モカとエチオピア~グローバリゼーションはもう限界だ!!
どうもここのところ、食べることや生きることに対する根本的な問いを投げかける事件がたくさん起きている気がします。何も、日本国内の陰惨な事件を言っているのではありません。たとえば、このニュースです。
モカ:消えるかも 輸入ストップ、在庫わずか
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080720k0000m020115000c.html
--------以下引用--------
すっきりした酸味で国内でも人気の高いコーヒー豆「モカ」の販売を休止するコーヒー業者が相次いでいる。輸入の98%以上を頼っているエチオピア産から基準値以上の残留農薬が検出され、厚生労働省が事実上、輸入にストップをかけている。再開のめどはたっておらず、喫茶店やスーパーの店頭などからモカが今後、姿を消す可能性もある。また、「ブレンドコーヒーの味が変わってしまう」と困惑する声も上がっている。
(中略)
販売業者や商社などでつくる全日本コーヒー協会(東京都)は6月、現地に調査団を派遣。麻袋から残留農薬を検出したものの、原因は特定できなかった。エチオピア側は「日本は細かすぎる。他の国は何も言ってこない」などと主張。厚労省は「エチオピア政府が原因究明や検査の充実に努めない限り、日本側も対応のしようがない」として、輸入を停止させたままだ。
モカは、ブレンドコーヒーの定番品目だけに、業界関係者や愛好者は「ブレンドの味が変わる」と戸惑う。UCCは「モカの風味に似た代替の豆を喫茶店などに提案している。安全性が確認されるまでモカを使うわけにはいかない」と話す。
--------引用以上--------
私も農薬だの殺虫剤だのについては興味を持って調べた時期があるのですが、今回のケースは日本側が少し神経質すぎる気がします。コーヒー豆が店頭に並ぶ段階で、残留農薬が問題になったケースはまずありません。コーヒーはロースト(焙煎)という過程を減るため、ほぼ全ての農薬類が気化してしまうからです。
しかし、そういうことが問題ではないのです。こういう出来事を見る場合、モカという品種について蘊蓄を垂れたり、世界のコーヒー豆の流通事情について細かい知識や裏情報を知ったりすることには、あまり大きな意味はありません。本質を知ることが大切です。
この記事でわかるのは、たった一品種のコーヒーにかなり多数の利害関係者がいるということです。
まず、日本の輸入検査を批判しているのがエチオピア政府だという点が目に付きます。そこで、エチオピアの経済について見てみると、どうやらコーヒー豆の生産では世界有数の規模(生産量世界7位)を誇っていて、その輸出は全輸出額の30%超にも達していることが分かります。
エチオピアはアフリカ諸国にありがちな貿易赤字国であり、35億ドル近くの輸入超過状態にあります。こんな状況ですから、日本向けのコーヒー輸出(だいたい9千ドルくらい)を減らしたくないという気持ちは分かります。コーヒーが売れなければ、失業者が増大して社会不安が広がりますから、政府も必死なのでしょう。もちろん、そのことと、日本の食品衛星基準とは別の話ですが…。
さらに、日本国内でモカを販売しているコーヒーショップがかなりの数に上ることが伺えます。なにしろ、ブレンドコーヒーといえばモカをベースにして香りや酸味を出すというのが鉄則です。また、どこのコーヒーチェーン店に行っても「モカ」のつく商品があるくらい(たとえば●こんなの)ですから、事実上唯一のモカ輸入相手国からの輸入が停止したら、それは大変なことになるでしょう。
そもそも、コーヒーという商品は「嗜好品」です。これがなければ生きて行けないというほど決定的な物資ではありません。コーヒーが好きでたまらないという人もいますが、やめたら禁断症状で発狂した人なんてのは聞いたことがありません。
しかし、そのコーヒーの、モカという一品種でさえ、これほどの利害関係が生まれているのです。それだけ、嗜好品の市場が巨大だということです。
では、なぜエチオピアがそこまでコーヒーをたくさん生産しているのでしょうか。
確かにエチオピアはコーヒーの木の原産国ですが、それだけが理由ではありません。。コーヒー豆を作ることで、比較的簡単に外貨(要するに米ドル)というものを獲得できるからです。
なぜ外貨をエチオピア政府が欲しがるのかと言うと、外貨がないと「文明的」な生活ができないからです。思い切って単純化すれば、電気やガソリンを使えないということです。
電気を利用するには、電線を引いて発電しなければいけません。そういう技術を持っているのはアメリカのような先進国です。日本はこういう技術を外国に頼らずに済んでいるので、おそらくこの辺はなかなかピンと来ないかもしれません。
百歩譲って、そういう技術をODA(政府開発援助)として無償で援助したとしても、事情は変わりません。発電・送電施設には修理やメンテナンスが必要です。そういう場面で使う資材が、エチオピアのような国にあるかどうか、少し考えれば分かりそうなものです。結局、どこかで外国から買わなくてはいけなくなります。
それ以前に、発電と言うのは大抵が火力発電であり、石炭や石油を大量に必要とします。こういう資源がいかに偏在しているか、我々はオイルショック(私は直接経験していませんが…)や昨今の原油高で嫌と言うほど味わっているはずです。エチオピアには石炭や石油はほとんどありませんから、それらを手に入れるにはやはり外貨が必要になります。
よく海外援助のいい話か何かで、「貧しかった村に、電気の灯が点った」みたいな美談が紹介されていますが、冗談も休み休み言え、と言いたい気分です。その電気を用いた生活のために、余計な現金収入が必要になり、役人や外国企業の言いなりになって現地の人が農作物(自分たちは食べることも飲むこともできない)を作ることを強いられるわけです。
ひどい場合は、人身売買に至ることもあります。扶養する人数を減らせる上に、手っ取り早い現金収入になるからです。惨い話ですが、現実に行われています。
では、どうすればこういうマイナスの連鎖を断ち切れるのか。
はっきり言っておきます。いくら技術支援や資金援助などしても無駄です。それどころか、そういう先進国の技術を運営・維持するために、さらなる貧困が生まれてしまう危険もあるのです。
「フェアトレード」と称して比較的ましな値段で商品作物を買うような運動もありますが、そんなものをいくらやっても解決にはなりません。買い手の事情が変わったら、フェアトレードも糞も無くなってしまうからです。
たとえば、コーヒー1杯が1000円になったら日本の消費者がコーヒーを飲むでしょうか。今みたいなデフレ不況下ではまず無理です。いくら一部の人達が頑張っても、抜け駆けした業者が「アンフェアな」値段で取引をしたら(●百円コーヒーなど良い例)、そっちのコーヒーにみんなが飛び付くでしょう。
要するに、外貨を得るためだけに商品作物を作らざるを得ない経済の仕組み(このブログがいつも言っている、グローバリゼーションというもの)が有る限り、どんな援助をしても焼け石に水なのです。
これを変えるには、現地で生活必需品を作り、流通させ、無理のない形で社会を運営していく仕組みを作るしかありません。
エチオピアは小麦を年間4億ドル程度輸入しています。これに対して、エチオピアが外国に対して売れるコーヒー豆はせいぜい2億ドルを少し超える程度です。耕地や気候のハンデはあるにせよ、なぜここまで外国の小麦を輸入しなければならないのでしょうか?エチオピアではもともと●「テフ」というイネ科の植物がか主食だったのです。それが今や小麦に圧倒されているのは、80年代に飢饉になった際なだれ込んだ援助物資の小麦を、そのまま買わされ続けているからに違いありません。●こういうやり方で貧困国すら食い物にしている邪悪な連中がいるのです。
「グローバル化」や「国際分業」の正体など、こんなものなのです。自国内で可能な限り循環させる経済に変えなくては、いつまで経ってもエチオピアは食糧やエネルギー資源の輸入相手国に依存し、価格の乱高下の度に混乱に巻き込まれることになります。
エチオピアのような国にとって、一番効果的なのは、地産地消できるエネルギーや、電力やガソリンなしで動く道具の作り方を教えることです。たとえば、●「非電化工房」が作っている品物などは、アフリカ諸国で十分役に立つはずです。ODAは、こういうノウハウを教えるために使われなくてはいけません。
さらに、現地の風土にあった農作物を「復興」させることも必要です。先ほど挙げたテフなどがそうです。まかり間違っても、機械や化学肥料に頼った近代型農業を教えてはいけません。カーギルやモンサントのようなアグリビジネスが援助金を掠め取る結果に終わりあとには農薬汚染や塩害、地下水枯渇が残るだけです。
そうした上で、その地域でだけ流通する「地域通貨」を作ることです。暴利を貪る金融を禁じるために、利子をつかなくするか、減価する仕組みを付けるといいでしょう。この地域通貨は、ある程度生産力がある段階で導入しなければ意味がありません。チップがあってもトランプがなければポーカーができないのと同じことです。
なんか、このブログっていつも結論が同じだよね?とお思いの読者の方もいらっしゃると思いますが、しかたがありません。今の世界で問題を引き起こしているのは、カネという道具の持つ性質、そこに尽きるからです。エチオピアなどアフリカ諸国の貧困も、ネットカフェ難民も、戦前の日本の海外侵略も、全て原因は同じなのです。
とは言っても、なかなかそういう認識は通用しませんから、ことあるごとにここで書いているわけです。
今回も、コーヒーの話を通じて皆さんにグローバリゼーションの不毛さを分かっていただけると嬉しいです。
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【食糧高騰】今度はチーズだ!!
http://mainichi.jp/select/biz/news/20080719ddm008020060000c.html
--------以下引用--------
チーズの価格高騰を受け、業務用チーズの代替品発売が相次いでいる。植物性油脂などにチーズを2~3割混ぜたもので、100%チーズの商品より2~3割安い。パンや冷凍食品など加工食品向けに需要が大きく伸びている。
雪印乳業は今年4月、チーズ代替品の「たっぷり使えるシリーズ」を発売。今年10月にも新製品を投入する。価格高騰を受け、コンビニエンスストアなどがサンドイッチのチーズ使用を控えるなど需要が減少気味で、チーズ離れを食い止めようと開発。業務用チーズシェア1位の宝幸(東京都)も今年1月、代替商品の「フォマーゼシリーズ」を発売した。両社とも、糸を引く「とろける」タイプや固形、ソフトなど食品メーカーの用途に合わせて「チーズの風味、食感を再現した」(両社の開発担当者)と話す。
(中略)
国内のチーズ需要は拡大傾向にあり、07年の市場規模は90年の1・8倍となった。しかし、業務用で多く使われる輸入ナチュラルチーズの今年上半期の価格は、豪州の干ばつによる供給減などを背景に、昨年同期比約2倍に高騰している。
--------引用以上--------
チーズが値上がりしたから代替品の開発が進んでいるということは、企業努力の表れといえなくもありません。
しかし、その中身が問題です。「チーズもどき」を作るために混ぜる、当の植物油が高騰しているからです。6月の時点の記事です。
植物油の国際価格が高騰、バイオ燃料向け需要増
http://www.nikkei.co.jp/news/kakaku/20070605d1j0501a05.html
--------以下引用--------
大豆油など植物油の国際価格が軒並み高騰している。バイオ燃料向け需要の拡大を背景に、大豆油が23年ぶり高値を付けたほか、パーム油は最高値を更新した。天候不順で原料作物が不作になったヒマシ油も9年ぶりの高値圏にある。原料高の転嫁を目指して国内製油各社が取り組み始めた製品値上げには強材料となりそうだ。
バイオディーゼル向け需要の伸びが価格を押し上げているのが大豆油とパーム油だ。大豆油の国際指標となるシカゴ相場(期近)は現在、1ポンド35.8セント前後と1984年6月以来の高水準。パーム油もマレーシア相場が1トン855ドルに達した。基調が強まった昨年秋から400ドル(90%)上昇し、最高値を更新した。
--------引用以上--------
これでは「チーズもどき」が高騰するのも時間の問題です。それ以前に、チーズ業界が植物油にシフトすることで、植物油の需要が増し、またぞろ価格が上がるとなると、植物油を使っている他の業界にとばっちりが来るわけです。
つまり、チーズという品目そのものが、昨今の食糧・資源価格高騰で追い詰められているということになるわけです。
少しわき道にそれますが、やはりここでもバイオ燃料が我々の生活を圧迫していることが分かります。
「バイオ燃料は植物が定着させた空気中の二酸化炭素が栄養なので、新たに二酸化炭素を増やすことがない。地球温暖化防止のために必要だ」などという言い訳でバイオ燃料の開発が進められているわけですが、ものの1%も石油を代替していないうちにここまでの価格高騰を引き起こしているのです。開発をやめない限り、今後もっとひどいことになるでしょう。二酸化炭素は減ったが、飢餓人口が倍になったというのでは話になりません。今すぐバイオ燃料の開発などやめるべきです。
もしバイオ燃料の開発が許されるとしたら、木屑や稲ワラ、廃木材などといった施肥や給水の必要がない「ソフトバイオマス」や、海の豊富な栄養を利用できる「海藻バイオマス」に限るべきです。後者も、海洋栄養循環を壊さない程度という条件付です。今のバイオ燃料開発は、資源や農地の無駄遣いであり、食糧危機を招く点で人類に有害です。
さて、冒頭のニュースに戻って、そもそもチーズという食べ物は我々の生活に本当に必要なんでしょうか?
チーズを使った食べ物というと、すぐに思い付くのはピザやサンドイッチ、それにハンバーガーなどです。料理でいうとイタリア料理あたりでしょうか。
よく考えると、どれも外食や冷凍でお目にかかるものです。よほど限られた家庭でなければ、毎日イタリアンなんて食べていません。だから、明日からチーズがなくなったところで餓死者が出るわけでもなく、困るのは、宅配ピザの店やチーズ輸入業者くらいでしょう。
おっと、重大な影響が出る業界がありましたね。乳牛を育てている畜産業です。
こちらに関しては、もう我慢してもらうしかありません。●以前の記事でも書いたように、現代型の畜産は濃厚飼料という形で穀物資源を浪費しています。しかもその飼料のほとんどが輸入に依存しているのです。畜産業を今のやり方で続けていけば、我が国の食糧事情のお荷物になるのは確実です。
だから、牛の育て方を変えてもらうしかありません。飼料は牧草や「飼い葉」みたいな粗放飼料をメインにします。濃厚飼料は配給制にして、栄養不良の牛に使う程度にすべきでしょう。
その上で、経営規模が縮小するなら、削った牧草地を畑にして麦や大豆を育ててもらえばいいのです。チーズを作るよりはるかに効率よく炭水化物やタンパク質を供給できます。こうすれば、大豆などの輸入依存率の低下(自給率の向上)にもつながります。
我々としても、イタリアンが食べられないのは嫌だとか言っている場合ではなくなるかもしれません。まずは国内で十分手に入る米や近海物の魚に慣れておいて、食べるものはなるべく国内産を買うようにすべきです。少しでも市場規模を広げる手伝いをするしか、今の庶民にできることはありません。
外食産業なんかも気になるところですが、それはまた別の機会に回します。今日はこれにて失礼いたします。
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右手をケガしてしまいました
それでも何とかブログの記事を書きたいと思い、携帯電話を使って更新しております。つきましては、しばらくの間ニュース等のコピペが減ること、分量が相当少なくなることをご容赦ください。(前回の記事みたいな感じになります)
ちなみにこれ↓は、パソコンでコピペしてメールに貼り付け、携帯に送った後定型文に保存しました(笑)。
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「発信元=国際機関」だから良いことを言っているわけではない
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20080717k0000m030121000c.html
--------以下引用--------
経済協力開発機構(OECD)は16日、エタノールなどのバイオ燃料の増産は食料価格高騰を招く恐れがあるため、各国は食料と競合しない次世代バイオ燃料の開発促進など、多様な政策を実施する必要があるとする報告を発表した。
報告は、各国が現在のバイオ燃料支援策を維持した場合、13~17年にバイオ燃料生産に利用される世界の植物油や、トウモロコシなど粗粒穀物の割合はそれぞれ14%、12%に増え、それに伴い、植物油価格が19%、トウモロコシが7%、小麦が5%上昇すると予想した。
報告は、バイオ燃料の普及による温室効果ガス削減効果を強調する一方で、ガソリンなど既存燃料と比べて生産コストが高い点や、途上国でのバイオ燃料の原料栽培の拡大が環境破壊につながる恐れなどの問題点も指摘。生産者への税制優遇措置や次世代燃料の開発加速、環境を考慮した農地利用など、多様な支援策を実施するよう求めた。
--------引用以上--------
バイオ燃料高騰を憂慮しながら、温室効果ガス削減効果を強調してしまっています。要するに、物価高につながろうとなんだろうと、OECDはバイオ燃料を推進しますということです。
最近私も気付いたのですが、こういう国際機関のメッセージというものは、「結局何がやりたいのか」だけが重要であって、それに伴う「懸念」や「対策」などは誤魔化しにすぎないということです。今回のOECDのそれは、中でも魂胆が分かりやすい分「良心的」かも知れません。
日本人は特にこのような世界なんとかやら国際なんとかやらの発信するメッセージに騙されやすいので、注意が必要です。自分にとって損や負担につながるものはとりあえず疑うという姿勢でいるべきだと考えます。
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【自給率最低の】 「畑の肉」を大増産しよう!! 【日本の味】
「風説の流布」という行為をご存じでしょうか。
詳しくは●こちらを見ていただくとして、要するに嘘をばらまいて、取引対象(株式など)の値段を上げたり下げたりすることです。悪質な行為なので、刑法上の「偽計業務妨害罪」や金融商品取引法で罰せられることがあります。
もっとも、これは日本国内での話です。世界レベルで影響を与えるほど悪質なのにもかかわらず、逮捕もされなければ非難もされない連中がいるようです。
食品価格の高騰、少なくとも2012年まで続く=ゼーリック世銀総裁
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-32718220080713
--------以下引用--------
世界銀行のゼーリック総裁は12日、食品価格は少なくとも2012年まで2004年の水準を上回り、エネルギー価格も高水準かつ不安定な状態が続くとの見通しを示した。
食品価格と燃料価格が「危険領域」にあるため、最貧国に向けた食品や資金の援助として100億ドル(約1兆0625億円)が必要との見方をあらためて示した。
--------引用以上--------
別にこういう発言があるとすぐに食料品の相場が跳ね上がるわけではないのですが、ニュースとして取り上げられ、世界中にばらまかれることで、「しばらく値段が上がり続ける」という心理状態を形成するのに役立ちます。
もちろん、ゼーリックというオッサンや世界銀行のスタッフは予言者や占い師ではありません。また、2012年まで食糧や燃料の価格が高水準で推移するということを客観的に証明できるわけではありません。それでもこんなことを発表するのは、そういう風になったらいいなと思う人間が、世界銀行やゼーリックの周辺にいるからです。一応断っておきますが、100億ドルの援助などというものは、上記のようなデマを正当なものに見せるためのオマケにすぎません。
ゼーリックは、世界銀行の総裁になるまではアメリカ政府の国務副長官でした。その職を辞した後、先物取引の投機筋に資金を貸し付けているゴールドマン・サックスという投資銀行の幹部に就任しています。
●以前の記事でも、我々はグローリスト(特に国際金融資本)に振り回される運命にあると述べましたが、それが裏付けられるような出来事です。もう、世界の上の方というのは完全にグルになっていると考えてニュースを受け止めた方がいいのではないかと思います。
「畑の肉」にもっと注目しよう
さて、暴風雨と地震がいっぺんに襲ってくるような世界情勢(あくまで人為的なものだが)の中、我が国が出来そうな自衛策は何かと考えれば、とりあえず「食糧増産」しかありません。その中でも、鍵になるのは「大豆」という食べものです。どんな食べものか見てみましょう。
大豆のおはなし~大豆の栄養パワー
http://www.ezaki-glico.net/daizu/nutrition.html
--------以下引用--------
大豆(乾燥)の約30%はたんぱく質です。この大豆たんぱく質は、必須アミノ酸がバランスよく含まれた良質なものです。大豆たんぱく質には、血中コレステロールの低下作用、肥満の改善効果などの生理機能があるといわれています。
また大豆には、脂質、炭水化物、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸など様々な栄養素が含まれます。一方、大豆はコレステロールを全く含んでいません。このようなことから大豆は自然のバランス栄養食ともいえます。
(中略)
1712年にオランダの植物学者ケンペルがヨーロッパに大豆を伝えました。その後ドイツで、大豆は「畑の肉」とネーミングされました。それは、大豆が肉に匹敵する量のたんぱく質を含んでいることがわかったからです。
たんぱく質は人間の筋肉や内臓やなど体の組織などを作っている成分であり、生命維持に不可欠な重要な栄養素です。必須アミノ酸をバランスよく含むたんぱく質を、栄養価の高い“良質のたんぱく質”と呼びますが、肉や卵はこの良質のたんぱく質を豊富に含む代表的食品です。一般に植物性食品のたんぱく質は栄養価が劣りますが、大豆のたんぱく質は肉や卵に負けない良質のたんぱく質です。しかも大豆には他の作物よりずっと多い量のたんぱく質が含まれています。また、大豆たんぱく質の消化吸収率は、納豆で91%、豆腐では95%であり、とても効率のよい食品といえます。
ちなみに、アメリカでは大豆を「大地の黄金」と呼んでいるそうです。
--------引用以上--------
●前回の記事で述べたように、畜養に大量の穀物を消費する家畜の肉は非常に効率の悪いタンパク源です。だから、海洋牧場で魚を育てようと言ったわけですが、そこに大豆も組み合わせるといいでしょう。
「まさか、おまえは肉を食べずに魚と大豆を食べろと言いいたいのか?」という方、ご名答。その通りです。
考えてもみてください。我々は明治時代よりも前にどんなものを食べてきたのか・・・家畜の肉よりも魚、そして豆腐やおから、湯葉のような大豆食品だったのではありませんか?しかも、調味料は塩(これは海水から取れる)を除けば醤油と味噌です。我々の生活はまさに「大豆ありき」だったのです。
それが明治維新以降の欧米化で徐々に西欧化し、大東亜戦争の敗戦後は完全に欧米流の食生活に転換してしまいました。外国に屈服するというのは、自らの文化を捨てることにつながるという良い例です。
それでも、日本人は醤油味のラーメンだとか、和風スパゲッティだとか、そういうものの中に民族の味覚の記憶を生かし続けています。おそらく、肉や乳製品の比重を可能な限り小さくしても、十分に対応できるでしょう。
大豆の増産はできるのか?
しかし、困ったことにこの大豆の自給率はたった5%しかないのです。
その原因はいろいろあります。作るのが難しい作物だという技術的な問題もあるでしょう。寒すぎると豆が出来ない、かといって暑くなると豆が増えすぎて成長不良になります。病気にもそれほど強いわけではありません(品種を選べば克服はできるようだが)。
それに、ちょうど大豆が実る秋に、日本列島に台風が襲ってくるという気候の問題もあります。コメと大豆を比較すると、やはり大豆の方が雨風に弱いというのが現実です。
しかし、何より大きいのは大豆を作ってもあまり利益にならないということでしょう。特に豆類は「規格」が結構厳しいので、実ってしまえばほとんど食べることが出来るコメに比べると圧倒的に効率がよくありません。それならば、安い輸入品に頼ればいいということで、自給率がどんどん減少してきたという事実があります。
そうだとすると、価格の問題がなんとかなれば、とりあえず農家が大豆を作るインセンティブが増えることになります。そこで検討したいのが、「税制優遇」と「所得補償」、それに「休耕田の活用」です。
まず、税制優遇ですが、思い切って大豆を売って得た利益には所得税や住民税を非課税にするというのはどうでしょうか。これなら、領収書を取っておいてあとから申告すればいいので、非常に簡単です。
特に効果があると思われるのは、二毛作の裏作として大豆を栽培する場合です。 これは昔から行われていることで、農水省も最近こんなことを言っています。
自給率向上へ二毛作 裏作麦、大豆を拡大/農水省検討
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=1555
--------以下引用--------
食料自給率を50%以上に引き上げるための重点施策として、農水省が裏作麦や大豆の生産拡大を検討していることが、4日分かった。水田を最大限活用し、米粉・飼料用米の増産と並ぶ「車の両輪」にしたい考えだ。世界的な穀物高騰や、日本の消費者が敬遠する遺伝子組み換え(GM)作物の作付けが主流になる中、国産麦・大豆を振興する好機と判断した。
小麦の自給率は13%、大豆は5%で、輸入への依存度は極めて高い。世界的な穀物高騰による調達コストの上昇で、パンやめんなどの小麦製品が大幅に値上がりし、大豆では非GMの確保が難しくなるなど、供給面での不安が露呈している。
--------引用以上--------
振興といっても、農水省の支援でやれることは限界があります。ここはやはり、国策として税制優遇を行いたいところです。
問題は「ザイセーキンコー」だとか「ぷらいまりぃばらんす」という、達成されたところで一体誰が得するのか全く分からない概念を振りかざしている頭の狂った人たち(代表格は●こいつら)の猛反対をどう押さえるかでしょう。国会質問に局長クラスを引っ張り出してさんざんいじめてやり、「大豆の自給率なんてどうでもいい」という発言を引っ張り出す(マスコミもさすがに取り上げざるを得ない)とか、やりようはあるのでしょうが、基本的には政治家が自信をもって進めるしかないようです。
次の所得補償ですが、要するに農家に奨励金を出して価格競争力や増産への意欲につなげようというものです。実は野党がすでに触れています。共産党や国民新党はとりあえず置いておいて、第一党の民主党の「農業者所得補償」政策について見てみましょう。
農政の理念原則を掲げた「農業者戸別所得補償法案」を参院に提出
http://www.dpj.or.jp/news/dpjnews.cgi?indication=dp&num=12043
--------以下引用--------
民主党は18日午後、参議院に「農業者戸別所得補償法案」を提出した。
法案の目的は(1)食料の国内生産の確保、(2)農業者の経営の安定、(3)食料自給率の向上、(4)地域社会の維持、活性化などの農業の多面的機能の確保。生産数量目標に従って、米、麦、大豆その他の主要農産物を生産するすべての販売農業者に対して、農業者戸別所得補償金の支払いなど、個々の農産物の生産に着目した支援を行うとする内容。
提出後の記者会見で、筒井信隆『次の内閣』ネクスト農林水産大臣は「民主党の法案は小規模農家も含めて集落を守っていくというもの。規模の拡大、その一本で農業の再生を考えるべきでない。加工や流通まで取り込んだ多角化経営を行って、経営が安定している地域もたくさんある。その方向の選択も認めるべきだ」と指摘。
支援内容は政策誘導の部分が大きいこと、「日本農業をこういう方向に持っていきたい」というイメージが明確であることを分かりやすく説明し、大規模農家を対象とする政府の品目横断政策とは、農政の理念原則が根本から違うと強調した。
--------引用以上--------
以前も紹介しましたが、●スイスをはじめ、先進国ではみんなこういう所得補償をやっています。食糧自給率の向上はそれほど大切だということです。「環境ビジネスでは日本はヨーロッパに遅れている」「イギリスやスイスみたいに金融中心の経済にしないとダメだ」とか言ってる欧米かぶれのアホどもが、なぜ欧米では当たり前の農家への所得補償について何も言わないのか、私には不思議で仕方がありません。
少なくとも、「日本に移民を1000万人入れろ!」と吠えている元幹事長さん(次期総裁候補一番手?)が●こんな与太話(一番上の「強い農業」云々のクリックすると飛べます)をしている某カイカク政党より、ずいぶんマシな政策だと言えます。しかし、みんな均等にというのは効果が薄い上に、バラマキという要らぬ批判を受けやすくなってしまうというのもまた事実です。
そこで、この所得補償を「自給率が低く、国際的な価格変動の影響が大きい農作物に重点を置いて」分配する方式にするのです。今日述べている大豆もそうですし、「小麦」や「菜種」なんかもそうです。小麦はすぐに分かるとして、大豆と菜種を同列に扱うのは、この二つは「植物油脂」という非常に重要な物資の原料でもあるからです。
他の作物や畜産からの転作も、支援金をつけて応援すべきです。重要な国家政策のためなのですから、「バラマキ」とか言っている余裕はありません。「でも財源が」とか言っているアホがいたら、「外為特別会計やODA原資を使えばいいだろ!」と一蹴すべきです。
最後に挙げた休耕田というのは正式な言い方ではなく、本当は「耕作放棄地」と言うらしいです。全農地の5%強を占めており、中山間地域に多いのが特徴です。耕しにくい田畑が多いからでしょう。
しかし、これはもったいない話です。特に、田んぼだった場所はもともと養分が豊富な土地が多いのですから、農地として大いに活用すべきです。
そこで、耕作放棄地になっている土地に限って、元来の農家ではない人にも土地を貸し出し、農業をやらせてみてはどうでしょうか。別に作るのは大豆だけでなくても構いません。休耕田で他の作物を生産できたら、その分大豆を作るように生産調整をすればいいので、全体としては大豆の自給率向上に役立ちます。
しかも、期間限定で入会特典をつけます。家賃はタダ、ノウハウは農政局や農協が指導し、タクシーの運転手みたいに、初めの2、3年は給料をやるのです。うまく行かなければまた募集すればいいだけの話です。その程度の金など、●円安相場を演出するためにドル買いして、それをなぜか米国債を購入するのに使っちゃった55兆円に比べたら安いものです。失業率も下がるし、地方の需要も増えるので、公共事業としても有効です。少なくとも、売ることも担保にすることもできない米国財務省証券という紙屑なんかを買うより数百倍マシです。
こういう政策を組み合わせていけば、全てとはいかなくても、相当たくさんの大豆を生産できるようになります。手の施しようがないわけでは決してありません。今のまま輸入大豆の供給がストップしたら、まず大豆油は使えなくなり、醤油や味噌が庶民の手が届かないものになります。そういう状況なのに、牛肉や鶏肉がたくさん食べられるとは思いませんから、タンパク質不足は深刻になるでしょう。
それを防ぐには、作れる分はとことん作るしかありません。予算がどうのとか、効率がどうのとか、そんなことは二の次です。
なるべく国産のものを消費するように心がけながら、選挙の時には、農業を株式会社化しろとか、中国の金持ちに売れるものを作れとか、そういう馬鹿なことを言っている連中(要するに今の二つの与党と民主党前原グループ)の候補を落選させましょう。
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「強い農業」って、なに馬鹿なこと言ってんの?~当ブログは「自エンド」を推進します



左右の分類ほど無意味なものはないと思いますが…
たまに時間があると、私のブログが他所でどのように取り上げられているか、GoogleやYAHOOなどで検索して遊ぶことがあります(笑)。
そうすると、意外なほど多いのが、『日々是勉強』を、「右派」だとか「右」のブログであると評価されている方が意外なほど多いことです。最近、小泉カイカクや自民党清和会を非難する記事が多いため、いわゆる「左」「平和主義」「反自民党」のブログやサイトでそう評価されることが多いようです。中国を盛んに非難しているからかもしれません。あるいは、「話し言葉で歴史を語る」などで、フランス革命を批判し、年中行事や地方の共同体を尊重しているからかも知れません。
また、私を「経済左派」と呼んでいる方もいました。どうも、共産党の労働政策を評価したり、グローバリスト企業の活動を問題視しているからのようです。
どうも、我が国では、以下のような二分法に従って、イデオロギー的な棲み分けが行われているようです。
【右派】
・親米=反中国朝鮮
・軍備肯定(9条蔑視)
・体制寄り=自民党支持
・「文化伝統」の尊重
・自己責任=政府の役割は小さい方がいい
【左派】
・親中国=反米
・軍備否定(9条崇拝)
・反体制=社民党や共産党など野党を支持
・外国の制度や文化(特に北欧)を日本のそれより評価
・福祉国家=政府による国民丸抱えを肯定
多くのブログやサイト、掲示板の意見が、このどちらかに属しています。
しかし、彼らには意外なほど共通点があったりします。それは、
▲基本的に自分と同じ陣営の人間としか意見交流しない
▲反対陣営の発信する情報というだけで拒絶する
▲情報発信者をどういうスタンスか分類・カテゴライズするのが好き
▲その割に、自分は対立意見を理解する用意があることを表明したがる
▲歴史と国際関係を自分の立場から強引に解釈する。ご都合主義の傾向が強い
▲はっきり言って経済や法制度への具体的理解が乏しい
▲意外なほどグローバルなものに対する警戒感が少ない。あったとしても、表面的な現象しか見えていない
▲政治的スタンスの無い一般人を蔑視している
まあ、そういう宗教戦争をやめろとはいいませんから、私をこういう宗派のどちらかの信者名簿(笑)に無理やり登録しないでほしいものです。
当ブログは、「無宗派」なので、是非その内容を何でもいいのでみなさんの人生に役立てて下さい。
【参照記事】
刑法39条の話~「理念バカ」に陥ることの危険性とは
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-38.html
「理念バカ」については、●こちらの用語集もご覧下さい。
【右も左も】茶番劇にはもう飽き飽きなんですが【お腹一杯】
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-101.html
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【情報化社会】プロパガンダは「さりげなく」がいい
その命題を追求するために、地政学研究者が注目するのが、映画やテレビ番組などの「メディア」の役割です。いわゆる「プロパガンダ」というものです。現代は間違いなく大衆社会であり、大勢の国民をいかに操作するかが、相手国の心理的コントロールにとっては重要です。地政学はそういう分野も研究対象にします。
もちろん、この命題は「自国民のコントロール」にも使えます。そうはいっても、いきなり政府高官がブラウン管に登場して国民を洗脳するわけではありません(笑)。いろいろなルートを使って、さりげなく、しかし確実に効果に残る方法で行うのがプロパガンダのコツです。
たとえば、以下の記事は典型的な「プロパガンダ」だと考えられます。みなさんも、一体この記事がどういう意図の下で作られたものなのか、ちょっと考えてみてください。
水道水がおいしくなった理由は?
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0807/09/news074.html
--------以下引用--------
ミツカン水の文化センターの調査によると、「あなたのご家庭の水道水は10点満点で何点ぐらいだと思いますか」と質問したところ、全体平均は7.2点と過去最高の評価だった。
一方で、「現在の水道水について不満を感じていることはありますか」と聞くと、「おいしくない」という回答が最も多く40.5%。以下、「塩素などの消毒剤は体に良くない」(35.8%)、「水道料金が高い」(33.3%)が続く。ただし、「おいしくない」と答えた割合は1995年の調査開始以来下がり続けており(1995年は61.0%)、ここからも水道水の評価が高くなっていることがうかがえる。
その背景には、「1990年代後半から各地の浄水場で、●高度浄水処理が導入されてきたことがある」(ミツカン水の文化センター)という。
高度浄水処理では従来の浄水処理に生物処理・オゾン処理・粒状活性炭処理を加えており、一般処理に比べるとコストが高くなる半面、においや汚染物質をほとんど取り除くことが可能となった。同センターでは、「高度浄水処理を導入してから、大阪などの水道局が水質改善を積極的にアピールしていることも、認識を改めるのに貢献しているのだろう」とも推測する。
今後、日本の水環境はどうなっていくのだろうか。「今から100年後の2108年に水を取り巻く環境はどのようになっていると思いますか」と尋ねると、1位は「環境税が導入されている」で58.0%。以下、「水道料金が高騰している」(49.8%)、「海や川が汚染されている」(45.3%)が続き、料金面での変化を予測する人が目立った。
--------以下引用--------
冒頭の枕部分や、末尾の調査方法についての記述はカットしてあります。どこがプロパガンダかピンと来るでしょうか?
私が考える正解は、ここです。
>「今から100年後の2108年に水を取り巻く環境はどのようになっていると思いますか」
>と尋ねると、1位は「環境税が導入されている」で58.0%。
>以下、「水道料金が高騰している」(49.8%)、「海や川が汚染されている」(45.3%)が続き、
>料金面での変化を予測する人が目立った。
みなさんの周りの人に実際に尋ねてみるといいと思うのですが、100年後に水についての「環境」はどうなっていると思う?ときいたら、その「環境」が悪くなる、要するに水が汚くなると考えるのが普通でしょう。
それにも関わらず、なぜいきなり一番に「環境税」が出てきているのか、ということです。こう言えばもうわかりますね。要するに、この記事は環境税という新しい税を作り出すための布石なのです。
それならば、ストレートに「環境税」を扱えばいいのではないか?と思う方もいるでしょう。実際、スウェーデンでは炭素税という税金が導入されています。●我が国の類人猿代表がサミットで1億5千万円気前よく無駄遣いしたように、チキューオンダンカ(別名「エコエコ詐欺」)は国家全体を相手にした割のいい詐欺ビジネスモデルになり始めています。
しかし、それを前面に出さない方がいいのです。あれだけやるぞ、やるぞと言って(財務省が言わせて)いながら、いまだに消費税の税率を上げることすらできないのですから、国民に負担を強いることは非常に難しいことなのです。特に、今の時期は、いまだに進行中の「小泉カイカク」によって、東京とその周辺以外の各地で需要が破壊されて疲弊しているので、なおさら言い出しにくいということが言えます。
だから、あたかも自然現象のように、どうしようもなくやってくるものなのだと思わせたいわけです。自然に進行するものだとすれば、心理的な抵抗は少なくなります。
新聞やテレビを見ていると、「世界的な経済のグローバル化という流れから見て」「経済のグローバル化は避けられない以上などという前置きがやたらとたくさん用いられていることに気づきませんか。これも、同じ手口です。規制緩和や外国資本の大幅導入など、人為的に進められているものごとを、あたかも台風や地震、気候の変動のように避けられない出来事だとして、受け手の思考を停止させてしまうのです。
さらに、今回の記事のミソは、前振りとして、「水道水に高度浄水処理を施すようになって、水がおいしくなった(と言っている人が多い)」という調査結果が用いられていることです。
これは、悪質なプロパガンダによく用いられる手口で、「最初に」「少しだけ」「毒にも薬にもならない話題で」一見して結論と関係のありそうな事実(撒き餌)を置いておくのです。そうすると、だいたいの人が撒き餌に対して「うんうん」と頷いた勢いで、最後の方の結論にも「うんうん」と納得してしまうものなのです。
今回の「水道水に高度浄水処理を施すようになって、水がおいしくなった(と言っている人が多い)」という撒き餌の部分は、以下のようなに分解できます。。
高度浄水処理を導入した→料金が高くなった→しかし水道水がおいしくなった
すると、受け手の頭の中には、
料金が高くなったが、その代わりにいいことがある
という抽象化された情報が残ることになります。
そこで、環境税の話が出てきたら、どうなるでしょうか。あまりものを深く考えない人だったら、以下のように考えると思います。
環境税の導入→料金が高くなる→しかし環境にはいい
「環境」というイメージはもはや勝手に一人歩きしていて、絶対的といってもいいほどプラスのイメージを持っていますから、たいていの場合はこういう受け止められることになります。
しかも、やっかいなのは、冒頭の撒き餌が嘘ではないという点です。ここに「宇宙人と戦争になったらお金が必要だ」みたいな話を置いておいたら、多分誰も馬鹿馬鹿しくて見ないでしょう。
こういうプロパガンダに足下をすくわれない方法をお教えします。
まず、冒頭のおいしい話、面白い話は「撒き餌」であって、これに食いついてはいけないのだと知っておくということです。上等な詐欺師は、撒き餌で寄せて、結論で釣り上げるのです。誰も騙されたいと思う人間はいないでしょうから、こういうものだと知っておいて損はないでしょう。
さらに、まず結論の部分を先に読んでみるということです。今回の記事であれば、「水道水がおいしくなった」というタイトルを見たら、すぐに最後の部分を読んでみることです。そうすれば、「なんでいきなり税金の話になっているんだ?」という違和感を覚えることでしょう。
その違和感の方が生きていく上で役に立つということです。文章を上から下に順番に読んでいって、何を言っているのか読み取ろうという「まじめ」な態度では、プロパガンダを仕掛ける側の落とし穴にまんまとはまることになってしまいます。
やっかいなことに、学歴の高い人ほどその落とし穴にはまりやすいのです。そういう人は、真面目に文章の論旨を理解することでステータスを築いてきたという誇りがあり、今回の記事のような謎かけっぽい文章だと、その論旨を理解しなければ「理解力が足りない人間だと評価される」と勝手に思ってしまうからです。
たとえて言うなら、入試の読解問題をきちんと読み、論旨をとらえて、解答するときは本文中から根拠を拾ってくるタイプが騙されるということでしょうか。私自身がそういうものを促進する職業なので、こんなことを言っていいのか分かりませんが、そういう態度を社会に出てからも貫いていると、かえって騙されやすくなるということです。
国語の読解など、ただの言葉を使ったゲームだと割り切って、「出題者はこれとこれを迷わせようとしたんだな。アホか、そんなの騙されるか」という態度が一番いいのだと思いますが、優等生というのはなかなかそうは行かないようです。難しいものですね。
私など、せめて子供たちに、世間でよく言われていること(大抵は権力側の補強)を暗記して、そのまま人にぶつけるような人にはなってほしくないと思って授業をやっていますが、どこまで分かってもらえるかは自身がありません。
人間は日々生活していかなければならないものですから、そういうものを犠牲にしろ、ひもじくても辛抱しろ、というような論調には何かしら違和感を覚えるはずです。
そのような言論に、いろいろと理由をつけて賛成しろ、納得しろ、という圧力がかかってくると思うのですが、そんなものにいちいち取り合う必要はないということです。ブログではありませんが、アクセス禁止にするなり、スルーするなり、やり過ごすことが必要です。
あとは、同じ違和感を抱く人と連帯することです。プロパガンダに勝つには独力では難しいので、同じ感覚の人たちと一緒になって声を上げることですね。ああ、別にどっかの団体みたいに、拡声器持って抗議文を手渡すとか、そんなことはやらなくていいですから(笑)。
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【自由競争の】またウナギか!!もういい加減にしてくれ・・・【当然の結果】
以前も●ウナギの話題を扱った記事を書きましたが、どうもこの食材には問題が尽きないようで、夏が近づくと必ずこういうニュースが出てきます。
中国ウナギを「四万十川産」…茨城の通販業者に改善指示
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080704-OYT1T00424.htm?from=navr
--------以下引用--------
茨城県は4日、中国産ウナギを「四万十川産」と表示してインターネットで販売するなどしたとして、同県神栖市のインターネット通信販売会社「サンシロフーズ」に対し、日本農林規格(JAS)法と景品表示法に基づき改善を指示した。
同社はインターネット上の仮想商店街「楽天市場」で「四万十川産特上うなぎ2枚セット」を2880円で販売。人気を集めた商品に贈られる「グルメ大賞2007」に、水産物部門で選ばれている。
高知県の四万十川は、全国有数のウナギの漁獲量を誇り、「ブランドウナギ」として人気が高い。
--------引用以上--------
今回の大きな問題は、値段が安く、いかにもチュウゴク産であろうと思われるウナギではなく、相当高価で、ブランドをつけたウナギすら偽装の対象になっているということです。
こういう問題が出てくると、すぐに業者の倫理性を問題にする声が上がります。ワイドショー(最近ほとんど見ていないが)やブログの記事なんかを見ると、そういう指摘がほとんどを占めています。しかし、そういう意見に意味があるとは思えません。偽装が出てくる根本的な問題を知らなければなりません。
上で挙げたような、経済主体の倫理性を問題にする意見の多くは、「嘘をついてまで利益を上げようとする人間は悪人である」という価値観に支えられているのは間違いありません。私が言いたいのは、その認識からしてそもそもずれているということです。
人を騙すことを快感だと思っている人間などほとんどいません。騙してカネを儲けることが大好きだという人間なら、詐欺師をやっているはずで、ウナギやブランド牛なんて売ったりはしません。そうやって利益を出すことが必要な状況に陥っているから、反道徳的な経済活動をせざるをえなくなっているのです。
その一番の要因は「金利」です。全てを自前のカネで運転できる企業などほとんどなく、多くの企業が借入金に頼って活動しています。この借入金には、必ずといっていいほど金利がついており、その分余計にカネを返済しなければならないわけです。
この金利によって借金が大きくなっていく割合を、事業利益が上回れば全く問題はないのですが、多くの企業がそのような良い状態にあるには、国内でそれだけ多くのカネが循環していなければなりません(総需要の拡大)。当然の話です。
このような総需要の拡大がないままに企業努力をしても、結局限られたパイを奪い合うだけになり、利益が十分に上がらなくなります。そんな中で企業が生き残ろうと思えば、どうすればいいのでしょうか?おそらく、価値のないものをあるように見せかける行為(詐欺や偽装)に走ることになるでしょう。
昔と比べて企業の不祥事が多く発生するようになっている背景は、端的にいえば総需要の縮小とそれに伴う競争の激化です。少ない椅子を巡って激しい椅子取り合戦が繰り広げられているわけで、フライングや他の参加者の妨害をやりたくなるインセンティブは間違いなく高まっています。
こういう現状を改めるには、根本的には総需要が拡大するしかありません。具体的に言えば「減税」と「金利の引き下げ」を行って、設備投資と賃金の増加を生じさせることです。そうすれば、高価な国産品へ向かう購買力ができて、デフレ輸入されたチュウゴク産を買おうという消費者のインセンティブが低くなります。
しかし、いまさら●所得倍増計画をやろうと言っても、「企業が自己責任で自助努力すればいい」とか「昔と違って日本人が汗水たらして働こうとしないからいけないんだ」とか、「インフレになると金利が上昇して財政破綻する」とかいった声が高まって、政治家が折れてしまうという状況になる可能性が高いのも事実です。
そんな状況の中でも、なんとか真面目な業者が損をしない仕組みを考えてみます。
(1)産地表示を都道府県単位ではなく「市町村単位」にする
私がいつも疑問に感じているのは、「魚沼産コシヒカリ」のように、一体どこを指しているのかわかりにくい抽象的なブランドが、PR方法の一つとして横行していることです。
たとえば魚沼地方(新潟県中越の山寄り)で作られたからといって、そのお米が良い環境や適切な管理によるものかどうかは分かりません。極端な話をすれば、魚沼地方のある場所だけが突出したコシヒカリを栽培できる一方で、他の地域は手抜きをしているという可能性だってあるのです。かりに産地が偽装されたり、品質が著しく劣る商品があったとしても、「魚沼っていっても、たくさんコメ農家があるからねえ」で終わってしまう可能性があります。
しかし、「十日町産」だとか、「魚沼市(旧小出地区)産」だといえば、もし不良品が混じっていた場合に狭い地域が矢面に立たされることになるので、地域の誇りをかけてコメ作りに取り組まざるを得ないわけです。
誤解しないでもらいたいのは、これによって産地に優劣をつけて、競争を促せなどということではありません。気候条件から、あまりおいしくない作物を作らざるを得ない地域でも、誠実に仕事をしてもらいたいということです。うちは魚沼、俺のところは四万十だから、黙っていても売れるという姿勢で、生命の維持に関わるものを作らないでほしいということです。
卸売りの段階で一定の量を確保するために混ざってしまうということが起きるのかもしれませんが、そういう場合は「生産市町村は不明」ということを明記させるべきです。
もちろん、こういうものを担保するために、不正競争防止法にはきちんと罰則をつけるべきでしょう。現在は刑事罰の対象が営業秘密の漏示などに限定されてしまっており、自由競争の弊害防止という法律本来の趣旨を実現できていません。
野党も、ほんとうに国民生活を考えているというなら、こういうものを公約やマニフェストに入れて選挙の解きにアピールすればいいんじゃないでしょうか。与党にはもう何も期待していませんので別にそんなことは望みませんが・・・。
もっとも、「○○県○○町産」という表示を偽装したら、その自治体から民事訴訟を起こせるようにしておけばいいという気もします。「魚沼産」では、訴訟主体がどこになるか判然としませんが、「魚沼市小出地区産」なら、その地域の農協が訴えを提起できます。「我が町の名誉を毀損した」ということで、訴えの利益(訴訟をやる意味)も認められやすくなります。
(2)産地情報の表示をIT化する
一番簡単なのは、QRコードを使ったものです。正方形の中にあるモザイクみたいなバーコードをカメラで写すと、特定のURLへジャンプする仕組み(詳しくは●こちらのリンクを参照)で、最近の携帯電話であれば読み取り機能が必ず付いています。活用例もちゃんとあります。
食の安全とQRコードの関係
http://bizmakoto.jp/bizmobile/articles/0505/13/news066.html
--------以下引用--------
NTTドコモは5月13日、「食の安全に役立つ携帯電話~バーコードを読み込んで、野菜の生産履歴を知る~」と題したレポートを公開した。
紹介しているのは、JA茨城県中央会が実施している、携帯電話とQRコードを利用したトレーサビリティ(生産履歴情報)の例。
JA茨城県中央会では、茨城県、JA全農いばらき、社団法人園芸いばらき振興協会と共同で、農産物にQRコードと8桁のカタログナンバーを付したラベルを取り付けている。
(中略)
JA茨城県中央会は2003年より、Webサイト「いばらき農産物ネットカタログ」を公開しており、この中の「生産履歴情報照会」というページで8けたのカタログナンバーを入力しても同じ情報が得られるが、携帯電話を持っていれば、店頭などでも消費者が情報を得られるQRコードのメリットは大きい。また、消費者だけでなく、生産者にとっても「厳しい目にさらされることで、いままで以上に品質の良いものを作らねばという気になる」などの声が上がっているという。
--------引用以上--------
生産者側に、この仕組みを義務化すればいいのです。いきなり全ての品目や加工食品では厳しいでしょうから、まずは特定の野菜から始めればいいでしょう。ICチップを埋め込んで、タッチするだけで通れる定期券が実用化できたのですから、それほど難しいことではありません。過当競争になっているIT業界にも、一定の需要創出効果が望めるでしょう。
お年寄りや携帯電話を持っていない人はどうするんだ?という意見(たいてい普段年寄りや少数派の利益など考えてもいない人間から出てくる)もありそうですが、コンビニやスパーにQRコードをそういう端末を置けばいいだけの話です。
それ以前に、全てQRコード化しなくても、産地を商品の帯や裏面に表示できれば何の問題もありません。文字による表示とQRコードと、同時並行でやればいいのです。
こういう仕組みを導入すれば企業側が困るのではないか?という突っ込みに至っては、本末転倒です。どこの誰だか分からない人間と友達になりたがる人間などいません。口に入れるものだって同じでしょう。いろんな経済主体(卸売り、メーカーなど)を経由しているから訳が分からなくなっているだけです。
もっとも、これでも根本的な解決になるとは思っていません。今の経済が利益を生むことだけが善だと考えており、企業が金利に追われながら市場を拡大しなければならない現状があるかぎりは、いずれは破綻するでしょう。
(3)地域通貨で、顔の見える範囲で食べものを買える仕組みを作る
最後はやはりこういうところに落ち着くしかありません。
考えてみれば、四万十川のウナギ(実際は中国生まれだったわけだが)をなぜネットで販売して全国に配らなければいけないのかというと、そうやって貨幣を獲得しなければ生活できないからです。自分の所で食べものを作ればいいのでは、とも思いますが、肥料だとかエネルギーだとか耐久消費財を得るためには、日本円が絶対に必要です。
特に、貨幣の蓄積が少ない地方部では、どうしても東京や大阪に物を売って貨幣を「奪ってくる」しかないのが実情です。まるで、アフリカのどこかの国が、商品作物ばかり作って外貨を獲得しなければ、アメリカやアルゼンチンから小麦を買うことができないようなものです。
そうではなくて、自分のところで作れるものを作り、それを小さな範囲で循環させるのです。そうすれば、偽装をしても直接文句を言いに行けますから、不正をやる人間は激減するはずです。
それを日本円でやろうとしても、どうしても貨幣が貯まりやすい東京や大阪による「収奪」を免れることはできません。だからこそ、その地域でしか流通しない通貨を作るしかないのです。そうすれば、自分の所で必要なものだけを作るという状況が生まれてきます。
そうなると、今のように途上国の人間の活動力をカネで買いたたいて楽しく生活するのは難しくなりますが、そのような状態の方がそもそも異常だということに気づかなければいけません。
なんだ、ここの管理人が言っていることはいつも同じだな、と思うかもしれませんが、そうなるのは当たり前なのです。結局、今の日本や世界で問題になっていることは、カネがカネを生む近代経済の仕組みから生まれてきているからなのです。
こんな状況では、いくら物を作る側に倫理や道徳を求めても無意味です。結局、カネを持っている連中(銀行や商社や外国資本、それらの手先である政府)には勝てないようになっているのです。
そうだとすれば、とりあえず(1)や(2)の方法で、あまりにも異常な競争経済に歯止めをかけつつ、(3)のような手段で戦う土俵をずらすしかありません。そのために何が必要かを考えることが、国民に課せられた課題です。自分の思想にこだわって、相手を叩く作業に没頭している場合なんかではありません。
特に何もなければ、次の記事はお約束通り、大豆と農業の話に移りたいと思います。
★参考記事
土用の丑の日とグローバリゼーション
http://blog.goo.ne.jp/roro_football-lover/e/1c4ed9e37fb964255131564184915337
2007.10.29(Mon)
食品偽装の真の原因~人間のための経済を取り戻せ!
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-62.html
「循環を早める」ということ
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-105.html
情報という武器を握る人びとと、我々の文明の未来
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-123.html
「お金」を人と自然に優しいものに変える方法(減価する通貨が導く近代超克への道)
http://blog.goo.ne.jp/banabuna/e/fa76fe260b42462bee53973113151764
減反を阻止できる自然主義経済(平和党ブログより)
http://blog.goo.ne.jp/heiwatou/e/7d103a136c054a57bd39001aa31c1518
利潤なき経済社会16~財の特性や借り入れについて
http://sun.ap.teacup.com/souun/913.html
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【食糧危機】日本人よ、海に目を向けよう!!
全世界の穀物の4割が向かう先
さて、私は前回の最後に、「タンパク質」が鍵だという話をしました。その理由は、この栄養素を作り出すために、膨大な食糧が消えているという現状があるからです。
日本は、食糧自給率が低い国だと言われています。カロリーベースで計算して、だいたい40%です。サミット参加国中最悪の数字です。なお、金額ベースで表す計算もあります(こちらだと70%)が、外国から自由にものが買えなくなれば意味がありません。
しかも、この40%という数字は非常に重要な数字を取り除いた「上げ底」なのです。それは、畜産を行う際に消費される輸入飼料です。
日本の食糧事情で一番問題なのは、この飼料の自給率が低いことです。少々古いデータですが、平成15年で24%しかありません。特に、早く肥育するために必要な「濃厚飼料」というカテゴリーは10%と非常に低くなっています。
これは日本に限った話ではありません。なんと、全世界の穀物の4割が飼料用として「消費」されているという現状があるのです。面白い話があったので、ご覧下さい。
「あいのり」が飢餓問題の本質に迫る
http://hideyukihirakawa.com/blog/archives/200411/300034.php
--------以下引用--------
メンバーたちは、アフリカのマザーテレサと呼ばれているアベベック・ゴベナさん(67歳)が営む孤児院を訪れ、アフリカの飢餓の実態、日本など先進国の利害が深く関わる「飢餓はなぜ起こるのか?」を聞かされる。
(中略)
さて、緑の革命の問題に突っ込んだあと、次はいよいよ「肉食」の問題に話は進む。実は、ここまで見ていて、「ここで肉食の問題までいったら、すごいもんだけど、無理かなぁ」なんて、夫婦二人で半ばあきらめていたのだが、「あいのり」スタッフはなかなかやる。
世界中で生産される穀物は一年に20億トン。
これは世界の人口、63億人の2倍以上の人が食べていくのに十分な量のはずである。
しかし、先進国の人々は貧しい国の4倍もの穀物を消費している。その為、貧しい国の人々には十分な食糧が行き渡らない。
世界で一番穀物を輸入しているのは、日本!世界全体の10%の穀物を輸入している。
しかし、日本人が直接食べるのはこのうちたった3分の1だけ。残り3分の2は家畜の飼料となっている。
外国では肉牛は草を食べて育つことが多い。しかし・・・霜降りの肉が喜ばれる日本では、肉牛は穀物のエサで育てる。肉に脂がのっておいしくなるからだ。
おいしい霜降り和牛1キロを作るために牛は8キロの穀物を食べさせられるのである。焼き肉店でおいしい和牛のカルビを食べるということは、たくさんの穀物を食べてるのと同じことなのである。
ちなみに、この話の中では、日本の肉牛生産による穀物の過剰消費だけにスポットが当たっているが、実をいえば、世界全体でみても、穀物生産量全体の40%は家畜飼料である。「外国では肉牛は草を食べて育つことが多い」とあるが、穀物生産大国アメリカなどはがんがん穀物飼料を牛や豚に与えている。自国だけでは足らず、アマゾンの熱帯雨林まで切り開いて、大豆を作らせたり、牧地を広げている。
--------引用以上--------
例として挙がっている和牛などまだましなほうで、平均すると牛肉1キロを作るために11キロの飼料作物が必要なようです。なんとも馬鹿げた話です。
私は肉の脂が大嫌いな上に、輸出相手国の基準に合わせず●プロパガンダで国民を騙して牛肉を売りつけようとしてくる連中に対して反発したい気持ちがあるので、牛肉は3ヶ月前に親戚に「今半」で和牛のすき焼きをごちそうになっただけで、あとは全く口にしていません。周りには「アホか」と言われることもありましたが、どうやら人間としては間違ったことをしていなかったようです(笑)。
飼料の生産を増やせばいいではないか、という人もいますが、そういう問題ではありません。だいいち、今現在これだけ食糧が高騰しているというのは、各国が増産しようにもできないという事情がある(アメリカのように「バイオエタノール」という無用の長物のために転作している国もいる)からです。日本が、同じ土俵に上がってもダメです。
そもそも、家畜の大規模生産がなぜ始まったのかというと、穀物がデフレになるのを防ぐためです。できの悪い飼料を正規の市場に出さず、あえて穀物用として売りさばくことで、値崩れを防止してきたというわけです。
つまり、発端からして金儲けであるわけで、日本は戦後そういう「世界の流れ」(笑)に完全に乗せられてしまったのだということができます。もちろん、日本が馬鹿だったというのもありますが、大半は飼料用穀物と輸入食肉を大量に日本に買わせたいどこかの国の思惑です。もう、いい加減そういう状況から離脱すべき時が来ているのではないでしょうか。
国産の飼料を増やす(たとえば、飼料作物用のコメを生産する)という考えもありますが、正直あまりよろしくない考えです。費用対効果を考えて有効ならばそういう取り組みはずっと昔から行われているわけです。それを今から無理矢理やろうとしても、税金の無駄遣いに終わるだけでしょう。
だいいち、コメというのは人間が食べるべきものです。そんなことをするくらいなら、もっと有効な税金の使い方をして(のちほど詳述)、他の作物を作った方がよほど日本人の栄養のためになります。
浪費に支えられた畜産はやめよう
高級品と言われる和牛にしても、輸入したものをガツガツ食べて身体に霜降りの脂肪をつけているわけで、結局どっかの国で●ホルモン剤漬けになって飼料をアホみたいに食わされた牛肉と育ち方はたいして変わりません。
豚肉や鶏肉にしても、輸入飼料の浪費を軸にして生産が成り立っているわけで、人が口にすべきものを家畜様が口にしているという構図は変わりません。飼料の購入に補助金をつけてもムダです。今の価格高騰に対応できるかどうか疑問ですし、いわゆる「カイカク派」といわれる人間たちやマスコミから「税金のムダだ!」という攻撃を受けてしまいかねないからです。
そうなると、もう、考え方を変えなくてはダメです。家畜以外の、飼料作物を大量消費しないタンパク源の地位を向上させるのです。
まず、家畜は粗放飼料(牧草など)を原則にして、大量の輸入が必要な「濃厚飼料」には課税するといいでしょう。その上で、過放牧がないか農協や都道府県の農政課が監視すれば、自然がまかなえる範囲で無理のない畜養ができます。今でもそういう風にして牛を育てている農家はちゃんといます(たとえば●肥後のあか牛。もっとも、ここでも濃厚飼料を全廃できてはいない)。
そのような自然な牧畜が不可能だというなら、廃業保証金でもつけて畜産をやめてもらった方がいいでしょう。輸入飼料に依存して、粗放飼料の手に入らない場所で畜産をやるなどというのは、自然の理に反しています。砂漠の真ん中にパイプラインや電線を敷いて、人口都市を造るのと同じです。
早く大きく育てなければ競争にならないという論理もたしかにわかるのですが、そうやって作り出されたタンパク質が窮地を招いているのです。このまま行けば飼料の高騰によってどのみち廃業は免れない状況が出てきます。それならば、粗放飼料をメインにする方向に舵を切った方がいいのではないでしょうか。
もっとも、実は飼料を大量に作り出す方法がひとつ残されています。後で詳しく述べます。
「海洋牧場」の可能性
しかし、それを急に進めてもいけません。失業者が大量に出てしまう上に、国民のタンパク源が不足することになるからです。平行して、新しいタンパク源を確保する政策を行わなければなりません。
その切り札になるのが、「海洋牧場」です。
海洋牧場のモデル図については、●こちらのリンクを見ていただけるとよくわかります。要するに、魚を幼魚の段階から音波を使って「餌付け」してしまい、海の中で育ててしまおうという発想です。
この発想の優れている点は、人工的に作り出した飼料をほとんど必要としない点です。海の豊富な給養力を利用してしまおうというわけです。
具体的に言えば、まず海洋深層水を海水面近くに持ってくることです。海洋深層水はほぼ無尽蔵にあるといっても過言でない最後の資源であり、これを表層に汲み上げてプランクトンの増殖を促進します。
さらには、小魚や海藻にとって住みやすい環境を作り出すために、人工漁礁を利用します。波の影響を受けにくく、隠れ家のある岩場と同じ環境を作り上げるわけです。
こうすれば、魚は海の中で勝手に育ってくれます。貴重な淡水を暴力的に消費し、農薬を大量にしようして作り出した飼料で作られた畜産物より、地球環境に優しいことは間違いありません。そして、このような技術は、すでに実用化されています。
倉敷にも海洋牧場を整備へ
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200805230085.html
--------以下引用--------
岡山県は本年度、西日本最大級とされる約800ヘクタールのアマモ場がある倉敷市の味野(あじの)湾で、海洋牧場の整備に着手する。西部の笠岡市白石島、東部の備前市日生町に次ぎ、県内3カ所目。広域的に漁場整備を進め、水産資源の供給増を図る。
海洋牧場は、稚魚の段階から音響装置を使って餌付けし、人工漁礁や藻場の造成などを通し魚の成長に応じた生息場を整備する。白石島では、県が1991―2001年度に、沖合350ヘクタールに総事業費21億円で牧場を整備。笠岡市でマダイなど6種類の漁獲量が約2倍に回復する効果を挙げている。
--------引用以上--------
今現在は沿岸漁業の主力産品である「マダイ」や「クロダイ」に止まっているようですが、結局養殖が出来る魚なら、適切な規模さえあれば全てこのやり方で生産ができます。たとえば、以下のような魚も畜養可能になるかもしれません。
クロマグロ完全養殖成功から1年。
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/000200/ren/web/ren7/maguro.html
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1970(昭和45)年、水産庁はマグロ養殖プロジェクトを打ち出す。近畿大学の他、幾つかの大学や試験場が挑戦したが、試験研究期間後も近大は独自に研究を続けた。「何しろ難しい」と、近大水産研究所長の農学博士・熊井英水さん。稚魚は特に皮膚が弱く、手でつかんだだけで死んでしまう。繊細で、車のヘッドライトや船のエンジン音、水の濁りですぐパニックに陥り、イケスの網に衝突する。「隣のイケスのタイやハマチは平気なのに」とスタッフを嘆息させた。「しかし生物には適応性がある」。それは、ハマチに始まりシマアジ、クエ、ブリ…、ありとあらゆる魚の養殖で培ってきた経験と技術の蓄積に裏打ちされた自信だった。そして遂に3代目が孵化。32年の月日が経っていた。なお、この研究は、文部科学省による世界最高水準の研究教育拠点づくりを推進するCOE(センター・オブ・エクセレント)に選定された。
--------引用以上--------
この前後に、マグロのえさ代に1年数百万かかるというくだりがありますが、その餌を海洋牧場で供給できるようになれば最高です。日本は水産物の自給が半分しかない国ですが、その多くがカタクチイワシなどの養殖用の飼料だからです。
ホンダワラが日本を救う?
魚だけではなく、海藻を育てる「海洋農場」も同様の発想でできます。こちらはタンパク質ではなく、ミネラルの供給源として有効です。
私が今後、海洋農場の主力になると踏んでいるのは、「ホンダワラ」という海藻です。なぜなら、ホンダワラは「飼料用海藻」「肥料」「バイオマス・エネルギー源」という、日本が渇望している資源に転用できるからです。
たとえば、飼料用や肥料用ホンダワラは、今でも粉末として用いられていますが、残念ながら輸入ものです。日本人には「海藻=口に入れるもの」という意識があるためか、ホンダワラのような飼料用海藻の栽培が行われていません。しかし、周りが海だらけなのですから、やろうと思えばいつでもできます。
ホンダワラの栽培は、もちろん昆布同様海の「世話」は必要ですが、どこか別の所からエネルギーを奪ってくる必要がないというのが最大の魅力です。海には陸地から絶えずミネラルが流れ込んでいるので、それだけで海藻の栽培には十分なのです。
しかも、このホンダワラは近い将来エネルギー資源としても使えそうなメドが立ってきました。以前も紹介しましたが、以下の記事をご覧下さい。
「海藻からバイオエタノールを400万トン/年生産」水産振興会構想発表
http://www.gamenews.ne.jp/archives/2007/05/4002013.html
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農林水産省所轄の財団法人【東京水産振興会】の研究委員会(座長・酒匂敏次東海大名誉教授)は5月9日、バイオエタノールを海藻(かいそう)から大量に生産する構想を発表した。同振興会の調査研究委員会がまとめたという。
元記事によると海面に浮かべた網でアカモク(ホンダワラ科)やコンブなどの海藻を、海中に浮かせた巨大な網にタネや苗を植えて養殖し、工場も洋上に建造。その工場で海藻を材料としてバイオエタノールを生産するという。
この仕組みでは原材料の調達コストが現在バイオエタノールの主要材料であるとうもろこしやさとうきびなどの穀物と比べると安く、新たな技術開発も少ないため、ハードルは比較的低いとされている。また、食糧との競合も避けられるので、現在すでに影響が出ている価格全体の引き上げなど、食糧方面での悪影響も防げるメリットがある。
試算では日本の領海と排他的経済水域(EEZ)をあわせた海域約447万平方キロメートルのうち1~2%を用いるだけで年間1.5億トンの海藻を養殖でき、この海藻から400万~500万キロリットルのバイオエタノールが生産できるという。これは現在の日本国内のガソリン使用量の約1割にあたるとのこと。
当計画では2013年頃から実証事業を始めるべく各方面に働きかけをしており、漁業者や民間企業が事業主体になることを想定しているが、スタート時は国の事業とするように、国に働きかけるという。
--------引用以上--------
2013年から実験などと悠長なことを言っている場合ではありません。今すぐ始めなければダメです。そうは言っても、グローバル経済派に乗っ取られている自民党や、外国の意を受けて活動している公明党ではこんな政策は推進できません。野党各党は「海藻バイオマスによるエネルギー自給率アップ」を選挙公約の中に入れて、大々的にアピールすべきです。
このような海洋牧場や海洋農場を、日本中に作ればいいのです。離島でやれるようになれば、雇用対策としてもこれ以上のものはありません。税金のムダという「カイカク派」「公務員叩きマニア」に対しては、上に挙げたようなマグロののように、一般人に受けのよいネタを入れてマスコミを味方につけて対抗すればいいでしょう。なにしろ、輸入飼料に依存しないタンパク質の自給という素晴らしい目標があるのですから、臆する必要などありません。
こういうことをいうと、「それじゃあ内陸部の農村はどうすればいいんだ」という意見が出てきそうです。
しかし、畑でもタンパク源が作れることをお忘れではありませんか。そうです。「大豆」です。
次回はこの大豆を軸にして、農作物の自給についても考えていこうと思います。
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