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2008.04.09(Wed)

【世界激震】米中ダブル崩壊の日は来るか(5)~金融国家アメリカの綱渡り 

  これまでの流れをまとめておくと、

  ブレトン・ウッズ協定によってドル基軸体制が完成→日本や西ドイツが産業競争力でアメリカを脅かす→アメリカが「世界的デフレとそれに伴う金融国家化」という戦略に変更→米中国交回復・中国の輸出超過で世界がデフレ化

  という感じになりそうです。そして、金融国家となったアメリカは、世界中の優良資産を買いあさり、ドルを垂れ流して中国に物を作らせて「繁栄」を享受しているというわけです。

  このやり方の欠点は、世界的なデフレはアメリカ自身をも直撃するということです。しかし、デフレそのものを克服するような政策をとれば、金融中心経済の強みがなくなってしまいます。
  そこで、アメリカは一貫してデフレを前提にした社会構造の変革を行うようになりました。その一つが、前回紹介した「第三次産業(サービス業)へのシフト」だったのです。

  最近分かったのですが、アメリカの政治・経済を理解するときには絶対押さえておかねばならない鉄則があります。それは、以下の二つです。

(1)アメリカはグローバリストの利益追求のための道具となっている
(2)しかし、(1)を知られてはならないので、恒久的に選挙対策を打たなければならない


  (1)は70年代から始まる産業の空洞化、そして80年代の金融中心経済への移行に現れています。利益を極大化するためには、雇用の減少などの国民の不利益を顧みないグローバリスト(詳しくは●こちらを参照)の性格そのものです。歴代の政権に、ゴールドマン・サックスやメリル・リンチといった金融企業の役員が参加したり、逆に政権から「天下り」したりしている事実を見ても、間違いないでしょう。
  しかし、そういう実態を国民が知ってしまうと、グローバリストをアメリカから追放しろという運動が起こりかねません。ただでさえ、グローバリストの側には「ユダヤ人」という叩かれやすい人々がたくさんいますから、いったんばれたら混乱は必至です。
  そこから目をそらすには、選挙民に利益を与える、もしくはそういう風に見せかける必要があるのです。それが選挙対策ということです。デフレを国民に「感じさせない」というのも、これに含まれます。
  そして、この(1)と(2)は、本当は両立しない命題なので、やろうとすると様々な問題が起こってきます。それが、アメリカの政治や外交をおかしくしている原因です。
  
  では、サービス業へのシフトと並んで、アメリカが選挙対策としてやってきたことは何か。今回取り上げておきたいのは、「投資バブル」です。

  投資というのは、企業に活動資金を与えることです。企業が発行した株を買ったり、お金を貸したりすることがその典型です。
  この投資には、大きな効用があります。それは、輸出してカネを儲ける方法(貿易黒字)によらずに需要を創出することができる点です。
  本来、投資というのは、なんらかの形でカネを出した人に返さなくてはならないものです。そのお金を、あたかも実収入のようにして、設備投資や従業員の給料の支払いに充てることができるということです。
  たとえば、アメリカで「これからはIT(情報技術)産業が盛んになる」という評判が高まったとします。これは儲かりそうだ、ということで、アメリカ人も含めて、世界中の人がアメリカのIT企業(たとえばマイクロソフトやアップル)の株を買うでしょう。
  そうすれば、そのIT企業は事業拡大のために、人を雇ったり、新たなオフィスのためにパソコンなどの事務機器を購入することになります。これで失業率が減り、事務機器のメーカーの売り上げが上がります。そうなると、そのメーカーの従業員も給料が上がったりするわけです。
  こうすれば、他人に物を買ってもらう苦労をしなくても、簡単に国民を養っていけるのです。「外国から投資を呼び込め」という風にさかんに主張している人が言いたいのは、要するにこういうことです。
  しかし、万が一儲からなかったらどうするのでしょうか?心配ありません。そういうときのために、投資には便利な殺し文句が用意されています。それが「自己責任」というやつです。
  要するに、企業に投資するというのは儲かるときもあればそうでないときもあるから、儲かりそうな企業に自分の責任で投資しようね、ということです。そうすれば、たとえある企業の業績や、ある国の経済が急落したとしても、自分の見る目がなかったということになるのです。

  え?それって要するに「詐欺」じゃないのかって?

  はっきり言ってしまえば、そうです。投資というのは、一種の詐欺です。うちにお金を出せばこんなに儲かるよ、と、投資家を呼び込んでも、その企業が成功するかは誰もわかりませんし、多くの場合事業というのは失敗に終わるからです。
  それでも、多くの企業が成功するための条件というのはあります。それは、その国の総需要(要するに国民が物を買うための金)が拡大し続けることです。言い換えると、投資が成功する可能性が高いのは、国自体が本当に儲かっている場合だけなのです。
  しかし、アメリカは輸出でもうけるという道をほとんどあきらめてしまっている(完全に、ではない。次回に詳述)国だったはずです。いまさら、貿易黒字を増やすわけにはいきません。では、どうすれば詐欺師の烙印を押されずに済むのか。

  その方法は一つしかありません。常に「投資バブル」を起こし続けることです。

  バブルというのは、泡のことです。実体を大きく超えて、泡のように経済がふくらむことをバブル経済などと言ったりします。投資がたくさん集まってくると、それを使って需要を増やすことができますから、その国の経済が強くなったように見えるのです。
  アメリカの最近政権を見てみると、必ず一度はバブル経済が起こっています。アメリカの様々な業種の企業500社の株価動向を反映した「S&P500」という価指数の推移を見ながら、確認してみましょう。

S&P500


  こうしてみると、1980年代から上昇が始まっているのがよくわかるのではないでしょうか。それ以前の時期は、インフレ率を考えると株価はほとんど変わっていません。非常に対照的です。

  まず、1980年代後半に大きく株価が上昇しているのがわかります。共和党政権(レーガン・ブッシュ父)の下で、アメリカが金融中心経済に変わっていった時代です(●本シリーズ3回目の記事を参照)。この時期は日本でもバブル経済でした。アメリカにもかなりのジャパンマネーが流れ込んでいます。それだけ、アメリカの金融に制約がなく、リターンが多く見込めたということです。
  次に、1995年から急上昇がきています。これは、民主党(クリントン)政権時代の「ITバブル」です。みなさんの周りで、急にパソコンが目につき始めたり、インターネットという言葉が聞こえ始めたりしたのは、この時期だったはずです。
  この時期には、「アマゾンドットコム」のように、インターネットを使った新しいタイプの企業が出始めました。それらの企業は業績が必ずしもよかったわけではありませんが、これから期待できるということで株価が上がり続けました。企業としても、株式を発行して資金を調達しやすい環境だったというわけです。
  だめ押しとして、アメリカはこの時期一貫して金利を高くする政策をとっていました。インフレ懸念ということですが、要するに国債だとか貸し付けに高い金利がつくようにして、投資を呼び込んでいたのです。その時期に、アメリカを脅かす唯一の存在だった日本が実質ゼロ金利政策を実行していた(というか、アメリカにさせられていた)こともあり、アメリカは世界中の投資マネーを一手に引きつける存在になりました。  

  さらに、2000年代中頃に入って再び上昇に転じているのは、「住宅バブル」です。ここで出てくるのが例の「サブプライム・ローン」というやつです。
  サブプライムというのは、プライムレート(優遇された金利)にはできないが、その一つ下という意味らしいです。金利を一定期間据え置きして、何年かしたら(普通のローンより高い)利息を払い始めるという形になっていました。もし、利息を払えなくなっても、建てた家と土地を抵当に入れているので大丈夫というわけです。もしもの時も安心、ということで、低所得層でも利用者が増えました。
  他方で、金融機関はサブプライムローン利用者への債権を証券化して、いろんなところに売りさばくということもやっていました。「据え置き期間が終わったら高い金利が取れるから、利回りのいい商品ですよ」という風に宣伝していたそうです。
  ちょっと考えてみると分かりますが、「低」所得層が高い金利を払えなくなる可能性は非常に高いわけです。じゃあ抵当に入っている家を競売すればいい、といっても、家が高く売れなければだめなわけで、住宅価格が上がり続けない限りは必ず破綻する運命です。それがサブプライム・ローンだったのです。

  永久にあがり続けることを前提として、活発な投資が行われる・・・典型的なバブル経済です。日本でも、土地の値段が永久に上がり続けると言われていた時期がありました。しかし、やはり破綻しました。
  はっきり言えば、投資で経済を回すというのはそういうものなのです。どこかから利益をとってくるわけではないのですから、実体などはじめからありません。
  困ったことに、投資バブルには必ずバブル崩壊というものがあります。上のS&P500の推移を見ていただくとよく分かりますが、レーガン=ブッシュ時代は1987年、ITバブルは2002年に急落しています。最近では、住宅バブルもサブプライム・ローンの焦げ付きで崩壊し始めています。
  おそらく、アメリカの株価は今後2年ほど下がり続けるでしょう。アメリカが本当の意味で経済を立て直すまで、下げは止まりません。

  しかし、アメリカにそんな秘策があるのでしょうか?

  あるとすれば、一つは、再び投資バブルを起こすことです。投資というのは、先行きに対する期待感で成り立っている側面が大きい分野です。今はサブプライム・ローンで大騒ぎになっている余波が来ていますが、そのうちそういうニュースが聞こえなくなり(あるいは、意図的にロイターやAP通信が流さなくなり)、新しい投資ネタが出てくるかもしれません。
  もし株でもうけたいな、と思っているひとは、日本語ではなく、英語でアメリカのニュースをチェックすれば、そういう動向をすぐにつかめるかもしれません。日本で本格的に「アメリカでは今○○がいい」などと言われ始めるのは、向こうの企業や金融機関が日本の馬鹿な投資家をカモにするための餌です。それを信じるよりは、まだアメリカ国民向けの餌に飛びついた方が少しは儲かるからです。
  しかし、はっきり言っておきますが、私はもうそういう期待はしない方がいいと思っています。もうそろそろ、アメリカの金融中心経済も限界が来ているのではないかと思うからです。

  実は、もう一つアメリカが経済を立て直せそうな方法があります。

  それは、

  「戦争」

  です。この点に次回は触れてみたいと思います。

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2008.04.09(Wed)

開催前の聖火リレーでかつてない盛り上がりを見せているオリンピック(笑) 

  北京五輪の聖火リレーが大変なことになっているようですね。

五輪聖火リレー、ロンドンで妨害相次ぐ・「チベット」抗議
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080406D2M0601J06.html

パリの聖火リレー、妨害行為で5人を拘束・一時火が消える場面も
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080407D2M0702K07.html

  こんなオリンピックは今まで記憶にありません。悪のりをしている連中がいるのは予想がつきますが、そういう隙を与えているのは開催国の数々の悪行だというのは疑いようがないでしょう。
  とうとう、こういう記事も出始めました。

聖火海外リレー、再検討の契機か=世界巡回が格好の標的に-北京五輪
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo&k=2008040800833
--------以下引用--------
 北京五輪の聖火リレーがロンドン、パリで多くの妨害行為に遭ったことに対し、国際オリンピック委員会(IOC)関係者からも、大掛かりな海外リレーの在り方を問う意見が出始めた。
 IOCの北京五輪・調整委員会副委員長を務めるゴスパーIOC委員(オーストラリア)は8日、「将来の聖火リレーについて、IOC理事会は再検討すべきだ」と語った。リレーを主に開催国内で行うのか、アテネ、北京両大会で採用された五大陸巡回の大規模リレーを継続するのか。当地で9日に開かれるIOC臨時理事会、10、11日の理事会で議論される可能性もある。
 今回の妨害行為は、チベット暴動を鎮圧した中国政府の対応に起因している。海外リレーが格好の標的になり、岡野俊一郎IOC委員は8日、「ああいう映像をテレビで見るのは悲しい」と表情を曇らせた。
 岡野氏は「あまりリレーの規模を広げるとこういう現象も起きる。(海外リレーは)アテネの時もコスト面などで異論もあった。世界中を回ることに意義があるのか、再検討すべきでは」と語った。
--------引用以上--------

>大掛かりな海外リレーの在り方を問う意見が出始めた。

>「あまりリレーの規模を広げるとこういう現象も起きる。(海外リレーは)
>アテネの時もコスト面などで異論もあった。世界中を回ることに意義があるのか、
>再検討すべきでは」  

  要するに、「中国は何も悪くない」「五輪開催のためなら聖火リレーのやり方を変えればいい」ということです。
  オリンピックにかこつけて中国に投資をし、その回収のために単なるスポーツイベントを全人類が祝わなければならない聖なる祭典のように祭り上げることが、国際オリンピック委員会の任務です。そうすることで、オリンピックが企業PRや国威啓発の格好の場になるからです。

  まあ、開催国次第で国威「失墜」もあり得るわけですが・・・(笑)。

  オリンピック委員会の委員は公務員ではありませんから、収賄という概念がありません。接待という名目で、中国政府やグローバリスト企業に、さんざん餌をもらっています。その「代償」として、おそらくチベットが核攻撃されてもオリンピックは開催するでしょう。
  世の中というのは、そういうものなのです。根っこにあるのは、経済のグローバリゼーションです。このブログがただ中国を感情的に非難することを避けて、グローバリストの経済活動を問題視しているのはそのためです。

>「ああいう映像をテレビで見るのは悲しい」

  自分たちのカネ集めが邪魔されているのですから、そりゃ悲しいでしょうね(笑)。

  私がもっと頭にきたのはここです。

>チベット暴動を鎮圧した中国政府の対応

  時事通信の記者がこの場にいたら、「この『暴動』というのは何だ?」と、詰問してやりたくなります。
  海外のGoogleニュースを「tibet riot(暴動)」で検索してみると、ひっかかるのはXinhua News(新華社通信)、要するに中国の国営通信社のニュースばかりです。ところが、「unrest(不穏な状態)」 「protest(抵抗)」と併せて検索すると、続々と中国以外の英語メディアの記事が出てきます。暴動ということで、チベット人の必死の抵抗を貶めようとしている連中が誰かよくわかります。
  そういうことから考えると、時事通信ならびに「暴動」という語を用いている日本のほとんどの新聞社・マスメディアは、国際世論より中国の意向を尊重しているということです。別に国際世論を信奉しろなどと言うつもりはありませんが、こういう連中が普段口にしている「世界的な傾向」だとか「国際競争力」だとかいう言葉は、全く信用できないということは間違いなさそうです。

  まとめると、一番下の記事から分かることは、「自己反省などをしている正直な人間はオリンピック貴族にはなれない」ということと、「日本のメディアは中国国営通信社に逆らえないイヌ以下の存在」だということです。
  オリンピックやサッカーのW杯というのは、このようなふざけた連中、悪辣な国に利用されてしまうイベントだという認識も必要でしょう。メディアの扇動に乗って、神聖視などしていてはいけません。
  そういうことを考える意味で、北京五輪というのは非常にいいきっかけになったということができそうです。

  早起きしたので、ちょっと取り上げてみました。今日中にもう1本、●「米中ダブル崩壊」の記事を載せます。お楽しみに。

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