「農地を自由に使える=自給率が増える」わけがないのだが
農地法改正案、通常国会提出へ=農地貸借を原則自由化-農水省
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008112800037
農水省は27日、農地の貸借を原則自由化することを柱とした農地法など関連法改正案の概要を固めた。株式会社や農業協同組合など多くの農業参入を促して農地を有効利用し、先進国で最低水準の食料自給率を高めるのが狙い。分散している農地を中核農家に集積する仕組みも全市町村で導入して生産性向上を図る一方、農地面積の減少に歯止めを掛けるため農地以外への転用規制は強化する方針。同省は関連改正法案を来年の通常国会に提出、早期実施を目指す。
戦後の1952年から続く農地法は耕作者自身が農地を所有する「自作農主義」の理念を明記している。この規定は削除し、利用を重視した制度に抜本的に見直す。
現在、農地の所有と利用は農家と農業生産法人に認められているが、同法人は「役員の過半が農業の常時従事者」とするなど要件が厳しい。このため、改正案は利用規制を緩和し、株式会社など「農業生産法人以外の法人」にも利用を認める。農協も直接、農業経営に参画できるようにする
>株式会社
当たり前ですが、営利企業です。
おそらく、石破大臣や法案作成担当の農水省官僚は、営利企業に対する農地利用全面解禁を「営利を目的にする→増産に熱心になる→自給率が上がる」という論法を使って正当化するでしょう。郵政民営化を中心とする、一連の構造カイカクの大前提となっているのが、この「民間による競争に任せた方がうまく行く」という論理だからです。
しかし、営利企業ということは、利益を出すことが目的になるということを忘れてはいけません。儲かるからやるのです。「農地経営は赤字ですが、日本のために頑張ります」などという会社があったら、その会社の役員は全員首になってしまいます。
そうだとすれば、農業を手がける企業は、なんとしてでも利益を出そうとするでしょう。たとえば、「防除(害虫を防いだり雑草を除去したりする作業)の手間を省くために農薬を大量に使用する」なんていう感じです。
なに?そんな危険な行為は規制すればいいって?
そういう反論をしてくる人は、営利を第一にしている連中が、その「規制」とやらをきちんと守ると思っている甘チャンです。営利を第一にすれば、必ずこういうことが起きます。
問題農薬、メタミドホスで210人死亡 中国江蘇省
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080201/chn0802012041007-n1.htm
中国江蘇省太倉市で1997年から2002年にかけ、中国製ギョーザによる中毒の原因とされる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」による中毒事故が654件発生、210人が死亡していたことが1日、分かった。
中国の総合医学雑誌「中華中西医雑誌」(03年8月号)の論文を医学専門ウェブサイト「中華首席医学網」が1日までに伝えた。
論文は、同期間中の市内での農薬中毒の約82%はメタミドホスが原因だったと指摘。1都市でこれだけの規模の中毒が起きていたことで、中国ではメタミドホスが農薬中毒事故の主要原因の一つだったことが裏付けられた。
江蘇省は中国の農薬生産の中心地。中国農業省などは、メタミドホスの中国国内での使用、販売を昨年1月1日以降全面的に禁止する通達を出している。
太倉は江蘇省南部の都市で人口約46万人。
なぜメタミドホスという猛毒の農薬が使われるのかというと、安くてよく効くからです。中国人が馬鹿だからとか、文化の程度が低いからとか、そういうわけではありません。とにかく「野菜」や「米」を作れればいいという風に割り切れば、手間を掛けずに出荷できる農薬の使用に流れるのは自然なことです。企業の論理というのは、良くも悪くもそういうものです。
それでもまだ「きちんと規制すればいいじゃないか!」とかほざいている人は、本当に営利企業をなめているとしか言い様がありません。儲けを出すためなら、政治家や役人に対してロビーを仕掛けて、規制そのものを変えさせるのが営利企業というものです。そして、マスメディアに対しては、広告費を盾にとって圧力を掛け、不利な報道をさせないわけです。
日頃、「経団連は商売相手の中国におもねって、売国行為をしている」などとブログで叫んでいる自称愛国者の方々が、そういう問題が我が国の企業でも起こりうるということを全く考えていないのですから、実に滑稽です。
仮に、この安全性の問題がクリアできたとしても、もっと深刻な問題があります。「農村の労働力不足」です。

このまま行けば、60歳以上でない農業就労人口はほとんどいなくなってしまうでしょう。
簡単な話で、農業という仕事が、魅力がないのです。だから、みんなサービス業に流れてしまうわけです。
そして、その魅力のなさの最大のポイントは「競争が激しすぎて収入にならない」という点に尽きます。だから、このブログではずっと農家への戸別所得補償をやれと言っているのです。
はい?株式会社が農業をてがければ、利益を上げるように努力するから、農業も食べていける仕事になるですって?
今日初めてこういう問題について考えた、という人ならそういう考えでも不思議ではないですが、真剣に農業のことを考えてその結論に至ったなら、もうあなたは重症です。
あなたが株式会社を経営していて、農業に参入したとしましょう。利益を出すために注意することは何ですか?
「経費をなるべく出さないようにする」ことじゃないんでしょうか?
そのために、一番削れるところはどこだか、少し考えればわかりますね。
はい、そうです。人件費です。
人件費を削ったら、魅力的な仕事じゃなくなりますが、国の自給率のために日々働いていれば、神様が何か贈り物でもしてくれるんでしょうか?
株式会社が人件費をたっぷり出すことができるなら、そもそも現行の仕組みでもなんとか食べていける状況ができるはずです。ところが、そういう話は聞きません。現実は、こんな感じです。
稲作農家「時給」179円~前年より77円減
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-09-18/2008091801_01_0.html
稲作農家の昨年(二〇〇七年)の家族労働報酬は、全国平均でみると一日八時間で千四百三十円、「時給」換算にするとわずか百七十九円となっていることが分かりました。サラリーマンの最低賃金の四分の一です。これでは生産が続けられず、価格保障が農家の切実な要求です。
本紙の問い合わせにたいし、農水省統計情報部が明らかにしました。稲作農家の時給は、〇六年が二百五十六円でしたが、それを七十七円下回りました。
下がった原因は生産者米価の暴落です。六十キログラムあたりで、〇六年が一万四千―一万二千円だった稲作農家の手取り額は、〇七年は一万二千―一万円程度と一、二割減収しました。
生産者米価は、一九九五年のWTO(世界貿易機関)農業協定でミニマムアクセス(最低輸入機会の提供)による外国産米を日本共産党以外の党派の賛成で受けいれ「米の過剰」をつくったうえ価格保障を廃止、流通自由化をしたため量販店が“買いたたき”しやすい構造となっています。
昨年の家族労働報酬を規模別でみると、もっとも多い一ヘクタール未満の農家は労賃が出ません。二ヘクタールから三ヘクタール未満は時給四百十一円です。五ヘクタール以上という全国で数%の大規模農家でようやく時給千五百円となります。
日本の農業の柱になっている稲作農家は多くが生産コストを下回る状態が続き、離農、耕作放棄地が増えています。大規模農家も借金の返済と資材高騰に苦しんでいます。
「赤旗」の記事ですが、今の政権より、共産党の方がよっぽど農業の現状を分かっていますね。
では、こういう状況で、もし利益を上げるとしたら、どういう手があるでしょうか。
簡単ですね。「外国人労働者の導入」です。●自民党最大派閥の実力者が、「移民1000万人計画」を提唱していますが、今回の政策も、そういう文脈で出てきていることは間違いないと思っています。
そして、それは農業を食い物にして利益を極大化しようとしている大企業(経団連加入企業や外資)の狙いでもあります。
私が冒頭の引用記事を知ったのは、あの日本経済新聞が一面トップで伝えていたのを、電車の中で見かけたからだったりします。あの日経新聞が、株価や生産性向上しか興味がない日経新聞が、消費税を上げろ上げろと社説で吠え続けている日経新聞が、一面トップで鬼の首を取ったようにはしゃいでいるんです。
だから、私は見出しを見た時点で「この法案はまずい」と気づきました。で、あとから法案自体を見てみたら、ああやっぱりね、ということだったわけです。
さあ、民主党を初めとする野党の皆さん。こういう時こそ出番です。
嫌がらせの質問攻め、審議拒否、あらゆる手を使ってこの法案を潰してください。そうすることが、主権者である国民に対する一番のご奉仕になるのです。
しかしまあ、自民党というのは、どうしてこう戦い方を知らない集団になってしまったんでしょうかね。「野党の皆さん、ここを攻めて下さい」というタイミングで出してきたとしか思えません。
大企業と外資とマスコミを味方に付けて(もうすでに遊ばれ始めているが)、宗教団体の固定票をガッチリせしめ、民主党に対するデマをいろいろ出しておけば、とりあえず選挙で勝ててきたのがよくなかったのでしょうね。そうすると、ニーズをすくう努力をしなくなります。ニーズの把握とまでは行かなくても、このタイミングで出したらまずいだろうという深謀遠慮くらいできると思うのですが、そういうことすら出来ていません。
そろそろ「麻生電撃訪朝」あたりでもやって、間を持たせるしかないんでしょうか。中国と一歩間違えれば即死する冷戦を継続中で、体調不良の金正日も、そんなに暇じゃないと思うんですが・・・。
それとも、最近首相に対して不満が高まっている、大臣ポストを一つももらえなかった某派閥が、新党結成に動いたりするのでしょうか?
「政党助成法」で決められた政党交付金というのは、1月1日現在の議員数によってもらえる金額が決まるそうです。
自民党内のどっかの派閥は、衆院議員だけで60名(シンパも入れると約140名)もいたりします。そういう政党が新党を結成して新年を迎えれば、解散総選挙に向けた活動資金として、実に有意義だと思うのは、私だけでしょうか?
ともかく、今回の法案には、農家の方々を含め、みんなで反対していきましょう。
企業に利益を上げさせるより、まず農業をやっている(やろうとする)国民を食わせろ!というべきです。自給率低下とチュウゴク人だらけの農場との二者択一に持ち込もうとしている現政権には、敢然とノーを突きつけなくてはなりません。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
当ブログは「自エンド」(自民党壊滅キャンペーン)を提唱中です



「韓国の悲劇」から学ぶべきこと(3)
韓国が置かれている状況がよく分かる記事があったので、枕として貼っておきます。
中国産キムチの輸入増えるも国産輸出は振るわず
http://www.wowkorea.jp/news/Korea/2006/0227/10006347.html
寄生虫の卵が検出されたことで国産キムチの輸出回復が遅れる中、中国産キムチは輸入が増加していることが分かった。
農林部と農水産物流通公社が27日に明らかにしたところによると、1月に輸入されたキムチは金額ベースで572万ドルとなり、前年同月の269万2000ドルから2倍以上の伸びを示した。輸入量は1万1455トンで83.8%増。
キムチ輸入額は昨年、月平均427万8000ドルに達した。10月末に中国産と国産のキムチから寄生虫の卵が検出されたことから、11月は前年同月比43.4%減少したものの、12月には117.2%増と大幅に回復した。
一方、国産キムチの輸出額は、昨年11月が463万6000万ドルで前年同月比51.5%減少したほか、12月も45.7%減の560万8000ドル、今年1月も40.3%減の508万6000ドルにとどまった。昨年1年間の輸出額は前年比9.5%減少し、4年ぶりに減少に転じた。
農水産物流通公社の関係者は「輸出メーカーが市場の多角化に向け努力しているにもかかわらず、最大市場の日本への輸出が回復せず困難な状態だ」と説明している。
2006年の記事ですが、状況はあまり変化していないでしょう。しかしまあ、自国産のキムチも、自分たちが食べるより輸出品にしたがっている辺り、韓国という国が置かれている状況をよく表しています。
さて、何でキムチの本場韓国で、チュウゴク産のキムチがたくさん売られているのかというと、要するにそういうキムチが求められているからです。
自国でも作れるのに輸入するのは、安いからです。なぜ安いのかと言えば、韓国人の購買力が下がっているからです。このことは、日頃こちらのブログをご覧になっている方ならすぐに思いつくでしょう。
しかし、逆の考え方も出来ます。「あえて韓国人の購買力を引き下げたい」から輸入品を積極的に導入するということです。
繰り返し述べていますが、韓国は貿易依存率が70%を超えている国です。経済の7割が輸出と輸入で成り立っているわけです。単純に考えると、韓国国民が日頃消費している品物の7割が外国から入ってきてるわけですから、その7割を買うためのお金を稼がなければなりません。だから、韓国は輸出を重視しています。
輸出というのは、ごくごく単純化すれば、自国の労働力を使って製品を作り、それを外国に売るという行動です。その上で、たくさん利益を上げようと思えば、一番簡単なのは「自国の労働力」を安く買うことです。
これは直接的に言えば生産性の向上と賃金の引き下げを意味します。要するに、生産を合理化してたくさんものを作れる状態にして、なおかつ、労働者に払う給料を引き下げるということです。
しかし、物価がそのままで賃金だけ下がれば、自給自足できる農民以外は餓死するかもしれません。そこで、購買力平価の引き下げも行われます。賃金の低下とともに、国内で売る品物の値段も引き下げるのです。たとえば、粗悪品を作ったり、輸入品を使ったりするのです。そうすれば、一応同じようなものは手に入り、表面的には今までの生活を維持することができます。
こうすれば、「コストのかからない韓国人」を飼っておくことができます。別に、韓国人を悪く言いたくてこんな表現をしているわけではありません。輸出に依存した企業(グローバリスト)と、その企業と連携している政治家の視点で書いているだけです。
そして、その購買力平価の引き下げと、賃金の引き下げを同時に行うための最高の方法が「移民の導入」です。
このニュースを見て、みなさんは何を考えるでしょうか。
国連、韓国に人種差別の撤廃求める
http://www.chosunonline.com/article/20070820000005
国連人種差別撤廃委員会(CERD)は「韓国が単一民族を強調することは、韓国に住むさまざまな人種の人々との理解・寛容・友好増進において障害になる可能性がある」との懸念を示した。また、現代韓国社会の多人種化傾向を認め、教育・文化・情報などの分野で適切な措置を取るよう韓国に勧告した。
先月30日から今月17日までスイス・ジュネーブで開かれていた第71回国連人種差別委員会は、コスタリカ・ニュージーランド・モザンビーク・インドネシア・韓国に対する国別報告書を検討し、勧告案を発表した。CERDは韓国政府が提出した報告書を今月9・10日に検討、会議最終日に勧告案を出した。
この勧告案でCERDは「韓国で一般的に使う“純血”や“混血”といった単語も、韓国社会に広く浸透している人種的優越主義を表している」と懸念を示した。
CERDは、韓国政府が今年5月に国家人権政策基本計画(NAP)と外国人処遇基本法を採択し、外国人労働者通訳支援センターを昨年設立したことを高く評価しながらも、さらなる制度的仕組みを整えるよう勧告している。また、外国人労働者の子供や国際結婚により生まれた子供が雇用・結婚・住居・教育・対人関係などで差別を受けず、同等の権利を保障されるよう法制化し、さまざまな人種や民族の歴史・文化に関する情報を小中学校の教科目に取り入れるよう提案している。
さらに、CERDは韓国人男性と結婚した外国人女性について「夫や国際結婚仲介業者による潜在的な虐待から適切に保護されていない」としている。一部の国際結婚仲介業者が多額の費用を請求したり、夫になる男性に関する情報をきちんと伝えず、身分証や旅行関連書類を押収したりする虐待性行為の問題点も指摘した。
外国人労働者については「更新不可能な3年間の雇用契約だけが許可され、職業変更の自由に制約があることや、長時間労働・低賃金・危険な労働条件などで差別を受け、労災被害に遭っても法的保護を受けるには困難が伴う」と述べている。
どうでしょうか。
「あははは、国際機関が名指しで非難かよ。やっぱりあいつらは馬鹿だなぁ」
「人種差別はよくない。人間らしい扱いをしてあげるべきだ」
そういう風に思った方は、残念ながら0点です。視点が決定的に間違っています。この二つは、イデオロギーを先行させて物事を認識している典型的な例です。
「え?韓国って、そんなに外国人労働者が入ってきてるの?」
そういう風に思うのが、正常です。みなさんが日頃様々なメディアで触れている韓国という国の姿に、外国人がたくさんいるというイメージは入っていないはずです。
ところがどっこい、韓国は外国人労働者受け入れに関しては、日本など比較にならないほどの「先進国」だと言ってもいいでしょう。
【社説】外国人を地域住民として受け入れる安山市
http://www.chosunonline.com/article/20081118000019
京畿道安山市が市内に住む外国人の人権を保護するため「外国人人権条例」を制定することを決めた。外国人が皮膚の色や人種、言語が異なっているという理由で差別を受けることがないよう法律支援を行い、不当な労働行為や人権侵害を行う雇用先には市が改善を勧告するという内容が中心になるという。多くの市・郡・区が外国人の定着を支援する条例を制定してきたが、外国人の人権を条例で保護するというのは安山市が初めてだ。安山市は合法的な滞在者だけでなく、不法滞在の外国人も条例による保護の対象にするという。
安山市には登録された外国人だけで58カ国から3万5000人以上が住んでいる。不法滞在者まで合わせると、6万人から7万人に達するともいわれている。半月・始華の産業団地が近いことから、最近は韓国最大の外国人居住地域ともなった。外国人が多い町として有名になった元谷洞は、人口2万2000人の半分が外国人だ。安山市はこれまでも外国人が多く住む地域で無料の診療や法律相談などの支援を行ってきたが、今度はより積極的に外国人の権利保護に乗り出したということだ。
韓国昨年8月、国連人権差別撤廃委員会から外国人差別を改善するよう勧告を受けた。事実上の外国人差別国という指摘を受けたということだ。韓国に居住する外国人は100万人に増え、結婚による移民者も急増したが、多くの外国人労働者や不法滞在者は今だに人権の死角地帯に置かれている。外国人労働者の半分以上が賃金未払いなどの不当労働行為に見舞われたことがあるとの調査結果もあり、労働災害率も韓国人の5倍に達している。昨年は米国商工会議所が韓国政府に対し、外国人に障害者登録証を発行しない理由を問いただすと同時に、12の差別規制を撤廃することも要求した。
今後は外国人を保護すべき対象とみるのではなく、地域住民として受け入れる必要がある。自分の地域に住む外国人は世界化時代の重要な財産だ。多くの外国人と共に生活する都市では複数の国の伝統や慣習が混ざり合い、文化や生活方式も多彩となる。あちこちに世界各国の飲食店が軒を並べ、いつでもさまざまな伝統や風習を見学できる都市を頭に思い描いてみよう。安山市が外国人観光客にとってぜひ一度は行ってみたいと興味を持つ、「多人種多国家の都市」として発展できるよう、政府も深い関心をもってさまざまな支援を行うことが必要だろう。
日本に、安山市のような自治体があるでしょうか。ここまで「画期的」な例は、私が見る限り存在しません。
私は、今回の記事を書いていて本当に身にしみて実感できたことがあります。それは、韓国人はグローバルなものに対して日本人が比較にならないくらい素直で忠実であるということです。
その一番の表れは、外国人をモノ扱い出来るところです。儲かりさえすれば何でも良いという「合理的な」発想があるのでしょう。要するに、移民を大量に受け入れたフランスやイギリスのようなヨーロッパの白人と同じ発想です。
そこを、安い労働力を使いたい「合理的な」発想をする経済界に利用されているわけです。移民を呼び込んだあとどうなるかという点について、想像力が欠けていたのかも知れません。ともかく、上の記事を見る限りでは、もはや外国人労働者は韓国の日常風景となってしまっています。
重要なことだから何度でも書きますが、こういう流れは全て「少しでも安く品物を作りたい」という企業の論理から出てて来ています。彼らからすれば、ものを作るための経費は少なければ少ないほどいいわけで、あとはどうなっても構わないのです。どうせ、企業のトップは外国人労働者の集まっている地区に住むわけでも、外国人の子供と混じって授業を受ける学校に息子娘を行かせるわけでもありません。政治家も同じです。上層部にとっては、利益の極大化だけが目標なのです。
このような考え方は、最近になってから急に始まったのではありません。「近代」という時代が始まった辺りから、方向性自体はずっと変わっていません。全てを貨幣的価値に置き換え、その極大化だけを目指し、社会制度も文化もすべて貨幣価値の極大化のために変えてしまうというものです。
ただ単に輸送手段が高く付いたり、当該国と交戦中だったり、そういう事情があって「グローバル化」していなかっただけです。げんに、日本には戦前たくさんの朝鮮人労働者が渡航しています。原油が本格的に利用され、航空機の便数が多くなり、満州事変や日中戦争がなかったら、きっともっとたくさんの中国人が渡ってきていたでしょう。なにしろ、日本はダンピング同然の綿織物の輸出で儲けていたのですから、安い働き手はいくらいても大歓迎だったはずです。
そして、忘れてはならないのは、そういうあくどい論理を後押ししているのは、「外国人の人権を尊重しよう」「異文化を受け入れよう」などと主張している「サヨク」や「地球市民」なのです。上の引用記事の、一番最後の段落には、書き手の、もしくは、このような変化を肯定的にとらえるであろう人間たちの物事のとらえ方が如実に出ています。
近頃は、自民党が嫌いだと言うことでこのブログを見ている「左寄り」の人も結構いるようですから、はっきり申し上げておきますが、普段、格差社会や労働者の権利無視に憤っている人びとが、どうして外国人労働者の定住を促進するような言動をするのでしょうか?
日本人勤労者の賃金の引き下げと、外国人労働者の導入は、もとを辿れば全て「グローバリゼーション」という同じ根っこを持っているのです。それなのに、どうしてきちんと批判すべきところは批判しないのですか?
まあ、こんなことを言ったところで、日本の社会で思うようにいかない不満を、外国人擁護という偽善的な行為で解消している人びとには何も通じないでしょうが・・・。
同じことは、右寄りだとか保守だとか言っている連中にも言えます。外国人は入れるな、不法就労者は出ていけ、そういう主張をしている人びとが、どうして日本人の購買力を低下させるような政策を進んでおこなう政党を支持しているのでしょうか?
そういう「右派」だとか「保守」だとかいう連中のゆがみが一番現れているのが、昨今の「国籍法改正」騒ぎです。偽装認知の罰則が弱いとか、簡易でもDNA鑑定を課したらどうだという批判ならまだしも、「戸籍を(罰金)20万円で買える」などというデマ(偽装だと判明したら認知そのものが有効になるはずがないのは、少し考えれば分かる)を飛ばしている人までいます。
くだんの国籍法の改正は、●最高裁の違憲判決に対する国会の反応です。最高裁は「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所」(憲法81条)です。その判決が出てしまった以上、この立法自体を不当だと批判することはできないでしょう。(しつこいようだが、偽装認知の防止策はこれと全く別)
それよりも、本当に「保守」だとか「文化伝統の重要性」を語るのならば、どうして日本人とフィリピン人の婚外子がたくさん生まれてしまうのか、そういうところをきちんと考えなければダメです。その場その場で出てきた「売国行為」とやらにモグラ叩きのように反応して、それらが出てくる真の原因=グローバリゼーションというものを批判しないのだとしたら、単なる人種差別に基づいた憂さ晴らしだという批判を免れないでしょう。
日本国憲法自体が国際協調を説いており(98条2項)、さらには利益の極大化のためにはマスコミさえ動かすようなグローバル企業までいるのです。そんな中で日本の良さを守ったり、日本人の生活を維持していくというのは、ものすごいハンデ戦なのです。政治家のブログに非難のコメントを書いたり、判で型を押したようなことしか言えないデモ活動なんかでは絶対に勝てません。
では、政治家や役人にどういうことを要求していけばいいのでしょうか。簡単です。
「日本人の労働者をもっときちんと扱え」
「賃金引き下げのために外国人を入れるな」
そして、一番重要なのは、ここです。
「かりに労働力が減っていったとしても、身の丈にあった経済や社会を自分たち自身の手で営めばいいのだ」
ここです。これを、右も左も口を揃えて言えるようになれば、絶対に企業の論理には負けません。
馬鹿なサヨクや地球市民は論外として、右翼や保守と言われる人びとは日本という国に対する自尊心が強いために、「労働人口が減って日本の競争力が落ちたらどうなる」「GDPが下がっても良いのか」「輸出で利益を上げないと、エネルギーや資源が買えないぞ」と言われると、途端に腰砕けになってしまいます。仮に反論したとしても、どうしても近代的な企業の論理を前提としているので、主張に無理が出てきてしまうのです。
そうではなくて、「生活に必要なものは可能な限り自国でまかない、無理がある生活スタイルは改めていこう」と言えるかどうかなのです。従来型の保守や右翼はここで失敗しているのです。日本は一人前の国であるべきだと彼らはよく言います。しかし、その一人前が、自分のことは自分で出来るということを意味していないのです。だから、「今の生活レベルを下げたくないなら、輸出でどんどん利益を上げないとダメだ」と言われて、うまく反論できなくなってしまうのです。自給率が大切だと良いながら、農家の保護をまるっきり考えていないという辺りでも、そういう人の論理の脆弱さが分かるというものです。
おそらく、今後の時代に日本人がそれなりの生活を営んでいけるためには、明治時代以降の我が国の基本的なスタンス(グローバル化に乗っかって、うまいこと儲けようという考え)から、立ち位置をずらした主張をすることができる勢力が、どれくらい伸びるかにかかっていると思います。「地産地消」や「地域単位の小さな経済サイクル」、それに「大量のエネルギーを必要としないライフスタイルの転換」(巷で「エコ」などと喧伝されているものとは決定的に異なる思想に基づく)などがキーワードになるはずです。
もし、そういう動きが日本各地で活発になれば、もう輸出企業が無理をして利益を上げる必要などなくなります。その動きが世界に波及すれば、おそらく地球環境も決定的な破滅を免れるでしょう。
簡単に言えば、韓国は、そういう主張ができなかったのです。外国人を使って、楽に利益を上げよう、ダンピングすれすれの輸出でテキトーに儲けておこう、要するに、かつて欧米人がどっぷりつかり、いまだに抜け出せていない安易な方向を選んでしまったから、今の悲惨な状況を招いているのです。
江戸時代に真の循環型の社会を運営し、いまだに神道のような自然のサイクルに合致した思想を保っている日本人なら、そういう邪道を歩まずに済むのではないでしょうか。私は、左右のイデオロギーをお持ちの方々と違って、日本は反日勢力やアメリカに支配されたどうしようもない国だ、などとは思っていません。今は時間稼ぎも必要でしょうが、やがて根本的な文明の転換が我が国で始まると信じています。
それが間に合わなければ、おそらく韓国で今起こっていることが、今後の日本でも絶対に起こります。その時になってから気づいては遅いのです。
韓国の悲劇から、我々はいろいろなことを学ぶべきだと思います。
これ↓を入れ忘れていました(笑)。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
「韓国の悲劇」から学ぶべきこと(2)
前回は、韓国経済の頼みの綱である輸出が、世界的な需要の減少によって大打撃を受けており、一応景気対策らしきものは行われようとしているが、その一方でやはり輸出の拡大によって失地を挽回しようとしているということをお話ししました。
韓国国内の経済はどうなっているのかというと、こんな感じです。
韓国自動車市場で販売台数急減
http://www.chosunonline.com/article/20081116000013
http://www.chosunonline.com/article/20081116000014
韓国の自動車市場が今月に入り硬く凍り付き、業界に「11月大乱」が起こるのではという懸念が広がっている。
今月1日から10日日までの国内完成車メーカー5社の内需販売成績を見ると、先月同期に比べ35%も落ち込んでいることが分かった。このため、完成車メーカー各社の営業部門は非常に気を揉んでいる。販売低下を防ぐため、最大36カ月の無利子ローンを断行したかと思えば、車種によっては最大1000万ウォン(約72万円)まで値引きするなど、出血大サービスが続々登場している。ある自動車会社の役員は、「今月の自動車販売低下は本格的な内需不振の兆しではないか、と不安な気持ちで見守っている。販売が減り続ければ、年末には自動車業界で大規模な人員削減が断行されるという話も出ている」と語った。
輸出の需要が減り続けている最近の状況下で内需まで崩れてしまうと、韓国の完成車メーカーの連鎖的減産やリストラは避けられない、というのが業界の分析だ。GM大宇は来月22日から全工場の稼動を一時中断するとしているが、これは今や「幕開け」に過ぎないというわけだ。
◆「いくら値引きされても買わない」
つい先月まで、韓国自動車市場の危機感はさほど大きくはなかった。米国に続き、ヨーロッパや日本の自動車市場までもが史上最悪の販売状況で苦戦している中、先月の韓国完成車メーカーの内需販売成績は、昨年同期比0.3%減に過ぎなかった。
現在、国内営業の第一線では、破格の条件で割引しても販売が急減していることにショックを受けている。先月の成績は、今年9月まで現代・起亜自の労組がストを行っていたため供給されなかった車種への需要が掘り起こされたことで販売が一時的に増えた「錯視現象」だった、というわけだ。
販売状況が深刻になる中、それまで割引幅が小さかった現代自さえも、サンタフェやトゥサン、ジェネシスの在庫車について約20%の割引サービスを実施している。エクウスは最大1000万ウォン、ベラクルスは550万ウォン(約39万円)まで割り引く。GM大宇のウインストームは300万ウォン(約21万円)まで割引する。双竜自は最大36カ月の無利子ローン販売を行っているが、今月10日までの販売量は46%減少した。双竜自のある営業所長は、「今のような状況がさらに何カ月も続くようなら、営業所を畳まなければならない」と語った。
企業の別なく軒並み販売が下落していることも、自動車の内需不振本格化の兆しである可能性がある、と指摘されている。今月1日から10日までの現代自の販売は先月同期より28%減少し、新車を送り出した起亜自の販売も36%落ち込んだ。GM大宇の販売下落率は52%、ルノー・サムスンの場合は45%となっている。
◆不況に強い軽自動車もダメ
今月の内需販売のさらなる特徴は、不況期によく売れる軽・小型車の販売下落幅が相対的に大きい、という点だ。
今月1日から10日までの車種別内需市場増減推移を見ると、先月同期より軽自動車(モーニング・マティス級)は38%、小型車(ベルナ・プライド級)は45%販売が減った。反面、大型車(ジェネシス・オピラス・チェアマン級)は19%の減少にとどまった。景気が振るわない中、消費者が軽自動車や小型車に乗るのではなく、そもそも車の購入を控えている、という分析が可能な数字の動きだ。
輸入車の販売不振も、今月に入り加速化している。今夏だけを取り上げてみても、輸入車市場は前年同期より月平均30%ずつ増加していた。しかし先月には前年同期より14%以上も減り、販売低下の動きを見せた。今月は、先月よりさらに販売が悪化するだろう、と観測されている。
輸入車販売で第1位のホンダは先月、輸入車販売下落率で第1位(マイナス47%)を記録した。これは、輸入車市場でも中産層の購買力が大きく落ち込んでいることを示している。中でも今年7月に1カ月で1103台を売ったホンダの中型セダン・アコードは、先月の販売成績が377台にとどまり、3カ月で販売量が3分の1の水準まで激減した。
健康保険:滞納事業所が急増
http://www.chosunonline.com/article/20081020000033
不景気で健康保険料を支払えない企業が増えており、また地域加入者の場合、4世帯に1世帯が健康保険料を滞納し、健康保険の適用が受けられない人が増えていることが分かった。
ハンナラ党の林斗成(イム・ドゥソン)議員は19日、国民健康保険公団から提出を受けた「事業所の健康保険料の滞納状況」および「地域加入者の健康保険料の長期滞納状況」と題する資料を公開した。それによると、今年8月現在、健康保険料を3カ月以上滞納した事業所は5万4697カ所で、その滞納額は1905億ウォン(約145億円)だった。
健康保険料を滞納した事業所は2005年に3万4979カ所、06年4万5640カ所、07年5万3206カ所と毎年増加傾向にある。社員が200人以上の大型事業所の滞納も05年19カ所、06年31カ所、07年30カ所で、今年は8月現在で27カ所に達している。
滞納期間も長期化しており、25カ月以上の長期滞納事業所は、05年に448カ所だったのが、今年8月には1233カ所となった。
職場の場合、企業と職員が半分ずつ保険料を支払う仕組みとなっており、納付主体の企業が保険料を納めなかった場合でも、その社員は保険の適用を受けることができる。
地域加入者の場合、対象世帯の25%程度が滞納していることが明らかとなった。03年156万3000世帯(17.9%)だった滞納世帯数は、05年195万2000世帯、07年205万5000世帯と増え続け、今年は4月末現在で既に201万1000世帯(25.9%)に達している。滞納額も03年に9060億ウォン(約690億円)だったのが、今年は4月末現在で1兆5874億ウォン(約1208億円)にまで増加している。
健康保険の適用が受けられない世帯は、03年は100万8000世帯195万1000人だったが、今年は4月末現在で201万6000世帯375万8000人に増加した。なお韓国の今年の全世帯数は1670万世帯。健康保険料はこれまで、3カ月滞納すると保険の適用が受けられなかったが、政府は先月、その基準を6カ月に延長した。
日本でも似たようなことは起こっているとはいえ、規模が違います。もはや韓国経済派「死滅寸前」だと言っても過言ではありません。
誤解しないでいただきたいのは、私がこのような記事を取り上げたのは、馬鹿な右寄りブログがよくやるように、朝鮮人を見下したいという低劣な目的からではないということです。
私が韓国のケースを興味深く見ているのは、韓国の経済がどういう風に「料理」されるかしっかり観察しておけば、やがて日本にその「料理」の方法が応用されるときに、有効な対処法を練ることができるからです。
●以前に韓国のことを取り上げた記事で、私は韓国は「国家撃沈ビジネス」の標的にされていると述べました。
そのビジネスは、以下のような手順を踏んで行われると予想します。
1.産業競争力がある割に通貨の規模が小さく、通貨価値に神経質な国の通貨を買い占める
2.一旦値上がりした通貨を、タイミングを見計らって浴びせ売りする
当該国が通貨介入を行って外貨準備を放出すると同時に、各国の金融資本が貸し渋りに転じる
(運転資金がなくなり、貿易決済がショートする)
3.通貨が暴落するので、その国の破綻した企業の株式を一気に買い占める(産業の支配)
4.ここで国際機関によって援助が行われば、そのタイミングで売り抜けて利益を確定する
5.不況を理由に国内制度を「大リストラ」する
6.産業基盤は維持したまま、安価な外国人労働力を大量に導入する
または、中国のような国のファンドにたたき売りする
これは、決して妄想や勝手な憶測で言っているのではありません。現実に、韓国は1997年の通貨危機の時に1回目の攻撃を食らっています。
●アジア通貨危機~韓国における通貨危機
韓国はマクロ経済のファンダメンタルズが十分であったが、一方で金融部門では不良債権を抱えてしまった。過剰な借金は経営判断で大きなミスを招き、経営交代を招いた。起亜自動車の倒産を皮切りに経済状態が悪化。IMFの援助を要請する事態となった。
アジアの市場に異変を感じたムーディーズは1997年7月、韓国の格付けをA1からA3まで落とし、同年の11月にはさらにBaa2にまで格を落とした事で、すでに落ち込んでいた韓国の証券取引市場を更に冷え込ませて、韓国の経済を不振に陥れた。
IMFの指導を受け入れる前、金泳三政権は日本から金融支援を獲得して事態を彌縫しようとつとめたが拒絶された。
ソウルの証券取引は同年11月7日に4%も落ち込み、翌日には一日の株価変動としては、史上最大の7%の下落を記録した。この後IMFがしっかりとした再建を行うかどうかの不安感も災いし、同年同月の24日には更に7.2%落ち込んだ。そして、同年末に韓国はデフォルト寸前の状況にまで追い込まれた。これによりIMFが韓国の経済に介入し、現代グループなどに対して財閥解体が行われた。
金融格付け会社である「ムーディーズ」と、米ドルを貸し付けて当該国家に「カイカク」を要求するするIMF(国際通貨基金)が、見事なまでのコンビネーションを見せています。そこに、通貨の浴びせ売りを行った「ヘッジファンド」を加えたのが、前回の国家撃沈ビジネスの配役だったと言えるでしょう。
そして、IMFの「カイカク」の結果、で、韓国は内需をほぼ壊滅状態にされました。このような記事を見ればよく分かります。
9年前の10分の1まで減少した韓国の家計貯蓄率
http://www.chosunonline.com/article/20070211000022
「わが子の天真爛漫(らんまん)な顔を見るたびに母は考える。この世の中で何よりも大切なわが子。明るい笑顔で元気に育ち、夢を叶えられますように。わが子の可愛らしい手を握るたびに、父の胸はときめく。不自由や困難のない家庭、いつでも笑顔の絶えない家庭を築かなければ。父と母は貯蓄で夢と希望を育てているという…」
1981年、KBSテレビで放映された初の公共広告は「貯蓄で豊かな明日を」という貯蓄キャンペーンだった。
60年代に経済開発計画が始まって以来、長い間貯蓄は個人的美徳を超えた国民的義務だった。政府は経済成長を支える資金を調達するため、汎国民的貯蓄キャンペーンを展開した。今ではほとんど忘れ去られているが、60年代から70年代の「貯蓄の日」には、軍楽隊が演奏する中、大統領が直接功労者らに勲章を授与する盛大な行事が行われていた。
そのため、時には貯蓄奨励が行き過ぎた強制にもなった。当時、本紙は「当局の半強制的貯蓄運動は、貧しさにあえぐ貧困層の心を暗くしている」(1966年6月26日付)と批判した。例えば、戸籍抄本1通を請求する際にも通帳が必要で、農協は農民らに貸出金の10%を貯蓄するよう強要した。貯蓄を督促する先生にしかられるのを恐れ、学校に行きたくないと訴える子供たちもいた。しかし、こうして国民がベルトを締め上げ、1銭、2銭と集めた資金が高度成長の土台となった。
(中略)
昨年、韓国の家計貯蓄率が2%台に落ち込んだという。1998年の23.2%から10分の1に激減したのだ。しかし貯蓄率だけを見れば、米国(‐0.5%)や日本(2.4%)など、先進国の水準に近づいたとも言える。だからといって、ケインズが述べたように、貯蓄が減った分だけ消費が活発になり、生産と雇用が増え、景気が良くなったわけではない。多くの国民が住宅ローンのために貯蓄もできず、消費もできないワナに陥っているのだ。これは不動産政策の失敗が生んだもう1つの後遺症と言えよう。
韓国人がアメリカ人のごとく消費に明け暮れているということではありません。単純に、貯蓄に回すお金がないのです。
その一方で、こういう現象も起こっています。
金融資産家の増加率、韓国が世界1位
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=77025&servcode=300§code=300
昨年基準で韓国の‘百万長者’(金融順資産基準)は8万6000人であることが調査で分かった。
メリルリンチとギャップジェミニは20日、世界富裕層に関する報告書で、05年の韓国の百万長者は前年(7万1000人)に比べて21.5%増え、世界で最も増加率が高かった、と明らかにした。
報告書によると、韓国の百万長者が大きく増えたのは、昨年の総合株価指数が54%も上昇したためという。 メリルリンチが定義した‘百万長者’は「高額純資産保有者(HNWI)」で、住居用住宅を除いた純金融資産が100万ドル(約10億ウォン)以上の者をいう。
韓国に次いで百万長者が大きく増えた国はインド(19.3%増)、ロシア(17.4%増)、南アフリカ(15.9%増)、インドネシア(14.7%増)、香港(14.4%増)、サウジアラビア(13.5%増)、シンガポール(13.4%増)、アラブ首長国連邦(11.8%増)、ブラジル(11.3%増)などの順だった。 中国と米国は昨年6.8%の増加率を記録した。
要するに、貧富の差がどんどん拡大しているのです。IMFの介入前後から、国内の分配システムになんらかの偏りが生じたと考えるのが自然でしょう。
これは、なかなか賢いやり方です。「国家撃沈ビジネス」の仕掛け人(IMFやムーディーズのバックにいる人たち)たちは、自分たちが不当な支配や搾取を行っているということがばれることを怖れています。それを覆い隠すには、ある国を標的にする時も、その国の全ての層を餌食にせず、一部の人間に利益を与えておいて、国民を分断するという作戦を採るわけです。
韓国で、そのようなエサをもらえる層として選ばれたのは、輸出企業です。たとえば、韓国最大の自動車メーカー、現代・キア自動車は、●株式の時価総額で米ゼネラル・モーターズを抜いたこともあります。●韓国経済株価指数(KOSPI)も、2000年前後から最近まで、上り調子で来ています。ソウル株式市場に上場している大企業(貿易依存率の高い国なので、当然輸出関連が多い)や、その株主である銀行、個人資産家はかなりの利益を上げているということです。
こうやって一部の層に利益を与えておけば、「分配を強化しろ」という声が出てきても、「いや、国際競争力の方が大切だ」という論調が、マスメディアで支配的になります。そうなると、国民も、そういうものだと思ってしまうわけです。
そうはいっても、昨今の金融危機を契機にして、韓国も分配を強化する方向に舵を切ったのではないか?と思う人もいそうです。前回紹介したように、韓国は、もらえるかもらえないか分からない生活支援金についてウダウダ言っている我が国の政権と違い、大胆な景気対策を行っているからです。
しかし、その景気対策がくせ者なのです。●その施策を紹介したリンク先、もしくは前回の記事の引用部分をもう一度お読み下さい。
確か私は、この記事に何か変なものを感じませんか、と、前振りをしていたはずです。その「答え合わせ」をしてみましょう。
まず、私が「これは、まずいんじゃないか?」と真っ先に思ったのがここです。
>政府はまた、非正規職法により企業が雇用に負担を感じ、むしろ雇用創出が
>鈍化している点を考慮し、この部分の規制を緩和する案も検討している。
●こちらのリンクをご覧頂くと、韓国は雇用格差の是正のために、2007年から「非正規職法」という法律を施行し、2年を超える契約期間の従業員は原則として正規雇用にしなければならないということを定めました。
ところが、そうした途端に今度は非正規雇用の従業員がどんどん解雇されルということが起こり、韓国国民の中にもこの制度を改正すべきだという声が上がっていました。
しかし、もしこれを元に戻してしまえば、雇用自体は増えたとしても、結局身分は不安定なままです。格差の固定はなお一層進むでしょう。どうも、不景気だということを理由にして、雇用法制を企業の都合の良いように変更してきたという気がしないでも有りません。
また、ここも違和感を感じた部分です。
>投機地区および投機過熱地区はソウルの江南区、瑞草区、松坡区などいわゆる
>「江南3区」を除き、すべて指定を解除する。
投機地区に指定されると、住宅担保貸付に制限が設けられ、投機加熱地区に指定されると、分譲マンションの区分所有権を譲渡するのが簡単になるということです。
しかし、●麻生内閣の景気対策について書いた記事でも言いましたが、そもそも銀行が貸し付けをしてくれなかったり、もともとローン審査に通らない所得だったりすれば、こういうものはあまり効果がないわけです。
韓国の場合も同じことで、個々の家計には恩恵が少ない一方で、大手のデベロッパーが大規模な開発を行うのが容易になるということにもなります。おそらく、これはほんの序の口で、しばらくすれば首都ソウルの都心に当たる江南三区でも規制が解除され、投機目的の住宅建設が相次ぐでしょう。その時、一体誰が得をするのか・・・少なくとも、マイホームがほしい庶民ではないでしょう。
結局、一部の層を優遇するという韓国の路線は、根本的な修正がなされないままのようです。景気対策を謳っても、雇用政策については全く触れようとしない我が国の政権と、たいした違いはありません。
それでも、まだ韓国の方がマシだと思えるのは、
>基礎生活受給対象者など貧困階層に対する支援も拡大
>グローバル青年リーダーと未来産業青年リーダー各10万人育成など
>青年失業者支援案、
>個人融資金利の引き下げ
といったように、弱者救済も謳っているところです(もっとも、それが確実に履行されるかどうかは不明)。
しかし、断言しても良いのですが、ここに挙がっているような「貧困階層」「青年失業者」といった人びとは、今後間違いなく捨てられます。
なぜそんなことが言えるのかというと、「国家破産ビジネス」をやっている連中が、「韓国人はもう要らない」と宣言したからです。
次回の記事は、私自身も暗い気分になるのを奮い立たせながら書かなければならない内容になりそうです。というわけで、もう1回このシリーズの記事が続きます。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
「韓国の悲劇」から学ぶべきこと(1)
【社説】中国、経済大国の身の処し方を学べ
http://www.chosunonline.com/article/20081017000037
中国政府は現代・起亜自動車の一部ディーラーが行き過ぎた販促競争で中国の独占禁止法に違反したという理由で9月中旬から11月中旬までの2カ月間、新規輸入枠の割り当てを中断した。中国政府は外国車メーカーから毎月車種別の輸入台数の申請を受け、その一部を許可する形式を取っている。
現代自はジェネシス、エクウス、起亜自はモハビ、オピラスをそれぞれ全量韓国で生産し、中国に輸出している。現代自が月1500台、起亜自が月800台前後だ。金額では月500億ウォン(約37億円)に達する。現代・起亜自は8月までに取得済みの輸入枠がまだ残っているため、現時点で輸出が完全に中断したわけではないとしている。しかし、来月に輸出許可が出るかはその時にならないと分からない。
中国は今年6月にトヨタ自動車のレクサスに対しても現代・起亜自と同様の理由で2カ月にわたり輸入枠の割り当てを中断した。各国政府がそれぞれ外国車の輸入枠または関税率を調整する権限を持っているとはいえ、中国のように毎月車種別に「配給制」のような制度を実施している国はない。その上、しばしば許可証の発行を中断する。「外国車メーカーに言うことを聞かせるためだ」との批判を受けて当然だ。
中国は2000年のニンニク騒動の際も、韓国政府が中国と合意した輸入枠を超える中国産ニンニクの輸入を禁止すると、金額にしてその50倍に相当する韓国製携帯電話端末やポリエチレンに対する輸入禁止措置を取った。中国が来年5月から輸入されるすべての情報セキュリティー製品に対し実施するという強制認証制度も同様だ。既に世界10カ国余りが参加している国際共通基準(CC)という認証制度があるにもかかわらず、別途に中国式認証制度をつくり、中国で商品を売りたければ言うことを聞けと脅さんばかりだ。
中国の国内総生産(GDP)は昨年末時点で米国、日本、ドイツに次いで世界4位だ。購買力平価では既に世界2位の経済大国に浮上したとの見方もある。2025年には世界1位になると言われ続けて久しい。体が大きくなったというだけで大人の口をたたくことができないように、経済規模だけで経済大国としての扱いを受けることは難しい。大国には大国の倫理があるべきで、世界経済に対する責任感が必要だ。誰でも大国として振る舞えるわけではない。
中国は2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟し、国際通商規範と互恵原則を根幹とする公正貿易秩序を守ると約束した。中国が世界最大の市場と投資先を抱えていることを武器に国際規範や互恵原則を無視した行動を続ければ、国際社会は中国を「貿易不安国家」と認識するかもしれない。それは中国にとっても利益にはならない。
「特定アジア同士で仲間割れしてるぜ、あははー」みたいな、低レベルな感想をお持ちになった方は、もう少し物事の意味を冷静に探ることをお勧めしたいと思います。
この記事の言わんとするところは、「中国よ、輸入規制をするな」ということです。
さらに、この記事は最後の段落で「大国」と連呼して中国を持ち上げているわけですが、それによって「中国は金持ちになったんだから、ガタガタ言わずに韓国製品を買いなさい」という主張につなげたいわけです。
韓国人がこういう主張、というか、負け犬の遠吠えを朝鮮日報の紙面で吐いてしまうのはなぜかというと、はっきり言えば対中輸出は韓国の生命線だからです。
韓国は貿易依存率(GDP全体に貿易が占める割合)が7割を超える「貿易立国」です(日本は20%前後。小泉政権より前は10%前後だった)。しかも、従来はアメリカや日本といった「旧西側諸国」が商売相手だったのですが、冷戦後は中国との貿易が急激にシェアを増やし、いまや韓国の輸出・輸入相手国はともに中国が1位、対中貿易黒字は7億5千ドルと、まさに中国様々という状況になっています。
だから、相手がきかん坊だとわかっていても、叫ばずにはいられないのです。貿易依存国家の悲しい姿です。
ところで、金融危機とかいうやつで、世界(特にアメリカ)の輸入品に対する需要が収縮しているわけですが、世界で最も煽りを食らっているのはもしかしたら韓国かもしれません。
韓国、貿易収支は09年も赤字の見通し=企画財政省
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-34989820081119
韓国企画財政省は19日、韓国は2008年に続き09年も貿易赤字を計上するとの見通しを示した。2年連続の貿易赤字は12年ぶりとなる。ただ、経常収支は09年にかろうじて黒字になるとしている。
同省は、09年の輸出は前年比9%増、輸入は同8.5%増となり、貿易赤字は約56億ドルに達すると予想。
経常収支については、08年は11年ぶりの赤字転落が予想されているが、09年には約50億ドルの黒字に転じるとの見通しを示した。
本来なら、こういう場合は経済を内需指向にコントロールして、貿易への依存度を減らすという方向性を取るべき(日本の現政権も、口だけだがやろうとはしている)なのですが、韓国はどういう対応を取っているのでしょうか。
ちなみに、以下の記事は後編でもう1回取り上げるので、読者の皆さんは「この景気対策にはどこか変なところはないか?」と思いながら読んでみてください。
政府が経済危機克服対策発表、財政支出11兆拡大
http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2008/11/03/0900000000AJP20081103001900882.HTML
政府が景気浮揚に向け公共部門を含む11兆ウォンの財政支出を拡大し、減税規模も3兆ウォン拡大するなど、総額14兆ウォン(約1兆822億円)に達する支出および減税拡大案を策定した。再建築アパートの容積率規定は法定限度の300%まで認め、小型住宅および賃貸住宅の義務比率など中核規制権限は地方自治体に移し、事実上、大幅に緩和される。ソウル江南3区を除く首都圏地域すべてを投機地域および投機過熱地区から解除する。雇用創出に向け非正規職法を大挙修正・適用するほか、零細自営業者の負担軽減に向け、クレジットカード手数料引き下げを推進する。
政府は3日、こうした内容を盛り込んだ経済危機克服総合対策を発表した。まずは財政機能の強化に関連し、雇用拡大、中小・庶民層支援、社会インフラ拡充などに向け公共支出を11兆ウォン、税制支援も3兆ウォン、それぞれ拡大するなど、計14兆ウォン規模の財政支出および税制支援を行うことを決めた。支出規模は大部分、社会インフラ分野などに使われる。景気浮揚と雇用拡大効果が大きく、景気下降期に特に重要だというのが政府側の説明だ。
中小企業・庶民支援強化案としては、クレジットカード手数料の引き下げを誘導することにした。政府関係者は、クレジットカード手数料は昨年7月に1度、対策を発表したが、いまだきちんと適用されていないようだと指摘。年内に経営が苦しい自営業者や零細商工者の負担を軽減する案があるか確認すると説明した。
基礎生活受給対象者など貧困階層に対する支援も拡大する。グローバル青年リーダーと未来産業青年リーダー各10万人育成など青年失業者支援案、個人融資金利の引き下げなど、低所得庶民家計支援案も今回の対策に含まれる。
政府はまた、非正規職法により企業が雇用に負担を感じ、むしろ雇用創出が鈍化している点を考慮し、この部分の規制を緩和する案も検討している。その他企業が苦しんでいる土地利用、環境、サービス部門の規制を緩和することも対策に盛り込む予定だ。
このほか再建築規制では、容積率を法定限度まで認め、小型住宅義務比率と賃貸住宅義務比率の適用は地方自治体に裁量権を与えることにした。安全診断を2回から1回に減らし手続きも簡素化するほか、診断時期も調整する。投機地区および投機過熱地区はソウルの江南区、瑞草区、松坡区などいわゆる「江南3区」を除き、すべて指定を解除する。
というわけで、一応、景気対策はやっています。しかも、一見した感じでは、麻生政権よりもずいぶん頑張っているという印象を受けます。
しかし、それ以上に熱心に推進していることがあったりします。
批准目指す韓国焦燥 米韓FTA 否定的なオバマ氏当選で
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/international/128622.html
オバマ米次期大統領が米韓自由貿易協定(FTA)に反対していることから、早期批准を目指す韓国政府に焦りが出ている。政府と与党ハンナラ党は、今週中にも同協定の批准同意案を国会に提出し、米側にも批准手続きを進めるよう圧力をかける考えだが、民主党など野党が提出に反対しており、難航は必至だ。
オバマ氏は「韓国は毎年数十万台もの自動車を米国に輸出しているが、韓国で販売される米国車は年五千台にすぎない」と指摘。昨年四月に米韓両政府が合意し、米国側が乗用車に課している関税を撤廃するなどの米韓FTAについて「欠陥の多い交渉」と批判していた。
さらにオバマ氏は七日、大統領選後初の記者会見で「困難な米国自動車産業をあらゆる手段を使って支援することを望む」と表明。韓国の有力紙、東亜日報は十一日、大統領選前にオバマ氏側が韓国政府に対し、米韓FTAの自動車関連分野で追加交渉する案を伝えていたと報じた。
一方、米韓FTAの早期批准で輸出拡大、景気浮揚を目指す韓国政府は、与党ハンナラ党との間で「再交渉を阻止する」との原則を確認。大統領府(青瓦台)の報道官は十日、「韓国が先に批准することが、米国の批准に影響を与える」と述べ、韓国側が早急に批准することの必要性を強調した。
内需への転換どころか、さらなる貿易依存の拡大を目指してしまっています。覚醒剤中毒になった人間が、シャブをやめられない自分に嫌気が差して、さらに覚醒剤を打ってしまうようなもので、今後ますます韓国の貿易依存体質は高まっていくことになります。
しかし、話はこれだけでは済みません。
韓国の企画財政省は、「2009年の経常収支はかろうじて黒字になる」などと陽気な見通しを掲げているようですが、今韓国国内では、冗談や誇張抜きで、本当に韓国が崩壊するような変化が起きています。
次回は、その韓国国内の変化について触れた上で、じゃあ我が国はどうするんだという話をしていきたいと思います。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
野党は、「食の安全」「食糧自給」に絞って政府・与党を締め上げろ
「国産品選択」、89%に上昇=食の安全意識高まる-内閣府調査
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2008111500323&j1
内閣府が15日発表した「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」の結果によると、食料品を購入する際に国産と外国産のどちらを選ぶかという問いに、「国産」「どちらかというと国産」と答えた人は計89.0%に達し、同様の設問があった8年前の調査に比べ7.1ポイント上昇した。
国産志向の理由では「安全性」を挙げた回答が最も多く、中国製冷凍ギョーザ中毒事件などを機に、食の安全に対する国民の意識が高まっていることが改めて浮き彫りとなった。
将来の食料輸入については「非常に不安がある」「ある程度不安がある」が計93.4%を占め、2年前の前回調査(76.7%)から急増。国際的な需給逼迫(ひっぱく)に伴う小麦などの穀物価格高騰が影響したとみられ、先進国で最低水準の食料自給率(40%)に関する初の質問でも、「高めるべきだ」「どちらかというと高めるべきだ」が計93.2%に上った。
こういう結果が出ているので、自民・公明党政権もなにやら「対策」らしきものをやっているようです。
中国に「食の安全」担当官=外務省
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200811/2008111300849&rel=j&g=soc
橋本聖子外務副大臣は13日の記者会見で、中国製食品の安全性に対する不安が広がっていることを踏まえ、北京の日本大使館に「食の安全」担当官を置いたことを明らかにした。
窓口を一元化することで、情報収集を効率化し中国政府との調整作業を迅速化するのが狙い。今後、米国やオーストラリア、カナダ、タイ、欧州連合(EU)など食品の対日輸出が多い国や地域でも、在外公館に順次担当官を任命していく。
>「食の安全」担当官
多分、他の業務をやっている外務省職員が兼任して片手間でやることになったのでしょう。専任の職員が派遣されるなら、仕事をやっているPRになるので、そういう風に明記するはずです。
それにしても、そういう問題ならなぜ農林水産省から出向させないのでしょうか?
>中国政府との調整作業を迅速化するのが狙い
専門知識も、中国側とのコネもなくて、一体何をするんでしょうか。中国側に是正を求める役割はないのでしょうか?
まあ、このニュースでも明らかなように、政府は「食の安全」など本気で対策しようと考えていません。
経団連やグローバリスト企業、外資、アメリカ政府といった自民党の支持団体の意向は、「人件費引き下げによるデフレ促進」です。購買力平価の引き下げといってもいいのかもしれませんが、それを達成するためには食料価格の引き下げが必要であり、安い輸入食品は欠かせません。
もう一つの与党である公明党は、常に一定の組織票が取れるので、世論など気にする必要がありません。創価学会員向けに、雑誌の中吊り広告でテキトーに美辞麗句を並べておけばいいだけです。
そうはいっても、この問題は最大の与党である民主党もあまり熱心に取り組んでいません。理由は明白で、いざ自分たちが政権を取った時、輸入品に頼っている企業や商社にそっぽを向かれては困るからです。もちろん、中国寄り(旧社民党)やアメリカ寄り(前原・野田・岡田グループ)の議員もいます。
誤解している人が多いのではっきり言っておきますが、私が民主党、というより小沢代表の方がマシだと言っているのは、「農家への戸別所得補償」と「裁判員制度の見直し」を公約に掲げており、今後自民・公明党政権が続くよりは良い結果を残せると考えているからです。それ以上の理由はありません。民主党政権が実現したからと言って、すぐに食の安全が実現されるなどと考えるほど既成の政党に期待していません。
しかし、それでも野党、特に「国民新党」や「共産党」に勧めたいのは、
「食の安全に絞った現政権追及キャンペーン」
です。
敵を攻めるときは、「絶対に反撃できない弱点」を徹底的に突くべきです。グローバリストやアメリカ、中国の信任を受けている現政権は、「輸入食品を減らしてその分国産を増やします」などとは口が裂けても言えません。ここを突っつかれると、まともな反論ができないわけです。
しかも、政治資金や公職選挙法がらみのネタだと、民主党にも弱みがたくさんあるので、自民党からカウンター攻撃をくらう可能性がありますが、こと食糧問題に関しては、党として政権についたことがない民主党(これも情けない話だが)には弱みが一切ありません。あえて言うなら、●アメリカとFTAを結べなどとほざいてる京都出身のバカとその取り巻きの妄言くらいでしょうが、いざとなったら国民新党と平沼一派を取り込んでこいつらを放出すればよいのです。
自民党が何かボロを出すと、それに追随する形で追及のネタをコロコロ変えるというのは実に愚かな戦術です。「新聞やテレビを信用するな」と言いながら、毎週日曜日の報道番組を逐一チェックして、いちいち脳みそを沸騰させているネット愛国、自称保守(笑)みたいなもので、支持者を確実に広げることはできないでしょう。
食の安全を追及すれば、自然と国産品の増産という方向へ話が行くわけです。そこに、「農家への戸別所得補償」や、「食料の輸入規制」(●共産党が掲げている)、あるいは「自給率の高い米粉や飼料米の活用」(国民新党が提案している)などを合わせて主張すれば、自民党は何も反撃できません。「輸入品だって安全だ」などという、全く裏付けのないデマを吐くのが精一杯でしょう。
できれば、野党としては「国産品だって安全じゃない」などという逆ギレを、麻生首相ほか口の軽い閣僚から引っ張り出したいところです。そうすれば、自民党がメンツや輸入業者や中国の利益ばかりを大事にして、国民を顧みていないという事実が明らかになるからです。
野党の皆さんも、そうやって国民の支持を取り付けて、早期の政権交代を実現してもらいたいものです。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
当ブログは「自エンド」(自民党壊滅キャンペーン)を提唱中です



【ミサイルより】 国家を守るのは「真の情報力」である 【現地協力者】
さて、日本にもかつて諜報活動に一定の成果を挙げていた時期があったということを書きました。例として、「明石機関」「南機関」「陸軍中野学校」の三つを挙げておきたいと思います。
「明石機関」というのは、明治期の軍人である明石元二郎大佐が、日露戦争用に作った軍の特務機関です。特務機関というのは、特定の地域に諜報戦を仕掛けるプロジェクト・チームのようなものだと思ってもらえばよいでしょう。
この機関は、かなりの成果を挙げました。当時帝政ロシアが支配していたフィンランドやポーランドといった地域の反乱分子、さらにはのちにソ連を作り上げたレーニンにも資金援助を行い、ロシア国内に混乱の種をまくことに成功しました。明石大佐はヨーロッパの諸言語に通じていたので、現地に潜り込んで現地協力者と直接交渉することができたのが大きかったようです。
「南機関」は、日中戦争(1937~1945)が泥沼化していた1940年に、陸軍の鈴木敬司大佐が中心になって作られた特務機関です。目的は、ビルマ(現ミャンマー)の独立支援でした。別に、黄色人種の解放のためではありません。敵国である中国国民党に対して、イギリスがインドから救援物資を送っていたいわゆる「援蒋ルート」を寸断するには、ビルマを独立させることが一番合理的な選択だったからです。
日本は結局そのすぐ後にイギリスとも戦端を開くことになるわけですが、それ以前に「ビルマ独立義勇軍」という組織をビルマ人たちに作らせ、のちのビルマ軍の基礎を作り上げることに成功しています。のちに国防大臣になるオン・サンは、典型的な現地協力者です。彼のような生粋のビルマ人がいなかったら、南機関は目的を達成することはできなかったでしょう。
このビルマ独立義勇軍は、最終的には抗日戦の主力となって戦うことになってしまうわけですが、鈴木大佐たちが義勇軍のリーダーたちに約束していた、ビルマの早期独立が達成されていたら、あるいはもう少し形勢が変わっていたかもしれません。ちなみに、ビルマの独立に反対したのは当時の軍中央部でした。
「陸軍中野学校」というのは、今の東京都中野区、場所で言えば中野駅の北口あたりにあった陸軍のスパイ養成学校です。上に挙げた南機関の構成員に、中野学校出身者が多数含まれていたように、卒業生は各地の特務機関で活躍したようです。
私がこの機関になぜ注目したのかというと、当時の日本の軍組織、もっと言えば政府の組織の中で、ほとんど唯一と言っていいほど目的合理性を保っていた組織だからです。
みなさんは、軍の諜報要員というと、武器の特殊な使い方とか、密室に閉じこめられた時の脱出法とか、そういうものを学んでいるものと思ってしまうかも知れません。
しかし、中野学校のカリキュラムで一番重視されていたのは、外国語や国際政治といった「学科」でした。カリキュラム(約1800時間)の大半である1100時間あまりが「学科」に費やされています。諜報活動を支えるのは、豊富な知識や語学力であるということを、中野学校の関係者はよくわかっていたようです。
訓練生の出身校で東京帝国大学が最多だったというのは、非常に興味深いことです。上のような、知識や教養が必要だったということもあるのでしょうが、ひとめで軍人っぽいなと分かってしまう人は、敵国に潜入して工作するのに適していないという判断があったのでしょう。
そういう風に、中野学校は諜報要員がやるべき仕事はなにかをきちんと見定め、そこから逆算して求められる人材像を明確にイメージし、そのために最も合理的な教育を施していたのです。はっきり言って、日本の政府組織では奇跡といっても良いほどのプロジェクトです。日本の組織というのは、できてから少し経つと、すぐに慣習や伝統に支配されてしまい、目的を達成するためには何が必要なのかという、組織のレゾン・デートル(存在意義という意味のフランス語)が見失われてしまうことが多いからです。合理的な意志決定より、構成員の心情だとか、先輩後輩の序列とか、「空気」や「ムード」とか、そういう非合理的な要素が重視されてしまうということです。
もちろん、家族や近所づきあいまで目的合理的だったら人間息が詰まって死んでしまうでしょう。しかし、勝たなければ終わりという戦争においては、組織は徹底的に合理的でなくてはならないと思うのです。●インパール作戦という、世界軍事史上でおそらく最悪の軍事作戦が実施されてしまったのは、陸軍の上層部が完全に合理的思考を放棄していたからに他なりません。
ところで、よく考えてみると、上に挙げた情報機関というのは、全て陸軍の中の組織なんですね。これは非常に重要な点です。
我々は、普通大東亜戦争というと、「陸軍は最後まで本土決戦にこだわり、原爆投下を招いた」とか、「●戦陣訓や●内務班に代表される非合理的な慣行がまかりとおり、敗戦を招いた」という風に、陸軍の存在を酷評することが多いような気がします。しかし、その陸軍が、まさに日本の諜報を一手に担い、中途半端で終わって晩節を汚したとはいえ、ビルマやインドネシアの独立の一助になったことは疑いようのない事実なのです。
ふと、私は思いました。
ひょっとすると、戦後陸軍関係者ばかりが死刑台の露と消えたのは、特務機関や中野学校の人材を抹殺するためだったのではないか?
こういうことを言い出すと、すぐヘーワでジンケンなサヨクの方々は、「軍隊礼賛だ」「歴史修正主義だ」などと言い出すのかもしれません。しかし、戦後の日本が情報力という点で、もう完全に他国に立ち後れてしまったことは、紛れもない事実です。なにしろ、今にいたって日本には諜報や防諜(外国の諜報活動を防ぐこと)のための部署が全く存在しないのです。だから、●この事例のような外国による産業スパイが横行してしまうわけです。
諜報活動というのは、映画の007みたいに派手で格好いいものなんかではありません。そのほとんどが、目立たない地道な活動です。そして、その中には情報収集だけでなく、前出のオン・サンのように、相手国の中で日本に協力してくれる現地協力者とのパイプ作りも含まれています。
中野学校の卒業生達は、そういう地味な役割をきちんとこなしていました。リアルに外国と向き合えば、そういう活動こそ一番重要だということが理解できるはずなのです。
ところが、今の平和ボケした軍人は、こういうことをやって平気でいるわけです。
「騒がれたから話題になった」 前空幕長参考人招致
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2008111190143659.html
「いささかも間違っていない」。11日午前、参院外交防衛委員会で行われた田母神俊雄・前航空幕僚長(60)の参考人質疑。公然と政府見解に反する懸賞論文を出して解任された前空幕長は、国会の場でも、熱く持論を展開した。東海地方の市民などからは「時代錯誤」などと批判が相次いだが、“身内”の自衛官からは擁護の声が目立ち、問題の根深さを浮き彫りにした。
(中略)
防衛省では、職員らが省内のテレビで参院外交防衛委員会の中継に見入った。
「隊員が一斉にアパグループの論文に応募したのはあなたの指示か」。浅尾慶一郎議員(民主)の問いに田母神前空幕長が「私が指示して九十何人ということはない。1千人は超える」と話すと、失笑が漏れた。
空幕の佐官は「政府見解通りの歴史認識を共有している。前空幕長の憲法認識には問題があるというのが公式見解」と言葉少な。「防衛政策をめぐる部内の議論はさまざま。だが、最後は憲法を尊重するのが当然だ」と慎重に話した。
「日本、弱腰ではダメ」田母神氏、基地友の会でも“過激発言”
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081111-OYT1T00418.htm?from=navr
田母神前空幕長とアパグループの元谷代表は、前空幕長が石川県小松市の空自小松基地に勤務して以来、親交を続け、同基地の支援組織の会合では「日本は弱腰ではダメだ」などという国防観や歴史観を語り合っていた。
「話が過激すぎて、我々でもついていけなかった」。支援組織のメンバーはそう振り返った。
同基地の支援組織「小松基地金沢友の会」が、石川県内の企業経営者など約200人によって設立されたのは、前空幕長が、第6航空団司令として同基地に着任してから1年3か月後の1999年10月。
友の会関係者によると、前空幕長は、小松市出身の元谷代表とアパグループの情報誌「アップルタウン」(1999年4月号)で対談。「日本の戦後教育には問題もある」などという話で意気投合した。
友の会の年1回の総会と会費制の宴会は金沢市内のアパホテルで開かれた。参加者の一人は宴会で、前空幕長と元谷代表が「日本は弱腰ではダメだ」「集団的自衛権を行使できないのを、何とかしないといけない」などと話しているのを聞き、「会話がどんどん過激になって、ついていけない」と感じたという。
別に、この田母神氏という人物が、どういう思想信条を持っていたかはこの際どうでもいい話です。別に軍国主義者だろうと地球市民だろうと、きちんと役目を果たせば構いません。
しかし、自らの「理想」を貫いて、政府の見解と全く違う考えを公にしてしまう無神経さや、自分が命令すれば自衛官達が次々と内規違反の論文を出すのだという思い上がった姿勢は、救いようがありません。外国に対して、ここを攻めて下さいと弱点をさらけ出しているようなものです。
彼や、彼を支持する人物というのは、何か重大な勘違いをしているのではないかと思っています。勇ましい言動や、正しい理屈を貫けば、必ず最後は報われるはずだと考えているのではないかということです。要するに、リアリズムが全く欠けているのです。外交や軍事戦略というのは、子供が嘘をついたり弱いものをいじめてはいけないと教育することとは訳が違うのです。
百歩譲って、「日本は悪くなかった。戦後の弱腰外交がたたって、今でも諸外国の干渉にあっている。これを何とかするためには、憲法を改正してきちんとした軍隊を持たなければならない」という主張をすることが正当だとしましょう。その理念を実行に移した途端、どういうことが起こるでしょうか。決まっています。世界中のあらゆる国が、陰に日向に日本を一斉に叩き始めます。間違いありません。
他の国々、たとえばアメリカなどは、絶対にそういうヘマはしません。たとえば、日本に対して、自国企業が進出しやすいように「カイカク」をやらせたいとします。そういう時、日本国内に必ずアメリカの言うことを正当化してくれるようなメディアや学者が出てきます。これは、別にアメリカが素晴らしい国だからではありません。そういう「現地協力者」を、普段からコツコツ育てているからです。
日本に欠けているのは、そういう地道な仕込みなのです。日本が再軍備を始めようとするとき、「日本は経済や文化で世界のリーダー的役割を果たすべきだ」と主張してくれる朝鮮人の学者がいるでしょうか?右に偏っている皆さんが親日国だと勝手に思っている台湾のメディアが、味方をしてくれるでしょうか?
現在の世界で、日本が一人前の国として振る舞うということは、「超」が10個くらい付くハンデ戦です。なぜなら、日本はさきの大戦の敗戦国であり、我々が戦後60年間その地位を覆すどころか、アメリカの属国であるという枠組みを卑屈にも利用して現在の地位を築いてきたからです。
そういうハンデを核武装だとか、憲法改正だとか、そういう一発逆転の手段で覆そうとする考えは非常に危険です。さきほども書きましたが、周辺国のみならず、世界中の国やメディアが袋だたきにしてくることになるのは目に見えているからです。
勉強や仕事でもそうだと思うのですが、そういう風に「借金」が積み重なってしまったときは、遠回りのように見えても、地道なことをコツコツやっていくことが大切です。
私が思うに、その第一歩は、周辺国に強力な現地協力者を作ることです。
そうはいっても、いきなりロシアのような人種が違う国に協力者を植え込もうとしても、うまくいかないに決まっています。また、韓国のように(KCIAや統一教会という間接統治者を通すことで)アメリカの軍門に下っている国に対してやっても、うまく行かないに決まっています。(余談だが、韓国=李承晩政権というのは、アメリカが日本と朝鮮半島を分断するために打ち込んだクサビだと考えられる。これについては、また機会を改めて述べる)
一番手を付けやすいのは、台湾でしょう。同じ人種である中国に対してあまり親近感を持っていないというのも、日本には有利です。日本にも在日台湾人はたくさんいるので、そこにアメとムチでパイプを形成し、現地にもいざというとき日本の味方になれるような人材を育成しておくわけです。
台湾人の協力者がいるメリットは、中国の情報を集めるときに、文化的な違いが少ないことです。日本でずっと育った華僑が中国に行けば、「こいつは日本のスパイではないか」と疑われる可能性がありますが、台湾経由ならそういう心配が少なくなります。極端な話、相手が摘発してきたときに「うちは関係ない。勝手に名前を出されて迷惑だ」と言えます。そのくらいずるいことが出来なければ、一人前の国になんかなるのは無理です。
意外かも知れませんが、北朝鮮も協力者を作りやすい国です。日本には、北朝鮮とつながりのある在日朝鮮人が多くいるからです。彼らを一概に敵視せず、かの国に政変などがあった場合、現地に入り込んで政府組織の一角を占められるような人物を育てるわけです。
北朝鮮を使うメリットは、中国にいる朝鮮族や、旧ソ連各国に散らばっている朝鮮系の人びとの中にパイプを作ることができる点です。日本海を挟んで向き合うロシアの沿海州にも朝鮮系ロシア人がたくさんいます。こういうところに、情報提供者やスパイがいれば、いざ何かあったときに便利です。
もちろん、こういう協力者の植え込みがすぐに日本のためになるわけではありません。しかし、周辺国の情報を集めるのには役に立ちます。
では、これをアメリカでやるならどうすべきでしょうか?
私なら、絶対にイスラム教徒のアメリカ人を狙います。●こちらの記事を見ていただくと分かるように、米軍の中にもイスラム教徒が結構います。彼らの多くは、永住権や国籍を取るために、仕方なく兵士になっている移民です。普段の生活からして差別を受けることが多いので、アメリカにいながら、アメリカに不満を持っているマイノリティ(少数集団)を形成しています。
アメリカという国は、移民が束になって圧力団体を作ると、票ほしさにすり寄ってくる議員が必ず出てくる国です。「従軍慰安婦決議」などという腹の立つ決議が議会でされたのも、アメリカに110万人いるという朝鮮系のロビーが動いていたからです。
また、●2007年の議会選挙でイスラム教徒の議員が誕生しています。
すぐには利いてこなくても、これからイスラム教徒は増えるでしょうから、今からコネクションを作っておくと、あとあと有力な現地協力者になってくれるのではないかと思います。
当たり前ですが、そういう地道な活動を担う人間の育成も大事です。そういう組織を表立って作れないところが、日本の一番の弱さなのかも知れません。まあ仕方がないでしょう。ハンデ戦なのですから、それを承知で戦うしかありません。
そういえば、以前、安倍晋三サンという使えない政治家が、日本版CIAを作ろうとか提唱していたらしいですが、ああいう人が頑張っているということは、できあがる組織は日の丸より星条旗が好きで、中に高価なツボを人に売るのが趣味だったり、合同結婚式でパートナーを見つけたりする人材ばかり集まってしまうかもしれません。
そういう意味では、自衛隊の中や外務省の片隅で目立たずこっそりやっていくしかないのかなと思います。
紙屑になるアメリカ国債を買う時に、政府関係者からそういう組織を作らせろと交渉してほしいものですね(笑)。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
【孫子の】 「毅然とした外交姿勢」以前にやるべきことがある 【兵法】
古代中国の思想家だった孫武という人物は、かの有名な著書『孫子』でこう述べています。
「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり」
どういうことなのか、他の国がやっていることを具体的に見てみましょう。
タイ:タクシン元首相、英国が入国拒否 ビザ取り消し
http://mainichi.jp/select/world/news/20081109ddm007030085000c.html
英政府は、タクシン・タイ元首相夫妻に発給した査証(ビザ)を取り消したと各航空会社に通知した。タイの空港当局者が8日明らかにした。元首相が先月、汚職防止法違反罪で実刑判決を受けたため、入国拒否を決めたとみられる。
06年9月のクーデターで政権を追われた元首相は英国を拠点に事実上の亡命生活を続けている。現在は中国に一時滞在しているとみられる。今後は中国などを生活拠点としながら、タイ政界に水面下から影響力を行使し続けていくとみられる。
タクシン首相は、●2006年のクーデターで失脚し、それ以降英国などで亡命生活を送っています。いまでも、相当数の支持者が国内にいるようです。
ところで、、上の引用記事を読んで、何かひっかかったところがありませんか?
たとえば、ここです。
>今後は中国などを生活拠点としながら、タイ政界に水面下から
>影響力を行使し続けていくとみられる
なんで中国が出てくるんだ?と思った方は、鋭いです。このタイ王国の元首相は、実はこういう人物です。
タクシン派8万人集結、タクシン元首相が国際電話
http://sankei.jp.msn.com/world/asia/081102/asi0811020016000-n1.htm
タイの親政府組織「反独裁民主連盟」(DAAD)の支持者約8万人が1日、首都バンコクの国立競技場で大規模集会を開き気勢を上げた。会場には、英国で亡命生活を続けるタクシン元首相から国際電話によるメッセージも寄せられた。
8月に事実上の亡命生活に入って以来、タクシン氏が国民向けに直接のメッセージを送ったのは初めて。同氏は「タイ国民のために帰国したいが、最高裁から国家汚職防止法違反で有罪判決を受けるなど、自分の周辺には問題が山積しており今はできない。当面、金融危機で揺れる中国の経済問題のアドバイザーとして過ごす。皆さんには新たなクーデターから国を守ってほしい」と述べた。
他にもいろいろ「裏情報」的なものはあるのでしょうが、これだけでもう十分ですね。そうです。タクシン元首相は、中国のエージェント(代理人)です。
なんで中国がこの地域にエージェントを仕込んでいるのかというと、短期・中期的には経済権益の拡大です。中国と、タイを含めた東南アジア諸国連合(ASEAN)は、●2005年にFTA(自由貿易協定)を締結しています。これを結べば、WTOを通さずに二者間交渉で無関税貿易が可能になりますから、産業競争力に差があると、強い方が弱い方を経済的に支配できる可能性が高まります。日本や欧米より、有利な立場に立てるわけです。
そして、長期的には、この地域を政治的・軍事的に支配するという狙いもあるでしょう。中国の最大の弱点は、日本同様、エネルギー資源を中東に依存していることです。そして、それをカバーするためには、中東までの海上輸送路(シーレーン)を独力で確保するしかありません。
そのために、もっとも重要なのは、太平洋とインド洋の間に位置する●マラッカ海峡です。その先端にあるシンガポールは、19世紀以降欧米が支配しており、いまだに金融資本がここを拠点に東南アジアを経済的にコントロールしています(同地は香港と並ぶ金融センターでもある。●こちらを参照)
今回イギリスが「中国の犬」をなぜ突然入国拒否にしたのか(イギリスの情報収集能力なら、その前から怪しい人物だと言うことは分かっていたはず)、私には分かりませんが、中国と何らかの駆け引きをしていて、一枚カードを切ったというところでしょうか。ひょっとすると、シンガポールや香港を巡る水面下での戦いが始まっているのかも知れません。
しかしまあ、●毒インゲンの事件といい、産経新聞は、本当に中国の側面支援が好きだなぁ、という気がします。サッカーW杯のサポーターを彷彿とさせる見栄えのいいトップの写真と、新たなクーデターを憂慮するセリフで、民主的なリーダー像をしっかり宣伝しています。
我が国の「保守」とか「右寄り」を売りものにしているメディアの、底の浅さや腐った魂胆がかいま見える・・・というのは考えすぎでしょうか?
さて、このタクシンという人物ですが、よく知られているように、中華系タイ人です(小平と同じ客家系)。
華人といわれる中国系の帰化人は、全世界に5000万人ほどいると言われています。大なり小なり、本国と結びつきを持って暮らしている人たちですから、中にはかなりの数の中国のエージェントがいるでしょう。日本にいる中国人だって例外ではないはずです。
中国は、そういう民族的な利点を生かして、各国の情報収集や、世論工作を行うことができます。そういう時に使える現地協力者を、●「第五列」とか「細胞」とか呼んでいます。そういう仕込みをやっておくと、直接戦う前から相手をコントロールできる可能性が高くなります。
翻って、我が国日本は本当にこの「細胞」や「第五列」の仕込みが下手です。
これは、多分に日本人の潔い性格から来ているということができます。上のような中国のやり方を見たら、「あいつら、きたねえなぁ」などと思うのが普通の日本人ではないでしょうか。
ヘーワ主義、ジンケン尊重のサヨクはいうに及ばず、愛国や保守を名乗る人びとの国際政治に対する認識も、非常にナイーブです。彼らは中国や朝鮮を過剰に敵視しますが、想定している場面は常に日本がやられる側です。「核武装しろ」とか「竹島を武力で奪還しろ」とかいった、過激な方策だったりします。中には、現地住民をドン引きさせるような「デモ」に名を借りた騒動を起こしている人たちもいますね(笑)。これらは全て、『孫子』からすれば、下策中の下策です。
これも、対外関係をリアリズムで考えられないという、日本人の悪いクセの現れなのかも知れませせん。それだけ平和に暮らしてきたということですが、世界中で日本企業が活動していて(筆者は別に肯定しているわけではないが、現実はそうなっている)、様々な国と関係が出来ている以上、いつまでも「人のいいおじさん」ではまずいわけです。
せめて、日本人が人種的ハンデ(白人の国で活動するのはまず無理)を抱えることなく活動できて、なおかつ我が国の防衛に欠かせないような国や地域で「細胞」や「第五列:」を作っておきたいところですが、日本人には、それすらも無理なのでしょう?
そんなことはありません。
実は、日本の歴史上、そういった「細胞」や「第五列」の育成のみならず、諜報活動において一定の成果を上げた例があるのです。次回は、その辺を紐解きながら、日本にとっての「善の善なる」安全保障のあり方について考えてみます。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
まだ麻生首相に期待している人たちへ(2)
麻生首相を支持されるという方の理由として、私が直に見たのは、こんなところです。
1.麻生首相は、何よりもまず景気対策が必要だと考えて、懸命に対応している
2.景気対策を早期に実現するためには、とりあえずの消費税増税容認はやむを得ない
3.どうせ麻生政権は来年9月で終わりなのだから、今容認したところで問題はない
4.麻生首相は現時点ではベストの指導者であり、民主党の小沢などに任せることはできない
5.麻生首相が年限としている3年以内に、日本経済を成長軌道に乗せてしまえばよい
一つ一つ検討してみましょう。
まず、1.ですが、行政の長が景気後退の危機に懸命に対応するのは当然です。これをもって支持する積極的な理由付けにはならないでしょう。前任者があまりにもひどい無能だったので、麻生内閣が仕事をしているように見えているだけなのではないかと思っています。
2.ですが、どうやら麻生氏は相当な策士であり、財政均衡に異常なまでにこだわる財務省を説得するためのリップサービスとして消費税増税を明言しただけだ、という推論があるようです。
しかし、かりにも一国の首相が、「3年後に増税する」と宣言したら、国民の間にどんな影響があるか分かっていない気がします。
社会保障、抑制を転換 消費税率上げ、15年度3.3―3.5%必要
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081105AT3S0402704112008.html
政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は4日の会合で、社会保障制度の拡充のために必要な財政試算を盛りこんだ最終報告を発表した。保険料方式の年金制度を維持する場合、2015年度時点では消費税率に換算して3.3―3.5%の追加財源が必要と指摘。25年度時点では6%にまで膨らむとした。消費税率引き上げを含む国民負担増に加え、社会保障費の抑制基調からの転換を鮮明にした。
試算は「年金」「医療・介護」「少子化対策」の3つの分野の費用推計の合計。報告では保険料方式とともに基礎年金の財源を税で賄う税方式の試算も併記し、必要な追加財源は15年度時点で消費税率換算で6―11%、25年度で9―13%になるとした。
我が国の首相が増税を明言したおかげで、どんどん外堀が埋まっているわけです。そして、それをマスコミがどんどん記事にする。国民は「ああ、消費税ってやっぱりアップするんだ:」と思うでしょう。そして、そのそもそもの原因は、3年後に増税だと口にしていた麻生太郎という政治家だとも。
ところで、前回の記事のコメントでも触れたのですが、「3年後」というのは、おそらく事務サイドから出てきた要望なのではないかとにらんでいます。なぜなら、中曽根政権が大型間接税導入を本格的に検討し始めたのが1986年であり、竹下内閣のもとで消費税が施行されたのは1989年、つまり、導入宣言から3年後だったのです。
税法は控除のルールだとか手続きだとか、国民にアナウンスする期間などを考えると、それほどすぐに上げたり下げたりはできません。消費税の税率は「消費税法」という法律で定められており、変えるためには国会の議決が必要です。政府が減税のときに特別控除(課税の基準になる所得額などを差し引くこと)をやりますが、あれは税法の施行令、つまり政令レベルでいじっているものであり、その気になれば閣議ですぐにでも変えることができます。
実際の例でも、消費税法自体は1988年、施行の1年前に成立しています。税金関係の法律を変えるのはそれほど大変だということです。だから、役人(財務官僚)の方もさっさと決めてくれと、麻生首相や自民党にせっついているのでしょう。
そして、先ほど挙げた引用記事のように、もはや決まったものとしてどんどん中身を決めていってしまうわけです。我が国が官僚主権国家だと揶揄されるのは、まさにこういう点だということができます。許認可がうるさい、規制が多いということではなく、政策の中身について選挙で選ばれた国会議員がほとんど関与していないということが問題なのです。
3.に関して言えば、だからといって無責任なことをやってもらっては困る、としか言えません。しかし、本当にそういうことを発言している「麻生信者」がいるのです。URLを引用するのは差し控えますが、麻生首相を支持できれば何でもいいのでしょうか。理解に苦しみます。
4.も、はっきり言って無意味な主張です。麻生首相が職を全うするための積極的な理由付けになっていません。どうも、最近の自民党支持者は、こういう人ばっかりという気がします。まあ、党の総裁の所信表明演説からして、民主党に質問ばかりしているのですから、支持者のレベルも推して知るべし、というところなのでしょう。
おそらく、今現在麻生首相を積極的に支持している人が一番の論拠としているのは5.でしょう。要するに、麻生氏に任せておけば、経済成長が始まって多少の増税など気にならなくなる、というわけです。もしくは、そこまで来れば税収もアップしているはずだから、消費税増税の議論はなりを潜めるだろう、という主張もあります。
消費税が5%アップするということは、ごく単純に考えると、売り上げが今まで5%少なくなるということです。そうだとすれば、今まで通りの利益を上げたければ、最低でも5%の売り上げアップを図るか、5%経費を切り詰めなければならないわけです。
しかも、ここには税率を上げたことによって低下するであろう消費性向(お金を気前よく使ってくれる度合い)が考慮されていません。それを考慮すれば、消費税を導入したことで経済成長に相当なブレーキがかかることは容易に想像ができます。
1998年の例を挙げるとわかりやすいでしょう。この年は、消費税の税率が2%上昇した翌年で、経済成長率があっけなくマイナスに転換しました。
また、今度●消費税を5%上げれば、GDPが約2%も低下するという試算もあります。
橋本政権は構造改革ばかり指向していたが、麻生内閣は内需拡大や景気対策にも目配りしているじゃないか、という反論もあるかもしれません。しかし、それは大した反論にはなりません。先回の消費税増税当時、さかんに言われていたのが、「行政カイカク」だったのですが、麻生首相も前回記事の引用部分でしっかり、
>大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい
と、行政カイカクについて言及しています。要するに、やろうとしていることは当時の橋本龍太郎首相と大差がないわけです。公務員を減らせばその分購買力が低下します。公共事業でも同じことが起きます。要するに、カイカクをやりながら経済成長、などというのは、ブレーキを踏みながらアクセルをふかしているのと同じなのです。
消費税率アップまでに、今よりもはるかに名目GDPが成長していれば話は別です。しかし、橋本政権下の1990年代後半と今とで、どちらの方が国民の購買力があるのか、少し考えれば分かるというものです。ちなみに、経済成長率が久々にマイナスになった1998年から、9年間一貫して日本人の平均給与は下がり続けました。昨年は、久々に上昇したと思ったら、年収200万円を切る勤労者が1000万人を超えてしまいました。
それを、再び1990年代後半の値まで引き上げるのが無理だということは、さすがに麻生内閣もわかっているようで、こういう話を持ち出してきました。
成長率2%が前提 消費税上げで首相方針
http://www.chunichi.co.jp/article/politics/news/CK2008110102000052.html
麻生太郎首相は31日、消費税率を引き上げる場合、名目で2%程度の経済成長を前提条件とする方針を固めた。消費税率引き上げを含む税制改革中期プログラムを年末に策定する際などに、こうした考えを明らかにする。
首相は、追加経済対策を発表した30日の記者会見で「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と表明。31日には、景気回復の目安について「国内総生産(GDP)の伸びだ」と記者団に説明した。「名目成長率2%」は、景気回復の中身を具体的に示すものだ。
中期プログラムには、消費税率引き上げの前提条件として成長率は明記せず「経済状況を勘案」などとの表現にとどめる見通し。首相がこれを補う形で、会見などで「名目成長率2%」という具体的な目標を示すことで、増税への国民の理解を促す狙いだ。
内閣府が9月に発表した4-6月期のGDP改定値は、景気減速の影響で、名目で前期(1-3月期)比0・8%減、年率換算で3・3%減。しかし、与謝野馨経済財政担当相は30日の記者会見で「日本の潜在成長率は2%がコンセンサスだ」と述べており、首相もこの数字を念頭に置いたとみられる。
名目GDPがたった2%増大しただけで、消費税率を5%上げようという、この能天気な思考にはすがすがしさすら感じます。
今のしょぼすぎる景気対策では、その2%すら達成できないでしょう。おそらく、多くの麻生首相支持者のいうように、麻生内閣は今後追加的な経済対策を打たざるを得ません。
しかし、もうここではっきり言っておきますが、いくらそんなことをやっても無駄です。今の自民党には、日本経済の劣勢を押し返す力などかけらも残っていません。
理由は簡単です。いまだに麻生首相や閣僚の口から、以下のような状況を是正すべきだという声が全く聞こえてこないからです。
派遣労働者:製造業の7割が「消極的理由で」NPO調査
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081102k0000m040083000c.html
製造業で働く派遣労働者の70%以上が「正社員になれなかった」などの消極的理由で派遣を選んでいることが、製造業で働く非正規労働者で作るNPO法人「ガテン系連帯」(東京都)の調査で分かった。
7~9月、東京や京都など11都府県にある自動車、電機、食品などの製造工場などで派遣労働者243人から聞き取った。
その結果、全体の71%、173人が「正社員になれなかった」「地元で職がなかった」など消極的理由で選んだと回答。「さまざまな仕事ができる」「好きな時に働ける」といった理由で積極的に選んだ人は23%にとどまった。
また、派遣労働者として働くことについて、全体の75%、182人が「いつ解雇されるか分からない」「将来の見通しが立たない」などと不安を抱いていた。
こういう非正規雇用が、現在の日本の勤労者の3分の1を占めています。しかも、その裏には270万人もの完全失業者がいます。調査期間中に1日でも働いていたアルバイトやパートの人を就業者としてカウントしてもこれです。
本来、景気対策というのは、こういうお金のない人たちに仕事を与え、賃金を引き上げて消費を促すものであるべきです。しかし、麻生内閣がやると決めたのは、四人家族で6万円程度の「生活支援金」の支給だけです(おそらく、これすら手続きが煩雑で、受け取らない人がたくさん出てくる)。雇用を作り出したり、労働者の待遇を改善したりするという動きは全くしていません。
たとえば、現行の●労働者派遣法では、派遣先から払われたお金から派遣会社が手数料として差し引いた金額(いわゆるマージン)の開示が義務化されていません。この派遣会社のマージン開示を罰則付きで義務化し、ピンハネ率を法定すれば、不安定な派遣労働でもまともな賃金が支払われる可能性が高くなります。
そんなことをしたら派遣会社の利益が少なくなるじゃないか、と思うかもしれませんが、それでいいのです。派遣会社の利益が上がっても、役員報酬や株主配当が大きくなるだけですが、派遣労働者の賃金が上がれば、上がった分は今までより多く消費に使われるようになります。それだけでかなりの経済効果が見込めるわけです。しかも、1回払えば終わりの6万円とは違い、継続的に消費が見込めます。これ以上ない景気対策です。
個人消費が上向く上に、派遣が割に合わなくなるとなると、正規雇用が増えます。そうすれば、福利厚生がついてきますから、経済効果はもっと大きくなります。
逆に、そういう構造を温存したまま景気対策を打っても、結局企業の内部留保が増えるだけで、借入金の返済や株主配当に回されて終わりでしょう。そういうところに課税するという話も聞いていません。結局、お金が社会で循環しない仕組みはそのままです。
本来なら、そのような仕組みを解消することが、経済政策の最優先課題だと思うのです。
しかし、保証しても構いませんが、自民党にそんな政策は、絶対に、天地がひっくり返ってもやれません。
なぜなら、自民党は賃金をデフレにすることを至上命題にされている政党だからです。彼らの飼い主であるグローバリスト(輸出依存企業、商社、新興勝ち組企業、外資金融など)がそれを望んできたのです。日本人を「国際競争力」という実態のあやふやなで煽りまくって低賃金で高い付加価値を生産し(輸出依存企業)、低所得層に輸入したチュウゴク製、チュウゴク産の商品を売りまくり(商社)、新しい業種なのをいいことに経営者が完全優位の労使慣行を導入し(新興勝ち組企業、たとえばライブドアやグッドウィル)、デフレで安くなった株や土地といった優良資産を買いたたく(外資金融)ことが、彼らの至上命題だったわけです。
だからこそ、小泉政権以降、自民・公明政権は構造改革という名目で地方の公共事業を減らし、派遣法の規制を緩和し、年金や公的医療といったセーフティーネットを破壊してきました。そればかりか、日本育英会を廃止して国立大学の授業料を引き上げ、公教育の予算削減など、格差を固定化する試みも実行してきています。
麻生首相も、中川財務大臣も、ずっとその中にいて、中国や北朝鮮相手に形だけ威勢のいいことを吹聴して人気を博してきた人々です。いわば共犯なのです。そういう人たちに「自分たちの罪を認めろ」というのも、なかなかどうして難しいものがあります。
それ以前に、今の自民党で一番大きい勢力は、カイカクだのキセーカンワだのさんざん煽ってきた「町村派」と「小泉チルドレン」なのです。2005年の郵政選挙以来、今でもその顔ぶれが全く変わっていません。その状況で、総裁選だけを繰り返しても、まともな人材が選ばれるわけがありません。そういう人材は、さんざん侮辱されたあげく、国民新党に所属していたり、無所属で活動していたりするわけです。
そういう政党にずっと所属して、「日本で1万6千円の米を上海で売ると7万円になる」などというデマを飛ばしたりしながら活動してきて、総裁として選ばれた人物が、本当の意味の景気対策などやれるわけがないのです。
こういうことはあまり書きたくないのですが、">積極財政を謳う人びとも、ネット右翼や自称保守における安倍晋三氏と同様、麻生氏を「救世主」や「アイドル」として過剰に評価していやしないでしょうか?
本当に日本の経済を立て直したいなら、積極財政をやるだけでなく、中曽根政権からずっと行われてきた構造改革を一つ一つ修正していく他はありません。構造改革の「成果」を放置したままでは、絶対に国民の購買力は上がらないのです。硬く踏みしめられた土壌にいくら水や肥料を撒いても、植物は育たないのと同じです。
仮に「時限的な」(首相自ら、そう明言している)景気対策があっても、ただ、それだけです。おためごかしにGDPをアップさせておしまい。そして、3年後には「デフレ地獄再び」が待っています。
それを分かっていても、あえて不都合な現実から全て目をそらし、自民党と麻生首相を支持し続けるというのでしょうか?
老婆心ながら、3年も経たないうちに「こんなはずでは」と後悔することになりますよ・・・と申し上げて、今回の記事は終わりにいたします。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
当ブログは「自エンド」(自民党壊滅キャンペーン)を提唱中です



まだ麻生首相に期待している人たちへ(1)
麻生首相、3年後に消費税増税 解散は当面先送りの意向
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/081030/plc0810302101022-n1.htm
麻生太郎首相は30日、総事業規模26兆9000億円の追加経済対策を政府・与党が決定したのを受けて首相官邸で記者会見し、財政健全化に向け3年後に消費税率を引き上げる意向を表明した。首相が消費税率引き上げの時期を明言したのは初めて。追加経済対策の一部を反映させた第2次補正予算案の今臨時国会への提出は「通るか通らないか、国会の対応を見る」と明言を避けた。衆院解散・総選挙の時期は「政局より政策、景気対策という世論が圧倒的に多い」と、当面先送りする意向を示した。
また、早期の衆院解散を求めていた公明党との関係に触れ、「太田昭宏代表とは十分意思疎通が図れている。(解散を先送りしたことで)連立関係がおかしくなることはない」と強調した。記者会見に先立ち、首相は太田氏と会談した。
首相は記者会見の冒頭、現在の経済情勢について「100年に1度の暴風雨が荒れている。何より大事なことは生活者の暮らしの不安を取り除くことだと確信する」と訴え、今後は(1)景気対策(2)財政再建(3)改革による経済成長-の順で取り組む決意を示した。
追加経済対策に関しては「スピード、これまでにない大胆なもの、重点を絞りばらまきにしない、赤字国債を出さない」をポイントに挙げた。とくに、経済対策の裏付けとなる財源については「安易に将来世代にツケをまわさない」と述べ、財政投融資特別会計の準備金などを充てる考えを示した。
消費税に関しては「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と述べた。
追加経済対策に伴う国の財政支出は総額5兆円。総額2兆円規模の定額給付金を全世帯に支給することや、地方の高速道路料金を土・日曜や休日は原則1000円で走り放題にすることなどが柱となっている。
「3年後に増税します」と、現役の首相が宣言しました。この意味は非常に重いです。
その後、「景気が回復したら」と、首相の口から多少のトーンダウンがあったとか、与党内からもたしなめる声が出ているとか、そういうことは問題ではありません。もう、すでに「彼ら」は増税に向けて動き始めています。
社会保障拡充へ消費増税 年金、保険料方式で3.3%
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081102AT3S3102631102008.html
政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は31日の経済財政諮問会議で、いまの社会保障制度を拡充したときに将来必要となる財政負担を公表した。保険料方式の年金制度を維持する場合、2015年度時点では消費税に換算して最低3.3%分の追加財源が必要だと指摘。基礎年金をすべて税金で賄う方式に変更すれば、最高11%分の追加財源を手当てしなければならないと試算した。
追加財源をすべて消費税で賄うと、現在5%の税率を8%超―16%に引き上げる計算になる。麻生太郎首相は3年後の消費税率引き上げを表明しており、諮問会議もこれをたたき台に具体的な検討に入る。
追加財源の試算は国と地方の合計。国民会議が10月までに示した「医療・介護」「年金」「少子化対策」の3分野の費用推計をいくつかの場合に分けて計算した。基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げるための財源も含んでいる。
数々の「小泉カイカク」や、それに続く清和会(町村派)の首相たちのやってきたことは、全て引用記事中の「経済財政諮問会議」の方針の具体化に過ぎません。
麻生首相も、同会議でこのように言っています。
経済財政諮問会議・第23回会議(平成20年10月17日)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/1017/report.html
与謝野馨です。本日、麻生内閣で第1回目の経済財政諮問会議が開催されました。
第一の議題は、現下の金融経済情勢への対応ということで、昨日の総理の御指示について御説明を私から申し上げ、民間議員、閣僚から、それぞれ意見の表明がありました。これに対しまして、総理からは次のような御発言がありました。
自分の指示の中の「中期プログラム」であるけれども、社会保障等を考えると、国民も将来の負担増については、だんだん理解が進んでいると思う。ゆくゆくは、そういう日が来るということを考えておられると思っている。そのための道筋を考えていかなければならない。責任政党として、きちんとやるべきことだ。責任政党というより、責任ある政治として、きちんとやるべきことだ。中福祉・中負担が国民のコンセンサスであると考えている。
第二の議題は、社会保障・税財政一体改革の道筋でありますが、まず吉川議員から御説明がありました。
私から、今後、中福祉・中負担の持続可能な社会保障制度の道筋や安定財源のあり方など、具体的な議論を進めるということで取りまとめを行いました。
総理からは、次の御発言がありました。
自分が自民党の政調会長をやっているとき、党でアンケート調査をやったことがある。8年前であるけれども、安心な社会保障制度の構築のためには、やはり負担を増やすべきであるという答えが多かったので、実は驚いた。社会保障については、制度、財源ともに長期的にきちんとしたものをつくる。したがって、諮問会議では建設的な議論をぜひお願いしたい。
麻生首相の消費税増税宣言は、財務省に対するリップサービスに過ぎないだとか、3年以内にどんどん消費しろという意味だとか、すさまじく意味不明なこじつけをしている人もいるようですが、彼の考えはは増税ありきなのです。国民に向かって増税を明言する前に、諮問会議で本音をもらしていたり、経済財政担当大臣に増税推進派の与謝野馨を入れていたりすることから、合理的に推認が可能です。
少なくとも、「麻生さんは財務省をペテンにかけてでも積極財政に舵を切るつもりだ」などという妄想よりは、私の考えの方がよほど根拠があります。
さて、そういった妄想をばらまいている「麻生信者」の方々が期待する景気対策ですが、「相変わらずせこくてしょぼくてどうしようもない」と言いたくなる代物でしかありません。
■追加経済対策の概要
1.生活者対策
・定額減税など(給付金方式)2兆円
・第2子から年間3.6万円の「子育て応援特別手当」
・雇用保険料の大幅引き下げ、年約2万円還元
・年長フリーターの正規雇用奨励
・過去最大級の住宅ローン減税
2.中小企業の活力向上、金融対策
・緊急信用保証を6兆円から20兆円に、政府系金融緊急融資を3兆円から10兆円に拡大
・新エネ、省エネ投資の即時全額償却
・中小企業法人税引き下げ
3.地方
・高速道路料金の大幅引き下げ
・道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方に
4.財源・財政の中期プログラム
・財源は、赤字国債なし、特別会計積立金など活用
・3年以内の景気回復中に減税などを時限的に実施
・経済状況好転後、消費税を含む税制抜本改革を速やかに実施
概括的に「どうしようもない」と切って捨てるのも何なので、色を変えたところについて注釈しておきます。
>年長フリーターの正規雇用奨励
安倍内閣も「再チャレンジ」などと称して似たようなことをやっていましたが、成果といえるようなものは全く挙がっていません
だいたいこういう施策は、「年長」かどうかの基準を巡って役人があれこれ口を挟んできたり(結局実現しない)、「奨励」というのは、わずかな奨励金の支給だったり、雇用した企業に対する寄付金の免税(安倍内閣が実施したが、利用実績ほぼゼロ)だったりで、全く効果がなかったりするわけです。
まあ、しょぼい制度でも、役人の仕事は増えますし、その認定のために財団法人を作ったりすれば天下り先の確保になったりしますから、霞ヶ関は歓迎するのでしょう。そして、受益者はそういう制度があったことすら知らない・・・小泉内閣以降、いつもいつも繰り返されてきた「支援策」です。
>過去最大級の住宅ローン減税
要するに、不動産業界へのてこ入れです。
しかし、大した効果はないでしょう。そもそも住宅ローンの審査が通るほどの購買力のある世帯が減少しているからです。
場所にもよりますが、東京の近郊で永住型の3LDKマンションに済むとなれば、最低でも3000万円程度のローンを組まなければなりません。しかも、諸費用や頭金で2割程度要るわけです。このお金をしっかり用意できるような世帯なら、そもそも減税などしなくてもマンションや一戸建てを買えるでしょう。つまり、消費動向はたいして変わらないわけです。
どうせなら、頭金を政府が無利子で貸し付けるとか、保証料を住宅支援機構が超低利子で貸すとか、そういうことをしなければ、今までマンションや家を買えなかった層が買うようにはならないでしょう。
>法人税引き下げ
中小企業支援などと銘打っていますが、いずれ大企業にも減税するための布石でしかありません。だいいち、減税しても、銀行がおそろしく慎重になっているこのご時世では、借入金の返済に回る方が多くなるわけで、たいした意味はありません。
>時限的に
景気が回復しようがしまいが、3年経ったら打ち止めだという意味です。財務省や与謝野が強硬に主張しているのでしょう。それを突っぱねるだけの力は、麻生首相にはないということです。
>経済状況好転後、消費税を含む税制抜本改革を速やかに実施
経済の「好転」というのが何を意味するのか分かりません。GDP(しかも、デフレ下では上昇しやすい●実質GDP)が0.1%でも「好転」と解釈できるわけです。取引の規模が大きくなったことが明確にわかる名目GDPによる目標値を掲げていない以上、何とでも受け取れます。
しかも、こういう時だけ「速やかに」です。増税したくてたまらないという、麻生内閣の本音が見て取れるというものです。
この話は長くなりそうなので、次回に続きます。
★人気blogランキングへ←クリックして応援よろしくお願いします。
当ブログは「自エンド」(自民党壊滅キャンペーン)を提唱中です


