FC2ブログ
2009年06月 / 05月≪ 123456789101112131415161718192021222324252627282930≫07月
2009.06.05(Fri)

中国は「良いゲスト」ではあるが、決して「正会員」になれない 

  ●こちらの記事で書いていた、中国の資源獲得のための「野望」がご破算になったようです。

リオ・ティント、中国アルミとの提携中止「価値失った」
http://www.asahi.com/business/update/0605/TKY200906050190.html

英豪の資源大手のリオ・ティントは5日、中国非鉄大手の中国アルミニウムと2月に合意した資本提携を取りやめると発表した。代わりに、既存株主を対象に152億ドル(約1兆4700億円)規模の新株を発行。豪西部の鉄鉱石事業では、英豪資源大手のBHPビリトンと合弁会社を設立するという。

 リオのジャン・デュ・プレシス会長は「2月以降、金融市場は著しい改善を見せており、中国アルミとの取引は価値を失った」と説明。既存株主からの強い反発にも考慮したという。

 リオと中国アルミは2月、中国アルミがリオの転換社債を引き受け、豪州などのリオの鉄鉱石鉱山に出資するなど195億ドル(約1兆8800億円)を投じることで合意していた。中国アルミの熊維平社長は5日発表した声明で「この結果には非常に失望している」と述べた。


  この記事は、「グローバリスト」である米英の世界経済支配層が、中国という国をどう見ているか非常によく分かる記事だといえます。
  すなわち、中国が世界中にデフレ輸出をまき散らし、自分たちに利益を与える「道具」として振る舞う分には高く評価する(そして、その役割から生じる利益を享受することを許す)が、貿易や金融取引の分野において影響力を有する「支配側」に加わることは絶対に許さない、ということです。
  戦前は、日本がそのような役回りにいました。日露戦争までの日本は、英米の金融資本による投資(国債引き受けや武器弾薬の輸出)先としては非常に有望な国でした。しかし、第一次大戦で戦勝国となったことで、英米が数百年かけて狙いを付けてきた中国市場に日本が乗り込んでくると、徐々に硬化した姿勢に転じました。日英同盟の消滅、九カ国条約、アメリカにおける日系移民排斥運動といった英米の締め付けは、全てそのような文脈で理解できます。
  そのような締め付けに対して反発した日本は、結局「空気が読めない」つけを、焼け野原と300万人の死者という形で払わされました。
  アメリカによって開国し、イギリスに育成された大日本帝国が、世界の支配構造を変えるというのは、彼らにとって「暴挙」であり、許すことはできなかったというわけです。

  このようなことを書くと、日本を愛する方々には、「鬼畜米英何するものぞ」という気持ちが湧いてくる方もいるかもしれません。

  こういうことを言うと、愛国心あふれる方には失礼かも知れませんが、今中国の指導者層が味わっている気持ちもそれと同じなのです。
  米英、特にアメリカは、取引相手の国に対して、市場の透明性や参入障壁の除去を強烈に求めてきます。よく言われる●「年次改革要望書」など、分かりやすい粗暴犯(笑)に過ぎません。政府民間問わず、公平さを装う英語メディアや、留学経験のある学者や客員教授の知識人といった「トロイの木馬」を使って情報操作を仕掛けてくることなど日常茶飯事です。
  そして、彼らの論理からすれば、カネがある人間がどこかの国の資産を買いあさろうと、文句を付ける筋合いはないはずです。
  しかし、今回のリオ・ティントを巡る騒動を見れば分かるように、米英の支配層は中国資本の「侵略」に対してはきちんとガードをしてくるのです。他人に対しては門戸開放を求めながら、自分たちは他からの侵入は許さないわけです。
  まったくひどい二枚舌ですが、第一次大戦までのヨーロッパや、キリスト教の生まれた二千年前のパレスチナなどは、殺すか殺されるかの日常だったわけですから、向こうとしては「騙される方が悪い」と思っていることでしょう。
  中国としては納得がいかないのでしょうが、米英が仕掛けるグローバル貿易システムに乗っかって掴んだ「繁栄」など、しょせんその程度の徒花でしかありません。何度も言及しているように、中国の最大の弱点は、ランドパワー(大陸国家)でありながら、シーパワー(海洋国家)の構築した貿易や金融という仕組みを利用しなければ繁栄できない、下手をすると国家統一の維持すらできない脆弱さです。
  本来であれば、中国は不毛なグローバル競争の土俵から下りて、自然環境に調和した形の新しい文明を模索すべきなのでしょう。老荘思想のように、それを可能とする哲学もあります。しかし、一度(一部の人間だけであるにせよ)味わってしまった文明の果実は、なかなか簡単に捨てられるものではありません。
  まだ中国側の怒りが臨界点に達していないとは思いますが、今後似たような案件が頓挫する度に、中国は欧米に対する反発を募らせることになるでしょう。それが、変な方向に爆発してしまわないように願いたいものです。

★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。



スポンサーサイト



EDIT  |  15:03 |  地政学・国際関係  | TB(0)  | CM(13) | Top↑
 | BLOGTOP |