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2009.03.08(Sun)

最後の成長神話、終わりの始まり(3) 

  お待たせしました。●最後の成長神話、終わりの始まり(2)の続きです。

  前回までで述べてきたとおり、中国には環境破壊、特に水資源の汚染・枯渇という致命的な弱点があるわけですが、そもそもそのような環境破壊がなぜ現れてきたのかということを少し考えてみたいと思います。

  20代前半の若い方などには実感として分からないかも知れませんが、私が子供の頃には中国製の品物はここまでたくさんあふれかえっていませんでした。記憶を辿ってみると、1990年代、日本のバブル崩壊に伴ってチュウゴク製品のシェアが伸びてきているような感じがします。
  簡単に言えば、中国が日本の代わりにものを作り始めたということですが、歴史を振り返ると、そのような構造は1971年のニクソン訪中に始まる「米中協調」が全ての出発点になっています。同年実施されたアメリカ政府による金・ドル交換停止(ニクソンショック)といっしょに理解すると、アメリカは「中国を国際貿易システムに組み込んで、その生産力で世界中(特に日本)をデフレに陥らせる」こと、および「産業ではなく一段階上の金融を支配することで世界経済の盟主であり続ける」ことを主眼にした戦略転換をしたことが分かります。各国が対米輸出で築き上げた産業インフラや固定資産を、デフレにして安く買い取ってしまおうというわけです。1990年代の東南アジアへの外国資本の流入や、日本のバブル崩壊後の外資進出は、まさにそういう戦略を実行したものだと考えることが出来ます。
  その間、中国はデフレに苦しむ先進国(特に日本)の技術力を吸収し、飢餓や戦争に苦しむ国を除けば世界一低い購買力平価(そのまま人件費に反映される)を武器にして、世界中に低価格の工業製品を輸出してきました。日本や台湾、韓国と言った、近隣の産業国家に対しては、食料品やサービス業(たとえば、●企業のコールセンターの移転)の肩代わりさえしました。
  このような状況だと、購買力平価の差を利用した企業(ホンダや東芝のような「グローバル企業」)は大きな利益を上げることが出来ます。配当が大きくなり、中国向けの設備投資にともなう融資で「金融資本」も利益を得ることが出来ます。また、中国から他の国々へ品物を取り次ぐ「商社」も、手数料が増えるという形で利益を上げることが出来ます。
  その一方で、中国と競争しなければならなくなった地場産業や、もともと外需と関わりのない企業はあまりメリットを受けることが出来ません。こういうところに本来回るはずだったカネが、中国の労働者や、中国で利益を上げることができる企業のもとに移転してしまうわけです。
  この様子を喩えてみるなら、日本庭園にある「ししおどし」(画像は●こちら)のようなものです。各国の投資という水が、中国という筒の中にどんどん入っていき、一杯になるとバランスが変わって、「グローバル企業」や「商社」や「金融資本」、さらには「中国共産党の幹部」といった器の中にその水が滑り落ちていくいような仕掛けだったのです。
  
  しかし、近代とは「奪う文明」です。富める者は貧しい者から、豊かな国は貧しい国から、なんらかの富を奪い取ることでしか成長をすることができません。
  そんなことはない、世界がいっしょに経済成長をするケースがあるじゃないか、という方もいるかもしれません。確かに、去年を除けば、ここ最近日本以外の国の名目GDPは増え続けていますから、みんなで豊かになるということは統計上は可能です。しかし、その過程でもやはり、一方的に奪われる立場にあるものがあります。それが「自然」です。
  産業が発展するとき、実はどう工夫をしても必ず生まれてきてしまうものがあります。「エントロピー」と言われるものがそれです。思い切って単純化した言い方をすれば、エントロピーというのは廃棄物です。放っておくとどんどん溜まっていきます。たとえば、生き物が活動すると必ず「熱」が生まれますが、これもエントロピーの一つです。溜まりすぎると死んでしまいますから、どこかに出さないといけません。人間ならば汗をかくことで気化熱として空気中に熱を逃がし、イヌであればハーハー息を吐いて熱を放出しています。
  このエントロピーの特徴は、「必ず増大し続ける」ということです。以下の引用文をご覧下さい。

生きている地球~ 環境問題を見る視点(5)
http://www.sukawa.jp/kankyou/siten5.html

 安定的に操業を続けている工業生産システムも定常系と考えることが出来ます。工業生産は、地球環境から原料資源とエネルギー資源(主に石油)を取り入れ、製品を作り出します。その過程で、原料資源に含まれる不純物などの廃物と廃熱を地球環境に廃棄します。

 工業生産システムは、不純物を含む原料資源(高エントロピー)を加工して純度の高い製品(低エントロピー)を作ります。しかし、あらゆる活動はエントロピーを発生しますから(=エントロピー増大の法則)、工業生産システムから出力される製品と廃物・廃熱のエントロピーの総量は、取り込まれた資源よりも必ず増えます。エントロピーは物あるいは熱に付随する物理量ですから、原料資源から加工工程によって取り去ったエントロピーに加えて生産過程で新たに生じたエントロピーを、廃物あるいは廃熱としてシステムの外(=地球環境)に廃棄しなければなりません。廃物・廃熱を地球環境に廃棄することこそが工業生産システムの定常的な操業を保証しているのです。『廃棄物ゼロの工場』は理論的にあり得ません。
 工業生産に利用する原料資源・エネルギー資源は有限の地下資源です。工業生産システムからの廃熱は地球の大気水循環で宇宙空間に廃棄できますが、廃物の多くは再利用されることなく地球環境に拡散することになります(リサイクルについては●後に触れます)。更に、工業製品自体がやがては劣化してすべて廃物になります。工業生産システムとは地下資源を再利用できない廃物に変えて地球環境に拡散するシステムです。
 このように、工業生産システムは地球環境の有用な資源を一方的に消費し、それを廃物・廃熱にして地球環境に捨てる閉鎖型のシステムです。有用な資源の枯渇か廃物による地球環境の汚染(=物エントロピーの蓄積)によって、やがて工業生産システムは定常的な操業が出来なくなります。工業生産システムは、生態系の場合のように物エントロピーを熱エントロピーに変換するしくみや、システムからの廃物を再び有用な資源に再生するしくみを持っていないのです。

 このように、工業生産システムは、閉鎖型のシステムなので、地球の歴史、あるいは人間の歴史に比べても極短期間でその定常性は失われ、やがて終息することになるのは当然の結果です。


  エントロピー増大による困った状況は、すでに我が国でも経験しています。それが公害です。日本が先進産業国家となる1950年代から60年代において、四大公害病に代表される大きな害悪が引き起こされました。
  この公害は、我が国ではいちおう克服されたという風に言っています。嘘ではありませんが、かといって真実だと言い切ることもできません。公害が目に見えなくなったのは、70年代半ばにオイルショックが起こって生産活動自体が低調になったことや、何よりも目に見えない外国という場所にエントロピー排出の場所が移っていったことによるものです。
  そう考えると、中国という国は世界中のエントロピーを一手に引き受けることによって驚異的な成長を成し遂げてきたという見方もできるのではないでしょうか。かつてのアメリカ東部や日本の太平洋ベルトがそうであったように。
  いや、この言い方は語弊があります。今の経済規模はアメリカや日本が高度成長をした頃よりも確実に大きくなっていますから、同じ1%の成長でも、排出されているエントロピーは間違いなく増大しています。中国の環境が悪化しているというのは、環境対策がよろしくないというのもあるのですが、引き受けているエントロピーの量が、高度成長の頃の日本とは比較にならないほど大きいということを考慮しておいてもよさそうです。
  みなさんに是非認識しておいてもらいたいことは、中国というのは、先進国に近づいていっているつもりで、実は先進国(特に金融資本やグローバル企業)に都合良く利用されているだけの存在だということです。もっと言えば、現代グローバル経済のもとでの中国の存在意義は「エントロピー捨て場」だということに尽きます。
  自分たちがゴミ捨て場として利用されているということに気づいて、頭に来ない人間はいません。しかし、中国はその立場を捨てるということは、経済成長を捨てて、毛沢東時代に戻るということです。近代的な豊かさを知ってしまった中国人(の金持ちや上層部)が、そのような事態を望むわけがありません。
  そんなアンビバレント(二律背反)な精神状態の人間は、突拍子もないことを言ったりやったりするものですが、中国もご多分にもれず、精神的にちょっとおかしくなってきています。その表れが、「経済的軍事的に欧米先進国を凌駕する覇権国家になるという妄想」です。以下の記事をご覧下さい。

中国は「海外資源のブラック・ホール」
http://japan.donga.com/srv/service.php3?bicode=060000&biid=2009021484598

中国がグローバル経済危機の隙間を狙って、海外資源狩りに拍車をかけている。

中国新華社通信は13日、中国最大手のアルミ生産メーカー「国営中国アルミ公社」が、世界3大鉱山会社「リオ・ティント(豪州系多国籍企業)に195億ドル(約27兆3000億ウォン)を投資することにしたと報じた。これは中国の海外投資史上最大金額である。

肖亞慶・中国アルミ公社会長は、「今回の投資はグローバル化と複合的な地下資源開発会社を目指すという会社の発展戦略によるものだ」と語った。

中国アルミ公社は72億ドルをかけてリオ・ティントの転換社債を買い付け、現在9.3%の持分を18%へと増やすことにした。

さらに、残りの123億ドルを使って、リオ・ティントが所有している世界各地の鉄鉱石や銅、アルミ鉱山の持分を買い付ける計画だ。

中国側が参加することにした鉱山は、豪州の鉄鉱石鉱山、クイーンズランドのウェイパやボインのアルミ鉱山、チリのエスコンディーダや米コネチカット、インドネシアのグラスバーグ、ペルーのラグランハの銅鉱山など、資産価値の優れた地域である。

石油や鉄鉱石など、エネルギーや資源のほとんどを輸入に頼っている中国は、今回の投資を通じて、鉄鉱石やアルミ、銅の安定的な供給源を確保しただけでなく、国際市場での価格影響力を大幅に強めることができた。

中国は資源価格が暴落したことで、鉱山などの資源開発会社の株価が暴落した時期に、世界の地下資源に集中的に投資を行い、世界景気が回復した時、大きな差益を手にするという戦略を立てた。

昨年10月、中国の海洋石油や天然ガス探査会社である中国海洋油田は、ノルウェーの石油・ガス採掘会社「アウィルコ」を25億ドルで買収したことがある。

また、昨年12月は、中国石油化工集団公社(Sinopec=シノペック)が、カナダの石油ガス会社「タンガニイカ・オイル」を15億ドルに買収した。


  要するに、欧米諸国が数百年かけて築いてきた世界規模の資源収奪システムを、たかだか20年そこらの経済成長で手にしたカネでむしり取ってやろうとしているのです。
  しかし、海外権益ですから、簡単には維持できません。現地の政権が独裁政権、もしくは反中国を旗頭に樹立された政権になったら、なんやかんや名目を付けて、財産を接収されてしまうかも知れません。それに、資源を運んでこようにも、中国が面している太平洋はアメリカ(とその配下の日本)がフタをしてしまっているわけですから、いざとなったら簡単に海上封鎖をしかけられてしまいます。
  そういう状況を跳ね返すべく、●こちらの記事でも書いたように、海洋覇権の確立を狙っているわけです。おそらくうまく行かないだろうということは、その記事の続編でも書いたとおりです。

  そういうイライラが口をついて出てきたのが、このニュースです。

「西側は中国に干渉するな」 国家副主席が批判
http://www.chosunonline.com/article/20090214000010

 中国の次期最高指導者となることが確実視される習近平国家副主席は11日、訪問先のメキシコで、「西側は中国にやたらに干渉すべきではない」と強く批判した。

 中国のテレビ報道によると、習副主席はメキシコ在住の華僑らと懇談した席上、「満腹ですることがない少数の外国人が中国に対し、やたらにあれこれ言って干渉している」と述べた。習副主席はまた、「中国は革命、飢餓、貧困を外国に輸出したことはなく、外国を揺るがしたり苦しめたこともない」と強調した。

 習副主席は普段慎重な発言で知られる。このため、今回の鮮明な西側非難の背景が関心を集めている。一部ではフランスとイタリアの指導者がチベットの精神的指導者、ダライ・ラマと会ったことや西側メディアがチベット暴動を中国に不利な形で報道するなど、中国に対する「あら探し」が度を過ぎているという判断があったのではないかとの分析が聞かれる。

 今月1日、ガイトナー米財務長官は「オバマ大統領は中国が為替を操作していると信じている」と発言し、中国を刺激した。

 また、ポールソン前米財務長官は退任直前、「中国の高い貯蓄率が金融危機の原因だ」と発言した。これについて、中国の温家宝首相は先ごろ開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、「一部国家の不適切なマクロ経済政策と低い貯蓄率、過剰消費が世界的な経済危機の原因だ」と述べ、米国と対立する立場を鮮明にした。


  これでは、国内での環境保全など顧みられることはないでしょう。

  何か、中国を見ていると、戦前の日本を思い出します。欧米諸国に嘗められまいとがんばって近代産業を興したが、結局はアジアの国として見下されている。何か目立ったことをすると、すぐに欧米諸国が袋だたきにしてくる。それを跳ね返そうと、産業の成長をさらに加速させていく・・・欧米を目の敵にしている高官の発言など、鬼畜米英などと吹聴していた頃の日本にそっくりです。
  そして、その過程で犠牲にされてきたのは、常に普通の庶民の生活なのです。鉱工業の発展で「女工哀史」や谷中村の悲劇が起こり、満州進出の影で東北では身売りが相次ぎました。現代の中国でも、汚染された川の水を生活に用いなければならないのは、共産党の幹部なんかではなく、普通の中国人です。渇水や干ばつで作物が取れなくなれば、商品作物農家だけでなく、自給自足でなんとかしのいでいる零細農民の生活も脅かされます。
  そういう事実があるから、私は中国の経済発展をもてはやす経済紙や財界人の気持ちが理解できませんし、戦前の日本を無条件に素晴らしい国家だったと吹聴する人間達に怒りを禁じ得ないのです。
  そうは言っても、もとをたどれば、我々先進国の国民が拒絶したエントロピーが、回り回って中国の大地を傷つけているわけです。別に私が謝罪するいわれはありませんが、中国という国を哀れに感じます。
  本来であれば、中国こそ、●入会地の知恵●地域通貨によって、脱近代化を図るべきなのです。中国には唐詩に描かれたような美しい自然がたくさんあったのですから、自然と調和した生き方をしようと思えば出来たはずなのです。
  しかし、その中国が他のどの国よりも「近代化」や「欧米化」にいそしんでいるわけです。私はそこに、ある種の悲しさを感じることを禁じ得ません。

  さて、このような中国の状況を見るに付け、我々は一体何を心得ておけばいいのでしょうか。

  まず、今後中国国内でいつ大規模な干ばつが起き、農業生産が激減するか、そのタイミングを知ることです。食糧危機になれば、中国が取る手段は、反自然的な食糧増産と、国際市場での食料の買いあさりです。そこを日本やオーストラリア、アメリカ、できるならばインドやインドネシアも仲間にいれば「シーパワー同盟」で封殺すれば、内部崩壊が始まります。
  もし、そのような食糧危機がなかったとしても、●石油減耗が進み、中国が今以上に海外の資源確保に対して強圧的な態度を取るようになれば、自然とシーパワー同盟の成立が促されるでしょう。
  そのためには、あまりにも米軍(アメリカ政府やアメリカ企業ではない)と仲が悪くなるというのは考え物です。民主党の小沢代表が「米軍のプレゼンスは第七艦隊で十分」と言っていましたが、さすがにそれだけでは不安です。いまより縮小した形で、沖縄にアメリカ空軍を置かせるべきでしょう。もちろん、これと「日米地位協定」の改善やアメリカによる経済侵略への対処は話が別です。
  あとは、くれぐれも混乱に乗じて戦前の真似(大陸権益の獲得)などしないことです。たとえば、中国が四分五裂したからといって、そのうちの一つの勢力に手を貸して、大陸に利権を獲得しようなどと思ってはいけません。戦前も、南京政府を樹立させて中国権益を狙ったところから、米英との確執が始まったのです。どんなに誘惑に駆られても、絶対に手を出してはいけません。
  そして何より、日本自身が食料やエネルギーの面で自律できるような施策を打ち出していくことです。このブログでさんざん述べている「海藻バイオマス」ばかりでなく、繊維や油の原料として「大麻の栽培解禁」も検討すべきでしょう。
  当たり前ですが、難民のふりをして押し寄せる中国人は、受け入れるわけにはいきません。彼らにはかわいそうですが、我が国が生き残らなければ話にならないのですから・・・。

  最後になりましたが、このブログらしくなく、文学の一節を引用してしめくくりたいと思います。

  「国破山河在 城春草木深」
  (国が滅んでも自然はそこにある。長安も今は春、草木が生い茂っている)


  唐代の大詩人・杜甫による「春望」の有名な一節です。
  その杜甫が今の中国を見たら、きっとこんな風に嘆くのではないでしょうか?

  「山河死絶了 可国幸存乎」 
  (山河が死に絶えてしまって、生き長らえる国などあるだろうのか?)


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