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2008.11.14(Fri)

【ミサイルより】 国家を守るのは「真の情報力」である 【現地協力者】 

  ●前回の記事の続きです。
  さて、日本にもかつて諜報活動に一定の成果を挙げていた時期があったということを書きました。例として、「明石機関」「南機関」「陸軍中野学校」の三つを挙げておきたいと思います。

  「明石機関」というのは、明治期の軍人である明石元二郎大佐が、日露戦争用に作った軍の特務機関です。特務機関というのは、特定の地域に諜報戦を仕掛けるプロジェクト・チームのようなものだと思ってもらえばよいでしょう。
  この機関は、かなりの成果を挙げました。当時帝政ロシアが支配していたフィンランドやポーランドといった地域の反乱分子、さらにはのちにソ連を作り上げたレーニンにも資金援助を行い、ロシア国内に混乱の種をまくことに成功しました。明石大佐はヨーロッパの諸言語に通じていたので、現地に潜り込んで現地協力者と直接交渉することができたのが大きかったようです。

  「南機関」は、日中戦争(1937~1945)が泥沼化していた1940年に、陸軍の鈴木敬司大佐が中心になって作られた特務機関です。目的は、ビルマ(現ミャンマー)の独立支援でした。別に、黄色人種の解放のためではありません。敵国である中国国民党に対して、イギリスがインドから救援物資を送っていたいわゆる「援蒋ルート」を寸断するには、ビルマを独立させることが一番合理的な選択だったからです。
  日本は結局そのすぐ後にイギリスとも戦端を開くことになるわけですが、それ以前に「ビルマ独立義勇軍」という組織をビルマ人たちに作らせ、のちのビルマ軍の基礎を作り上げることに成功しています。のちに国防大臣になるオン・サンは、典型的な現地協力者です。彼のような生粋のビルマ人がいなかったら、南機関は目的を達成することはできなかったでしょう。
  このビルマ独立義勇軍は、最終的には抗日戦の主力となって戦うことになってしまうわけですが、鈴木大佐たちが義勇軍のリーダーたちに約束していた、ビルマの早期独立が達成されていたら、あるいはもう少し形勢が変わっていたかもしれません。ちなみに、ビルマの独立に反対したのは当時の軍中央部でした。  
  
  「陸軍中野学校」というのは、今の東京都中野区、場所で言えば中野駅の北口あたりにあった陸軍のスパイ養成学校です。上に挙げた南機関の構成員に、中野学校出身者が多数含まれていたように、卒業生は各地の特務機関で活躍したようです。
  私がこの機関になぜ注目したのかというと、当時の日本の軍組織、もっと言えば政府の組織の中で、ほとんど唯一と言っていいほど目的合理性を保っていた組織だからです。
  みなさんは、軍の諜報要員というと、武器の特殊な使い方とか、密室に閉じこめられた時の脱出法とか、そういうものを学んでいるものと思ってしまうかも知れません。
  しかし、中野学校のカリキュラムで一番重視されていたのは、外国語や国際政治といった「学科」でした。カリキュラム(約1800時間)の大半である1100時間あまりが「学科」に費やされています。諜報活動を支えるのは、豊富な知識や語学力であるということを、中野学校の関係者はよくわかっていたようです。
  訓練生の出身校で東京帝国大学が最多だったというのは、非常に興味深いことです。上のような、知識や教養が必要だったということもあるのでしょうが、ひとめで軍人っぽいなと分かってしまう人は、敵国に潜入して工作するのに適していないという判断があったのでしょう。
  そういう風に、中野学校は諜報要員がやるべき仕事はなにかをきちんと見定め、そこから逆算して求められる人材像を明確にイメージし、そのために最も合理的な教育を施していたのです。はっきり言って、日本の政府組織では奇跡といっても良いほどのプロジェクトです。日本の組織というのは、できてから少し経つと、すぐに慣習や伝統に支配されてしまい、目的を達成するためには何が必要なのかという、組織のレゾン・デートル(存在意義という意味のフランス語)が見失われてしまうことが多いからです。合理的な意志決定より、構成員の心情だとか、先輩後輩の序列とか、「空気」や「ムード」とか、そういう非合理的な要素が重視されてしまうということです。
  もちろん、家族や近所づきあいまで目的合理的だったら人間息が詰まって死んでしまうでしょう。しかし、勝たなければ終わりという戦争においては、組織は徹底的に合理的でなくてはならないと思うのです。●インパール作戦という、世界軍事史上でおそらく最悪の軍事作戦が実施されてしまったのは、陸軍の上層部が完全に合理的思考を放棄していたからに他なりません。

  ところで、よく考えてみると、上に挙げた情報機関というのは、全て陸軍の中の組織なんですね。これは非常に重要な点です。
  我々は、普通大東亜戦争というと、「陸軍は最後まで本土決戦にこだわり、原爆投下を招いた」とか、「●戦陣訓●内務班に代表される非合理的な慣行がまかりとおり、敗戦を招いた」という風に、陸軍の存在を酷評することが多いような気がします。しかし、その陸軍が、まさに日本の諜報を一手に担い、中途半端で終わって晩節を汚したとはいえ、ビルマやインドネシアの独立の一助になったことは疑いようのない事実なのです。
  ふと、私は思いました。

  ひょっとすると、戦後陸軍関係者ばかりが死刑台の露と消えたのは、特務機関や中野学校の人材を抹殺するためだったのではないか?

  こういうことを言い出すと、すぐヘーワでジンケンなサヨクの方々は、「軍隊礼賛だ」「歴史修正主義だ」などと言い出すのかもしれません。しかし、戦後の日本が情報力という点で、もう完全に他国に立ち後れてしまったことは、紛れもない事実です。なにしろ、今にいたって日本には諜報や防諜(外国の諜報活動を防ぐこと)のための部署が全く存在しないのです。だから、●この事例のような外国による産業スパイが横行してしまうわけです。
  諜報活動というのは、映画の007みたいに派手で格好いいものなんかではありません。そのほとんどが、目立たない地道な活動です。そして、その中には情報収集だけでなく、前出のオン・サンのように、相手国の中で日本に協力してくれる現地協力者とのパイプ作りも含まれています。
  中野学校の卒業生達は、そういう地味な役割をきちんとこなしていました。リアルに外国と向き合えば、そういう活動こそ一番重要だということが理解できるはずなのです。
  ところが、今の平和ボケした軍人は、こういうことをやって平気でいるわけです。

「騒がれたから話題になった」 前空幕長参考人招致
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008111190143659.html

 「いささかも間違っていない」。11日午前、参院外交防衛委員会で行われた田母神俊雄・前航空幕僚長(60)の参考人質疑。公然と政府見解に反する懸賞論文を出して解任された前空幕長は、国会の場でも、熱く持論を展開した。東海地方の市民などからは「時代錯誤」などと批判が相次いだが、“身内”の自衛官からは擁護の声が目立ち、問題の根深さを浮き彫りにした。

 (中略)

 防衛省では、職員らが省内のテレビで参院外交防衛委員会の中継に見入った。

 「隊員が一斉にアパグループの論文に応募したのはあなたの指示か」。浅尾慶一郎議員(民主)の問いに田母神前空幕長が「私が指示して九十何人ということはない。1千人は超える」と話すと、失笑が漏れた。

 空幕の佐官は「政府見解通りの歴史認識を共有している。前空幕長の憲法認識には問題があるというのが公式見解」と言葉少な。「防衛政策をめぐる部内の議論はさまざま。だが、最後は憲法を尊重するのが当然だ」と慎重に話した。



「日本、弱腰ではダメ」田母神氏、基地友の会でも“過激発言”
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081111-OYT1T00418.htm?from=navr

 田母神前空幕長とアパグループの元谷代表は、前空幕長が石川県小松市の空自小松基地に勤務して以来、親交を続け、同基地の支援組織の会合では「日本は弱腰ではダメだ」などという国防観や歴史観を語り合っていた。

 「話が過激すぎて、我々でもついていけなかった」。支援組織のメンバーはそう振り返った。

 同基地の支援組織「小松基地金沢友の会」が、石川県内の企業経営者など約200人によって設立されたのは、前空幕長が、第6航空団司令として同基地に着任してから1年3か月後の1999年10月。

 友の会関係者によると、前空幕長は、小松市出身の元谷代表とアパグループの情報誌「アップルタウン」(1999年4月号)で対談。「日本の戦後教育には問題もある」などという話で意気投合した。

 友の会の年1回の総会と会費制の宴会は金沢市内のアパホテルで開かれた。参加者の一人は宴会で、前空幕長と元谷代表が「日本は弱腰ではダメだ」「集団的自衛権を行使できないのを、何とかしないといけない」などと話しているのを聞き、「会話がどんどん過激になって、ついていけない」と感じたという。


  別に、この田母神氏という人物が、どういう思想信条を持っていたかはこの際どうでもいい話です。別に軍国主義者だろうと地球市民だろうと、きちんと役目を果たせば構いません。
  しかし、自らの「理想」を貫いて、政府の見解と全く違う考えを公にしてしまう無神経さや、自分が命令すれば自衛官達が次々と内規違反の論文を出すのだという思い上がった姿勢は、救いようがありません。外国に対して、ここを攻めて下さいと弱点をさらけ出しているようなものです。
  彼や、彼を支持する人物というのは、何か重大な勘違いをしているのではないかと思っています。勇ましい言動や、正しい理屈を貫けば、必ず最後は報われるはずだと考えているのではないかということです。要するに、リアリズムが全く欠けているのです。外交や軍事戦略というのは、子供が嘘をついたり弱いものをいじめてはいけないと教育することとは訳が違うのです。
  百歩譲って、「日本は悪くなかった。戦後の弱腰外交がたたって、今でも諸外国の干渉にあっている。これを何とかするためには、憲法を改正してきちんとした軍隊を持たなければならない」という主張をすることが正当だとしましょう。その理念を実行に移した途端、どういうことが起こるでしょうか。決まっています。世界中のあらゆる国が、陰に日向に日本を一斉に叩き始めます。間違いありません。
  他の国々、たとえばアメリカなどは、絶対にそういうヘマはしません。たとえば、日本に対して、自国企業が進出しやすいように「カイカク」をやらせたいとします。そういう時、日本国内に必ずアメリカの言うことを正当化してくれるようなメディアや学者が出てきます。これは、別にアメリカが素晴らしい国だからではありません。そういう「現地協力者」を、普段からコツコツ育てているからです。
  日本に欠けているのは、そういう地道な仕込みなのです。日本が再軍備を始めようとするとき、「日本は経済や文化で世界のリーダー的役割を果たすべきだ」と主張してくれる朝鮮人の学者がいるでしょうか?右に偏っている皆さんが親日国だと勝手に思っている台湾のメディアが、味方をしてくれるでしょうか?
  現在の世界で、日本が一人前の国として振る舞うということは、「超」が10個くらい付くハンデ戦です。なぜなら、日本はさきの大戦の敗戦国であり、我々が戦後60年間その地位を覆すどころか、アメリカの属国であるという枠組みを卑屈にも利用して現在の地位を築いてきたからです。
  そういうハンデを核武装だとか、憲法改正だとか、そういう一発逆転の手段で覆そうとする考えは非常に危険です。さきほども書きましたが、周辺国のみならず、世界中の国やメディアが袋だたきにしてくることになるのは目に見えているからです。
  勉強や仕事でもそうだと思うのですが、そういう風に「借金」が積み重なってしまったときは、遠回りのように見えても、地道なことをコツコツやっていくことが大切です。

  私が思うに、その第一歩は、周辺国に強力な現地協力者を作ることです。

  そうはいっても、いきなりロシアのような人種が違う国に協力者を植え込もうとしても、うまくいかないに決まっています。また、韓国のように(KCIAや統一教会という間接統治者を通すことで)アメリカの軍門に下っている国に対してやっても、うまく行かないに決まっています。(余談だが、韓国=李承晩政権というのは、アメリカが日本と朝鮮半島を分断するために打ち込んだクサビだと考えられる。これについては、また機会を改めて述べる)
  一番手を付けやすいのは、台湾でしょう。同じ人種である中国に対してあまり親近感を持っていないというのも、日本には有利です。日本にも在日台湾人はたくさんいるので、そこにアメとムチでパイプを形成し、現地にもいざというとき日本の味方になれるような人材を育成しておくわけです。
  台湾人の協力者がいるメリットは、中国の情報を集めるときに、文化的な違いが少ないことです。日本でずっと育った華僑が中国に行けば、「こいつは日本のスパイではないか」と疑われる可能性がありますが、台湾経由ならそういう心配が少なくなります。極端な話、相手が摘発してきたときに「うちは関係ない。勝手に名前を出されて迷惑だ」と言えます。そのくらいずるいことが出来なければ、一人前の国になんかなるのは無理です。
  意外かも知れませんが、北朝鮮も協力者を作りやすい国です。日本には、北朝鮮とつながりのある在日朝鮮人が多くいるからです。彼らを一概に敵視せず、かの国に政変などがあった場合、現地に入り込んで政府組織の一角を占められるような人物を育てるわけです。
  北朝鮮を使うメリットは、中国にいる朝鮮族や、旧ソ連各国に散らばっている朝鮮系の人びとの中にパイプを作ることができる点です。日本海を挟んで向き合うロシアの沿海州にも朝鮮系ロシア人がたくさんいます。こういうところに、情報提供者やスパイがいれば、いざ何かあったときに便利です。
  もちろん、こういう協力者の植え込みがすぐに日本のためになるわけではありません。しかし、周辺国の情報を集めるのには役に立ちます。

  では、これをアメリカでやるならどうすべきでしょうか?

  私なら、絶対にイスラム教徒のアメリカ人を狙います。●こちらの記事を見ていただくと分かるように、米軍の中にもイスラム教徒が結構います。彼らの多くは、永住権や国籍を取るために、仕方なく兵士になっている移民です。普段の生活からして差別を受けることが多いので、アメリカにいながら、アメリカに不満を持っているマイノリティ(少数集団)を形成しています。
  アメリカという国は、移民が束になって圧力団体を作ると、票ほしさにすり寄ってくる議員が必ず出てくる国です。「従軍慰安婦決議」などという腹の立つ決議が議会でされたのも、アメリカに110万人いるという朝鮮系のロビーが動いていたからです。
  また、●2007年の議会選挙でイスラム教徒の議員が誕生しています。
  すぐには利いてこなくても、これからイスラム教徒は増えるでしょうから、今からコネクションを作っておくと、あとあと有力な現地協力者になってくれるのではないかと思います。

  当たり前ですが、そういう地道な活動を担う人間の育成も大事です。そういう組織を表立って作れないところが、日本の一番の弱さなのかも知れません。まあ仕方がないでしょう。ハンデ戦なのですから、それを承知で戦うしかありません。
  そういえば、以前、安倍晋三サンという使えない政治家が、日本版CIAを作ろうとか提唱していたらしいですが、ああいう人が頑張っているということは、できあがる組織は日の丸より星条旗が好きで、中に高価なツボを人に売るのが趣味だったり、合同結婚式でパートナーを見つけたりする人材ばかり集まってしまうかもしれません。
  そういう意味では、自衛隊の中や外務省の片隅で目立たずこっそりやっていくしかないのかなと思います。
  紙屑になるアメリカ国債を買う時に、政府関係者からそういう組織を作らせろと交渉してほしいものですね(笑)。

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