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2008.10.03(Fri)

「世界の声」にご用心 

  ネットの世界で言われることに、「日本のマスメディアの発信する情報は著しく偏っている」というものがあります。
  おそらく、そういうことを口にする(書き込む)人というのは、「本来、メディアやジャーナリズムというのは不偏不党であり、知り得た事実をあまねく世界中の人びとに提供すべきものだ」という前提があるのかも知れません。つまり、メディアやジャーナリズムは、公益性があると理解しているわけです。
  しかし、以前の私もそうだったのですが、そういう理想論の背景には、日本のマスコミは腐っているが、海外のマスコミはそうではない、本来あるべきジャーナリズムを追求しているはずだ、という臆断が潜んではいないでしょうか。
  海外のジャーナリズムが、どういうことをしているのか、具体的に検証してみます。もっとも、私はジャーナリストに知り合いなどいませんし、英語の能力がそれほど高いわけでもありません。ネット上に転がっている情報だけでなんとかやってみます。

  具体例として、今週号の●「ニューズウィーク」日本語版という雑誌を見てみましょう。「ニューズウィーク」という雑誌は全世界で発行されているのですが、日本にもオフィスがあって、日本語の記事も提供しています。
  まず、今回目に付く記事は、これです。  

「CDS」--ウォール街を破滅させた怪物
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20081001-00000000-newsweek-int

  詳しい内容は、この文章を取り上げた●「或る浪人の手記」様のブログ記事をご覧頂くとよいのですが、私なりにまとめておくと、「巨額の投資をする際には自己資本(返済余力みたいなもの)を積み立てる必要がありった。しかし、JPモルガンの社員が考えたCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)というデリバティブ商品によって、リスクの負担を保険会社に押しつけることが出来て、安心して投資ができるようになった。巨大な利益が生まれる一方で、投資に際限がなくなり、昨今の金融危機で総崩れになった」という話です。
  金融機関のモラル・ハザードを招いた元凶が、CDSという仕掛けだった・・・こういう、一般人にはなかなか分からない仕掛けを白日の下にさらすのが、ジャーナリズムの役目であり、ニューズウィークは今回の記事で見事にその役目を果たした・・・そういうことも言えそうです。

  しかし、それだけでは、この雑誌が「本当にやりたいこと」は見えてきません。

  ●今週号の「ニューズウィーク日本語版」の中吊り広告を見てみましょう。著作権のことで絡まれると嫌なので、ご面倒でしょうが●のついたハイパーリンクをクリックなさってください。
  記事の見出しが、目に飛び込んでくるように上手にレイアウトされています。その中に、こんなものがありました。赤と白を基調にした中吊り広告の中で、唯一青色になっているその見出しには、

  「世界が呆れる麻生バラマキ内閣の今さら度」

  このフレーズから推測するに、新しく就任した麻生太郎首相が公言している1.8兆円の景気対策(補正予算を組んで行う予定)は、「バラマキ」という有害無益なもので、今更やってもしょうがないものだ・・・という記事なのでしょう。

  「おいおい、そんなこと言わないで、ちゃんと記事を読めよ」とお思いのあなた。

  何か、勘違いしていませんか。そんな必要は全くありません。
  なぜなら、ニューズウィークの意図は、景気対策はバラマキであり、やるべきではないというメッセージを日本人に伝えることであり、記事の中身などどうでもいいからです。

  「いや、そんなことはないだろう、さっき紹介したCDSの実態のように、きちんとした記事を書いている雑誌が言うことなのだ。何か根拠があるに違いない!」と憤慨されているあなた。

  そうです。あなたのような人のものの考え方をコントロールするために、ニューズウィークはこういう見出しを中吊り広告に載せているのです。
  ニュースウィークの見出しを見て、麻生首相に否定的な印象を持った方、なぜそうなったか言い当ててみましょう。ずばり、「世界が呆れる」という言葉が使われているからです。
  何か、我々日本人は一事が万事こういう反応をします。世界の人びとが日本政府に呆れている、という風に言われたら、その呆れている論拠が正当なものであるかどうか考えもせずに、悪いことだ、いけないことだ、という判断をしてしまう人があまりにも多いのです。
  なぜそういう風になるかというと、我々は子供の時からずっとそういう風に教育されているからです。日本は戦前に、世界から孤立して戦争に突き進んでしまった。平和な世界、平和な日本を実現するためには、世界の国々と協調していかなければいけない・・・ガッコーの社会の教科書を開けてみると、前書きに必ずそういうメッセージが出ています。何より、日本国憲法は前文で「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」することを謳っています。
  さらに、それだけでは飽きたらずに、98条2項でも「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守(じゅんしゅ)することを必要とする」と言っており、憲法の教科書などでは、この条文は「国際協調主義」を表したものだと言われています。
  そこに、我が国が明治維新以来ずっと持ち続けている「欧米(白人)コンプレックス」というものが加わると、「アメリカやヨーロッパの識者や政府関係者が言っていることは、きちんと聞いていかなければならない。そうでないと国際社会で孤立する」という風に、大多数の国民、および政府関係者が思ってしまっても不思議ではありません。

  さて、みなさんが、日本を侵略したい、日本人の持っている富や財産を奪い取りたい、と願う外国勢力だったとします。上のような(多分に後天的な)民族性を持っていることがわかっていたら、どういう手段を用いますか?

  核ミサイルで日本を脅しますか?潜水艦をいっぱい造って、日本のタンカーをいつでも撃沈できるようにしますか?

  そういう作戦は、「下策」です。自衛隊に反撃される可能性がありますし、どんなアホな国民でも、東京湾に外国の潜水艦が来たり、隣国の独裁者が「日本が金をよこさなければ、東京を火の海にする」と宣言したりしたら、侵略されているということには気づくはずです。

  では、どうすればもっとリスクが少ない攻撃を加えられるでしょう?

  そうですね。「日本が何か自律的な国家運営をしようとしたら、それは良くないことだと徹底的に日本国民に宣伝する」ことが最も簡単です。日本には選挙がありますから、国民の反応は無視できません。そこを宣伝でうまくコントロールすれば、政治家がやりたいと思ったことをことごとく潰すことができます。
  その時、以下の点に気をつけると、さらに効果的になります。

(1)自分の意図を「世界のみんなが憂慮している」ものだと宣伝する

  日本人のほとんどが、英語やフランス語のメディアに目を通したりしませんから、本当に全世界がそんなことを思っていなくてもバレやしません。

(2)異口同音に語らせる

  たとえば、どこかの国の政府が「日本の市場は閉鎖的だ」と宣言するだけではなく、ニューズウィークだとかヘラルド・トリビューンのような世界的なメディア、自分の意を汲んだ発言をしてくれる学者、さらには国内の「外国かぶれ」の人びと(自分が欲求不満なのは日本社会のせいだと思っていて、日本や日本人のあら探しばかりしている連中。ときどき「右翼」だとか「左翼」だとか言われる)にも同じことを言わせるのです。
  どこかの政府だけが必死になって日本を叩いていれば、「ああ、あいつらは日本を叩きたいんだな」と分かってしまいますが、複数の場所から同じ事が聞こえてくれば、他の連中もみんなそういうことを考えているんだと思ってしまうのが人間です。

(3)「あなたたちのことを心配しているんだ」という態度を示す

  こうすれば、おかしな要求をしても、しばらくの間はごまかすことが出来るからです。こういう場合に大事なのは、情緒的に訴えることです。当然でしょう。きちんと論理的に話してしまったら、自分の下心がばれてしまうからです。

(4)理由は簡単に済ませる。質問にも答えない

  テレビや電車の中吊りで言いっぱなしにしておけばいいということです。

(5)自尊心を満足させるようなネタをセットにするとよい

  たとえば、「政治家が、英霊が祀られている神社に参拝するのは当然のことだ」という発言をすれば、ああ、この人は我が国の歴史に理解を示してくれているんだな、と思いますよね。まず、そうやって好意的な反応を引き出しておきます。
  その続きで、「バラマキをしていると世界から置いていかれるよ」と付け加えるわけです。あなたが男性だったら、せっかく自分のことを好きになってくれている(ように見える)女性の言うことを、頭から疑ってかかるでしょうか。

  では一体、ニューズウィークがどうしてそんな「攻撃」をしてくるのでしょうか?

  当たり前のことですが、日本人に自分の足で立って歩かれては困る連中がいるからです。そういう連中が、ニューズウィークにこの手の記事を書かせているわけです。
  あえて、答えは言いません。「日本の景気が回復したら、一体誰が損をするのだろう?」と考えてみることです。私は、そういうことを考えているおかげで、ブログを書くネタには困りません。
  まあ、世の中では、そういうことを考えずに、やれ英語だの(一応筆者はTOEICで900点、旧TOEFLで597点を取ったことがある)、会計知識だの、業界地図だの、社内派閥の色分けだの、ゴルフで接待先がダフった時のおべんちゃらだの、キャッシュフロー経営の要諦だの、メディアや広告がPRしてくるものを何も考えずにダボハゼみたいに飲み込んでいる方が立身出世ができるようになっています。私のように、外国のメディアが発信する情報の意図を探ろうとすることは、無益な行いのように見えるかも知れません。
  しかし、政治家や官僚までもそれでは困ると思うのは私だけでしょうか。
  どうも、今の日本には、内外のメディアの発信する電波を敏感に受信しすぎる政治家が多いような気がします。どうすれば自国の独立を維持して、国民を食わせていけるか、外国からの声に惑わされずに決められるようになってほしいものです。
  とらえ方を変えれば、外国のメディアが褒めてきたらそれは悪い選択で、親切そうにやめた方がいいと声を掛けてきたら良い選択だということになるわけですから、表向きは「そういう懸念があることは重々承知しています」などと照れ笑いでも浮かべておいて、自分が信じたことをやればいいということにもなりそうです。あまり真剣に受け止めて、頑なに反発すれば、いじめっ子が増長するのと同じメカニズムで、こちらがキレるまでこづき回してきます。それが、大東亜戦争だったのではないかと思っています。
  麻生首相や、その後に続く政権のリーダーが、世界の声とかいう怪電波(笑)をまともに受信しないことを祈っています。

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