パイを奪い合う努力の激化→気づけばみなビンボー
私は週休二日で、そのうち1日は平日休みなのですが、その休みの日の夜に「住宅販売会社の営業マン」だと名乗る男性から電話がかかってきました。
要りませんから、と何回断っても、即座にかけ直してくるので、結局1時間半ほど話に付き合わされました。もっとも最後の方は、私が適当なホラを聞かせたり、相手の揚げ足を取ったり(笑)していたので、向こうから「今日はもう遅いですから」と言ってきたのですが・・・。
その中で、どうせこいつは訪問の約束を取り付けるまでは何度でもかけ直してくるだろう、と思い、せっかくなので相手をちょっと試してみることにしました。
「俺、実は3社くらいに合計何百万借金してて、生活に余裕ないんだけど」
驚いたのは、向こうがそれで引き下がるどころか、「自分は金融には強いから、そういうご主人の状況を含めていろいろ相談させていただきたい」と言い出したことです。
多重債務者の借金問題に関わることの重大さを、この人は分かっているのだろうか・・・と、なかばあきれ果ててしまいました。意地悪くいろいろ聞いてみると、金融に強いというのも、単にローンの審査などで銀行に出入りする経験があるという程度でしかありません。●利息制限法のことすら知りませんでした。
それでも、客にマンションやら一戸建てやら買わせようとするわけです。
こういう風に書くと、みなさんの中には「営業マンらしいじゃないか」「ものを買わせるにはそのくらいしないと」という風にお考えになる方がいるかもしれません。そういう、営業活動における熱心さというのは、しつこい勧誘の当事者にでもならない限り、それほど否定的にはとらえられていないようです。
どうも、政治をやっている人の中にもそういう人が増えているようです。代表例を挙げておきます。
読書録・・・竹中平蔵
http://homepage3.nifty.com/fwnn7163/books/takenaka.html
竹中平蔵氏というのは、いまさら説明の必要はないかもしれませんが、小泉政権のブレーンだった経済学者です。要するに、構造カイカクというものを陣頭指揮していた人物です。
上記リンクに要約された、彼の主張をすこし見てみましょう。
▲これからの社会は頑張った者がむくわれる税制を徹底的に導入し、代わりに職業再訓練を充実させるなどして、誰もが競争に平等にチャレンジできるチャンスを与える、という政策をとることが重要になってくる。
▲自分の能力こそが最大のセイフティ・ネットである。
▲日本が今悪いというのは、ポテンシャルを発揮できていないことに対する不安だと思います。人々は大きな不安を抱えていますが、それは将来日本が衰亡するのではないかという不安ではなく、今自分が立ち止まっていることに対する不安だと思うのです。
▲日本だと競争力をつけさせようと思ったら、政府は補助を与えて強くする。これに対し、アメリカで競争力をつけさせる方法はただ一つです。それは、もっと競争させること。
▲先に消費財を作って、それを伸ばしてから除々に(原文ママ)川上に移っていく。これを「後方循環」というんです。後方循環の方がうまくいくんです。
▲シュンペーターは実に魅力的な経済学者なんです。どんなことを言ったかというと、資本主義社会、つまりこの世の中を発展させる原動力は企業の革新、イノベーションだと考えたんです。
私なりにさらに強引にまとめてしまうと、要するに竹中氏は、「企業が革新的な経営を行い、物をバンバン作り、それをドンドン競争させて、努力している人間を評価すれば世の中はよくなる」ということを言いたいわけです。
言い換えると、私がこの前捕まってしまった、人の迷惑も考えないような営業マンみたいな努力を企業や個人がドンドンやれば経済はよくなるということになります。キーワードは「競争の激化」です。
しかし、はっきり言っておくと、この考え方は完全に間違っています。
正確に言うと、「競争の激化→経済の発展」という因果関係を成立させるために絶対に必要な要素に触れていない、もしくは意図的に無視しているのです。それは「総需要の増大」というものです。
総需要というのは、ある国や社会が使うことの出来るお金の量です。これが大きくなれば、国や社会の中で回っているお金の量も増えるので、それだけお金を使う余裕がある(=購買力が高い)状態になります。そうなると物がよく売れるのです。
勘違いしてはいけないのは、国や社会に金持ちが存在することと、総需要が大きいことは必ずしもイコールではないということです。総需要がしぼんでいっても、その中で金持ちにだけお金が集中すれば、億万長者がドンドン出てくるという状態はあり得るということです。
では、総需要が減少しているのにもかかわらず、競争が激化するとどうなるか?
簡単です。さっき挙げた営業マンみたいに、多重債務者にもローンを組んでマンションを売ろうとするような人間が出てくるということです。
当たり前ですが、私が作り上げた架空の人物(笑)のような多重債務者は、ローンを組んでも破綻する可能性が非常に高いです。しかし、総需要が減少していると、そういうところにも売らなければやっていけなくなります。その結果として、十分な経済力のない人間がローンや借金で破綻したり、あるいはそういう相手をターゲットにせざるを得なくなっている企業がじり貧になったりという現象が起こります。
それを打開しようと競争力を高めると、今度は同じような境遇にある経済主体から利益を奪ってしまうことになります。このご時世にマンションを買う余裕のある人間はあまりいないわけですから、A不動産がガンガンお客を捕まえれば、その分B住販やCハウジングの客を奪う結果になるわけです。
もっとひどい場合は、違法行為をやってまで金儲けをしようとする人間が出てきます。商業区域にあってほとんど日が当たらないのに、「日当たり良好」などと銘打って、夏の晴天の日の正午を選んで
マンションを案内して契約にこぎ着けるとか、そういうえげつないことをやる業者が増えてくるわけです。
それはしょうがない、客の側も賢くなるべきだ、などと言う人がいますが、そんなカシコイ客が増えてしまったら、今度は物が全然売れなくなってしまうわけです。それを乗り越えるくらい良質なものを提供すればいいじゃないか、と反論してもムダです。誰もがほしがる商品というのは、量が限られているからです。
それどころか、総需要が高まらないまま物やサービスの供給ばかり増やすと、デフレになってしまいます。デフレというのは、世の中に出回っているお金の量より物の量のほうが多い状態です。放っておくと物が売れませんから、仕方なく価格を下げることになります。そうなると、会社の利益が少なくなり、従業員の給料が下がるというのはすぐに分かるでしょう。結果として、総需要が減り、ますますデフレが拡大してしまうのです。
デフレを、競争の激化で克服することは不可能なのです。それどころか、限定された総需要のもとで競争(供給活動)が激化すると、一時的には価格の低下などメリットが生まれますが、デフレでさらに総需要が減り、結局一部の強力な企業や個人以外はみんな貧乏になってしまうのです。
それなのに、規制を緩和したり、公共投資を減らしたりして、どんどんデフレを深刻にしてきたのが、我が国の橋本政権以降の「構造カイカク」だったということです。
これを解決するには、総需要を増やすしかありません。端的に言えば、個人の給料を上げればいいのです。競争をいくら激化させても、総需要は大きくなりません。
そうは言っても、これは口で言うほど簡単ではありません。企業には営業の自由があるわけですから、従業員にいくら給料を出すかなどという問題を政府が決めることはできないからです。
しかし、税制上の措置である程度調整はできるかもしれません。たとえば、労働分配率(従業員へ渡る給料が売り上げに占めるパーセンテージ)が高い企業には法人税を優遇することなどがそうです。
逆に派遣労働者ばかり使ってるような企業には、法人税率を高くします。固定資産税や事業税を引き上げるなら、地方自治体にもできます。●全国知事会も、そういう役に立つことを話し合ったらどうでしょうか。
この派遣労働の拡大というのが、総需要の減少に拍車をかけているという風に考えれば、派遣労働の規制強化や、紹介料への課税強化なども検討してみていいかもしれません。
小泉や竹中のようなカイカク真理教信者が跋扈している自民党がそういう政策を採らないのは不思議はありませんが、「大衆(=生活者)とともに」などというキャッチフレーズを掲げている某連立与党は一体何をやっているんでしょうね。●こういう美辞麗句を掲げたポスターを作っておいて自民党のデフレ推進政策に乗っかるあたり、白々しいを通り越して、二重人格、精神分裂としか言いようがありません。
みなさんも、「これはまずい」と思ったら、総需要を拡大させる政策を唱えている政党や政治家に投票するようにしましょう。少なくともカイカクカイカクと呪文のように唱えている馬鹿政治家や、嘘八百のポスターを作っているアホ政党には投票してはいけません。
そういう政党や政治家が勢力を伸ばしていけば、多重債務者にマンションを買わせようとする営業マンも、少しは少なくなるかも知れません(笑)。
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【人権尊重】かくて殺人者は野に放たれる【責任放棄】
しかし、日本ではこの「少年」などよりもっと手厚く守られている人間がいます。「精神に障がいのある人たち」がそうです。
岡山駅突き落とし事件、家裁送致少年に「発達障害」の診断
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080424-OYT1T00134.htm
--------以下引用--------
岡山市のJR岡山駅ホームで3月、岡山県職員・假谷(かりや)国明さん(38)が突き落とされ電車にはねられ死亡した事件で、殺人などの非行事実で家裁送致された大阪府大東市の少年(18)が、捜査段階の簡易精神鑑定で「対人関係の構築が困難な発達障害」と診断されていたことがわかった。
大阪家裁が選任した付添人弁護士が23日、明らかにした。付添人弁護士は少年審判で正式な精神鑑定を求める方針。少年は今月15日、岡山家裁に送致された後、居住地を管轄する大阪家裁に移送された。
--------引用以上--------
>対人関係の構築が困難な発達障害
こういうフレーズが挟み込まれたことで、もうだいたい結論は見えたようなものです。この「少年」とやらは、刑事罰を受けることはないということです。
具体的に述べます。被疑者が18才なので、まず身柄は家庭裁判所に送られます。上の記事は、その段階です。家庭環境だとか本人の性格だとか、その辺をいろいろ探りながら様子を見ます。少年には可塑性(まだ人間としてやり直せる可能性)があると考えられているので、このような手続きになるのです。
その審判の過程で、もうこれは犯罪として扱うべきだと考えれば、検察官送致になります。ここから先は、成人の犯罪と同じです。あとは検察官が起訴し、公判で犯罪を立証するということになるわけです。
上のような過程で、この突き落とし殺人の容疑者が刑罰を受けることがなくなるケースはいくつかあります。
まず、「少年院送致」や「保護観察処分」になるケースです。つまり、検察官送致がされず、あくまで少年法の枠内で処理するわけです。この場合は犯罪の処罰というより、少年の更生に主眼が移ります。もちろん、前科も付きません。
他には、「不起訴処分」になる場合や、「責任無能力で無罪」という場合が考えられます。前者は、検察官が有罪にするのは無理だと思ったり、情状酌量の余地があると考えたりして起訴を見送ることです。後者は、物事の善悪を見極められない状態でした行為には責任を問えないという考えに基づいており、その根拠になるのは刑法39条です(●以前の記事を参照)。
今回の事件は少年+精神上の障害という、最強のコンビなので、こういう風に法律でやさしくやさしーく扱われることになるわけです。
そうなると、当然疑問に思う人もいるでしょう。
「この犯人がまた同じような犯罪をしたら、誰が責任を取るのだ?」
「そういう犯罪を防ぐ手段を講じているのか?」
ということです。我が国も法治国家なので、いちおうそういうことは考慮しています。
まず、検察官に送致されたものの、心神喪失で不起訴や無罪になった人間を扱うために、●「心神喪失者等医療観察法」(略称、医療観察法)というコースが設けられています。それによると、
●地方裁判所で裁判かと精神科医が相談して入院通院を決定する
●審判には必ず弁護士が付き添う
●受け入れ先になるのは、24カ所の「指定医療機関」である
●社会復帰を促すために、保護観察所も関与する
ということで、そのまま世の中に「放流」したりしないようにはしているわけです。しかし、それでも「社会復帰を促す」という姿勢であることは変わりがありません。
しかも、危ない人間を処置する「指定医療機関」は、全然数が足りていません。●こちらのPDFをご覧頂ければわかりますが、当初目標は24カ所、約700床を確保する予定だったのですが、平成19年の7月現在、確保できた(=建設準備まで進んだ)ものは18件、実際に稼働しているものは10件です。
さらに、その後対象者が通院することになる「指定通院期間」は257カ所で、厚生労働省が必要だとする382カ所に遠く及びません。
そういうことで、厚生労働省は、既存の病院をちょっと改装したり、都道府県立の病院にとにかく受け入れを迫ったりと、数を確保しようと躍起になっています。問題のある人間を処遇するには全然数が足りていないのです。
これでは、「入院即退院」となって、犯罪を犯す危険の高い人びとを簡単に解き放ってしまうことになるのは目に見えています。
では、検察官送致まで至らなかった場合はどうでしょう。
この場合は、「医療少年院」に送られる可能性が高いです。この機関の名前、何かのニュースで聞いたことがある人も多いはずです。
はい、そうです。「神戸連続児童殺傷事件」の犯人である少年が収容されていたところです。あれって結局どうなったの、という人もいると思うので、以下のリンクを参照してみましょう。
”酒鬼薔薇聖斗”が退院する!
http://kodansha.cplaza.ne.jp/broadcast/special/2003_05_21/index.html
--------以下引用--------
神戸少年鑑別所に収容された当初、少年Aは、「僕はもう、前と違う人間になっているから」と逮捕後と同じく、両親との面会を拒み続けていた。「生まれて来なければよかった。このまま静かな所で一人で死にたい」とも主張していた。面会に来た父親が「誰が何と言おうと、お父さんとお母さんとの子どもやから、家族5人で頑張って行こうな」と声をかけると、少年Aは「帰れ、ブタ野郎」「会わないと言ったのに、何で来やがったんや!」と怒鳴り出したという。少年Aは両親を睨みつけながら涙をボロボロこぼして泣くなど、人の話に耳を傾けることができる状態ではなかった。施設側は当然のことながら自殺防止のため独房で24時間監視態勢をとった。
しかし後日、「こないだは、あんなこと言うてゴメン。悪かった」と泣きながら、両親に素直に謝っている。その後、「命についての話」になり、少年Aは「人間に限らず生き物はいつかは皆、死ぬんや。人の命かて蟻やゴキブリの命と同じや」とも述べている。しかし、医官や教官ら職員数人が「包み込むように」接するうちに、「お父さん」「お母さん」「お兄ちゃん」などの気持ちを持つようになり、「社会で温かい人間に囲まれて生きたい」と口にするまでになったという。
この変化は徐々に現れてきた。たとえば、医療少年院では心の投影をみる箱庭療法という心理療法が行われている。砂、玩具、人、植物、乗り物、建築物などのミニチュアを箱に配して被験者に示し、その中で自由に作品を作らせるものだ。入院当初は、人と人との関わりが全く出てこない作品を作って職員を驚かせていたが、徐々に人間との関わりを投影する作品が出てきた。
2001年11月から2002年11月には中等少年院である東北少年院で矯正教育を受けている。中等少年院は犯罪傾向の進度が軽く、心身に著しい故障がない、だいたい16~20歳の少年を矯正教育する少年院だ。少年Aは技能取得を柱とした社会復帰のための訓練をこなし、溶接工の免許を取得している。そこでは他の収容者約20人と寮生活を体験していた。嫌がらせを受けることもあったが、人間関係の構築もある程度はできたようだ。人と向かい合うとぎこちなくなる傾向はあるが、自分から親しみをもって話しかけるといった努力も重ねてきたという。(中略)
少年Aを知る関係者からは「もう少年院でのカリキュラムはやりつくした。また5年やっても同じだ」という声も聞こえる。
しかし、実は昨年の7月12日、神戸家裁は東北少年院に収容されている少年Aについて「不安の種は尽きず矯正と仮退院の生活環境調整のため、継続が相当」として2004年末まで約2年半の収容継続を決定しているのだ。当初の社会復帰プログラムより1年半の延長となった。
「当初の更生プログラムは今年の4月までの予定でした。彼は少年法の適用を受けますから、少年院には20歳までということになっています。20歳を超える前に、家裁の審判を受ければ23歳まで延長ができます。ただ23歳になって出すとなると、保護観察はつきません。だからアフターケアをしっかりする意味で、一度延長しておいて、早めに仮退院させるのでしょう。そうすれば、保護観察をつけながら社会復帰を図れますからね。満期退院の23歳までの期間であれば少年院に戻ることもありえますが、23歳を超したらありえません。もう一度審判をして26歳まで収容するということも理論的にはありえますが、もし治療を受けさせることだけが目的ならば、措置入院とか任意入院とかの行政上の手続きの問題になるんじゃないかなと思います」(法曹関係者)
--------引用以上--------
この少年Aという人物がもし外の世界で何かやったら、それこそ少年法の仕組みが全て崩壊してしまうという危機感が、当局にもあったのでしょう。かなり慎重に、手厚く更正させるための努力が行われているようです。
問題なのは、このように「加害者」の方はきちんと保護されている一方で、彼らの餌食になった被害者には公的な保護がほとんど与えられていないことです。
「犯罪被害者救済制度」があるじゃないか(●こちらを参照)という人もいるかもしれませんが、こんなのは保護のうちに入りません。対象が「故意の犯罪」に限られていて、しかも被害者に不注意があった場合など除外事例が多くなっています。おそらく今回の突き落とし殺人も、不注意があったという判断が下される可能性があります。
しかも、金額は多くて1800万円、加害者側から損害賠償を受けた場合はその分を減額されます。これでは、話になりません。これから何十年と働ける一家の大黒柱を失った分を穴埋めし、深刻な精神的打撃を回復するためには全く足りません。
年間で犯罪被害者に給付されている金額が11億円ほどで、一方で医療少年院のような手厚い手厚い処遇も含めて、加害者のために何千億円とかかっている。このアンバランスはどう考えても異常です。
よく「右翼」や「保守」を自称する人びとが、日本で人権があるのは犯罪者だけだ、という極論を述べていますが、そこまで行かないにしろ、明らかに扱いに差があるということは言えるでしょう。
以前、私はこういう事件の場合、とにかく「おかしな奴は隔離しろ」と言ってきましたが、それは現実を無視した空論だということに気づきました。
起こってしまったことは仕方がないにしろ、その後の始末をどうするか。政治に求められているのは、そういう処理を、多くの人が納得のいく形で行うことだと思うのです。
しかし、今の刑事行政を見ていると、何か理念だとかコンセプトばかりが先行していて、内実がそれに付いてきていないことがしばしば見受けられます。現場で働いている職員の人たちは、さぞかし大変なのではないかと思います。
犯罪について、「人権をまもろう」「いや厳罰だ」という水掛け論などいくらしていても解決はしません。犯罪者はご神体でも、生け贄の羊でもないのです。
光市の事件でウンザリしたのは、そういう議論ばかりで、今後こういう犯罪が起きた時どうするか、起こらないようにするためにはどうするか、という話が全く出てこないところです。なぜそうなるのかというのは分かります。自分に関係のないことを無責任に話している方が気楽だからです。死刑にしろだの、弁護団はアホだの、犯行時に少年だったんだから人権を守れだの、どうでもいいことばかり言っている人が多すぎます。
少なくとも、犯罪被害者給付金の金額を引き上げるべきでしょう。また、犯罪被害専門のカウンセリングを都道府県単位で必ず受けられるようにしてもいいかもしれません。
それ以上に、こういう犯罪が起こらないように、発達障害を含む対人コミュニケーション不全の人間の対人関係を改善するための機関として「社会化能力センター」というものを作ったらどうかと思います。人間というのは「人の間」にいるという意味なのですから、社会の中で適切に振る舞う能力がなければ、強い疎外感を味わうことになるでしょう。そういうものが、犯罪を助長しているのです。ひどい犯罪をやった人間に限って「おとなしくて目立たない人だった」ということがありますが、それは要するに周囲の人間と関わっていないからです。
そういう能力を訓練する場だった共同体や家庭というものが破壊されている、もしくは十分に機能していないとなれば、国なり自治体なりでコミュニケーション能力をつけさせるべきなのです。コミュニケーション能力の確保を、憲法25条の「生存権」の一種だと考えたり、「教育を受ける権利」(26条)の対象だと考えたりすれば、立法は十分可能でしょう。
青少年に有害な情報をインターネットから取り払えなどと議論している(●こちらのブログを参照)暇があったら、そういうことをもっと真剣に考えろと言いたいです。人間は過激な性表現や残酷な映像に触れても簡単に犯罪は犯しませんが、社会から阻害されれば簡単に犯罪を犯すのですから・・・。
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次こそ韓国大統領の李明博についての記事を上げますので、少々お待ち下さい。
【韓国大統領】李明博はあぶない!!(1)
前任者の盧武鉉(ノ・ムヒョン)が経済政策に関して完全に無能であり、北朝鮮シンパであったために、李明博への政権交代は、日本などでも好意的に受け止められているようです。
その彼が、今日本を訪問しています。私はテレビは全く見ない(ゲームやDVD鑑賞用のディスプレイとしか考えていない)ので詳しくは分からないのですが、テレビ番組にも何度か出演しているようです。日程も比較的長期間であることを考えると、何か目的を持って来日しているのではないかと思われます。
たとえば、以下の記事に二つほど答えが出ています。
EPA、6月に予備協議・日韓首脳会談
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20080422NTE2INK0121042008.html
--------以下引用--------
福田康夫首相は21日午前、首相官邸で来日中の李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領と会談した。2004年11月から中断している日韓経済連携協定(EPA)交渉の再開に向け実務者による予備協議の6月開始で合意。他の国際会議と切り離した形では初めてとなる日中韓3国の首脳会談を年内に日本で開くことでも一致した。北朝鮮の核問題では、19日の米韓首脳会談を踏まえ、日米韓が緊密に協力し核放棄を求めていく。
会談後の共同記者会見で大統領は、両国関係について「過去を直視し共同のビジョンを持ちながら、未来に向かわなければいけない」と強調。天皇陛下の訪韓については「特に問題はない」と述べ、早期実現へ期待を示した。
--------引用以上--------
>日韓経済連携協定(EPA)交渉の再開
>天皇陛下の訪韓
李明博と盧武鉉の違いが端的に表れているニュースです。
前任者の盧武鉉は支持層である「386世代」(90年代に30代を迎え、80年代に学生運動を経験した60年代生まれの層)が民族主義の左翼であるため、こういう提案を日本に切り出すことが出来ませんでした。だから、支持率が下がってくると、判で型を押したように「反日」でポイント稼ぎをやっていたのです。たとえば、島根県が定めた「竹島の日」に大統領自ら抗議した事例などが典型です。
それに比べると、李明博の方が現実的だということはできます。それを好意的に評価している評論家、専門家、ブログも多いようです。
しかし、私の考えは全く逆です。李明博は韓国を崩壊させ、日本など周辺諸国も巻き込んだ大混乱を起こす可能性が高い政治家です。
李明博に「高評価」を与えている連中が日本以外にもいることをまず知ってもらうとしましょう。
中国メディア「李明博は盧武鉉とあまりにも違う」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=94105&servcode=200§code=200
--------以下引用--------
中国のメディアが第17代大統領に決まった李明博(イ・ミョンバク)氏と盧武鉉 (ノ・ムヒョン)大統領の違いを分析する記事を出すなど高い関心を見せている。
北京で発行している中国の有力日刊紙の新京報は22日、中国のアジア問題専門家である妮夢舟氏が「李明博氏は盧武鉉大統領とあまりにも違う」という寄稿文を掲載し、注目を集めている。新京報によると、李明博はCEO(最高経営責任者)出身なので全ての面で実利と利益を計算して物事を決めるという。これにより、李明博氏が政権を握ると外交政策の基本的なフレームは変わらないが、推進力や性向、背景などの方面において盧武鉉大統領とは大きな違いがあることから韓国が経済や社会の多方面において大きな転機を迎えることになるだろうという評価をしている。
続いて同紙は「盧武鉉政権は“太陽政策”の推進で安定と平和を維持したものの、韓国が譲歩しなければならない部分が非常に多く、日米が対立する事態が発生した」とし「李明博氏は商人出身なので他国との関係を割り切って考えるなど過激な行動をとることはないだろう」と明らかにした。また、今回の韓国大統領選挙で李明博氏が大統領に当選できた理由が経済専門家出身という点にあると分析すると、外交関係には勢力を傾けず、各種政策の施行や経済再生にもっと重点を置くようになるのではないかと分析している。
また李明博氏と盧武鉉大統領は性向が異なることから、画期的な変化をもたらすだろうと予測している。特に盧武鉉政権は、外交的な側面では多くの成果を残したが、韓国国民の信任を得られなかった決定的理由として韓国経済が後退した点が挙げられているため、 李明博氏は積極的な経済成長政策を行っていくだろうと分析している。盧武鉉政権は当初「参加政府」「貧富の格差解消」「平民政治」などのスローガンを掲げて国民の支持を得たが、リーダーシップの不在により混乱ばかり引き起こしたという批判を受けたことから、韓国国民が朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領のような強いカリスマ性を持つ人物を好んでいると分析できるとし、李明博氏は理想像にいちばんふさわしい人物だと評価した。また、李明博氏が日米関係の強化を重視するなど名分よりは実利に重点を置く人物という点で、盧武鉉大統領と大きく異なると主張している。
--------引用以上--------
韓国の中央日報の記事です。まあ、●こんなネタ画像を掲載してしまう新聞ですから、「盧武鉉政権は、外交的な側面では多くの成果を残した」とさりげなく狂った分析を披露しているのはさておき、あの中国が李明博を支持しているというのは間違いないようです。
当然ですが、中国側が高い評価を与えるということは、中国にとって都合のいい人間であるということです。李明博が大統領就任前にしたことを見てみましょう。
韓国大統領選:李明博氏「中国との関係は重要」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1219&f=politics_1219_001.shtml
--------以下引用--------
19日に投票が行われている韓国大統領選に絡み、前ソウル市長の李明博(イ・ミョンバク)候補はこのほど、香港メディアの取材に応じ「わが国にとって中国との関係は米国との関係と同様に重要だ」と語った。また朝鮮半島の安定と繁栄のために中国の支援が必要だとの認識を示した。李候補は2007年11月中旬に中国共産党中央対外連絡部の劉洪才副部長と会談している。18日付で中国新聞社が伝えた。
--------引用以上--------
続いて当選後です。
胡錦濤国家主席、李明博韓国次期大統領の特使と会見
http://203.192.6.79/0118105617.htm
--------以下引用--------
胡錦濤国家主席は17日午後、人民大会堂で李明博韓国次期大統領の特使、朴槿恵氏と会見した。
朴槿恵特使はまず、胡錦濤国家主席に李明博次期大統領の親書を渡した。
胡錦濤国家主席は「李明博次期大統領は当選後ほどなく、特使を訪中に派遣したことは中韓関係に対する重視を示している。私はそれに高く賞賛する。実践で証明されたように、21世紀に向かう中韓包括的協力パートナーシップを確立、発展させることは時流に合い、両国民の共通の願いと要望を反映し、両国と両国民に実利をもたらすだけでなく、域内及び世界の平和、安定、発展の維持や促進にも寄与する」と述べ、「長期的安定、包括的協力、平等・相互利益の中韓関係を発展させることは中国政府の既定の方針だ。両国の国内事情や国際情勢がいくら変わっても、中国はこの方針を改めることはない。中国は韓国側と共同で努力し、両国関係の連続性と安定性を維持し、中韓関係のレベルを引き上げ、中韓包括的協力パートナーシップ関係の立派かつ急速な発展を推進
して行きたい」と表明した。
朴槿恵特使は胡錦濤国家主席が会見してくださったことに感謝の意を示し、中国が改革開放で挙げた実績を高く評価し、「韓中国交樹立以降、両国関係は諸分野でも急速な発展を遂げた。韓国側はそれに満足する。李明博次期大統領は対中関係をかなり重視する。新たな形勢下で、韓国側は中国側と意思疎通を強化し、協力を拡大し、更に韓中関係を引き上げ、共同発展をはかり、共同で朝
鮮半島、北東アジアの平和や繁栄のために貢献したい」と述べた。
--------引用以上--------
就任後の3月にはこうです。
韓国大統領、5月にも訪中の見通し―中国
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080325-00000016-rcdc-cn
--------以下引用--------
2008年3月22日、韓国外交通商部の柳明桓第一次官は、李明博大統領が今年5月にも訪中することを明かした。大統領就任後初となる訪中は今後の中韓関係を占う重要な訪問になると見られる。東方早報が伝えた。
李大統領は大統領選当時から米国、日本との関係強化を再三にわたり訴えてきた。そのため中国のメディア、研究者、さらには一部政府高官には「対中政策が後退するのでは」との不安が広がっている。これに対し復旦大学韓国研究センターの石源華(シー・ユエンホア)教授は「李大統領の外交政策はアメリカ、日本、中国、ロシアの4か国との関係を重視するものであり、今後も中韓関係のさらなる発展が期待できる」とコメントした。李大統領の訪中では自由貿易協定(FTA)締結、北朝鮮の核問題など東北アジアの安全保障問題などが主要議題に上ると見られている。
また柳次官は、年内にも日中韓三か国の首脳会談が開催される見込みが高いと話し、すでに日本側の同意を得たことを明かした。
--------引用以上--------
ちなみに、日本やアメリカについてはここまで言及していません。たまにするとしても、●日本に賠償金を出させて南北統一しようみたいに、ろくでもないことばかりです。
このことからも分かるように、李明博は現実主義者というより「親中国派」なのです。しかも、かなり熱心な部類に入ります。
その大統領は、同時にアメリカや日本との関係強化も明言しています。このことが、朝鮮半島とその周辺にとんでもない混乱を生む可能性があるのです。
すみませんが、時間の都合でこの辺で切っておきます。次回はこの李明博政権が東アジアにもたらす問題を取り上げたいと思います。
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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済
【世界激変】米中ダブル崩壊の日は来るか(6)~一粒で二度おいしい「戦争」
戦争というのは、みなさんもすぐイメージが浮かぶと思いますが、弾丸が飛び交い、建物が爆破されたり、人が死んだりするやつです。できることなら、巻き込まれたり、当事者になったりしたくはないと思っている人がほとんどでしょう。
しかし、その戦争には「需要創出」という大きな効果があるのだといったら、驚く人も多いかもしれません。戦争が起きると、ものが売れたり、失業者が減ったりするのです。
戦争による需要創出には、二つの側面があります。
(1)軍需の増大
戦争向けにたくさんの物を作ることで、需要が拡大するということです。たとえば、戦闘機を1機作ることになったとすると、それぞれの部品(機械工業)、外側の装甲(鉄鋼業)、コクピットのガラス(窯業)やパネル(プラスチック=石油化学工業)といったように、様々な工業製品を用いることになります。そうだとすると、戦闘機が作られれば作られるほどそれらの工業に発注される仕事が増えるわけです。
それだけでなく、軍隊が消費する消耗品もたくさん売れます。衣類、食料品、工具、それに陣地や宿営に用いる資材などです。そう考えると、戦争というのは巨大な消費活動ということもできそうです。
我々の日本も、朝鮮戦争(1950~53、現在停戦中)の期間中、アメリカ軍の軍需物資によって特需が発生し、これが復興を早めました。冷戦をうまく利用して漁夫の利を占めたわけです。もっとも、非武装を盾に経済発展に国力を集中させるという作戦がうまく行きすぎて、結局今に至るまでいびつな形の軍備をせざるを得なかったわけですが・・・。
●以前の記事で、アメリカの全就業人口のうち、製造業はたったの13%だという話をしましたが、その製造業の多くがこのような軍需に携わっています。軍事技術は国の安全保障に関わりますから、外国企業に任せるわけにいきません。そういうことで、軍需産業だけはしぶとく生き残ってきたのです。
もちろん、そういう需要は税金で作り出されています。「公共事業」という形でも可能なのですが、たとえばダムや道路の工事には地形や物理的な制約があるので、そこまで多額のカネを使うことはできません。また、アメリカも昨今の日本同様、公権力による支出には非常にうるさい国なので、単なる公共事業では税金の使用を正当化できないのです。
アメリカで、いわゆる9・11(同時多発テロ)以降のアフガニスタン・イラク戦争にかかっている戦費は約3500億ドル(36兆円)にもなります。東京都にある電柱を全て地中に埋めても3兆円で済むそうですから、相当大きな需要が生まれたことになります。
不謹慎な言い方ですが、軍需産業にとっては、テロリスト様々なのではないでしょうか。
また、単純に「軍人」という形で失業者を吸収することもできます。日本では、朝鮮戦争の途中に、アメリカの支持で日本に「警察予備隊」(75000人)と「海上保安庁」(8000人)がt作られたおかげで、かなりの失業者を吸収できました。特に、戦うことが仕事で、復員が難しい元来の職業軍人の多くが再就職先を見つけることができたといえます。
(2)復興需要
戦争によって攻撃を受け、荒廃してしまった相手国を「復興」させるために、援助や支援金としてつぎ込まれるお金で、仕事を作るということです。(1)が主に製造業なのに対して、こちらは主に建設業が中心となります。
この原型は、第二次世界大戦にあるということができます。二度の世界大戦直前の世界は、結局各国の工業力が発展して過剰生産状態になっていたので、もうこれ以上物を売れる状態ではありませんでした。だからこそ、日本は大陸に、ドイツは東方に活路を求めたのです(それ自体が妥当だったどうかはここでは問題にしない)。
そして、それらの国々と連合国の間で激戦が行われ、日本やヨーロッパは焦土と化しました。しかし、これによって建設や機械製造の需要が生まれたのです。もともと建物があったのを解体屋に壊してもらって再築するのでは正当化が容易ではありませんが、焼け野原になってしまった場所に新しく近代的なビルを建てるならほとんど問題はありません。
このやり方で一番合理的なのは、戦争を仕掛ける政府と、それによって焦土となった国の復興事業を受注する企業がグルになることです。自国の税金で足りないなら、他の国に「復興と平和のために」といってカネを出させれば済む話です。
そうやって金儲けをしている会社が実際にあります。アメリカの建設会社「ベクテル」(詳しくは●こちらのリンクを参照)です。ベクテルは日本の戦後復興や湾岸戦争後のクウェートの復興事業やサウジアラビアの公共事業を手がけた大手ゼネコンでもあります。
「実際に役に立つ公共事業をやるならいいじゃないか」と言われる方もいるかもしれませんが、そのベクテルが最近やったことがこれです。
イラク:希望を失わせるベクテル社の撤退
http://www.news.janjan.jp/world/0611/0611235207/1.php
--------以下引用--------
米国の巨大建設企業ベクテル社がイラクからの撤退を決定した。多くのイラク人は裏切られたという思いで、イラク再建のわずかな望みも失われたと考えている。イラク共産党員の1人は「サダム時代の方がましだった。アメリカは石油の略奪とイラク人の殺害しかしなかった」とIPSの取材に応じて語った。
ブッシュ政権に近いベクテル社の幹部は先週、戦火により荒廃したイラクでの業務を終了すると発表した。同社は23億ドルのイラク復興資金を受け取りながら、着手した仕事のほとんどを終了しないままイラクから立ち去ろうとしている。
イラクの状況はすべての社会基盤に関してサダム・フセイン支配の頃よりも悪化している。電気は1日平均2時間しか使えない。失業率は70%。68%のイラク人は安全な飲料水を手に入れられず、下水道を利用できるのは19%だけだ。英国の医学雑誌ランセットは、イラク侵攻・占領の結果65万5,000人以上が死亡したと推定している。
医療NGOのMedactによると、診療所の建設が進まず、簡単に治療できる下痢や呼吸器系の病気で多くの子供たちが命を落としている。142の初期治療の医療施設を建築する2億ドルのプロジェクトは、わずかに20施設を建築しただけで資金が底をついた。
電気が不足して石油の需要が高まっているにもかかわらず、石油産出国イラクで石油が手に入らない。「莫大な金額がつぎ込まれているはずなのになぜ電気事業の復興が進まないのか」と電気省の技師は嘆く。電気省の2人の大臣は汚職で告発されている。
ベクテル社はチェイニー副大統領が勤務していたハリバートン社などと同様に、最初に有利な条件で復興事業を請け負った。こうした巨大企業は事業契約を中小の会社に売り、それがさらに下請けに売られて、実際に安値で請け負うのは経験不足のイラクの建築業者なのでまともな仕事はできない。
--------引用以上--------
実際の工事は下請けに丸投げし、面倒になったらカネだけもってトンヅラ。まるでヤクザです。
ベクテルの前では、道路族だの土木利権だのといった、日本の公共事業がかわいく見えるほどです。実際、日本の土木利権は受益者が地方に住んでいる日本人ですから、やり方はよくないにせよ、一応お金が循環するようになっていますが、ベクテルのイラク復興事業はそれすらありません。強盗でもここまでひどいことはしないでしょう。
以前であれば、こういうところにアメリカ製の工業製品や建材なんかが持ち込まれたり、アメリカ人が設計や現地での技術指導にかり出されたりして、国民も需要増大の恩恵にあずかれたのかもしれません。しかし、イラクでのベクテルの例を見ると、政治家と政商が癒着しているだけなので、あまり需要の創出効果はなさそうです。
イラク撤退の声がアメリカで高まっているのは、イラク統治が一部の資本家を肥え太らせるだけで、アメリカ国民にとって何の恩恵もないことがばれたからなのでしょう。ベクテルとブッシュ政権がもっとアメリカ人に富を分配するように心がけていれば、イラク撤退は延びていたかもしれません。
もちろん、単純に戦時体制で窮屈な社会に嫌気が差してきたということも言えそうですが・・・。
このように、アメリカは経済が行き詰まると戦争で需要を創出し、これによって製造業や建設業を生きながらえさせてきたわけです。
一番最近では、9.11事件に端を発する「テロとの戦い」、言い換えるとイスラム文明に因縁をつけて戦争状態を作り出すことで軍需を創出してきました。それにも関わらず、アメリカドルは暴落しています。
その理由は、もはや効果的に戦争需要を作り出せる相手がほとんど存在しないからです。たとえば、アメリカに何度も非難されているイランですが、相当手強く、勝つとしたら核攻撃くらいしか手段がなさそうです。それに、1979年のイラン革命まではアメリカの友好国だったほどですから、地政学的に見て大きな利害対立もあるわけではありません。
それでも、何らかの形で戦争による軍需創出は続いていく(次回以降の記事で詳述)はずですが、それがもはや投資対象としてのアメリカの魅力を大きく高めるということはないでしょう。
結局、今のアメリカというのは、「基軸通貨であるドルの造幣」と「デフレ経済のもとで世界中からかき集めた投資」と「時折もたらされる戦争特需」という三つの方法でなんとか生き延びているだけの国、いうなれば、自転車操業ならぬ「一輪車操業の国」だったのです。ブレトン・ウッズ体制の崩壊以来、いつもヨロヨロヨタヨタしていて、少しバランスを崩すといつ倒れてもおかしくない状態で、ここまでやってきたのです。
別に私は「反米」だから、希望的観測でこういう記事を書いたのではありません。アメリカにまつわる出来事や事実を拾っていくと、そういう結論しか出てこないのです。マスメディアが断片的に拾ってきたイラク戦争の報道にいちいち反応している反米アホ左翼と一緒にされては迷惑千万です。
今世界的にドル安になっているのは、そういうアメリカの危ない体質がごまかしきれなくなってきたことが明らかになってきたからでしょう。もしかしたら、アメリカの飼い主だったドラキュラ自身が、怪物くんに見切りをつけ始めたのかもしれません(何のことか分からない人は●こちらの記事を参照)。
それでは、アメリカはいつ崩壊するか?という話になりそうですが、その前に、次の記事では、アメリカの最愛のパートナーである中国の現状について詳しく述べたいと思います。
【参考】
ルース・チェンジ(日本語版)
http://video.google.com/videoplay?docid=4377032998245988095&hl=en
9.11事件をテロリストの犯行だと思っている人は、騙されたと思って見てみてください。
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本当に「空気を売る」人たちがいるという話
しかし、どうやら本当に空気を売り買いする人がいる、というのが今回の話です。まず、このニュースを見てみましょう。
米大統領が温暖化ガス排出削減で新目標、2025年までに伸びをゼロに
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-31365220080417
--------以下引用--------
ブッシュ米大統領は16日、2025年までに温室効果ガス排出量の伸びをゼロにするという地球温暖化防止に向けた新目標を提案した。しかし、その具体的な方法などについては明言しておらず、環境保護団体などから批判が出ている。
パリで開かれる気候変動に関する主要国会合を控えて大統領が掲げた目標は、欧州のものに比べてかなり見劣りするもの。米議会はより積極的な目標を検討している。
来年1月に退任するブッシュ大統領は、電力会社などからの温室効果ガス排出抑制を目指すなど、広範な原則を提示したにすぎない。
ホワイトハウスが発表した声明の中で大統領は「強力な新法を完全に履行し、私が概略を説明した原則に従い、適切な奨励策を採用すれば、米国にとって温室効果ガス削減に向けた野心的な新たな道筋が整う」と述べた。
大統領選を争っている共和、民主両党の有力3候補はいずれも、産業界の二酸化炭素(CO2)排出量の上限設定や欧州連合(EU)と同様の排出権取引などを含め、ブッシュ大統領よりも踏み込んだ提言を行っている。
--------引用以上--------
ブッシュ政権というのは、温暖化防止名目で二酸化炭素の削減目標を定めた「京都議定書」からの離脱を宣言した政権です。それが、曲がりなりにも、温室効果ガスの排出に制限を設けると言い出したのです。
記事中にもありますが、大統領選の有力候補がEU並の排出規制を提言していることと合わせると、どうやらアメリカは本格的に温室効果ガスの排出制限に向けて舵を切ったようです。
しかし、これをもって「アメリカは環境に配慮するようになった」などと考えるのは読みが浅いというものです。
アメリカの真の狙いは、別のところにあります。同じことを別の人が述べているニュースがあるので、そちらも見てみましょう。
排出権取引の容認示唆=温暖化対策で米大統領報道官
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008041500141
--------以下引用--------
ペリノ米大統領報道官は14日の定例記者会見で、地球温暖化対策に関連して「われわれは必ずしも排出権取引に反対ではない」と述べ、容認する姿勢を示唆した。近く温暖化対策で何らかの発表もあり得るとしている。
排出権取引は、企業が温室効果ガスを排出できる量を排出権として定め、それを市場で売買する制度。温暖化対策の柱として期待されている。
--------引用以上--------
この報道官の前振りがあって、冒頭のブッシュ大統領による宣言とあいなったわけです。また、議会レベルでも以下のような動きがあるようです。
米の排出量取引法案、2010年までに立法化の可能性
http://www.ecology.or.jp/w-topics/wtp24-0804.html
--------以下引用--------
環境分野での米国有力シンクタンク「地球規模の気候変動に関するピューセンター」のアイリーン・クラウセン代表(元国務次官補)が来日し東京で講演を行い、排出量取引法案について語った。
同氏は講演の中で、米連邦議会に提案中のキャップアンドトレード方式の二酸化炭素排出量取引法案について、内容に多少の修正は必要としながらも、「2008年中もあり得るし、2009年には成立の可能性が非常に高い。2010年までには間違いなく立法化される」との見通しを明らかにした。
ただ、2005年に始まった欧州連合(EU)の域内排出量取引制度(EUETS)には一定の評価を与えつつも、価格の不安定性や、二酸化炭素削減のイノベーションに貢献していない点などを指摘。排出量取引の制度設計では「長期的なキャップにより企業側に対して信号を発信しながら、公共投資を含め、政策面で技術革新を促す取り組みが必要」とした。
また「ポスト京都」をにらんだ排出量削減の国際的枠組みについては、すべての主要排出国が参加した拘束力ある制度づくりを強調。途上国の同意を取り付けやすいよう、日米などは絶対値での削減目標を掲げる一方で、途上国には再生可能エネルギーや燃費基準、セクター別アプローチでの数値目標を課す柔軟策を提案した。
--------引用以上--------
キャップアンドトレード方式というのは、政府が温室効果ガスの総排出量(=キャップ)を定め、それを企業や公的機関ごとに排出枠として配分し、その配分された者同士で排出枠の一部の移転(=トレード)を認めることです。イギリスで、すでに2002年に「気候変動税」として導入されています。
ここで重要なのは、政府が排出枠を割り当てることと、排出枠の取引ができるという点です。
なるほど、たしかに二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減に努力した企業が、余った排出権を売ることで利益を上げられるということで、経済的なインセンティブ(導因)があるということは言えるでしょう。
しかし、企業側からしてみれば、本来なかったはずの支出を強いられることになるわけで、かなりの痛手になります。だからこそ、アメリカは産業界(特にブッシュ政権に深く食い込んでいる石油業界)の意向を受けて、京都議定書から脱退したのです。
それなのに、こうやって環境という目的のために排出規制が推進されるのはなぜか。要するに、排出権取引が新しいビジネスだからです。
勘違いしないでください。環境をよくするために排出規制をして、それに付随してビジネスが発生したのではないのです。ビジネスチャンスを作るために、排出規制をしたのだということです。そういう見方をしなければ、アメリカまでもが温室効果ガスの排出規制と、それにともなう排出権取引にゴーサインを出した動機が説明できません。
●以前の記事で紹介したように、すでにロンドンとシカゴに「気候取引所」なるものまで設立されています。温室効果ガス排出量では世界で2位である中国でも、排出権取引のための取引所を香港と北京に設置することがほぼ決定しているようです。
アメリカにしろ中国にしろ、取引所が当局の排出規制の法制化に先行しているのは興味深いです。排出権取引が排出規制に先行しているということで、この問題が純粋な環境問題ではなく、「ビジネス」として取り上げられていることがよくわかるというものです。
ここで、一つ「予言」をしておきましょう。
次のアメリカ大統領選の後は、民主党政権になる公算が大きいのですが、そうなると、アメリカの日本に対する「年次改革要望書」(中身は●こちらを見るとよくわかります)に今までと毛色の違う項目が出てくるはずです。それは、
「日本における排出権取引のための枠組みの早急な策定」
です。
理由は、もうおわかりでしょう。アメリカやヨーロッパの国際金融資本が、日本企業の排出権取引を牛耳って利益を上げるためです。
そして、日本(二酸化炭素排出量世界4位)の企業は、空気につけられた値段を外国人の言い値で払うことになり、その分従業員の給料をリストラしたり、設備投資を縮小したりするわけです。
我が国の政府も、●この人物のような歴代環境大臣を中心とした「環境族」みたいな人間が排出権取引の法制化のために一生懸命動いて、実現した暁には、排出枠の配分で大きな発言権(利権)を握ることになるでしょう。
全く、日本国民にとってはいい迷惑です。
なお、私は予言者でも占い師でもないので、予言が外れてもあしからず(笑)。
【参考記事】
排出権取引というビジネス
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-84.html
社会問題としての地球温暖化(晴耕雨読様より)
http://sun.ap.teacup.com/souun/1578.html
自然エネルギーの工業的利用と技術の限界(同上)
http://sun.ap.teacup.com/souun/1609.html
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小泉純一郎と朝鮮コネクション
私が小泉純一郎という政治家を非難すると、彼のシンパとおぼしき人から必ずこういう類の反論を受けます。
「小泉さんがいなかったら拉致問題は進展しなかった」
「北朝鮮の脅威を知らしめたのは小泉さんの功績だ」
こういう反論がまずもって出てくる自体、小泉という政治家が内政面ではろくなことをしていないということだと思うのですが、その彼が最近、北朝鮮について興味深い発言をしました。
小泉元首相:「福田首相が行かなくちゃ」訪朝促す
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080411ddm005010117000c.html
--------以下引用--------
自民党の小泉純一郎元首相は10日夜、同党の山崎拓前副総裁や民主党の岩国哲人元副代表ら両党議員6人と東京都内で会合を開いた。日朝外交について「国交正常化の実現には首相が決着をつけるしかない。自分はもう行くつもりはなく、行くのは首相だ」と述べ、福田康夫首相の訪朝を促した。支持率が低迷する福田首相を、2度の電撃訪朝で政権浮揚に成功した自身の体験を踏まえて激励したとみられる。会合に出席した民主党衆院議員は「北朝鮮外交に熱心な両党議員で集まった」と話している。
--------引用以上--------
注目は、ここです。
>国交正常化の実現には首相が決着をつけるしかない。
その後に、「2度の電撃訪朝で政権浮揚に成功した自身の体験を踏まえて激励したとみられる」という憶測が付いていますが、外れです。小泉は、文字通りに、早く日朝国交正常化してくれと言っているだけです。
え?あの北朝鮮と国交正常化?
そう思う方もいるかもしれませんが、私には何の不思議もありません。なぜなら、この日本で小泉純一郎ほど親・北朝鮮の政治家はいないからです。
別に彼自身が「私は北朝鮮シンパだ」などと言ったわけではありません。以下のような事実があるからです。
(1)ピョンヤン宣言
小泉が、拉致被害者5人を「取り返してきた」時に、北朝鮮のキムジョンイル総書記と取り交わした覚え書きです。内容をもう一度おさらいしましょう。
ピョンヤン宣言(外務省ホームページより)
http://210.163.22.165/mofaj/kaidan/s_koi/n_korea_02/sengen.html
--------以下引用--------
小泉純一郎日本国総理大臣と金正日朝鮮民主主義人民共和国国防委員長は、2002年9月17日、平壌で出会い会談を行った。
両首脳は、日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなるとの共通の認識を確認した。
1.双方は、この宣言に示された精神及び基本原則に従い、国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注することとし、そのために2002年10月中に日朝国交正常化交渉を再開することとした。
双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した。
2.日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
双方は、日本側が朝鮮民主主義人民共和国側に対して、国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が実施されることが、この宣言の精神に合致するとの基本認識の下、国交正常化交渉において、経済協力の具体的な規模と内容を誠実に協議することとした。
双方は、国交正常化を実現するにあたっては、1945年8月15日以前に生じた事由に基づく両国及びその国民のすべての財産及び請求権を相互に放棄するとの基本原則に従い、国交正常化交渉においてこれを具体的に協議することとした。
双方は、在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、国交正常化交渉において誠実に協議することとした。
3.双方は、国際法を遵守し、互いの安全を脅かす行動をとらないことを確認した。また、日本国民の生命と安全にかかわる懸案問題については、朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した。
4.双方は、北東アジア地域の平和と安定を維持、強化するため、互いに協力していくことを確認した。
双方は、この地域の関係各国の間に、相互の信頼に基づく協力関係が構築されることの重要性を確認するとともに、この地域の関係国間の関係が正常化されるにつれ、地域の信頼醸成を図るための枠組みを整備していくことが重要であるとの認識を一にした。
双方は、朝鮮半島の核問題の包括的な解決のため、関連するすべての国際的合意を遵守することを確認した。また、双方は、核問題及びミサイル問題を含む安全保障上の諸問題に関し、関係諸国間の対話を促進し、問題解決を図ることの必要性を確認した。
朝鮮民主主義人民共和国側は、この宣言の精神に従い、ミサイル発射のモラトリアムを2003年以降も更に延長していく意向を表明した。
双方は、安全保障にかかわる問題について協議を行っていくこととした。
--------引用以上--------
>日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に
>多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、
>痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。
日教組や社民党が聞いたら泣いて喜びそうな名文句ですね。これを口にしたのは他の誰でもない、小泉自身です。
外務省の田中審議官たちが入れさせたのだ、という批判もありそうですが、もしそうだとしたら、「小泉純一郎という政治家は自分が交わす覚え書きすらまともに読まない大馬鹿である」か「日本が朝鮮に悪いことをしたという文言をあえて訂正させなかった」か、どちからということです。どちらにしろ、小泉が日教組や社民党に近い考えの持ち主だという可能性は非常に高いということです。
この覚え書きを国際的に発信した「事実」から、小泉が愛国的な保守政治家だという憶測がなぜ出てくるのか、納得できる意見を私は見たことがありません。
>国交正常化の後、双方が適切と考える期間にわたり、
>無償資金協力、低金利の長期借款供与及び国際機関を通じた
>人道主義的支援等の経済協力を実施し、また、民間経済活動を
>支援する見地から国際協力銀行等による融資、信用供与等が
>実施されることが、この宣言の精神に合致する
「双方が適切と考える期間にわたり」ということですから、日本が出す金に北朝鮮が注文をつけられるということです。つまり、小泉は北朝鮮を援助すべきだと表明したということです。これのどこが「北朝鮮に対して強硬的」なのでしょうか。
>在日朝鮮人の地位に関する問題及び文化財の問題については、
>国交正常化交渉において誠実に協議することとした。
在日うんぬんより、重要なのは、この時点ですでに2回も「国交正常化」という文言が出てきていることです。
ここから分かるのは、小泉は、北朝鮮と国交を回復したくてしょうがないということです。だからこそ、冒頭のニュースのように、国交正常化をせかすような発言をしているわけです。
ここには、小泉や、彼の属する「清和会」(町村派)(安倍や福田もここ出身)という派閥の持つねじくれた姿勢が現れているといえます。
清和会は現在自民党の中で最大の派閥です。そこからも分かるように、彼らの基本的な姿勢は「カイカク推進」です。つまり、財政均衡や国際競争力の強化のために、無駄な支出は極力抑え、規制緩和や国営事業の民営化を進め、それによって民間企業(輸出企業や外資)に便宜を図ろうというものです。
しかし、このやり方だと、国内に利権のシマを築くことができません。最近の選挙で、自民党が政令指定都市と山口県を除いた地方部で負け続けているのは、そういうことと無縁ではありません。
そこで、彼らが目をつけているのが「北朝鮮」だということです。国交正常化に伴う莫大な援助で、商社や(今はを都市再生事業で食わせている)大手ゼネコン、さらには在日朝鮮人資本に餌を与えようという算段です。
小泉がピョンヤン宣言を行い、安倍前首相それを昨年2月の六カ国協議で国際的合意にまで高めたのは、そういう狙いがあったからだと考える方が自然でしょう。なにしろ、日本の外交にとってはただの一点も評価すべきポイントがなかったのですから・・・。
もっとも彼らの誤算は、求心力を煽るためのネタだった拉致問題で、国民の間に火が付いてしまったことです。小泉や安倍が愛国だと盲信している一部の層は別として、国民に「北朝鮮」というものを受け入れさせるのは大変そうです。
この国民の北朝鮮に対する違和感、嫌悪感をどうやってごまかすしていくかが、今後注目すべき点だと言えます。
さて、小泉が親・北朝鮮の政治家だと考えられるもう一つの事実があります。
(2)在任中の「朝鮮銀行」への税金投入
Dogma and prejudiceさんの●「朝銀の公的資金投入」と「歴代内閣」の関連という記事が参考になります。これによると、橋本内閣時代の公的資金投入は3102億円なのに対して、小泉内閣のそれはなんと1兆500億円にも上るとのことです。
これを持ち出すと、「北朝鮮とつながりのあった野中広務という政治家の影響であって、小泉さんのものではない」という人がいます。
しかし、これもさっきの田中審議官だの外務省だのが反日だという意見と同じことになります。すななわち、それが本当だとしたら、「小泉は野中広務の意見を唯々諾々と受け入れる親北朝鮮派である」か、「税金を北朝鮮系の銀行救済に使うという一大事に全く関心のないダメ政治家」か、どちらかの結論しかなくなってしまうわけです。
むしろ、マスメディアがオモシロおかしく描いていたように、野中という政治家は小泉にとっては不倶戴天の敵でした。
なぜなら、野中は「清和会による朝鮮利権の独り占め」という小泉の目的にとって、一番邪魔だった人物だからです。この人物は同和団体やパチンコ資本といった朝鮮と縁のある政治家でした。小泉政権時代に●ハンナン事件など、同和団体利権にメスが入ったのは、朝鮮資本に対する野中の影響力を排除するためのものだったと考えられます。
あるいは、野中と北朝鮮はもとから大した関係でもなかったのに、小泉や清和会が親・北朝鮮派であることを覆い隠すために、「朝鮮人とズブズブの野中」という虚像をでっち上げて、それを叩くという行為に出たのかもしれません。
もちろん、小泉と野中の暗闘について、私は細かいことはあまり知りません。しかし、(1)と(2)を総合すると、この程度のことしか考えられないという気がします。
冒頭のニュースに戻って、次に、注目したいのはここです。
>同党の山崎拓前副総裁
この政治家ですが、最近も、こんなことをしています。
山崎拓氏が超党派訪朝団結成へ
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080402/stt0804022211006-n1.htm
--------以下引用--------
山崎拓氏 自民党の山崎拓元副総裁が自民、公明、民主各党の議員による超党派訪朝団を結成し、早ければ今月中にも北朝鮮を訪問する方向で調整していることが2日明らかになった。関係者によると、訪朝団は山崎氏、民主党の岩國哲人衆院議員、公明党の東順治副代表らで構成される予定という。議員外交を通じて拉致、核開発問題について協議し、日朝国交正常化を目指すのが狙いだ。
これに関連し、山崎氏が最高顧問を務める自民党朝鮮半島問題小委員会は3日、平成14年9月の小泉純一郎首相(当時)の初訪朝を手がけた田中均・元外務審議官から朝鮮半島情勢について意見聴取する
--------引用以上--------
こういうニュースを見ると、だいたいネット上では山拓(山崎拓のあだ名)叩きが始まるのがパターンになっています。しかし、そういう彼が、冒頭のニュースのように、小泉が呼びかけたであろう集まりに出席しているのです。
そういえば、同じYKKというグループを作っていた加藤紘一の方は、「加藤の乱」に失敗して恥を晒したり、自宅に火をつけられたり、さんざんな目に遭っていますが、山拓の方はいくらスキャンダルがあっても失脚する気配すらありません。
小泉ファンにとって耐え難いかもしれませんが、この山崎という人物は小泉の別動部隊なのでしょう。そういうことでしか説明がつきません。
冒頭のニュースに山拓が出てくるのも、小泉からいろいろ指示を受けるためだったのだと考えるのが合理的です。
他に、気になるのはここです。
>民主党の岩国哲人元副代表ら
>会合に出席した民主党衆院議員
山拓のところで引用したニュースの超党派議員団にも、「民主党」の名前が入っています。民主党には、●前原誠司・前代表のような親・小泉の政治家もいたりするわけですが、これで私はピンと来ました。
ははぁ~なるほど、政界再編があったときに小泉(清和会)を軸に結集する人間には、朝鮮利権というおいしい餌が与えられることになっているのだな、と。
おそらく、小泉の下に集まる人間には「カイカク推進」「外国を利用した利権」という共通項があるのです。それ以外に、小泉・清和会-山拓-公明党-民主党(前原や岩国のような反小沢派)がつながる理由はありません。
平沼新党や小沢一郎・民主党代表の動きも大事なのかもしれませんが、この「朝鮮コネクション」ともいうべき連中の動きこそ、一番注意して監視しなければならないでしょう。
彼らはかなりの確率で、朝鮮側(キムジョンイルや統一協会など)に コントロールされることになるでしょう。我が国の独立自尊が脅かされるのは間違いありません。それに何より、国内は切り捨てて外国に活路(?)を求めているわけですから、日本人の経済や生活はないがしろにされるに決まっています。
そういうことから、選挙で投票する際は、候補者の属する派閥(自民党)・グループ(民主党)も見ておく方がいいでしょう。「町村派」「山崎派」や、「前原グループ」はかなり危険です。また、公明党は党丸ごと危険分子なのは言うまでもありません。
私の考えでは、日本の政治が大きく動くことになるのは、次の衆議院選挙(このまま解散がなければ2009年9月)から、2010年3月にかけての9ヶ月です。総選挙は言うまでもありませんが、2010年の3月には、憲法改正案を国会に提出して国民投票を行うことが可能になるからです。
そのとき役に立つように、「自END」カテゴリなどで、議員の動向などもお伝えしていきたいと思っています。
【関連記事】
独裁者・小泉純一郎が怖れるもの
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-47.html
「またもや小泉傀儡政権」福田内閣を叩き潰せ!!
http://roronotokoro.blog113.fc2.com/blog-entry-46.html
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【世界激震】米中ダブル崩壊の日は来るか(5)~金融国家アメリカの綱渡り
ブレトン・ウッズ協定によってドル基軸体制が完成→日本や西ドイツが産業競争力でアメリカを脅かす→アメリカが「世界的デフレとそれに伴う金融国家化」という戦略に変更→米中国交回復・中国の輸出超過で世界がデフレ化
という感じになりそうです。そして、金融国家となったアメリカは、世界中の優良資産を買いあさり、ドルを垂れ流して中国に物を作らせて「繁栄」を享受しているというわけです。
このやり方の欠点は、世界的なデフレはアメリカ自身をも直撃するということです。しかし、デフレそのものを克服するような政策をとれば、金融中心経済の強みがなくなってしまいます。
そこで、アメリカは一貫してデフレを前提にした社会構造の変革を行うようになりました。その一つが、前回紹介した「第三次産業(サービス業)へのシフト」だったのです。
最近分かったのですが、アメリカの政治・経済を理解するときには絶対押さえておかねばならない鉄則があります。それは、以下の二つです。
(1)アメリカはグローバリストの利益追求のための道具となっている
(2)しかし、(1)を知られてはならないので、恒久的に選挙対策を打たなければならない
(1)は70年代から始まる産業の空洞化、そして80年代の金融中心経済への移行に現れています。利益を極大化するためには、雇用の減少などの国民の不利益を顧みないグローバリスト(詳しくは●こちらを参照)の性格そのものです。歴代の政権に、ゴールドマン・サックスやメリル・リンチといった金融企業の役員が参加したり、逆に政権から「天下り」したりしている事実を見ても、間違いないでしょう。
しかし、そういう実態を国民が知ってしまうと、グローバリストをアメリカから追放しろという運動が起こりかねません。ただでさえ、グローバリストの側には「ユダヤ人」という叩かれやすい人々がたくさんいますから、いったんばれたら混乱は必至です。
そこから目をそらすには、選挙民に利益を与える、もしくはそういう風に見せかける必要があるのです。それが選挙対策ということです。デフレを国民に「感じさせない」というのも、これに含まれます。
そして、この(1)と(2)は、本当は両立しない命題なので、やろうとすると様々な問題が起こってきます。それが、アメリカの政治や外交をおかしくしている原因です。
では、サービス業へのシフトと並んで、アメリカが選挙対策としてやってきたことは何か。今回取り上げておきたいのは、「投資バブル」です。
投資というのは、企業に活動資金を与えることです。企業が発行した株を買ったり、お金を貸したりすることがその典型です。
この投資には、大きな効用があります。それは、輸出してカネを儲ける方法(貿易黒字)によらずに需要を創出することができる点です。
本来、投資というのは、なんらかの形でカネを出した人に返さなくてはならないものです。そのお金を、あたかも実収入のようにして、設備投資や従業員の給料の支払いに充てることができるということです。
たとえば、アメリカで「これからはIT(情報技術)産業が盛んになる」という評判が高まったとします。これは儲かりそうだ、ということで、アメリカ人も含めて、世界中の人がアメリカのIT企業(たとえばマイクロソフトやアップル)の株を買うでしょう。
そうすれば、そのIT企業は事業拡大のために、人を雇ったり、新たなオフィスのためにパソコンなどの事務機器を購入することになります。これで失業率が減り、事務機器のメーカーの売り上げが上がります。そうなると、そのメーカーの従業員も給料が上がったりするわけです。
こうすれば、他人に物を買ってもらう苦労をしなくても、簡単に国民を養っていけるのです。「外国から投資を呼び込め」という風にさかんに主張している人が言いたいのは、要するにこういうことです。
しかし、万が一儲からなかったらどうするのでしょうか?心配ありません。そういうときのために、投資には便利な殺し文句が用意されています。それが「自己責任」というやつです。
要するに、企業に投資するというのは儲かるときもあればそうでないときもあるから、儲かりそうな企業に自分の責任で投資しようね、ということです。そうすれば、たとえある企業の業績や、ある国の経済が急落したとしても、自分の見る目がなかったということになるのです。
え?それって要するに「詐欺」じゃないのかって?
はっきり言ってしまえば、そうです。投資というのは、一種の詐欺です。うちにお金を出せばこんなに儲かるよ、と、投資家を呼び込んでも、その企業が成功するかは誰もわかりませんし、多くの場合事業というのは失敗に終わるからです。
それでも、多くの企業が成功するための条件というのはあります。それは、その国の総需要(要するに国民が物を買うための金)が拡大し続けることです。言い換えると、投資が成功する可能性が高いのは、国自体が本当に儲かっている場合だけなのです。
しかし、アメリカは輸出でもうけるという道をほとんどあきらめてしまっている(完全に、ではない。次回に詳述)国だったはずです。いまさら、貿易黒字を増やすわけにはいきません。では、どうすれば詐欺師の烙印を押されずに済むのか。
その方法は一つしかありません。常に「投資バブル」を起こし続けることです。
バブルというのは、泡のことです。実体を大きく超えて、泡のように経済がふくらむことをバブル経済などと言ったりします。投資がたくさん集まってくると、それを使って需要を増やすことができますから、その国の経済が強くなったように見えるのです。
アメリカの最近政権を見てみると、必ず一度はバブル経済が起こっています。アメリカの様々な業種の企業500社の株価動向を反映した「S&P500」という価指数の推移を見ながら、確認してみましょう。

こうしてみると、1980年代から上昇が始まっているのがよくわかるのではないでしょうか。それ以前の時期は、インフレ率を考えると株価はほとんど変わっていません。非常に対照的です。
まず、1980年代後半に大きく株価が上昇しているのがわかります。共和党政権(レーガン・ブッシュ父)の下で、アメリカが金融中心経済に変わっていった時代です(●本シリーズ3回目の記事を参照)。この時期は日本でもバブル経済でした。アメリカにもかなりのジャパンマネーが流れ込んでいます。それだけ、アメリカの金融に制約がなく、リターンが多く見込めたということです。
次に、1995年から急上昇がきています。これは、民主党(クリントン)政権時代の「ITバブル」です。みなさんの周りで、急にパソコンが目につき始めたり、インターネットという言葉が聞こえ始めたりしたのは、この時期だったはずです。
この時期には、「アマゾンドットコム」のように、インターネットを使った新しいタイプの企業が出始めました。それらの企業は業績が必ずしもよかったわけではありませんが、これから期待できるということで株価が上がり続けました。企業としても、株式を発行して資金を調達しやすい環境だったというわけです。
だめ押しとして、アメリカはこの時期一貫して金利を高くする政策をとっていました。インフレ懸念ということですが、要するに国債だとか貸し付けに高い金利がつくようにして、投資を呼び込んでいたのです。その時期に、アメリカを脅かす唯一の存在だった日本が実質ゼロ金利政策を実行していた(というか、アメリカにさせられていた)こともあり、アメリカは世界中の投資マネーを一手に引きつける存在になりました。
さらに、2000年代中頃に入って再び上昇に転じているのは、「住宅バブル」です。ここで出てくるのが例の「サブプライム・ローン」というやつです。
サブプライムというのは、プライムレート(優遇された金利)にはできないが、その一つ下という意味らしいです。金利を一定期間据え置きして、何年かしたら(普通のローンより高い)利息を払い始めるという形になっていました。もし、利息を払えなくなっても、建てた家と土地を抵当に入れているので大丈夫というわけです。もしもの時も安心、ということで、低所得層でも利用者が増えました。
他方で、金融機関はサブプライムローン利用者への債権を証券化して、いろんなところに売りさばくということもやっていました。「据え置き期間が終わったら高い金利が取れるから、利回りのいい商品ですよ」という風に宣伝していたそうです。
ちょっと考えてみると分かりますが、「低」所得層が高い金利を払えなくなる可能性は非常に高いわけです。じゃあ抵当に入っている家を競売すればいい、といっても、家が高く売れなければだめなわけで、住宅価格が上がり続けない限りは必ず破綻する運命です。それがサブプライム・ローンだったのです。
永久にあがり続けることを前提として、活発な投資が行われる・・・典型的なバブル経済です。日本でも、土地の値段が永久に上がり続けると言われていた時期がありました。しかし、やはり破綻しました。
はっきり言えば、投資で経済を回すというのはそういうものなのです。どこかから利益をとってくるわけではないのですから、実体などはじめからありません。
困ったことに、投資バブルには必ずバブル崩壊というものがあります。上のS&P500の推移を見ていただくとよく分かりますが、レーガン=ブッシュ時代は1987年、ITバブルは2002年に急落しています。最近では、住宅バブルもサブプライム・ローンの焦げ付きで崩壊し始めています。
おそらく、アメリカの株価は今後2年ほど下がり続けるでしょう。アメリカが本当の意味で経済を立て直すまで、下げは止まりません。
しかし、アメリカにそんな秘策があるのでしょうか?
あるとすれば、一つは、再び投資バブルを起こすことです。投資というのは、先行きに対する期待感で成り立っている側面が大きい分野です。今はサブプライム・ローンで大騒ぎになっている余波が来ていますが、そのうちそういうニュースが聞こえなくなり(あるいは、意図的にロイターやAP通信が流さなくなり)、新しい投資ネタが出てくるかもしれません。
もし株でもうけたいな、と思っているひとは、日本語ではなく、英語でアメリカのニュースをチェックすれば、そういう動向をすぐにつかめるかもしれません。日本で本格的に「アメリカでは今○○がいい」などと言われ始めるのは、向こうの企業や金融機関が日本の馬鹿な投資家をカモにするための餌です。それを信じるよりは、まだアメリカ国民向けの餌に飛びついた方が少しは儲かるからです。
しかし、はっきり言っておきますが、私はもうそういう期待はしない方がいいと思っています。もうそろそろ、アメリカの金融中心経済も限界が来ているのではないかと思うからです。
実は、もう一つアメリカが経済を立て直せそうな方法があります。
それは、
「戦争」
です。この点に次回は触れてみたいと思います。
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開催前の聖火リレーでかつてない盛り上がりを見せているオリンピック(笑)
五輪聖火リレー、ロンドンで妨害相次ぐ・「チベット」抗議
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080406D2M0601J06.html
パリの聖火リレー、妨害行為で5人を拘束・一時火が消える場面も
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20080407D2M0702K07.html
こんなオリンピックは今まで記憶にありません。悪のりをしている連中がいるのは予想がつきますが、そういう隙を与えているのは開催国の数々の悪行だというのは疑いようがないでしょう。
とうとう、こういう記事も出始めました。
聖火海外リレー、再検討の契機か=世界巡回が格好の標的に-北京五輪
http://www.jiji.com/jc/c?g=spo&k=2008040800833
--------以下引用--------
北京五輪の聖火リレーがロンドン、パリで多くの妨害行為に遭ったことに対し、国際オリンピック委員会(IOC)関係者からも、大掛かりな海外リレーの在り方を問う意見が出始めた。
IOCの北京五輪・調整委員会副委員長を務めるゴスパーIOC委員(オーストラリア)は8日、「将来の聖火リレーについて、IOC理事会は再検討すべきだ」と語った。リレーを主に開催国内で行うのか、アテネ、北京両大会で採用された五大陸巡回の大規模リレーを継続するのか。当地で9日に開かれるIOC臨時理事会、10、11日の理事会で議論される可能性もある。
今回の妨害行為は、チベット暴動を鎮圧した中国政府の対応に起因している。海外リレーが格好の標的になり、岡野俊一郎IOC委員は8日、「ああいう映像をテレビで見るのは悲しい」と表情を曇らせた。
岡野氏は「あまりリレーの規模を広げるとこういう現象も起きる。(海外リレーは)アテネの時もコスト面などで異論もあった。世界中を回ることに意義があるのか、再検討すべきでは」と語った。
--------引用以上--------
>大掛かりな海外リレーの在り方を問う意見が出始めた。
>「あまりリレーの規模を広げるとこういう現象も起きる。(海外リレーは)
>アテネの時もコスト面などで異論もあった。世界中を回ることに意義があるのか、
>再検討すべきでは」
要するに、「中国は何も悪くない」「五輪開催のためなら聖火リレーのやり方を変えればいい」ということです。
オリンピックにかこつけて中国に投資をし、その回収のために単なるスポーツイベントを全人類が祝わなければならない聖なる祭典のように祭り上げることが、国際オリンピック委員会の任務です。そうすることで、オリンピックが企業PRや国威啓発の格好の場になるからです。
まあ、開催国次第で国威「失墜」もあり得るわけですが・・・(笑)。
オリンピック委員会の委員は公務員ではありませんから、収賄という概念がありません。接待という名目で、中国政府やグローバリスト企業に、さんざん餌をもらっています。その「代償」として、おそらくチベットが核攻撃されてもオリンピックは開催するでしょう。
世の中というのは、そういうものなのです。根っこにあるのは、経済のグローバリゼーションです。このブログがただ中国を感情的に非難することを避けて、グローバリストの経済活動を問題視しているのはそのためです。
>「ああいう映像をテレビで見るのは悲しい」
自分たちのカネ集めが邪魔されているのですから、そりゃ悲しいでしょうね(笑)。
私がもっと頭にきたのはここです。
>チベット暴動を鎮圧した中国政府の対応
時事通信の記者がこの場にいたら、「この『暴動』というのは何だ?」と、詰問してやりたくなります。
海外のGoogleニュースを「tibet riot(暴動)」で検索してみると、ひっかかるのはXinhua News(新華社通信)、要するに中国の国営通信社のニュースばかりです。ところが、「unrest(不穏な状態)」 「protest(抵抗)」と併せて検索すると、続々と中国以外の英語メディアの記事が出てきます。暴動ということで、チベット人の必死の抵抗を貶めようとしている連中が誰かよくわかります。
そういうことから考えると、時事通信ならびに「暴動」という語を用いている日本のほとんどの新聞社・マスメディアは、国際世論より中国の意向を尊重しているということです。別に国際世論を信奉しろなどと言うつもりはありませんが、こういう連中が普段口にしている「世界的な傾向」だとか「国際競争力」だとかいう言葉は、全く信用できないということは間違いなさそうです。
まとめると、一番下の記事から分かることは、「自己反省などをしている正直な人間はオリンピック貴族にはなれない」ということと、「日本のメディアは中国国営通信社に逆らえないイヌ以下の存在」だということです。
オリンピックやサッカーのW杯というのは、このようなふざけた連中、悪辣な国に利用されてしまうイベントだという認識も必要でしょう。メディアの扇動に乗って、神聖視などしていてはいけません。
そういうことを考える意味で、北京五輪というのは非常にいいきっかけになったということができそうです。
早起きしたので、ちょっと取り上げてみました。今日中にもう1本、●「米中ダブル崩壊」の記事を載せます。お楽しみに。
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「株式会社」は国民を幸福にする仕組みなのだろうか?
Jパワー株買い増し、再検討勧告へ 英ファンドに経産省
http://www.asahi.com/business/update/0405/TKY200804050046.html
--------以下引用--------
経済産業省と財務省は、英国の投資ファンドが申請した電力卸大手Jパワー(電源開発)の株買い増しについて、「公の秩序の維持を妨げる恐れ」があると認定した。ファンド側に投資計画の変更か中止を勧告する方向で、11日から最終的な審査に入る。
買い増しを申請しているのは、Jパワー株の9.9%を持つザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド(TCI)。両省は、Jパワーの経営へのTCIの影響力が強まると、電力の安定供給や原発の核燃料の管理に支障がでる恐れがぬぐえない、と判断した。
両省は11日、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、関税・外国為替等審議会の外資特別部会を開く。「懸念がある投資」と認めてこの部会を開くのは初めて。ファンド側の意図を改めて聴き、委員の有識者らに審査状況を説明。でた意見を踏まえ、勧告するかどうか決める。
外為法では、外資が電力事業者などの株式を10%以上持つときは、事前に国の許可が必要。TCIは1月に20%までの買い増しを申請した。審査期限は5月14日までで、外資特別部会の判断で1カ月延ばせる。その間は株を買い増せない。TCIは、国際社会に「日本市場は閉鎖的だ」と訴える構えで、政府が勧告すれば全面対決に近づく。
Jパワーは、電力大手10社に電力を販売。送電線網や周波数変換所などの基幹設備を多数持ち、青森県では大間原発を計画している。
--------引用以上--------
Jパワーという会社を、イギリスの投資ファンドが乗っ取ろうとしているのに、経産相と財務省が待ったをかけたということです。
Jパワー(電源開発株式会社)は、もともと高度成長期に増え続ける電気需要をまかなうため、国策で作られた企業で、大蔵大臣と9つの電力会社が株式を保有していました。
それが、2003年の電源開発促進法廃止に伴い、公開企業となって東京証券取引市場に上場することになります。そして、現在のように、外国の投資ファンドが株式を取得して、発言権を得るところまで来たわけです。
たしかに、野放図な民営化を許すと、国民生活が破壊される結果になります(たとえば、●ボリビアの水道民営化)。電力というのはいいか悪いかを別として、現代の文明を支えている重要な要素です。その維持管理を行う会社を外国に支配されることは、好ましいこととは思えません。
そういう観点では、経産相と財務省の取った措置は、妥当だという考えも出来ます。
しかし、今回の話題は、実はそれに止まらない話だと私は思っています。
実は、このJパワーという会社が、実は「グローバリスト」としての側面も持っているのです。
Jパワー(電源開発株式会社)の行ってきた主な事業を見てみると、それがよく分かります。
1967年(昭和42年)3月 - タイ国クワイヤNo.1(シーナカリン)水力発電計画
2003年(平成15年)10月 - 「電源開発促進法」廃止
2004年(平成16年)10月 - 東京証券取引所の第1部に上場。
2004年(平成16年)10月 - タイ・カエンコイ2ガス火力発電所事業参画
2005年(平成17年)3月 - フィリピンCBK発電所(総出力72.8万kW)買収
2006年(平成18年)4月 - 米テナスカ・フロンティア発電所権益取得
2006年(平成18年)11月 - 米エルウッド・エナジー発電所権益取得
2006年(平成18年)1月 - 豪クイーンズランド州クレアモント炭鉱開発
2007年(平成19年)9月 - 米グリーン・カントリー発電所権益取得
2007年(平成19年)11月 - 中国漢江一貫水力開発プロジェクト参入、権益取得
(海外IPP件数:6カ国・地域 運転中16件、建設中3件)
Jパワーの活動実績で、海外に関するものだけを抜き出してみると、よく分かることがあります。それは、東京証券取引所に上場した2004年から、急に海外での事業展開が拡大していることです。
証券取引所に上場するということは、簡単に言えば金さえ払えば誰でもその株を取得できるようになるということです。株式というのは基本的に譲渡が自由だからです。一応譲渡制限をつけることは出来ますが、上場している企業にはそれも大きな制約があります。
そして、株式というのは企業の所有権に他なりません。これを取得すれば、株主総会で会社の経営方針に文句をつけたり、役員の首をすげ替えたり、損失を出した取締役に損害賠償を請求できてしまったりします。
そういう株式というものを発行して売る根本的な動機は、お金が必要だからです。以前からこのブログで何度も書いてきましたが、企業が事業を営む時には、手持ちのカネだけで全てをまかなうことは不可能です。だから銀行などからお金を借り入れるわけですが、そこには「金利」というものが必ず付いてきます。年利10%の借金だったら、10%余計に売り上げを上げなければいけなくなるのです。
他方、株式はそういうおそれのない「自己資本」だという風に言われることがあります。株を売ったからといって、毎年利息を払わなくてはいけなくなるわけではありませんし、そもそも売って手に入れたお金を返す必要はないのです。
しかし、株式には利益配当というものがあります。儲かったら、投資してくれた株主に見返りをあげようということです。この配当は、株主総会で会社の持ち主である株主自身が決めるということになっています。
そうだとすると、株主は会社の経営に及ぼす影響を考えずに「もっと配当を出せ」ということもできるのです。会社は俺のものだから文句を言うな、というわけです。
そういう株主の希望に応えるためには、結局銀行借り入れと同じように、事業を拡大して利益のパイを増やすしかなくなってしまうわけです。もちろん、ビジネスですから、失敗することもあるでしょう。成功が約束されているビジネスというのは、植民地相手にやる貿易ぐらいしかありません。だから、19世紀から20世紀にかけて帝国主義が盛んになり、それに伴って戦争が起こったのです。そして現代でも、世界規模で競争が行われ、少しでもお金のあるところや、政治的に弱いところからカネをむしりとろうと必死になっている人たちがいるわけです。
つまり、誰かのために利益を上げなくてはいけない仕組み(金利付きの借入金や配当)があると、企業は必ずグローバリストになってしまうということです。
こうして考えてみると、そもそもJパワーという会社を株式公開企業にする必要があったのだろうか、という疑問が湧いてきます。
これは次回の「米中ダブル崩壊」の記事でも述べることなのですが、日本の企業というのは上に挙げたような金利の魔力・配当の暴力みたいなものを、うまくはぐらかして無理やムラない発展をしてきたという側面があります。たとえば、無駄な人件費の削減をやらずに済んだおかげで、国民全体の所得が増大したことなどがそうです。それがなければ、今でこそ輸出で儲けている自動車業界や家電業界の発展はなかったでしょう。
もちろん、それは「株式会社」という仕組みから見ると本来の姿ではありません。商法(今は会社法)が想定している株式会社というのは、利益を生むための機械であって、故障したり部品が劣化したら、持ち主(株主)がその辺にポイッと捨ててもよい、というものです。従業員などという存在は初めから想定していません。
明治時代に商法が出来てから、戦後のアメリカ占領時代、バブル崩壊、90年代の対米金融戦争の敗北など、大きな節目の度に株式会社の「理念」を追及するための制度改革が行われてきました。しかし、それでも日本の企業は、本当の意味での株式会社になっているとは言えません。株式会社らしく「利益追求の鬼」になっているのは、たとえばライブドアのような新興IT企業や、キヤノンのように外国資本がほぼ完全に支配している輸出依存企業くらいです。
そして、それは決して間違っていることだとは思いません。企業以前にまず国民がいなければ国家は存続できないのです。国民の生活を傷つけてまで、欧米生まれのルールに従わなければいけないという理屈はありません。
今後、今回のニュースのような「侵略」事例はどんどん増えてくると予想されます。マスコミは外資や輸出依存企業の使いっ走りですから、国民の側についた報道は期待できません。経産相や財務省の良識ある官僚や、投資ファンドに対して批判的な政治家を、我々自身の手で応援していきましょう。
そして、その反対に、口を開けばすぐミンエーカだ、キセーカンワだカイカクだ、と始まるような馬鹿※(たとえば●この人)は、選挙で血祭りにあげてやりましょう。
※ 最近●このお方がすっかり騒がなくなったのは、空気を読んでいるというやつでしょうか?(笑)
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【PR】生活破壊を許すな~郵政民営化見直しを



【危険】「便利になります」は詐欺師の常套句かもしれない
●以前の記事で「農業の大規模集約化」だの「米の先物取引」だの、危険極まりない政策を本気で論議していることを紹介しましたが、考えようによってはもっと危ないことを推進しているようです。
住民票:コンビニで取得、来年中めどに 経財諮問会議で総務相が方針
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20080402ddm041010133000c.html
--------以下引用--------
政府の経済財政諮問会議(議長・福田康夫首相)が1日開かれ、増田寛也総務相が、来年中をめどに、コンビニエンスストアに置かれた端末で自治体の住民票の写しを取得できるようにする方針を表明した。
準備ができた自治体やコンビニから実施し、将来、住民票以外の証明書にも広げる考えだ。
これまでは、役所の施設などでの取得に限られていた証明書が、取りやすくなる。
この日の諮問会議では、民間メンバーが、情報技術(IT)を活用してさまざまな行政手続きができるようにする「電子政府」の現状について、「使い勝手が悪く、利用されていない」と指摘。コンビニや自宅で証明書が取れるようにすることなどを提案した。
増田総務相は、自治体の電子手続きに関し、使い勝手の向上や、手数料の引き下げなど改善策を早期に策定する考えを示した。
--------引用以上--------
便利になるからいいじゃないか、という意見もありそうですが、私はこれに反対です。
なぜなら、ネットワークというのは、(1)広がれば広がるほど保守・メンテナンス等にコストがかかり、(2)情報漏洩などのトラブルの可能性が増えるからです。
総務省は、かなり前から「e-Japan」計画という、名称からして欧米コンプレックス丸出しの電子政府化計画を実施しています。それが形になった例として、「住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)」というものがあります。全国どこでも自分の住民票が取れる、というアレです。
この住基ネットには、上の二つの欠点が見事に現れています。たとえば、コストの問題です。
“置き去り”恐れて模範回答か 高コストの住基ネット更新を前に悩める自治体のジレンマ
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/archives/496
--------以下引用--------
この5月、長野県が県下83の自治体に対し、「住民基本台帳ネットワークシステムに関する行政事務の効率化と行政サービスの向上についての自治体アンケート調査」を行なった。この数字だけを見ると、評価は決して悪くない。約34%の自治体が「行政事務が効率化した」と評価し、約46%の自治体が「住民の利便性が向上した」と答えている。また、このまま「住基ネットの存続を希望する」と答えた自治体は33%近くに上った。一方、「費用対効果は適正なバランス状態にある」と考えているのはわずか2自治体、2.4%にとどまる。
(中略)
長野県清内路(せいないじ)村は、住基ネットによって行政事務が効率化したかとの問いに「効率化した」と回答し、具体例として「証明書の発行などが手軽でスピーディーになった。郵送料等の削減ができた」と書いた。だが、稼働からの4年間、人口740人の同村における住基カード発行枚数はたった1枚である。それも、住基ネットのシステム立ち上げのときに“練習のため”村役場の人間が作った1枚なのだ。担当者が語った。
「本村では住基カードによる利用はゼロなのです。引っ越しに伴う転出入の手続きは年間40~50件あります。住基ネットを使えば転出入届の書類の郵送費、一通当たり80円が削減でき、ざっと見て3,000~4,000円の節約です。一方で住基ネット関連の予算は年間約220万円かかりますから、費用対効果のバランスはまったく取れていません」
清内路村は一般会計予算が約7.7億円、特別会計予算が約4.2億円、計11.9億円だ。対する村税収入は3,300万円にとどまり、借金は税収の100倍の約33億円だ。財務担当者は財政再建団体に転落しかねないと懸念し、乾いたぞうきんを絞るような努力で経費削減に努めている。こうした逼迫状況のなかで、「利用者ゼロの村で住基カードや住基ネットがなぜ必要なのか。なぜ220万円を別の目的に使えないのか」と疑問を抱かないほうがおかしい。
--------引用以上--------
櫻井よしこ氏は典型的な「自称保守」の評論家で、経済や国民生活の実態を無視して国家の誇りだの文化伝統だの唱える傾向があるのは否めませんが、住基ネットの問題に関してはよく問題提起をしている人だと言えます。
総務省のなんとかジャパン計画の眼目の一つは、利便性の上昇と同時に人件費などのコストの削減を図ることだったはずです。これでは、何のためにやっているのか分かりません。
一方の情報漏洩も、大きな騒ぎになっていないだけで、こういうものが出てきています。
北海道斜里町の職員、住基ネットのパスワードなどをWinny流出
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2006/03/29/11425.html
--------以下引用--------
P2Pファイル共有ソフト「Winny」のネットワーク上に、北海道斜里町の行政情報などが流出していることがわかった。同町の男性職員の自宅PCがウイルスに感染して流出したもの。水道料金や町税の未払い者など642人分の個人情報のほか、住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の接続パスワードなども流出した。
流出した情報は全部で1,813件で、そのうち1,624件が行政情報だった。個人情報が含まれていたものは54件(642人分)で、斜里町によれば「業務上のやり取りで、水道料金や町税未払い者の入金額を事務連絡する資料などが含まれていた」という。
このほか、3年前のパスワードではあるが住基ネットのパスワードも流出。住基ネット全国センターが全国の自治体に送った告知文なども流出した。ただし、住基ネット関連の個人情報は流出していない。また、パスワードも毎年変更しており、流出したパスワードは現在利用していないという。
斜里町では、3月15日に流出の事実を確認。調査したところ、男性職員が自宅で作業するために私用PCに業務情報を保存していた経緯が判明した。この職員の私用PCが1月中旬頃にウイルスに感染し、情報を流出したという。
斜里町では、従来から業務情報の持ち出しなどを禁じていた。業務用のPCも「ほぼ1人につき1台が割り当てられている状況だった」という。今回の事件を受けて、情報管理を再度徹底する。
--------引用以上--------
もっとひどいのになると、こういうのもあります。
「住基番号知ってるぞ」
電話の金融業者は、11けたをピタリ言い当てた
http://homepage2.nifty.com/osawa-yutaka/jyuuki-hokkaidou-sinnbunn.htm
--------以下引用--------
金融業者から電話で住基ネットの番号を告げられた人がいる。わずかな手がかりを基に、苫小牧の三十代の女性を訪ねた。話はこうだ。
電話は朝、突然かかってきた。金融業者を名乗り、十一個の数字を読み上げる。戸惑って何度も聞き直し、メモを取ると「住基ネットの番号だ。オンラインで調べれば何でも分かる」。銀行口座、家族の勤務先なども正確に列挙し「契約は成立だ」と迫った。今から五十万円を銀行に振り込むから、十日ごとに利息二万円を支払え、と。
あわてて電話を切ると、またかかってきた。その間に市役所からの通知書を見ると、自分の十一けたは電話が告げた数字と寸分違わない。急いで銀行に走り、口座を解約。入金は免れたものの、「怖かった」と解約済みの通帳を握りしめた。
女性が電話番号すら知らなかった金融業者は、東京の都心部に確かにあった。JR駅から徒歩十分。ビルの一室では十数人が受話器を握り、勧誘と取り立てに忙しい。
社長は、苫小牧の女性に電話した人物が在籍することは認めた。「でも『十一けたを告げての勧誘は覚えがない』と言っている」と説明。法定限度を超えた利息で貸し付ける「ヤミ金融業者」であることも否定した。
ただ、東京都貸金業協会は「悪質業者は客の弱みを一つでも多く握りたい。番号を知って損はない」とみる。
金融業者も、こう付け加えることを忘れなかった。「勧誘や取り立ては最初に『何でも知ってるぞ、逃げられないぞ』とバーンとやる。十一けたに利点がある
とするなら、それ。国にも自治体にも多重債務の公務員はいる。それを使えば番号は分かる。電話会社の社員に電話番号から個人情報を調べさせたこともある。簡単だよ。情報は金融業者間で転売もできるしな」
(中略)
問題の金融業者と同じJR線沿いの繁華街。ある名簿業者は「『住基コードを買ってくれ』との売り込みが何度もあった」と打ち明けた。
「東京を中心に一千万件の住基ネット情報がある」との内容もあったという。業者は「本物と確認できないから、値段を付けられない。買ってもいない」と言う一方、記者に「あんた、買いたいのか。百万円、出せるか」と問い返してきた。
別の名簿業者は「住基ネットの話だけはダメ」と取材を拒んだ。改正住民基本台帳法は、住基ネット番号の民間利用を禁止し、違反者は処罰される。多重債務者などの名簿は平気で売買する業者も、住基情報には慎重にならざるを得ない。
もっとも、十一けたの「価値」に気付いている人は少なくない。あるコンピューターソフト業者によれば、大量の住基番号があればダイレクトメールの簡便発送などが可能。インターネット上では「住基ネットへの侵入方法」をめぐる“技術論争”も続く。
十月下旬の衆院予算委員会。「住民票コードのリストがヤミ金融街で出回り、売買されているようだ」との指摘に、片山虎之助総務相は「事実がきちっと出てからの話だ」と突っぱねた。苫小牧市役所も「役所からの漏えいはあり得ない」と言っている。
--------引用以上--------
ここまで来ると笑えない話です。
端末が行政機関にしか置いてない住基ネットですら、このようなトラブルがあるわけですから、これをコンビニや自宅にまで広げた場合、目も当てられない事態が起こる可能性があります。自分が被害に遭わなければいいか、とも思えますが、実際問題どこで被害にあっているかわかりません。
経済財政諮問会議というのは、そういうリスクについてちゃんと検討しているのか、議論の中身を見てみることにします。
経済財政諮問会議・第6回会議(平成20年4月1日)レポート
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0401/report.html
--------以下引用--------
IT化(電子政府)については、各議員から、ここで一挙にスピード感を持って進めなくてはいけない。そのときに、単に導入するだけではなくて、利用されるような電子政府にならなくてはいけないと発言があり、皆同じようなことを目指しながら、何で実現できないのかということで、以下の議論がありました。
▲特に役所が業務そのものを変えていない。ITを導入するということは、標準化を進めるということ。ITを導入しやすいように、業務を変えなくてはいけない。それができていない。
▲役所の中でもITの担当は岸田臨時議員。岸田臨時議員はビジョンを描こうとしているが手足がないので、実際に各役所に対して、例えば添付書類をやめさせるなど、指示していくとなると、今度は増田議員の力が必要。プランを立てて引っ張る大臣は1人でなくてはいけないので、ここは岸田臨時議員にしっかりとイニシアチブをとってもらって、政府が横で連携をとっていく体制にしなくてはいけない。
▲実行されているかどうかが問題。役所の内部がばらばらなので、これは下が合わせるしかない。例えば旅費の申請も、帳票も、システムもばらばら。これは「このやり方で行け」と決めて、それに従わせなくてはいけない。旅費については、経済産業省を中心に今やっているが、政府全体として岸田臨時議員がイニシアチブをとり、それを総務大臣なり経産大臣なり、一緒になって連携をとってやっていく。
▲民間議員から、それをやるときは、複雑なシステムではなく市販のパッケージで動くような形で行っていくことが必要。
▲岸田臨時議員からは、民間議員が提案している3つの先行プロジェクトについて、1年以内に実行計画をつくり進めていくという話がありました。
総理からは、以下の指示がありました。
▲国民の利便性と役所の無駄を省く一石二鳥の余地は、まだまだたくさんある。そういうことを政府のIT化でやっていかなくてはいけない。
▲しかし、これまで本当に随分時間がかかっている。なぜこんなことができないのだろうかと思う。
▲岸田臨時議員を中心にぜひ頑張ってほしい。役所の内部業務の旅費だけではなく給与の支払いもある。こういうものは1年と言わず、3カ月ぐらいで計画をつくって、半年後には実現しているようなスピード感でやるように。
--------引用以上--------
リスクのリの字もなく、出てくるのは早くやれだの、スピード感だの、そんな言葉ばっか。
はっきり言います。この人たちはアホです。
ただアホというとカイカク大好きな方や、時々こちらをご覧になっている総務省の方(アクセス解析でバレバレですから、ご注意下さい。笑)も納得がいかないと思うので理由を挙げると、「論理が転倒しているから」です。
仕事がうまく流れていない、もしくはこれからやろうとしている仕事をスムーズに流すために必要だ、そのためにシステム構築をするというのが本来の順番のはずです。ところが、上に挙げたように、実際は役所の仕事の流れを、IT化という「新参者」に合わせて改変することが要求されています。現場が計画立案者の思うとおりに動いていない証拠です。
つまり、便利だからやるというより、やると決まったから無理をしてでもやれ、という風になっているのです。
そんなことはない、今はそうだが、やがてシステムが完成して、利便性が向上する時が来るという人もいるかもしれませんが、そんな時が来るならもうとっくに来ています。本当に電子化しなければ不便だという分野は、すでに完全にそうなっているからです。たとえば、法務局にある「登記簿」(土地の権利関係や抵当権の有無などを確認できる台帳)は、とっくの昔に「IT化」しています。頻繁に閲覧されるので、紙ベースだと保存が難しく、保管が面倒だからです。
省庁や役所全般でそうならないのは、IT化が本当に必要とされていないからです。それ以外何者でもありません。
この政策の旗振り役は、2000年に計画をブチ上げた森喜朗内閣(森氏は町村派の重鎮で、小泉、安倍、福田内閣の生みの親を自認している)と総務省ですが、どうも変だなと思うのは、郵便局だとか社会保険庁と違って、森内閣と総務省のIT化という「バラマキ」は全くマスコミによる批判の対象になっていないことです。住基ネットの問題も、導入当時に比べると今は何も報道していないようなものです。
これは、問題がないから、ではないと思うのです。政府と企業とマスコミの利害が一致しているから、ヤバイところがあっても国民の目にさらさないでおこうということなのではないでしょうか。
たとえば、電子機器企業や(外資系)ネットワーク企業)はIT化によってインフラ整備やプログラムによって仕事を受注することができます。マスコミは提灯記事を書くとそういう企業から広告費をもらえます。総務省の役人は権限が増え、総務省に近い議員は上のような企業からキックバックをもらえる、という感じの仕組みなのかもしれません。
参考までに、アクセンチュアという外資企業が、日本の「IT化」からどれくらい利益を上げているかを見てみましょう。情況証拠くらいにはなるはずです。
アクセンチュア社って何?⇒国の情報、データベース管理が外資の意のままになりつつある!?(るいネット)
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=162175
--------以下引用--------
アクセンチュア社はこの入管システムだけではなく、2007年に社会問題化した社会保険庁のシステム開発に、日立、富士通らとともに参加し、基盤ソフトウエアの設計を担っています。また、他にも財務省や宮内庁の情報システムも受注しています。
【2006年時点でのアクセンチュアデータベース】
検察総合情報管理システム(法務省刑事局),
登記情報システム(法務省民事局),
情報化統括責任者補佐官業務(宮内庁),
汎用受付システム(公正取引委員会),
人事・給与関係業務情報システム(財務省),
国税電子申告・納税システム(国税庁),
電子政府進捗度調査(総務省)
--------引用以上--------
私は最近、21世紀に入った辺りから盛んに言われている「便利で効率的な社会」というやつの正体が、なんとなく分かってきました。要するにそれは、「新しい形の利権の創出」なのです。
そして、その利権創出には二つの特徴があります。
(1)表面的には利便性向上・効率化につながるように見える
公的機関(またはそれに準ずる経済主体)が行っていたサービスを、民間企業がやるようになる、もしくは公的機関がやる割合を削減するという宣伝がなされます。しかし、実施してみると、驚くほど非効率的だったり、利便性がなかったりするのです。
「全国で住民票が取れます」などと声をかけてはみたものの、利用者は今に至ってもほとんどいません。当たり前です。住民票なんてそんなに頻繁に利用するものではないからです。
それでも利便性のためにコスト度外視でやれ、ということになれば、それはカイカク大好き人間たちが掲げる「利便性の向上とサービス向上の両立」ではなくなってしまいます。
似たような事例として、郵政民営化が挙げられます。利便性とコスト低下を両立させると謳っていたのに、実際に行われていることは簡易郵便局の間引きや基本料金の値上げです。
そういうときに、推進側の人間が言うことは決まって「今は仕方がない。しばらくすれば良くなる」です。そうやって実際によくなった事例が何かあるのでしょうか?
(2)受益者がグローバリストである
ここでいうグローバリスト(意味は●こちらで)は「外資系・新興IT企業」と「電子機器を扱う大企業」です。いずれも、世界規模で商売をしており、日本という国がどうなろうと基本的には知ったことではないという企業です。
一番ひどいのは利益を海外の銀行口座に持ち出してしまう外資ですが、新興IT企業は派遣社員を使って人件費を圧縮している「21世紀型経営」の会社がほとんどですし、株主に外資が多い(配当を吸い上げてアメリカへ送ってしまう)という特徴があります。プログラマーやエンジニアの国籍を問わないというのも特徴かもしれません。
また、電子機器を扱う企業も、外国人株主が多く(日立など40%超)、そうでなくても、生産拠点を中国など国外に移転している企業ばかりです。
こういう業界では、日本人を雇い、利益を日本の地域社会に還元するような企業は、全く受益者になれません。土建行政というやつは、まだ地方の企業が受益者になれたのですが、それすらないのです。
「便利になります」
「効率的になります」
「世界の流れに乗り遅れないように」
こういう言葉が政府関係者の口から出てきたら、こう考えるようにしましょう。
「ああ、また詐欺が始まったな」(笑)
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