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2009.06.28(Sun)

【小泉王国】 もうあなたには「前方への逃避」しか残っていません 【崩壊寸前】 

33歳吉田氏が初当選、小泉元首相応援の現職破る/横須賀市長選
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjun0906775/

任期満了に伴う横須賀市長選は28日投開票され、無所属新人で元市議の吉田雄人氏(33)が、現職の蒲谷亮一氏(64)、弁護士の呉東正彦氏(49)の2人を破って初当選した。吉田氏は県内の現職首長で最年少、全国の現職市長で3番目に若い。36年間続いた官僚出身の市長に終止符が打たれた。

 厳しい状況にある地元経済の活性化のほか、人口減少対策、3100億円に上る市債残高を抱える市財政の再建などが争点になった。激しい選挙戦が繰り広げられ、組織に頼らず草の根選挙を展開した吉田氏が制した。

 吉田氏は「チェンジ」を旗印に、市民の声を反映させる市政の実現を訴えた。勝手連的に集まった大勢のボランティアの後押しで政策本位の選挙戦を展開。無党派層を中心に、民主や自民の支持層まで食い込んだ。

 全戸配布したマニフェスト(政権公約集)では、目標期間を定めて地域経済活性化や財政再建策などを提示した。蒲谷市政に飽き足らない有権者の受け皿として支持を広げていった。

 蒲谷氏は、小泉純一郎元首相や支援する自民、公明、民主など30人を超す市議に加え、県議、連合系民間労組がそれぞれの組織を固める作戦を中心に臨んだ。1期4年の実績に基づく政策実現能力の高さを訴え、支持拡大に努めた。しかし、現状からの変化を訴える吉田氏の勢いを止められなかった。


  比較的恵まれている神奈川県の自治体ですら、こういう意思表示をするようになったことは、国民の意識に変化が生じている一つの証左かもしれません。
  しかし、だからといって、国政レベルで小泉一派(自民党町村派+山崎派+小泉チルドレン)の影響力が消えたわけではありません。窮鼠猫を噛む、と言います。自らの衰勢を否定すべく、小泉や彼の仲間が乾坤一擲の賭けに出る可能性もあります。
  それが、以前から指摘している「小泉新党」です。
  ●以前の記事で予測したとおり、聚落の一途を辿る自民党は、東国原・宮崎県知事を自陣営に取り込みに来ました。おそらく、橋下大阪府知事にも水面下で打診をしているのでしょう。
  東国原は「自分を総裁候補にしろ」「知事会の主張をマニフェストに入れろ」と、足下を見た要求をして味噌をつけたようですが、自民党という「旧来型の政党」では無理だとしても、小泉が後見人となって作る新党であれば、そういう大転換が可能だということです。郵政選挙も、そういう小泉の大ばくちと、それを全面的にバックアップしたメディアの力が相まって空前の大勝利になったことを忘れてはなりません。
  横須賀市長選の結果は、小泉カイカクというデフレ政策が、地元ですら受け入れられない代物だということを示してはいます。しかし、それをもって「もう小泉は終わった」などと即断するのは早急に過ぎるでしょう。今回の結果は、ただ単に党派色の強い候補が嫌われただけという見方もできなくはないからです。
  よしんば、小泉の首を取ったとしても、小泉カイカクの「成果」が具体的に覆されない限り、日本国民の苦しみは続くということを忘れてはなりません。我々が戦わなければいけないのは、分かりやすい偶像ではなく、その背後で蠢いているメカニズムそのものなのです。
  むしろ、今後は民主党が妙な動きをしないか、特にデフレを継続する政策を採らないか、注意深く監視する必要があります。
  どのみち民主党が政権を担当しても、中央銀行が発行する減価しない貨幣に基づいた近代経済システムの弊害について、根本的な解決はなされないでしょう。それでも、現野党がここで粘ってくれないことには、次の段階に行くまでに日本が崩壊してしまいます。
  次の衆議院選挙にあたっては、野党の議員、ならびに候補者の方々には、必勝を期す気構えで臨んでほしいものです。

  なお、衆議院選挙の際は、最高裁裁判官の国民審査も行われます。裁判員制度に反対される方は、この制度を最高裁事務局時代に立案した「竹崎博允」最高裁長官に×印をつけましょう。
  
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2009.06.18(Thu)

現代の奴隷商人が裁判員制度を歓迎する理由 

  ●昨年の記事で、パソナという人材派遣会社が、誰が頼んだわけでもないのに「裁判員に選ばれたら有給休暇をあげます!」などと太っ腹を見せているというニュースを取り上げましたが、どうも派遣会社というのは裁判員制度に対して異常に前向きな節があります。
  同じパソナですが、今年に入ってからこんなイベントをしています。

パソナ 派遣スタッフ向けセミナー開催
http://www.pasonagroup.co.jp/news/company/2009/p09011501.html

制度開始迫る!『裁判員制度ってなに?~もし、裁判員に選ばれたら~』
総合人材サービスを展開する株式会社パソナグループ(本社:東京都千代田区、代表取締役グループ代表 南部靖之)は、パソナグループの派遣登録社員を対象に、今年5月から実施される「裁判員制度」について、制度の概要や実際に選出された際の対応などについて学ぶ『裁判員制度ってなに?~もし、裁判員に選ばれたら~』を1月15日(木)、30日(金)に開催いたします。

今年5月に控えた「裁判員制度」の開始に向けて、裁判員の「候補者名簿」に名前が記載された方に通知が送付されました。実際の裁判では、名簿の中から裁判員候補者が選出され、1つの裁判で50名から100名が選出されます。その割合は年間で330名から660名に1人の割合で選ばれるといわれています。パソナグループは、就業中の派遣社員が裁判員に選出された場合、普段の生活や収入を損なうことなく安心して参加できるよう『特別休暇制度』を設けるだけでなく、裁判に馴染みのない方にとって精神的に大きな負担になる恐れがあることから、24時間365日対応の電話相談窓口を設けるなどメンタルケアを行ってまいります。

そこで今回、いよいよ目前に迫った「裁判員制度」について、派遣登録社員の方が安心して制度に参加できるよう、基本的な制度内容と、実際に自分が選出された際の対応などを学んでいただくセミナー『裁判員制度ってなに?~もし、裁判員に選ばれたら~』を開催いたします。

『裁判員制度ってなに?~もし、裁判員に選ばれたら~』概要
日時 1月15日(木)、1月30日(金)、2月2日(月)、2月23日(月)
19:00-20:30
「裁判員制度とは」 (DVD上映60分)
「制度説明・質疑応答」
場所 倶楽部PASONA-表参道-
(東京都渋谷区神宮前1-13-9 3階)

JR原宿駅徒歩3分
千代田線明治神宮前駅徒歩1分
対象 パソナグループ派遣登録社員
定員 30名 (無料)
問合せ 株式会社パソナ SR本部
TEL:03-6734-1060


  1回では飽きたらず、もう一回やっています(笑)。

『来るべき時のために今学ぼう!裁判員制度セミナーin表参道』4月27日(月)開催!
http://www.pasona.co.jp/news/job/2009/09042302.html

あなたも裁判員になる可能性があります

これまでに開催したすべての回で大好評をいただいた「裁判員制度セミナー」。
皆さまの声にお応えし、再び4月27日に表参道で開催します。
今回は東京地方検察庁・検察広報官の方をお招きし、DVDを観ながら
実際に自分が裁判員になったつもりで審議をしてみる「体験型」のセミナーです。
実際に裁判員に選ばれたら・・・人ごとではなく、事前に準備しておくことは大切ですよね。
この機会に知識をつけて、来るべき日に備えませんか?

(中略)

【日時・場所】 4月27日(月) 19時00分~20時30分
倶楽部PASONA -表参道- 3階 イベントホール
【内容】 ・有名俳優出演「DVD」の観賞
・東京地方検察庁 検察広報官による「裁判員制度」の解説
・審議シュミレーション
【参加費】 無料
【定員】 30名


>この機会に知識をつけて、来るべき日に備えませんか?

  たかだか1時間半のセミナー(しかもメインはDVD鑑賞)でどんな知識が身につくのか、大いに疑問です。しかし、とにかくこのパソナという派遣会社の入れ込みようは半端ではありません。

  裁判員制度に対して好意的な大手派遣会社はパソナだけではなかったりします。

アデコ、裁判員に選任された派遣スタッフ全員を対象に有給休暇を付与 (08/12/3)
http://jinjibu.jp/GuestNewsTop.php?act=lst1&id=2764&gr=8

総合人材サービス企業のアデコ(東京都港区、マーク・デュレイ 会長兼社長)は、この度、2009年5月21日から実施される『裁判員制度』に伴い、裁判員として選任され、審理に参加する、アデコで就業中の派遣スタッフ全員の約62,000人を対象に、最大5日間の有給休暇を付与する規定を定めました。

さらに、選任手続きのみで約半日裁判所へ出向く必要がある派遣スタッフに対しても、半日分から1日分の有給休暇を付与します。大手人材サービス企業で、就業中の全派遣スタッフを対象に、裁判員制度で裁判員として審理に参加、または選任手続きのために裁判所へ出向く方々に有給を付与する規定を定めたのは、大手人材サービス企業でアデコが初となります(*)。

アデコでは、全就業中の派遣スタッフの中から、年間約150人以上が裁判員候補者として選任されることを見込んでいます。派遣スタッフの皆様が裁判員に選任された場合、選任手続きや審理に参加するために休暇を取り、収入が減少することを心配されることなく安心して社会に貢献するとともに、社会的責任を果たしていただけるようにするため、当有給休暇付与の規定を定めることにいたしました。

今後も派遣スタッフの皆様には、アデコのモットーである“better work, better life”(より良い仕事、充実した人生) を実現していただく環境づくりを継続してまいります。

【 就業中の派遣スタッフが裁判員に選任された場合の特別休暇(有給休暇)規定 】
■ 付与条件/日数
・ 裁判員として審理に参加した場合:審理に要した日数(最大5日)を付与
・ 裁判員候補者として選任手続きのみ行う場合: 半日分から1日分の特別休暇を付与

■ 賃金
・ 年次有給休暇取得時の給与相当額を支給


>アデコのモットーである“better work, better life”(より良い仕事、充実した人生) を
>実現していただく環境づくりを継続してまいります。

  裁判員制度なんぞ存在しない方が「より良い仕事、充実した人生」を送れるような気がしますが、そういうことはあまり問題ではないのでしょう。
  大手をもう一つ紹介しておきます。業界では古株のテンプスタッフです。

就業スタッフの皆様へ 裁判員制度 特別有給休暇のお知らせ
http://www.tempstaff.co.jp/campanera/temp_info/index.html

裁判員に選任されたら

就業中のスタッフの皆様が裁判員に選任され、出頭する申請があった場合、該当日について特別有給休暇を付与いたします。呼出状が手元に届きましたら、出頭日の5日前までに担当営業、コーディネーターまでご連絡ください。

取得するための要件

・契約期間中の就業日に就業できない状況であること

  ※契約期間外、および休日の申請はできません。

・裁判員(候補者・補充裁判員含む)として、選任手続き~判決に立ち会うために裁判所に出頭する必要があること

  ※裁判所から発行される「裁判員等選任手続期日のお知らせ(呼出状)」、および「出頭証明書」の複写を提出いただきます。

・出頭日の5日前までに事前申請すること

  ※出頭日の5日前までにテンプスタッフの担当者にお知らせください。

付与される日数

実際に出頭した日を特別有給休暇扱いとします。日数に制限はありません。


  さすが業界の老舗、日数に制限はないそうです。もちろん、長引きそうな事件の場合は派遣先を紹介しなければいいだけの話です。

  「アヴァンティスタッフ」は、こんな布教活動を行っています。

田淵 浩二先生 / 裁判に対する意識が、変わる!?裁判員制度から、社会問題の真相を探る。
http://www.e-avanti.com/fuku/semi/item/11084

裁判員は、一般常識でできるもの

 でも、いざ自分が裁判に参加すると思うと不安ばかり…。そう話すと、先生はこう教えてくれた。「裁判員は、何も裁判官と同じことをするわけではありません。裁判官に勇気を持って裁判に臨んでもらうために参加するんだ、と考えてみましょう」。たとえ裁判官であっても、重い事件の判決にはかなり勇気が必要で、迷うことも多いそうだ。そんなとき、一般市民の意見を教えてくれる裁判員は、裁判官にとってとても心強い存在になるという。

 また、私たちにとっても裁判員を通して得るものは多いと先生。「今、私たちは報道を通してしか事件を知り得ません。しかし、裁判員として事件に関わることによって、事件そのものを見る機会が増えます」。なぜ、こんな事件が起きたのか、と事件の本質を考えることで、社会問題に目を向けるきっかけが生まれる。裁判員制度によって、私たちの法律や社会に対する目が養われるだろうと、先生は語ってくれた。今回のゼミでは、具体的な疑問や不安を解決しながら、裁判員制度について詳しく学んでいく。なかなか触れる機会のない法律や社会問題を知るきっかけとなるだろう。


>裁判員として事件に関わることによって、事件そのものを見る機会が増えます
  
  事件そのものを見ることで、我々の生活に何がどうプラスになるんでしょうか。
  余談ですが、殺人事件の容疑者の名前を実名で報道するのも大いに疑問です。名前を知ったところで、よほど近所に住んでいる人間でもない限り、実名を知って何をどうしようというのでしょう。
  外国を例に挙げるのはあまり良くないと思いますが、同じく裁判員制度を敷いている韓国では、容疑者の名前は逮捕の段階で「キム某」などと伏せられるのが一般的なようです(韓国では名字が日本に比べてバリエーションが少ないため、これでも十分プライバシーが守られる)。冤罪だった場合の報道被害を考慮すれば、妥当な仕組みだといえるでしょう。

>社会問題に目を向けるきっかけが生まれる。

  なんだかもっともらしいことを言っているように見えますが、これこそよけいなお世話です。社会問題に目を向けるか向けないかは、個人の自由です(社会問題を知らなくても生きていけるし、それ以上のものを求めるのはその人の勝手)。税金をつぎ込んで強制的に「きっかけ」を作られるのは、思想良心の自由や人格権の侵害といってもいいでしょう。
  要するに、裁判員制度を正当化しようとする人間は、この程度のことしか言えないのです。「国民の常識を反映させる」とは言えても、それによって何がどうよくなるのかという点については全く論証できません。まさか、市民の常識を反映させれば事実認定がより正確になるとは言えないでしょうし(職業裁判官の否定につながる)、冤罪があっても一般国民に責任を転嫁できるなどと言われたら誰も裁判員をやりたがらなくなってしまいます。
  それでも、派遣会社がわざわざPRをせざるを得ない動機が必ずあるはずです。一体なんなんでしょうね?

  もう一つ、面白いところを紹介しておきます。

5月から始まる裁判員制度。もし選ばれたらどうしますか
http://www.yomiuri-tys.jp/pdf/saibanin.pdf

人を裁くことが不安。
仕事も休めないし。だけど、よほどの理由がないと拒め ないんでしょう。
休んだら給料も減っちゃうし。 どうしよう・・・・

裁判に出席することを拒むことは難しいかもしれません
でも、東京読売サービスなら、裁判で仕事を休んでも、給料はしっかりと出ます

東京読売サービスは裁判員制度の導入に合わせ、いち早く特別有給休暇の付与を決めました。1か月以上の雇用契約を結んでいるスタッフが裁判所の求めに応じて裁判に従事した場合、裁判所が証明する期間のうち、派遣先の業務に従事できなかった日数分、年次有給休暇とは別に有給休暇を差し上げます。

お支払いする給料は、裁判のために仕事を休んだ日数×所定労働時間×時給です。1日の実労働時間が7時間、時給1,500円のスタッ
フが裁判のために3日間休んだら、3日×7時間×1,500 円で合計31,500円を翌月の給料日にお支払いします。裁 判所からも1日最高1万円の日当が支払われますので、金銭面ではとってもお得です。

安心して働いていただける環境づくり
それが私たち東京読売サービスのポリシーです


  赤字の部分は、あまりに腹が立ったので揶揄する意味で強調しました(笑)。

>東京読売サービス

  ●こちらで見てみると、あらまあ、「読売」と名前の付いている派遣先がぞろぞろ出てきますね。
  これが、いわゆる「グループ内派遣」というやつです。事務作業をする正社員をリストラして、その分を株主配当や役員報酬に回すという、派遣制度の中でも、悪質の度合いではトップクラスの行為です。マスコミが労働者派遣制度に対して批判ができないのがなぜか、この会社を取り上げるだけで丸わかりです。

  このように、派遣会社が、頼みもしないのに裁判員制度に対してハリキリぶりを見せているのは、もしかしたらこういう筋書きがあるのかもしれません。

1.裁判員制度が定着し、対象事件が拡大する

  根拠は、制度施行に合わせて、わざわざ国選弁護人の対象事件を拡大したことです。「手続保障が十分なされている」という名目で、裁判員対象事件を拡大する布石になります。司法試験の合格者激増でこれから「激余り」が予想される弁護士さんも、仕事ができてさぞかし嬉しいことでしょう。

2.正社員では業務に支障を来すケースが増える

  日本で有給休暇をまともに消化している正社員の話を聞いたことがないので、10日間程度休んだだけでも事実上職場での立場が厳しくなるでしょう。きちんとしたポジションに就いている人であれば、取引に臨席できないなど、かなりの「被害」が予想されます。

3.正社員から派遣労働者への置き換えがさらに進む

  裁判員から管理職を除外するという規定ができれば完璧でしょう。「裁判員にいつ取られてもいいような職種は、みんな派遣で」という風になるかもしれません。

4.派遣会社ウマー

  幹部候補生を除く従業員のほぼ全てに派遣を使うようになったら、さぞかし売り上げもアップするでしょう。パソナの飼い主である外資系投資銀行などもお喜びあそばされるに違いありません。もちろん、働いているスタッフは契約が切れたらおしまいという状況は何も改善しません。
  派遣会社の懐具合はどうかといえば、今は老舗の良心(笑)を見せているテンプスタッフあたりも、「業界のスタンダードに合わせて」などと称して最大5日間の有給休暇付与に切り替えるので問題はないでしょう。6日目からはただの欠勤扱いにすればいいわけですし、裁判員に行った人の代わりは他にいるわけです。

  馬鹿馬鹿しい話ですが、昨今の日本企業の体質からすると、裁判員制度というのがリストラの正当化に使われる可能性はかなり高いと言えます。
  そういう事態を招かないためには、裁判員制度が「定着」してしまう前に、具体的に言えば、制度の検証を法務省が明言している施行後3年間の間に、できるだけ騒いでおくことです。
  一番簡単に起こせる「騒ぎ」は、今度の衆議院選挙と一緒に行われる最高裁裁判官の国民審査で、裁判員制度導入の元凶である「竹崎博充(たけざきひろのぶ)」最高裁長官に、できるだけ多くの×印をつけることです。日本国の主権者は法務省でも最高裁でもなく、国民です。人を裁くことを強制されない自由があることを国民審査で見せつけてやりましょう。

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EDIT  |  06:19 |  裁判員制度  | TB(0)  | CM(10) | Top↑
2009.06.16(Tue)

国際社会という「魔女狩り社会」の中で、いかに生きていくべきか 

日本の性暴力ゲーム、「香港の青少年に悪影響」=性文化学会で批判―香港
http://www.excite.co.jp/News/china/20090615/Recordchina_20090615009.html

2009年6月、香港性文化学会主催のシンポジウムにおいて、香港中文大学の梁麗娟(リャン・リージュエン)教授は日本の性暴力ゲームが香港の青少年に大きな影響を与えていると発言した。14日、中国新聞網が伝えた。

香港紙・大公報によると、梁教授は「テレビゲームは設定された難題をクリアすることで大きな達成感を得られ、子どもたちにゲームを遊び続けるよう促す機能がある」と指摘した。こうしてゲームを続けることによって子どもが性や暴力に慣れてしまうと、成長後に暴力で問題を解決を図る、孤独でねじ曲がった性格の持ち主になってしまい、さらには人を傷つけることをなんとも思わないようになってしまうという。


  香港のメディアが「性暴力ゲーム」という言葉を使っているのは、もっと前にそういう言葉を使い始めた人びとがいるからです。

性暴力ゲームの製造・販売禁止へ、人権団体の抗議受け-業界団体
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90003011&sid=a.TunFCmDRNk&refer=jp_asia

 日本のゲームメーカー233社が加盟する一般社団法人「コンピュータソフトウェア倫理機構」は4日、人権団体による国際的な抗議で英議会でも問題となった性暴力を描写したゲームソフトの製造・販売を禁止する方針を明らかにした。

  同機構には国内アダルトゲームメ-カーの約9割が加盟している。

  性的暴行を扱うゲームをめぐっては、ロンドンを拠点とする女性人権団体「イコーリティ・ナウ」が抗議活動を展開したことがきっかけとなり、国際的な関心がここ最近高まった。この団体は「女性や少女らへの性暴力を常態化させ、煽るような」ゲームの製造・販売禁止を法務省など関係省庁に求めた。

  矢野経済研究所の調べによると、アダルトソフトゲーム業界の 2007年の売上高は341億円。同年のパソコンソフトの売上高は800 億円だった。


  ここで冒頭の記事に戻ると、早い話が、欧米の人権団体が騒ぎ始めたので、中国のメディアが尻馬に乗って日本製性暴力ゲームを叩いているということになります。
  こういう記事を紹介すると、感情的に反発する方もいらっしゃると思いますが、そういうことを抜きにして全くドライな視点で見てみると、国連主導でフェミニズムが猖獗を極めている昨今の国際社会では、正直日本の「性暴力ゲーム」は立場が弱いと言えます。
  おそらく、今後は暴力的なものに止まらず、広く「エロゲー」と言われるものが指弾されていくことになるでしょう。日本製のゲームは性欲の対象になる女性が低年齢層(に見える描写)であり、児童ポルノという名目でいくらでも叩くことが出来ます。
  たとえエロゲが性欲解消、ひいては性犯罪の抑制に役に立っているとしても、そういうことは問題ではありません。会社や学校がそうであるように、国際社会も建前で運営されています。「売春のおかげで強姦や強制わいせつが少なくて済むんだ」などということは多くの人が理解していることですが、公式の場でそういうことを口にする人はいませんね。それと同じことです。
  もちろん、香港の連中も、裏では喜んで「性暴力ゲーム」をパソコンにインストールしていろいろ励んでいる(笑)のでしょうが、そんなことは自白しなければ分かりません。

  そういう中で尻尾を出してしまうと、寄ってたかってバッシングが始まるわけです。

  バッシングするというのは、いろいろ目的があると思います。まず、日本が世界的に見ても一定の地位や経済力がある国だということです。叩くことで負い目を負わせれば、国際機関を通じた援助やビジネスの交渉で有利になるかもしれません。日本と経済的に利害が深く関わっている国には、より大きく妥当するでしょう。
  また、日本という異物を作ることで、自国政府の支配を正当化できるという側面があります。たとえば、中国や香港における性風俗の乱れは、日本のアダルトビデオや性暴力ゲームのせいだということにしてしまえば、当局は責任を取らずに済みます。日本でも、何かあるとすぐ北朝鮮の例を持ち出してくる人間がいますが、「日本(の政府)がいかにマシか」ということを言いたいためにそういうことをするわけです。
  一番大きいのは、ガス抜きです。人間には攻撃性というものが本来備わっており、暗黙の了解や社会的な規律が厳しい社会では、それを発露する機会がないというのが現実です。そこで、ある国なり集団なり個人なりを「悪魔化」し、それを叩くことでストレスを発散させているということです。
  嫌な話ですが、日本の性暴力ゲームというのは、米英や香港の政府当局に、こういう目的を達成するきっかけを与えてしまったのです。それが良いか悪いかは問題ではありません。そういうのが現実だということです。
  冷戦後になって急に出てきた「従軍慰安婦」や、日本のGDPが世界2位になったあたりから急に言われるようになった「捕鯨」というのも、そういうネタの一つだということです。

  、国際社会というのは、「魔女狩り」に近いことをやっているといえます。魔女狩りについて、非常に本質をついた指摘をしているブログ記事があるのでご覧下さい。

「400年以上も西欧世界で吹き荒れた『魔女狩り』の本質」
http://sun.ap.teacup.com/souun/256.html

・・・ローマカソリックの『魔女狩り』について結論を先に言ってしまえば、「ローマカソリック組織が、経済的権益という自己保身のために“キリスト信仰者”の根絶やしを計りながら、さらなる経済的利益を同時に追求した“宗教戦争”である。

おまけとして、“信仰者”を徹底的に辱め最後は殺害まで行って楽しんだものだった」と考えている。

・・・「異端審問」は、“悪魔崇拝者”が、自らの正体である悪魔崇拝性を包み隠すことなく、それがあたかも標的となった“信仰者”の本性であるかのように言い立てたものである。

“悪魔崇拝者”でないものを“悪魔崇拝者”だとし、いずれにしても殺してしまうことを前提にしていながら、身体的な拷問と性的なものを中心とした侮辱を与え、生きながらにして火あぶりにするということで、喜びと悪行性を倍加させたのである。

さらには、財産の没収だけではなく、異端審問から火あぶりに必要な薪代までのすべてのコストを“魔女”の負担として、莫大な蓄財を行った。

このため、その地域の資産家は、『魔女狩り』の大きな標的となった。

“悪魔崇拝者”ならではの厚顔無恥で強欲な所業であり、『魔女狩り』は十字軍に代わる金儲けの手段として位置づけられたのである。


「400年以上も西欧世界で吹き荒れた『魔女狩り』の本質ー2」 
http://sun.ap.teacup.com/souun/257.html

・・・「異端審問」でとりわけ重視されたのが「色魔性」であったことも、“悪魔崇拝者”の本性をよく示したものである。

“悪魔崇拝者”自らが、悪行とされる乱交や男色そして小児性愛をこよなく愛していたからである。

(現在でも、カソリック司祭のこのような問題が表面化したりしている)

だからこそ、各地で、若くて美しいと見られていた娘が魔女狩りの第一の標的となった。

信仰と正義の名のもとで、罪を問われることなく公然とわいせつ行為にひたることができたのである。

身体に付けられた悪魔の印を見つけるためと称して、裸にするわ、性器付近の毛を剃るわの自制心を一切かなぐり捨てたご乱行を繰り返した。

魔女とされた人の尋問(拷問)状況の記述を読むと、まるでエログロ小説(「日本書紀」にも少しあるが)である。

“精神性”の欠片もないSM小説を読まされているようなものである。


  どうでしょうか。私が現代の国際社会を「魔女狩り」の世界だと思っているのは、

(1)教条的な大義名分を掲げ、多数で少数を一方的にバッシングする
(2)汚い本音(中世の魔女狩りなら財産略奪や陵辱)を隠している
(3)コントロールセンターから発信される情報でバッシングが正当化されている


  という共通点があるからです。
  (1)では、その社会で正しい理念であるとされていて、疑問を呈することが許されないものが使われます。中世ヨーロッパなら「神の言葉」であり、現代なら「人権」「民主主義」「環境」などといったものがそうでしょう。「グローバル化」というのも、そういう概念になりつつあるかもしれません。
  (2)については、先ほど述べたとおりです。
  (3)はわかりにくいかもしれませんが、「こいつはこういう風に悪い奴だ。みんな、叩け」という命令を暗に示す機関なり集団があるということです。中世ヨーロッパなら「異端審問官」「カトリックの神父」「プロテスタントの牧師」がそうでした。
  では、今そういう役目を果たしているのはどこかというと、「メディア」です。ぶっちゃけた話をしてしまえば、アメリカとイギリスの英語メディアだということができます。
  彼らの特徴は、対象を徹底的に悪魔化して、理解できない人間(たち)だということを繰り返し宣伝することです。相手も人間として社会生活を営んでいる以上、共通点はたくさんあるわけです。そういうところを知れば、仲良くするのは無理にしても、そういう連中が存在してもいいと思うくらいはできます。しかし、コントロールセンターである異端審問官やメディアは、「こんなに違う」「こんなにおかしい」という点だけを抽出して、それにふさわしい情報(聖書の一節や映像・音声)を付加して喧伝するわけです。
  世の中を動かすには、コアな思想を持っている2割ではなく、どっちつかずの8割を狙うのが鉄則です。日々そういう情報を発信して、バッシングを正当化していけば、その8割も消極的にバッシングに賛成するようになります。
  もうお気づきだと思いますが、こういう構図は学校における「いじめ」と全く同じです。国際社会というのは、美しいものでもワクワクするものでもなんでもなくて、ちょっと変わったり目立ったりすると叩かれる陰惨な社会だということです。
  別に一般庶民がそこまで意識して何か行動をしろなどとは言いませんが、政治家や官僚になる人たちには、そういう現実を認識してもらいたいものです。

  では、そんな国際社会で生き抜くにはどうすればいいのでしょうか。

  一つは、カウンターで情報を発信できるようになることです。
  たとえば、捕鯨なら、管理捕鯨を行えば地球規模での漁業資源の維持に役立つこと、エロゲーなら、性犯罪の抑制に役に立っているということ、そういうことを世界に向けて発信し、マイナスの情報を打ち消すことです。裏を返せば、こちらも異端審問官になってしまえばいいのです。
  しかし、そういう手段をとることができるのは、今の世界では英語メディアを握っている国、要するにアメリカとイギリスだけです。フランスやスペインのように、世界各地にその言語を使用する人口がいる国でさえ、この2カ国には勝てません。それくらい、情報力では隔絶しているのです。
  フランスやスペインでさえ無理なことが、欧米と言語体系が全く違う日本語を使っている我々にできるわけがありません。いまさら英語をやっても、米英には追いつけないでしょう。だから、このルートで対抗することはほぼ不可能です。
  当たり前ですが、日本の文化や伝統を好きになってもらっても無意味です。世界にいくら「オタク」「日本マニア」を増やそうと、建前の世界では勝てません。

  もう一つは、徹底的に外国の要求に従うことです。
  たとえば、●自民党所属の女性議員で、「○界日報」というどっかのカルト宗教のメディアに頻繁に記事が出ている、安倍チャンの仲間である彼女のように、ついでだから児童ポルノ法案まで強化して規制してしまえと言い出す人は、欧米の人権団体からの要求を忠実に反映して動いていると言えるでしょう。この人に限らず、社民党や共産党、民主党の左派議員というのも、欧米の声を日本の国内に反映させる仲介者になっています。
  しかし、このやり方も、エロゲーならまだなんとか我慢できなくはないものの、そのうちあらゆる分野で「欧米の声」に耳を傾けなければいけない事態を招く可能性があります。現に「規制緩和」や「民営化」というのは、外国(主にアメリカ)からの「日本のシステムは閉鎖的である」という指摘に対応した形で始まったものです。自分たちにとって利益になるかならないかをきちんと考えずに、外国の批判を聴くというのは危険です(もちろん、向こうもそれが狙いである)。
  外国の言いなりになり、言われたまんまに制度や慣習を作り替えるなどというのは暴挙です。GHQの占領、金融ビッグバン、小泉カイカク…もうこれ以上自分で自分をレイプするような真似はすべきではありません。

  そうだとすれば、日本に残された方法は、「テキトーにやりすごす」ことくらいしかありません。
  すなわち、こういう記事が出てきてもあまり感情的にならず、かといって変な純潔さを発揮して徹底的な規制をやるでもなく、テキトーに取締りをする振りをしてごまかしまくるのです。
  もちろん、そういうところをチクチク批判してくる「欧米の人権団体」や「海外メディア」はあるでしょうし、それがダメなら中国や韓国(日本人の多くが優越感を持って見ている「下の」国)を使って感情を煽るようなやり方も使ってくるかもしれません。しかし、それでも反応してはいけません。ビクビクするから虐められるのです。
  それ以上に私が言いたいのは、もう今の日本が指向している方向性、すなわち、外の世界にオープンになり積極的に国際社会に関わろうという姿勢を改めた方がいいのではないかということです。
  この記事をご覧になっただけでお分かりだと思いますが、国際社会というのは「みんな仲良く」という、日本人なら当たり前に受け入れられる発想が全くない社会です。江戸時代以前の日本の歴史を見ても、身分制度や「えたひにん」のようなものがあったにせよ、「魔女狩り」のような異端排除の暴挙が行われたことは、少なくとも公には行われませんでした。
  そういう日本人が、国際社会でいっぱしのプレーヤーになって、自分に有利なようにルーレットを回す側に回れることは、おそらくまずないでしょう。戦前に国際連盟の常任理事国になれたのは、イギリスがバックに付いていたからです。そのバックがいなくなった途端に戦争の時代に突入し、最後にはボロボロにされました。
  バカみたいにものを作って輸出するという経済ではなく、自分たちに必要なものを必要な限度でまかなっていくという経済に転換していけば、外国との過度の関わりはなくなります。どうせそのうち石油が利用不能になるのですから、内側で経済循環を完結させる仕組みを今から作っていくべきです。このブログで何度も言及している「地域通貨」や「入会地」というのは、そのために必要な道具です。
  もちろん、それを今の社会でいきなり実現することは難しいでしょうから、世界の経済が石油減耗に合わせて縮減していくスピードに合わせて、徐々にスローダウンさせていくのがベストです。そうすれば、あとは国防と情報収集をしっかりやればいいだけになります。貿易は昔みたいに限られた場所(たとえば沖縄や新潟)だけを開いておけばいいでしょう。
  今の経済や貿易の仕組みをそのままにしたままでは、日本は「国際社会」の都合に合わせて右に左に振られることになり、下手をすると近隣諸国と戦争をさせられる羽目になるかもしれません。
  今その時に出てくるニュースに腹を立てたり喜んだりせず、もっと先にどういう国にしていくべきなのか、そこまで考えておけば、揺り動かされても平気なのではないかと思います。

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2009.06.08(Mon)

金川被告の反社会的言動は、「裁判員制度」のPR材料なのかもしれない 

犯人が法廷で吐いた暴言の数々(ゲンダイネット)
http://news.livedoor.com/article/detail/4190440/

●「人を殺すのは蚊を殺すのと同じ」

 なぜこんな男に命を奪われなければならなかったのか――。茨城県土浦市のJR荒川沖駅などで9人を殺傷して殺人罪などに問われた金川真大被告(25)の第3回公判が3日、水戸地裁で開かれ、被告人質問に立った金川は「(人を殺すことは)蚊を殺すことと同じだ」と言い放った。

 黒いシャツにジャージー姿で入廷した金川の証言は最初から“異常者”だった。弁護人から「罪の意識は感じるか」と聞かれ、「感じない。ライオンがシマウマを食べる時、悪いと感じるのか」と平然と言ってのけたのだ。

 その後も「(殺そうと思ったのは)10人ぐらい。数の根拠は特にない」「適当にふらふら歩いていたら家が見えた。(殺したのは)たまたまだ」「(連続殺傷時の心境は)うまく刺せん、切れんと思っていた」などと淡々と話し、被害者や遺族に対する罪悪感や反省の様子は一切ナシ。動機についても、ひたすら「死刑のため」と強調し、「なぜ自殺を考えないのか」との質問には「痛いから。失敗すれば苦しむから」と身勝手極まりない理屈を並べ続けた。

 一方で、「魔法を使いたい。冒険に行きたい」「(ゲームやファンタジーの世界が)好きだし、直接、味わいたい」と現実逃避する発言も度々あり、弁護人が責任能力を確認する場面もあった。金川は一体何を考えているのか。

 新潟青陵大の碓井真史教授(犯罪心理学)はこう分析する。

「欧米の銃乱射殺人でも見られるように、最近の大量殺人者に共通するのは『自分を認めてほしい。愛してほしい』という欲求です。疎外感が強く、『いつかデカイことをして一発逆転だ』と殺人に走るのです。犯人の多くはその後、自殺しますが、今回は踏み切れなかったのではないか。公判の言動から、初めて注目される身を楽しんでいるかのようです。反省の弁がないのも『自分の非を認めたら負け』とでも思っているのではないでしょうか」

 遺族はやり切れない。


 昨年の秋葉原大量殺人事件のように、常軌を逸した事件がある度にこういう類の記事が出てくるのですが、今回は被告人の言動に焦点が当たっており、日刊ゲンダイの書き手の感想が、

>なぜこんな男に命を奪われなければならなかったのか

  という、非常に主観的で感情的なものになっています。
  日刊ゲンダイというのは、毎日一面で麻生首相に政権を任せておくと日本が終わりだと書いている当てにならないタブロイド紙ですが、実はこの茨城の事件の審理については、他のマスコミも結構記事にしています。たとえば、毎日新聞の記事があります。

土浦の8人殺傷:金川被告「殺人に善悪ない」 独特の主張繰り返す
http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20090604ddlk08040112000c.html

 「自分でギロチンのボタンを押すより、人に押してもらう方が楽だから」。土浦市のJR荒川沖周辺で8人連続殺傷と別の殺人事件を起こしたとして、殺人罪などに問われた同市中村東3、無職、金川真大被告(25)は3日に水戸地裁(鈴嶋晋一裁判長)であった公判で、事件の動機をこう説明した。先月の初公判では黙秘に近かったが、今回は積極的に主張する姿勢に転じた金川被告。しかし遺族が座る傍聴席への配慮の言葉はなく、独自の善悪観を語り続けた。

 金川被告はグレーのTシャツにジャージー姿で証人台に座った。証言によると、高校時代に父親から与えられた哲学書をきっかけに、「人を殺すことに善悪はない」「すべては運命に支配されている」という考え方にたどりついたという。

 常識を批判する一方で死刑制度を利用しようとした理由について「自分にとって都合のいい制度」と説明した。事件から1年たっても裁判が続いていることに「(裁判は)形式主義でくだらない。おとなしく捕まってしゃべっているのだから、早く殺せばいいのに」といらだちを募らせた。

 遺族や被害者に対する思いを聞く弁護側質問には「(悲しみは)感じない。ライオンがシマウマを食べる時、何か感じるでしょうか」などと反問した。

 一方、高校時代の同級生らの供述調書で「金川被告は感情を外に出さないタイプ」と指摘されたことについて、「自然とそうなった。家庭がバラバラだったと言われているが、そういうのも影響しているのかもしれない」と自己分析した。

 同日午前、弁護側の証人として出廷した金川被告の父親は、目の前の金川被告を「彼」「被告人」と呼んだ。「思春期に必要最低限の指導があって当然だと思うが、十分されなかった。父親として至らなかった」と家族の在り方に問題があったと示した。また、「正常になってほしい」と金川被告に仏教の本を拘置支所に差し入れている事実を証言しながらも、判決については「死刑になってしかるべきだ」と繰り返した。

 父親は5月から、水戸地検を通じて了解の得られた遺族や被害者を訪問しているという。「謝りきれるものではないが、謝りつづけたい」として、慰謝料を払う用意があることを示した。

 金川被告は、目の前で証言する父親をじっと見つめ、顔を赤らめ、時折、目をしばしばと瞬かせて聞いていた。しかし、午後の被告人質問で父親の証言に対する感想を聞かれると、金川被告は「常識に洗脳されてるだけ」と突き放した。

 閉廷後に弁護側は、金川被告への精神鑑定が始まっていることを明らかにした。

 
  ゲンダイの記事よりも、淡々としている分こちらに迫ってくるものがあります。
  おそらく、二つの引用記事を読んで、みなさんにも思うところがあるでしょうが、私の感想はおそらくみなさんとはだいぶ違います。
  それは、「ああ、ちょうどいい時期にこいつの公判が始まったな」というものです。
  この事件の報道を見たみなさんの中には、

  「こういうクズが精神鑑定云々でウダウダ引き延ばしを計るから、裁判員制度を導入しなくちゃだめなんだよ」

  と思った方が必ずいるはずです。無理もありません。マスコミ、たとえば●産経新聞などは、裁判員制度の導入が「国民の社会常識を広く裁判に反映させるとともに、審理の迅速化を図ることが最大の目的である」と言っています。
  ●以前の記事に、

なぜ管理人さんは裁判員制度に反対なのですか?
私は賛成です。理由の一つとして、裁判にかかる日数がすくなることが大きいと思います。
精神鑑定で逃げてる犯罪者、その弁護人にへどがでます。
私の知り合いに警察官の人がいますが、その人も賛成だそうです。テレビではえん罪がどうだこうだなんて言って警察官が悪いことをしているみたいになってますよね?今は自白なんかじゃ証拠にならないらしいし、そういったことはなくなっているようです。
それよりも、おかしな判決をする裁判官が時々いるそうです。そういった人に一般人が目を向けるのにはよい機会なのかなと思っているのですが、管理人さんはどう思いますか?


  このようなコメントを寄越した方がいらっしゃいましたが、こちらの意見も産経新聞と同じような主旨なのでしょう。
  そして、今回の事件は、産経新聞やこのコメントの方が自分の主張を補強する材料としては、非常に役に立ちます。
  たとえば、私のような反抗的な人間が、そのような考えに疑義を唱えると、金川被告の明らかに常軌を逸した言動を取り上げて、「おまえはこういう人間の味方をするのか?」と反撃するという風に使えます。
  これが果たして、妥当なのか、そこが問題なのです。
  先日、●足利事件という冤罪事件が大きく取り上げられました。東京高裁が、再審を開始することがほぼ決定的になり、被告に対する刑の執行が停止されたからです。厳格さを要求されるDNA鑑定がずさんに行われていたことが判明して、冤罪が晴れる見通しがついたのですが、それにしても17年かかっています。
  そこに、裁判員が絡んできたらどういうことになるか、少し考えれば想像がつきます。
  この事件の被告が警察にマークされるきっかけになったのは、幼稚園のバスの運転手と、アダルトビデオを大量に所有していたという情報からでした。それを裁判員が聞いたらどう思うでしょうか。おそらく、「国民の社会常識を広く裁判に反映させ」た迅速な審理のもと、とっくの昔に菅谷被告は死刑になっていたでしょう。
  今後、そういう例が増えるのではないかという心配は、私でなくても持つのではないでしょうか。

  絶対に勘違いしている人がいると思うので断っておきますが、私は死刑制度の存続自体は反対ではありません。今の時点では抑止力のある終身刑がないでしょうし、人道云々の考えからすればおそらく今後も死刑に相当するほど苦痛な刑罰は設定されないでしょう。「最後の切り札」が合った方が社会秩序の維持には役立ちます。
  しかし、それと冤罪を許容していいかどうかは別です。死刑は人間の生命を奪うという不可逆的な刑罰なのですから、専門知識のあるプロ(裁判官)が、これ以上ないほど精査をした上で執行すべきです。
  それを、「未必の故意」だとか「疑わしき派被告人の利益に」とかいった言葉すら知らない裁判員という素人が、他に仕事などしながら片手間で事実認定や量刑に影響を与えるわけです。被告人からしたら、憲法32条にある「裁判を受ける権利」の侵害にあたると言ってもいいでしょう。
  そういう判断をさせられる側にとっても問題があります。裁判員は、憲法に明記された国民の義務ではありません。また、参加しないことが他人の人権を侵害したり社会に不利益を与えるとは言えないので、公共の福祉に反するとも言えません。それなのに、他人の人生を左右する役務を強制されるのは、憲法で保障された思想良心の自由に反すると言えます。
  司法が適正に行われる過程に国民が参加するのはいいことだとか言う人もいるようですが、それならやる気のある人だけ勝手に勉強して参加すればいいだけのことです。裁判制度やら、他人の人生の瀬戸際をのぞき見ることに興味があるなら、別に私は止めません。ただ、世の中はあなたのように勉強熱心で時間的余裕のある方ばかりではないのだということさえ分かっていただければいいのです。
  しかし、どうしても許せない考え方があります。それは、

  「金川被告のような社会のゴミをさっさと除去して何が悪いのだ」

  という考えです。
  別に、悪者にさっさと消えてほしいと思うのは個人の自由です。私も、国家事業を私する日本郵政の社長や、その会社からただ同然の値段で優良資産を譲り受けようとしていた某金融グループの会長などは、さっさと獄門につながれてほしいと思っているくらいです。
  しかし、裁判員によって冤罪が増えるかもしれないというのは、ゴミを除去する段階の問題ではありません。「この人間が除去すべきゴミかどうか」というレベルの問題なのです。そこが間違っていたら、本物のゴミの方が生き残ってしまうかもしれないということです。 
  そもそも、マスコミがみんな揃って裁判員制度をPRしているのが胡散臭いと思わないのでしょうか。もちろん、政府の意向(さっさとゴミを除去できるようにして、間違えたら裁判員=国民のせいにすればいい)というものもあるのかもしれませんが、それ以上に大手マスコミ従業員のほとんどが「取材」や「差し迫った編集作業」などの名目で裁判員を欠席することが容易な立場にいるので気楽に報道できているというのも大きいのだと思います。
  今後、「法廷にはこんなおかしな被告がいる」「日本の裁判官はこんなに変だ」(なぜか、検察の姿勢は全く問題にならない)という報道がどんどん出てくるでしょう。
  そういうときに、悪い奴、たとえば麻原ショーコーみたいな犯罪者をさっさと死刑にしたいという単純な発想で、報道に乗せられたら危険です。
  また、裁判員制度の導入に当たって唱えられた「国民として果たすべき責務」のように、今ある現実の生活を超えた抽象的な判断を一般庶民に強いるような言論は真面目に受け取らない方がいいのではないかと思います。
  戦前の「日朝同祖論」だとか「大東亜秩序」のように、国民にそんなことを強いるような為政者に、ろくな連中はいないのが常ですから・・・。

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2009.06.05(Fri)

中国は「良いゲスト」ではあるが、決して「正会員」になれない 

  ●こちらの記事で書いていた、中国の資源獲得のための「野望」がご破算になったようです。

リオ・ティント、中国アルミとの提携中止「価値失った」
http://www.asahi.com/business/update/0605/TKY200906050190.html

英豪の資源大手のリオ・ティントは5日、中国非鉄大手の中国アルミニウムと2月に合意した資本提携を取りやめると発表した。代わりに、既存株主を対象に152億ドル(約1兆4700億円)規模の新株を発行。豪西部の鉄鉱石事業では、英豪資源大手のBHPビリトンと合弁会社を設立するという。

 リオのジャン・デュ・プレシス会長は「2月以降、金融市場は著しい改善を見せており、中国アルミとの取引は価値を失った」と説明。既存株主からの強い反発にも考慮したという。

 リオと中国アルミは2月、中国アルミがリオの転換社債を引き受け、豪州などのリオの鉄鉱石鉱山に出資するなど195億ドル(約1兆8800億円)を投じることで合意していた。中国アルミの熊維平社長は5日発表した声明で「この結果には非常に失望している」と述べた。


  この記事は、「グローバリスト」である米英の世界経済支配層が、中国という国をどう見ているか非常によく分かる記事だといえます。
  すなわち、中国が世界中にデフレ輸出をまき散らし、自分たちに利益を与える「道具」として振る舞う分には高く評価する(そして、その役割から生じる利益を享受することを許す)が、貿易や金融取引の分野において影響力を有する「支配側」に加わることは絶対に許さない、ということです。
  戦前は、日本がそのような役回りにいました。日露戦争までの日本は、英米の金融資本による投資(国債引き受けや武器弾薬の輸出)先としては非常に有望な国でした。しかし、第一次大戦で戦勝国となったことで、英米が数百年かけて狙いを付けてきた中国市場に日本が乗り込んでくると、徐々に硬化した姿勢に転じました。日英同盟の消滅、九カ国条約、アメリカにおける日系移民排斥運動といった英米の締め付けは、全てそのような文脈で理解できます。
  そのような締め付けに対して反発した日本は、結局「空気が読めない」つけを、焼け野原と300万人の死者という形で払わされました。
  アメリカによって開国し、イギリスに育成された大日本帝国が、世界の支配構造を変えるというのは、彼らにとって「暴挙」であり、許すことはできなかったというわけです。

  このようなことを書くと、日本を愛する方々には、「鬼畜米英何するものぞ」という気持ちが湧いてくる方もいるかもしれません。

  こういうことを言うと、愛国心あふれる方には失礼かも知れませんが、今中国の指導者層が味わっている気持ちもそれと同じなのです。
  米英、特にアメリカは、取引相手の国に対して、市場の透明性や参入障壁の除去を強烈に求めてきます。よく言われる●「年次改革要望書」など、分かりやすい粗暴犯(笑)に過ぎません。政府民間問わず、公平さを装う英語メディアや、留学経験のある学者や客員教授の知識人といった「トロイの木馬」を使って情報操作を仕掛けてくることなど日常茶飯事です。
  そして、彼らの論理からすれば、カネがある人間がどこかの国の資産を買いあさろうと、文句を付ける筋合いはないはずです。
  しかし、今回のリオ・ティントを巡る騒動を見れば分かるように、米英の支配層は中国資本の「侵略」に対してはきちんとガードをしてくるのです。他人に対しては門戸開放を求めながら、自分たちは他からの侵入は許さないわけです。
  まったくひどい二枚舌ですが、第一次大戦までのヨーロッパや、キリスト教の生まれた二千年前のパレスチナなどは、殺すか殺されるかの日常だったわけですから、向こうとしては「騙される方が悪い」と思っていることでしょう。
  中国としては納得がいかないのでしょうが、米英が仕掛けるグローバル貿易システムに乗っかって掴んだ「繁栄」など、しょせんその程度の徒花でしかありません。何度も言及しているように、中国の最大の弱点は、ランドパワー(大陸国家)でありながら、シーパワー(海洋国家)の構築した貿易や金融という仕組みを利用しなければ繁栄できない、下手をすると国家統一の維持すらできない脆弱さです。
  本来であれば、中国は不毛なグローバル競争の土俵から下りて、自然環境に調和した形の新しい文明を模索すべきなのでしょう。老荘思想のように、それを可能とする哲学もあります。しかし、一度(一部の人間だけであるにせよ)味わってしまった文明の果実は、なかなか簡単に捨てられるものではありません。
  まだ中国側の怒りが臨界点に達していないとは思いますが、今後似たような案件が頓挫する度に、中国は欧米に対する反発を募らせることになるでしょう。それが、変な方向に爆発してしまわないように願いたいものです。

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