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2008.04.20(Sun)

【世界激変】米中ダブル崩壊の日は来るか(6)~一粒で二度おいしい「戦争」 

  ●前回の続きです。アメリカが戦争で経済を立て直すとはどういうことなのかについて述べたいと思います。

  戦争というのは、みなさんもすぐイメージが浮かぶと思いますが、弾丸が飛び交い、建物が爆破されたり、人が死んだりするやつです。できることなら、巻き込まれたり、当事者になったりしたくはないと思っている人がほとんどでしょう。
  しかし、その戦争には「需要創出」という大きな効果があるのだといったら、驚く人も多いかもしれません。戦争が起きると、ものが売れたり、失業者が減ったりするのです。
  戦争による需要創出には、二つの側面があります。

(1)軍需の増大

  戦争向けにたくさんの物を作ることで、需要が拡大するということです。たとえば、戦闘機を1機作ることになったとすると、それぞれの部品(機械工業)、外側の装甲(鉄鋼業)、コクピットのガラス(窯業)やパネル(プラスチック=石油化学工業)といったように、様々な工業製品を用いることになります。そうだとすると、戦闘機が作られれば作られるほどそれらの工業に発注される仕事が増えるわけです。
  それだけでなく、軍隊が消費する消耗品もたくさん売れます。衣類、食料品、工具、それに陣地や宿営に用いる資材などです。そう考えると、戦争というのは巨大な消費活動ということもできそうです。
  我々の日本も、朝鮮戦争(1950~53、現在停戦中)の期間中、アメリカ軍の軍需物資によって特需が発生し、これが復興を早めました。冷戦をうまく利用して漁夫の利を占めたわけです。もっとも、非武装を盾に経済発展に国力を集中させるという作戦がうまく行きすぎて、結局今に至るまでいびつな形の軍備をせざるを得なかったわけですが・・・。
  ●以前の記事で、アメリカの全就業人口のうち、製造業はたったの13%だという話をしましたが、その製造業の多くがこのような軍需に携わっています。軍事技術は国の安全保障に関わりますから、外国企業に任せるわけにいきません。そういうことで、軍需産業だけはしぶとく生き残ってきたのです。
  もちろん、そういう需要は税金で作り出されています。「公共事業」という形でも可能なのですが、たとえばダムや道路の工事には地形や物理的な制約があるので、そこまで多額のカネを使うことはできません。また、アメリカも昨今の日本同様、公権力による支出には非常にうるさい国なので、単なる公共事業では税金の使用を正当化できないのです。
  アメリカで、いわゆる9・11(同時多発テロ)以降のアフガニスタン・イラク戦争にかかっている戦費は約3500億ドル(36兆円)にもなります。東京都にある電柱を全て地中に埋めても3兆円で済むそうですから、相当大きな需要が生まれたことになります。
  不謹慎な言い方ですが、軍需産業にとっては、テロリスト様々なのではないでしょうか。

  また、単純に「軍人」という形で失業者を吸収することもできます。日本では、朝鮮戦争の途中に、アメリカの支持で日本に「警察予備隊」(75000人)と「海上保安庁」(8000人)がt作られたおかげで、かなりの失業者を吸収できました。特に、戦うことが仕事で、復員が難しい元来の職業軍人の多くが再就職先を見つけることができたといえます。

(2)復興需要

  戦争によって攻撃を受け、荒廃してしまった相手国を「復興」させるために、援助や支援金としてつぎ込まれるお金で、仕事を作るということです。(1)が主に製造業なのに対して、こちらは主に建設業が中心となります。
  この原型は、第二次世界大戦にあるということができます。二度の世界大戦直前の世界は、結局各国の工業力が発展して過剰生産状態になっていたので、もうこれ以上物を売れる状態ではありませんでした。だからこそ、日本は大陸に、ドイツは東方に活路を求めたのです(それ自体が妥当だったどうかはここでは問題にしない)。
  そして、それらの国々と連合国の間で激戦が行われ、日本やヨーロッパは焦土と化しました。しかし、これによって建設や機械製造の需要が生まれたのです。もともと建物があったのを解体屋に壊してもらって再築するのでは正当化が容易ではありませんが、焼け野原になってしまった場所に新しく近代的なビルを建てるならほとんど問題はありません。
  このやり方で一番合理的なのは、戦争を仕掛ける政府と、それによって焦土となった国の復興事業を受注する企業がグルになることです。自国の税金で足りないなら、他の国に「復興と平和のために」といってカネを出させれば済む話です。
  そうやって金儲けをしている会社が実際にあります。アメリカの建設会社「ベクテル」(詳しくは●こちらのリンクを参照)です。ベクテルは日本の戦後復興や湾岸戦争後のクウェートの復興事業やサウジアラビアの公共事業を手がけた大手ゼネコンでもあります。
  「実際に役に立つ公共事業をやるならいいじゃないか」と言われる方もいるかもしれませんが、そのベクテルが最近やったことがこれです。

イラク:希望を失わせるベクテル社の撤退
http://www.news.janjan.jp/world/0611/0611235207/1.php
--------以下引用--------
 米国の巨大建設企業ベクテル社がイラクからの撤退を決定した。多くのイラク人は裏切られたという思いで、イラク再建のわずかな望みも失われたと考えている。イラク共産党員の1人は「サダム時代の方がましだった。アメリカは石油の略奪とイラク人の殺害しかしなかった」とIPSの取材に応じて語った。

 ブッシュ政権に近いベクテル社の幹部は先週、戦火により荒廃したイラクでの業務を終了すると発表した。同社は23億ドルのイラク復興資金を受け取りながら、着手した仕事のほとんどを終了しないままイラクから立ち去ろうとしている。

 イラクの状況はすべての社会基盤に関してサダム・フセイン支配の頃よりも悪化している。電気は1日平均2時間しか使えない。失業率は70%。68%のイラク人は安全な飲料水を手に入れられず、下水道を利用できるのは19%だけだ。英国の医学雑誌ランセットは、イラク侵攻・占領の結果65万5,000人以上が死亡したと推定している。

 医療NGOのMedactによると、診療所の建設が進まず、簡単に治療できる下痢や呼吸器系の病気で多くの子供たちが命を落としている。142の初期治療の医療施設を建築する2億ドルのプロジェクトは、わずかに20施設を建築しただけで資金が底をついた。

 電気が不足して石油の需要が高まっているにもかかわらず、石油産出国イラクで石油が手に入らない。「莫大な金額がつぎ込まれているはずなのになぜ電気事業の復興が進まないのか」と電気省の技師は嘆く。電気省の2人の大臣は汚職で告発されている。

 ベクテル社はチェイニー副大統領が勤務していたハリバートン社などと同様に、最初に有利な条件で復興事業を請け負った。こうした巨大企業は事業契約を中小の会社に売り、それがさらに下請けに売られて、実際に安値で請け負うのは経験不足のイラクの建築業者なのでまともな仕事はできない。
--------引用以上--------

  実際の工事は下請けに丸投げし、面倒になったらカネだけもってトンヅラ。まるでヤクザです。
  ベクテルの前では、道路族だの土木利権だのといった、日本の公共事業がかわいく見えるほどです。実際、日本の土木利権は受益者が地方に住んでいる日本人ですから、やり方はよくないにせよ、一応お金が循環するようになっていますが、ベクテルのイラク復興事業はそれすらありません。強盗でもここまでひどいことはしないでしょう。
  以前であれば、こういうところにアメリカ製の工業製品や建材なんかが持ち込まれたり、アメリカ人が設計や現地での技術指導にかり出されたりして、国民も需要増大の恩恵にあずかれたのかもしれません。しかし、イラクでのベクテルの例を見ると、政治家と政商が癒着しているだけなので、あまり需要の創出効果はなさそうです。
  イラク撤退の声がアメリカで高まっているのは、イラク統治が一部の資本家を肥え太らせるだけで、アメリカ国民にとって何の恩恵もないことがばれたからなのでしょう。ベクテルとブッシュ政権がもっとアメリカ人に富を分配するように心がけていれば、イラク撤退は延びていたかもしれません。
  もちろん、単純に戦時体制で窮屈な社会に嫌気が差してきたということも言えそうですが・・・。

  このように、アメリカは経済が行き詰まると戦争で需要を創出し、これによって製造業や建設業を生きながらえさせてきたわけです。
  一番最近では、9.11事件に端を発する「テロとの戦い」、言い換えるとイスラム文明に因縁をつけて戦争状態を作り出すことで軍需を創出してきました。それにも関わらず、アメリカドルは暴落しています。
  その理由は、もはや効果的に戦争需要を作り出せる相手がほとんど存在しないからです。たとえば、アメリカに何度も非難されているイランですが、相当手強く、勝つとしたら核攻撃くらいしか手段がなさそうです。それに、1979年のイラン革命まではアメリカの友好国だったほどですから、地政学的に見て大きな利害対立もあるわけではありません。
  それでも、何らかの形で戦争による軍需創出は続いていく(次回以降の記事で詳述)はずですが、それがもはや投資対象としてのアメリカの魅力を大きく高めるということはないでしょう。
  
  結局、今のアメリカというのは、「基軸通貨であるドルの造幣」「デフレ経済のもとで世界中からかき集めた投資」「時折もたらされる戦争特需」という三つの方法でなんとか生き延びているだけの国、いうなれば、自転車操業ならぬ「一輪車操業の国」だったのです。ブレトン・ウッズ体制の崩壊以来、いつもヨロヨロヨタヨタしていて、少しバランスを崩すといつ倒れてもおかしくない状態で、ここまでやってきたのです。
  別に私は「反米」だから、希望的観測でこういう記事を書いたのではありません。アメリカにまつわる出来事や事実を拾っていくと、そういう結論しか出てこないのです。マスメディアが断片的に拾ってきたイラク戦争の報道にいちいち反応している反米アホ左翼と一緒にされては迷惑千万です。
  今世界的にドル安になっているのは、そういうアメリカの危ない体質がごまかしきれなくなってきたことが明らかになってきたからでしょう。もしかしたら、アメリカの飼い主だったドラキュラ自身が、怪物くんに見切りをつけ始めたのかもしれません(何のことか分からない人は●こちらの記事を参照)。

  それでは、アメリカはいつ崩壊するか?という話になりそうですが、その前に、次の記事では、アメリカの最愛のパートナーである中国の現状について詳しく述べたいと思います。

【参考】

ルース・チェンジ(日本語版)
http://video.google.com/videoplay?docid=4377032998245988095&hl=en

  9.11事件をテロリストの犯行だと思っている人は、騙されたと思って見てみてください。

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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

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