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2008.11.07(Fri)

まだ麻生首相に期待している人たちへ(2) 

  ●前回の記事の続きです。
  麻生首相を支持されるという方の理由として、私が直に見たのは、こんなところです。

1.麻生首相は、何よりもまず景気対策が必要だと考えて、懸命に対応している
2.景気対策を早期に実現するためには、とりあえずの消費税増税容認はやむを得ない
3.どうせ麻生政権は来年9月で終わりなのだから、今容認したところで問題はない
4.麻生首相は現時点ではベストの指導者であり、民主党の小沢などに任せることはできない
5.麻生首相が年限としている3年以内に、日本経済を成長軌道に乗せてしまえばよい


  一つ一つ検討してみましょう。

  まず、1.ですが、行政の長が景気後退の危機に懸命に対応するのは当然です。これをもって支持する積極的な理由付けにはならないでしょう。前任者があまりにもひどい無能だったので、麻生内閣が仕事をしているように見えているだけなのではないかと思っています。

  2.ですが、どうやら麻生氏は相当な策士であり、財政均衡に異常なまでにこだわる財務省を説得するためのリップサービスとして消費税増税を明言しただけだ、という推論があるようです。
  しかし、かりにも一国の首相が、「3年後に増税する」と宣言したら、国民の間にどんな影響があるか分かっていない気がします。

社会保障、抑制を転換 消費税率上げ、15年度3.3―3.5%必要
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081105AT3S0402704112008.html

 政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は4日の会合で、社会保障制度の拡充のために必要な財政試算を盛りこんだ最終報告を発表した。保険料方式の年金制度を維持する場合、2015年度時点では消費税率に換算して3.3―3.5%の追加財源が必要と指摘。25年度時点では6%にまで膨らむとした。消費税率引き上げを含む国民負担増に加え、社会保障費の抑制基調からの転換を鮮明にした。

 試算は「年金」「医療・介護」「少子化対策」の3つの分野の費用推計の合計。報告では保険料方式とともに基礎年金の財源を税で賄う税方式の試算も併記し、必要な追加財源は15年度時点で消費税率換算で6―11%、25年度で9―13%になるとした。


  我が国の首相が増税を明言したおかげで、どんどん外堀が埋まっているわけです。そして、それをマスコミがどんどん記事にする。国民は「ああ、消費税ってやっぱりアップするんだ:」と思うでしょう。そして、そのそもそもの原因は、3年後に増税だと口にしていた麻生太郎という政治家だとも。
  ところで、前回の記事のコメントでも触れたのですが、「3年後」というのは、おそらく事務サイドから出てきた要望なのではないかとにらんでいます。なぜなら、中曽根政権が大型間接税導入を本格的に検討し始めたのが1986年であり、竹下内閣のもとで消費税が施行されたのは1989年、つまり、導入宣言から3年後だったのです。
  税法は控除のルールだとか手続きだとか、国民にアナウンスする期間などを考えると、それほどすぐに上げたり下げたりはできません。消費税の税率は「消費税法」という法律で定められており、変えるためには国会の議決が必要です。政府が減税のときに特別控除(課税の基準になる所得額などを差し引くこと)をやりますが、あれは税法の施行令、つまり政令レベルでいじっているものであり、その気になれば閣議ですぐにでも変えることができます。
  実際の例でも、消費税法自体は1988年、施行の1年前に成立しています。税金関係の法律を変えるのはそれほど大変だということです。だから、役人(財務官僚)の方もさっさと決めてくれと、麻生首相や自民党にせっついているのでしょう。
  そして、先ほど挙げた引用記事のように、もはや決まったものとしてどんどん中身を決めていってしまうわけです。我が国が官僚主権国家だと揶揄されるのは、まさにこういう点だということができます。許認可がうるさい、規制が多いということではなく、政策の中身について選挙で選ばれた国会議員がほとんど関与していないということが問題なのです。

  3.に関して言えば、だからといって無責任なことをやってもらっては困る、としか言えません。しかし、本当にそういうことを発言している「麻生信者」がいるのです。URLを引用するのは差し控えますが、麻生首相を支持できれば何でもいいのでしょうか。理解に苦しみます。

  4.も、はっきり言って無意味な主張です。麻生首相が職を全うするための積極的な理由付けになっていません。どうも、最近の自民党支持者は、こういう人ばっかりという気がします。まあ、党の総裁の所信表明演説からして、民主党に質問ばかりしているのですから、支持者のレベルも推して知るべし、というところなのでしょう。

  おそらく、今現在麻生首相を積極的に支持している人が一番の論拠としているのは5.でしょう。要するに、麻生氏に任せておけば、経済成長が始まって多少の増税など気にならなくなる、というわけです。もしくは、そこまで来れば税収もアップしているはずだから、消費税増税の議論はなりを潜めるだろう、という主張もあります。
  消費税が5%アップするということは、ごく単純に考えると、売り上げが今まで5%少なくなるということです。そうだとすれば、今まで通りの利益を上げたければ、最低でも5%の売り上げアップを図るか、5%経費を切り詰めなければならないわけです。
  しかも、ここには税率を上げたことによって低下するであろう消費性向(お金を気前よく使ってくれる度合い)が考慮されていません。それを考慮すれば、消費税を導入したことで経済成長に相当なブレーキがかかることは容易に想像ができます。
  1998年の例を挙げるとわかりやすいでしょう。この年は、消費税の税率が2%上昇した翌年で、経済成長率があっけなくマイナスに転換しました。
  また、今度●消費税を5%上げれば、GDPが約2%も低下するという試算もあります。
  橋本政権は構造改革ばかり指向していたが、麻生内閣は内需拡大や景気対策にも目配りしているじゃないか、という反論もあるかもしれません。しかし、それは大した反論にはなりません。先回の消費税増税当時、さかんに言われていたのが、「行政カイカク」だったのですが、麻生首相も前回記事の引用部分でしっかり、

>大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい

  と、行政カイカクについて言及しています。要するに、やろうとしていることは当時の橋本龍太郎首相と大差がないわけです。公務員を減らせばその分購買力が低下します。公共事業でも同じことが起きます。要するに、カイカクをやりながら経済成長、などというのは、ブレーキを踏みながらアクセルをふかしているのと同じなのです。
  消費税率アップまでに、今よりもはるかに名目GDPが成長していれば話は別です。しかし、橋本政権下の1990年代後半と今とで、どちらの方が国民の購買力があるのか、少し考えれば分かるというものです。ちなみに、経済成長率が久々にマイナスになった1998年から、9年間一貫して日本人の平均給与は下がり続けました。昨年は、久々に上昇したと思ったら、年収200万円を切る勤労者が1000万人を超えてしまいました。
  それを、再び1990年代後半の値まで引き上げるのが無理だということは、さすがに麻生内閣もわかっているようで、こういう話を持ち出してきました。

成長率2%が前提 消費税上げで首相方針
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008110102000052.html

 麻生太郎首相は31日、消費税率を引き上げる場合、名目で2%程度の経済成長を前提条件とする方針を固めた。消費税率引き上げを含む税制改革中期プログラムを年末に策定する際などに、こうした考えを明らかにする。

 首相は、追加経済対策を発表した30日の記者会見で「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と表明。31日には、景気回復の目安について「国内総生産(GDP)の伸びだ」と記者団に説明した。「名目成長率2%」は、景気回復の中身を具体的に示すものだ。

 中期プログラムには、消費税率引き上げの前提条件として成長率は明記せず「経済状況を勘案」などとの表現にとどめる見通し。首相がこれを補う形で、会見などで「名目成長率2%」という具体的な目標を示すことで、増税への国民の理解を促す狙いだ。

 内閣府が9月に発表した4-6月期のGDP改定値は、景気減速の影響で、名目で前期(1-3月期)比0・8%減、年率換算で3・3%減。しかし、与謝野馨経済財政担当相は30日の記者会見で「日本の潜在成長率は2%がコンセンサスだ」と述べており、首相もこの数字を念頭に置いたとみられる。


  名目GDPがたった2%増大しただけで、消費税率を5%上げようという、この能天気な思考にはすがすがしさすら感じます。
  今のしょぼすぎる景気対策では、その2%すら達成できないでしょう。おそらく、多くの麻生首相支持者のいうように、麻生内閣は今後追加的な経済対策を打たざるを得ません。

  しかし、もうここではっきり言っておきますが、いくらそんなことをやっても無駄です。今の自民党には、日本経済の劣勢を押し返す力などかけらも残っていません。

  理由は簡単です。いまだに麻生首相や閣僚の口から、以下のような状況を是正すべきだという声が全く聞こえてこないからです。

派遣労働者:製造業の7割が「消極的理由で」NPO調査
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081102k0000m040083000c.html

 製造業で働く派遣労働者の70%以上が「正社員になれなかった」などの消極的理由で派遣を選んでいることが、製造業で働く非正規労働者で作るNPO法人「ガテン系連帯」(東京都)の調査で分かった。

 7~9月、東京や京都など11都府県にある自動車、電機、食品などの製造工場などで派遣労働者243人から聞き取った。

 その結果、全体の71%、173人が「正社員になれなかった」「地元で職がなかった」など消極的理由で選んだと回答。「さまざまな仕事ができる」「好きな時に働ける」といった理由で積極的に選んだ人は23%にとどまった。

 また、派遣労働者として働くことについて、全体の75%、182人が「いつ解雇されるか分からない」「将来の見通しが立たない」などと不安を抱いていた。


  こういう非正規雇用が、現在の日本の勤労者の3分の1を占めています。しかも、その裏には270万人もの完全失業者がいます。調査期間中に1日でも働いていたアルバイトやパートの人を就業者としてカウントしてもこれです。
  本来、景気対策というのは、こういうお金のない人たちに仕事を与え、賃金を引き上げて消費を促すものであるべきです。しかし、麻生内閣がやると決めたのは、四人家族で6万円程度の「生活支援金」の支給だけです(おそらく、これすら手続きが煩雑で、受け取らない人がたくさん出てくる)。雇用を作り出したり、労働者の待遇を改善したりするという動きは全くしていません。
  たとえば、現行の●労働者派遣法では、派遣先から払われたお金から派遣会社が手数料として差し引いた金額(いわゆるマージン)の開示が義務化されていません。この派遣会社のマージン開示を罰則付きで義務化し、ピンハネ率を法定すれば、不安定な派遣労働でもまともな賃金が支払われる可能性が高くなります。
  そんなことをしたら派遣会社の利益が少なくなるじゃないか、と思うかもしれませんが、それでいいのです。派遣会社の利益が上がっても、役員報酬や株主配当が大きくなるだけですが、派遣労働者の賃金が上がれば、上がった分は今までより多く消費に使われるようになります。それだけでかなりの経済効果が見込めるわけです。しかも、1回払えば終わりの6万円とは違い、継続的に消費が見込めます。これ以上ない景気対策です。
  個人消費が上向く上に、派遣が割に合わなくなるとなると、正規雇用が増えます。そうすれば、福利厚生がついてきますから、経済効果はもっと大きくなります。
  逆に、そういう構造を温存したまま景気対策を打っても、結局企業の内部留保が増えるだけで、借入金の返済や株主配当に回されて終わりでしょう。そういうところに課税するという話も聞いていません。結局、お金が社会で循環しない仕組みはそのままです。
  本来なら、そのような仕組みを解消することが、経済政策の最優先課題だと思うのです。

  しかし、保証しても構いませんが、自民党にそんな政策は、絶対に、天地がひっくり返ってもやれません。

  なぜなら、自民党は賃金をデフレにすることを至上命題にされている政党だからです。彼らの飼い主であるグローバリスト(輸出依存企業、商社、新興勝ち組企業、外資金融など)がそれを望んできたのです。日本人を「国際競争力」という実態のあやふやなで煽りまくって低賃金で高い付加価値を生産し(輸出依存企業)、低所得層に輸入したチュウゴク製、チュウゴク産の商品を売りまくり(商社)、新しい業種なのをいいことに経営者が完全優位の労使慣行を導入し(新興勝ち組企業、たとえばライブドアやグッドウィル)、デフレで安くなった株や土地といった優良資産を買いたたく(外資金融)ことが、彼らの至上命題だったわけです。
  だからこそ、小泉政権以降、自民・公明政権は構造改革という名目で地方の公共事業を減らし、派遣法の規制を緩和し、年金や公的医療といったセーフティーネットを破壊してきました。そればかりか、日本育英会を廃止して国立大学の授業料を引き上げ、公教育の予算削減など、格差を固定化する試みも実行してきています。
  麻生首相も、中川財務大臣も、ずっとその中にいて、中国や北朝鮮相手に形だけ威勢のいいことを吹聴して人気を博してきた人々です。いわば共犯なのです。そういう人たちに「自分たちの罪を認めろ」というのも、なかなかどうして難しいものがあります。
  それ以前に、今の自民党で一番大きい勢力は、カイカクだのキセーカンワだのさんざん煽ってきた「町村派」と「小泉チルドレン」なのです。2005年の郵政選挙以来、今でもその顔ぶれが全く変わっていません。その状況で、総裁選だけを繰り返しても、まともな人材が選ばれるわけがありません。そういう人材は、さんざん侮辱されたあげく、国民新党に所属していたり、無所属で活動していたりするわけです。
  そういう政党にずっと所属して、「日本で1万6千円の米を上海で売ると7万円になる」などというデマを飛ばしたりしながら活動してきて、総裁として選ばれた人物が、本当の意味の景気対策などやれるわけがないのです。
  
  こういうことはあまり書きたくないのですが、">積極財政を謳う人びとも、ネット右翼や自称保守における安倍晋三氏と同様、麻生氏を「救世主」や「アイドル」として過剰に評価していやしないでしょうか?
  本当に日本の経済を立て直したいなら、積極財政をやるだけでなく、中曽根政権からずっと行われてきた構造改革を一つ一つ修正していく他はありません。構造改革の「成果」を放置したままでは、絶対に国民の購買力は上がらないのです。硬く踏みしめられた土壌にいくら水や肥料を撒いても、植物は育たないのと同じです。
  仮に「時限的な」(首相自ら、そう明言している)景気対策があっても、ただ、それだけです。おためごかしにGDPをアップさせておしまい。そして、3年後には「デフレ地獄再び」が待っています。

  それを分かっていても、あえて不都合な現実から全て目をそらし、自民党と麻生首相を支持し続けるというのでしょうか?

  老婆心ながら、3年も経たないうちに「こんなはずでは」と後悔することになりますよ・・・と申し上げて、今回の記事は終わりにいたします。

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