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2007.12.18(Tue)

整備新幹線と「ミンエーカ」なるものの不毛 

  お正月に新幹線を利用して帰郷する方もいるかもしれません。その新幹線についてちょっと考えてみます。

九州新幹線長崎ルート、在来線経営分離せず…沿線自治体同意不要に
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07121705.htm?from=goo
--------以下引用--------
 九州新幹線長崎(西九州)ルートの並行在来線を経営分離してJR九州が乗り入れる方向で検討していた長崎、佐賀両県と同社は、JR九州が現状通り全線運行し経営分離しないことで16日合意した。17日、政府・与党に伝える。

 経営分離の対象は長崎線の肥前山口(佐賀県江北町)~諫早(長崎県諫早市)の区間。これまでの計画では同区間をJRから両県に譲渡したうえで肥前山口~肥前鹿島(佐賀県鹿島市)をJR九州、肥前鹿島~諫早間を両県が設立する第3セクターが運行するとしていた。

 整備新幹線の着工には経営分離についての沿線自治体の同意が必要だが、佐賀県鹿島市などの反対で着工のめどが立っていない。ただ、今回の合意では、肥前山口~諫早間をJR九州が全線運行するため整備新幹線の並行在来線には当たらないという。

 このため沿線自治体の同意が不要になる。線路などをJRから両県が譲り受ける方針も変更しない。

 関係者によると、普通列車は現行本数を維持するが、特急は約50本から朝夕の10本程度に減らす見込み。年間2億円近くと見られる営業赤字を3者が分担する案もある。(中略)

 14日の整備新幹線に関する政府・与党の検討委員会では、着工条件は見直さず3者が新たな方策を探ることで一致。これを受け、3者は運行形態などについて協議を続けていた。
--------引用以上--------

  整備新幹線を引くと、並行して走る在来線の「経営分離」をしなくてはいけない・・・こんな決まりがあったとは初めて知りました。。

  私はするとしても貧乏旅行なので、「青春18きっぷ」というJRの普通列車が乗り降り自由になる特殊な切符で、遠くまで何度も出かけたことがあります。
  ところが、少し前に東北地方に行こうと思った時、「えっ」と思ってしまったことがありました。盛岡から先の東北本線が、変な名前の私鉄に変わっていて、青春18きっぷが利用できないのです。
  どうやら、今後東北新幹線が延伸するのに伴って、並行在来線の経営分離が行われたようなのです。盛岡から八戸が「IGRいわて銀河鉄道」、八戸から先が「青い森鉄道」ということで、それぞれの県に譲渡され、第三セクター方式で運営されています。
  どうやら、東北新幹線や上越新幹線の整備に、国債の発行や財政投融資の資金が用いられたので、その反省に無償資金で建設すべきだとされたことが全ての始まりのようです。新幹線が並行すると、在来線は利用者が少なくなる。どうせ、新幹線から乗り継ぐだけなのだから、JRでなくてもいいだろう、と・・・いうことなのでしょう。

  しかし、疑問が残ります。「第三セクター方式に移管したら、よけい経営が悪化するのではないか?」ということです。
  こう言うと、利益が出ている第三セクターの鉄道会社もあるじゃないか!などと怒り出す人もいるでしょう。はい、確かにそういう会社もあります。
  たとえば、兵庫から鳥取にまたがる「智頭急行」や、新潟の越後湯沢から上越地方にぬける「北越急行」は黒字です。しかし、この路線が黒字なのは、ただ単にJRの特急列車がそこを通るので、乗客が強制的に運賃を負担しているからというだけです。
  他にも第三セクター方式の鉄道で黒字なっているところは、伊勢鉄道や鹿島臨海鉄道のように、JRからの乗り入れがあるところだけです。要するに、JRに寄生している第三セクターだけがもうかっているのです。
  反対に、赤字の路線は悲惨で、廃止になるところ相次いでいます。代表例は●「高千穂鉄道」です。宮崎県の延岡から、「天の岩戸」伝説の地である高千穂まで、渓谷地帯を通る鉄道です。私も乗ったことがあるのですが、素晴らしい景色を味わうことができる鉄道でした。
  その高千穂鉄道は、2005年9月の台風で一部の橋脚が流されてしまい、復旧のめどが立たないまま、なんと今年9月に廃止が決まってしまいました。利用者の減少で、橋脚の復旧などのめどが立たないために、かなり早い段階から決まっていたようです。残念なことです。
  今後、第三セクターの鉄道にはこのようなケースが増えてくるでしょう。なにしろ、大部分を自治体が出資しているわけで、その自治体が公共事業についての予算を減らしているのですから、もうからない路線はどんどん潰されるのです。
  こうなると困ってしまうのは、曲がりなりにもその鉄道によって恩恵を受けてきた人びとです。たとえば、多少なりとも乗降客のある駅であれば、その前に商店だとか郵便局だとかがあるのですが、そういうものも全て閉めなければなりません。鉄道会社自体の雇用もなくなってしまうわけですから、沿線地域の購買力も低下するでしょう。
  「車を使えばいいじゃないか」などという人もいそうですが、田舎でもみんなが車を持っているわけではありません。運転できなくなったお年寄りで、身寄りがいない場合などを考えてみてください。しかも、いまは空前のガソリン価格の高騰があるわけで、何かあったらすぐ車、というと、家計に相当なダメージが来るのは間違いありません。
  
  本来であれば、黒字路線と赤字路線が同じ経営主体に属することで、全体としてはプラスに出来るというのが理想の形なのです。郵政事業もそうでした。郵便事業単体では赤字でも、郵貯や簡保の運用利益でそこを穴埋めすることができていたので、郵便局には税金は1円も投入されていなかったのです。無理に民営化などする必要はありませんでした。
  鉄道も、国鉄がJRという形で民営化されるまで、廃線になるケースはほとんどありませんでした。都会で出した利益で、田舎の赤字路線の穴埋めが出来ていたからです。
  
  はいはい、こういうことを言うと、必ずいますね。「旧国鉄の巨額の債務があったから、しかたなく民営化したんだ」という人が。

  そういう人に聞きたいんですが、その債務とやらは民営化してどのくらい減ったんですか?

  JRの方に回された14.5兆円は、なんとか12.5兆円まで減らすことができました。しかし、国側の債務はかえって増えています。こんなことをするぐらいだったら、それこそ高速道路を作る金や、整備新幹線に回す金、さらには郵貯が上げている黒字なんかを回して、国有化したままで債務を減らす方向にすればよかったんじゃないでしょうか。
  民営化至上主義の人間は、こういうところが狂っているのです。「借金は返さなければならない」と言うのですが、それを返すための利益の源泉をあえて切り離して、「自助努力で何とかしろ」「魅力ある経営をすれば客は増える」などと強弁する。
  挙げ句の果てに、債務が減らないとなると、「こんな巨額の借金をしたのは、田中角栄の土建政治が悪かったんだ」と、一部の政治家を攻撃し始めるわけです。たとえば、道路族として知られた旧亀井派(現・伊吹派)などがそうでした。
  それなのに、なぜか新幹線の「厚狭駅」「安中榛名駅」については誰も突っ込もうとしません。前者はすぐ近くに「新山口」や「下関」があるのに作られた新駅で、乗降客数は平均900人で、ドル箱の山陽新幹線の中で最小です。後者に至っては、すぐそばに高崎駅があるのに作られ、乗降客数は平均245人です。
  まあ、そんなことを言ったら「いわて沼宮内」の方が少ない・・・という声も聞こえてきそうですが、それも含めてなぜマスコミがこれらの事例を「予算の無駄だ」と叩かないんでしょうか。山口県が「岸信介」「佐藤栄作」「安倍晋太郎」、群馬県が「中曽根康弘」「福田赳夫」という政治家たちの出身地だからかも知れません。あらら、この人たちって、●たしか・・・(笑)
  こういう駅が「他の駅で上げている利益で穴埋めできる」と反論してくる方には、私から再度反論しましょう。「国鉄や郵便局というのは、全部そういう方式でやっていたのをご存じじゃないんですか?」と。

  まあ、今回の長崎新幹線は、経営分離をしないということで決着がついたようです。しかし、だからといって一見落着になるわけではありません。

  JR九州というのは、はっきり言って儲かっていない会社です。それなのに長崎新幹線を運営し、おそらく建設されるであろう乗降客数が異常に少ない「政治駅」の負担もしなくてはいけないのですから、他の部分で「リストラ」をせざるを得ません。長崎本線は良くても、他の路線を廃線にしたり、露骨に列車本数を減らすでしょう。長崎本線だって、本当にいつまでも今のままでいるかどうか・・・。
  それでも、公共事業が少しでも欲しい地方自治体としては、新幹線建設という形でそれを求めざるを得ないでしょう。地域住民のためになっているかどうかは疑問ですが、そうでなければ落ちてくるカネがゼロかそれに近いレベルになってしまうのは事実です。 
  本来、莫大な金がかかる公共事業である新幹線建設を、民営化した後も無理矢理進めようとしているからこういうことになるのです。ミンエーカミンエーカと言いながら、特定の勢力に都合の良いように動いている気がします。マスコミも、そういう感じで偏った報道しかしません。
  JRになってよかった!!的な報道や論説が多いのですが、大手マスコミも含めて、そういう人は東京に住んでいるからそう思っているだけです。JR東日本は通勤路線を多数抱えている上、不採算路線の多くは四国や九州や北海道が持って行ってくれたおかげで、かなり儲かっています。そうなると、サービスもよくなるでしょう。人口が多いのですから、「びゅうプラザ」に代表されるような、出入り口での顧客の捕捉も容易です。
  東京でやっているのと同じ事が、北海道とか四国でやれていると思ったら大間違いです。そもそもの人口が違うというハンデは、自助努力や自己責任で克服できるものではありません。
  私が「民営化は素晴らしい」「民間でできることは民間で」と、ヌケヌケと主張する連中に腹が立つのはそこなのです。不採算部門を切り捨てて利益を上げるという行為は、個別の企業でみれば正しい選択なのですが、国やJRのような巨大企業のような単位で見ると、結局特定の地域を見捨てるという結論につながるのです。人の多いところの方が利益が上がるから、という論理を突き詰めていくと、結局東京以外は全て過疎地にするということになりかねません。

  「水道事業」や「造幣局」までミンエーカしようなどと狂ったことを言い出しているのが今の政府です。「新幹線だけ立派で、他は全部廃線」などという極端なことになっていっても、何の不思議もありません。
  そうなっても、「地方の人間は車を使えばいいんだ」と、バカ右翼のブログや2ちゃんねるで、アホな連中が政府を擁護するんでしょうね。

  そもそものスタートである「民営化は善である」というものを疑う、というか、いったん放棄した方がいいんじゃないかという気がします。マスコミで無批判に流されている考えこそ危険です。

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