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2008.12.31(Wed)

「海洋覇権国家・中国」は誕生するのか?(3) 

  ●前回の続きです。中国の海洋戦力増強の流れはもはや決定的になったようです。

中国:空母建造を検討 国防省、初めて認める
http://mainichi.jp/select/world/news/20081224ddm002030071000c.html

中国国防省の黄雪平報道官は23日、北京で会見し、中国初の航空母艦の建造構想について「空母は国家の総合力を表す。各方面の要素を総合し、関係する問題について真剣に研究し考慮している」と述べ、検討していることを認めた。

 中国の空母構想については、劉華清・元中央軍事委員会副主席が70年代に海軍内で検討が始まったことを回想録で明らかにしていたが、現職の国防省幹部が公式に認めるのは初めて。黄報道官は空母保有の必要性について「中国には広い沿海部がある。領海の主権と権益を守ることは中国軍の神聖な職責だ」と説明した。



中国が空母建造「真剣に検討」 米太平洋軍司令官が認識
http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008121901000102.html

 キーティング米太平洋軍司令官は18日、ワシントン市内で講演し、中国がこれまで保有していなかった空母の建造を「真剣に検討している」との認識を表明、アジアの軍事バランスの変化に警戒感をにじませた。

 中国海軍が空母建造に強い関心を示しているとの見方は各方面で報じられているが、米軍高官が公に実現の可能性について言及するのは珍しい。

 司令官は、中国が実際に空母開発に乗り出せば「アジア太平洋周辺国の中には脅威に感じる国が出てくる。そうならないよう中国の動きを注意深く見守っていかなければならない」とけん制。「われわれとしては今以上に軍の透明性を高めるよう促していくことになるだろう」と警告した。


>軍の透明性を高めるよう促していく

  完全に地政学から話がそれますが、この「透明性」(transparency)という言葉は、こういう風に使うという典型例です。
  この言葉連発しているのが、「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく 日本国政府への米国政府要望書」(いわゆる「年次改革要望書)です。●今年のものがPDFで出ているので、ご覧になって「透明性」が使われている回数を数えてみるといいでしょう。
  要するに、アメリカの敵対勢力に対して手の内を見せろ、と恫喝しているのです。日本の経済は、アメリカにとっては中国海軍と同じように危険な存在なのでしょう。

  もっとも、前回の記事でも言ったとおり、「ランドパワーはシーパワーになれず、シーパワーはランドパワーになれない」というのが、今までの人類の歴史から分かる事実です。ライオンは陸にいるからライオンなのであって、海に潜ればイワシやサンマにすら勝つことはできません。サメやシャチがいかに海の乱暴者としておそれられていても、陸に上がれば何もできないのと同じです。このことは、前回紹介した第一次大戦におけるドイツの例は、ライオンが泳ぎの練習をしても何の役にも立たなかった好例です。
  中国と同じ「ランドパワー」の国でも、そういうことをきちんと分かった上で、国家戦略を立てている国がいます。ロシアです。以下のニュースに、そのことが象徴的に描かれています。

シベリア鉄道に日本の新幹線技術が使われる?(2007年6月)
http://www.blueblood.jp/moscow1992/blog/2007/06/post_22.html

 政府は27日、ロシアが進めるシベリア鉄道(ウラジオストク―モスクワ間、全長約9300キロ・メートル)などの鉄道網整備計画について、新幹線技術を使った支援に向けてロシア側と協議に入ることを明らかにした。
 今秋をめどに両国の政府関係者や企業などで作る作業部会を設け、具体策の検討を始める。日本政府は、急速な経済成長を遂げているロシアに日本の鉄道技術を売り込み、ビジネスチャンス拡大を図る。石油・天然ガスが豊富なロシアと協力関係を強めることで、エネルギーの安定供給にもつなげたい考えだ。
 ロシア政府は今年9月にも、2030年を目標とする鉄道整備計画を策定する。世界最長のシベリア鉄道の近代化はその中核となる。ロシア政府は昨年、「新幹線など日本の鉄道技術を導入できるかどうか検討したい」と非公式に日本に協力を打診していた。(読売新聞Web版より)

  ※シベリア鉄道の路線図は●こちらを参照


  ロシアは、ヨーロッパから東アジアに至る東西に広い領土を有しています。この広大な国土を鉄道で横断できるようにしているのがシベリア鉄道です。その最も大きな意味は、インド洋を経由せずに、欧州と東アジアを結ぶことができる点です。
  そのシベリア鉄道の全路線がロシア領内にあるということは、ロシアは単独で洋の東西をつなぐ交通手段を確保できるということを意味しています。もちろん、シベリアは極寒の地ですから、気候的なハンデはインド洋経由の航路よりも大きいわけですが、今後世界が温暖化(二酸化炭素の増大などではなく、太陽の黒点活動などによる周期的なもの)して、シベリアが今より過ごしやすい気候になれば、利用価値は一気に高まってきます。
  では、ロシアの海軍戦力はどうなのかというと、正直言ってやる気が感じられないのが現状です。

ロシア原潜事故、事故原因は水兵の過失と断定 刑事告発
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2538679/3517870

 ロシア海軍の原子力潜水艦「ネルパ(Nerpa)」が日本海での航行試験中に消火装置の誤作動を起こし、乗組員やエンジニア20人が死亡した事故で、事故調査委員会は13日、事故原因は乗り組んでいた水兵の1人が消火装置を無許可で作動させたことだと断定、この水兵を過失致死の疑いで刑事告発した。事故調委の発表をロシア通信(RIA Novosti)が伝えた。

 報道によると、事故調委は「水兵の1人が無許可で、理由なしに消火システムを作動させた事実が証明された」「この水兵はすでに過失を認めた」などと説明した。告発内容は、最大7年の量刑に相当するという。当局は、当時艦内で火事は起きていなかったとしている。

「ネルパ」の事故では、消火装置が作動したためフロンガスが艦内に充満し、酸素不足で20人が窒息死、21人が病院に運ばれた。被害が拡大した理由としては、酸素マスクの不足に加え、マスクを着用した遺体も発見されていることから、マスク自体に欠陥があった可能性も指摘されており、ロシア軍の装備の安全性をめぐって新たな不安を露呈する結果となった。

 一方ロシア軍は12日、事故を起こした「ネルパ」が航行試験に合格し、正式にロシア海軍に配備される予定だと発表している。


  ロシアの原潜といえば、●クルスク号の沈没事件がよく知られているわけですが、これはまだソ連崩壊の負の遺産だといういいわけができました。しかし、プーチン大統領(現首相)のもとで経済発展を成し遂げた後でもこれです。もちろん、クルスク沈没に比べれば小さな事故ではありますが、アメリカ海軍とぎりぎりのところでせめぎ合っている状態なら、敵を勇気づけるようなこんなニュースはそもそも出てこないはずです。
  そうだとすると、今のロシアはソ連の二の舞にならないように、主戦場を陸上に定め、シーパワーの世界には手を出さないということを決めているのでしょう。ユーラシアの各地、とくにヨーロッパに対して、パイプラインで化石燃料を供給していたり、●ロシアを迂回するパイプラインの要所になりうるグルジアに対して戦争を仕掛けたり、そういう動きは全てロシアが土俵を陸の上に設定しているということを示しています。

  それならば、同じランドパワーである中国も、そういう道を歩めばいいのではないか、と思う人もいるかもしれません。

  しかし、それは絶対に無理な相談です。理由は簡単で、中国という国は、ロシアと比べると、ランドパワーとして決定的な弱点を抱えているからです。

  それは、中国がランドパワーでありながら、シーパワーの持つ海上輸送路を当てにして世界貿易に参加し、そのおかげで今の「繁栄」を維持しているということです。

  有史以来の中国の歴史、特に経済の歴史を見ていると、非常に強く印象を受ける点があります。それは、日本よりもはるかに昔から貿易のグローバル化を経験していることです。
  たとえば、漢の時代にローマ帝国と結ばれていた「シルクロード」もそうです。また、ずっと時代が下って、明の時代の●「鄭和の大航海」もそうです。中国というのは、中華思想を掲げる唯我独尊の国などではなく、朝貢だの冊封だのいろいろいいわけをつけて、常に周辺諸国や、それよりも遠くにある中東・ヨーロッパと相互依存の関係を築いてきた国なのです。
  これは、現代でも全く変わりません。それどころか、近代型工業の発展に伴って、エネルギーや食料面での他国との相互依存がどんどん進んでいます。
  以下の点に、そういう経済の危うさが表れています。

中国 燃料エタノール用需要増大で「数年以内にトウモロコシ純輸入国に」の予測
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/asia/news/06112701.htm

 チャイナ・デーリー紙によると、中国商務部内部者が、主として燃料エタノールへの加工需要の増大のために、中国が数年以内にトウモロコシの純輸入国に転じると見ている。

 商務部の統計によると、今年第3四半期までのトウモロコシ輸出は昨年同期に比べて68.3%減少して227万トンとなっているが、輸入は43倍も増加、6万トンに達した。石油価格の上昇で、多くの穀物企業がトウモロコシ主要生産省に加工施設を建設してきた。匿名の内部者によると、増大する加工能力が国内需要増加を増加させ、その結果として今年のトウモロコシ国内在庫は減っているが、来年はまだトウモロコシ生産が需要を上回るから、中国が来年にもトウモロコシの純輸入国に転じることはなさそうだ。しかし、数年以内にはそうなる可能性が高い。

 中国では、トウモロコシの大部分は燃料用エタノール、糖、動物飼料の生産に使われる。中国のトウモロコシ主要生産地域である東北部・吉林省にはこのための10以上の加工工場があり、これらの工場は年に600万トンを加工する能力を持つ。東北部の加工施設は、2008年までに年間およそ1500万トンを消費すると推定される。2004年には中国全体1380万トンがこのような加工用に使われたが、これは2005年には2500万トンに増え、今年は前半だけで1560万トンになっている。

 中でも燃料用エタノール生産のための消費が大きい。中国は、今やブラジル、米国に次ぐ世界第三の燃料用エタノール生産国になっている。昨年、890万トンが燃料用エタノールとアルコールの生産に使われたが、これはトウモロコシの工業的消費の44.5%を占める。エタノールメーカー、糖類生産者、飼料工場が国のトウモロコシ在庫を食い潰してきた。

 昨年は861万トンを輸出したが、関係者は、今年後半の輸出は予想されていた500万トンに達することはありそうもないと見る。他方、ますます多くの企業がトウモロコシの輸入を始めている。7月には、一糖メーカーが米国に5万トンの輸入を発注した。専門家によると、需要と価格の激動を避けるために、政府も加工工場の管理を強めているという。

とはいえ、中国は、都市化・工業化や土壌汚染・劣化で耕地が減少し、水不足も深刻化の一途を辿るなか、食肉消費の増大で増加する飼料用トウモロコシ需要の増加を、水田や小麦栽培地を犠牲にしたトウモロコシ生産の拡大で補ってきた。しかし、トウモロコシ収穫面積や単収の増加も限界に達している(図参照。データはFAOSTATによる)。そこにバイオ燃料用需要が加わるとすれば、トウモロコシ純輸入国に転じるのは確かに不可避であろう。安価な米国産トウモロコシに頼るわが国畜産ー特に酪農ーの先行きもますますはっきり見えてきた。


  中国の穀物自給率は95%です。日本より上じゃないか、と思う人がいるかもしれませんが、人口の絶対数が違います。たった5%の不足でも、輸入量は膨大になるということです(ちなみに、ロシアの穀物自給率は110%)。
  その弱点を補うために、中国が指向しているのが「海洋覇権の確立」なのです。自力で台湾海峡-マラッカ海峡-インド洋-中東という海上輸送路を押さえることができれば、東アジアに入ってくる中東産の石油は全て押さえることができ、より有利な資源獲得が可能になります。
  しかし、これはまさに「二律背反」の命題です。中国が海上覇権を確立しようと海軍の増強に走れば、今現在世界の海を支配しているアメリカに対して挑戦せざるを得ません。アメリカは金融資本でも最強の国ですから、中国がそういう「暴挙」に出れば、金融機関が中国に対して外貨建ての融資を一切行わないという反撃に出ることができます。外資がいっせいに資本を引き上げた状態で、中国は新しく設備投資ができたり、貿易決済を滞りなく行えたりするのでしょうか。
  もしできたとしても、アメリカが日本の海上自衛隊あたりを同行させて、「海賊対策」などと称してマラッカ海峡を封鎖してしまったら、中国はこの封鎖を自力で突破しなければならなくなるわけです。
  たとえるなら、最近やっと水泳の練習を始めた図体ばかりでかい男が、オリンピックのメダリストたちに独力で勝たなくてはいけないようなもので、まずもって不可能です。それこそ、ドーピング(異常な軍備増強や、それにともなう財政不安)でもやるしかないのでしょうが、泳ぎ方を知らないのですから、そんなことをしても無駄です。
  中国が今まで通りの経済発展、すなわち、前に走ることで倒れるのを防いでいる自転車状態を続けるには、シーパワー(アメリカや日本)の協力が不可欠なのです。それを分かっているからこそ、胡錦涛は5月に日本を訪問して愛想を振りまき、ここ最近反日デモやら、高官による日本への高圧的な発言やらが聞こえなくなっているのです。
  アメリカに海の上で喧嘩を売ったら、そんなポイント稼ぎには何の意味もなくなるのですが・・・。中国の首脳陣というのは、一体全体、間抜けなのか狡猾なのか、よく分からないことが多いですね。

  ここまでの話を総合すると、中国の海洋覇権確立=シーパワー化を過剰に警戒したり、世界の終わりみたいにして騒ぐ必要は全くない、という結論になります。
  中国は、しょせんは他国との貿易に依存したローカルパワーであり、世界の仕組みを自分から能動的に改変できるほどの力はありません。シーパワーとしては米英に完全に力負けし、ランドパワーとしてもロシアには劣るのです。私は別に中国という国は好きでもなんでもありませんが、背伸びをしないで、本分をわきまえた方がいいんじゃないかという気がします。

  ただし、だからといって中国のシーパワー化を傍観していていいというわけではありません。シーパワーの側も、一致団結して台湾海峡からマラッカ海峡、インド洋、スエズ運河に至るシーレーンを守りきるという姿勢を見せなければなりません。いったん事が起これば、中国は国内が四分五裂することになるでしょうが、我が国や他の国々も無傷であるわけにはいきません。
  そこで、(アメリカが主導しているのかもしれないが)こういう動きが出てきました。

日豪2+2:秘密情報共有へ協議、合意 テロや災害救援で
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081219k0000m010129000c.html

 日本、オーストラリア両政府は18日、外務・防衛閣僚協議(2プラス2)を外務省飯倉公館で開き、国際貢献の現場レベルの協力が進んでいることを踏まえ、テロの脅威や災害救援に関する秘密情報の共有について本格協議することなどで合意した。また、米国のオバマ次期政権を念頭にアジア太平洋地域で日米豪の対話が重要との認識で一致した。

 豪州は日本が米国以外に「2プラス2」形式の協議を持つ唯一の国で、昨年6月以来2回目の開催。日本側は中曽根弘文外相と浜田靖一防衛相が出席した。アフガニスタンへの軍事力強化を明言するオバマ氏に同盟国の日豪が側面支援する姿勢を明確化し、逆に北朝鮮問題など東アジアに関しては米国に影響力の維持を求める狙いがある。

 共同声明と防衛当局間の覚書は(1)秘密情報を共有する法的枠組みについて09年に協議開始(2)艦艇、哨戒機の相互訪問--などを盛り込んだ。アフガンに関しては日本の役割拡大への支持を表明した。


  我が国とオーストラリアは、シーパワーとしては敵同士の関係です。日本の南太平洋での調査捕鯨を、オーストラリアが米英を仲間に引き連れて必死になって妨害している(●この記事を参照)のは、海洋開発を日本の思うようにやらせないという意志の表れです。
  しかし、だからといって、中国の海洋進出に対する態度では、話が別です。暴漢や押し込み強盗であり、両国にとって不利益を与える存在なのですから、共同して治安維持にあたるというのはごく自然ななりゆきでしょう。
  同盟国だとは言っても、対立する場面があっていいのです。利害が一致する範囲では協力を約束すればいいのです。この辺が分からない人が多いと思います。同盟というのは、差し違えを覚悟して結成するものです。相手国の言いなりになったり、要求を全ての飲むというのは、自我が確立していない幼児と同じ発想の持ち主だと言っても過言ではありません。

  これは私の願望なのですが、この2+2(外相・防衛相会談)協議をインドとの間でも定例にすることができないものでしょうか。前回、ミャンマーのココ諸島に中国海軍が基地を建設しているという話を紹介しましたが、中国と国境を接しており、核保有国同士で対峙しているインドとしては面白くないはずです。それを牽制する意味で、インドと日本が海の上で手を組むことにするのです。
  いきなり2+2に持っていくと、中国はもちろん、アメリカからも横やりが入るかも知れませんから、まずは海賊だとか犯罪組織の物資輸送だとか、そういった面でインドの沿岸警備隊と日本の海上保安庁が提携関係に入るというところから始めるといいでしょう。こういう事件もあったのを利用するのです。

インド沿岸警備隊が武装集団の船気付かず
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20081203-436016.html

 インド西部ムンバイの同時テロで、インド軍トップの参謀委員会議長を兼ねるメータ海軍参謀長は2日、記者会見し、軍の組織である沿岸警備隊が情報機関の事前情報を生かさず、武装集団の乗った漁船を臨検したにもかかわらず通過させたと語り、「組織上の問題」があることを認めた。

 メータ参謀長によると、沿岸警備隊は情報機関からムンバイがテロ攻撃を受ける恐れがあるとの情報を得て、インド西部の海岸で警戒態勢を強化していたが、攻撃はなく、11月中旬に態勢を解除していた。

 沿岸警備隊は、パキスタンから来た武装集団がすでに乗っ取っていた漁船を11月20日ごろ、ムンバイ西方のインド西部グジャラート州の沖合で調べたが、インド国民の身分証明書を示され、武装集団だと気付かずにそのまま通したという。

 これまでの捜査によると、武装集団10人が26日夜、ムンバイ沖で小型の高速ボートに乗り換えて市内の漁港に上陸、ホテルなどを襲った。漁船はテロの後、首を切られた船長の遺体を乗せて漂流しているのが見つかった。


  ムンバイのテロ事件自体は悲しむべき出来事ですが、これをきっかけにして、日本の海上保安庁がアドバイスするとか、共同で訓練をするようになればいいのです。これを足がかりにして、最終的には海軍同士の連携というところに話をつなげていくわけです。

  同じやり方で、マラッカ海峡沿岸の諸国とも連携することが可能です。特に、船の逃げ場になる島が多く、海賊に悩まされているインドネシアなどは、日本の協力をすんなり受け入れてくれる可能性があります。
  どこか一カ国でも日本に協力してくれる国が見つかったら、その国と、オーストラリアを誘い、ASEAN(東南アジア諸国連合)全体で海上警備を行うようにするのです。
  これに対して、中国は●南沙諸島を巡る領土問題で、ASEAN諸国と対立していますから、こういう利害を捨てた一致を呼びかける立場に立つことはできません。そういうところを狙わなくては駄目です。ASEANと中国の関係で言えば、「中国とASEANがFTAを結んだ!日本も負けるな!」などということを主張している人間もいますが、安売り競争という中国と同じ土俵に立とうとしている時点で戦略性ゼロと言わざるを得ません。

  最近頻発している「海賊事件」というのも、もしかしたらシーパワー同士が結束する機会になるように、わざと大げさに報道されているのでは?・・・などということを考えてしまいます。中国が首をつっこんできたのも、シーパワー同士の連携にくさびを入れるためなのでしょう。。
  台湾海峡からインド洋を経て、スエズ運河に至る、「海のシルクロード」からは、今後も目が離せません。

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  今年は本記事が最後の更新になります。10月以降私事の方が何かと忙しく、なかなか記事を上げられない時期が続き、期待していらっしゃる読者の方には大変申し訳ありませんでした。
  来年も、仕事や勉強の合間を縫って、みなさんの役に立つ記事を書いていきたいと思います。引き続き応援よろしくお願いいたします。
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2008.12.25(Thu)

「海洋覇権国家・中国」は誕生するのか?(2)  

  ●前回の記事の続きです。
  前回から話題にしている中国という国は、もともとおかしいと思ってはいましたが、やっぱり決定的におかしい国だということがよく分かるニュースが出てきました。

中国「撤収企業の責任を最後まで追及」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=109059&servcode=A00§code=A00

 中国政府が外資企業の非常識な撤収(夜逃げ)に対して「国境を越え、最後まで民事・刑事上の責任を追及する」と明らかにした。賃金を意図的に支給せず、未納債務・税額が一定額を超えた状態で撤収した外資企業の関係者は外交手段を通じ、犯罪の責任を求めることにした。

中国人労働者と投資家の利益を守るため、政府が訴訟をはじめ、できる限りの手段を総動員するという。これを受け、中国に進出した韓国企業は清算手続きがさらに難しくなるものと懸念されている。中国の商務部は20日、外交部、公安部、司法部が共同でこのような内容の「外資企業の非常識な撤収に対する共同指針」を設け、発表した。

これによると、中国政府は外資企業が不渡り、破産、清算などの理由から、正常な企業活動ができない状況で自国の労働者と投資家が被害を受けた場合、積極的に対応するという。中国内の被害者が外資企業と企業主を相手取り訴訟を起こすと、政府が積極的に訴訟を支援する。


>外交手段を通じ

  主権国家の政府が自国企業の利益を図るのは、現在の国際社会では当然だとして、ここまであからさまにやってしまうセンスには、呆れるを通り越して脱帽してしまうほどです。
  そういう国家が、果たして国家戦略に限っては合理的で隙のないプランを立てられるのでしょうか。今回の記事では、中国という国がソマリア沖への艦艇派遣を契機に、本格的に海洋覇権の獲得に成功するかどうかを検討してみたいと思います。

  まず、中国という国が、地政学的に見てどういう国なのかというと、間違いなくランドパワー(大陸勢力)です。
  ランドパワー中国の行動様式については●こちらの記事でかなり詳しく論じましたが、簡単に復習しておくと、

▲中国は陸地で多くの国と国境を接している
▲それゆえに、中心部から国境線を遠ざけようとする習性がある
▲ソ連が崩壊した今、中国は東アジアで最強のランドパワーである
▲その中国の最大の脅威は、核兵器を保有した隣接ランドパワー・北朝鮮である


  こんなところでしょうか。
  そして、中国は増大する経済力を背景に、「シーパワー」(海洋勢力)としての実力の強化にも乗り出しています。
  中国が世界最大の人口を抱える得体の知れない大国であるという印象を持っている人や、中国に対して強い民族的コンプレックスを持っている人は結構います。そういう人たちは、今回のソマリア沖艦艇派遣という事件一つをとって、「中国の脅威に備えて・・・」などと言い始めるかも知れません。

  しかし、そんな大騒ぎは無用です。

  ある一点だけ注意していれば、という条件付きですが、中国はスエズ運河から台湾海峡に至る海域を支配するシーパワーにはなれません。
  細かいことをぐちゃぐちゃ言っていても埒があきませんから一言で言うと、「ランドパワーはシーパワーになれず、シーパワーもランドパワーにはなれない」というのが、歴史を貫く法則だからです。
  中国風に言えば、「天道に反する」と言ってもいいかもしれません。とにかく、強大なランドパワーであることと、強大なシーパワーであることは、絶対に両立しないのです。

  そもそも国家や民族というのは、どういう土地で生まれ育ったかというのが決定的に重要です。
  これは、動物の適応みたいなものです。ダチョウが飛べなくなったのは、アフリカのサバンナではそれで十分だからです。つまり、足が速ければ天敵の攻撃を防げるのです。また、あれだけの大きさをしているダチョウが群れで行動していたら、捕食する肉食動物も一回の攻撃で全滅させることは不可能ですし、その必要もありません。そうやって、ダチョウはアフリカのサバンナで生き残ってきているのです。
  逆に言えば、ダチョウは日本のような平野が狭く秋冬に気温が低い土地では生きていけません。動物の世界は、全てそういう風に動いています。適応という自然界の法則を破っているのは、「富の蓄積」などというというよけいな要素を持っている人間だけです。
  これを国家や民族の話に置き換えると、日本人が今のような行動様式や文化を持つに至ったのは、日本に暮らしてきたからです。逆にいえば、日本で暮らすためにはそういう伝統を持たざるを得なかったわけです。これは、朝鮮だろうと、中国だろうと、ドイツだろうとロシアだろうと変わりません。
  もちろん、どうすれば適応できるかというのは、科学技術や気候や周辺国の力関係の変化によって徐々に変わっていきます。しかし、地理的条件というのは、100年や500年という短い周期では変化しません。そうだとすれば、その国の歴史をひもとけば、どういう「生き物」なのかは今も昔もだいたい変わらないということが言えます。

  そういう適応の法則を破ろうとすると、必ず痛い目に遭うのが、世界史の鉄則です。    

  ランドパワーがシーパワーになろうとした例は、第一次世界大戦前のドイツです。
  プロイセンという比較的貧しい地域の国がロシアとオーストリアの勢力争いの隙を突いて成長し、他の豊かな地域を力で飲み込んでできたのがドイツという国です。その「建国の祖」と言えるのが、プロイセン・統一ドイツの首相だったオットー=フォン・ビスマルクです。ビスマルクの国家戦略は、非常に単純です。要するに、「イギリスとはけんかをせずに、大陸諸国に恨まれているフランスを叩いてドイツ統一を達成しよう」というものです。ビスマルクの在任中、ドイツはイギリスと一度も対立せず、海外に植民地を求めることもしませんでした。
  ところが、ドイツが工業力でイギリスを凌駕し、大宰相ビスマルクの影響力にかげりが見え始めると、途端に国家戦略が狂い始めます。19世紀末の世界においては、ドイツはものを作るのは上手でも、世界の貿易や金融のチャンネルは全てイギリスに握られています。このチャンネルを奪えば、もっと利益が上げられるはずなのに・・・と、ドイツの産業界や資本家が思ったとしても無理はありません。そうして、ドイツは海外領土の獲得に走り始めてしまいました。
  そして、最強のシーパワー・イギリスといよいよ決定的に対立したのは、●3B政策という戦略を採用した時からです。
  19世紀後半になって内燃機関が発明され、石油の利用価値が飛躍的に高まったところに、1900年前後に中東で大規模な油田が発見され始めたため、この地域に欧州列強が争って進出し始めます。
  ドイツはもともと海外領土を持っていなかったため、中東に海路でアクセスすることができません。そこで、ベルリンからバルカン半島を経てトルコ領内を通り、バグダッドに至る鉄道敷設を狙いました。3Bというのは、Berlin-Byzantium(トルコ最大の都市・イスタンブールの古い名前)-Bagdadの頭文字を取ったものです。
  このドイツの政策転換を受けて、イギリスは「反ドイツ包囲網」を形成し始めます。フランスと「英仏協商」を結んだだけでなく、宿敵ロシアとも「英露協商」を結んで中央アジアでの勢力争いを手打ちにしました。
  そして、結局この対立は第一次世界大戦につながっていくわけですが、ドイツはいざ戦争となると、イギリスとの制海権争いになると踏んだのか、大戦前に急激に海軍力を増強させていきます。●Uボートという潜水艦の原型も、ドイツが開発したものでした。
  そうして、ドイツは大戦前に世界第2位の軍艦保有国になったわけですが、結局ドーバー海峡(イギリスとフランスを隔てる海峡)を突破することができませんでした。大戦が始まると、ドイツは陸上でフランス・ロシアと戦わなければならなかったので、陸軍の増強を余儀なくされ、イギリスとの戦艦建造競争に勝てなかったからです。海戦というのは、因果なもので、各国の保有戦力の差が如実に出ます。籠城戦を戦い抜くだとか、奇襲で相手の足並みを乱すとか、そういう「秘策」がありえないのです。戦艦建造競争に負けた時点で、ドイツの海での敗戦は決定的でした。
  思い切って海軍のみ増強すればよかったのではないか?という人もいるかも知れませんが、それは無理な注文です。陸軍を増強しなければ、フランスやロシアの陸軍に国土を荒らされ、肝心の海軍を増強することすらできなくなってしまうからです。イギリスは島国なので、敵の上陸を防ぐことに全力を注ぐことができたのと、対照的でしょう。
  第一次大戦でのドイツ敗戦は、次のような教訓を与えてくれます。すなわち、

(1)世界2位の海軍力には何の意味もない
(2)シーパワーに喧嘩を売ると、隣接するランドパワーと手を組んで逆襲してくる
(3)ランドパワーが海軍増強に走ると、肝心の陸地でも勝てなくなる


  ということです。結局、ランドパワーの国が海軍にカネをかけてもろくなことがないということです。

  しかし、それでも国力や技術の進歩、敵対国(円熟期にあったイギリスと、アメリカの弱体化)といった差異があり、単純に20世紀初頭のドイツと同じだと言って片付けるのは乱暴かも知れません。

  次回、もう少し中国の置かれている状況を、もう一つのランドパワー大国と比べながら論じてみたいと思います。切れ切れで済みません。

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2008.12.21(Sun)

「海洋覇権国家・中国」は誕生するのか?(1) 

  続き物が滞っていて済みません。やっと内容が練り上がったと思ったら、とんでもないニュースが入ってきました。マスメディアや、巷の政治関係のブログがおかしなことを吹聴しはじめる前に、どうしても触れておきたい話題です。

中国、ソマリア沖海賊対策で駆逐艦など3隻派遣決定
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081220AT2M2002920122008.html

 アフリカ・ソマリア近海で海賊被害が頻発している問題で、中国政府は26日、人民解放軍の艦艇3隻をソマリア周辺海域に派遣する。国営の新華社が20日報じた。中国船舶や乗員の安全を守ることに加え、世界食糧計画(WFP)など国際機関の人道支援物資を運搬する船舶を護衛するのが目的。

 海軍南海艦隊の駆逐艦2隻と補給艦1隻が海南省三亜から出航し、スエズ運河への航路に位置するソマリア北部のアデン湾でも警備活動を実施する。軍事交流を目的とした親善訪問を除き、中国海軍の遠洋での任務は初めて。


  これは、日本を取り巻く安全保障や国際政治の力学に関して言えば、今年一番のニュースかも知れません。
  もっとも、「中国が遂に覇権主義に走り始めた!」などという、単細胞な中国脅威論を唱えたいのではありません。以下で、今回の中国政府の決定の持つ意味考えてみます。

  当たり前ですが、国連安保理の常任理事国でありながら、分担金を1%しか払っていないような国が、海賊掃討という国際社会への貢献目的で艦艇をアフリカまで派遣するわけがありません。ちゃんとした、地政学的な狙いがあります。
  まず、世界地図を見てみましょう。
     世界地図
  赤い○が付いているところが、今回中国が駆逐艦を派遣することに決めた海域です。
  それ以外にも、妙な場所に3箇所○印がついているのがご覧いただけるでしょうか。この場所は、いわゆる「チョークポイント」と言われる場所です。
  チョークポイントとは、文字通り海が絞まっている(チョーク)ところです。左から「スエズ運河」「マラッカ海峡」「台湾海峡」です。
  もし、日本(東アジア)からヨーロッパまで最短距離で行きたいと思った場合、この三つのポイントは絶対に通らなければなりません。そして、チョークしているポイントですから、ここを軍艦にふさがれた場合、逃げることができません。
  そうだとすれば、もしこの三つの海域を同時に支配することが出来れば、アメリカ大陸を除く世界の貿易はその国が完全に牛耳ることが出来ます。これを実現した国は、歴史上たった二つしかありません。19世紀のイギリス、そして20世紀のアメリカです。この二つの国の大きな特徴は、他国と隔絶した海軍力を持っており、自国や友好国の艦船がこの海域を通過しようとしたとき、パーフェクトに安全を確保することができていました。この二カ国が、他国に忌み嫌われながらも世界のリーダーとして君臨できていたのは、その圧倒的な海軍力で海上貿易の安全を守っていたからです。まさに彼らは「シーパワー」だったわけです。
  しかし、ここ最近、アフリカ東海岸で海賊事件が多発しているように、アメリカの海洋覇権にかげりが見えてきています。アメリカが従来相手にしていたのは、冷戦時代のソ連のような大がかりな敵であり、ソマリア沖の海賊のように、どこからか現れて民間の船を襲撃するような敵ではなかったので、対応が遅れているのでしょう。
  それに追い打ちを掛けるように、今年の中頃、アメリカ発の金融危機が勃発しました。産業力で日本やドイツに追いつかれそうになったアメリカは、1970年代以降、ずっと金融中心の経済システムで世界をリードしてきたわけですが、その経済システムゆえに衰退を余儀なくされているのです。

  そこに首を突っ込んできたのが、中国というわけです。

  主に冷戦時代に形成され、今にいたっているアメリカの海洋覇権というのは、中国からしてみれば目の上のたんこぶです。他国の資源を好き勝手に奪いたい(たとえば、アフリカの資源を買いあさりたい)と思っても、アメリカの機嫌を損ねてしまったら、それを自国に運ぶ手段を断絶させられてしまうのです。これでは、本当の意味での覇権国家にはなれません。
  そこで、中国は成長する経済力を背景に、海軍の増強にいそしんできました。ソ連が崩壊して、陸上に強大な敵がいなくなったというのも大きい要因です。ミサイル開発と並んで、中国は潜水艦や空母の増強に力を入れてきました。
  近年では、「真珠の数珠つなぎ」戦略と言われるものを実行しています。マラッカ海峡から中東までの海域に、数珠つなぎで海軍の拠点を作り、シーレーン(海上輸送路)を自力で防衛できるようにするという戦略です。
  たとえば、友好国の一つである●ミャンマー領の「ココ諸島」に海軍基地を建設(注:PDFです)したりしています。近年ミャンマーで反政府勢力の動きが活発になっていますが、その辺と中国の軍事戦略には何らかの関係があるのかも知れません。アウン・サン・スー・チー女史の旦那がイギリス人だという辺りからも、何か匂ってきます。
  そして、今回のソマリア沖への軍艦覇権です。下心がないなどと言って、信じる人の方が少ないでしょう。
  世界的な金融危機というのも、中国には好都合です。他の金融中心経済の国(欧米はだいたいそうだし、日本もそういう部分が近年は強くなってきた)が地盤沈下を起こせば、世界中がデフレになり、安価なチュウゴク製品の需要はますます大きくなるからです。
  中国政府も、経済の見通しは強気です。

中国、鉱工業生産回復で09年は8%成長へ=人民銀副総裁
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35550720081220

 中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁は、来年は鉱工業生産が回復し、8%ないし、それを若干上回る成長を記録するとの見通しを示した。

 11月の各種経済指標は中国経済が予想以上のペースで鈍化していることを示したが、ここ数週間、中国当局者からは比較的明るい経済見通しが聞かれている。

 中国証券報(電子版)によると、易副総裁は、金融関係の会合で消費と投資が安定し、政府の景気対策が輸出減少を補うとの見方を示した。

 企業の在庫調整が進んでおり、大半が来年半ばまでに調整が終了する、とした中銀調査の結果を紹介し、過去2カ月間大きく落ち込んでいる鉱工業生産も遅くとも来年第3・四半期までに正常に戻るとの見方を示した。


  中国の統計が当てにならないのはよく知られていますが、だからといって見くびるのは非常に危険です。「中国は日本にとって嫌な存在である」という事実と、「中国は脆弱な国で、すぐにでも崩壊する」という希望的観測とは完全に区別して考えるべきです。私は上に書いた理由から、アメリカやイギリスの沈没に比べれば、中国経済は比較的浅い傷で済むと思っています。

  では、本当に中国は三つのチョークポイント全てを支配することが出来るのでしょうか?

  次回、その辺を考えてみたいと思います。

追伸:●「いろり」のない文明のもろさの続編は、もうしばらくお待ち下さい。

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EDIT  |  23:40 |  地政学・国際関係  | TB(0)  | CM(3) | Top↑
2008.12.14(Sun)

【めいわくな】 ヤクザ国家同士の覚せい剤戦争 【隣人たち】 

  すいません。続き物の記事を書く時間がなかなか取れません。これで許して下さい。

覚せい剤 中国発が台頭
http://mytown.asahi.com/fukuoka/news.php?k_id=41000000812100001

 北九州市の門司港に入港した外国貨物船から覚せい剤約300キロが発見・押収された事件は、中国南部から大量の覚せい剤が密売目的で国内に持ち込まれている実態をあらわにした。県警などは、中国マフィアや日本の暴力団の関与もあるとみており、過去に密輸が繰り返されてきた疑いも浮上している。北朝鮮ルートの覚せい剤流入量が減る中、北京五輪の警戒態勢が緩んだこの時期を狙って中国から大量密輸を図った可能性も指摘されている。

 ■北朝鮮ルートは激減

 11月11日午前2時すぎの門司港岸壁。古びた貨物船から14個の黒い箱を慌ただしく運び出す男たちを、フェンス越しに嶋田徳龍被告(40)=覚せい剤取締法違反(営利目的密輸入)の罪で起訴=がじっと眺めていた――。

 貨物船は表向き、肥料に使うリン鉱石約千トンを運ぶため、10月17日にベトナム国境近くの中国・防城を出た。だが、複数の船員は調べに「アモイ近くから出港し、防城へ着く前にシャブ(覚せい剤)を積んだ」と供述した。夜、洋上で別の船からロープで覚せい剤を搬入、防城で公安当局の検査を受けたが、発見されなかったという。

 船が防城を出た8日後、嶋田被告は門司港にいた。直後に香港へ渡って11月7日に帰国、関西からおいの車で3日かけて再び門司港へ来た。

 県警などの合同捜査本部は、一連の行動を「下見、香港で密輸の相談、覚せい剤の譲り受け」だった可能性があるとみている。帰国後、嶋田被告の携帯電話から中国に住む人物との複数の通話履歴が確認されたという。捜査幹部は「中国の第三者を介して、貨物船と情報をやり取りしていたのでは」とみる。

 嶋田被告は同月11日午後、北九州市内で逮捕された。「魚釣りに来た」と容疑を否認したという。

 ■船員「以前も運搬」

 今回逮捕、起訴された船員の中の数人は、過去にも覚せい剤密輸にかかわった疑いがあるという。捜査本部によると、昨年以降、中国から福岡や鹿児島県などへ来た密輸が疑われる貨物船の船員名簿に今回の船員と同一とみられる名前が複数あったという。

 その1人、2等機関士の男は昨年1月と同12月、愛知や鹿児島、福岡へ入港した中国発の船に乗っていた。船は今回と同じアフリカ船籍で、男は「大量の覚せい剤を載せていた」と供述。今回の事件についても「乗船前に現地のマフィアと会った」と話しているといい、捜査当局は船員の仕切り役だったとみている。

 ほかの船員の多くは「通常の10倍の給料で雇われた」と供述しているという。マフィアとつながりのある海運会社が、密輸のたびに高い報酬で船員を現地で募り、2、3人ほどの仕切り役を通じて指示を出す――。捜査幹部は、繰り返されている可能性がある中国からの「密輸船」の構図を、そうみている。

 ■五輪後、警戒緩む?

 今回の覚せい剤押収量は、過去の押収事案の中で4番目に多かった。薬物捜査の経験が長い県警幹部は、中国マフィアの影がちらつくことや船の出港地などから「福建省など中国南部で精製された可能性が高い」と話す。

 かつて、国内に流通する覚せい剤は北朝鮮製が中心だった。警察庁によると、02年までの5年間の大量押収事案のうち、北朝鮮を仕出し地とする押収物が4割以上だった。それが、北朝鮮から大量密輸を図ったとして関東の暴力団幹部らが06年に逮捕された事件を契機に流入量は激減した、と捜査当局はみている。

 代わって台頭したのが、中国南部やカナダルートだ。「北京五輪前の厳戒態勢で中国からの流入が減り、末端価格が高騰していた。大量密輸で多額の売却益を狙ったのではないか」。今回の事件を捜査幹部はそう読み解く。

 県警幹部は「今回は氷山の一角。今後も中国からの密輸を警戒する必要がある」と話している。



>警察庁によると、02年までの5年間の大量押収事案のうち、北朝鮮を仕出し地とする
>押収物が4割以上だった。


>北朝鮮から大量密輸を図ったとして関東の暴力団幹部らが06年に
>逮捕された事件を契機に流入量は激減した、と捜査当局はみている。
  

  2006年に政権を運営していたのは小泉内閣、安倍内閣です。だから、この北朝鮮製の覚せい剤撲滅キャンペーンがなぜ起きたのか、表面的に見れば「小泉・安倍という対北朝鮮強硬派政権の功績」だということになるわけです。
  確かに、2006年の覚せい剤の流通量は減りました。摘発した押収した量が激減したからです。ところが、2007年になるとまた急増しているのです。2007年の上半期(1~6月)の押収量だけで、前年(2006年)の8倍になり、最終的には前年比約203キロ増になったそうです。
  2007年の上半期は、まだ安倍さんが首相だったはずですが、その年から急増したのが中国製の覚せい剤でした。福建省を中心として、華南地域で精製されたものが多いということです。
  そして、今年は北京五輪があったせいで中国側が港湾や空港で厳戒態勢を取り、中国からの覚せい剤の持ち出しがしにくかったようです。今回の大量摘発は、上半期の分の「巻き返し」ではないかという見方も出来そうです。
  2006年から今年までの覚せい剤事情を見ていて興味深いのは、品薄になった時は価格が上がり、チュウゴク製の覚せい剤が順調に流通していると価格が下がっていることです。これは、日本国内での覚せい剤に対する需要というのは一定だということを意味しています。
  おそらく、これは増えることはあっても減ることはないでしょう。景気が悪いと、ギャンブルや麻薬がはやるものです。単に、世の中が嫌になるからというわけではありません。覚せい剤の常用者は、多忙な業種(以前某運送会社のドライバーがよく覚せい剤で捕まった)や、ハイにならないとやっていられない仕事(たとえば芸能人)の人間に多いのですが、今後は過剰な競争で精神や肉体を摩耗する人が増えると予想されるからです。
  そういう人間が少しでも減るように、社会政策や経済政策があるのではないでしょうか。もっとも、近頃の有力政治家というのは、北朝鮮製の覚せい剤が減ったこと「だけ」を見て喝采するようなアホな連中に支持されている人が多いようですから、そんなことに目を向けろと言っても無理なのかも知れません。

  そうそう、覚せい剤について、もう一つ面白い記事を紹介します。

[社会] 延辺の麻薬犯罪に備え'人民戦争'を宣布
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news6/081203-4.htm

延辺自治州が麻薬犯罪に対して "人民戦争"を宣布した。延辺州党委と州政府は 27日、李龍煕州長の司会により、延辺史上初めて公開された "麻薬取り締まり人民戦争動員退治大会"を召集し、延辺州の範囲内で麻薬取り締まり活動を大々的に展開する事にした。

延辺は中、朝、ロシア 3国国境地帯に位置する特殊な立場であるため、麻薬密搬入事件が頻繁に起こっているのが実情で、それもここ最近だけの話ではない。しかしこのような麻薬密搬入事件に止まらず、社会的に青少年の麻薬服用者が増え、深刻な問題として台頭し始めたのは最近のことだ。

延辺自治州公安局麻薬取り締まり大隊によれば、延辺自治州の麻薬犯罪発生率は高く、麻薬犯罪が大規模化、組織化の兆しを見せており、関連犯罪者も低年齢化する傾向が出ている状況だ。 統計によると 2005年は 392件の事件で麻薬 6484gを押収、2006年は 407件の事件で麻薬 1万 501gを押収、2007年は 591件の事件で麻薬 3万 5000gを押収した。 警察はまた麻薬服用者のうち、 17~35歳の青少年が 70%を占め、特に最年少の麻薬服用者がわずか 14歳と明らかにした。

今年 1月から 10月までに押収した覚せい剤の量は、去年同時期の 4倍に増えた。 特に国内外の麻薬犯罪者たちがお互いに結託しており、また麻薬密売の犯行がますます拡大しており、犯罪道具もますます進歩しているため、見逃すことが出来ない。

延辺自治州党委員会・凱は "麻薬取り締まり活動は、社会と国境地帯及び国家の安全と社会の経済発展を推進する上で重要な役目をしている"と指摘し、地方各政府が "麻薬取り締まり活動を一つの政治任務と考えなければならない"と指示した。

大会で延辺自治州党委員会と政府は、傘下 8つの県・市の指導者たちと、それぞれ麻薬取り締まりの目標を確定した。 延辺自治州党委員会と政府はまた、麻薬取り締まり活動に必要な資金の投入を増やす事にした。 特に麻薬が国外から延辺自治州へ流れ込むことが出来ないように、国境で遮断するため、国境防衛の力量を伸ばし、予防、広報、退治等、麻薬取り締り統制システムを強化する事とした。



>"麻薬取り締まり人民戦争動員退治大会"

  ちゃんと考えたネーミングなので、笑ってはいけません(笑)。もっとも、こういう風に誇大なネーミングをするとき、中国人はあまりやる気がないというのが普通です。多分、このネーミングも、中央向けにアピールするための材料というだけでしょう。
  それよりも、面白いのはここです。

>延辺は中、朝、ロシア 3国国境地帯に位置する

>今年 1月から 10月までに押収した覚せい剤の量は、去年同時期の 4倍に増えた。

  さらに、付け加えると、延辺という町の周辺は、「朝鮮族自治州」だったりします。
  はい、ここまで指摘すれば、青少年にまで浸透している覚醒剤汚染が、一体どこのどいつが仕掛けたか、分からない人はいませんね?
  要するに、日本向けの輸出という「シノギ」を奪われたヤクザ国家・北朝鮮が、発展著しい中国の市場を狙って「攻勢」を強めているということです。確かに、中国東北部から福建省や香港など華南地域から運搬するとなると、途中で中国の公安警察に発見される可能性が出てきますが、川一本またいで向こう側の北朝鮮からなら、供給ルートが短いので、リスクも当然少なくなるわけです。しかも、現地には協力者になってくれそうな朝鮮族もいます。麻薬戦争をおっ始めるなどと吹聴している延辺自治州の政府(当然朝鮮族だらけ)の一部も、もしかしたら北朝鮮とグルになっているのかもしれません。
  
  このブログが以前から主張しているように、中国と北朝鮮は現在、厳しい冷戦状態にあります。冷戦というのは、ただにらみ合っている状態ではありません。米ソがそうだったように、水面下で激しいつばぜり合いを演じているものです。
  私は政府関係者でもありませんし、これからもそういう関係者になることはありませんが、きちんとしたインテリジェンス部門を日本政府が持っていたら、中国東北部、特に瀋陽とか長春みたいに朝鮮族が多い都市を中心にして、きちんと情報収集をする部署を置いた方がいいんじゃないでしょうか。
  2010年の上海万博が終われば、いよいよ中国は「中国東北部従来工業基地再開発計画」に乗り出します。その前に、北朝鮮という目の上のたんこぶを始末しにくる可能性もあるのです。そんな地域に進出する馬鹿な企業が出ないように、いろいろな情報を集めておくことは重要だと思います。

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EDIT  |  23:47 |  中国・朝鮮  | TB(0)  | CM(3) | Top↑
2008.12.11(Thu)

「小泉新党」はもはや秒読み段階に入った 

  コメント返信が遅れていて済みません。あとで必ずしますので、もう少々お待ち下さい。

  今日は、続き物を一旦中断して、最近入ったニュースを扱います。政治ネタを書くのは本意ではありませんが、重要なものなので、そういうことは言っていられません。

郵政見直し論をけん制=小泉氏「誓約書提出忘れるな」-推進派が集会
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&rel=j7&k=2008120900920

 小泉純一郎、安倍晋三両元首相らを呼び掛け人とする自民党有志の「郵政民営化を堅持し推進する集い」が9日午後、党本部で開かれた。小泉氏はあいさつで、党内の民営化見直しの動きについて「何やら不可解な行動をしているが、そういう方々の多くは(民営化賛成の)誓約書まで書いて復党したことを忘れてほしくない」と厳しく批判した。
 小泉氏はまた、11日の衆院本会議で予定される野党提出の民営化見直し法案の採決に関し「難局にあればあるほど冷静に良識ある行動を取ってほしい」と述べ、党内が一致して否決するよう呼び掛けた。
 「集い」の開催は、麻生太郎首相が日本郵政株の売却凍結に言及したのを受けて勢いづく民営化見直し論をけん制するのが狙い。小泉、安倍両氏を含め議員63人、代理50人が参加した。


  もう一つ紹介します。「おこぼれ狙いの雑魚の集まり」の動きも出ていますが、そんなものより最後の方の「彼」の発言に注目です。

衝撃・支持率急落:自民議員一斉に動く 反執行部議連、メンバー倍増 衆院選へ危機感
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081210ddm005010010000c.html

 麻生内閣の支持率急落を受けて、自民党内では9日、所属議員が相次いで会合を開くなど「余震」が続いた。政権批判を強める中堅・若手が2回目の会合を開くと、メンバーは48人に倍増。一方、党内の路線対立を踏まえ、郵政民営化などの政策議連も相次いで旗揚げした。麻生太郎首相の人気低落で、党内では次期衆院選への危機感が充満しており、各議員は有権者の視線を意識しながら、一斉に走り出している。

 「我々の提言を党執行部にのませるのか。(執行部が)のまないなら(野党が衆院に提出する)内閣不信任案賛成までやるのか」

 9日、自民党本部7階。中堅・若手でつくる「速やかな政策実現を求める有志議員の会」(代表世話人=塩崎恭久元官房長官、茂木敏充前行政改革担当相)が開いた2回目の会合で、柴山昌彦衆院議員は大声で、出席者の「決意」を迫った。支持率急落を受け、メンバーは48人(出席者は25人)にまでふくれあがった。

 先月、08年度2次補正予算案の今国会提出を首相に求めた「速やか議連」は、森喜朗元首相や各派領袖から、厳しい批判を浴びた。しかし、支持率急落による焦りが、尻込みしていた議員の背中を押した形。政権批判を続ける渡辺喜美元行革担当相は会合後、「党内は閉塞(へいそく)感に満ちあふれており、若い議員に相当、危機認識がある」と語った。

 そんな中堅・若手の動きに対し、党執行部はいら立ちを隠さない。菅義偉選対副委員長は9日、党本部で記者団に対し「倒閣や新党で動くなど、政権運営を妨げる行動があった場合、同志として一緒にやっていけるか、判断せざるを得ない」と強調した。次期衆院選での公認停止などを念頭に、中堅・若手の動きをけん制したものとみられる。

 一方、小泉純一郎元首相、中川秀直元幹事長ら自民党の郵政民営化推進派は議員連盟「郵政民営化を堅持し推進する集い」を発足させた。

 「3年前の選挙を思い起こしてほしい。不可解な行動をしている方の多くは郵政民営化反対が間違いだったと誓約書まで書いて復党したことを忘れないでほしい」

 小泉氏はこうあいさつし、郵政復党組で、首相側近の山口俊一首相補佐官らが日本郵政グループの組織形態の見直しを検討していることなどを強くけん制。「親麻生」のスタンスを崩さない安倍晋三元首相も民営化堅持の姿勢をアピールした。

 首相は9日夜、首相官邸で記者団に対し、中堅・若手の会合について「いろんな意見が出ることは正直いいことだ。頑張れという声も別にあり、いいことだと思っています」と述べるにとどめた。郵政議連の終了後、小泉氏は参加議員に対し「大変だなあ。次の選挙は。(政権は)すでに追い込まれているんだよ」と語ったという。



  私は麻生政権発足直後、「経済を知らずして愛国を語るなかれ」という掲示板に、このような意見を書きました。

http://9107.teacup.com/cakeyachan28/bbs?BD=3&CH=5&M=ORM&CID=2235

みなさん、麻生首相に期待し過ぎです。

麻生氏が総理になれたのは、(1)清和会と手打ちができたから(2)外資やアメリカが害がないと判断したから です。

誰がやっても沈没なのですから、少数派閥の宏池会にババを引かせるのが自民党主流派及びそのバックの意向だったのです。アメリカ本国同様、旧式の戦艦の使い勝手が悪くなったから自沈させるということです。民主党に政権を渡すくらいなら、できる限りダメージを与えておく戦略でしょう。

要するに、麻生は時間稼ぎの生け贄なのです。断言しますが、もう「何も」できません。おためごかしに終始します。

さて、その沈み行く船からいち早く逃げ出したのは誰でしたっけ?引退しても政治活動を継続すると明言した彼だったんじゃないでしょうか?


  これに対して、麻生首相のもとで景気回復すれば問題はないとか、(麻生氏のことを言っているのに)民主党の小沢代表には適性がないだとか、そういう反論を私にぶつけてきた方々がいました。今の政界を見ると、そういう根拠のない期待をしていた人びとと、政党内の力学を根拠にして主張をしていた私と、どちらが正しかったかは歴然でしょう。
  念のために申し上げておくと、「清和会」というのはいわゆる自民党町村派のことで、自民党の最大派閥です。
  麻生首相はこの派閥の出身者ではありませんが、先の自民党総裁選(もうしょっちゅうやっているのでどの総裁選か分からなくなっているが)清和会の多くの議員が麻生首相を支持しています。二つ目の記事で出てくる

>柴山昌彦

  とかいう議員も、そういう一人です。
  そして、私はずっと「清和会に支持されている以上、麻生首相はカイカク路線に逆らうことは出来ない」と言ってきたわけです。その予想通り、「赤字国債発行もやむなし」や「郵政民営化凍結」という、カイカク路線の修正が噂されるようになった途端、こうやって自民党内が騒がしくなってきたわけです。
  麻生氏が自民党総裁・内閣総理大臣になっても、自民党に対する劇的な支持は回復しませんでした。それを見て、麻生氏をマリオネットにする方向性から、「全ての責任をおっかぶせて自沈させる」老朽化した戦艦にしてしまおうという方向へ舵が切られたということでしょう。おそらく、骨のある議員が消え、地方組織も壊滅状態の自民党という組織自体も一緒に沈めてしまえという狙いがあるに違いありません。

  今後の政局がどうなるか、私が予想するより、キーマンに語ってもらった方がいいでしょう。もう一つニュースを見ておきます。

山崎拓氏「超大連立は第3のリーダーで」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081209/plc0812090045001-n1.htm

 自民党の山崎拓元副総裁は8日夜、民放BS番組に出演し、政界再編の可能性について「衆院選後は与党が3分の2を失い『完全ねじれ』になる。再編で乗り切らないといけない」と指摘し、「自民党も、民主党も、公明党も糾合するにあたり、頭目はどの党首でもない、もっと上に立つリーダーが必要だ」と述べた。また、総額2兆円の定額給付金について「思い切ってやめた方がいい。2兆円で小中学校の耐震工事をやれば、国民の安心・安全につながる」と語った。


  山崎拓は「山崎派」という派閥のボスです。小泉政権で自民党幹事長を務めた武部勤なども所属しており、衆院議員38名を抱える中規模の派閥です。
  その山崎が、麻生政権の目玉政策である「定額給付金」を真っ向から否定し、

>どの党首でもない、もっと上に立つリーダーが必要

  と言っています。ようするに、自分は麻生にも小沢(民主党代表)にもつかない、という意思表示です。「リーダー」というのが、次の選挙で議員を引退し、次男に地盤を譲ると言っているあの人物のことを指しているのは間違いないでしょう。
  山崎は単独で北朝鮮を訪問したことがある親北朝鮮議員ですが、●こちらの記事でも見たように、「日朝国交正常化」を誰かさんと一緒に唱えている人物の一人です。以前から私が言っている「朝鮮コネクション」というやつです。
  そういうお仲間には、「拉致問題が進展しなくても北朝鮮にはエネルギー支援をすべきだ」と堂々と主張なさっている前原誠司・民主党副代表やそのお仲間も含まれています。●彼らは、いわゆる「新自由主義者」であり、党首の小沢氏とソリが合わないことではよく知られています。
  そういう連中が、1番目の記事で110人、次の記事で48人(重複の可能性あり)、そして民主党内には凌雲会の29人、という感じでいるわけです。馬鹿に出来ない数だと思いませんか?
  笑えることにその末席(?)に

>安倍晋三

  が名を連ねています。ネット右翼とかいう連中はこの人が大好きです。このブログにも、「安倍さんは隠れ郵政民営化だ」「新世界秩序のために今は野に下っているだけだ」などと過大評価する大ファンが現れました。紛れもないカイカク派で、ライオン丸の後ろをくっついて歩いているザコだということが、これでも分からないのなら、もう重症ですね。

  今後の展開を、少しだけ予想してみます。

  もしかしたら、今年中の自民党分裂、解散総選挙もあるかもしれません。根拠は、「政党交付金」という仕組みです。政党が金集めに走らないように、国民の税金から一定の政党に金を出すという仕組みなのですが、その基準になるのが1月1日現在の議員数です。この獲得を目指して、水面下で活動が始まっている可能性があります。
  そうでなくても、比較的早い時期に自民党が分裂することは間違いない情勢になってきたということができます。
  そうして、本来は引退するはずだったあの人物が、「日本を救うためには、カイカクの完徹しかない!」というワンフレーズを叫びながら登場するのかもしれません。

  ただ、「彼」の再登場ではあまり新鮮みがないでしょう。地方部ではかえって反発を招くかも知れません。

  そこで、私が飯島元秘書官だったら「橋下徹・大阪府知事」や「東国原・宮崎県知事」を初めとする、カイカク派知事オールスターを結成するよう今から根回しを行います。
  出てくるキャラクターが多ければ、それだけ騒ぎを大きくして混乱を招き、訳の分からないうちにイメージで自分たちに投票させることができます。郵政選挙の時と同じです。ああいう馬鹿騒ぎは同じレベルで2回やってもダメですから、前回を上回る騒ぎを演出すべきです。僅差の選挙区には、公明党の手助けを借りればなんとかなります。
  どうせ長持ちはしないでしょうが、それでも再びカイカク派が政権を取り、決定的な日本破壊をやるには十分な時間は確保できるでしょう。「大企業による農業経営」「健康保険のミンエーカ」「消費税増税によるデフレ地獄」「移民庁設置による大量のチュウゴク人流入」あたりが実現すれば、相当なダメージが与えられるでしょう。
  そして、株価が下がりきったタイミングで、欧米から●こういう人たちが東京ミッドタウンや六本木ヒルズに移住し、東京は第二のニューヨークになるかもしれません。

  そうさせないためには、なんとか野党に頑張ってもらって、清和会、というか小泉純一郎主導の政治の流れを断ち切るしかありません。私が、最悪でも民主党に投票するしかないと言っている意味はそこにあります。
  その一方で、もう中央での権力争いによって国民が翻弄されるような経済の仕組みを変えていかなければいけません。以前からこのブログでも主張している「地域通貨」という仕組みを導入し、経済循環を可能な限り小さなレベルで実現することです。そのためには、食糧とエネルギーの自給体制、さらにはそれを可能とするライフスタイルの変化などが要求されます。
  麻生さんも、どうせ何も出来ないなら、小泉を「景気回復を阻む抵抗勢力だ」と名指しして、泥沼の権力闘争をやって、カイカク派による日本破壊を足止めしてもらえないでしょうかね?まあ、今の彼を見る限り、望み薄ですが・・・。

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EDIT  |  10:05 |  小泉新党  | TB(0)  | CM(13) | Top↑
2008.12.07(Sun)

「いろり」のない文明のもろさ 

  初めに断っておきますが、今回と次回の話は、おそらく政局だとか経済情勢とか、そういうものにまつわる知識や考え方を目的にしてこのブログをご覧になっている方には本当につまらないものになります。しかし、私はむしろこういうものの方が書きたいので、それでも読んでいただけるという読者の方は、お読みになって是非感想を聞かせてください。

  私は塾講師をやっていますが、国語の入試問題を扱っていると、3回に1回くらいはぶち当たるテーマがあります。それは、

  「現代の文明は人間を幸福にしない」

  というものです。
  ごくごくおおざっぱに説明しますと、確かに我々の生活は、科学技術の発展によって便利にはなった。しかし、その便利さゆえに本来の人間らしさを失っている。手間を省くことで思考が短絡的になったり、対人関係を煩わしいものだとして切って捨てる人間が増えたり、こんなことでいいのだろうか・・・という感じです。
  単純に現代文明の便利さを肯定せず、それによって生じた弊害に思いを馳せることが出来るか、ということで、一定レベルの難しい学校になると、そういうテーマの文章が増えます。そのとき、上で説明したようなイメージを持っていると、たいしてちゃんと読まなくても正解の選択肢が選べたり、筆者の結論がどこにあるか見つけやすくなったりします。
  このブログは「少し上から眺める」のが好きですから、そういう現代文明=人間性を失わせるシステムという考え方が本当に正しいのか、少し考えてみたいと思います。

  こういう記事を見つけました。話のきっかけにしようと思いますので、ご覧下さい。

[社会] 籾殻が "石炭"に変身
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news6/081118-5.htm

延吉市朝陽川鎮朝陽村では、籾殻が "石炭"に変身して出て来る工場を建て、村民の好評と絶賛を受けている。

この村では今、大型の食料加工工場があり、去る 90年代に韓国で加工過程が自動化された新式の食料加工機械を導入し、毎年数千トンの米を加工している。 そこから出る籾殻が積もりに積もって山になっていたが、このような籾殻はすぐに処理しなければ、風が吹けば方々に飛び散るため、環境が汚染され、また雨水で腐ることにより強い汚染を引き起こすこともある。

こうした実情を把握した村党支部・崔永洙書記を含む指導部では、解決策を捜そうと大変な苦労をした。彼らは数回にわたり全国各地をめぐり、多くの専門家たちの助言と技術者たちの指導を受け、ついに籾殻を圧縮して良質の石炭にも劣らぬ熱量を出すことが出来る固体燃料を生産することに成功した。

籾殻が昇降機に積まれて大型圧縮機に入り、高い温度の熱を受けた後、圧縮されてトック餅のような黒い石炭になって出て来るというもので、今は一日に 3トンずつ生産している。 生産と運搬の過程でほこりが出ず、環境を汚染させないだけでなく価格も安く、火をくべやすい。

この燃料は台所だけでなく、暖炉やペチカなどでも焚くことが出来、炎が長い間保存され、灰は立派な有機農肥料で田畑に撒けば、穀物の生産量を向上させることが出来、まことに "一石二鳥"だ。

村指導部のたゆまぬ努力で、使い道のなかった籾殻が貴重な "石炭"に変身し、一方で村民たちの燃料問題も解決、村の経済収入も上げており、需要が多く生産量が少なく供給が追いつかない情況を勘案して、さらに 50万元余りを投資して生産規模を拡大、より大きな経済効果を上げるために注力している。

(延辺日報 キム・ジュンソプ記者 2008年11月18日)


  私が以前から注目している、中国東北部発のニュースです。廃棄に困っていた籾殻を、石炭のような燃料に加工できるということで、現地の人びとが大変喜んでいるということです。
  
>籾殻が昇降機に積まれて大型圧縮機に入り、高い温度の熱を受けた後

  この「高い温度の熱」はどうやって発生させるのか、ここに石油やほんものの石炭を使ったら元も子もないのではないか、という突っ込みを入れたいところですが、その点はまあ、廃棄物の処理コストと思って目をつむりましょう。
  中国東北部は以前「満州」と言われていました。満州は極寒の地ということで日本でも有名だった場所です。●こちらのサイトを拝見すると、南満州鉄道会社(満鉄)の社員の娘さんだった方が、冬は「外は零下三十度、四十度」で、「部屋中熱湯の配管が施されていました。今のセントラルヒーティングと同様のものです。窓は二重窓で、居間には赤々とペーチカが燃えていました。」とおっしゃっています。北海道の家はそういう家が多いようですが、その強力版だと思ってもらうといいかもしれません。
  そういう場所ですから、冬場の燃料をいかに確保するかというのは死活問題なわけです。北海道や東北の一軒家には、たいてい●こういう感じの灯油タンクがあって、下に付いているドレンから簡単に灯油をくみ出せるようになっています。昨今の燃料代の高騰で、北国の方々はそうとう辛い思いをされたと察します。

  そういう中で、ゴミになるはずのものが燃料になったのですから、中国東北部の人びとには嬉しい知らせだったことでしょう。

  では、日本で同じような「石炭もどき」を作ってみたら、暖房用の燃料として使われるでしょうか。

  おそらく、全く使われないと思います。理由は、引用記事のここを見れば分かります。

>暖炉やペチカなどでも焚くことが出来

  要するに、こういうものだということです。つまり、燃やすと煙やすすや灰が出るので、そういう廃棄物が出る前提で作られている場所がないと使えないわけです。
  江戸時代以前の日本の一般家庭、明治時代以降でも東北や北陸などの家庭では、「いろり」というものがありました。●こういうものです。真ん中にぶら下がっている「自在鉤」というやつに鍋をつるすと調理ができます(長さを「自在」に変えて、火力を調節できる)。自在鉤が釣ってなくても、火の上に「五徳」を置いて煮炊きができます。もちろん、周りにいれば暖房になります。長持ちする燃料の方がいいので、木炭が主に燃料とされていたようです。
  こういう場所があれば、さっきの「石炭もどき」も活躍しようがあると思うのですが、今の日本で家を建てる時に、いろりの部屋を作ろうと提案したらどういう顔をされるでしょうか?
  おそらく、「贅沢」で「物好き」な仕掛けだと思われてしまうことでしょう。燃料なら、灯油やガスがあるし、電気ヒーターもある。床暖房ならまだしも、何でそんなもの作るんだ?というような感じでしょうか。
  それ以前に、借家住まいの方なら、いろりが切ってある部屋などまず住むことができません。裸の火を使うわけですから、店子の自由にさせたら危なくて仕方がありません。
  だから、どの家でも石油や天然ガスといった化石燃料(もしくはそれらを用いて作られた電気)を使って暖房や調理をしているわけです。

  ここで、入試によく出る国語の文章の筆者なら、「いろりがあった頃の日本人は、自然と火の座の周りで一家団欒を・・・」などと言い出すかも知れません。私もそういう風に言おうと思いましたが、つまらないのでやめました。
  それよりも、私ならここで一つの問いを出してみたいと思います。

  いろりの文明と化石燃料の文明と、どちらの方が「強い」だろうか?

  これは簡単な問いです。間違いなく「いろりの文明」です。
  え?なんであんな不便なものが「強い」んだ?と思った方、よく考えてみて下さい。
  石油にしろ、天然ガスにしろ、ものすごい大きな欠点を抱えていませんか?
  それは、カネがかかるということではありません。今は、世界経済を支配している層が天然資源の値段を高騰させる方が得策だと考えているから、ああいう値段になっているだけです。ここ2、3年で急激に原油や天然ガスの需要が伸びているわけではありません。

  それでは、●こちらのホームページを見ると、何となく答えが分かってこないでしょうか?

  そうですね。石油や天然ガスは、特定の国や地域に偏って存在しているのです。
  化石燃料を、普段の生活のエネルギー源として利用しているということは、簡単に言えばこういう国に逆らえないということです。

石油メジャー (ブログ「灼熱」様より)
http://plaza.rakuten.co.jp/HEAT666/diary/200504160000/

石油企業はここ数年で、大手をさらに大手が飲み込むことで「再編」が進んでいる。最近では、先日も書いたようにシェブロン・テキサコがユノカルを約2兆円で買収することが報じられたばかりである。

金額の大きい順に最近の買収を並べる(5件)と以下のようになる。

買収企業    被買収企業    金額(10億ドル) 買収完了日
Exxon Corp.   Mobil Corp.     $85.2 bln   Nov. 30, 1999
BP Plc     Amoco Corp.     $61.7     Dec. 31, 1998
Chevron Corp.  Texaco Inc.     $45.8     Oct. 9, 2001
BP Plc     Atlantic Richfield  $33.1     Apr 18, 2000
Phillips Pet  Conoco Inc.     $25      Aug. 30, 2002

石油メジャー(国際石油資本)の動向を見ることは、世界情勢を知る上で重要なことだと思っている。

現在、世界最大の石油会社は、エクソン・モービルである。先日の世界優良企業番付では6位に登場しているロックフェラーのスタンダード石油に起源を持つ会社である。
エクソン・モービルは、2月18日に株式時価総額でGEを抜き世界1位の時価総額となったが、この日の終値、約3833億ドルという驚異的な数字は、オランダやオーストラリアや韓国のGDPに匹敵する数字なのである。2004年は、売上げが約3000億ドル、純利益が250億ドル強だったので、これはシティグループを上回って世界1位になっていることになる。

石油メジャーでは、ロイヤル・ダッチ・シェル、BPがこれに続く。

以前は「セブン・シスターズ」という言葉があった。これは国際石油資本の7社を総称した言葉である。

★ ロイヤル・ダッチ・シェル
★ ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)
● エクソン
● モービル
● テキサコ
● ソーカル
● ガルフ

以上の7社である。
これらも合併(吸収合併)を重ねてきたことにより、エクソン・モービルとロイヤル・ダッチ・シェルとBPの3強になっているのが現在の「セブン・シスターズ」の姿である。
エクソンとモービルが合併し、エクソン・モービルに。
ガルフがソーカルに吸収されシェブロンとなり、そのシェブロンがテキサコと合併して、シェブロンテキサコになった。先日ユノカルを買収したシェブロンテキサコが現在の姿である。シェブロンテキサコは、2003年の売上高は石油業界で世界第5位であり、米国では第2位であるが、先日の「世界優良企業番付」では20位に登場している企業である。

スーパーメジャーが3社、その下にシェブロンテキサコやトタールなどが続くわけである。

エクソンとモービル、シェブロン……これらは元々、スタンダード石油から分割(1911年)された同系列の会社なのだが、解体された会社の合併が許されているという不思議な光景を見ていることになる。



プーチン大統領、中東カタール訪問、天然ガスカルテル形成にむけて議論
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070213/4326.html

  (注:2007年の記事です)

 ロシアプーチン大統領は10日のドイツ安全保障会議直後から中東諸国歴訪を行っている。11日にはサウジアラビアをロシア大統領として初訪問し、その翌日12日には中東カタールを訪問した。

 プーチン大統領の中東ツアーは米国が湾岸諸国での存在力を強めている中、中東諸国が米国以外の国々との外交を盛んに行おうとしている最中に行われている。サウジアラビア、カタール両国とも米国の同盟国であるにもかかわらず、プーチン大統領の訪問を歓迎した。

 プーチン大統領とカタールアルサーニ首長は、両国が天然ガス資源に関するカルテルを形成し、両国の天然ガス資源の世界市場への影響力を強めていく方針であることを発表した。ロシアとカタールは世界最大級の天然ガス生産国である。1月には天然ガス資源豊富なイランもロシアとカルテルを創出することに好意を示した。プーチン大統領はさらに、今年4月にカタールドーハで開催される予定の天然ガス会議に専門家チームを派遣し、OPEC同様の天然ガスカルテル形成についての詳細を議論する予定だと発表した。カタールはOPEC加盟国であるが、ロシアはOPEC非加盟国である。プーチン大統領はまた中東平和会議を主催する計画もあると述べたが、詳細は明らかにしていない。

 EU各国指導者らは、ロシアが天然ガスカルテルを創出することに対して、天然ガス価格値上げにつながるとして反対の立場を示している。EU各国はロシアから需要量の44%にも及ぶ天然ガスを輸入している。
 
 サウジアラビアでは、プーチン大統領はロシアとサウジアラビア間で「共通の土壌を見つけた」と発表した。サウジアラビアおよびロシアのビジネス代表団らは今後さらなる二カ国間投資を行っていく姿勢を見せた。サウジアラビア訪問では、プーチン大統領は「ロシアとサウジアラビアは世界を代表するエネルギー生産国だ。ゆえに我々が共通の土壌を見つけるのは容易いことだ」と述べた。

 ロシアと中東諸国の関係は2001年に生じた9.11テロ事件で米国と中東の関係に緊張感が高まって以来、親密性を高めている。一方で米国とロシアの関係は、米国のロシアプーチン大統領政権下の民主主義政策に対する批判を受けて、緊張関係を高めている。


  以前こちらで扱った●グルジア(アメリカ)とロシアの仁義なき戦いというのは、ロシアとロックフェラー財閥+ロスチャイルド財閥連合軍の醜い権力争いに過ぎないというわけです。
  こういう争いで、日本やその他政治力がない国は一体どうすればいいのでしょうか。
  はっきり言ってしまえば、何も出来ません。頭を下げてお金を払い、おすそわけをしてもらうことしか出来ないわけです。
  日本という国ですらこうなのですから、まして日本の一般庶民には何も出来ないのはすぐにお分かりでしょう。
  つまり、石油や天然ガスに頼った生活というのは、アメリカやロシアや中東の国々に自分の生命を依存している生活というわけです。もし、アメリカとロシアが「日本は邪魔だ、消してしまえ」と合意して、石油と天然ガスの経済封鎖をしたら、石油備蓄142日分が尽きたところで日本人は地獄の苦しみを味わうことになります。
  別に私はなんかのイデオロギーをもって「今の日本人は腐っている(主に右側)」「日本などという国は滅べばいい(主に左側)」などと思ってこういうことを言っているのではありません。客観的な事実を述べているだけです。
  ただ、向こうも日本は商売相手として重要視していますから、いきなりそういう事態に陥る可能性はかなり低いです。それでも、揺さぶりに使われたら、こちらも平気を保っていられるわけがありません。
  そればかりでなく、石油や天然ガスを扱っているのは国家や大企業ですから、一般庶民は彼らの望むやり方で生活を営まざるを得なくなります。一番分かりやすいのは、現金収入を得なければいけないことです。カネがなければ、外国から入ってくる石油や天然ガスを買えません。
  だから、農家は自分の食べる分以上によけいにものを作らざるを得なくなり、それでもダメなら自分(の労働力と時間)を売ってカネを得なければならなくなるのです。労働力の対価の設定や、要不要の問題は、基本的には雇う側が勝手に決めることですから、ここでもやはり、庶民は他人に依存した生活を送らざるを得ないことになります。
  便利で力強く快適な生活が送れるとしても、これが本当に文明として「強い」と言えるでしょうか。威力はあるけど危険が大きいという点では、「もろい」という形容がぴったりだと思います。

  勘違いしないでほしいのは、だから明日から日本の全家庭にいろりを切れ、などと言いたいのではないということです。我々の今の生活は、ほんとうに脆弱な基盤の上にかろうじて成り立っているということを認識してもらいたいだけです。そうしなければ、いくら政治や経済について知識や理論体系を知ったとしても、ものごとの本当の姿は見えてきません。
  たとえば、東京電力が分社化されて完全に「ミンエーカ」し、利益至上主義で経営を行ったら、こういう事故が多発することになります。

●カリフォルニア大停電(ウィキペディアより)

1996年にカリフォルニア州で電力自由化が始まり1998年に小売りが自由化され、それらの政策の中に以下のようなものがあった。

  1.発電会社と電力販売(小売)会社の分離が進められた
  2.当面、電力会社の小売料金は凍結された
  3.大手電力会社(パシフィック・ガス&エレクトリック、サザンカリフォルニア・エジソン、
   サンディエゴ・ガス&エレクトリックの3社)には、卸売市場からの電力調達を義務づけられた

小売料金の凍結の理由としては、自由化にはもともと小売価格上昇の可能性もあるため、消費者が強く求めたことなどが挙げられる。

電力会社は、州の環境規制により環境負荷の少ない電力を一定量割高で購入する義務が課されていたため、自由化当初から経営上の負担を抱えていた。ITブームと好景気などにより、自由化以後のカリフォルニアの電力需要は事前の予想を上回ったにも関わらず、発電事業者は州の厳しい環境規制のために高コストを嫌うなどして発電所新設に消極的であった。その上、既存の発電設備の運転停止なども手伝って発電量の増加は電力消費量の増加より大きく下回った。

2000年の夏には、州外からの電力調達設備の設備不十分、天然ガス価格の上昇、猛暑など様々な要因も重なって電力卸売価格が上昇を始め、ピーク時は最高で7,500ドル/メガワット時にまでなった。この価格は、消費電力1,200ワットのエアコン1時間分の電力の卸売価格が10ドル近い状態に相当するが、電力会社は規制のためにこの卸売価格上昇を消費者に転嫁することができず、逆ざや状態が発生した。発電会社は利益増加のため、供給を抑えるとともに、長期契約より高値で売買できる短期の卸売に契約をシフトするなどの動きをみせた。この年の冬も厳冬で、電力消費は予想を上回った。

更に、同時期にエンロンなどの電力取引会社によるモラルに反した価格引き上げを伴う取引もあったことが後に明らかになった。電力会社からの代金回収が危うくなった発電会社は売り渋りを行うようになり、発電会社から十分な電力を調達出来なくなった電力会社は大規模な輪番停電を行うにまで追い込まれた。

電力会社は逆ざやで経営を急速に悪化させ、2001年4月には、大手電力会社3社の一つであるパシフィック・ガス&エレクトリック社が破綻することとなった。


  自民党・公明党にしても、早晩政権を担うであろう民主党にしても、こういう政策を強く指向しているグループを抱えているため、いずれ金融資本の投機対象として電力の完全自由化が行われないとも限りません。それを、政治の力で解決しようとしても、結局どこかで揺り戻しが来るでしょう。
  他者に依存しない、したとしても近場で、なるべく少ない依存度に押さえるという生活をしないかぎり、こういう事態はいつでも起こりうるものです。今そうなっていないのは、世界をカネの力で食い荒らしている連中に、たまたま他に収奪する対象がある(たとえば韓国やアフリカ諸国)ので、日本の庶民のエネルギー事情が標的になっていないだけです。
  
  では、仮に、全ての家庭が炭や薪といった昔ながらの燃料に回帰したとしましょう。このとき、家にいろりやかまどが設置されていないという問題は、解決されたと考えて下さい。

  そうだとしても、非常に大きな問題が生じるのです・・・というところで、次回に続きます。

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2008.12.03(Wed)

馬鹿野郎、要するに企業に農場経営をやらせたいだけかよ 

  ●前回の「企業への農地貸与解禁」のニュースの続報です。庶民の負担(消費税増税)や、企業の利益独占につながることなら、何よりも迅速に行うのが現在の自民・公明党政権だということが、またぞろ浮き彫りになりました。

農業営むなら企業にも農地賃貸、経財会議に改革プラン提出
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20081203-OYT1T00749.htm

 石破農相は3日開かれた経済財政諮問会議に「農地改革プラン」を提出した。

 企業も原則自由に農地を借りることができるようにして参入を促すことが柱だ。農地を農業以外の用途に使う「転用」については規制を強化し、農地減少に歯止めをかける。

 農林水産省は農地法など関連法案の改正案を来年の通常国会に提出する。

 農地の所有や賃貸は現在、農家と農業生産法人に限られている。耕作放棄地に限っては企業が賃借して農業を営むことができる。

 今回の改革では、すべての企業が場所を問わず、農地を借りて農業を営むことができるようにする。当事者が同意すれば民法の規定を超える20年超の長期賃貸もできるようにする。

 また、農家や法人の経営面積を拡大するため、農地をまとめて貸し出したり、農地の売買を仲介したりする機関を、全市町村に設ける。諮問会議の民間議員が主張していた、民間企業による仲介は見送られた。

 一方、農地の転用については、都道府県が行っている2ヘクタール以下の農地の転用許可について、国が必要な指示を行う。政府の地方分権推進委員会の5月の勧告では権限を地方自治体に移譲するよう記されていたが、不適切な転用が多い実態を踏まえ、逆に国の権限を強めることにした。

 違反転用に対する罰則も強化する。不適切な転用を防ぎきれていない農業委員会については、改革を先送りした。


  (経済財政諮問会議がどういう集まりかは●こちら●こちらの記事を参照)

  なんとか農地を企業に開放して、「チュウゴク人奴隷農場」を実現したくてたまらないようです。農家への所得補償を謳っている民主党などの野党に政権を奪われることが確実ですから、いよいよ売国が加速させてきたということでしょうか。

>農業委員会については、改革を先送りした。

  現在、農地の売買には、農地法3条に基づいて農業委員会の許可が要ります。農業委員会をなくして、農地の売買を自由化しようということなのでしょう。
  作り手である国民の保護など全く考えていないのは、所得補償を一度たりとも俎上に上げたことがない与党と諮問会議の姿勢から見て明らかです。

  そうやって野菜だの米だのを作れば、「安心・安全の国産」などと言って大々的に売り出す・・・という辺りまで想定しているのでしょう。チュウゴク産に対する国民の警戒心が強いのを見て、国内にチュウゴク人やフィリピン人を招き入れる方へ方向転換したわけです。
  国籍法など改正しなくても、季節労働者を大量に入れることはできます。農家や農場主となった企業の要請とあれば、平気で法改正するでしょう。そういうものです。「何処で作るか」ということばかりギャーギャー騒いで、「誰が作るか」「どうやって作ってもらうか」ということを考えて政治を見ないから、こういう事態を招くのです。

  やれ失言だの、定額給付金の支給制限がどうだの、騒いでいるうちにこういうことをやるのが今の自民・公明政権なのです。もう、こいつらには出来る限り早く退場してもらうしかないでしょう。
  これでもまだ、一部の国家主義的な議員に期待して、「民主よりマシ」だとか言っている人は、私には理解できません。

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