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2008.10.29(Wed)

【落日の】 性懲りもなく同じ過ちを繰り返すアメリカ 【超大国】 

  最初に断っておきますが、、このブログは「反米」ありきの反戦サヨクヘーワ主義ブログではありません(笑)。安心してご覧下さい。

シリア:米当局者、越境攻撃「成功」 イランやロシアは非難
http://mainichi.jp/select/world/news/20081028dde007030069000c.html

 イラク国境に近いシリア領内への米軍による越境攻撃問題で、米当局者は27日、ロイター通信に、イラクへの外国人武装勢力密入国ネットワークを狙った攻撃で「作戦は成功した」と述べた。米国は公式には越境攻撃について沈黙しているが、アフガニスタンからパキスタンへの越境攻撃と同様に、対テロ戦争の遂行をためらわない強い姿勢を示そうとした可能性が高い。

 米当局者がロイター通信に語ったところでは、外国人武装勢力をイラクに送り込んできた「アブ・ガディヤ」という男が死亡したとみられている。この男は「イラクの聖戦アルカイダ組織」の元指導者ザルカウィ容疑者(06年6月死亡)の腹心でシリア・イラク国境の越境ルートに通じていたとされる。

 米軍特殊部隊による作戦だったとする報道の他、CIA(米中央情報局)の関与を示唆する当局者もおり、情報は交錯している。

 シリアのムアレム外相は同日、記者会見し、殺害されたのは「丸腰のシリア民間人」と強調、「民間人の殺害は国際法では侵略テロだ」と糾弾。シリアと関係の深いイランやロシアも同日、米国の主権侵害を非難した。

 米国が対シリア強硬姿勢を維持しているのに対し、欧州・シリア関係は、今年7月以降、雪解けが進んでいる。ムアレム外相は27日のロイター通信とのインタビューで、「米政権内の一部は中東の同盟国に『米国の対シリア政策は変わらない』とのメッセージを送りたいのではないか」との見方を示した。

 シリア国内にはブッシュ政権の対シリア強硬姿勢への反発が渦巻いている。同国のマクダッド外務次官は今月中旬、毎日新聞に対し、「米国は(この8年間)何度も間違いを犯し、米国自身のマイナスイメージを増幅してきた。次期政権はその回復に真剣に取り組んでほしい」と話している。


  イラクを5年前に制圧したアメリカが、今度は隣国のシリアに大して攻撃を仕掛けているようです。
  地図を確認しておきましょう。

中東

  イラク(Iraq)とシリア(Syria)の国境線に注目してください。この二カ国の間には、山地や河川、湖沼といった自然の国境線がありません。簡単に行ったり来たりすることができます。
  イラク国内の治安の悪化は目を覆うばかりのものがあり、派遣されているアメリカおよびその同盟国軍の死者は4100名を超えています。外国人の誘拐事件や、爆弾テロも後を絶ちません。そういう治安悪化の原因とされているのが、外国から越境してイラクに入り込む武装組織だと言われており、アメリカはその「供給地」であるシリアを攻撃して武装組織の流入を防ごうという手に出たようです。

  この出来事が示すのは、アメリカが「大日本帝国陸軍」と化してしまったということです。
  昭和初期の日本は、世界恐慌(1929年)の影響による大不況に見舞われましたが、それを対外進出で解決しようと、帰属先が曖昧だった満州(現在の中国東北部)への進出を企てます。日本は日露戦争の結果、満州の南端であるリャオトン半島に権益を保持していた(いわゆる南満州鉄道)ので、そこを足がかりに「満州事変」(1931)を経て自らのコントロール下にある満州国を樹立しました。
  それによって、日本は確かに鉱産資源や重工業用地を手に入れることができたのですが、同時に北側のソ連、南側の中国国民党をも敵に回してしまいました。そこから「日中戦争」に及び、中国権益を狙っていた米英との対立が深まって、最後には「大東亜戦争(太平洋戦争)」までやることになります。
  こういう現象がどうして起こるかというと、●以前の記事でもお話ししたとおり、満州は東アジアの中で戦略上もっとも有利かつ重要な「ハートランド」という土地に当たります。ここを取ると、確かにいろんな意味で有利にはなるのですが、隣接する勢力を全て敵に回すことになります。
  それでもハートランドを保持しようとすると、日本陸軍よろしく、隣接する勢力を先制攻撃するしかなくなるわけです。
  イラクは中東における満州であり、世界で最も重要なハートランドです。イラクを石油資源も豊富であり、かつてのシルクロード(イラン~トルコ)や紅海・スエズ運河やペルシア湾といった交通の要衝を全て押さえることが可能なのです。
  現在のアメリカは、ハートランドであるイラクを手中に収めたものの、周辺諸国からの武装勢力の流入を招き、治安が悪化するというドツボにはまっています。そして、ついに隣国のシリアにまで「侵略」を進めました。まさに、大日本帝国陸軍の破滅ロードを忠実になぞっています。

  さて、アメリカの戦略というのは、その前に世界の覇者だったイギリスのものを受け継ぎ、伝統的には「シーパワー戦略」です。つまり、海上貿易路の支配に全力を注ぎ、陸地の支配は最低限にとどめるというものです。 
  なぜなら、その方が圧倒的に「楽」だからです。海の上の戦争は●ランチェスターの法則が忠実に反映されるため、一度海軍力でトップになれば、一元的に世界の海を管理することが出来ます。大日本帝国海軍がアメリカに挑んでやられたのも、「ワシントン条約」で戦艦の保有数をアメリカの2分の1に抑えられてしまっていたので、ある意味当然でした。
  もっとも、戦艦とは全くパラダイムの異なる空母と潜水艦という先端技術を旨く使えば勝てたのかもしれませんが・・・。
  ともあれ、戦後のアメリカは世界一の海軍力を背景にして、海上貿易路と、それを支える沿岸地域(リムランドという。代表的なのは日本)の防衛に全力を集中することで、ライバルのソ連に対抗していました。というより、ソ連に獰猛で野蛮な(笑)ランドパワーの管理を丸投げして、ブレトン・ウッズ体制(●こちらの記事を参照)のもと、我が世の春を謳歌していたわけです。
  湾岸戦争(1991)の際のクウェート制圧+イラクは空爆のみという方針は、リムランド(クウェートはペルシア湾の出口に当たる)だけを支配して、陸地は軽視もしくは無視するというアメリカの伝統的な戦略をそのままなぞったものでした。

  それが決定的に歪んだ原因は、引用記事のここに答えが隠されています。

>「米政権内の一部は中東の同盟国に『米国の対シリア政策は変わらない』
>とのメッセージを送りたいのではないか」


  中東におけるアメリカの同盟国とは、どこでしょうか?

  はい、そうですね。イスラエルのことです。

  アメリカ国内には、イスラエル・ロビーとも言うべき強力なロビイスト集団がおり、たとえば政治家がアラブ系の団体の集会に出ると、「おまえはイスラエルを軽視するとんでもないやつだ」「全米のユダヤ人を敵に回して良いのか」などと脅迫してきたりします。
  少し誇張されている面はありますが、こちらをご覧下さい。

米アカデミズムが警告した「イスラエル・ロビーの脅威」
http://www.news.janjan.jp/column/0603/0603271488/1.php

 共に国際政治学の分野で名声を確立しているハーバード大学ケネディスクールのステファン・ワルト(引用者注:発音は「ウォルト」の方が近い9教授と、シガゴ大学のジョン・マーシマー(引用者注:発音は「ミアシャイマー」の方が正しいと思われる)教授がこのほど、以上のような批判を投げかけた『イスラエル・ロビーと米国外交政策』と題した長文の論文を発表した。(“The Israel Lobby”)
  
 もともとこの論文は2002年の暮れ、「米国の有力な雑誌の一つ」に委託されたものだが、書き上げたら「編集者から国内で発表するのはほとんど不可能だ」と言われたという。なぜなら「こうした記事が発表されたら、ありとあらゆる問題が引き起こされる」のみならず、「反ユダヤ主義」の烙印を押されるためらしい。(“Professor Says American Publisher Turned Him Down”)

 今回も掲載されたのが英国の高級誌『London Review of Books』で、米国では全文はインターネットでしか読めない。それほど米国では日本人の多くが信じ込まされている「自由の国」のイメージに反し、イスラエル及びその意を受けたイスラエル・ロビーを議会や大手メディアといった公の場で正面切って批判するのは極めて困難である。

 論文はマーシマー教授が認めているように、「本や新聞の引用」で構成され、オリジナルな情報は皆無だ。つまり本来誰でも事実を知ることはできるが、圧倒的大多数の人々が最大の情報源としているテレビやラジオには登場せず、議会でも論議はないため、何もイスラエルについて知るべき情報が伝わらない構造になっている。そのためこの論文の意義は、内容以上に、高名な学者が異例にもタブーを破ったという点にあるかもしれない。

 主な内容は、以下の4点に要約されよう。

(1)イスラエルが占領地拡張やパレスチナ人の人権侵害をいくら欲しいままにし、国連の場で問題になっても、イスラエル・ロビーに属する「ホワイト・ハウスと議会が完全にイスラエル・ロビーに牛耳られているため、イスラエルが「あらゆる批判から免除されている」。

(2)イラク戦争の決定も、「イスラエルとイスラエル・ロビーの圧力が「唯一の原因」ではないにせよ「決定的」であった。特に「イスラエル与党のリクードと関係を有する」「ネオコンと呼ばれるブッシュ政権内の極右グループ」の貢献が大きい。同じパターンは、次に武力行使されるおそれがあるイランとシリアについても見られる。

(3)米国はイスラエルに他国を圧する援助をしているが、イスラエルは「忠実な同盟国として行動していない」。イスラエル・ロビーを介した米国内の諜報活動事件や提供した軍事技術の第三国への流出を引き起こし、そもそもその「国家と市民権が血族関係を基盤にしている」事実は「米国の価値の核心と相容れない」。

(4)イスラエル支持は「反米テロリズム」を激化させ「対テロ戦争への勝利をより困難にしている」。なぜならイスラム原理主義は「エルサレムのイスラエル占拠とパレスチナ人の苦境から行動に駆り立てられたのは疑問の余地がない」からだ。


  このようなイスラエル・ロビーの声を忠実に政策に反映するべく送り込まれたのが、もともと民主党リベラルだった転向右翼「ネオコン」だったというわけです。
  例の9・11というやつも、こういう連中からしてみたら、国民の混乱に乗じてアメリカをイスラエル防衛のための道具にすることができるという点で、非常にありがたかったでしょう。別に、ネオコンやイスラエルが同時多発テロを仕掛けた、などと断定するつもりはありませんが・・・。

  大国というのは、恐怖政治だけでは成り立ちません。怖れられながらも、恩恵を与えるというカリスマ的支配がその本質だったはずです。
  ●こちらの記事●こちらの記事などで繰り返し述べていますが、アメリカは1971年以降世界戦略を「対ソ連同盟国の大同団結」から「金融による世界支配」へと大幅に変更しています。9・11以降、その方針には歯止めが利かなくなり、「テロとの戦争」を名目にしたアメリカの軍事的拡張とともに、世界中の国民経済を食い荒らす結果になっています。世界中でアメリカに対する怨嗟の声が高まっており、もはや味方になっているのは親米バカ政党と隷属メディアが尻尾を振っている日本や、八方美人外交の韓国だけになってきているという状況です(イギリスは同盟国の振りをして中東情勢をかき乱している可能性がある)。
  この状況でイスラエル防衛という目的がミエミエの対外戦争を拡大したところで、友好国からの支持など得られるはずがありません。アメリカは、今こそ伝統的なシーパワー戦略に立ち戻り、製造業を復活させて金融や軍事に流れていた雇用を吸収させるように努力すべきです。
  もっとも、そのためには日本が北米の外需依存をやめて、中国とアメリカが国際貿易の上で距離を置く必要があるのですが・・・なかなか難しそうですね。
  大統領も替わる時期なので、せめて、軍事戦略くらいは修正してもらいたいものです。

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