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2008.04.17(Thu)

本当に「空気を売る」人たちがいるという話 

  私のような塾講師という仕事は、物を作ったり加工したりしているわけではないので、半分揶揄して「空気を売るような仕事」と言われることがあります。
  しかし、どうやら本当に空気を売り買いする人がいる、というのが今回の話です。まず、このニュースを見てみましょう。

米大統領が温暖化ガス排出削減で新目標、2025年までに伸びをゼロに
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-31365220080417
--------以下引用--------
ブッシュ米大統領は16日、2025年までに温室効果ガス排出量の伸びをゼロにするという地球温暖化防止に向けた新目標を提案した。しかし、その具体的な方法などについては明言しておらず、環境保護団体などから批判が出ている。

 パリで開かれる気候変動に関する主要国会合を控えて大統領が掲げた目標は、欧州のものに比べてかなり見劣りするもの。米議会はより積極的な目標を検討している。

 来年1月に退任するブッシュ大統領は、電力会社などからの温室効果ガス排出抑制を目指すなど、広範な原則を提示したにすぎない。

 ホワイトハウスが発表した声明の中で大統領は「強力な新法を完全に履行し、私が概略を説明した原則に従い、適切な奨励策を採用すれば、米国にとって温室効果ガス削減に向けた野心的な新たな道筋が整う」と述べた。

 大統領選を争っている共和、民主両党の有力3候補はいずれも、産業界の二酸化炭素(CO2)排出量の上限設定や欧州連合(EU)と同様の排出権取引などを含め、ブッシュ大統領よりも踏み込んだ提言を行っている。
--------引用以上--------

  ブッシュ政権というのは、温暖化防止名目で二酸化炭素の削減目標を定めた「京都議定書」からの離脱を宣言した政権です。それが、曲がりなりにも、温室効果ガスの排出に制限を設けると言い出したのです。
  記事中にもありますが、大統領選の有力候補がEU並の排出規制を提言していることと合わせると、どうやらアメリカは本格的に温室効果ガスの排出制限に向けて舵を切ったようです。

  しかし、これをもって「アメリカは環境に配慮するようになった」などと考えるのは読みが浅いというものです。

  アメリカの真の狙いは、別のところにあります。同じことを別の人が述べているニュースがあるので、そちらも見てみましょう。

排出権取引の容認示唆=温暖化対策で米大統領報道官
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008041500141
--------以下引用--------
ペリノ米大統領報道官は14日の定例記者会見で、地球温暖化対策に関連して「われわれは必ずしも排出権取引に反対ではない」と述べ、容認する姿勢を示唆した。近く温暖化対策で何らかの発表もあり得るとしている。
 排出権取引は、企業が温室効果ガスを排出できる量を排出権として定め、それを市場で売買する制度。温暖化対策の柱として期待されている。
--------引用以上--------

  この報道官の前振りがあって、冒頭のブッシュ大統領による宣言とあいなったわけです。また、議会レベルでも以下のような動きがあるようです。

米の排出量取引法案、2010年までに立法化の可能性
http://www.ecology.or.jp/w-topics/wtp24-0804.html
--------以下引用--------
環境分野での米国有力シンクタンク「地球規模の気候変動に関するピューセンター」のアイリーン・クラウセン代表(元国務次官補)が来日し東京で講演を行い、排出量取引法案について語った。

 同氏は講演の中で、米連邦議会に提案中のキャップアンドトレード方式の二酸化炭素排出量取引法案について、内容に多少の修正は必要としながらも、「2008年中もあり得るし、2009年には成立の可能性が非常に高い。2010年までには間違いなく立法化される」との見通しを明らかにした。

 ただ、2005年に始まった欧州連合(EU)の域内排出量取引制度(EUETS)には一定の評価を与えつつも、価格の不安定性や、二酸化炭素削減のイノベーションに貢献していない点などを指摘。排出量取引の制度設計では「長期的なキャップにより企業側に対して信号を発信しながら、公共投資を含め、政策面で技術革新を促す取り組みが必要」とした。

 また「ポスト京都」をにらんだ排出量削減の国際的枠組みについては、すべての主要排出国が参加した拘束力ある制度づくりを強調。途上国の同意を取り付けやすいよう、日米などは絶対値での削減目標を掲げる一方で、途上国には再生可能エネルギーや燃費基準、セクター別アプローチでの数値目標を課す柔軟策を提案した。
--------引用以上--------

  キャップアンドトレード方式というのは、政府が温室効果ガスの総排出量(=キャップ)を定め、それを企業や公的機関ごとに排出枠として配分し、その配分された者同士で排出枠の一部の移転(=トレード)を認めることです。イギリスで、すでに2002年に「気候変動税」として導入されています。
  ここで重要なのは、政府が排出枠を割り当てることと、排出枠の取引ができるという点です。
  なるほど、たしかに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減に努力した企業が、余った排出権を売ることで利益を上げられるということで、経済的なインセンティブ(導因)があるということは言えるでしょう。
  しかし、企業側からしてみれば、本来なかったはずの支出を強いられることになるわけで、かなりの痛手になります。だからこそ、アメリカは産業界(特にブッシュ政権に深く食い込んでいる石油業界)の意向を受けて、京都議定書から脱退したのです。
  それなのに、こうやって環境という目的のために排出規制が推進されるのはなぜか。要するに、排出権取引が新しいビジネスだからです。
  勘違いしないでください。環境をよくするために排出規制をして、それに付随してビジネスが発生したのではないのです。ビジネスチャンスを作るために、排出規制をしたのだということです。そういう見方をしなければ、アメリカまでもが温室効果ガスの排出規制と、それにともなう排出権取引にゴーサインを出した動機が説明できません。
  ●以前の記事で紹介したように、すでにロンドンとシカゴに「気候取引所」なるものまで設立されています。温室効果ガス排出量では世界で2位である中国でも、排出権取引のための取引所を香港と北京に設置することがほぼ決定しているようです。
  アメリカにしろ中国にしろ、取引所が当局の排出規制の法制化に先行しているのは興味深いです。排出権取引が排出規制に先行しているということで、この問題が純粋な環境問題ではなく、「ビジネス」として取り上げられていることがよくわかるというものです。

  ここで、一つ「予言」をしておきましょう。

  次のアメリカ大統領選の後は、民主党政権になる公算が大きいのですが、そうなると、アメリカの日本に対する「年次改革要望書」(中身は●こちらを見るとよくわかります)に今までと毛色の違う項目が出てくるはずです。それは、

  「日本における排出権取引のための枠組みの早急な策定」

  です。
  理由は、もうおわかりでしょう。アメリカやヨーロッパの国際金融資本が、日本企業の排出権取引を牛耳って利益を上げるためです。
  そして、日本(二酸化炭素排出量世界4位)の企業は、空気につけられた値段を外国人の言い値で払うことになり、その分従業員の給料をリストラしたり、設備投資を縮小したりするわけです。
  我が国の政府も、●この人物のような歴代環境大臣を中心とした「環境族」みたいな人間が排出権取引の法制化のために一生懸命動いて、実現した暁には、排出枠の配分で大きな発言権(利権)を握ることになるでしょう。
  全く、日本国民にとってはいい迷惑です。

  なお、私は予言者でも占い師でもないので、予言が外れてもあしからず(笑)。

【参考記事】

排出権取引というビジネス
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-84.html

社会問題としての地球温暖化(晴耕雨読様より)
http://sun.ap.teacup.com/souun/1578.html

自然エネルギーの工業的利用と技術の限界(同上)
http://sun.ap.teacup.com/souun/1609.html


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