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2008.11.30(Sun)

「農地を自由に使える=自給率が増える」わけがないのだが 

  この期に及んでまだ「カイカク」です。自民党政権の思考回路は重症です。

農地法改正案、通常国会提出へ=農地貸借を原則自由化-農水省
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008112800037

 農水省は27日、農地の貸借を原則自由化することを柱とした農地法など関連法改正案の概要を固めた。株式会社や農業協同組合など多くの農業参入を促して農地を有効利用し、先進国で最低水準の食料自給率を高めるのが狙い。分散している農地を中核農家に集積する仕組みも全市町村で導入して生産性向上を図る一方、農地面積の減少に歯止めを掛けるため農地以外への転用規制は強化する方針。同省は関連改正法案を来年の通常国会に提出、早期実施を目指す。
 戦後の1952年から続く農地法は耕作者自身が農地を所有する「自作農主義」の理念を明記している。この規定は削除し、利用を重視した制度に抜本的に見直す。
 現在、農地の所有と利用は農家と農業生産法人に認められているが、同法人は「役員の過半が農業の常時従事者」とするなど要件が厳しい。このため、改正案は利用規制を緩和し、株式会社など「農業生産法人以外の法人」にも利用を認める。農協も直接、農業経営に参画できるようにする


>株式会社

  当たり前ですが、営利企業です。
  おそらく、石破大臣や法案作成担当の農水省官僚は、営利企業に対する農地利用全面解禁を「営利を目的にする→増産に熱心になる→自給率が上がる」という論法を使って正当化するでしょう。郵政民営化を中心とする、一連の構造カイカクの大前提となっているのが、この「民間による競争に任せた方がうまく行く」という論理だからです。
  しかし、営利企業ということは、利益を出すことが目的になるということを忘れてはいけません。儲かるからやるのです。「農地経営は赤字ですが、日本のために頑張ります」などという会社があったら、その会社の役員は全員首になってしまいます。
  そうだとすれば、農業を手がける企業は、なんとしてでも利益を出そうとするでしょう。たとえば、「防除(害虫を防いだり雑草を除去したりする作業)の手間を省くために農薬を大量に使用する」なんていう感じです。

  なに?そんな危険な行為は規制すればいいって?

  そういう反論をしてくる人は、営利を第一にしている連中が、その「規制」とやらをきちんと守ると思っている甘チャンです。営利を第一にすれば、必ずこういうことが起きます。

問題農薬、メタミドホスで210人死亡 中国江蘇省 
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080201/chn0802012041007-n1.htm

 中国江蘇省太倉市で1997年から2002年にかけ、中国製ギョーザによる中毒の原因とされる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒事故が654件発生、210人が死亡していたことが1日、分かった。

 中国の総合医学雑誌「中華中西医雑誌」(03年8月号)の論文を医学専門ウェブサイト「中華首席医学網」が1日までに伝えた。

 論文は、同期間中の市内での農薬中毒の約82%はメタミドホスが原因だったと指摘。1都市でこれだけの規模の中毒が起きていたことで、中国ではメタミドホスが農薬中毒事故の主要原因の一つだったことが裏付けられた。

 江蘇省は中国の農薬生産の中心地。中国農業省などは、メタミドホスの中国国内での使用、販売を昨年1月1日以降全面的に禁止する通達を出している。

 太倉は江蘇省南部の都市で人口約46万人。


  なぜメタミドホスという猛毒の農薬が使われるのかというと、安くてよく効くからです。中国人が馬鹿だからとか、文化の程度が低いからとか、そういうわけではありません。とにかく「野菜」や「米」を作れればいいという風に割り切れば、手間を掛けずに出荷できる農薬の使用に流れるのは自然なことです。企業の論理というのは、良くも悪くもそういうものです。
  それでもまだ「きちんと規制すればいいじゃないか!」とかほざいている人は、本当に営利企業をなめているとしか言い様がありません。儲けを出すためなら、政治家や役人に対してロビーを仕掛けて、規制そのものを変えさせるのが営利企業というものです。そして、マスメディアに対しては、広告費を盾にとって圧力を掛け、不利な報道をさせないわけです。
  日頃、「経団連は商売相手の中国におもねって、売国行為をしている」などとブログで叫んでいる自称愛国者の方々が、そういう問題が我が国の企業でも起こりうるということを全く考えていないのですから、実に滑稽です。

  仮に、この安全性の問題がクリアできたとしても、もっと深刻な問題があります。「農村の労働力不足」です。

          農業就労人口

  このまま行けば、60歳以上でない農業就労人口はほとんどいなくなってしまうでしょう。
  簡単な話で、農業という仕事が、魅力がないのです。だから、みんなサービス業に流れてしまうわけです。
  そして、その魅力のなさの最大のポイントは「競争が激しすぎて収入にならない」という点に尽きます。だから、このブログではずっと農家への戸別所得補償をやれと言っているのです。

  はい?株式会社が農業をてがければ、利益を上げるように努力するから、農業も食べていける仕事になるですって?

  今日初めてこういう問題について考えた、という人ならそういう考えでも不思議ではないですが、真剣に農業のことを考えてその結論に至ったなら、もうあなたは重症です。
  あなたが株式会社を経営していて、農業に参入したとしましょう。利益を出すために注意することは何ですか?

  「経費をなるべく出さないようにする」ことじゃないんでしょうか?

  そのために、一番削れるところはどこだか、少し考えればわかりますね。

  はい、そうです。人件費です。
  人件費を削ったら、魅力的な仕事じゃなくなりますが、国の自給率のために日々働いていれば、神様が何か贈り物でもしてくれるんでしょうか?
  株式会社が人件費をたっぷり出すことができるなら、そもそも現行の仕組みでもなんとか食べていける状況ができるはずです。ところが、そういう話は聞きません。現実は、こんな感じです。

稲作農家「時給」179円~前年より77円減
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-09-18/2008091801_01_0.html

 稲作農家の昨年(二〇〇七年)の家族労働報酬は、全国平均でみると一日八時間で千四百三十円、「時給」換算にするとわずか百七十九円となっていることが分かりました。サラリーマンの最低賃金の四分の一です。これでは生産が続けられず、価格保障が農家の切実な要求です。

 本紙の問い合わせにたいし、農水省統計情報部が明らかにしました。稲作農家の時給は、〇六年が二百五十六円でしたが、それを七十七円下回りました。

 下がった原因は生産者米価の暴落です。六十キログラムあたりで、〇六年が一万四千―一万二千円だった稲作農家の手取り額は、〇七年は一万二千―一万円程度と一、二割減収しました。

 生産者米価は、一九九五年のWTO(世界貿易機関)農業協定でミニマムアクセス(最低輸入機会の提供)による外国産米を日本共産党以外の党派の賛成で受けいれ「米の過剰」をつくったうえ価格保障を廃止、流通自由化をしたため量販店が“買いたたき”しやすい構造となっています。

 昨年の家族労働報酬を規模別でみると、もっとも多い一ヘクタール未満の農家は労賃が出ません。二ヘクタールから三ヘクタール未満は時給四百十一円です。五ヘクタール以上という全国で数%の大規模農家でようやく時給千五百円となります。

  日本の農業の柱になっている稲作農家は多くが生産コストを下回る状態が続き、離農、耕作放棄地が増えています。大規模農家も借金の返済と資材高騰に苦しんでいます。


  「赤旗」の記事ですが、今の政権より、共産党の方がよっぽど農業の現状を分かっていますね。

  では、こういう状況で、もし利益を上げるとしたら、どういう手があるでしょうか。

  簡単ですね。「外国人労働者の導入」です。●自民党最大派閥の実力者が、「移民1000万人計画」を提唱していますが、今回の政策も、そういう文脈で出てきていることは間違いないと思っています。

  そして、それは農業を食い物にして利益を極大化しようとしている大企業(経団連加入企業や外資)の狙いでもあります。
  私が冒頭の引用記事を知ったのは、あの日本経済新聞が一面トップで伝えていたのを、電車の中で見かけたからだったりします。あの日経新聞が、株価や生産性向上しか興味がない日経新聞が、消費税を上げろ上げろと社説で吠え続けている日経新聞が、一面トップで鬼の首を取ったようにはしゃいでいるんです。
  だから、私は見出しを見た時点で「この法案はまずい」と気づきました。で、あとから法案自体を見てみたら、ああやっぱりね、ということだったわけです。

  さあ、民主党を初めとする野党の皆さん。こういう時こそ出番です。
  嫌がらせの質問攻め、審議拒否、あらゆる手を使ってこの法案を潰してください。そうすることが、主権者である国民に対する一番のご奉仕になるのです。
  しかしまあ、自民党というのは、どうしてこう戦い方を知らない集団になってしまったんでしょうかね。「野党の皆さん、ここを攻めて下さい」というタイミングで出してきたとしか思えません。
  大企業と外資とマスコミを味方に付けて(もうすでに遊ばれ始めているが)、宗教団体の固定票をガッチリせしめ、民主党に対するデマをいろいろ出しておけば、とりあえず選挙で勝ててきたのがよくなかったのでしょうね。そうすると、ニーズをすくう努力をしなくなります。ニーズの把握とまでは行かなくても、このタイミングで出したらまずいだろうという深謀遠慮くらいできると思うのですが、そういうことすら出来ていません。
  そろそろ「麻生電撃訪朝」あたりでもやって、間を持たせるしかないんでしょうか。中国と一歩間違えれば即死する冷戦を継続中で、体調不良の金正日も、そんなに暇じゃないと思うんですが・・・。

  それとも、最近首相に対して不満が高まっている、大臣ポストを一つももらえなかった某派閥が、新党結成に動いたりするのでしょうか?
  「政党助成法」で決められた政党交付金というのは、1月1日現在の議員数によってもらえる金額が決まるそうです。
  自民党内のどっかの派閥は、衆院議員だけで60名(シンパも入れると約140名)もいたりします。そういう政党が新党を結成して新年を迎えれば、解散総選挙に向けた活動資金として、実に有意義だと思うのは、私だけでしょうか?

  ともかく、今回の法案には、農家の方々を含め、みんなで反対していきましょう。
  企業に利益を上げさせるより、まず農業をやっている(やろうとする)国民を食わせろ!というべきです。自給率低下とチュウゴク人だらけの農場との二者択一に持ち込もうとしている現政権には、敢然とノーを突きつけなくてはなりません。

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