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2008.07.20(Sun)

モカとエチオピア~グローバリゼーションはもう限界だ!! 

  右手を骨折中ですが、携帯メールなど使って頑張ってみました(笑)。

  どうもここのところ、食べることや生きることに対する根本的な問いを投げかける事件がたくさん起きている気がします。何も、日本国内の陰惨な事件を言っているのではありません。たとえば、このニュースです。

モカ:消えるかも 輸入ストップ、在庫わずか
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080720k0000m020115000c.html
--------以下引用--------
 すっきりした酸味で国内でも人気の高いコーヒー豆「モカ」の販売を休止するコーヒー業者が相次いでいる。輸入の98%以上を頼っているエチオピア産から基準値以上の残留農薬が検出され、厚生労働省が事実上、輸入にストップをかけている。再開のめどはたっておらず、喫茶店やスーパーの店頭などからモカが今後、姿を消す可能性もある。また、「ブレンドコーヒーの味が変わってしまう」と困惑する声も上がっている。

   (中略)

 販売業者や商社などでつくる全日本コーヒー協会(東京都)は6月、現地に調査団を派遣。麻袋から残留農薬を検出したものの、原因は特定できなかった。エチオピア側は「日本は細かすぎる。他の国は何も言ってこない」などと主張。厚労省は「エチオピア政府が原因究明や検査の充実に努めない限り、日本側も対応のしようがない」として、輸入を停止させたままだ。

 モカは、ブレンドコーヒーの定番品目だけに、業界関係者や愛好者は「ブレンドの味が変わる」と戸惑う。UCCは「モカの風味に似た代替の豆を喫茶店などに提案している。安全性が確認されるまでモカを使うわけにはいかない」と話す。
--------引用以上--------

  私も農薬だの殺虫剤だのについては興味を持って調べた時期があるのですが、今回のケースは日本側が少し神経質すぎる気がします。コーヒー豆が店頭に並ぶ段階で、残留農薬が問題になったケースはまずありません。コーヒーはロースト(焙煎)という過程を減るため、ほぼ全ての農薬類が気化してしまうからです。
  しかし、そういうことが問題ではないのです。こういう出来事を見る場合、モカという品種について蘊蓄を垂れたり、世界のコーヒー豆の流通事情について細かい知識や裏情報を知ったりすることには、あまり大きな意味はありません。本質を知ることが大切です。

  この記事でわかるのは、たった一品種のコーヒーにかなり多数の利害関係者がいるということです。

  まず、日本の輸入検査を批判しているのがエチオピア政府だという点が目に付きます。そこで、エチオピアの経済について見てみると、どうやらコーヒー豆の生産では世界有数の規模(生産量世界7位)を誇っていて、その輸出は全輸出額の30%超にも達していることが分かります。
  エチオピアはアフリカ諸国にありがちな貿易赤字国であり、35億ドル近くの輸入超過状態にあります。こんな状況ですから、日本向けのコーヒー輸出(だいたい9千ドルくらい)を減らしたくないという気持ちは分かります。コーヒーが売れなければ、失業者が増大して社会不安が広がりますから、政府も必死なのでしょう。もちろん、そのことと、日本の食品衛星基準とは別の話ですが…。

  さらに、日本国内でモカを販売しているコーヒーショップがかなりの数に上ることが伺えます。なにしろ、ブレンドコーヒーといえばモカをベースにして香りや酸味を出すというのが鉄則です。また、どこのコーヒーチェーン店に行っても「モカ」のつく商品があるくらい(たとえば●こんなの)ですから、事実上唯一のモカ輸入相手国からの輸入が停止したら、それは大変なことになるでしょう。
  そもそも、コーヒーという商品は「嗜好品」です。これがなければ生きて行けないというほど決定的な物資ではありません。コーヒーが好きでたまらないという人もいますが、やめたら禁断症状で発狂した人なんてのは聞いたことがありません。
  しかし、そのコーヒーの、モカという一品種でさえ、これほどの利害関係が生まれているのです。それだけ、嗜好品の市場が巨大だということです。

  では、なぜエチオピアがそこまでコーヒーをたくさん生産しているのでしょうか。

  確かにエチオピアはコーヒーの木の原産国ですが、それだけが理由ではありません。。コーヒー豆を作ることで、比較的簡単に外貨(要するに米ドル)というものを獲得できるからです。
  なぜ外貨をエチオピア政府が欲しがるのかと言うと、外貨がないと「文明的」な生活ができないからです。思い切って単純化すれば、電気やガソリンを使えないということです。
  電気を利用するには、電線を引いて発電しなければいけません。そういう技術を持っているのはアメリカのような先進国です。日本はこういう技術を外国に頼らずに済んでいるので、おそらくこの辺はなかなかピンと来ないかもしれません。
  百歩譲って、そういう技術をODA(政府開発援助)として無償で援助したとしても、事情は変わりません。発電・送電施設には修理やメンテナンスが必要です。そういう場面で使う資材が、エチオピアのような国にあるかどうか、少し考えれば分かりそうなものです。結局、どこかで外国から買わなくてはいけなくなります。
  それ以前に、発電と言うのは大抵が火力発電であり、石炭や石油を大量に必要とします。こういう資源がいかに偏在しているか、我々はオイルショック(私は直接経験していませんが…)や昨今の原油高で嫌と言うほど味わっているはずです。エチオピアには石炭や石油はほとんどありませんから、それらを手に入れるにはやはり外貨が必要になります。
  よく海外援助のいい話か何かで、「貧しかった村に、電気の灯が点った」みたいな美談が紹介されていますが、冗談も休み休み言え、と言いたい気分です。その電気を用いた生活のために、余計な現金収入が必要になり、役人や外国企業の言いなりになって現地の人が農作物(自分たちは食べることも飲むこともできない)を作ることを強いられるわけです。
  ひどい場合は、人身売買に至ることもあります。扶養する人数を減らせる上に、手っ取り早い現金収入になるからです。惨い話ですが、現実に行われています。

  では、どうすればこういうマイナスの連鎖を断ち切れるのか。

  はっきり言っておきます。いくら技術支援や資金援助などしても無駄です。それどころか、そういう先進国の技術を運営・維持するために、さらなる貧困が生まれてしまう危険もあるのです。
  「フェアトレード」と称して比較的ましな値段で商品作物を買うような運動もありますが、そんなものをいくらやっても解決にはなりません。買い手の事情が変わったら、フェアトレードも糞も無くなってしまうからです。
  たとえば、コーヒー1杯が1000円になったら日本の消費者がコーヒーを飲むでしょうか。今みたいなデフレ不況下ではまず無理です。いくら一部の人達が頑張っても、抜け駆けした業者が「アンフェアな」値段で取引をしたら(●百円コーヒーなど良い例)、そっちのコーヒーにみんなが飛び付くでしょう。
  要するに、外貨を得るためだけに商品作物を作らざるを得ない経済の仕組み(このブログがいつも言っている、グローバリゼーションというもの)が有る限り、どんな援助をしても焼け石に水なのです。
  これを変えるには、現地で生活必需品を作り、流通させ、無理のない形で社会を運営していく仕組みを作るしかありません。
  エチオピアは小麦を年間4億ドル程度輸入しています。これに対して、エチオピアが外国に対して売れるコーヒー豆はせいぜい2億ドルを少し超える程度です。耕地や気候のハンデはあるにせよ、なぜここまで外国の小麦を輸入しなければならないのでしょうか?エチオピアではもともと●「テフ」というイネ科の植物がか主食だったのです。それが今や小麦に圧倒されているのは、80年代に飢饉になった際なだれ込んだ援助物資の小麦を、そのまま買わされ続けているからに違いありません。●こういうやり方で貧困国すら食い物にしている邪悪な連中がいるのです。
  「グローバル化」や「国際分業」の正体など、こんなものなのです。自国内で可能な限り循環させる経済に変えなくては、いつまで経ってもエチオピアは食糧やエネルギー資源の輸入相手国に依存し、価格の乱高下の度に混乱に巻き込まれることになります。
  エチオピアのような国にとって、一番効果的なのは、地産地消できるエネルギーや、電力やガソリンなしで動く道具の作り方を教えることです。たとえば、●「非電化工房」が作っている品物などは、アフリカ諸国で十分役に立つはずです。ODAは、こういうノウハウを教えるために使われなくてはいけません。
  さらに、現地の風土にあった農作物を「復興」させることも必要です。先ほど挙げたテフなどがそうです。まかり間違っても、機械や化学肥料に頼った近代型農業を教えてはいけません。カーギルやモンサントのようなアグリビジネスが援助金を掠め取る結果に終わりあとには農薬汚染や塩害、地下水枯渇が残るだけです。
  そうした上で、その地域でだけ流通する「地域通貨」を作ることです。暴利を貪る金融を禁じるために、利子をつかなくするか、減価する仕組みを付けるといいでしょう。この地域通貨は、ある程度生産力がある段階で導入しなければ意味がありません。チップがあってもトランプがなければポーカーができないのと同じことです。
  なんか、このブログっていつも結論が同じだよね?とお思いの読者の方もいらっしゃると思いますが、しかたがありません。今の世界で問題を引き起こしているのは、カネという道具の持つ性質、そこに尽きるからです。エチオピアなどアフリカ諸国の貧困も、ネットカフェ難民も、戦前の日本の海外侵略も、全て原因は同じなのです。
  とは言っても、なかなかそういう認識は通用しませんから、ことあるごとにここで書いているわけです。
  今回も、コーヒーの話を通じて皆さんにグローバリゼーションの不毛さを分かっていただけると嬉しいです。

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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

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