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2008.08.11(Mon)

グルジア=アメリカvsロシア、仁義なき戦い 

  旅行先の金沢からの記事です。ロシアとグルジアの間で勃発した「戦争」の背景と、その行方について簡単にまとめます。
  まず、どんな出来事が起きているのか、確認しておきましょう。

グルジア:南オセチア自治州進攻 衝突停止の声明、NATOが発表
http://mainichi.jp/select/world/news/20080809ddm007030058000c.html
------------以下引用------------
グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州に対するグルジア軍の攻撃を受け、北大西洋条約機構(NATO)のデホープスヘッフェル事務総長は8日、事態に懸念を表明、全当事者に対し「軍事衝突の即時停止と直接対話」を求める声明を発表した。一方、欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安全保障上級代表は7日、グルジアのサーカシビリ大統領と電話で協議、戦闘をただちに停止するよう求めた。
------------引用以上------------

ロシアと戦争状態=「多数の人的被害」-グルジア大統領 
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2008080801042&=j1
------------以下引用------------
 グルジアのサーカシビリ大統領は8日、「わが国はロシアの侵略に対して自衛している。ロシア部隊はグルジアに侵攻した」と述べ、グルジア部隊はロシア軍と戦争状態に入ったとの見方を示した。米CNNテレビのインタビューで語った。
 大統領はこの中で、「ロシア軍機が病院を空爆し、多数の人的被害が出ている」と述べ、ロシア側はグルジア全土で民間人を標的に攻撃していると激しく非難。「これは最悪の悪夢だ」と強調した
------------引用以上------------

グルジア軍撤退、ロシアは停戦拒否 黒海で海上封鎖
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20080810AT2M1001610082008.html
------------以下引用------------
 旧ソ連のグルジアから分離独立を主張する南オセチア自治州を巡る同国とロシアの軍事衝突は10日、停戦を求めるグルジアが紛争地域から軍を撤退させたと発表した。ロシア側は停戦を拒否。黒海艦隊を派遣してグルジアの海上を封鎖すると同時に大規模な部隊を増派したもよう。同じくグルジアから独立を求めるアブハジア自治共和国に駐留する同国軍にも攻撃を加えている。米欧はロシアに即時停戦を要求しているが、実現の見通しは立っていない。

 グルジア内務省は10日午前、ロシア軍機による空爆が南オセチアを越えて同国各地に拡大し、市民への被害が広がったことを受け、「グルジア軍は南オセチアから撤退した」と発表した。これに対し、ロシア側は「グルジアから正式な停戦の提案を受けていない」として戦闘を続けている。(
------------引用以上------------

  このブログの基本的な方針は「出来事を少し上から眺める」ことです。従って、いったいどちらが先に手を出したのかいちいち詮索したりとか、各国の高官がこれに対してどんな発言をしているかとか、南オセチアやアブハジアの内部情報についてはふれません、
  こういう時に役に立つのが「地政学」です。地理的要因などから、ある国の行動様式を分析・予測することをいいます。
  まず、グルジアとその周辺の地図を見てみましょう。

コーカサス地方


  いわゆるコーカサス地方に位置しています。この地域は、地政学的に見ると、非常に重要な地域だということができます。
  なぜなら、コーカサスはロシア(モスクワ)と中東(サウジアラビアやイラクなど)を最短距離で結んだ線上にあるからです。みなさんもニュースなどでよく「中東情勢」という言葉を聞くかもしれませんが、どのくらい重要なのかあまりご存じでないかもしれません。端的に言えば、世界の中でもっとも重要な地域が中東です。中東は、東アジアとヨーロッパの陸上・海上交通が一カ所に集中している地域であり、現代文明に欠かせない石油という資源を大量に産出してもいます。「中東を制する者は世界を制する」と言っても過言ではないでしょう。 
  近代に入ってからは、この地域はオスマン・トルコが支配していましたが、石油が本格的にエネルギー資源として用いられ始めた19世紀以降、欧米列強の露骨な干渉を受けることになります。最初にこの地域を制したのはイギリスでした。ドイツとの熾烈な競争を第一次大戦の勝利という形で片付けたのです。「シェル」や「ブリティッシュ・ペトロリアム」といった石油会社はその頃から油田開発に携わっています。
  そして、第二次大戦後はこの地域をアメリカが支配することになりました。このとき油田開発を行っていたのがスタンダード石油という会社で、今の「エクソン・モービル」や「シェブロン」の元になった企業です。
  このように、基本的にはこの地域は米英が支配してきたのですが。、その最大の障害がロシア(冷戦時代のソ連)でした。ロシアは中東のすぐ北に位置する強国であり、陸軍が弱いイギリスや本国と中東が遠いアメリカを圧倒する陸軍力を持っています。彼らがコーカサス地方を越えて中東に干渉してきてはやっかいです。だからこそ、NATO(北大西洋条約機構。米英が加盟する軍事同盟)がトルコの東部に空軍基地(ディヤルバクル)を置いており、傀儡国家であるイスラエルが中東に存在しているのです。
  そして、冷戦集結・ソ連崩壊後にはアメリカが事実上グルジアと同盟関係に入り、コーカサスにしっかりと蓋をしてきたわけです。
 
  ここに近年加わってきたのが、「中央アジアからの天然ガス・パイプライン」という問題です。
  中央アジアのカザフスタンやトルクメニスタン、さらにカスピ海西岸のアゼルバイジャンでは、天然ガスが豊富に産出されます。今まではこのパイプラインは、いったんモスクワを経由してヨーロッパに流されていました。それを、アゼルバイジャン→グルジア→黒海→欧州というルートで運び出すパイプラインが構想されているのです。その目的は言うまでもなく、世界最大の天然ガス産出国・ロシアの封じ込めです。ガスの元栓をロシアに握らせれば、米英資本が世界のエネルギー市場を支配できなくなります。だから、ロシアの領内を迂回して天然ガスをヨーロッパ(EUやスイス)4億人の市場に送り届けようとしているわけです(●こちらの記事を参照)。
  アメリカ側にしてみれば、アゼルバイジャン1国を抱き込んでも、黒海に接しているグルジアがロシアに付いてしまえばパイプラインを支配できません、逆に言えば、ロシアはグルジアさえ攻め落としてしまえば、オセロをひっくり返すようにしてアゼルバイジャンや中央アジアもロシア側につかせることができることになります。
  だから、冒頭に挙げたような騒ぎになっているわけです。

  では、この勝負は、アメリカとロシア、どちらが勝つでしょうか。

  私は予言者ではないので外れても責めないでほしいのですが(笑)、現時点の状況から見て、ロシアの勝ちが濃厚です。
  まあ、別に勝つといっても、アメリカやイギリスが核攻撃を受けて全滅するとか、ロシアが全欧州を軍隊で制圧するとか、そういうものではないのですが、何をやるにもロシアの意向を無視できなくなる可能性が高いということです。
  なぜそんなことがいえるのかというと、冷戦後の国家戦略という点で、アメリカよりロシアの方がよりましな方針をとり、それを今に至るまで貫いているからです。

  ロシアの前身であるソ連は、戦略という点ではアメリカに完敗しました。
  原因はいくつかあります。まず、国民をきちんと食わせられずに、欧米に迎合する政治家(ゴルバチョフやエリツィン)が台頭する隙を与えてしまったことです。ゴルバチョフがやった一連の施策は「ペレストロイカ」と称され、欧米のメディアに賞賛されました。エリツィンの行った経済の民主化も同様です。しかし、彼らがやったのは、基幹産業を次々とマフィアまがいの資本家(ユダヤ人が多かった)に売り渡し、エネルギーや食料価格の自由化によって国中に失業者をあふれかえらせたことでした。ソ連を弱体化させることは、欧米にとっては都合がいいことであり、だからこそメディアが彼らを賞賛したのです。ちょうど、我が国で構造カイカクなどといって国内経済を破壊した人間が、ホワイトハウスや英語メディアから絶賛されたように。
  さらに、こちらの方が重大だったのですが、ソ連が領土保全にこだわるあまり、アフガニスタンに軍事介入したことも国を傾かせた大きな原因でした。全盛期の帝政ロシアでさえ、もっとも南に下ってウズベキスタンまで支配するのが限界でした。私は自国と隣接する地域でイランのようなイスラム革命を起こされてはたまらないという一念で侵攻したのだと見ていますが、地政学でいう「勢力限界点」を越えてしまったツケは、10年間の終わらない戦いと、死体を切り刻んで送りつけてくるアフガンの武装勢力との戦いでノイローゼが続出し、弱体化したソ連軍という形で払わされることになったわけです。
  もっとも、長い目で見れば、アメリカが中国と国交回復した1971年くらいから勝負は付いていたと考えることも出来ます。ともかく、ソ連は1991年に分裂し、ロシア人のプライドはズタズタにされました。
  しかし、そんな状況に陥っても、KGBを中心とするロシア上層部はめげませんでした。KGBのたたき上げであるプーチンを政権に送り込み、オリガルヒといわれたマフィア資本家をことごとく粛正、ばらばらになっていたエネルギー関連の企業を統合して、国家統制に置くことに成功しました。
  ロシアの狙いは、豊富な天然資源を利用してエネルギー市場を支配することにあります。●以前の記事で紹介したように、ロシアは着々と西ヨーロッパを籠絡する手はずを進めています。昨今の資源価格の高騰は、このようなロシアの戦略を進めやすくする絶好の材料になっています。
  この戦略がうまく行っているのは、アメリカやイギリスが石油価格の下落という形でロシアの力を弱めることができないことに尽きます。資源高騰で一番利益を得ているのは、何を隠そう米英の石油資本だからです。なにしろ、需要が逼迫しているわけでもないのに価格だけは上がり続けているのですから、笑いが止まりません。こんな状況で、アメリカ政府が原油価格を引き下げる措置、たとえば商品取引所の閉鎖などの手段を講じれば、その政治家は間違いなく次の選挙で落選します。
  アメリカの(まともな)上層部がロシアに対抗しようとしても、根本的なロシアの力の源を断つことができないわけです。かなりのハンデ戦だといってもいいでしょう。

  では、そのアメリカは冷戦後どんな戦略をとってきたのでしょうか。
  冷戦終結以前のアメリカは、地政学でいう「リムランド戦略」を徹底していました。リムランドというのは、地政学的にもっとも重要な場所(ユーラシア大陸でいえば中東)に隣接する地域をいいます。その多くは海際です。たとえば、ロシアを南下させないために、黒海の出口であるボスポラス海峡を支配するトルコを応援するとか、中国やソ連を太平洋に出させないために、日本の沖縄に基地を置くとか、そういう感じです。これだと、膨大な陸軍力を投入しなくてもいいので、非常に効率よく敵を封じることができます。
  ところが、ソ連が崩壊し、目立った敵がいなくなると、ちょっとおかしくなります。
  1991年の湾岸戦争では、せいぜい陸軍をクウェートに置くだけで、リムランド戦略はきちんと機能していましたが、1995年にサウジアラビアに基地を置いたあたりから、アメリカの戦略が変質していると見ることができます。サウジはイラクに隣接しており、中東でも重要な地域には違いありませんが、クウェート(港1個)や日本(島国)と違って長大な国境線があります。これを警備するのは相当困難で、現にサウジ領内の米軍基地は、イラクから越境してきたと「されている」テロリストによって何度か攻撃されています。
  さらに戦略がねじ曲がったのは、コソボ紛争です。1999年から始まったアメリカ主体のNATO軍の軍事作戦で、ユーゴスラビア(現セルビア)は焦土と化し、この国が徹底的な反米国家になるきっかけを与えてしまいました。さらに、支援したコソボ自治州が独立を叫びだしたら、アメリカの同盟国であるスペイン(バスク人の分離独立問題を抱える)や、なんとグルジアにまで反対される始末です。自分たちの橋頭堡さえ作れれば後は何とかなると考えていたのではないでしょうか。(詳しい話は、●こちらの記事を参照)
  その思い上がりが頂点に達したのが、2001年のアフガニスタン攻撃と、2003年のイラク戦争です。アフガニスタンでは、まだ北部同盟とかいうウズベク人などマイノリティーの部隊を使うことができましたが、その後治安維持のため陸軍を送らざるを得なくなっています。イラクでは最初から陸軍投入です。そして、今の今まで両国の駐留米軍はゲリラ攻撃で被害を受け続けているわけです。
  傀儡国家であるイスラエルに逆に引きずられているとか、金融と情報だけ握っていればいいと高をくくっていたとか、いろんな要因があると思うのですが、ともかくアメリカはリムランドを支配に力を集中させる合理的な戦略をだんだんと放棄していったのは間違いありません。

  アメリカが盛り返す方法がないかどうか考えてみましょう。

1.グルジア支援をやめる

  こんなことをしたら、エネルギー関連の企業、特に石油メジャーが激怒して、大統領は在任中に首を切られます。少なくとも、メディアに敵視されることは間違いありません。日本でもアメリカでも、マスメディアはグローバリスト企業の広報役なのです。だいいち、アメリカの政府高官には石油関係の人間が多い(ブッシュはカーライルの元役員、チェイニー副大統領はハリバートンのCEOと、いずれも石油関連企業の傀儡、そのた枚挙にいとまなし)ので、そんな政策は採るわけがありません。

2.コソボを独立させてロシアにプレッシャーをかける

  これをやったら、アブハジアや南オセチアはどうなるか、小学生でもわかります。それどころか、分離独立問題を抱えている同盟国(たとえばスペインやキプロス)が同盟から離脱することさえ考えられます。米軍の上層部が絶対に認めないでしょう。
  それだけでなく、チベットや東トルキスタン、台湾といった独立問題を抱える中国に、国連安保理で拒否権でも発動されたら大恥です。

3.ロシアの戦力を分散するために、中国をロシアにぶつける

  中国は資源乞食状態の国ですが、何の利益もなくロシアに侵攻するほど愚かではありません(相手は国際社会の目など気にせず北京や上海に核攻撃をしかねない国である)。
  それに、中国自身、今は東トルキスタンだとかチベットのことで手一杯です。よほど追い詰められれば別ですが、中ロの相打ちという、ネット右翼の妄想みたいにことが運ぶ可能性は非常に低いでしょう。

4.中東(特にイラン)をアメリカ陣営に引き込み、ロシアの南下を封じる

  こんなことをしたら、イスラエルの諜報機関がアメリカの大統領を暗殺しかねません。もっとひどい場合、孤立したイスラエルが単独でイランやサウジを核攻撃することだって考えられます。
  もっとも、アメリカの政権内にいるイスラエルシンパU(たとえばネオコン)が一掃され、イスラエル上層部の対面を保つ形で和平が進めば、このオプションが実現するかもしれません。、難しい話ではありますが・・・。

  こうなると、アメリカに取り得る手段は非常に限られてきます。たとえば、こんな感じです。

★とりあえず、今回はロシアに譲歩する形で決着させ、グルジアを懐柔する

  サーカシビリ大統領が反発するなら、政権転覆で穏健派を大統領にすることも考えられます。

★その上で、ロシアの膨張を防ぐために、東欧の親米国(ポーランドやチェコ)やトルコにてこ入れする

  経済支援や技術支援、ミサイル防衛などです。前者なら、日本も手伝ってやっていいでしょう。ただし、「ただ」でやってはいけません。

★コソボは宙ぶらりんの形にしておく

  独立派が騒いでもメディアには黙殺させます。ロイターとAP、AFPとBBCが無視すれば、欧州(ドイツやロシア、フランスなどのメディアはある程度独立性がある)以外の国にとってはそんな事実は存在しないのと同じです。

  なんともまあ、情けない形ですが、自分がまいた種です。今回は悔しい思いをするしかないでしょう。これを機に、アメリカが本来のリムランド戦略に軸足を移していくことを願いたいものです。

  我が日本としては、ヨーロッパでの失地回復を取り返すようにして、猛然と「カイカク」(アメリカ資本への利益誘導)を迫ってくる可能性があるので、是々非々で対応しなくてはいけません。こんな時に、小泉のような対米隷属主義者が首相だったらと思うと、背筋がぞっとします。まあ、ライオン丸やカバに支持されて首相になり●調子こいてシロクマと一緒にポスターに出てるチンパンジーでもその辺は大して変わらないのかもしれませんが・・・。
  ロシアが強大化すれば、日本の戦略上の地位は増すのですから、対等とはいわなくても、せめてよりましな条件をアメリカから引き出せるような外交をしてもらいたいものです。貧相なライオンだとかチンパンジーには、国会ではなく動物園に行ってもらいましょう(笑)。

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