最後の成長神話、終わりの始まり(2)
中国は放っておけば勝手に崩壊する、という風に私が断言したのは、こういう事情があるからです。
深刻な干ばつ、最高レベルの警報を初めて発令―河南省
http://www.excite.co.jp/News/china/20090201/Recordchina_20090131022.html
2009年1月30日、中国気象局によると、河南省気象局は29日、同省内の大部分の地域で今後1週間引き続き干ばつが継続するとして、気象警報制度導入以来初めて、最も深刻なレベルの干ばつ警報を発令した。中国新聞社が伝えた。
昨年11月以降、同省の降水量は極端に少なく、08年11月1日から09年1月26日までの同省全体の平均降水量は例年より79%も少ない11ミリに過ぎなかった。降水量が少ないことに加え、気温も例年より高く推移しているため、干ばつ被害を受ける地域が拡大しており、すでに全省の小麦の作付け面積の63.1%が影響を受けているという。
同気象局では「今後半月程度はまとまった雨の降る兆候が見られない」と予想しており、関連部門に対し、干ばつの予防対策の強化を呼びかけている。
河南省は中国北部の穀倉地帯として知られている地方ですが、この地域だけが干ばつに悩まされているわけではありません。もう一つ引用します。
江西省で歴史的干ばつ、都市部水道や河川物流に影響
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1119&f=business_1119_015.shtml
江西省は10月上旬から11月上旬にかけて、省平均降水量が9ミリと、例年の10%程度だった。このため、省内最大の河川の〓江の南昌市内の観測所では15日、史上最低の水位を記録。その他の撫河、信江、修河など主要河川でも異常な低水位が続いている。(〓はへん部分が「章」、つくり部分は「夂」の下に「貢」)
省都の南昌市では、給水量の減少で水圧が低下、一部の高層マンションなどで水道の水が出にくくなったため、市当局は青雲浄水所にポンプを増設するなどして対応。水消費の大きな企業には操業停止や時間短縮を行わせて、生活用水を確保している。
省政府によると、水位低下で〓江の航路幅が狭まり、南昌市部分では船舶の渋滞が発生している。このため、河川交通の管制を強化し、食品などの輸送を優先させているという。
江西省の位置は●こちらのリンクでご確認下さい。中国の南部というのは、降水量が比較的多く、長江や珠江といった大きな川がありますから、水が豊かだという印象があるのですが、それでもこんな感じです。
また、この記事は昨年秋の記事ですから、今年になっていきなり始まった現象ではないということもわかります。
このような干ばつは、近年の異常現象なのかというと、決してそういうわけではありません。中国全土で砂漠化が進行しているからです。
中国の砂漠化の現状
http://ecogis.sfc.keio.ac.jp/desert/2006/09/post_10.html
現在,中国における砂漠化面積は,262.2×104km2,国土面積の27.3%を占める。その範囲は18市471旗(中国の県と同レベル、日本の市町村相当)に及び,年間540億元(約8,100億円)の損失を生じている。
場所により砂漠化の要因が異な(中略)る。なかでも風食砂漠化の進行速度は年々早まっており,1960年代には1500 km2/年のペースであったものが,2000年以降は3000 km2/年のペースで砂漠化面積は拡大している。
風食というのは、耳慣れない言葉です。以下に説明を引用します。
砂漠化(さばくか)の主な原因は3つあるよ
http://www.alrc.tottori-u.ac.jp/sabaku/sabaku05.htm
砂漠化(さばくか)の直接の原因の一つに風があります。風は土を動かす働きを持っています。この働きにより、肥沃な土(表土)が奪い去られてしまうと、植物の根があらわれて枯れてしまいます。また表土が失われた場所は、植物が必要な水や養分を十分に与えることができないので、植物の育ちは良くありません。
さらに、風が吹くたびに、残っている肥沃でない土砂も奪われ続けるので、植物は育つことができません。このように風が土砂を運び去ることで砂漠化(さばくか)がおこるわけです。
ところで、風によって運び去られた土砂はどこに行ってしまうのでしょう?消えてしまうはずはないのでどこかにあるはずです。広い範囲に散らばっているとちょっとホコリっぽいですが、まあ、あまり大きな問題にはなりません。
しかし、狭い範囲にたまってしまうとたまった範囲の土地をたまる前と同じようには使えなくなってしまいます。家や農地が土砂に埋もれてしまうと大変ですね。たまる土砂の大半は表土ではないのでたまった場所に植物を植えても育ちが良くありません。
さらに風が吹くたびに土砂が運び込まれ植物は埋もれてしまい育つことができません。このように風が土砂を運び込むことでも砂漠化(さばくか)がおこるわけです。
このように風は、土を運び去ることと運び込むことの二つの方法で、砂漠化(さばくか)を進めます。
春先に日本にやってくる黄砂は、ユーラシア大陸の中央部における砂漠化(さばくか)の影響を受けて、どんどん激しくなってきています。日本、中国、韓国、モンゴルが黄砂対策を一緒になって考えています。
日本は山地が多く、複雑な地形をしている国ですが、それがこのような風食を受けずに済んでいる要因の一つでもあります。ところが、中国の場合は、だだっ広い平原があちこちにあるので、風の力がなかなか弱まりません。
さて、中国政府もそういう現状をただ見ているわけには行かないということで、あっと驚く対策を考えています。
中国の「南水北調プロジェクト」
http://www.spf.org/sjcff-j/nansui/c_web/cweb_frm1.html
中国の水資源総量は約28000億立米であり、世界の第6位を占める。しかし国民一人平均の水資源量は僅か世界平均の1/4しかなく、世界では第88位を占め、水資源の欠乏国に属する。
そして中国の水土資源の分布はバランスしていない。長江流域、長江以南の各河川の徑流量が全国の80%以上、耕地面積が全国の40%を占め、中国においては豊水地区に属する。それに対して黄河、淮河、海河の三大流域と西北の内陸地域は面積が全国の50%、人口が全国の36%を占めるが水資源量が全国の12%しか占めず、中国においては渇水地区に属する。西北地区と華北地区の鉱産物資源が豊富で中国のエネルギー、穀物、綿、食油の生産基地であり、国民経済において重要な戦略的地位を占めている。黄河平原、淮河平原、海河平原及び膠東半島は中国の人口密集地であり、耕地化率が高く、経済の発達地区に属する。現在水資源の欠乏は経済発展の制約要因となり、生態環境の悪化をもたらしたので、引水は解決しなければならない課題となっている。
1950年代に「南水北調」という構想を出されてからすでに数十年間に亘って研究を重ねてきた。南水北調の全体構想としては、長江の上流、中流、下流からそれぞれ取水し、西北地区と華北地区の各地に引水する南水北調西線、南水北調中央線、南水北調東線の三つの引水線路である。
長江の水を北部に引っ張ってくるという壮大なプロジェクトです。隋王朝の作った大運河を彷彿とさせます。確かに、この計画の通りに水を引っ張れば、先ほど挙げた河南省など、渇水に悩まされている北部の穀倉地帯にも水を供給することが出来そうです。
しかし、その引っ張ってくる「水」が問題なのです。
長江:「黄河の二の舞」を危惧、汚染が深刻化
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2004&d=1013&f=national_1013_004.shtml
長江(揚子江)の汚染問題が深刻さを増している。「現在、環境保全しなければ、10年以内に黄河のような状態になる」と強い警告を発している。12日付で中国新聞社が伝えた。
中国発展研究院の艾豊・院長は、「長江の汚染状況は、人々の想像をはるかに超えている」と憂慮を示し、さらに、「現状を招いたのは、すべて人間の手によるもの」と述べ、早期の対応の必要性を強調した。
現在、問題視されているのは以下の6点。1.森林面積の減少。2.河川に流入する土砂の増加。3.生態環境の急激な悪化。4.水質の悪化。5.固形廃棄物の河川への投棄。6.湿地面積の縮小。
全国政治協商会議(政協)常務委員を兼任する人口資源環境委員会の陳邦柱・主任は、参加した「長江保護運動」の開始式典の中で、「長江の上・中流域で行われている森林の乱伐が、土砂の流出や洪水など、自然災害を誘発し、中・下流域に住む人々の生活を脅かしている」と指摘。
また、「中・下流域の経済発展を野放しにした結果、工場用水が天然の排水溝として長江に流れ込んでおり、これが深刻な汚染を引き起こしている」と語った。
中国第三の大河である淮河(わいが)も同様の状況です。
淮河:漁民「魚を食べる勇気ない」、深刻度増す
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2004&d=1006&f=national_1006_007.shtml
中国中部を東西に流れる淮河で、水質汚染がますます深刻になっている。地元の漁民でさえ、「捕った魚を食べる勇気はない」と敬遠するほどだ。5日付で新華網が伝えた。
淮河は北の黄河と南の長江の間を西から東に流れている。中国有数の大河の一つだ。1970年代には年間130トン以上の漁獲高を記録するなど、有数の淡水漁場だった。また、「養殖基地」としても重要な水系だ。
しかし近年、工場汚水の排出量が急増している。03年の汚水排出量は123万トンだった。このことが生態系に大きなダメージを与えている。
昔を知る人々は、「水がきれいだった頃、川には魚があふれていたものだ。生活も川に頼っていた。しかし、今は水も飲めない、魚一匹を見るのも難しい」と嘆き顔だ。
漁業の不振により、漁師の「商売替え」も目立つ。「魚が捕れないから食べていけない」「養殖をやるために池を掘っても、汚水がしみこんでくるから駄目」などの理由から、出稼ぎに行く人が多い。
流域沿いの家庭の食卓も変化を見せている。多くの人が淮河産の魚を嫌い、他地方で捕れたものを利用している。また、医者も「重金属や鉛などに汚染された魚はガンを引き起こす。決して食べてはいけない」と警告を発している。
阜陽市水環境監督管理センターの王揮・技師は、「淮河の水質は、五段階で表示される数値のさらに下を行くレベルだ。工業用水や灌漑用水にも利用できない。残念ながら、自己浄化能力をすでに失っている」と語った。
>地元の漁民でさえ、「捕った魚を食べる勇気はない」と敬遠する
>「養殖基地」としても重要な水系
>「重金属や鉛などに汚染された魚はガンを引き起こす。決して食べてはいけない」
この部分を読んだ後、●こちらのリンクの文章を読んでみて下さい。
>20世紀の後半,巨大な水産動物タンパク資源が中国の内水面域に出現したと
>言っても過言ではありません。FAOでは中国の淡水魚の伸びを根拠に
>2010年には世界の漁獲量の25%を,世界の養殖魚生産量の65%を,
>淡水魚が占めると推定してます。
安い値段で提供されている白身魚のフライや「フィッシュバーガー」の類は、あまり口に入れない方がいいようです。
立て続けにいろんな記事を引用してきてしまいましたが、まとめるとこんなところでしょう。
▲中国は極端な水不足に見舞われている
▲大半の河川の水は汚染されており、飲用には耐えられない
▲そのせいで、農産物の収穫が減少するおそれがある
これらを総合すると、出てくる結論は一つしかありません。今後中国は、世界中の小麦を中心にした穀物を買いあさるという行動に出るということです。
現在でさえ、中国は食料自給率が95%しかありません。「しかありません」と書くと、「日本は40%しかないじゃないか」と言い出す人もいるかもしれませんが、中国の人口は公称で日本の10倍です。日本に直すと、食料自給率の半分に相当する食料が不足しているのです。これがさらに1~2%減少しただけでも、世界的な穀物市場の需要が逼迫することは目に見えています。
頼みにしている南水北調プロジェクトも、公共事業としての役割は果たせるのでしょうが、水資源の偏在という現象を解決することにはならないでしょう。「人々の想像をはるかに超えている」ほど汚染された水がやってきて、喜ぶ人はいません。
前回の記事で紹介した「大学生を干ばつ対策で河南省に派遣する」というのは、そういう中で出てきた「対策」なのです。つまり、もう中国には打つ手がないのです。だから、お為ごかしをして国民のめを少しでもそらそうとしているわけです。
ではそもそも、どうして、こんな状況になってしまったのでしょうか?
長江のことを書いた記事の中で、中国の当局者が、
>現状を招いたのは、すべて人間の手によるもの
ということを言っています。
全くその通りなのですが、ではその「人間の手による」汚染を中国が解決できるのかというと、99%無理だというのが私の考えです(なぜ1%の可能性があるのかは、次回述べます)。
もう1回続けて、このシリーズを締めくくります。それでは、次回をお楽しみに。
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最後の成長神話、終わりの始まり(1)
「2009年の成長率は8%」中国の温家宝首相、ダボス会議で演説
http://sankei.jp.msn.com/world/china/090129/chn0901290847000-n1.htm
中国の温家宝首相は28日、スイスのダボスで開始した世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で演説し、中国が「大々的な影響」を受けた経済危機に対処するため、「新世界経済秩序の樹立」を呼びかけた。
温首相は「中国の今年の経済成長率は8%を維持すべきだと考えている」とも述べ、高率な成長率維持に期待感をにじませた。そのうえで8%の成長率は「野心的目標」と述べ、実現が困難との認識を示した。
国際通貨基金(IMF)が28日に発表した予測では、中国の経済成長率は6・7%としている。中国は08年に6年間、維持してきた10%台の成長率から初めて9%台に後退した。
首相は約2500人の世界の政財界人が参加する会議に特別招待された。ダボスでは中国の対チベット政策に反対する人権グループなどがデモを展開したため5000の警官が厳戒態勢を敷いた。
「中国には独自の技術がない」とか「所詮外国資本に頼った経済だ」などということがよく言われます。そして、中国の経済は、昨今の「金融恐慌」で傾くと思っている(もしくは、思いたい)人は少なくないことでしょう。
しかし、考えが甘いと言わざるを得ません。温家宝がいう数字はどうか分かりませんが、中国はおそらく今後も経済成長を続けます。
なぜかといえば、今後さらに進行すると予想される世界規模のデフレ不況のもとで、近代的な経済システムを回していくには、中国製の安い工業製品が絶対に「必要」だからです。
まずご覧頂きたいのが、とある世界的な組織の悲観的な予測です。
09年、先進国はマイナス成長に−IMF、世界経済見通しを下方修正
http://www.jetro.go.jp/biznews/world/4918d4317b4a8
IMFは11月6日に「世界経済見通し」を発表した。2009年の世界の実質GDP成長率を10月の発表から0.8ポイント下方修正し、2.2%と予測している。また、09年の先進国の成長率予測もマイナス0.3%と下方修正した。途上国の成長率は、商品市況の急速な悪化による資源輸出国の成長鈍化と、一部の国の金融環境の悪化によって、5.1%と前回予測から1.0ポイント引き下げた。
<世界全体の成長率は2.2%と予測>
IMFはわずか1ヵ月で下方修正を迫られた背景として、a.金融危機の影響が世界経済に急速に波及した結果、先進国の需要が前回の想定以上に鈍化している、b.先進国の需要が減少した結果、商品価格が急速に下落し、資源国が打撃を受けている、c.金融危機の影響で信用の低下した一部途上国で資金の流出が進んだ、といった点を挙げた (2008年10月17日記事参照)。2.2%の世界経済成長率は、ITバブルが崩壊した01年以来の低水準となる。
IMFは、現状では世界経済の見通しは異例なほど不確実で、金融危機がさらなる下振れリスクとなり得ると述べている。他方、これまで各国で導入された財政政策や金融政策の効果は限定的であるものの、今後の追加的な財政出動や金融緩和などの政策によっては、世界経済の後退をある程度食い止めることができるとも指摘した。
<先進国のマイナス成長予測は初めて>
主な先進国・地域の09年の成長率予測は下方修正の結果、米国がマイナス0.7%、ユーロ圏がマイナス0.5%、日本がマイナス0.2%と、それぞれマイナス成長に転じる見込みだ(表参照)。金融危機の影響は、前回10月の分析時点よりも深刻かつ長期化すると見込まれており、米国では金融資産が減少した家計の消費抑制や企業の投資活動の減速が続くとみている。ユーロ圏も、米国とともに金融危機の影響が続くとの見通しだ。日本も先進国需要の減少で、成長を牽引してきた輸出の減速が見込まれる。先進国の成長率がマイナス0.3%と、通年でマイナス予測されたのは第2次大戦後では初めてとなる。
中国のところを見て下さい。多少数字は減ったとはいえ、どの国よりもGDPの成長率予測が高くなっています。
IMFの言っていることだから信用できると言うつもりはありませんが、世界経済を支配している人びとが今後の世界をこういうことを前提として動かしていくという宣言をしているのだと思えば参考にはなります。要するに、先進国はデフレになってもらい、まだまだうまみのある中国には引き続き成長していってもらおうということです。
そういう状況下でも、まだまだ中国と先進国との間には購買力の差があります。それぞれの国が国内向けの需要を減らしている以上、その購買力水準の差を利用するのが一番「もうかる」方法です。
誤解されると困るので断っておきますが、私がそういう状況を望んでいるわけではありません。そういう作業を通じて、企業利益を拡大することが今の経済の常識になってしまっているということです。
たとえば、消費者が国産を望んでも、容赦なくチュウゴク産が入り込んできています。さすがに表だってチュウゴク産だということを謳う食品はありませんが、外食や加工食品ではそうでもしないと利潤を生むことが難しいのが現状です。
それに、食品でなくても、身の回りに中国製の工業製品はたくさんあります。この前私が都心のデパートや量販店で、キッチンタイマーやストップウォッチを探したら、三軒の店の全てのタイマーやストップウォッチが中国製でした。ひとつくらい日本製があるだろうし、あったら高くても買おうと思っていたもくろみは完全に外されました。
なにも、ストップウォッチやキッチンタイマーを作っている企業は、別に日本の消費者に嫌がらせをしたくてやっているわけではありません。企業の論理からすれば、中国と日本の購買力の差を利用するのが最も合理的だからです。この辺の事情は、アメリカでもヨーロッパでも、たいして変わらないでしょう。
そうなると、世界中がずぶずぶとデフレの海に沈んでいき、相対的に中国が浮かび上がる。その上、超大国であるアメリカが没落すれば、●この記事でも取り上げたような海洋進出政策が功を奏し、中国は台湾海峡からペルシア湾に至るシーレーンを確保する・・・という恐れを抱いている人もいるかもしれません。
日頃何かと「チュウゴクは脅威だ!」と叫んでいる連中の奥底には、中国は自分たちより劣等でなければならないというコンプレックスがあるので、少し自分たちが望まないニュースが出てくるだけで、この世の終わりみたいな騒ぎ方をするのでしょう。
私は正直中国や朝鮮を叩くのはもうどうでもよくなっていますが、この件に関しては自信を持って断言できます。
もうしばらくすれば、中国は勝手に自滅します。
・・・と、ここで終わりにしたいのですが、あんまり思わせぶりに締めくくるのはなんなので、一つ面白いニュースを取り上げておきましょう。なぜこれを取り上げたのかは、次回詳しく述べます。
「干ばつ対策青年突撃隊」が活躍―河南
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=0205&f=national_0205_008.shtml
全国的に干ばつの被害が広がる中、河南省温県南張羌鎮では3日、大卒の「村役人」たち小麦の水やり作業を行った。
中国では近年、大学新卒者を「役人」として農村へ招く試みが行われている。温県では約250人の卒業生が春節休み明け早々、「干ばつ対策青年突撃隊」を組織し、春節帰省で人出が足りなくなっている農家へ出向き、水まきなどを手伝っている。
では、みなさん、次回をお楽しみに。
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「バイ・アメリカン条項」が持つ意味(2)~いよいよ「応仁の乱」が始まる
米景気対策法案、72兆円規模に圧縮で合意…上院可決へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090207-OYT1T00394.htm?from=main2
米上院の民主党と一部の共和党議員は6日夜(日本時間7日午前)、審議中の景気対策法案について、一時は9000億ドル以上に膨らんだ事業規模を7800億ドル(約72兆円)まで1000億ドル以上圧縮する妥協案で合意した。
米主要メディアによると、歳出拡大に慎重な共和党の主張に民主党が歩み寄った。民主党のリード上院院内総務は「数日以内に可決したい」との意向を示した。法案が可決されれば、8200億ドル規模の法案を可決した下院と協議、一本化したうえで16日までの法案成立を目指す。
オバマ大統領は6日、雇用悪化など深刻化する景気の落ち込みを指摘し、「法案成立を滞らせているのは、無責任で許し難い」と議会の対応を厳しく批判していた。
一方、公共事業で米国製品の調達を義務づける「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項については、国際協定に違反しないことを明確にして法案に盛り込む見通しだ。米国と政府調達協定を結んでいる日本や欧州連合(EU)など主な先進国は、適用除外になるとみられる。
例の「バイ・アメリカン条項」がどうなったかというと、
>米国と政府調達協定を結んでいる日本や欧州連合(EU)など主な先進国は、
>適用除外になるとみられる。
政府調達協定というのは、政府が公共事業などをやる際に、他国製品を締め出す措置を制限するものです。WTO●こちらのリンクに締結国が出ていますが、鉄鋼の対米輸出に力を入れている「日本」や「韓国」が入っています。
なんだぁ、それじゃあんまり意味ないじゃないか、と思う人もいるでしょうが、それでも、中国やブラジルを締め出すことが出来るというのはかなり大きいです。
本来自由貿易という弱肉強食ルールは、アメリカという国の最も得意とする領域のはずです。そのアメリカが、なぜ自由貿易に真っ向から挑戦するような規制を設けようとするのでしょうか。ここをきちんと知らなければ、今回のニュースの意味が分かったことにはなりません。
前回言及した1971年の「ニクソンショック」がアメリカにもたらしたものは、産業構造の大転換でした。同年以降のアメリカ国内経済というのは、製造業の雇用がどんどん減っていき、その反面としてサービス業や金融業、ITといった「虚業」がその受け皿になっていく過程だと言っても過言ではありません。
これは、単に二次産業から三次産業へ人が移動したという以上の意味があります。●こちらの記事でも述べましたが、新興の業種では、労働慣行が確立していないために、経営者側に有利な雇用体系を導入することが可能です。たとえば、サービス業はアルバイトが多いですし、金融業は派遣労働者が非常に多い分野です。ITに至っては、同じ英語を話すインドに「オフショア開発」などと称して作業を丸投げしています(●こちらのリンクを参照)。
そういう雇用の置き換えが顕著に現れているのが、労働組合の加入率です。1980年には22%強あったアメリカの全労働者の組合加入率は、2000年に13%まで低下しています。新興の業種は組合が弱いか、ウォルマート(全米ナンバー1の小売業者)のように、経営者にとって邪魔な企業組合が全く存在しないのが普通です。そういう企業の方が、いまやアメリカの多数派になってしまっているということです。
そうやって、数としての雇用は維持していても、支払っている賃金はどんどん抑制されていっているわけです。これでは、購買力が落ちるに決まっています。しかし、新たに政府が投資をしても、農業は大規模化されすぎていて新たな雇用を生み出す余地がなく、安定した雇用を生み出す製造業は壊滅状態です。
そこで、議会の方で、景気対策ということで比較的反発の少ない方法を採り、「もう自由貿易なんていらない。自国民を食わせろ」というメッセージを発するに至ったのです。
アメリカは、今現在の過剰な消費を美徳とするライフスタイルさえ改めれば(それが一番難しいと思うが)、一国だけ、もしくは、北米大陸とメキシコだけで経済を回していくことができる可能性があります。このブログでも、石油減耗が進めば、そういう経済にせざるを得ないという話をしましたが、もしかしたらアメリカはそういう方向に向かって走り出したのかもしれません。
ただ、アメリカを食い物にしてきた人々は、そんな状況を座視するはずがありません。「金融資本」「商社」といった典型的なグローバリストは、アメリカと他国の間をつなぐ役割だからこそ、手数料や金利を稼ぐことができるわけです。
彼らが一番おそれているのは、他国がアメリカの流れに追随することです。日本の場合は、●営業赤字を理由に社員を切りまくっていながら株主に2000億円も中間配当できる「株主利益の最大化」カンパニー(笑)を中心として、グローバリスト企業がのさばっているので、あまり心配はないとして、外国製品に市場を侵食されている中規模の国々、たとえば欧州諸国や台湾、東南アジアの国々がそういった動きに出てきたら、非常に困った事態になるでしょう。世界規模で不要不急なものを「安いから」「いいものだから」と言いながら、右に左に動かして利益を得るという状況が否定されるからです。以下のニュースは、そんな彼らの叫び(笑)です。
WTO非公式閣僚会合、「バイアメリカン」条項に批判相次ぐ
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090131AT3S3100H31012009.html
世界貿易機関(WTO)は31日、スイスのダボスで非公式閣僚会合を開いた。約20カ国・地域が出席し、金融危機を乗り切るためにも多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)の再開が重要だとの認識で一致した。米議会が景気対策法案に米国製鉄鋼の使用を義務づける「バイアメリカン」条項を盛り込むことを検討している点については「保護主義」との批判が相次いだ。
WTOは昨年12月中旬、当初目標としていた昨年内の大枠合意を断念し、交渉が頓挫していた。この日の非公式閣僚会合を受けて、今月に事務レベルの協議を開始する。ただ今回の会合には米政府の閣僚が出席せず、交渉の大枠合意を目指す閣僚会合開催の時期は決まらなかった。
日本からは二階俊博経済産業相、石破茂農相の2人が非公式閣僚会合に出席した。
当たり前の反応です。ダボス会議というのは、●旧ブログの記事で指摘したように、グローバリストが今後地球をどのようにして食い物にしようか相談するための打ち合わせ、もしくは、決定事項の伝達の場(石破・二階の両大臣はそういうご用聞きのために出向いており、「是非出席したい」とのたまった我が国の首相はグローバリストの使用人だということ)ですから、自分たちの飯の種になる遠隔地貿易を否定するような行動は一切許容しません。
こういう連中にとっては自国愛好的な消費傾向、たとえば日本人の「国産食料好き」など、邪魔者以外の何者でもありません。だから、そういう動きが出てこないよう、マスコミを使ったり、政治家を動かしたり、いろいろな形で世界中を一体化させようとしています。
アメリカ議会は今後、「バイ・アメリカン条項」を他の製品にも拡大すると言っていますが、おそらくそこまで来たら、グローバリスト側の強力な巻き返しがあるでしょう。冒頭に紹介したニュースの通り、結局アメリカの国益重視派も、折れざるを得なかったというわけです。
それでも、今後「バイ・アメリカン」勢力が主張を曲げなければ、私は、次の中間選挙でマスコミや学者(つまり、グローバリストの飼い犬)を総動員して、民主党を大敗させる方向に持っていくと踏んでいます。イラク戦争を喝采してしまう国です。その程度の情報操作に簡単にひっかかってしまうことでしょう。オバマ大統領はそういうことを分かっていて、グローバリストを刺激しないように釘を刺したのが、前回の中央日報の記事だということです。
ここで忘れてはならないのは、政治の力で、国産や自国製品を買わせようとなると、どうしてもグローバリストの反撃を受けやすくなるということです。。我が国でも今年9月で民主党を中心とした政権が生まれるでしょうが、彼らが「バイ・ジャパニーズ」的な政策を打ち出しても、それを実行することはまず出来ないだろうと思います。
それでも、そういう国内経済重視派が台頭し、グローバリストと喧嘩をする意味はあります。政府の介入でも何でもやれば、少なくとも急激な崩壊は避けられるからです。
しかし、それはおそらく問題の解決にはなりません。グローバリゼーションを生み出している「何か」を、個々人の生活レベルで相対化していくしか、解決の方法はありません。
それが以前お話しした●入会共同体や●地域通貨、さらには●海藻バイオマスや海洋牧場といった話なのですが、そういうことは政府内での「国益重視派」と「グローバル経済派」の抗争をよそに、地方で粛々と進めていくべき課題だと思っています。海藻バイオマスの方は少々難しいので、石油減耗が本格的になってくる前に、国策で、もしくは海岸沿いの自治体が共同でカネを出してやるしかありません。
たとえて言うなら、これから起こるのは●「応仁の乱」です。
室町時代に幕府の支配を事実上終わらせたこの戦乱は、領地をほったらかしてにして京都での政争に参加していた守護大名たちの対立によって起きました。当時の幕府を牛耳っていたのは、将軍の足利義政ではなく、その正室である日野富子です。富子は、京都の各地に関所を設けて通行料を取ったり、高利貸しから賄賂を受けたりして、殖財に励んでいました。そんな情けない幕府が、守護大名を抑えられないのは当然です。
将軍=内閣、日野富子=経団連や経済財政諮問会議、勝ち組企業、守護大名=各政党と置き換えれば、見事に今の日本の状況と重なります。アメリカでも似たようなものです。
室町幕府は、義政の祖父である足利義満が将軍の頃、日明貿易を始めてから急速にカネカネの政治を行うようになっていきました。これも、日本が外需依存やチュウゴク産の輸入に走り、アメリカが自国の製造業をほっぽらかしにしてチュウゴク製製品をドルで買いあさっていることと見事に重なります。
応仁の乱が終わった後の日本は、戦国時代に完全に突入しました。京都で領民そっちのけの政争に明け暮れていた守護大名の多くは、在地領主だった守護代や家臣たちの下克上にあい、没落していきました。そういう時代が、日本やアメリカ、のみならず全世界で起きる可能性があるということです。
しかし、これは逆に言えば、地方が自分たちの置かれた条件に合った政治をやれるチャンスでもあります。しかし、それを生かすにはできることから準備をしていかなければいけません。「バイ・ジャパニーズ」派や、分配強化を主張する勢力にぶら下がっては、グローバリストに巻き返されたときに、本当に死にます。
そうはいっても、「バイ・アメリカン」「バイ・ジャパニーズ」を唱える政治家にはとりあえずがんばってもらわなければなりません。彼らが踏ん張ってこそ、次の時代が生まれるのです。応仁の乱が戦国時代につながったのも、11年間も権力の空白が続いたからです。
くれぐれも、一気呵成に物事を解決できると豪語する人たちに、みなさんが扇動されないように願っています。戦前は、「不景気を解決するには満州進出しかない」というプロパガンダで、おかしな方向へ走り出してしまいました。民主党と自民党が憲法9条改正のために連立政権を作り、いつの間にか軍拡を行って、動乱状態に突入した中国に「進出」する可能性が本当にないと、誰が保証できるのでしょうか?
そういう事態を防げるのは、庶民の生活感覚だと私は信じています。庶民に対して生活苦から目をそらすようなアピールをしてくる連中や、逆に「政府紙幣さえあれば全ての問題は解決できる」などというご都合主義の売り文句をしてくる連中には、敢然とノーを突きつけましょう。
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【小泉否定】 ついに反乱の狼煙が上がった 【自民崩壊】
郵政4分社化「見直す時」首相が言及「民営化に賛成ではなかった」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090205/plc0902052312017-n1.htm
麻生太郎首相は5日の衆院予算委員会で、平成19年の民営化に伴い4分社化された日本郵政グループの経営形態について「4つに分断した形が本当に効率としていいのか見直すべき時にきている」と述べ、見直す可能性に言及した。ただ、その後、首相官邸で記者団に「政府の郵政民営化委員会が検討し、その答えを受け取るのが私の立場だ。こうしろああしろと言う立場にない」とトーンダウン。郵政民営化委の結論を尊重する考えを示した。
予算委で首相は「民営化された以上、もうからないシステムはダメだ。健全な企業にする」と強調した。
同時に「郵政民営化担当相は竹中平蔵氏だったことを忘れないでほしい。私は総務相だっただけで、ぬれぎぬを着せられると面白くない」と述べ、小泉純一郎元首相が郵政解散を行った17年当時、民営化に「賛成ではなかった」と説明。小泉構造改革については「改革のひずみに対応するため改革を深化させる。市場経済原理主義の決別というならその通りだ」と語った。
郵政民営化法は、郵政民営化委が民営化の進捗(しんちよく)状況を3年ごとに点検すると定めており、今年3月に点検時期を迎える。発言をトーンダウンさせたのは、民営化見直しをめぐり考え方に温度差がある党内事情に配慮したとみられる。
このほか、首相は予算委で、定額給付金を「受け取る意思はない」と2日の自民党役員会で明言したとの報道に「明言したことはない」と否定した。
漢字の誤読や言い間違いなど比較にならないほどの「失言」です。
自分らしく景気対策をやりたくても党内がまとまらない。そこで、自分を縛っている鎖=小泉カイカクと郵政選挙の大勝の重みに耐えかねて、遂に口にしてしまった、というところでしょう。
私は、この一件で麻生太郎という政治家を少し見直しました。ほんの少しは良心や矜持というものが残っている人間だということが分かったからです。
しかし、同時に麻生首相を哀れに思います。この一件で、メディアと某超大国を味方に付けて、日本の経済システムを破壊し尽くしてきた独裁者・小泉純一郎と、麻生さんの和解は不可能になりました。
おそらく、自民党は衆院総選挙を期に分裂するでしょう。郵政選挙で勢力を大きく伸ばし、外資や経団連、勝ち組企業への利権の付け替えを行い、地球温暖化をネタにした海外へのバラマキを横行させてきた自民党町村派と「小泉チルドレン」は、新党を結成するでしょう。麻生太郎という政治家に全てをおっかぶせた上で、「本当のカイカクで日本を救う!!」と謳いながら・・・。
その時、国民を引きつける手段として用いられるのが、昨今、政治ブログなどで話題にされている「政府紙幣」なのではないかと睨んでいます。
高橋洋一 東洋大学教授 「危機打開へ政府紙幣発行も検討せよ」
http://diamond.jp/series/policywatch2009sp02/10004/
政策提言集団、ポリシーウォッチによる緊急討論会「2009年の政治経済の行方」の模様を引き続き動画にてお伝えする。第4回は、元内閣参事官で、現在は東洋大学教授の高橋洋一氏。景気回復のためには、「量的緩和」「政府紙幣」「埋蔵金」の3つのプログラムが有効だと主張する。
高橋 洋一(東洋大学経済学部総合政策学科教授)
1955年生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、国土交通省国土計画局特別調整課長を歴任した後、小泉内閣において竹中平蔵大臣の補佐官、2006年安倍内閣において内閣参事官に就任。2008年3月に退官。
>大蔵省理財局
財政投融資を焦げ付かせた張本人たちの巣です。郵政民営化の根拠の一つは、財投の名の下にバラマキが横行しているというものでした。自分たちであてにならない投資をやっておいて、小泉政権の下で郵政民営化を推進したというのですから、彼こそが小泉カイカクの真の黒幕だと言っても過言ではないでしょう。
>プリンストン大学客員研究員
これをエサに、どこかの国からの電波を受信しているのかも知れません。大蔵官僚出身者には、こういう肩書きの連中が多すぎます。
>竹中平蔵大臣の補佐官
>安倍内閣において内閣参事官
こういう人物が提唱している政策を、画期的だと手放しで褒めるのは危険だと思わないのでしょうか?
もうこの際はっきりさせておきますが、いくら財政出動をしようと、政府紙幣でデフレギャップを埋めようと、金利や配当という形で金融資本や大企業が国民のカネを吸い上げる仕組みや、企業が競争力強化を名目にした賃金デフレの推進をなんとかしなければ、日本人の懐はますます貧しくなるだけです。竹中や、彼に近い人間があえて主張しはじめたということは、ある種の人びとにとって利益になるスキームがすでにできあがっているという可能性もあるのです。マスコミを疑えと言うなら、そういうところまで考えておくべきでしょう。
最近特に思うのですが、政府紙幣を持ち上げて積極財政を主張する人たちは、本当に国民一人一人がよりましな生活をできるようになってほしいと思っているのでしょうか。GDPさえ成長すれば全てうまく行くと考えているなら、新自由主義の信者と同じです。国が豊かになりさえすればいいのだと思っているのなら、中国共産党の改革・解放と何が違うのでしょうか。新自由主義者と喧嘩をしたかっただけだというなら、言語道断です。
もし政府紙幣がどうの、積極財政がこうのというのなら、中曽根政権以降、国際競争力強化の名の下に行われてきた全ての「カイカク」「ミンエーカ」「キセーカンワ」を総ざらいすることも合わせて主張しなければ片手落ちでしょう。
来るべき選挙に向けて、みなさんにはもう一度、政治が果たすべき役割は何かということを考えていただけたらと願っています。
ともかく、9月の衆院総選挙に向けて、状況はどんどん変わっていくことが予想されます。大筋の流れは私が言ったような感じになるでしょう。外れたとしても、もう昔の自民党に戻ることは金輪際ないという点においては、まず間違いないと確信しています。
そろそろ、「自エンド」ではなく、それ以降を考えていかなければ行けない時期に来ているのかも知れません。
まずは、小泉純一郎がどう反応するかが楽しみです。どこかのメディアが談話を載せるかも知れませんし、●以前紹介した「郵政民営化を堅持し推進する集い」という自分のシンパの集まりを開くかもしれません。
これに対抗して、麻生さんも、もっと真剣に「カイカク」を否定すればいいのではないかと思います。
もっとも、
>政府の郵政民営化委員会が検討し、その答えを受け取るのが私の立場
ここに至って「決めるのは俺じゃない」と言っているような肝っ玉の持ち主では、小泉に勝つのは無理でしょうが・・・。
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「バイ・アメリカン条項」が持つ意味(1)~なぜバイ・アメリカンで大騒ぎするのか
米下院が「バイ・アメリカ」鉄鋼条項を承認、景気対策法案の一環
http://jp.reuters.com/article/domesticFunds/idJPnTK836355520090129
米下院は28日、リセッションに陥った経済を立て直すための8250億ドルの景気対策法案の一環として、米国製鉄鋼の購入を義務付ける「バイ・アメリカ」鉄鋼条項を承認した。賛否両論あった同条項は、景気対策法案に基づき資金を供給される公共事業で使用される鉄と鉄鋼は米国製のみ容認される、としている。
米商工会議所や他の経済団体は、これを例に他国が同様の経済対策を検討する可能性があるとして、同条項の導入に反対していた。
全米鉄鋼労働組合(USW)のレオ・ジェラルド代表は「米国の製造業は深刻な打撃を受けており、経済で愛国心を発揮する時期だろう」と述べた。
同法案は幹線道路や鉄道、その他のインフラ計画に約900億ドルを配分している。
「バイ・アメリカ」鉄鋼条項は、空港や橋梁、運河、ダム、堤防、パイプライン、鉄道、公共輸送システム、道路、トンネル、港湾、桟橋などを適用範囲とする。米下院歳出委員会は今月、同条項を賛成55票、反対ゼロ票で可決した。
アメリカという国は、ことに景気対策については、非常に思い切ったことをする国だと感心させられることがあります。●こちらの記事でも書かれていますが、総額79兆円です。ひとり辺り数万円の給付金を「私はもらう」「私は辞退する」などとどうでもいいことでゴチャゴチャやっているどこかの内閣と、決断力が違います。
中でも目玉になっている、「バイ・アメリカン条項」というやつですが、反対している人がいます。
「米国産使えという“バイ・アメリカ”は貿易紛争の原因」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=110916&servcode=A00§code=A00
米国製品を使わせる“バイ・アメリカ”(Buy America)政策に対してバラク・オバマ米大統領もこの条項が過度に適用されることに反対するという意思を明らかにした。
3日、オバマ大統領はABCニュースとのインタビューで 「(現在、上院に係留中のバイ米国条項は)間違いだと思う。これは貿易紛争の原因になる上、今のような景気低迷期、米国はこのようなことはできないと述べた。また「我々が保護主義のメッセージを送ってはいけないということに同意する」と付け加えた。
バイ・アメリカは先週下院を通過した景気浮揚法案に含まれた条項だ。景気浮揚のための社会間接資本(SOC)事業に米国産鉄鋼だけ使うことにする件は発表直後、各国から「保護主義措置だ」と非難が殺到した。しかし上院ではむしろバイアメリカの適用範囲を政府予算で推進するすべての事業と米国産製品・装備に拡大し、交易国を刺激した。
引用元は「中央日報」です。韓国の新聞が、オバマ大統領の名前も出さずに「米国産を使えというのは紛争の原因だ」という断定的な見出しを掲げる理由は、このブログをご覧の皆さんならすぐ気づくと思います。
それにしても、アメリカ大統領が、自国の景気対策にダメ出しをしているというのは重大です。この「バイ・アメリカン条項」に、何かまずいところがあるようです。
さて、この「バイ・アメリカン条項」を巡るニュースを見ていると、非常に疑問に思うことがあります。それは、「アメリカが貿易の国際協定に反することが、なぜそんなにいけないことなのだろうか」ということが、全く説明されていないことです。
新聞やネットの記事では、そういう背景を全く説明しないか、したとしても、当たり前のことを当たり前だと述べるにとどまっています。みなさんは、それで満足してはいけません。現代の世界では、「当たり前」だとして一言ですませてしまうことが、実はある種の人間にとって都合のいい仕掛けになっていることが多いのです。このブログの役目は、そこを丸裸にして、一部の人間の胡散臭さを暴露することです。
今回、みなさんに知っておいていただきたいのは、アメリカという国が第2次世界大戦の後、一貫して果たしてきた役割のことです。
簡単に言えば、アメリカの役割は、「世界中で生産されるあらゆるものの買い手になること」です。
第二次大戦が終わる少し前、「ブレトン・ウッズ協定」というものが結ばれました。この協定によって、アメリカドルは世界で唯一金(ゴールド)との交換が保証された通貨になりました。つまり、アメリカのドルだけは、金という文明史上一貫して価値があるものだとされてきた貴金属と交換できるので、みんな安心して使ってほしい、ということを、世界経済の支配層が打ち出したということです。
これによって、日本や西ドイツといった、戦争で荒廃した国々がやるべきことが明確になりました。それは、アメリカもしくはアメリカと経済的な結びつきのある国に物を売って、アメリカドルを手に入れることです。この二カ国は特にそうですが、多くの国が戦後復興のためにドル建てで利子付き援助を受けていたので、それをスムーズに行うという意味合いもあります。
その一方で、冷戦が始まってくれたおかげで、物も作れず、資源供給元としてもあまり魅力がない落ちこぼれの地域(東欧や北朝鮮、油田が見つかっていなかった中央アジアなど)は、ソ連という暴力教師が管理してくれるようになりました。全てユーラシアの内陸地です。
イデオロギーなど持ち込んで語る必要はありません。アメリカは第二次大戦後、イギリスの国際貿易網を引き継ぐ形で「シーパワー(海洋国家)」として台頭した国です。船による貿易でアメリカとリンクできない「非効率的な」地域をソ連に引き受けてもらったというのが、冷戦の真相だったということです。
その体制が、日本や西ドイツが対外債務を完済したあたりからおかしくなります。これらの国が、もはやアメリカの国内産業すら脅かす危険が出てきたのです。彼らを代表とした西側諸国は、ドルを死ぬほど貯め込んでおり、一気に金と交換しろと言われたら、アメリカは窮地に陥ります。それでも、アメリカは世界で一番の買い手であり続けなければなりません。
そこで、アメリカは1971年に金・ドルの交換停止を打ち出します(いわゆるニクソンショック)。これによって、アメリカはドルの発行限度額に歯止めがきかなくなります。逆に言えば、いくらでも垂れ流しができるようになったということです。ドルを刷れば、いくらでも物を買うことができてしまうようになったとも言えます(暴落を防ぐには、日本のような国に国債を買わせて、余ったドルを「氷漬け」にすればいい)。
そこで、アメリカの産業構造が決定的に変化していくことになるわけです。物を作って売るという実業の世界から、架空の数字をいかに増殖させるか(金融)、輸入した物をいかに国内でたらいまわしにするか(流通・サービス)ということに、関心がシフトしました。●こちらの記事で紹介した、ゼネラル・モーターズの没落は、その過程で起きたことです。
もはや、アメリカには自国で物を作って国民生活を支える力はありません。アメリカの製造業人口は、全就業人口の10%ほどにすぎず、工業中間財(製品を作るのに必要な道具)や部品も輸入に依存しています。近頃は、最終財(できあがった品物)の輸入は、中国に丸投げにしているような状態です。
そんな中で、「バイ・アメリカン条項」が出てきたわけです。
この条項は、公共事業に使う鉄材をアメリカ製にしろというものです。アメリカは自由貿易を謳っていますが、結構な頻度で鉄鋼業界を保護しています。ブッシュ政権も、外国からの安い鋼材に対して、何度かセーフガードを発動してます(●こちらを参照)。雇用を守るという姿勢(=選挙対策)を曲がりなりにも打ち出さなければいけないからです。
しかし、そういうセーフガードと、「バイ・アメリカン条項」は、全く意味合いが違います。前者がWTO(世界貿易機関)も認める緊急措置なのに対して、後者は、アメリカの議会が、「我が国の雇用を脅かしているのは、国際貿易である」ということを明言してしまったことを意味するからです。
すみません、時間の都合などもあるので、次回に続きます。
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