正直気持ちが萎えてきます。
  ともかく、今の自民党では巻き返しが相当難しいということは間違いなく言えるでしょう。
  立て直し策みたいなものについては、一応心の中にないことはないのですが、来月の自民党総裁選があるあたりで、落ち着いてもう一度考えてみます。
  
  最後にもういちど強調しておきたいのは、政権が変わったからといっていきなり民主党流のウルトラハイパーカイカクがすぐに始まるわけではないということです。少なくとも、参院選終了後10ヶ月くらいは猶予があるのは間違いありません。
  ましてや、「民主党が政権を取ったからチュウゴクに併合される!!」とか、「人権擁護法案が成立してネットの言論統制が始まる!!」とか、「在日朝鮮人と日教組に日本を乗っ取られる!!」とか、の○ピーやお塩先生の仲間と疑われかねない奇天烈な発言をして周囲の人を困らせたりしないように(笑)。
  まずは、国民新党(郵政民営化の見直し)や社民党(労働者派遣制度の見直し)に頑張ってもらうことにしましょう。
  そういうわけで、少々すっきりしないながら、この記事は終わらせていただきます。

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2009.08.30(Sun)

【告知】裁判員制度廃止のために、国民審査で「竹崎博充」最高裁長官に×印をつけよう 

  当ブログは、裁判員制度に反対です。

 
  5月22日から実施される裁判員制度は国民に負担を強いるわりに、メリットはほとんどないというおかしな制度です。
  来るべき2009年の衆議院議員選挙では、「最高裁裁判官国民審査」も行われます。「自分は裁判員になりたいくない」というみなさんは、この制度を推進し、最高裁長官にまで上り詰めた最高裁裁判官竹崎博充(たけざきひろのぶ)の名前に×印をつけて、裁判員反対の意思表示をしましょう。


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  (追記につづきます)
EDIT  |  20:00 |  裁判員制度  | Top↑
2009.08.30(Sun)

たとえ絶望の時代が来ても、我々は投票所に足を運ぶべきである 

  これだけは言っておかないと気が済まない、ということをいくつかまとめておきます。

民主党が死んだ日

  自民党支持者の方には残念なことと思いますが、もう政権交代は終わっています。
  民主党は、間違いなく過半数を取り、単独で総理大臣を指名する地位に就きます。
  マスコミが民主党に風を送っているから、というのではありません。民主党で構わないという合意ができたからこそ、マスコミが民主党の味方になったのです。
  残念ながら、今の日本の政治を決めているのは、国民ではありません。国会議員でもありません。巷で言われるような、官僚でもありません。
  では、それが一体誰なのか。簡単に分かります。民主党は、選挙の目前になって、以下のような政策の大転換を行ったからです。

▲在日米軍に関する日米地位協定見直しの撤回
▲インド洋での海上給油活動の継続
▲日米FTAを「推進」ではなく「締結」するとマニフェストを修正


  さらにいえば、小沢一郎が民主党の代表だった時、「米軍の軍事プレゼンスは第七艦隊だけで十分」と口にした途端、西松建設で彼が火だるまになりました。「逆鱗に触れる」というのは、ああいうことを言うのでしょう。
  あの時期を通して、民主党は学んだのだと思います。日本を支配しているのは誰で、逆らえばどうなるのかということを。そして、彼らの要求通りに振る舞えば、メディアや有識者は揃って味方に付くのだと。
  代表が鳩山になった途端に、民主党が息を吹き返したのは、そういう意味があったわけです。あの時に、2007年に国民よりの姿勢を示して勝利を勝ち取った民主党は死んだのです。
  孤軍奮闘していた小沢一郎も、●日米FTAの締結を断固として貫く姿勢を見せています。PKO協力法と小選挙区制導入に燃えていた米英かぶれの若い頃にすっかり戻ってしまったようですが、おそらく、そうでもしなければ選挙に勝てないということが腹に沁みて分かったのでしょう。

景気はよくならない

  民主党が、今までと同じ主人に仕えるとすれば、当然根本的な部分での自民党の路線、すなわちグローバリゼーション推進路線は変わらないということです。
  つまり、今後も労働者の給料は下がり続け、チュウゴク産・中国製の品物が市場を賑わし、貧困層がますます増えていくということです。

  これは単なる煽りではありません。

  今の日本は完全なデフレ状態です。このニュースを見れば中学生でも分かります。

日本経済45兆円の需要不足 需給ギャップが過去最大に
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090601/biz0906012142019-n1.htm

 内閣府は1日、日本経済全体の需要と供給の差である「需給ギャップ」が今年1~3月期に、需要不足を示すマイナス8・5%になったとの推計を発表した。

 マイナス幅は昭和55年の統計開始以来、過去最大。金額に換算すると、年間ベースで約45兆円に上る。平成20年10~12月期のマイナス4・5%、約20兆円から倍以上に急拡大した。

 大幅な需要不足は、物価を押し下げるデフレ圧力を高める要因になる。

 需給ギャップは、年率でマイナス15・2%と戦後最悪を記録した1~3月期の国内総生産(GDP)速報値に基づき推計した。

 需給ギャップのマイナスは20年7~9月期以来3四半期連続。前期から急拡大したのは、世界同時不況で、内外需が総崩れとなったため。これまで過去最大だった11年1~3月期(マイナス5・0%)を大幅に更新した。

 需給ギャップは、経済全体が持つ工場設備や労働力をフル稼働させた場合の潜在成長率と実際の成長率を比較して算出。マイナスになると、物価が下落しやすくなる。内閣府によると、実際の成長率に加え、潜在成長率も1~3月期は、年率プラス0・8%にとどまった。


  こんな状況で、予算を20兆円組み替えたところで、何の効果もありません。
  だからといって、民主党のマニフェストや幹部の発言には、このようなデフレ状態をいかにして解消するかという解答は示されていません。というか、そもそも話題になってすらいません。
  デフレを解消するには、

★消費性向の高い低所得者層に賃金という形で購買力を与えるか、
★さもなければ政府が無理矢理仕事を作って(公共事業)、失業や低賃金状態を解消する


  くらいしかありません。
  しかし、前者については、ますますひどい状況に追い詰められています。帝国データバンクの調査から引用します。

賃金改善を実施する企業は08年度比半減へ
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w0901.html

2009年度の賃金改善、「ある」と見込む企業は27.9%にとどまる

2009年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は1万822社中3,018社、構成比27.9%となり、2008年度見込み(同45.0%)からは17.1ポイント下回った。一方、「ない(見込み)」と回答した企業は同42.0%(4,542社)となり、2008年度見込み(同27.8%)から14.2ポイント上回っており、2008年度まで続いていた賃金上昇圧力は急激に弱まっている。

「ある(見込み)」を地域別にみると、『九州』(同30.3%、240社)で3割を超えているものの、前回調査の2008年度見込みと比べると11.3ポイント低下している(4ページ参考表参照)。特に、『東海』(同25.2%、290社)や『北陸』(同23.1%、116社)では、2008年度見込みから、それぞれ22.0ポイント、21.9ポイントと20ポイント以上低下しており、賃金の改善見通しが大幅に悪化している。

業界別では、『小売』(同33.9%、168社)や『サービス』(同32.1%、475社)、『卸売』(同31.3%、1,082社)が3割を超えた。一方、「ない(見込み)」では、『建設』(同49.9%、739社)や『不動産』(同46.4%、122社)、『運輸・倉庫』(同45.9%、175社)、『製造』(同44.0%、1,350社)などが高い。

企業からは、「100年に1度といわれる先の見えない経済状況では、経費支出すべてに対して慎重にならざるを得ない」(計量測定器等製造、大阪府)や「デフレ傾向で出荷単価が下がるなか賃金改善はできない」(電子部品製造、兵庫県)といった声のほか、「2009年度は正社員の賃金カットが多くの企業で実施されるとみられる」(産業用電気機器卸売、東京都)と今後の賃金動向を見込んでいる企業は多い。

2008年度実績では、賃金改善が「あった」企業は同55.1%(5,958社)と2007年度実績(同59.5%)からは若干の低下にとどまった。しかし、2009年度に賃金改善の実施を見込む企業(同27.9%)は2008年度実績からほぼ半減していることから、2009年度は景気後退が賃金に本格的な悪影響を及ぼすことを示している。


  引用記事は、昨年まで賃金上昇圧力が働いていたと言っていますが、その昨年は年収200万円以下の勤労者が1000万人と突破しました。その前の2007年まで、日本人の平均給与が10年連続減少しています。
  企業としては、グローバル化が進んでいるだの、競争が激しいだの、いろいろ言い訳があるのでしょうが、結局株主配当と役員報酬に多くが回っているのが実情でしょう。なぜなら、1997年から2007年まで、企業の経常利益は2倍になっているからです。
  これを、このブログでいくら批判してもムダでしょう。もう、企業の文化がそういうものになっていまっているのです。マスコミも、スポンサーである以上、そのような企業のあり方について批判をすることはしません。それどころか、低賃金でも仕方がないとか、実は給料は上がっているとか、そういう提灯記事を書いているところばかりです。
  そして、なにより、労働者派遣法の改正などによってそういう状況を追認し、推進さえしているのが、一連の構造カイカクという代物なのです。

  では、公共事業はどうかといえば、これも先が暗いでしょう。

  財政支出を少し増やす、たとえば麻生内閣の12兆円の景気対策でさえマスコミは「バラマキ」を連呼していっせいに非難を行っています。赤字国債を発行して相当額の景気対策をやろうとすれば、総攻撃を食らうのは目に見えています。民主党は自民党以上にメディアの評判を気にする政党ですから、間違いなくそんなことはしません。
  また、そうでなくても財源の問題というのもあります。本来であれば、きちんとした財政支出をしたければ、米国のクリントン政権(1992~2000)が行ったように、高額所得者への課税強化をやるしかありません。高額所得者が収入を50万円減らされても消費性向は変わりませんが、年収200万円の人が収入を10万円増やされれば明らかに消費行動が活発になるのです。
  しかし、民主党はそのような高額所得者への課税強化を一度たりとも話題にしたことがありません。法人税率のアップも検討していません。某超大国といっしょにこの国を動かしているのが経団連や外資のような金持ち連中だということを、民主党はよく理解しているのです。
  このような大企業や金持ち、特に外資の金融資本は、デフレが進めば進むほど土地や株式といった資産を楽に手に入れることができるので、景気回復どころか、どんどんデフレを推進してほしいと思っていることでしょう。

  もちろん、それを全面に出したら、民主党が国民から凄まじいブーイングをくらうでしょうから、「こども手当」のような小手先の対策はやるはずです。
  しかし、それらは全て他の部門の支出を削って行う(つまり、その分の需要が減る)ものです。ビンボー人の財布からカネを抜いて他のビンボー人に配るだけなのです。巨額の需給ギャップを埋める力など全くありません。
  
日本国民は、いちど政治に絶望すべき

  当たり前ですが、民主党でさえそれなのですから、元祖グローバリゼーション推進政党である自民党が、マスコミや経団連に逆らって本当にデフレを止める努力をするとは思えません。
  こんな二つの政党が二大政党だと言われているのです。小選挙区制という仕組みでは、二大馬鹿政党に属せず、強力な個人的魅力のある政治家(たとえば、亀井静香)がいるようなごくわずかの選挙区を除いて、二つの馬鹿グループのどちらかを選ぶように事実上強制されます。

  要するに、国民には選択の余地はないわけです。

  しかも、民主党は政権を取ったら衆議院の比例代表の議席を80議席減らすと公約しています(●こちらを参照)。つまり、二つの馬鹿グループ以外の、多少なりともまともな政党に投票させないと明言しているわけです。暴挙そのものです。
  しかし、民主党は「無駄遣いを減らす」という理屈で、必ずこの法案を実現させることでしょう。そうすれば、マスコミ経由でアメリカや経団連に褒めてもらえることは間違いないからです。
  それならば中選挙区を復活させて・・・と考えても、馬鹿による議席の総取りをやりにくくする仕組みを、とうの二大馬鹿グループが復活させるわけがありません。
  もう面倒くさいのではっきり言ってしまいますが、今後日本の政治は、カイカクと歳出削減、グローバル化を推進する二大馬鹿グループの間でたらい回しが行われるだけです。

  え?おまえは投票に行く気をなくさせたり、政治に対して絶望を植え付けたりしたいのかって?

  植え付けたい、というのは正確ではありません。実情を曇りのない目できちんと見れば、それ以外の結論は出しようがありません。それを、正直に書いているだけです。
  自らの手で生活を打ち立て、困難を克服するのではなく、カネを払って政府や企業に丸投げにするという近代型の経済システムが成立したときから、いつかはこういう日が来ると決まっていたのです。アメリカやイギリスでは、すでに有権者に事実上選択の余地がない二大政党制が成立しています。そして、その二大政党のどちらもが大企業や金融資本に屈服しています。個々の政治家も、票を取るために教育だの福祉だの口にはしますが、大筋ではアフリカや南米と比べれば相対的に豊かな国民から搾り取り、途上国や中国との購買力の差を利用した金儲けを肯定しています。
  日本は、冷戦という特殊な状況や、近代以前に作り上げたもろもろの遺産があって、それが今の今まで遅れてきたというだけなのかもしれません。
  いずれにせよ、日本人は一度「政治家に期待をしてもどうしようもない」ということを、腹に沁みて知るべきでしょう。そこからでないと、見えてこないものがたくさんあるのではないかと思っています。

それでも、投票所へ行こう

  しかし、私はそれでも訴えたいことがあります。

  「だからこそ、投票に行かなければいけない」

  政治に絶望した方がいいんじゃないか、と言っておいて、なぜ選挙に参加しろというのか、理解できないという方もいるかもしれません。
  私が、このような絶望的な状況でも投票すべきだと主張する理由はたった一つしかありません。「カイカクやグローバリゼーションによって殺されるのを少しでも遅らせるため」です。
  自民党は、小泉政権以来完全にカイカク中毒になりました。そうすれば、グローバル企業や金融資本が喜んでカネをくれるからです。そして、馬脚が出そうになったら、右翼的なイデオロギーを振りかざして自分たちは民主党と違って愛国だとごまかしてきました。
  では、民主党はといえば、幹事長の岡田克也や、松下政経塾出身の頭でっかち議員たちを中心にした元祖カイカク派です。小泉政権を超えるピュアなカイカクを推進する可能性が非常に高いということができます。
  そして、公明党は、その二大カイカク政党のどちらかにくっついって、池田大作の野望を少しでも実現できるように行動することになるでしょう。
  彼らの行うカイカクは究極的には全てデフレの深化につながり、グローバル企業や外国勢力にとって喜ばしい結果につながるのです。 
  その大きな流れを完全に断ち切るのは難しいとしても、あっという間に中国やジンバブエのような阿修羅地獄に突き落とされるのか、スローダウンさせて足抜けするチャンスをうかがうのかでは、大きく違ってきます。
  たとえ多数派を形成できなくても、委員会質疑などで民主党の足を引っ張れれば十分です。会期が変わればお流れになる法律も結構あるので、単なる審議引き延ばしも効果がないわけではないのです。
  だからこそ、明日、というか、今日の投票では以下のような行動を取るべきです。繰り返しになりますが、書いておきます。

1.比例では、絶対に「自民党」「公明党」「民主党」に投票しない。

  実質的に自民党(というか小泉純一郎)の別働隊である「みんなの党」にも投票してはいけません。勝った方にくっついて、カイカクを扇動するような役割を期待されているのがみんなの党です。「改革クラブ」というのも同様です。

2.小選挙区では、まず上の三つの政党以外の候補に投票する

  (1)国民新党
  (2)社会民主党
  (3)新党日本
  (4)平沼グループ所属の無所属議員


  これらの候補者に投票するといいでしょう。(4)以外の無所属候補は、当選後ほぼ間違いなく民主党か自民党に入党しますから、避けた方が無難です。
  また、共産党については、小選挙区で投票しても死票になるだけなので投票してはいけません。

3.自民党と民主党の一騎打ちの選挙区は、より「カイカク派」でない候補に入れる

  今からでも遅くはないので、議員のホームページをチェックしてみて下さい。「改革」「無駄遣い(バラマキ)撲滅」「地方分権」「官僚支配の打破」といった、カイカク派チックなキーワードがたくさん使われていたら要注意です。比較して、より少ない方に投票するべきでしょう。
  経歴にも注意です。外資やコンサルティング会社に勤務した経験のあるタイプは、頭が米英的な合理主義にかぶれてイッてしまっている人が多いので注意すべきです。一番注意すべきなのは、「松下政経塾出身」という経歴です。ここの出身者には、中田宏(前横浜市長)、前原誠司(民主党前代表)などがおり、無税国家を理想としたピュアなカイカク派がぞろぞろいます。
  また、次のグループに所属している議員は、一片の狂いもないカイカク派(笑)であり、警戒レベルを最大に引き上げるべき政治家達です。
  リンク先で自分のところの候補者か確認しましょう。

  ●自民党町村派
  ●民主党凌雲会(前原グループ)

  特に前者の勢力は、自民党を離党して小泉純一郎をい核としたを結成する可能性が高いです(もちろん、民主党との連立が狙い。真の目的は憲法改正)。絶対に、絶対に投票してはいけません。

4.最高裁裁判官国民審査では、「竹崎博充」(たけざきひろのぶ)に×をつける

  これは個人的なお願いです。竹崎は最高裁事務局時代に裁判員制度を立案したこの制度導入の元凶です。東京高裁からいきなりの最高裁長官就任も、裁判員制度導入の論功行賞だと言われています(つまり、先ほど述べた日本を支配している人びとにとって都合が良いということ)。
  他人の裁判をのぞき見ることが社会への参加だとはどうしても思えません。冤罪の片棒担ぎもまっぴらです。他の裁判官はどうであれ、必ず竹崎博充には×をつけてください。

  今日は書きませんが、私はカイカクが暴走するかどうか、本当の勝負は2010年の参院選だと思っています。この選挙で、民主党が単独で参院過半数を取れるかどうかが決まるからです。
  そういう意味では、まだ参院で国民新党や社民党がウダウダ言って暴れる余地がある今後の1年は、少なくとも国民がのたれ死にする危険はありません。
  国政というグローバリストの利益実現の場を頼れないとしたら、我々はどうすればいいのか、その辺は今後惜しみなく発信していくつもりです。なにしろ、私もまだ準備中なので、あまり大きなことが言えないのが残念なところです。
  いつかみなさんに、これからの時代を生き延びる方策をお教えできるように精進したいと思っています。もちろん、無料ですのでご安心下さい(笑)。

  それでは、衆院選の結果が出たらまたお目にかかることになるでしょう。
  みなさんが、賢明な投票をなさることを期待しております。

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2009.08.27(Thu)

グローバル化に対する是非というのも、投票の指針になると思う 

  マスコミと学者がつるんでやっている調査や提言にはあまり見るべきものがないと思っている方ですが、この調査結果はかなり面白いので、みなさんにも紹介しておきます。
  ただし、書いた人間の解釈や価値判断が入っている箇所がある(段落の最後の文に注意)ので、そこは飛ばして読んだ方がいいでしょう。いわゆる「メディアリテラシー」の訓練になると思います。
  なお、本文で「グローバル化」と「グローバリゼーション」というのは、ほぼ同じ意味だと理解して下さい。どちらも、「利益の極大化のために、文化や国籍の違いを無視もしくは破壊するような措置を執ること」という意味です。

マニフェストからは見えてこないもの――グローバル化に関する衆議院議員の政策選好
http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0908/0908090502/1.php

学研究費基盤研究(A)「グローバル化と国内政治」プロジェクトチームは、ハーバード大学グローバル化研究グループ及びインターネット新聞社「ザ・選挙」と共同して、衆議院議員全員に郵送とファックスによるアンケート調査を行った。ここでは議員ごとの回答結果の大要を公開するとともに、プロジェクトチームの久米郁男早稲田大学政治経済学術院教授と直井恵カリフォルニア大学サンディエゴ校政治学部准教授がデータに基づいて分析結果を明らかにする。

 政党別と選挙区別の回答議員内訳は以下の通りである。

【政党別内訳】

自民党:61名
民主党:46名
公明党:7名
共産党:2名
社民党:4名
国民新党:3名
新党大地:1名
無所属:4名

【選挙区別内訳】

小選挙区:71名
比例区:57名


I.調査の目的と結果

 アメリカのサブプライム・ローン問題に端を発した金融危機は、世界同時不況をもたらすにいたった。米国オバマ政権の「バイ・アメリカン条項」案を巡る議論をみても、この世界不況にどう対応するかが各国政治の一大争点となっている。では、総選挙を目前とした日本においてはどうであろうか。各党のマニフェストに見られるように、大きな政府—小さな政府が主要な対立軸なのであろうか。あるいは世界経済の中で、日本は自由貿易体制を堅持していくべきか、適宜保護主義をとっていくべきかという対立軸が他の先進諸国同様、存在するのだろうか。このプロジェクトは、この問いを一般市民と政治家を同時対象に、グローバル化に対する態度のアンケート調査を実施し答えようとするものである。具体的には、貿易や工場の海外移転の増大、外国人労働者受け入れの増大に関する態度を聞いた。

(1)政治家のほうが市民よりもグローバル化に積極的

 外国からの輸入の増大について、それを良いことと考えるか悪いことと考えるかを聞いたところ、「悪いこと」(どちらかと言えばを含む。以下同じ。)とする議員はわずか4.9%であり、「良いこと」が41.5%である。これに対して、工場の海外移転と外国人労働者の増加については、「悪いこと」と答える議員が、それぞれ17.9%と13.8%と多くなる。しかし、いずれの設問でも、「良いこと」が18.7%と15.4%と拮抗している。

 一方で、早稲田大学(グローバルCOE「開かれた政治経済制度の構築」)と読売新聞が2009年2月に共同して行った「日本人の社会的期待に関する意識調査」研究(代表 田中愛治早稲田大学教授)において、一般市民に全く同じ質問をした。そこでは、外国からの輸入に対して「良いこと」とする回答者は20.9%、他方工場の海外移転と外国人労働者の増加について「悪いこと」とする回答者がそれぞれ32%と22.6%である。政治家の方が一般市民よりもグローバル化に対して積極的であることが分かる。

(2)グローバル化は格差をもたらすか:メリットとデメリット

 ただし、グローバル化の進展が格差の拡大をもたらすと思う比率は、政治家と一般市民でそれぞれ43.9%と45.9%であり、ほとんど差がない。政治家も一般市民も、グローバル化の「弊害」を同程度意識しているにも関わらず、政治家のほうがグローバル化を進めることに肯定的であることは興味深い。政治家が保護主義を防ぐ役割を果たしていることを示しているようである。

(3)政党間の違い

 では、政党間でグローバル化に対する態度はどのように異なっているだろうか。外国からの輸入を「良いことである」と答える比率は、自民党で46.6%、民主党で38.6%である。工場の海外移転を悪いこととする比率は、自民党で13.3%、民主党で25.5%、外国人労働者の増加を悪いこととする比率は自民党が11.7%、民主党が13.7%である。自民党の方が、グローバル化に対してやや積極的であるようだ。ただし、グローバル化が格差を生むとの認識を持つ議員は、自民党で41.6%、民主党で40.9%とほとんど差はない。自民党も民主党もグローバル化のデメリットは同じように認識しているが、自民党の方がそのメリットを重視していると言うことかもしれない。

II.グローバル化への対応を含む政策選好地図:対立軸はなにか

 今回の調査では、グローバル化に関する質問に加えて、それ以外の政策争点(安全保障、財政、公共事業など) についての一般的な質問も併せて聞いている。以下では、多次元尺度法を用いて、各政党の議員が政策地図の中でどのような位置を占めているかを見ておこう。我々の調査データから、議員の政策に対する選好が二つの次元に整理できることが分かった。第1の次元は、安保・外交における「ハト派」と「タカ派」の次元である。第2の次元は、大きな政府を志向するか小さな政府を志向するかのそれである。ここで興味深いことは、この第1の次元は同時にグローバル化に慎重か積極的かの次元でもある。以下の図は、この2次元政策地図上に回答していただいた個々の政治家をプロットし、政党所属を明示したものである。地図上の距離が近ければ近いほど、議員の政策位置も近いことを示す。

  チャート

 ここからは、大きな政府—小さな政府という第2次元では、自民党と民主党の議員の間に明確な差がないことが分かる。それぞれの党内での政策的立場の広がりは同様に大きい。これに対して、第1の次元である、安保・外交あるいはグローバル化への態度の次元では、自民党がタカ派的であると同時にグローバル化に積極的であり、民主党はハト派的であると同時にグローバル化に慎重である姿を読み取ることができる。安全保障・外交に関する質問をのぞいて政策地図を作成した場合には、第2次元(大きな政府—小さな政府)はそのままに析出でき、第1次元はグローバル化への態度になる。ここでもやはり自民党と民主党を分けるのは大きな政府を志向するかではなく、グローバル化への態度の次元になる。

 この議員調査結果をみると、各党マニフェストで焦点になっている「大きな政府—小さな政府」と「その財源」を巡る議論は、現実には政党間を差別化する政策イシューではなく、政治の前面にでてこない安全保障とグローバル化こそが議員や政党を峻別する軸となっていることが分かる。市民の立場にたってみれば、今回総選挙の帰結は、大きな政府か小さな政府という内政上の政策選択だけでなく、安全保障とグローバル化への態度という国際政治や世界経済の中の日本の政策選択に影響を及ぼすことになるのかもしれない。と同時に、政治学研究上は、なぜ安全保障・外交の対立軸とグローバル化への対立軸が重なり合うのかが興味深い問いとして提示された。安全保障はアメリカに任せて、自由貿易の利益を享受しようとする吉田路線を巡る政治対立が、安全保障に積極的に関わってグローバル化の果実を享受しようとする立場を巡るそれへと変化してきているのかもしれない。


  首を傾げたくなる部分は、ここです。

>政治家が保護主義を防ぐ役割を果たしていることを示している

  マスコミや知識人が限られた紙面で読み手を洗脳しようとする時によく使う「キーワード攻め」という手法です。
  本来であれば、ここでいう「保護主義」というのがどのような政策の傾向で、どのような利害得失があるのかという点を論証しなければならないはずです。それにも関わらず、何の説明もなしに保護主義=悪という価値判断を前提にして話を進めているのは不当です。
  別に私自身が保護主義を推進しろと主張したいわけではありません。ダメならば、なぜそれがダメなのかを説明しなければいけないと言いたいのです。
  このような論調のまずさは、

>政治家の方が一般市民よりもグローバル化に対して積極的であることが分かる。

  という部分と比較するとよく分かります。これは、その前に掲げてある数値が政治家の方が高いことから客観的に判断できます。要は、行間に書き手の価値判断が入っていないということです。
  私がテレビでニュースを見ることを進めないのは、送り手の価値判断がどこに挟まれているかを判断するゆとりが与えられていないからです。そう考えると、新聞や雑誌は、「価値判断を取り除いて情報を拾う」ということが出来れば、結構読む価値はあるのではないかと思います。
  なお、この考え方からすれば、各新聞の社説や、「天○人語」のような下らないコラムは、全く読む価値がないということになります。これらの記事は価値判断の塊であり、「どういう方向に人を誘導したいのか」を楽しむという、悪趣味な目的くらいしか利用価値がありません。

  このブログを読んでいる方ならお分かりだと思いますが、私はグローバリゼーションには反対です。理由は簡単で、私みたいなショボイ庶民には、グローバル化してもほとんど利益がないからです。
  安い輸入品が手に入るようになったといっても、その結果国内の労働者に給料が払われずデフレになれば私の給料も一緒に下がっていくわけです。外国人に門戸を開放したら、自分の職が奪われるわけです。それが嫌なら努力しろという人もいるでしょうが、今でも職業に必要とされる努力はしているわけで、それ以上の努力を強要されるいわれはありません。ましてや、デフレなどと言うマクロの現象は自分ではどうにもならないわけで、それを努力がどうの、自己責任がどうのと言われても困ります。
  そういうわけで、私はグローバル化を肯定し、推進するような政治家は不要だと思っています。この世から消えてなくなれとは言いませんが、あまり大きな顔をしてほしくないものだと思います。
  せめて、保護貿易がダメだというなら、こういう私の意見に対する反論程度のものは提示してもらわないと納得できません。(このブログの立場は、貿易そのものを縮小しても構わないというものであり、保護貿易は次善策程度にしか考えていないので注意)

>政治の前面にでてこない安全保障とグローバル化こそが議員や政党を峻別する軸となっていることが分かる。

  これはなかなか良い分析だと思います。データ分析の帰結ということもあり、余計な価値判断が入っていないのも良いです。
  ラーメン屋やスーパー銭湯なんかでテレビを強制的に「見せられる」ことがあるのですが(笑)、マスコミの選挙の取り上げ方というのは、どうも財源だの個々の政治家の失言だの、ずれた感じがするなというのが正直な印象です。
  書き手が馬鹿だというのが大きな原因ではあると思いますが、穿った見方をすると、マスコミはグローバリゼーションの可否を論点にされたくないのかもしれません。彼らのスポンサーは経団連起業や外資金融であり、日本国内がデフレになり、グローバル化が進めば進むほど利益を得られる立場にあります。個々の国民はチュウゴク産の食品など食べたくもないし、外国人労働者と一緒にやっていく気もない人が大勢を占めているので(素朴な生活感情としては当然)、「世界の流れはこうだ」「学識者はこう言っている」などと吹聴して、なんとなくそういう方向にもっていきたいのです。ちょうど、戦前にマスコミが扇動して「なんとなく」戦争に突入してしまったように。

  もう一箇所、面白い箇所はここです。

>安保・外交あるいはグローバル化への態度の次元では、自民党がタカ派的であると同時にグローバル化に積極的であり、民主党はハト派的であると同時にグローバル化に慎重である姿を読み取ることができる。

  政党がまるで民主と自民だけだと言いたげな論調はいけ好かないとしても、ここもアンケートから出てきた結果をもとにしていて安心して読めます。
  正直、これには私も驚きました。民主と言うというと、グローバル企業の利益を第一に考える松下政経塾出身者や、社会党出身の地球市民的サヨクがうじゃうじゃ生息していて、グローバル化を礼賛する人がかなりたくさんいると推測していたからです。
  もっとも、これは民主党が少ないというより、自民党にグローバル化にむやみに賛成している馬鹿がたくさんいるということの裏返しかも知れません。小泉カイカクを進め、気骨のある議員を追い出していくうちに、自民党はすっかりグローバリゼーション推進政党になってしまったようです。
  もっとも、清和会を除いて、グローバリゼーションを推進しているという意識は希薄でしょう。上の引用文で紹介されているように、自民党には「吉田ドクトリン」という、面倒な外交や安全保障はアメリカに丸投げして、貿易黒字で経済発展をすることに集中するという行動規範がありました。アメリカが寛容だからこそ成り立ってきたやり方なのですが、その流れと、昨今のグローバリゼーションが同じようなものだと、少なからぬ議員が勘違いしている節があるのです。
  現代のグローバリゼーションが冷戦下の輸出拡大と同義だと思っているというのは、重大な事実誤認でしょうから、いずれにしろ自民党の議員達には国民生活を左右する立場を委せておく理由はないと言えます。

  ●冒頭のリンク先には、回答した個々の議員のアンケート回答結果が出ています。みなさんの衆院小選挙区候補者もいるかもしれません。投票の際の参考にするとよいかと思われます。
  もっとも、「完全に自分の主張と合っていないから」という近視眼的な見方はやめてほしいものです。多分、理想に合う政治家はいませんし(自分と同じ人間などいない)、今後も出てこないと思っていた方がいいです。政治家にあり得ない夢を託すのではなく、我々自身がやらなければならないことをやる方が大切です。

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2009.08.19(Wed)

最近気づいたこと 

  更新が少なくてすみません。連日塾の方で夏期講習があり、お盆休みの間も東北に行ったり富山に行ったりで、あまり時間がありませんでした。
  明日から仕事なので、今日は家事や骨休めをいたします。あまり本格的な記事を書けなくて申し訳ありませんが、お盆休みの経験を通じて気づいたことを書いておきます。

  たいしたことではないのですが、ここのところで、わかり合える人間というか、多少の差異を無視して共にやっていける人の類型が明らかになりました。

  それは、男性ならば、

・農作業を嫌がらない
・大工仕事を厭わない


  このどちらかに当てはまる人で、女性であれば、これに加えて、

・家事、特に針仕事を厭わない

  という要素のどれかを満たす人です。これを抽象化すると、

・自分のことを他人に投げない人間
・手間のかかる作業をカネで解決しようとしない人間


  ということになるでしょうか。さらに、この論理を敷衍すると、

・すぐに面倒くさいと言い出す奴
・やらない言い訳ばかり口にする人間



  は、他の要素がどれだけ優れていてもNGということになります。

・物事をやるとき文句を言う人間

  というのは、二種類に分かれると思います。
  ひとつは、やり始めると真摯に取り組む人間で、もう一つは、二度目からその作業から逃げ出す人間です。前者は単なる食わず嫌いであり、一度口に入れると「結構うまいな」とか言い始める単純な人間といえるので、害はありません。しかし、後者は上に挙げたNGの人間です。

  ここで大事なのは、このような分け方は言語的な表現とは関係がないということです。たとえば、人にきかれて「家事は得意です」と答える人イコール好きな人というわけではないということです。そうやって「自分はこういう人間だ」ということを表出したがる人は、肝心の時に役に立たないタイプが多いのではないかとすら思います。
  なにしろ、肝心の場面になったとき、黙って仕事に取り組む人間であるかどうかが大切です。
  そのような人の特徴をもう一つ挙げておくと、

・独立している

  ということが言えます。何かに寄りかかっていないので、タブーだとか右翼左翼みたいなスタンスがない、あっても固執しないという傾向があるようです。
  裏を返せば、右翼だとか左翼だとか保守だとか地球市民だとかいう連中は、現実の問題を観念で解決しようとする人間であり、政府のカネや暴力装置(警察など)を当てにしているどうしようもない人間だということです。
  私自身、そういう人間だった時期があるわけですが、それでも今にいたってコメント欄で韓国や中国や左翼を感情的に貶し、あふれるメディアリテラシーで「消去法で自民党」とか言っていた人たちはこのブログから遠ざかっていきました。また、私自身もそういう人たちのブログや掲示板には足を向けなくなりました。お互い、何か感じるものがあってそうなったのでしょう。
  たまに政局のことを書くと「そういう感じ」の人が寄ってくるのは、まあなんというか、近代国家における政治が観念の現実化という不毛な作業であることに尽きるのではないかと思います。
  そういう余計なものに惑わされず、本質を俯瞰できるブログとして細々とやっていきたいと思います。みなさん、これからもどうぞよろしく。

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2009.08.06(Thu)

平安・鎌倉・室町~時代のエトスについて(4)〔神戸訪問記その1〕 

  長らくお待たせして済みません。●こちらの歴史の話の続きです。
  7月中旬にたまたま休みが取れたので、関西の友人を訪ねがてら、平清盛ゆかりの地を回ってみました。しばらく、その時の写真を交えながら話していきます。書いているうちに「日本探訪」の方の旅行記なんだか、歴史の話なんだか分からなくなってしまいましたが、どうかご覧下さい。

  平清盛といえば、「日宋貿易」です。どんな教科書にもこれは必ず出ています。
  清盛が、日宋貿易に取り組んだ理由はいくつかあって、まずは単純に天下を取ったので次にやることはなんだろうと探したら外国との貿易だったということです。
  もちろん、それをやるからにはメリットがなくてはいけないわけですが、日宋貿易の場合は「宋銭」という目玉商品がありました。
  宋というのは、その前の唐王朝と違い、なるべく武力を用いずに平和に平和に中国を治めようとした王朝です。それゆえ、武断政治を避け、商業の発展を国の第一方針にしていました。商業を活発にするには、簡単に交換できる手段を作らなければいけないわけで、それが大量の宋銭の発行につながっていきます。この宋銭は、すでに10世紀には日本にも入ってきており、その質の高さや量の手頃さから、やがて西日本で流通を始めました。
  平清盛は、安芸(広島県中央部)や播磨(兵庫県西部)の国司を務めたことがあり、その時代に瀬戸内海の海賊を伊勢平氏の中に組み込むということをやっています。じっさいにそのことが清盛の権力の源泉の一つになっているわけですが、宋銭がモノを買う手段として大いに使えるということは当然理解していたでしょう。
  これは、権力者のたどる一つのパターンです。貨幣というのは、本来物を交換するための手段に過ぎないわけですが、交換する物が増え、流通の機会が膨大になると、物を直接生産するより貨幣を手に入れる方が手っ取り早く必要な物を手に入れられるようになります。貨幣の発行や流通を司る者が経済を制するのは当然のことです。
  ユダヤ系の財閥に「ロスチャイルド家」というところがありますが、その当主だったマイヤー・アムシェル・ロスチャイルドという人物が、「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」 と言ったのは、このことを物語っていると言えるでしょう。清盛と平氏は通貨の発行権こそ持っていませんでしたが、中国から宋銭を輸入して近畿地方に運ぶことができる唯一の勢力だったわけですから、ロスチャイルドの言うような地位に就いていたと言えます。
  この頃、後白河法皇が、側近と図って、「宋銭は公式の銭ではないから、流通に用いてはならない」ということを朝廷で主張したことがあるそうです。これは、平氏の台頭を快く思わない後白河法皇が、彼らの力の源である宋銭を否定し、平氏を押さえ込もうとしたものだと評価することが出来ます。

  その清盛が取り組んだ大きな事業が二つあります。一つは、「大輪田泊(おおわだのどまり)の整備」であり、もう一つが「福原遷都」です。
  前者は国際貿易港の整備、後者はその大輪田泊の近くへの遷都という壮大な計画ですが、まずは大輪田泊の方から見ていくことにしましょう。

  清盛が整備した大輪田泊は、今の神戸市兵庫区にある「和田岬」一帯に当たります。

     
大きな地図で見る

  大阪湾は、周囲の河川から流れ込む土砂の堆積で浅くなっている場所が多いのですが、大輪田泊の辺りはそれがなく、天然の良港jということができます。これは、幕末の兵庫港開港、そして現在の国際貿易港である神戸港の利点でもあります。
  昔は和田岬に行くとなるとJR兵庫駅から朝と夕方だけ走っている支線に乗っていくしかなかったのですが、今は地下鉄海岸線を使って、神戸の中心である三宮から簡単に行くことができます。
  地下鉄の和田岬駅を出て、少し歩いてみることにしましょう。

     和田岬1
   海を背に「清盛塚」や「平相国廟」のある方へ向かうと、三菱重工の関連会社の建物の塀にこんなものが描いてあります。神戸造船所の中にある●和田岬砲台です。幕末に海岸防備の必要性から備えたもので、設計したのはあの勝海舟です。

     和田岬2

     ●和田神社(わだみや)です。江戸時代の17世紀中頃に尼崎藩主が造営したもので、主神はイザナギ・イザナミの子供である蛭子大神(えびすおおかみ)です。なんでも、蛭子大神が淡路島から本州に渡ってきたときに最初の一歩を踏みしめたのが和田岬だったとか。今も昔も、この地は良い港だったということなのでしょう。
  兵庫工業高校の脇を通り、北の方に向かうと、十字路の角に「兵庫住吉神社」があり、その一角に「清盛塚」があります。

     清盛塚

  地元の人には清盛の墳墓だと信じられていたようですが、市電の開通に伴いこの場所に移転し、その時の調査でお墓ではなく供養塔だということが判明しました。移転に反対する市民も多かったみたいです。それだけ、港町神戸を歴史の中に登場させた人物への思慕があるということなんでしょうね。

     大輪田橋

  港の方に行く道の途中に橋が架かっており、大輪田泊にちなんで「大輪田橋」と名付けられています。黒く焦げているのは、昭和20年に米軍の空襲を受けた際の傷跡です。
  古代の大輪田泊はどんなだったのだろうと、想像してみるために、港湾施設の間を縫って海に向かいます。

     大輪田泊を望む1

  一応、この方向に大輪田泊があったようですが、昔の海岸線は影も形もありません。

     大輪田泊を望む2

  やっぱり分かりませんね。当たり前ですが(笑)。
  今の神戸港を象徴するものは、どちらかというとこういう設備でしょう。

     巨大クレーン

  工事用のクレーンか何かのようですが、ここまで大きいとは思いませんでした。清盛の時代には、港がこんなものができるとは想像できなかったでしょう。
  しかし、モーメント(動力)は変わったとしても、ベクトル(方向)は清盛の頃から変わっていません。この神戸港の水面も、大輪田泊の水面も、はるかかなたの中国の海とつながっているのです。ここにはないものを、あちら側から持ってくるという、貿易の本質は、清盛の頃と今とでは全く変わっていません。
  私は普段、食糧自給率が大事だとか、入会地を中心に共同体を作ろうとかブログで書いていますし、将来は秩父や比企郡の山の近くで農業でもやって暮らしたいと思っている人間ですが、こうやって港に来ると、いわゆる「シーパワー」というもののもつ魅力が分かるような気がします。この海がどこかで違う世界につながっていると思うと、そこに行ってみたくなります。おそらくその行程は、暦に従って去年と同じことを繰り返す農村での生活より、はるかに面白いはずです。
  農村、つまりランドパワーの持つエートスというのが、二足歩行する人間が、生きるために共同生活を営むという人間の本質に向けられているとすれば、シーパワーのエートスは、未知のものや不確定な未来に対して挑戦するという、人間のもう一つの側面を表していると言えないでしょうか。どちらが優れているとかいう問題ではなく、あえていうならどちらも人間の持つ本能の現れではないかと思うわけです。
  だから、シーパワーの外とつながろうとするベクトルを「売国奴を生む」と切って捨てるのもどうかと思いますし、ランドパワーのベクトルを「時代遅れで効率が悪い」と言い切ることもできません。今は石油文明なのでシーパワーの方が優位に立っているように見えますが、よくこのブログがみなさんを脅すために(笑)持ち出す●石油減耗が進めば、いずれ逆転する可能性もあるわけです。
  その場合もシーパワー的なものは死なないし、むしろそれは場所を限定して我々がより良い生活を送るために生かしていくべきではないかと思うわけです。
  
  場所を変えて、清盛塚からさらに北へ向かいます。私が和田岬を訪ねた日は、生憎と昼下がりになってから天気が崩れてしまいました。
  細かい雨が降る中、たどり着いたのは「能福寺」です。9世紀初頭に伝教大師(最澄)が開いたと言われるお寺です。
  平清盛は「入道様」などと言われることもありましたが、後で述べる福原遷都に伴い、頭を剃って仏門に入ったからです。その儀式を行ったのがこの能福寺だと言われています。

     神戸大仏

  いわゆる「神戸大仏」といわれる大仏様です。明治23年に、地元の有力商人の浄財によって建立されました。なんでも、戦時中の金属集めで初代が入滅(笑)され、今あるのは二代目だそうです。
  その傍らに、「平相国廟」があります。

     清盛供養塔

  清盛が亡くなった後、お坊さんが遺骨を持ち帰ってこちらに葬ったという言い伝えがあります。ただし、こちらの写真にある塔は、源平合戦後、平氏ゆかりの建物がことごとく破壊されたことを残念がった執権・北条貞時が、弘安9年(1286)に清盛を弔うために作ったものです。
  さらに、この港町の歴史を物語る碑が境内にひっそりたたずんでいます。

     神戸事件の碑

  ●神戸事件で、責任を取って切腹した滝善三郎を称える記念碑です。かつて永福寺という別のお寺にあったものを、こちらに移設したものです。
  神戸事件は、備前藩の武士に対して狼藉を働いたフランス人との間のいざこざから、銃撃戦にまで発展したもので、●堺事件と並んで、開国間もない時期に起きた外交問題の一つです。
  最終的に、滝善三郎が切腹をすることでこの一件を収めることになりますが、今までの常識からすれば当然のことを行ったのにもかかわらず、詰め腹を切らされた滝のことが可哀想でなりません。
  しかし、この記念碑が物語っていますが、彼の死が無駄死にだったということは決してありません。私は実は、堺事件は知っていても、この神戸事件は知りませんでした。恥ずかしいことです。
  戦争で亡くなった方々もそうですが、神戸の町の繁栄も、我々の平和な生活も、このような歴史の教科書にも載らない、もちろん入試にも出ない無数の人びとの犠牲によって支えられているに違いありません。
  そうだとすれば、我々が子供達に教えなければいけないのは、愛国心を持てとか、天皇陛下のために死ねだとか、自己実現のための努力しろだとか、そんなものではなく、滝善三郎のような人物がいたのだということ、そして、そのような犠牲が決して無意味なものではなかったのだということなのではないでしょうか。
  そんなことを考えながら、小雨の中、新長田駅の方へ向かいました。以前神戸に来た時立ち寄った「そばめし」の店に行こうと思ったのですが、残念ながら時間が時間なので閉まっていました。
  変わりと言ってはなんですが、大阪の梅田で友人と待ち合わせる前に、その人に勧められた店でこんなものを食べました。

明石焼きたちばな

  三宮センター街の外れにある「たちばな」というお店の明石焼きです。たこ焼きの一種だと思って口に入れたら、ほとんど卵焼きといってもいいような感じでした。だし汁につけて食べるのが普通ですが、実は辛口のソースを付けて食べた方がおいしいです。そういうわけで、後半はだし汁を飲み物として頂きました(笑)。

  次回は、福原遷都について書きます。

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