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2007.12.31(Mon)

【緊急告知】労働契約法案が衆議院を通過・・・!! 

  知らないうちにかなりヤバイ法案が国会を通されそうになっています。以下のリンクから転載いたします。

http://www.labornetjp.org/topics/contract

★エー! 労基法がなくなる?

そうなんです。今、厚生労働省で労働者側、経営側、行政側の3者で協議されている労働契約法が通ってしまえば事実上なくなります。

● 残業代支払いは不要に

今年6月に厚生労働省案が示され、その中で「年収400万円以上の事務職は自由に働いてもらっていいいが残業代はつけない」と提案されました。労働者委員は「こんなものは検討に値しない」と席をけり、審議は一時中断しましたが、再開された会合では文言修正・中身はそのままの案が出されています。

● 首切りが原則自由に

「お金を払えば解雇は自由」という提案です。
「解雇には、社会通念上許容できる理由が要る」として示された最高裁判決や、労基法での解雇権の濫用禁止が反故にされます。
 今も予告手当を払えば即日解雇もありですが、たたかって職場復帰も不可能ではありません。
法案が通ると裁判で勝っても職場復帰は不可能になります。
 派遣法の二の舞は許さない
労働基準法はもともと「最低線の労働条件を定めた」ものです。
ところが休暇はとれない、残業代はもらえない、超長時間労働の蔓延で、過労死が国際語にまでなっています。
今回提案の法律が施行されたら、実施条件はどんどん改悪されて全体に広がることは明らかです。労働者派遣法の施行とその範囲拡大が雄弁に語っています。 
この法案は、企業が一方的に定めることを慣行としてきた就業規則を「労働契約」と位置付け、法的な規範を与えるものです。審議の中で、労働者委員が強く問題視した「解雇の金銭解決」や「労使委員会の活用」は見送られましたが、「就業規則による労働条件の不利益変更がいつでも可能」という制度は導入されます。ホワイトカラーイグゼンプションのようにマスコミが大きく取り上げ、世論の批判を浴びた法案については、政治的判断で取り下げられましたが、「労働契約法」についてはほとんど情報が行渡っていません。
就業規則は労基法89条により、就業時間、賃金、退職事項、服務規程、出向、配転、懲戒など広範な労働者の権利義務全般について規定するものです。しかし就業規則は、「労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見を聞く」必要はありますが、意見がどうであれ、企業側が一方的に作成したものを労基署に届け出るだけで事足りるのです。

政府案は、第9条で労働条件の不利益変更を禁止しつつも、第10条の但し書きで?労働者の受ける不利益の程度、?労働条件の変更の必要性、?変更後の就業規則の内容の相当性、?労働組合等との交渉の状況、?その他の就業規則の変更に係る事情に照らして「合理的」であれば変更できるとしています。民主党の対案においても、第5条では「合理的な労働条件の定めがあり、労働者に明示すれば使用者との合意を推定する」、第23条では、「使用者の権利の必要性と、労働契約の内容が合理的であれば変更可能」と謳っています。労働者の意見が率直に伝えられると期待することはできません。
政府や野党が示す「合理的」とは、使用者にとっての解釈であって、労働者の意志や労働実態とは無縁のものになりかねません。

ACW2が就業規則に付いてネットでアンケートを取った結果、就業規則を見たことがない人が30%以上、全く見ることができない人が25.2%でした。労働組合が男性主導であることと非正規労働者の増大により、女性が政策決定の場(団体交渉など)から排除されている現状から、就業規則に労働者の意見が反映されることは皆無に等しいといっても過言ではありません。

「労働契約法」が成立すれば、一方的な不利益変更が日常茶飯事になることは容易に想像できます。事実、ACW2が行っている全国一斉のホットラインでも、不利益変更は正規・非正規を問わず使用者側の当然の権利として行使されている実態があります。法制化は、労働者の現状を改善することはなく、一層悪化させる可能性が高いのです。労働者が望んでいるのは、現行の労働基準法・労働組合法の強化であり、大きな問題を抱えた労働契約法案が、今国会で廃案になることを強く要望します。



  「残業代ゼロ法案」という代物もありましたが、年金やら防衛庁次官の不祥事で騒いでいるうちに、とんでもない法律が成立しつつあるようです。福田政権と、それを操る公明党・創価学会が、勤労者の権利などどうでもいいと考えている証拠です。

  参院では野党が多数派です。今からでも遅くありません。すでに社民党と共産党は反対しています。参院第一党の民主党と、統一会派を組んでいる国民新党に、この法案の反対を呼びかけましょう!

国民新党
メールアドレス:info@kokumin.or.jp
問い合わせフォーム:http://www.kokumin.or.jp/opinion/

民主党
問い合わせフォーム:http://www.dpj.or.jp/header/form/contact.html

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2007.12.25(Tue)

塾講師という仕事 

  体調が芳しくなく、冬期講習も始まってしまった関係で、新しい記事を上げられずに申し訳ありません。
  こんなブログではありますが、一応記事はきちんと調べたりして書いているので、結構な時間がかかってしまうのです。今日は、軽い記事でお許し下さい。  

  もうご存じのことでしょうが、私ろろは、塾講師という仕事をしています。

  もうすぐ、契約社員みたいな身分(塾業界では「社員」といっても1年契約なのが普通)になって10年で、なぜか「ベテラン」などと呼ばれるようになってきてしまいました。そういう人間の経験談みたいなものも、たまには書いておいて損はないかなと思います。

  1月になると、いよいよ中学入試が始まります。

  そのときに「入試付き添い」というのをやります。塾のセンセーたちが、中学校の校門の前にたむろして、受験生と握手するあれです。雰囲気を知りたい方は、●以前gooの方で書いた記事をご覧頂くとよいかもしれません。
  朝早くから寒い中大変ですねぇ、と言われますが、私は別に大変だと思っていません。最後の一押しをするのも仕事のうちだと思っていたからです。しかし、最近分かったことですが、もう一つ理由ががあるようなのです。

  「一生懸命塾のセンセーをしている自分に酔っている」

  つまり、自己満足の部分もかなり強いということです。
  どうも、私は日頃いろいろ抱えている悩みとか不満の行き先をそらすために、そういう「イベント」を利用してカタルシスを得ているのではないかという気がするのです。

  私はこの仕事は「好き」ですが、同時に、その好きになっている自分を外側から見ると、「おいおい、それでいいのか」と思うことがあります。

  もともと、私がこの仕事を始めたのは、初めは留学のためにお金を貯めやすいからでした。20代前半で今とほとんど変わらない収入を得ていたのですから、金銭的には魅力的でした。時間的な余裕もあるので、語学の勉強も十分にできます。
  その留学目的が、25歳を過ぎた辺りで、司法試験の受験に変わりました。午後まで勉強時間が取れるので、ちょうどよかったのです。おかげさまと言うべきか、択一には3回受かりました。論文は全くダメでしたが・・・。今考えてみると、夏と冬の長期休暇中のまるまる2ヶ月は勉強が全く出来ないので、たいして時間が取れるというわけでもないのかもしれません。
  しかし、試験一発でも良い司法試験(旧試験)が採用人数を激減させ、法科大学院の卒業生主体の試験に切り替わったタイミングで、これもやめました。この先続けても、おそらく実りはないだろうと思ったのです。
  そして、今に至るわけです。一応やりたいことはありますが、それに向かって進んでいるのかどうかも怪しい毎日です。

  今になって一つ分かることは、「塾講師は5年以上やるべき仕事ではない」ということです。
  この業種は、長期休暇など、講習がある時は別ですが、基本的に夕方から仕事を始めるので、就業時間が短いという特徴があります。経営をする側としては、あまりそこに給料を出したくないというのが本音です。自給に直すと悪くない金額なのでしょうが、フルタイムで働く人間に対しての待遇とは差が出てくるのは当然です。
  うちの会社はそれでもまだましな方ですが、最近は「少子化」だとか「競争力強化」といった名目があるので、給料も上がりません。私など、いくら合格実績を出しても3年連続で減給です。当たり前ですが、勤務態度は真面目ですよ(笑)。だからといって、同業他社にいってももっとひどいことになるというのが、教育産業の置かれている現状です。
  そんな中でも塾講師をやっている人たちというのは、表向きは「教えるのが好き」「子供が好き」ということでやっているのかもしれませんが、実際のところ「他に行きようがない」というのが一番大きな理由になっているのではないかと思います。
  30を過ぎてしまうと、なかなか雇ってくれる会社もありません。あったとしても、ノルマが厳しかったり、初任給が15万円くらいしかもらえなかったりで、とても移る気にならないというのが本音です。自分も含めて、無駄にプライドだけは高い人種がいる世界ですから、ペーペーでこき使われるというのを受け入れられないのかも知れません。

  それでも、何も仕事がないということに比べると、まだずいぶんとましなのかも知れませんが・・・。

  ボーナスはいくらだとか(自分にはボーナスというものが「ない」)、今度の連休は行楽日和だとか(祝日は勤務、土曜日はもちろん仕事)、アフター5のお勧めスポットだとか(まさにその時間が勤務時間)、そういうのを聞くと、普通の仕事をしている人が羨ましくなることもあります。
  まあ、早い話、世間とずれてしまう仕事だということです。だから、入ってきて日が浅く、他の業界に知り合いがたくさんいるという人も、長年やると同僚しか話し相手がいなくなります。
塾の仕事で話題になることなど合格実績や子供の話しかないので、他の世界の住人と話が合わなくなっていきます。私と同じ職種の人で、30代以上の人のほとんど全てが独身だというのもある意味当然の話です。親御さんも、そういうのが分かると、塾に子供を預けるのが不安になったりするかも知れません(笑)。
  昇給やボーナスがないというのも痛いですね。30歳以降、将来設計というものが全く立ちません。基本給も下がっていく一方では、この先じり貧になるのは間違いないでしょう。
  なんとか、この状況を変えなくてはいけないのですが・・・節目の度に没頭せざるを得なくなって、気づけばまた次の年度になっていた、というのがここ何年か続いています。司法試験に受かれば、という、確率は低いものの分かりやすいビジョンがあった時と違って、今は毎日悩みながら生きているという感じです。

  ブログを書いているといっても、知り合いから「そんなカネにならないこと自慢してどうするんだよ」と言われたりもして・・・読んでくれた方が拍手やコメントを頂けることは、本当に救いになっていますね。
  できたら、「文筆業」の方に行きたいと思うこともあるのですが、他の方のブログを見ると愕然としますね。「フルタイムの仕事をやっていて、これだけのものが書けるのか」と・・・自分には才能がないのかもしれません。
  さもなくば、「貿易関係」の仕事にでも就ければと思っています。そういうところで国際取引のイロハやら外国のやり方を知っておけば、あとあとものを書いたりする時も便利だと思ってのことです。30代半ばの男を雇ってくれる会社があれば、という条件付きですが・・・。
  そのために、とりあえず語学をやって、関係する資格を取っておこうと思い始めたのはつい最近のことです。どうなるかは分かりませんが、閉塞した状況を抜け出すきっかけになってくれると信じています。

  目の前の仕事を全てと思わず、広い視野をもって一日一日生きて行けたらいいですね。

  長々と、愚痴めいた話にお付き合いいただいてありがとうございました。

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2007.12.19(Wed)

【日本壊滅プラン】経済財政諮問会議(12月14日)レポート 

  どこの国でも「裏の最高権力」というのがあるものですが、我が国のそれは定期的に手の内を明かしてくれているので、ある意味ありがたいと言えます。
  もっとも、その中身は、国民にとってありがたくないものですが・・・少し見てみましょう。

  とりあえず全文引用しますが、読むのが面倒くさい人は後ろについている注釈から読んでしまうとよろしいでしょう。

経済財政諮問会議・第30回会議(平成19年12月14日)
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/1214/report.html

(1) グローバル化改革(金融・資本市場)について

(2) 規制改革について

(3) 新成長戦略について

(4) 「日本経済の進路と戦略」(原案)について

 大田弘子です。本日、今年第30回目の経済財政諮問会議が開催され、グローバル化改革(金融・資本市場)、規制改革、新成長戦略、日本経済の進路と戦略(原案)について議論しました。

 グローバル化改革(金融・資本市場)については、渡辺臨時議員、民間議員、甘利議員それぞれからペーパーに沿って説明があり、その後、以下の発言がありました。

若林臨時議員から、取引所法制の一元化については、取引所は産業インフラであり、農業の政策とリンクして運営されねばならない。上場の自由化については、作柄の変動や需給ギャップに応じて米対策などと連携をとってやらなくてはいけないので、大臣が認可するのが妥当であり、反対。

民間議員から、取引所の競争力のためにはソフト面の改革が必要。手続を柔軟にする、英語を容認するといったことが必要。

民間議員から、若林臨時議員からの米対策などと連携をとらなくてはいけないから米の商品上場は難しいという発言に対し、生産調整が終わった時点から取引を開始するような先物があっていいので、生産調整があるから上場できないということとは違うのではないか。

若林臨時議員から、これに対し、これまで生産者団体で米の生産調整を行ってきているが、今年は過剰のために米価が下落した。政府の介入が今年は必要になったわけで、来年からは国や県、市町村も含めて生産調整をやっていく必要があると考えている。こういう生産調整の仕組み・枠組みとかかわってくる。他の農産物も、それぞれ生産や流通の施策と関係しているので、自由というわけにはいかない。

 この問題は、前回議論したときも同じような議論がありました。今日は時間もありませんでしたので、この点については引き続きの議論ということにしてあります。

 また、民間議員から提案のあった取引所の連携・融合について、民間議員は平成20年度中の実現が望ましいと提言しています。これに対して、甘利議員からは、平成20年度は無理かもしれないが、できるだけ早くやりたい。若林大臣からは、1年程度かけて検討をする必要があるので拙速は避けるべきであり、20年度は難しいのではないか。という発言がありました。

 私からは、渡辺臨時議員に、今日の議論も踏まえて最終的な精査をして、年内に取りまとめていただきたい。そして、金融・資本市場改革はスピード感が必要なので、法制の問題など、なるべく早く議論を進めていただきたいとお願いしました。

 総理からは、以下の発言がありました。

優れた金融・資本市場を持てるかどうかは、国力に直結する時代になっていると思う。

外国人を含め市場関係者からの問題提起に真摯に耳を傾け、世界に誇れる市場となるよう、法制度の整備をはじめ、改革をしっかり進めてほしい。

 規制改革については、岸田臨時議員、草刈規制改革会議議長、舛添臨時議員、民間議員からペーパーに沿って説明がありました。草刈議長のペーパーの中で、特に混合診療がクローズアップされています。舛添臨時議員からは、混合診療については原則自由ということではなく、基本的合意に沿った枠組みで更に進めていきたいという説明がありました。民間議員からは、以下の発言がありました。

基本的合意があったにもかかわらず、なかなかそれが実行されていない。民間議員ペーパーにもあるように、基本的合意には含まれていない薬事法の認可がなくてはいけないという条件が、保険局医療課長通達によって挿入されている。そして、現実には逆に保険診療と併用可能な保険外診療が縮小しかねないという事態も生じている。したがって、まずこの薬事法の認可は解除すべき。原則禁止ではなく原則自由にして、どういう条件が必要かを考える必要がある。

混合診療には患者の立場から3つのメリットがある。選択の幅が拡大する、最先端医療にアクセスできるようになる、自己負担が軽減される。逆にこれが禁止されていると、保険診療部分まで自己負担できる人しか先端医療を受けられなくなり、逆に今の方が金持ち優遇になっている。患者が受けるメリットを考えると、徹底的に医療情報を開示し、原則自由にすべきではないか。

 民間議員提案にある薬事法認可の条件を早急に解除するという点について、舛添臨時議員は、早急に見直したいということでした。
 草刈議長からは、先日東京地裁の判決があったが、原告の人は今も治療を受けているわけで、時間的に早く手を打ってほしいという発言がありました。

 混合診療については、すべてオーケーということではなく何らかの条件整備が必要であるという点、皆保険という枠組みはしっかり守っていくという点については、全員の意見は一致していました。それを原則自由の上で条件をつけていくのか、条件をつける形で解禁していくのかという原則の立て方については、意見は一致していませんでしたが、条件整備をしっかりしてルールのもとで混合診療を拡大していくという点については、一致していました。
 また、少なくとも平成16年の基本的合意を実効性ある形で実現するということについては、意見の一致を見ました。舛添臨時議員も、課長通達を早急に見直し、民間議員提案にあるように、基本合意の後、混合診療はどれぐらい認められてきたのか、金額も含めて検証をしっかりやるということでした。

 岸田臨時議員からは、期限を決めながらやっていく必要があるという発言があり、舛添臨時議員も、期限をしっかり決めながらやっていきたいということで、私からも両大臣で今後調整をよろしくお願いするということを申し上げました。

 総理からは、以下の発言がありました。

混合診療の問題は、患者の立場に立ってどうするかという視点を大事にして、平成16年の基本的合意をしっかりと実現させてほしい。建設的な成果が得られるよう、岸田大臣、舛添大臣の間で最終調整をしてほしい。

暮らしの安心や豊かさに関連する分野、例えば子育て支援などは、規制のあり方が大きな意味を持つ。規制改革会議で精力的に取り組んでいただいて、一定の成果が得られつつあるけれども、今回の成果を踏まえ今後も粘り強い取組をしてほしい。

 新成長戦略については、私から基本骨格を説明しました。これは総理の考えを踏まえて甘利議員とも相談しながらまとめたものです。この1カ月ぐらいの間、総理のお考えを何度も何度も伺って、ほぼ100%、総理のお考えが盛り込まれたペーパーになっています。キーワードだけ少し説明します。

 現状、景気は回復が続いていますが、内向き、縮み志向の悪循環が生まれています。それを好循環にしていくためには、まず目標を共有するということ。それから、自立と共生のメカニズムを発揮するということです。この「共生」というのは、全員参加型の成長ということで、都市や大企業や勤労者だけの成長ではなくて、都市も地方も、老いも若きも、大企業も中小企業も全員参加型で成長していく、ともに成長するということが大事です。ただつながるだけでは、もたれ合いになったり護送船団になったりしますので、それぞれの主体が自立をして強みを発揮することで、つながりは相乗効果というパワーを持ちます。これを総理は「つながり力」という言葉で表現しています。
 この「つながり力」を鍵にして、世界とともに発展するオープンな国、人生90年時代を安心して生活できる国、人口減少下でも成長を持続する国という3つの目標を立てています。この3つの目標を実行していくことで、人口が減少する中にあっても、現在と同じぐらいの実質2%の成長を何とか視野に入れられるような形をつくっていきます。
 この3つの目標に共通する経済社会の基盤として、環境と調和する経済社会ということが不可欠です。日本は、環境ということに対しては、既に省エネルギー技術でトップに立っているわけですから、これからもこの環境を経済成長のパワーにしていく、社会全体で環境に配慮するマインドを共有して新しいライフスタイルをつくって世界に提案していく、環境の分野でイニシアチブを発揮していく、あるいは環境技術を初めとしたイノベーションで世界のトップ水準を維持していくといったことを「環境力」という言葉で表現しています。
 この3つの目標を実現するような経済社会の姿として、全員参加型の経済、強みを伸ばす経済、世界とともに成長する経済、こういう姿を実現していきます。そして、戦略の柱としては、全員参加型の共生戦略、強みを発揮する自立戦略、グローバル戦略。この柱に沿ってこれから具体的な政策をつくっていきます。

 この成長戦略について、私からの提案の後、民間議員、甘利議員、増田議員からも提案がありました。民間議員ペーパーにも、年明け早々に民間議員から具体的な政策提案がなされるとあり、それを受けて諮問会議で議論をしていきます。その後、以下の発言がありました。

民間議員から、縮み志向であるとか世界のダイナミックな変化から取り残されているという悪循環について、内向きになり、悪循環の中にあるという危機感が共有されていないということが大きい問題。変化する時代は、民間議員提案にあるように、特区の形で思い切ったことをやることが必要。そして、縦割り行政を打破することが必要で、例えば再生医療などを認める最先端医療特区あるいは飛び級を認める最先端教育特区、あるいは最先端農業特区などが必要。

民間議員から、成長を実感できるということが推進力になるので、実践的な国家的プロジェクトが必要で、例えばその代表として世界最高水準の電子政府をつくっていくというようなプロジェクトが必要。

民間議員から、わかりやすいメッセージ、例えば親の代より子供の世代は豊かになるようにとか、ハイクオリティーとか、わかりやすい言葉で夢を呼ぶような成長戦略にする必要がある。

グローバル化を進めるとき、その成長の源として日本が魅力あるかどうかということが重要。内外すべての人にとって、日本という舞台が自己実現の場としてポジティブに受けとめられているかどうかということが重要で、そういう意味では日本の経済社会というのは海外の資本や人材を受け入れることに消極的。国内の人材を育成するだけではなく、国外の人材を受け入れ、切磋琢磨して摩擦を克服することで社会が強靱になるということが必要。

人口が減る中での経済成長は大変重要。戦後は組織の時代だったが、これからは個人の輝く時代にならなくてはいけない。すべての人が能力を発揮し、世界のレベルを目指していくことが大事。

 私からは、民間議員に、年明け早々に具体的な政策項目を提案してほしい、それを受けて諮問会議で議論し、なるべく早く成長戦略の形をつくっていきたいと言いました。

 総理からは、以下の発言がありました。

活力を持って、目標を定めて経済社会を営んでいく国になってほしいと思っている。しかし、20年近く成長率も横ばいという状態で、そういう活力は失せているのではないか。その間、周りの国々は数倍のスピードで成長している。国民は何となく足りない思いをしている。

経済成長の国でないと、格差が目立ってしまう。格差であるとか、そういうものを克服するためにも経済成長が大事である。そのために何をするかということがポイントで、今日の意見はいろいろ参考になった。良いものをつくっていきたい。

 日本経済の進路と戦略(原案)については、了承されました。なお、額賀議員から、2010年代半ばにどういう国になっているのか、どういう財政の状況になっているのか、この展望が必要である。財政展望、将来展望を踏まえながら、「進路と戦略」を取りまとめてほしいという発言がありました。

 私からは、以下のとおり、とりまとめました。

「進路と戦略」自体は、昨年既にスタートした中期展望。今回その原案をつくるに当たって、各省から災害対策、治安、文化、芸術、スポーツの振興といった、いろいろ盛り込むようにといった意見はいただいているが、昨年の「進路と戦略」に既に盛り込んでいるものについては、一体として実行していくことになる。

今年の「進路と戦略」については、福田内閣として目指すべき姿、特に強調すべき施策を盛り込んで取りまとめていきたいので、御協力をお願いしたい。

 総理からは、以下の発言がありました。

これからの人口減少や内外の環境変化を考えると、今後10年程度の経済のあるべき姿を念頭に置きながら、安定した成長と財政再建の両方を進めていく必要がある。引き続き調整をお願いする。



  読んでいて頭が痛くなりますが、がんばって注釈してみたいと思います。

>大田弘子です。

  議長役です。●こういう人間ですが、目を引くのは「一橋大学卒」であることと、「良い増税・悪い増税」という著書があること、そして、「社会人経験がゼロ」だということです。
  一橋大学といえば、まず思いつくのが小泉カイカクのブレーンだった「竹中平蔵」です。極端な行政合理化を行った田中康夫前長野県知事や、「企業が国家を選ぶ時代だ」とのたまう石原慎太郎東京都知事もここ出身です。どうも、この大学の経済関係の教員には、リカードやフリードマンのような極端な市場原理主義者の影響を受けた人が多いのではないかという気がします。
  著書についてですが、平成14年のもので、竹中がまだ政府の中枢にいる頃、大田が内閣府の審議官になった年に書かれたものです。「今後こういう風に増税します」というのがはっきり書かれていて、女性が書いたと言うこともあり、つい納得させられそうな感じの本です。  もっとも、中身は政府税調の「財政均衡のために増税」という結論が前提になっています。
  そして、社会人経験がないということで、勤労者の心情を察する政策はまず期待できないということがわかります。しかも、選挙も経験せずに政治の世界に携わっているあたり、●自民党民主党支部長の前原クンよりさらに危険です。
  小泉や竹中がいなくなっても、ちゃんと「病根」が残っているのです。このあたりからして、福田首相が国民生活のよりもカイカク推進(日本破壊)を重視していることがよくわかります。

>手続を柔軟にする、英語を容認する

  取引所法制の一元化に関して出てきた議論ですが、目的は「外国人が日本で金融取引しやすくする」ということです。
  なぜそういう措置を執るのかと言えば、日本にあれこれ命令している連中(=グローバリストの親玉である国際金融資本)が日本に早いうちに移ってこようと焦っているからです。●江田島孔明氏の最新の論考(かなりお勧めです)で、アメリカの衰退が指摘されていますが、それに伴って国際金融資本が向かう先は日本になることでしょう。東京ミッドタウンや六本木ヒルズは、マンハッタンの代わりです。
  彼らの弱点は、日本語を理解できないことです。だから、日本の方の言語を返させようということなのでしょう。
  この流れがそのままならば、やがて東京証券取引所は全て英語でやりとりするようになります。公文書も英語表記になるでしょう。他方、庶民向けの役所の文書などは「中国語」も併記されることになります。どういう意味かは、すぐおわかりだと思います。
  そんな世の中が嫌なら、自民党や公明党を選挙で落とすしかありません。
  
>民間議員から、若林臨時議員からの米対策などと連携をとらなくてはいけない
>から米の商品上場は難しいという発言に対し、生産調整が終わった時点から
>取引を開始するような先物があっていいので、生産調整があるから
>上場できないということとは違うのではないか。


  この会議の中で一番恐ろしいのはここです。どうやら、この諮問会議は、近い将来「米の商品取引」をやろうと本気で考えているのです。  
  主食で商品作物というと、アメリカの「小麦」や「大豆」がそうです。前者は、出荷時期を相場の値段で決めるために、長期間の保存を可能にする「ポストハーベスト農薬」を大量に使用しています。後者は、どんなリスクがあるかわからない遺伝子組み換えの作物が主流になりつつあるほどです。
  米も、そういう運命をたどるということです。要するに、日本人の、ほぼ自給できている主食が、金持ちが理財するための「投機の道具」になるということです。そのためには小規模農家が邪魔なので、農業の大規模化が図られ、それを国内外の穀物メジャーが管理するようになるでしょう。そういう連中が、「コメ工場」で人件費の高い日本人を雇うわけがありません。中国人を大量に雇うようになるでしょう。「農業研修生」などという名目で。
  そんなの考えすぎだよ、などと言う人は、まあそれでもいいでしょう。ただし、「保守」だとか「愛国」だとか名乗るのは金輪際やめていただきたいところです。
  この国を愛しているとか、文化伝統を大切にしようとか言っている連中は、農業や食糧生産のことを全く考えていない、というのが、ブログや書店に並ぶ本を見た私の感想です。もう、そういう連中には何も期待しません。

>外国人を含め市場関係者からの問題提起に真摯に耳を傾け、

  わざわざ「外国人」と入れているのは、アメリカ政府や外国人商工会議所がこの会議の内容をチェックしているからでしょう。アメリカや国際金融資本にゴマをすらない人物は、自民党のトップになれない(小泉様の天の声が頂けない)ということです。

>混合診療

  またまた、ヤバイのが出てきましたね。

>民間議員からは、・・・以下の発言がありました。現実には逆に保険診療と
>併用可能な保険外診療が縮小しかねないという事態も生じている。したがって、
>まずこの薬事法の認可は解除すべき。原則禁止ではなく原則自由にして、
>どういう条件が必要かを考える必要がある。

>民間議員提案にある薬事法認可の条件を早急に解除するという点

>混合診療には患者の立場から3つのメリットがある。選択の幅が拡大する、
>最先端医療にアクセスできるようになる、自己負担が軽減される。


  混合診療というのは、要するに保険外の治療と保険適用の治療の併用をするということです。今は、保険適用と保険外は分けられていて、同時に用いることはできません。
  詳しいことは、●「或る浪人の手記」様の特集記事をご覧頂くとよろしいのですが、経済財政諮問会議はメリットしか言っていないので、デメリットを上げておきます。

政府は、財政難を理由に、保険の給付範囲を見直そうとしており、混合診療を認めることによって、現在健康保険でみている療養までも、「保険外」とする可能性がある。

混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者の負担となり、お金のある人とない人の間で、不公平が生じる。

「保険外」としてとり扱われる診療の内容によっては、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることになりかねない。

患者の立場から、どの治療法が有効か判断するのは困難である。



  諮問会議のいう「メリット」にしても、選択の幅なんぞは素人が十分な情報を持ったり判断が出来たりするわけがなく、先端医療にアクセスできるなら、先端医療だけを開放すればいいだけの話であって、自己負担が軽減されても、「保険外」の領域が大きくなってしまったらかえって負担が増えるということになります。
  まあ、この分野はアメリカが年次改革要求書で参入をさせろと恫喝してきている分野ですから、今後経済界やマスコミ、政府、「外国の声」がそろって混合診療に反対している日本医師会を攻撃してくるのは間違いないでしょう。
  そういうときに、「医者は高給取りだから・・・」などと、ひがみ根性でカイカクに賛成したら、いずれ自分の身に跳ね返ってきます。郵政民営化がそうだったように。

  さて、こういう連中ですから、当然のことながら、経済分析も狂っています。

>現状、景気は回復が続いていますが、内向き、縮み志向の悪循環が生まれています。

  バカも休み休み言え、と、失笑してしまう箇所です。おまえらが輸出重視の方向に政策を傾けて、何でも輸出企業の有利になるようにしたから、今の惨状が生まれているんだよ、と言ってやりたいところです。
  たとえば、小泉政権の下で認められた「製造業への派遣労働者導入」ですが、方便としては「企業の国際競争力強化」でした。●トヨタの直近三年の経常利益を見れば明らかなように、確かに輸出企業は業績を伸ばしています。
  しかし、大企業が一斉に派遣労働導入へ舵を切ったため、購買力が低下しているのです。派遣社員は福利厚生も悪く、ボーナスもないのが普通ですから、消費はどうしても鈍りがちです。一人暮らしだと、生活するのがやっとというケースは当たり前です。この状態では、いわば「内需の信用収縮」が起きてしまい、本来売れるはずだったものがどんどん売れなくなっていきます。
  言ってみれば、輸出依存企業が購買力や内需を強奪しているようなものです。個々の企業は企業努力をしているだけですが、●前回のJRの例でも分かるように、全国的に影響を与える巨大企業、もしくは大企業がまとめてそのような「合理化」を行えば、必ずどこかで犠牲になる人間がいるということです。

>世界とともに発展するオープンな国

  もういい加減にしろと言いたいです。これ以上日本に外国人を入れる必要もありません。利益をドルに換えて持ち出す外資企業も要りません。日本の政府なら、まず日本人を最優先に考えろと言いたいです。
  国際化や「みんなと仲良く」という発想が、グローバリストにうまく利用されている典型例ですね。

>民間議員から・・・再生医療などを認める最先端医療特区あるいは
>飛び級を認める最先端教育特区、あるいは最先端農業特区などが必要。

  政治経済の「人体実験」をやらせろ、ということです。そこにいる人間がこうむる影響など全く考慮しないというわけです。最先端農業特区あたりは、上に書いたように「大規模化」が図られ、「農薬と地下水の濫用」「中国人など外国人労働者の導入」など、過激すぎて国民がついていけないほとの最先端ぶりになるでしょうね。
  はっきりいえば、この会議は大企業や外資系企業が儲けることにしか興味がないのです。

>民間議員から、・・・グローバル化を進めるとき、その成長の源として日本が魅力
>あるかどうかということが重要。内外すべての人にとって、日本という舞台が
自己実現の場としてポジティブに受けとめられているかどうかということが重要で、
>そういう意味では日本の経済社会というのは海外の資本や人材を受け入れること
>に消極的。国内の人材を育成するだけではなく、国外の人材を受け入れ
>切磋琢磨して摩擦を克服することで社会が強靱になるということが必要。


  私は、この部分で戦慄しました。

  この日本に、日本を、「外国人の自己実現の場」にしたいと思っている大人がいる。しかも、社会民主党とか、日教組とかではなく、政府の諮問会議の中に。

  完全に納得できました。この会議に出ている人たちは、自分が日本人だと思っていないのです。
  そうでなければ、分別のある大人がこんなことを言えるはずがありません。

  まったく、恐ろしい会議ですが、ここまでの部分で何か気づいたことがありませんか?

  そうです。危ない発言をしている人間は、みんな「民間議員」という連中だということです。
  しかも、卑怯なのは、この民間議員の発言が、誰の発言だかわからないように名前を伏せてあるということです。まあ、いわば「2ちゃんねる」状態であるわけです。あの掲示板で、他人の目をはばからないネガティブな本音が吐露されているように、おそらく民間議員たちも「日本を徹底的に破壊して、アメリカのような国にしたい!」というのが本音なのでしょう。
  しかし、誰が民間議員なのかはわかるので、一応名前を掲げておきます。

福井 俊彦  日本銀行総裁
伊藤 隆敏  東京大学大学院経済学研究科教授(兼)公共政策大学院教授
丹羽 宇一郎  伊藤忠商事株式会社取締役会長
御手洗 冨士夫  キヤノン株式会社代表取締役会長
八代 尚宏  国際基督教大学教養学部教授



  もしクーデターに成功したら、小泉・竹中と並んで、とりあえず「銃殺刑」にすべき人間のリストとしても使えそうですね(笑)。

  では、この会議の「議長」、●集団強姦は「男が黒豹だから」しょうがない、という独創的アイディアの持ち主である福田康夫総理大臣閣下は、どんな締めの発言をなさっているのでしょうか。

>経済成長の国でないと、格差が目立ってしまう。格差であるとか、
>そういうものを克服するためにも経済成長が大事である。


  まあ、因果律というものを全く無視した素晴らしい「迷言」なのですが、会議の中身を見てもよくわかりますね。結局「自民党総裁というのは、こと経済政策に関してはお飾りでしかない」のだと。

  今後も、経済財政諮問会議には注目です。もちろん、ネガティブな意味で・・・。

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2007.12.18(Tue)

整備新幹線と「ミンエーカ」なるものの不毛 

  お正月に新幹線を利用して帰郷する方もいるかもしれません。その新幹線についてちょっと考えてみます。

九州新幹線長崎ルート、在来線経営分離せず…沿線自治体同意不要に
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07121705.htm?from=goo
--------以下引用--------
 九州新幹線長崎(西九州)ルートの並行在来線を経営分離してJR九州が乗り入れる方向で検討していた長崎、佐賀両県と同社は、JR九州が現状通り全線運行し経営分離しないことで16日合意した。17日、政府・与党に伝える。

 経営分離の対象は長崎線の肥前山口(佐賀県江北町)~諫早(長崎県諫早市)の区間。これまでの計画では同区間をJRから両県に譲渡したうえで肥前山口~肥前鹿島(佐賀県鹿島市)をJR九州、肥前鹿島~諫早間を両県が設立する第3セクターが運行するとしていた。

 整備新幹線の着工には経営分離についての沿線自治体の同意が必要だが、佐賀県鹿島市などの反対で着工のめどが立っていない。ただ、今回の合意では、肥前山口~諫早間をJR九州が全線運行するため整備新幹線の並行在来線には当たらないという。

 このため沿線自治体の同意が不要になる。線路などをJRから両県が譲り受ける方針も変更しない。

 関係者によると、普通列車は現行本数を維持するが、特急は約50本から朝夕の10本程度に減らす見込み。年間2億円近くと見られる営業赤字を3者が分担する案もある。(中略)

 14日の整備新幹線に関する政府・与党の検討委員会では、着工条件は見直さず3者が新たな方策を探ることで一致。これを受け、3者は運行形態などについて協議を続けていた。
--------引用以上--------

  整備新幹線を引くと、並行して走る在来線の「経営分離」をしなくてはいけない・・・こんな決まりがあったとは初めて知りました。。

  私はするとしても貧乏旅行なので、「青春18きっぷ」というJRの普通列車が乗り降り自由になる特殊な切符で、遠くまで何度も出かけたことがあります。
  ところが、少し前に東北地方に行こうと思った時、「えっ」と思ってしまったことがありました。盛岡から先の東北本線が、変な名前の私鉄に変わっていて、青春18きっぷが利用できないのです。
  どうやら、今後東北新幹線が延伸するのに伴って、並行在来線の経営分離が行われたようなのです。盛岡から八戸が「IGRいわて銀河鉄道」、八戸から先が「青い森鉄道」ということで、それぞれの県に譲渡され、第三セクター方式で運営されています。
  どうやら、東北新幹線や上越新幹線の整備に、国債の発行や財政投融資の資金が用いられたので、その反省に無償資金で建設すべきだとされたことが全ての始まりのようです。新幹線が並行すると、在来線は利用者が少なくなる。どうせ、新幹線から乗り継ぐだけなのだから、JRでなくてもいいだろう、と・・・いうことなのでしょう。

  しかし、疑問が残ります。「第三セクター方式に移管したら、よけい経営が悪化するのではないか?」ということです。
  こう言うと、利益が出ている第三セクターの鉄道会社もあるじゃないか!などと怒り出す人もいるでしょう。はい、確かにそういう会社もあります。
  たとえば、兵庫から鳥取にまたがる「智頭急行」や、新潟の越後湯沢から上越地方にぬける「北越急行」は黒字です。しかし、この路線が黒字なのは、ただ単にJRの特急列車がそこを通るので、乗客が強制的に運賃を負担しているからというだけです。
  他にも第三セクター方式の鉄道で黒字なっているところは、伊勢鉄道や鹿島臨海鉄道のように、JRからの乗り入れがあるところだけです。要するに、JRに寄生している第三セクターだけがもうかっているのです。
  反対に、赤字の路線は悲惨で、廃止になるところ相次いでいます。代表例は●「高千穂鉄道」です。宮崎県の延岡から、「天の岩戸」伝説の地である高千穂まで、渓谷地帯を通る鉄道です。私も乗ったことがあるのですが、素晴らしい景色を味わうことができる鉄道でした。
  その高千穂鉄道は、2005年9月の台風で一部の橋脚が流されてしまい、復旧のめどが立たないまま、なんと今年9月に廃止が決まってしまいました。利用者の減少で、橋脚の復旧などのめどが立たないために、かなり早い段階から決まっていたようです。残念なことです。
  今後、第三セクターの鉄道にはこのようなケースが増えてくるでしょう。なにしろ、大部分を自治体が出資しているわけで、その自治体が公共事業についての予算を減らしているのですから、もうからない路線はどんどん潰されるのです。
  こうなると困ってしまうのは、曲がりなりにもその鉄道によって恩恵を受けてきた人びとです。たとえば、多少なりとも乗降客のある駅であれば、その前に商店だとか郵便局だとかがあるのですが、そういうものも全て閉めなければなりません。鉄道会社自体の雇用もなくなってしまうわけですから、沿線地域の購買力も低下するでしょう。
  「車を使えばいいじゃないか」などという人もいそうですが、田舎でもみんなが車を持っているわけではありません。運転できなくなったお年寄りで、身寄りがいない場合などを考えてみてください。しかも、いまは空前のガソリン価格の高騰があるわけで、何かあったらすぐ車、というと、家計に相当なダメージが来るのは間違いありません。
  
  本来であれば、黒字路線と赤字路線が同じ経営主体に属することで、全体としてはプラスに出来るというのが理想の形なのです。郵政事業もそうでした。郵便事業単体では赤字でも、郵貯や簡保の運用利益でそこを穴埋めすることができていたので、郵便局には税金は1円も投入されていなかったのです。無理に民営化などする必要はありませんでした。
  鉄道も、国鉄がJRという形で民営化されるまで、廃線になるケースはほとんどありませんでした。都会で出した利益で、田舎の赤字路線の穴埋めが出来ていたからです。
  
  はいはい、こういうことを言うと、必ずいますね。「旧国鉄の巨額の債務があったから、しかたなく民営化したんだ」という人が。

  そういう人に聞きたいんですが、その債務とやらは民営化してどのくらい減ったんですか?

  JRの方に回された14.5兆円は、なんとか12.5兆円まで減らすことができました。しかし、国側の債務はかえって増えています。こんなことをするぐらいだったら、それこそ高速道路を作る金や、整備新幹線に回す金、さらには郵貯が上げている黒字なんかを回して、国有化したままで債務を減らす方向にすればよかったんじゃないでしょうか。
  民営化至上主義の人間は、こういうところが狂っているのです。「借金は返さなければならない」と言うのですが、それを返すための利益の源泉をあえて切り離して、「自助努力で何とかしろ」「魅力ある経営をすれば客は増える」などと強弁する。
  挙げ句の果てに、債務が減らないとなると、「こんな巨額の借金をしたのは、田中角栄の土建政治が悪かったんだ」と、一部の政治家を攻撃し始めるわけです。たとえば、道路族として知られた旧亀井派(現・伊吹派)などがそうでした。
  それなのに、なぜか新幹線の「厚狭駅」「安中榛名駅」については誰も突っ込もうとしません。前者はすぐ近くに「新山口」や「下関」があるのに作られた新駅で、乗降客数は平均900人で、ドル箱の山陽新幹線の中で最小です。後者に至っては、すぐそばに高崎駅があるのに作られ、乗降客数は平均245人です。
  まあ、そんなことを言ったら「いわて沼宮内」の方が少ない・・・という声も聞こえてきそうですが、それも含めてなぜマスコミがこれらの事例を「予算の無駄だ」と叩かないんでしょうか。山口県が「岸信介」「佐藤栄作」「安倍晋太郎」、群馬県が「中曽根康弘」「福田赳夫」という政治家たちの出身地だからかも知れません。あらら、この人たちって、●たしか・・・(笑)
  こういう駅が「他の駅で上げている利益で穴埋めできる」と反論してくる方には、私から再度反論しましょう。「国鉄や郵便局というのは、全部そういう方式でやっていたのをご存じじゃないんですか?」と。

  まあ、今回の長崎新幹線は、経営分離をしないということで決着がついたようです。しかし、だからといって一見落着になるわけではありません。

  JR九州というのは、はっきり言って儲かっていない会社です。それなのに長崎新幹線を運営し、おそらく建設されるであろう乗降客数が異常に少ない「政治駅」の負担もしなくてはいけないのですから、他の部分で「リストラ」をせざるを得ません。長崎本線は良くても、他の路線を廃線にしたり、露骨に列車本数を減らすでしょう。長崎本線だって、本当にいつまでも今のままでいるかどうか・・・。
  それでも、公共事業が少しでも欲しい地方自治体としては、新幹線建設という形でそれを求めざるを得ないでしょう。地域住民のためになっているかどうかは疑問ですが、そうでなければ落ちてくるカネがゼロかそれに近いレベルになってしまうのは事実です。 
  本来、莫大な金がかかる公共事業である新幹線建設を、民営化した後も無理矢理進めようとしているからこういうことになるのです。ミンエーカミンエーカと言いながら、特定の勢力に都合の良いように動いている気がします。マスコミも、そういう感じで偏った報道しかしません。
  JRになってよかった!!的な報道や論説が多いのですが、大手マスコミも含めて、そういう人は東京に住んでいるからそう思っているだけです。JR東日本は通勤路線を多数抱えている上、不採算路線の多くは四国や九州や北海道が持って行ってくれたおかげで、かなり儲かっています。そうなると、サービスもよくなるでしょう。人口が多いのですから、「びゅうプラザ」に代表されるような、出入り口での顧客の捕捉も容易です。
  東京でやっているのと同じ事が、北海道とか四国でやれていると思ったら大間違いです。そもそもの人口が違うというハンデは、自助努力や自己責任で克服できるものではありません。
  私が「民営化は素晴らしい」「民間でできることは民間で」と、ヌケヌケと主張する連中に腹が立つのはそこなのです。不採算部門を切り捨てて利益を上げるという行為は、個別の企業でみれば正しい選択なのですが、国やJRのような巨大企業のような単位で見ると、結局特定の地域を見捨てるという結論につながるのです。人の多いところの方が利益が上がるから、という論理を突き詰めていくと、結局東京以外は全て過疎地にするということになりかねません。

  「水道事業」や「造幣局」までミンエーカしようなどと狂ったことを言い出しているのが今の政府です。「新幹線だけ立派で、他は全部廃線」などという極端なことになっていっても、何の不思議もありません。
  そうなっても、「地方の人間は車を使えばいいんだ」と、バカ右翼のブログや2ちゃんねるで、アホな連中が政府を擁護するんでしょうね。

  そもそものスタートである「民営化は善である」というものを疑う、というか、いったん放棄した方がいいんじゃないかという気がします。マスコミで無批判に流されている考えこそ危険です。

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EDIT  |  10:52 |  経済とグローバリゼーション  | TB(1)  | CM(14) | Top↑
2007.12.17(Mon)

「排出権取引」というビジネス 

  最近、語学の勉強をかねて、週に2、3日は英字新聞を読むようにしているのですが、日本語のメディアが取り上げない記事がたくさん出ていて、なかなか面白いです。
  そんな記事のひとつを取り上げます。原文は英語ですが、必要な部分は和訳しますのでご安心下さい。

Controlling pollution by profiting from it; Hong Kong looks at emissions trading
(「もうかること」で大気汚染をコントロール;香港、排出権取引開始を模索)

As this city struggles under a daily cloud of noxious fumes belched from a
combination of local traffic and factories and power plants across the
nearby border with mainland China, the Hong Kong Stock Exchange is con-
sidering using its financial muscle as part of a solution.

The board of the exchange is due to weigh a proposal Wednesday for a
pollution emissions trading system that could serve as a financial platform
for mainland China and other Asian countries entering a burgeoning new
business.

A feasibility study delivered to the board this week charts the way for
Hong Kong to gain a share of the fast-growing international market in
trading greenhouse gas emissions, implicated in global warming, and the
types of local industrial pollutants that turn the skies here murky gray
for most of the year.

For one of the region's leading financial centers, emissions trading is
a potentially valuable new kind of product. Estimates of the size of
the global emissions trading market by 2010 vary between $40 billion
and $100 billion.

But it might also make a significant contribution to solving the city's
alarming air quality problem in a way that suits its love affair with
the free market and helps to develop an effective emissions trading
system in China, now thought to be the world's leading emitter of
greenhouse gases.

The global emissions trade has to date been dominated by the United
States and Europe, which have leading players like the Chicago Climate
Exchange and the European Climate Exchange.

A team of consultants, led by the law firm Mallesons Stephen Jaques,
worked on the four-month feasibility study for the Hong Kong Stock
Exchange. They say the city's financial strengths and its proximity to
the mainland mean it has the potential to become a regional, and
possibly global, leader in emissions trading.

''Hong Kong is sitting on the doorstep of a major, major player,'' said
Roger Raufer, a consultant engineer with the International Environmental
Trading Group, an American firm that advised on the study. ''It could be
very, very significant business.''

He added: ''Asia has an environmental problem and everyone recognizes
the market has to be part of the solution. You have got to have
economics driving the cleanup.''

Raufer, who has advised the United Nations and World Bank, said there was
compelling evidence from around the world that putting a price on
pollution under an emissions trading program hastened the speed and
efficiency of the environmental cleanup.

''The main point is that you accomplish environmental goals at a lower
cost,'' he said. ''Because you put a price on the pollution, these economic
instruments force you constantly to think about ways to get rid of
pollution. By using resources efficiently, the government can afford to
be more aggressive in terms of protecting the environment.''

There is no doubt that Hong Kong has a huge problem. Roadside pollution
on an average day in the busiest parts of the city is several times the
levels deemed acceptable by the World Health Organization.

Anthony Hedley, professor of community medicine at the University of
Hong Kong and one of the report's authors, said there were few days in
the year ''where you could put your hand on your heart and say it's
safe to breathe.''

Hedley said the scale of the damage to public health and the burden
placed on the health system required the government to adopt mand-
atory restraints on emitters.

He said that, from a public health perspective, emission trading might
be part of a long-term solution ''but here and now the immediate need is
for radical action to reduce individual exposures.''

Still, the advocates of emission trading say there is ample evidence that
using free market incentives to reduce air pollution lets governments
demand cuts to emissions faster and more effectively than by simply
imposing limits on emissions in isolation.

Under a typical emissions program, a power plant or factory is issued an
allowance for emissions up to a mandated cap. If it does not use all its
allowance, the remainder can be sold to other emitters. Failure to have
sufficient allowance to cover all annual emissions results in a fine.

The biggest emerging market for emissions is in carbon dioxide, driven by
global efforts to reduce greenhouse gases. But emission trading has
proved effective in dealing with local problems of smog - emissions of
particulates, sulfur dioxide and nitrogen oxides.

In the United States, an emission trading plan has allowed authorities to
impose aggressive pollution caps to tackle the acid rain problem, limiting
the annual allowance of sulfur dioxide to 50 percent of 1980 levels.

Environment officials in China have noted such success and embarked
on several emission trading pilot projects. This year, the governments
of Hong Kong and adjacent Guangdong Province moved to set up a pilot
emission trading plan that aims to reduce the amount of sulfur and other
pollutants pumped into the skies of the Pearl River Delta.

Last month, the South China Morning Post, a Hong Kong newspaper,
reported that the China Beijing Equity Exchange had well-advanced plans
to set up the mainland's first national exchange for trading pollution
quotas, providing potential
competition for Hong Kong.

''We have finished initial research and consultations with overseas
emissions trading bourses concerning the proposed Beijing Climate
Exchange,'' the newspaper quoted Peng Zhiyuan, the exchange's general
operating director, as saying.

But industry representatives and analysts say there has been slow
progress in China to a full emissions trading system because of
institutional weaknesses like poor enforcement and monitoring.

K. K. Chan, the managing director of renewable energy at the Hong Kong
electricity company China Light and Power, said that in order to set up an
emissions trading system that linked the mainland and Hong Kong, govern-
ments would have to ensure a ''level playing field.''

''Hong Kong and the mainland have different standards,'' he said. ''They
even have different standards in terms of monitoring pollution. So the
starting points are quite different.''

That might pose some challenges to any ambitions the Hong Kong Stock
Exchange might have to offer emissions trading.

Raufer said an emissions trade that started by focusing on the air quality
problem facing Hong Kong and its neighboring region on the mainland was a
potential stepping stone.

''It might well be that you start locally because there is real problem here
locally,'' he said.

''If you get these markets up and running, ultimately you can move into
carbon, which as a global commodity is going to be huge. Some people say
carbon is the next oil in terms of commodities.''


(ヘラルドトリビューン12月12日分より)



  題名の通り、何やら香港で、「排出権取引」なるものを始めようとしているようです。

>The board of the exchange is due to weigh a proposal Wednesday for a pollution emissions trading system that could serve as a financial platform for mainland China and other Asian countries entering a burgeoning new business.

  the boardというのは、「香港証券取引所」の役員会のようです。そこが、「汚染物質排出枠の取引システムに関する提案を重点を置いて」おり、それが「大陸中国や他のアジア諸国に新しいビジネスを売り込むための枠組みになるだろう」ということです。

>For one of the region's leading financial centers, emissions trading is a
potentially valuable new kind of product. Estimates of the size of the global
emissions trading market by 2010 vary between $40 billion and $100 billion.

  香港は「アジア地域の金融センターの一つ」ですが、「排出権取引(emission trading)」はその新しい商品になるだろうと行っています。この取引の「地球規模での取引高が2010年までに400億ドルから1000億ドルになる」と言われているからです。
  排出権取引というのは、工場などが大気中に放出してよい気体の量を、排出量が少ないところが多いところに売るという形で売買することです。排出というのは、多くの場合「温暖化ガス(二酸化炭素など)」を指していますが、後で見るように、硫黄などの大気汚染物質についても行われています。日本円に換算すると、だいたい4,4兆円から11兆円ですから、かなりの市場ですね。そして、今後このような取引の規模はどんどん増えていくでしょう。
  実際問題、すでにシカゴとロンドンには「気候取引所(Climate Exchange)」などというものが設立されています。シカゴ気候取引所については●こちら(PDF)を、ヨーロッパ気候取引所については●こちらのリンクをご覧下さい。


>A team of consultants, led by the law firm Mallesons Stephen Jaques, worked
on the four-month feasibility study for the Hong Kong Stock Exchange. They
say the city's financial strengths and its proximity to the mainland mean it
has the potential to become a regional, and possibly global, leader in emissions trading.

  「メイルソン・ステファン・ジャックス」という法律事務所のコンサルタントたちによると、香港は「排出権取引については、アジア地域の、もしかしたら地球規模で排出権取引の主導権を握ることができる」かもしれないということです。

>Raufer, who has advised the United Nations and World Bank, said there was
compelling evidence from around the world that putting a price on pollution
under an emissions trading program hastened the speed and efficiency of
the environmental cleanup.

  International Environmental Trading Groupというアメリカ企業のコンサルタントであるローファーという人物は「国連や世界銀行にもアドバイスしている」ようですが、彼によると、「排出権取引の仕組みのもとで汚染物質に対価がつくことによって、環境の浄化が効率よく進むことになる」のだそうです。

>There is no doubt that Hong Kong has a huge problem. Roadside pollution
on an average day in the busiest parts of the city is several times the
levels deemed acceptable by the World Health Organization.

  「香港が(環境に関して)大きな問題を抱えていることは疑う余地がな」く、たとえば「もっとも車の往来の激しい市街での大気汚染の度合いは、世界保健機構が許容範囲だとしているレベルを数倍も上回っている」ということです。
  香港がこれですから、上海など揚子江河口の地域もものすごい大気汚染なのでしょう。●こちらの国立環境研究所のウェブページにある画像を見てもらえれば、その大気汚染が上空の偏西風に運ばれて、酸性雨という形で日本を襲っているのがよくわかります。
  こういうことに文句を言えないから、私はグローバリゼーションに反対だと言っているのです。

>Still, the advocates of emission trading say there is ample evidence that using
free market incentives to reduce air pollution lets governments demand cuts to
emissions faster and more effectively than by simply imposing limits on
emissions in isolation.

  どうせなら即効性のある排出規制をしたらいいではないか、という声もあるのですが、「排出権取引導入に肯定的な人びとによると、フリーマーケットの元では大気汚染を削減するというインセンティブ(導因)が働くため、ただ規制を課すよりも速く、効率的に汚染物質の排出をカットすることになる」ということです。

>Environment officials in China have noted such success and embarked on
several emission trading pilot projects. This year, the governments of Hong
Kong and adjacent Guangdong Province moved to set up a pilot emission
trading plan that aims to reduce the amount of sulfur and other pollutants
pumped into the skies of the Pearl River Delta.

  中国当局によると、どうやら「試験的に排出権取引をいくつかの場所で始める」ということで、「今年は香港と隣にある広東省が排出権取引の試験的導入を行い、そこでは珠江デルタ地域における硫黄などの大気汚染物質の削減を目指す」そうです。
  日本語でこの辺を知りたい方は●こちらのリンクをご覧頂くと概要が出ています。

>Last month, the South China Morning Post, a Hong Kong newspaper, reported
that the China Beijing Equity Exchange had well-advanced plans to set up the
mainland's first national exchange for trading pollution quotas, providing
potential competition for Hong Kong.

  しかし、どうやら香港ばかりでなく、北京でも「中国全域での排出枠の取引所」が設立されるようで、「香港の競争相手になりうる」ようです。●こちらの北京週報の記事を見ていただくと、国連の機関であるUNDP(国連開発計画)もこの北京取引所設立に絡んでいることがわかります。
  私は家にテレビがないのでわかりませんが、こういうことが、日本のメディアではきちんと報道されているのでしょうか?まあ、私は「国際化」などというものを素晴らしいものだとは少しも思っていませんが、こういう記事を読むと、日本で一番国際化が遅れているのはマスメディアだということを実感します。
  人にグローバル化だの国際競争力だの洗脳めいた言論をふりかざすなら、まずはてめえがグローバル化に対応しろ、と言いたくもなるというものです。

>But industry representatives and analysts say there has been slow progress
in China to a full emissions trading system because of institutional weaknesses
like poor enforcement and monitoring.

  「しかし、産業界の代表やアナリストによると、中国では排出権取引導入のスピードが遅い」ようで、その原因は「限度枠を履行させたり、排出量をモニターしたりする機構が弱い」からなのだそうです。
  ようするに、排出権取引で儲けたがっている人びと(=国際金融資本)が、中国に「もっとちゃんとした検査やモニタリングをやれる部署を作れ」と言っているのです。

  こういう時に、中国という国なら何を考えるかわかりますか?

  このブログをご覧になっている皆さんなら、だいたい想像がつくでしょう。そうです。そういう面倒くさい役割は「日本にやらせる」ということです。
  中国への環境対策目的の援助というのは、こういう文脈で行われているのです。つまり、国際的な金融資本が中国で合法的に金を搾取する枠組み作りを、技術を持っている日本がやらされるというわけです。
  これで儲かる日本側の経済主体は、技術導入や設備投資を取り次ぐ「商社」だけです。そいつらの利益は、結局日本人の税金によって支えられるわけで、こんなにばかばかしいことはありません。外国への援助というのは、商社や輸出企業、さらには外国資本を儲けさせるための「バラマキ」にすぎないのです。
  税金が還流するので100%日本人が受益者になれる日本国内での「バラマキ」を、まるで極悪犯罪人のように敵視する人がいますが、そういう人は完全に踊らされています。いい加減目を覚ますか、もっと海外で行われていることに目を向けてください。まあ、そういうことができないから、マスコミや小泉政権が設定した「敵」を叩くことしかできないのでしょうが・・・。

  まあ、何しろこういうニュースを見て、私は「京都議定書って、こういうことのために作られたんだぁ」と、妙に納得してしまいました。

  自然を大切にしようという気持ちが他の諸国に比べて断然高いレベルにある日本人には、みんなで我慢すればすむ排出量削減を、いちいち金儲けの道具にしてしまう感覚は理解できません。一部の人間(日本では「役人」と「商社」)だけを利するような枠組みには参加せず、「燃料電池」「海洋温度差発電」さらには「森林破壊や水資源枯渇を招かないバイオマス」といった、本当に地球や人類のためになる技術の発展に力を入れるべきです。

<参考記事>

●大地と水と人を殺す「バイオエタノール」は不要だ!!


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EDIT  |  10:39 |  生活(環境・エネルギー・衣食住)  | TB(2)  | CM(4) | Top↑
2007.12.14(Fri)

【中朝ロ】これからは「沿海州」の時代? 

  このニュースは面白いです。

[経済] ロシア極東経済特区の建設、中国企業に機会提供
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news5/071126-2.htm
--------以下引用--------
終わったばかりのロシア 《中国年》活動から伝わって来た情報によれば、ロシア政府はウラジオストク市近郊の通商口に 《経済特区》を設立し、大規模な海外投資の誘致にて、この地域をロシア経済の東の大門として建設することになる。

黒龍江省社会科学院東北アジア研究所所長・宋魁は 《ウラジオストク経済特区の建設は中国企業に巨大なビジネスチャンスをもたらしてくれるだろう》と指摘した。

ウラジオストクはロシア沿海州地域の行政、工業、文化、商業の中心で、三方が海に囲まれている都市だ。

ロシア政府は 2007年以内にウラジオストク以外に、西北地区、西部地区、黒海地区など 4つの新型の通商口経済特区を建設し、今年年末前に通商口型経済特区の入札を完了しようと計画している。

宋魁は、ウラジオストク経済特区の建設は、豊かな建設経験を蓄積した中国企業にとって、絶好の創業機会を提供するだろうと述べた。

ロシア政府は計画により、ウラジオストクに飛行場を建設し、道路を修理することになり、このようなインフラ投資計画は今後 3年以内に完了することになる。 これと同時にロシアは 《沿海州と東シベリア地域にもいくつかの経済特区を建設》して、良好な投資環境を構築することになる。

宋魁は、ウラジオストク経済特区の建設はまだ始まったばかりであり、ロシア政府は今後何年かの内に大量の 《オイルマネー》を稼ぎ、沿海州地域のインフラ建設に投入することになると明らかにした。

宋魁は、これは中露貿易で何年もの間、辺彊貿易を主としていた局面を打開する上で助けになるだけでなく、中国企業のロシア進出において最も良い投資機会を提供することになるだろうと述べた。
--------引用以上--------

  ウラジオストクの場所を確認しておきましょう。

極東ロシア


  ウラジオストクがある日本海沿岸の地方はプリモルスキー(沿海州)と言われています。このブログでも何度か取り上げた「中国東北部」と隣接する地域というのがおわかりでしょうか。

  ウラジオストクは「極東のヨーロッパ」とも言われる場所で、シベリア鉄道の起点になっている駅です。ちなみに、モスクワとは約1万キロ離れています。
  この地域の発展は、ウラル山脈の西側である「ヨーロッパ・ロシア」に比べるとかなり遅れていると言われています。気候条件が厳しいのと、単純に首都から遠いからです。
  しかし、近年、シベリアの豊富な天然資源と結びつけて、この辺を経済開発の目玉にしようという動きも出てきています。上の記事は中国初の「希望的観測」とも理解できるのですが、以下の記事でも取り上げられています。

ウラジオストック開発にプーチン政権が本腰
http://www.melma.com/backnumber_45206_3829374/
--------以下引用--------

  中国主導の「東アジア共同体」、日中朝の「日本海経済圏」をつよく牽制へ
****************************************

 2012年、ウラジオストックでAPEC首脳会議の開催が決まっている。
 正式に露西亜は39億ドルの投資を決めており、年内に13億ドルがウラジオストック開発に注がれる。
ウラジオ空港の拡充と港湾整備、つぎにアルミ精錬所プロジェクトの実現、原子炉建設、さらに備蓄基地。
おどろくのは沖合ルスキー島にリゾートを建築するという不動産プロジェクトまで含まれていることだ。
「つぎの六年間に141億ドルを経済発展貿易省が約束している」(『ユーラシア・デイリー』、9月18日付け)。

 朝鮮の清津(ラジン)港開発は、北朝鮮でなく、中国が租借した上での開発を急いでいる。
 これは日本が「日本海経済圏」などと囃されて、中国が露西亜国境に「経済特区」をひらき、ロシアのポシェット港へ鉄道で繋げると言っていた時代(十年ほど前まで)、清津港の開発を、まさか、中国が行うとは考えていなかった。
 
嘗ての「日本海経済圏」構想は、事実上振り出しに戻っていた、と考えた方がいいだろう。

 ロシアの巻き返しは、プーチン政権の経済政策が、あまりにEU偏重であることへの極東からの反発と、取り残された極東シベリアに眠る資源開発に、ふたたび関心があつまってのプーチンのUターンが重なっている。

 アジア太平洋の時代と騒がれて、ロシアが極東開発へおもい舵取りをしたのは、じつはプーチン政権からである。

 ▼ 総予算が787億ドルとなると大法螺に聞こえるが。。。

プリモール県知事のセルゲイ・ダルキンは、APECウラジオ会議の重要性を突破口に、各種大プロジェクトの誘致に成功した。
 ダルキン知事は、APEC準備に58億ドルという途方もない予算を要求し、「こうしなければシベリア、極東から人口はますます減少するだろう」と警告を忘れなかった。
 漁場基地の拡充も、ことさらのように付け加えられた。

 さらにダルキン構想では、造船所を建設し、ウラジオストック周辺を一大「経済特区」へと生まれ変わらせ、アジア太平洋時代に対応するというもの。

かれの構想に従えば、「総予算は787億ドルにも達するが、地域GDPは2020年までに現在の六倍になると見積もられる」と豪語した。(インターファックス、9月10日)。
--------引用以上--------

  この記事の見方が面白いのは、ロシアの沿海州開発を単純な経済的動機ではなく、中国との主導権争いととらえていることです。

  実は、ウラジオストク周辺が、つい最近まで「中国領」だったということはご存じでしょうか。

  正確に言うと、1910年まで中国を支配していた「清」王朝の故地が、この近辺なのです。清は女真という民族の王朝で、かつては「金」(中国語の発音はjingなので清と同じ)という王朝を作り、華北一帯を支配したことがあります。その後、元や明といった王朝の支配を受けますが、万里の長城の外で、シルクロードという地政学上の急所から外れた地区にいたため、ゆるやかな支配に止まりました。
  沿海州やアムール川近辺が中国とつながっていたのは、清という異民族王朝が支配していたからなのですが、この地域は19世紀に入ってロシアからの激しい南下圧力を受けることになりました。ロシアの支配が決定的になったのは、1860年の「北京条約」です。イギリス・フランス連合軍と清が戦った「アロー戦争」という戦争の仲介を、ロシアが買って出たので、その「手数料」として、沿海州を割譲したのです。
  いわば、帝国主義によって奪われた領土ともいえるわけで、ただでさえ「中華思想」で自意識が尊大な中国には、ある意味屈辱でしょう。

  では、このウラジオストク経済特区と、それに続く極東開発で、日本がすべきことは何か?

  このブログをご覧になっている方なら、こういう時に私はいつも「大陸に権益を持ってはいけない」と言っていることを思い出すでしょう。
  基本的にその考えは変えるつもりはありませんが、この構想に限っては「ロシア主導の経済開発に手を貸すべき」と断言します。
  理由は簡単で、そうすることが各国の力関係の維持、すなわちパワーバランスの面からみて一番妥当だからです。宮崎氏の記事にもあるような中国主導の「東アジア共同体」などというものが出来てしまったら、ただでさえ膨張している中国が勢いづくのは間違いありません。これ以上中国が軍事力を拡張すれば、いずれは朝鮮半島併合、次は沖縄、などという風に、やがて日本に魔の手が及ぶのは間違いありません。
  地政学的に見ても、13世紀に似たような状況がありました。モンゴル系の「元」王朝が、金と宋(淮河以南にいたので「南宋」とも言う)を滅ぼし、高麗とベトナムを支配下に置いて、日本をのぞく東アジアを征服したことがあります。つまり、「大陸に敵なし」の状態になったわけです。その後、「元寇」といって、二度にわたる日本への侵攻が行われたことは、みなさんもご存じのはずです。
  あのときは対馬と壱岐がやられるだけで、水際の攻防に日本の御家人が勝利しました。なにより、北条時宗という毅然としたリーダーが存在し、元の軍門には下るまいという意思表示をきちんと行うことができました。
  
  では、今の東アジアに「元」が登場した時、日本に北条時宗が出てくるでしょうか?

  今の政界を見てみると、それが望み薄なことに気づきます。それどころか、自民党にも民主党にも、「媚中派」とかいう連中がウヨウヨしているのに気づくでしょう。代表格は●「東アジア共同体」を熱心に提唱されているチンパンジー似のこの方です。公明党に至っては、政党自体が中国の犬みたいなものです。
  そういう状況ですから、「東アジア共同体」を推進しながら、しかも日本の都合の良いように持って行くのは非常に難しいのです。

  そのためには、中国を牽制する力のある勢力、具体的に言えば「北朝鮮」と「ロシア」を中国にぶつけるしかありません。日本が単独で中国を封じ込めるには、原子力潜水艦や核ミサイルがどうしても必要になります。こういうものを日本の今の制度で導入するのは難しいでしょうし、だいいちアメリカがやすやすと許すとは思えません。 
  ロシアを調略して、日本の思い通りに動かすのは、日本の情報力やコネクションではまず無理です。そうだとすれば、相手の用意した機会を利用するしかありません。
  ロシアは、沿海州という土地を手放してもいいなどと思っているはずがありません。ここを落とせば、太平洋への窓がなくなるだけでなく、後背地のシベリアが中国の圧力に晒されることになるのです。淡水が枯渇し、●資源のために大量虐殺を支援している悪徳国家が、シベリアを狙っていないはずがありません。げんに、シベリアには少なからぬ中国人労働者が入り込んでいます(上の地図にある「ハバロフスク」など中国人だらけ)。
  ロシアのその部分の動機だけは絶対に変わることはありません。どんな駆け引きをしても動かない「オセロの角」なのです。そうだとすれば、日本はそこを使っていくべきです。

  それに加えて、もう一つの牽制勢力である北朝鮮を巻き込むには、「沿海州開発に中国の朝鮮族および北朝鮮の朝鮮人労働力を使う」という手があります。
  ●こちらのリンクにもあるように、中国の朝鮮族のかなりの数が韓国への「訪問就業」に従事しています。また、北朝鮮にも、「ケソン工業団地」に代表されるように、いくつか工業地域があるほどです。
  これを、なんとか沿海州に持ってこられないものでしょうか?こういうときのために、「在日朝鮮人」という連中がいるように思うのですが・・・。

  ともかくも、この地域の情報は今後も見逃せませんね。

<参考記事>

●地政学を勉強してみよう(3)
●地政学を勉強してみよう・追補
●韓国が中国に飲み込まれる日

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EDIT  |  10:25 |  ロシア  | TB(1)  | CM(6) | Top↑
2007.12.13(Thu)

バルカン半島は、今も「世界の火薬庫」だ!! 

  最近取り上げていなかったので、ロシア関係のニュースを二つほど拾ってみました。

欧州通常戦力条約、ロシアが履行停止
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20071213AT2M1102Q12122007.html
--------以下引用--------
 ロシアが12日、欧州各国の通常兵器の保有上限を定めた欧州通常戦力(CFE)条約の履行を停止した。北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大や米国が計画する東欧へのミサイル防衛(MD)施設配備への反発が背景にあり、ロシアを条約にとどまらせようと米国が示した妥協案を拒否した。軍備増強をちらつかせ欧米諸国を揺さぶる狙いだ。

 ロシア側は具体的に条約が規定する戦力の報告義務や監視団の受け入れを拒否すると表明している。ラブロフ外相は「大規模な戦力増強の計画はない」とする一方、「西側の対応次第だ」とも述べ、米国のMD配備やグルジアやウクライナなど旧ソ連圏へのNATO拡大の動きをけん制。8日に弾道ミサイルの発射実験を行うなど威嚇行動も繰り返している。
--------引用以上--------

  従前からチェコへのMD(ミサイル防衛)を巡っては、米ロの間で激しい対立がありましたが、ついにロシアが「切れた」ようですね。
  ちょうどNATOが東欧に拡大した頃は、ロシア経済はどんぞこで、出稼ぎに北海道に来る「ダンサー」がたくさんいた時期でもありました。ところが今や、天然資源の価格高騰を受けて、ロシアは歳入を大幅に増大させ、昨年には対外債務を完済してしまうほどです。
  中国を見ていてもそうですが、経済の裏付けがあると、強気の政策が採れるといういい見本です。

  実はロシアの外交は、もう一つ別のところでかなり活発な動きを見せています。

コソボ独立阻止へ活発 ロシア外相、EU切り崩し
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2007121202071453.html
--------以下引用--------
 国連暫定統治下にあるセルビア南部コソボ自治州の独立を阻止しようと、ロシアが欧州連合(EU)への工作を活発化させている。コソボの最終地位問題では、EU主要国は独立支持を打ち出したい構えだが、加盟国には異論もある。そのEU内の亀裂に、ロシアはくさびを打ち込もうとしている。

 ロシアのラブロフ外相は十日、キプロスを訪問した。キプロスはEU加盟国ながら、コソボ独立に慎重な立場を取る。トルコ系住民との間で領土の分裂問題を抱えるキプロスは、国連安全保障理事会の決定に基づかないコソボの独立には、素直にうなずけないためだ。

 ラブロフ外相は、パパドプロス・キプロス大統領との会談後、「コソボ独立はバルカン半島や世界各地に連鎖反応をもたらす」とけん制した。

 その足でブリュッセルへ向かったラブロフ外相は同日夜、EUのソラナ共通外交・安全保障上級代表と会談。EUがコソボの警察力強化に追加支援を行う方針であることに対しても「新たな安保理決議が必要だ。一方的な解釈は極めて危険だ」とくぎを刺した。

 実際、十日にブリュッセルで開かれたEU外相理事会では、大方が独立を容認する中で、キプロスのほか、バスク問題に手を焼くスペインも「一方的な独立が成功したためしはない」と反対を表明。スロバキア、ギリシャも慎重論を唱えた。このため結論はまとまらず、議論は十四日のEU首脳会議に持ち越された。
--------引用以上--------

  コソボ・・・というのをもうすっかりお忘れの方も多いと思いますので、地図を出しておきます。

コソボ周辺


  旧ユーゴスラビアの中でも、コソボ自治州というのは非常に特殊な位置づけでした。セルビア人主体のユーゴの中で、アルバニア人の人口が9割を占めているのです。しかも、この場所では「コソボの戦い」といって、強国オスマン・トルコを相手に、セルビア王国が絶望的な戦いを挑んだことがあり、民族の聖地となっています。
  当時は、ユーゴ政権によるアルバニア人「弾圧」ばかりがクローズアップされました。「民族浄化」だとかいう不穏な言葉も飛び交っていました。そして、これに対するNATOの介入を、「世界で初めての人道による介入だ」などと褒めていた人間(たとえば●講演の度に自分が掘り当てた油田のバレル数が違う(笑)国際ジャーナリスト)も結構いました。

  しかし、地政学の視点から見ると、そんなことをアメリカや西欧諸国がすすんでやるわけがありません。以下の引用が「コソボ介入の本当の理由」です。

コソボに米軍の秘密収容所?
http://y-house.web.infoseek.co.jp/inaka/earth/cuba/cuba.html
--------以下引用--------
2005年11月26日読売夕刊に25日付仏ル・モンド紙の記事が紹介されていた。コソボ自治州・州都プリシュティナの南に位置する米軍「ボンドスティール Bondsteel基地」内に、キューバ・グアンタナモ基地から移送された囚人を収監する秘密収容所が設置されている、というのだ。ここで、オレンジ色の服を着た15~20人の囚人を確認した、としている。
早速、「プリシュティナの南」という情報をたよりに飛んだ。

ヨーロッパの火薬庫と呼ばれ、多民族が入り乱れるこの地域は、チトーのユーゴー・スラビア崩壊後幾つかの国に分裂した。「コソボ自治州」はセルビア・モンテネグロにある。プリシュティナは隣国「マケドニア」寄りだ。山岳地帯だが峻険ではない。東欧の多くは低解像度画像だが、どういうわけかボンドスティール基地の半分は高精細だった。ズームアップしてゆくと、基地が鮮明に見える。戦闘ヘリが並んでいた司令部と思われる大きな建物の脇には数多くの兵舎が並んでいる。このどの部分が「秘密収容所」なのか判らない。世界の警察を自認する米国らしく共産圏以外の地域には必ずといっていいほどこうした米軍基地を見つけることができる。
--------引用以上--------
  
  同盟国でもない地域に、アメリカ軍が基地を持っている!!

  こんなことは、日本では全く報道されません。仮にもコソボはセルビア(ユーゴスラビア→セルビアモンテネグロ→分裂して現国名)の主権下にある土地です。紛争が多いから、「国連」の暫定統治にあることになっているのです。
  東欧の片隅で、西側のジャーナリストが立ち入らない場所で、アメリカが好き勝手やっているのがよくわかります。  

  まあ、このことの道義的な側面は置いておくとして、これをセルビア国民の立場になってみたらどう思うか。
  旧ユーゴ連邦の分裂の際には、分裂を図るクロアチアをさんざん支援し、コソボ問題ではあることないことメディアで書き立てたあげくに空爆(ある大統領のホワイトハウス内でのセックス・スキャンダルの隠蔽だったという噂もある)、そして、自国領であるはずのコソボに勝手に基地。

  「アメリカ死ね!!米軍出てけ!!」

  これが普通です。そして、アメリカ政府首脳やアメリカ国民は、こういう反応を甘く見すぎています。
  そこを狙って、ロシアがセルビアに手を突っ込んできたというわけです。ロシアは、セルビアとの間にFTA(自由貿易協定)を結んでいます。セルビアの経済規模は大変小さいため、実際はロシアが協定を通して経済面でセルビアをコントロールする可能性が高いと言えるでしょう。
  セルビアの隣接地域であるブルガリアやルーマニアさえEUに加盟するくらいですから、もちろんここも経済的にはEUが優位に立っています。セルビアの貿易の6割以上がEU相手の貿易です。しかし、逆にいえば、そういう地域に「明らかに反米」のセルビアがある意味は大きいと言えます。以前私が見たロシアの「プラウダ」という新聞にも、グルジアの大統領が「セルビアが裏切り者になる可能性がある」という発言をしたことが載っていました。

  では、ロシアはただ単にアメリカを妨害するためだけに、コソボの独立を反対しているのでしょうか。

  そんな暇な国はいません(笑)。こういう理由です。

ロシアからのパイプライン、完成は2013年
http://www.love-italy.net/lastampa/071207/01.html
--------以下引用--------
11月22日、ロシアのプーチン大統領は、クレムリン宮殿でプローディ首相と共に、Eni(イタリア炭化水素公社)とロシアの天然ガス会社ガスプロムが、ロシアから黒海を経て欧州へ天然ガスを供給するパイプラインを建設する合意に至ったことを発表した。ラインは黒海を経由しブルガリアで2本にわかれ、1本は南西ルートでギリシャ、イタリアのプーリア州に達し、もう1本は北西ルートでルーマニア、ハンガリー、チェコ、オーストリアを通る。

プーチン大統領は「建設は欧州へのエネルギー供給を保証するための重要な戦略的合意の成果」と述べ、EniのスカローニCEOとガスプロムのミラーCEOは、2013年から最高300億?のガスを供給できると説明した。プーチン大統領は「ヘリコプター部隊、高速道路建設、ソチ(ロシア)での冬季オリンピック施設のインフラなど、ロシア‐イタリア両国が協力して推進しているプログラムの一環である」と強調した。プローディ首相は「合意はエネルギー分野における両国の戦略的パートナーシップをより堅固なものとし、それ以外の分野での協力関係をも強めるだろう」と述べた。とはいえ、

パイプラインは複数の国を通るため、2国だけでは対応できず、関係国全ての協力が不可欠である。EU本部の協力も仰ぐ必要があるが、EUのピエバルグス エネルギー担当委員は「合意はロシアの欧州市場に対する深い関心の表れであり満足している」と早くも前向きコメントを出している。
--------引用以上--------

  ロシアの基本戦略は「価格高騰するエネルギー資源によって欧州を支配する」ということにあります。
  ロシアにとっては東欧自体が魅力的というより、西欧のエネルギー市場への輸送ルートとして見ているということです。特に狙っているのは、イタリア・フランス・スペイン・ドイツという人口の大きな国々です。

  さて、国名をよく見てみると、「チェコ」が入っているのはお気づきでしょうか。アメリカが、ミサイル防衛を配置しようとしている国です。これがミサイル防衛の意味です。チェコはアメリカのものであり、パイプラインを自由に敷設させはしないということを打ち出すためだったわけです。
  チェコとハンガリーに関しては、それぞれ●「プラハの春」●「ハンガリー動乱」という、自主独立運動をロシア人に武力で叩きつぶされた過去を持っています。この二カ国が「親ロシア」になることはおそらくないでしょう。
  これは、何も単に歴史教科書の上だけの話ではありません。最近私が見た映画に、●「君の涙ドナウに流れ~ハンガリー1956」というのがあるのですが、ソ連軍やソ連の水球チームがすさまじいまでの悪役として描かれています。あれを見てロシアを好きになる人間はまずいません。ハンガリー側はエンターテインメントを通じて、ロシアに屈しないという意思表示をしているのだと感じました。
  この二カ国にパイプラインを通すと、その反ロシア感情を利用されて、思わぬ妨害が入る可能性があります。
  そこで、ちょっと妄想ではありますが、「ブルガリア→セルビア→モンテネグロ→アドリア海→イタリア」というルートの天然ガスパイプラインを作るということを考えてみました。
  一応、それっぽい資料もあります。

地中海に軍事拠点の構築必要と、ロシア海軍総司令官
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200708030024.html(リンク切れ)
--------以下引用--------
モスクワ――ロシア海軍のマソリン総司令官は3日、同国軍が地中海に常時、兵力を配備すべきだとの考えを表明した。ロシアのインタファクス通信が報じた。黒海艦隊にとって地中海は戦略的に重要な海域と強調した。

ウクライナの黒海沿岸セバストポリにあるロシ軍港を視察した際に語った。北方艦隊、黒海艦隊の関与でロシア海軍は地中海でプレゼンスを保持すべきだと述べた。東欧でミサイル防衛計画を進める米国をけん制する狙いもあるとみられる。

地中海のどの港を想定にしているのかは不明。黒海からはトルコ・ボスポラス海峡などを通じて地中海へ抜けることが出来る。
--------引用以上--------

  どうでしょう。アドリア海や地中海にパイプラインを敷設するための布石だと思えませんか?

  ドイツやフランスじゃない国を籠絡してどうするんだ?とお思いの方もいるかも知れません。イタリアは、確かに治安もよくなく、勤勉とは言い難い国民性ですが、それでも世界で6番目の工業国です。ここが安い天然ガスで潤うとなれば、ドイツやフランスの国民がどう思うか。
  政界の汚職も多く、EUの主要国の中で最も隙があるのがイタリアです。まずここを攻め落とし、EUの中で「トロイの木馬」として動かす・・・天然資源が枯渇する今後の世界でなら、十分あり得ます。
  そのための布石、オセロ盤の角がセルビアであり、コソボなのです。こんな小さなところがなぜ・・・と思わないでください。バルカン半島は、いつでも西側(米欧)とロシアの戦場なのです。
    今後の注目は、アドリア海に面する「モンテネグロ」がどう動くかだと思われます。コソボの独立が回避されれば、おそらくロシアはここに工作をしかけて来るでしょう。

  ロシアがこの地域で優位になると、実は世界の逆側で大変なことが起きます。中国向けの石油・天然ガスの供給が大幅に削減されるということです。
  もうすでに、その兆候が現れてきています。

ロシア:中国への石油輸出量 07年は10%減か
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=1114&f=business_1114_003.shtml
--------以下引用--------
  ロシア駐中国通商代表部の関係者は13日、北京晨報の取材に対して「ロシアから今年、中国に輸出される石油は前年比で約10%減少するだろう」と語った。ロシアの中国への石油輸出量は2004年が570万トン、05年が760万トン、06年が1030万トンと毎年増えていた。
--------引用以上--------

  こちらの●「或る浪人の手記」様の記事を参照していただくとよくわかりますが、中国のエネルギー事情は相当悪化しています。なにしろ、自国製の武器をバンバン援助してまで「ダルフール問題」を引き起こしているほどです。もはや資源乞食といっても過言ではないでしょう。

  そこで、ロシアが「欧州向けの方が大事だから、中国へはちょっとしか売らないよ」などと言ってきたら?

  そのときが、日本を含めた中国の周辺国にとっての本当の危機の始まりでしょう。


  中東で手一杯であり、サブプライムローンのような「詐欺」でもしないと世界中から資金を集められないほど弱体化したアメリカは、果たしてバルカン半島で優位を保てるのか・・・私は正直疑問です。日本も、そろそろ自分の足でエネルギー調達や安全保障に乗り出さないといけないようです。

<参考記事>

● Россия - царь Газового Мира!(ロシアは天然ガスの皇帝)
●冷戦だ!!冷戦が再開したぞ!! (12月13日の追記あり)


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2007.12.12(Wed)

商人の歴史(6)~合理的国家を支える科挙 

  あの、話し言葉で・・・ということなんで、最初にちょっと余談しますが、許してください。
 
  私このシリーズ結構好きなんですよ。書いていくことで自分自身がものすごく勉強になるし、気合い入れてアホみたいにリンク引っ張ったりした記事よりも反響がいいんで(笑)。

  これはみなさんにもお勧めしたいんですが、どんなに稚拙でも構わないから、まずは自分なりの歴史の流れみたいなものを作ってみるといいんじゃないでしょうか。別にそんなたいしたもんじゃなくてもいいんです。事実誤認だったら後から直せばいいし、そもそも細かい事柄をいちいちフォローする必要はありません。
  私はだいたい中学1年生くらいから歴史というものに興味を持ってきましたが、若い頃の「覚えるのが楽しい」というところから、ずいぶん変わってきました。このシリーズが目指しているのは、暗記が苦手な人でも、歴史の「意味」を自分なりに作っていってもらうきっかけになることです。

  それじゃあ、始めましょう。前回は、中国の唐王朝の時代に本格的にできあがった「律令」という仕組みについて説明しました。この律令というのは、コメント欄でしょうたさんが面白いたとえをしてくれましたが、「西洋音楽の楽譜」と似ています。ルールに則ってプレーできれば、プレーヤーの生まれや文化的背景を問わないからです。
  律令を貫いているのは何かと言われたら、間違いなく言えるのは「合理主義」です。なぜ均田制といって、国家が土地を国民に割り当てるという仕組みを取るのか。その方が、領土を巡って争いが生じないので、合理的だからです。尚書省とかいう役所が存在するのは、中書省が作った勅命を伝えるためです。とにかく、律令の中にある仕組みには、全て必然性があります。
  こういう仕組みを導入すれば、唐という巨大な国を一つにまとめることができます。それは同時に中国を一個の商圏にできるということですから、権力者、つまり皇帝の周囲にいる御用商人にとっては非常にありがたいことだったでしょう。

  ところが、困ることがあります。この律令制度を忠実に動かしていくための人間がいないのです。

  日本みたいに貴族を使ったらどうなんだ?と思うかもしれませんが、そういうわけにはいきません。
  あと、中国の場合、だいたい戦乱を勝ち抜いて新しい王朝が生まれるもんですから、皇帝一家の補佐をやるような有力な貴族なんていうのは、おおかた皆殺しにされています。いつでも代打がいる状態では、天から統治権を授かる、すなわち易姓革命の論理が成り立たないからです。
  ここは同じランドパワー(大陸国家)でも、ロシアと違うところです。ロシアの場合、「モンゴル(キプチャク汗国)」や「カザン汗国」みたいな明確な敵が外部にいたので、内部での権力闘争に使うエネルギーを外部に放出できたのに対して、中国の場合は長城の中というリングが決まっているので、その中でバトルロワイヤルをやるしかなくなるんですね。もっとも、ロシアもソ連崩壊でエネルギーの外部放出ができなくなって、内乱みたいな状態になったことがあります。
  とにかく、そういう国では、二番手三番手を張れるような実力者を生かしておくと、いつ自分がやられるか分からないのです。だから、統一国家ができるときそういう有力勢力は軒並み殺害するか骨抜きにしてしまいます。

  そこで、使うことにした仕組みが「科挙」です。

  科挙は、要するに人材登用試験です。秀才や進士といった6科目を、2回に渡って行います。かなり過酷な試験だったようです。●こちら●こちら(続きになっている)に、その様子がよくまとめられているので、ご覧になっていただくと面白いです。

  科挙が導入されたのが、久々に中国での統一王朝が実現した隋王朝の頃だったというのは、興味深いです。行政組織をきちんと作ろうにも、手足となって働くのに適当な人間がいなかったということです。
  隋は、結局十分な人材を登用できないまま、30年くらいで幕を閉じましたが、この仕組みはきっちり唐に受け継がれました。大運河といい、科挙制度といい、隋は唐に多くのものを残していったことがよくわかります。
  この科挙ですが、「登竜門」だと言われていたというのはご存じでしょうか。この試験に受かると、竜になれるわけです。要するに、どんなに身分が低かろうと、受かりさえすれば一生政府の役人として高い身分を保障されたのです。
  そういう試験ですから、当然みんな受けに来ます。倍率は3000倍なんてこともあったようですね。合格者が500人しかいなかった頃の司法試験でもせいぜい70倍から80倍くらいの倍率ですから、どれだけすごいかよくわかるというものです。
  こういうことをいうと、すぐ「受験教育の弊害」だとか、まあ私みたいな職業の人間には耳に痛いことが言われるわけですが、はっきり言って日本の難関大学受験程度で弊害うんぬんなんて言っているようでは甘いです。科挙の場合小学生くらいから四書五経の丸暗記やら、答案の書き方を勉強し始めて、合格者の平均年齢が36歳です。70歳過ぎて受かっても親族一同でお祝いしたなんていう記録が残っています。一生を科挙に捧げるわけですね。
  そんな人間使い物になるのかよ、とか思うかも知れませんが、なるんです。というか、そういう風にして、ものごとを丸暗記するのがクセになっている人間の方が、むしろ律令体制にはフィットするんです。
  記憶力を試す試験というのは、必ず出題される範囲や内容が決まっているものです。その枠内でどうやって知識を覚えたり、使ったりするかという能力が問われるわけです。四書五経に書いてあることは、まあ確かに役に立つんだろうけど、誰が何をどういったか、その解釈にはこういう仕方があるなんていうのを、丸覚えしていても、少し場面が違うことが出てきたらたちまち通用しなくなってしまいます。
  これって、結局律令と同じなんですよ。現実の世界というのは、はっきり言って人間は生まれてきたら必ず死ぬことぐらいしか確実なことはないと思うんです。昔みたいに、科学的世界観が発達していない頃は、不思議なことだらけだったはずなんです。
  しかし、律令というのは違う。皇帝が治める中国という国はこうなっていて、こういう風に治められなければならない、という風に、あらかじめ決めつけてしまうんですね。普通は、現実にいろいろ起こってからそれに対処するということを人間はやっているんですが、そうではなくて、「世界はこうだ」と決めつけて、その中で自己完結させるのが律令という合理的システムなんです。
  はっきり言ってしまえば、一種のフィクション、ファンタジーです。近代国家というのもそうでしょう?権力を三つに分けてとか、議会が作った法律を根拠にして政治をするとか、いろいろやってますけど、これって考えてみたら変じゃないですか。「国家」とか「法体系」なんてものは、誰も見たことがないはずです。人間が考え出したという点ではフィクションです。
  そういうものを運営する時、人間関係だとか縁故だとか情愛とか、そういったものを優先させてしまう人間は邪魔なんですね。コネで採用するとか、かわいそうだから税金取るのをやめておこうとか、そういうことを必ずやってしまいますから。
  それなら、科挙で選んだ人間の方がいいわけです。科挙人間は勉強漬けで生きてきた人間から、個別の人間関係はともかく、律令だとか国家だとかいったフィクションがあると、それをまず忠実に覚えようとしてくれます。そして、それがあるべき姿だと思って、現実に反映させるようにがんばってくれます。

  善し悪しは別として、近代国家にはこういう「科挙官僚」が必要なんです。だから、近代になってもこれを真似した国があります。革命があった後のフランスです。今でもある仕組みなんですが、「グランゼコル」というのがそれです。まあ、特殊な大学みたいなもので、中に入ってからも科挙みたいなすさまじい量の勉強を課されます。昔は貧しい家の師弟がのし上がる手段だったみたいで、●こちらのブログの記事にそういう雰囲気をよく伝えてくれる記述があります。
  以前、●このシリーズの記事で私は、革命後のフランスというのは保守的な文化伝統がほとんどない国になったということを話しましたが、それとも関係があります。百年戦争だとか、絶対王政の時代は、フランスの官僚というのは貴族から供給されていました。しかし、この貴族というのはやっかいな存在なんですね。気位が高いし、いざとなれば自分の領地に帰って生活していくことができるので、なかなかコントロールできないんです。商人みたいにお金だけあって身分が低いひとたちにとっては、特にこの貴族出身官僚というのは鬱陶しくてしょうがないのです。
  だからフランス革命やって貴族をみんなぶっ殺して、「グランゼコル」を出た科挙人間を官僚にするようにしたという言い方もできるんです。何しろ、科挙人間は自分が学習能力で偉くなったという自負がありますから、システムとか法体系とかに異常なまでに固執してくれます。そして、ここがおそらく、多分一番大事だと思うんですが、合理的だと思ったことは制度として採用してくれるんです。
  唐の律令というのは、近代を生きている我々にとっては無駄が多い時代だなという感じがするんですが、当時からすればすさまじく合理的なシステムだったと思います。もちろん中国のことですから(笑)ボロはすぐ出ちゃったんですが、何しろ人間の感情や欲望を無視して合理的に国家が運営されるということを、あの時代にあそこまで追究できたっていうのはすごいことだと思うんです。もちろん、いいか悪いかは別ですが・・・。

  でも、すぐ感じるんじゃないですか。科挙にしろグランゼコルにしろ、「非人間的」な匂いがすると。何か、科挙人間って、人間と言うよりは、コンピュータみたいですよね。
  それは間違っていません。偏見だというそしりを覚悟でいいますが、科挙というのは、行政を担当する人間の人間性を抹殺するためのシステムなんです。合理的な世界観を植え付けて、人間を生まれ育った土地だとか、家族だとか、文化伝統から切り離して、為政者の命令通りに動くロボットにするということです。
  何のために必要かって?政治を担当する人間に反抗させないためです。科挙官僚が反乱を起こした話なんて、私は聞いたことがありません。フランスのグランゼコル出身者が暴動に加わったという話も聞きません。軍人という連中と、正反対の存在が科挙官僚なんです。
  もともと、律令が国籍や文化的背景を問わない「透明な」仕組みだったわけですから、それを扱う人間も「透明な」人間じゃないとダメだということです。自分流に解釈をしたり、地元を優先したりする人間はダメだということです。
  彼らは科挙官僚になる過程で、曖昧な判断だとかその場その場に応じたテキトーな行動を否定するようにしつけられていますから、官僚になった後も合理的「だとされている」価値観や仕組みを忠実に反映させる人間になります。だから、官僚というのは合理的だ合理的だと信じさせることができれば、要するに「洗脳」すれば、あとはそっちの方へ突撃してくれるんです(笑)。昭和初期の革新官僚とか、いまどきのグローバルスタンダードを盲信している若手官僚とか、みんなそういうパターンですね。
  だから、真の意味で政治を支配したいと思えば、科挙的官僚が「すばらしい、合理的だ」と信じるような仕組みなり雰囲気なりを作り上げてしまえばいいんです。「大学」と「マスコミ」さえ握れば、そんなに難しい事じゃないですよね。多分、昔イギリス、今アメリカといった国々、ていうか、そういう国々を支配している商人(たとえば、●こういう連中)は、そうやって日本を含めた後進国を動かしているんじゃないでしょうか。ああ、この一家の話は、しばらくしたら独立して扱うかも知れません。
  
  ともかく、律令という合理的世界観と、それを支える透明人間である科挙官僚を備えた唐というのは「世界史上初めて生まれた近代国家」だと言っても過言ではありません。

  しかし、それが国家として本当にうまくいくのか、ということはまた別の話です。

  「律令」「科挙」以外にも、唐が繁栄し、また滅んでいった要因がありました。それが「辺境防衛」です。

  ずいぶん長くなりそうですね。多分、こんな感じでダラダラ続いていきます。続きをお楽しみに。

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2007.12.11(Tue)

前原誠司は「トロイの木馬」である 

  参院で第1党となった民主党ですが、敵である自民党が日本の国内経済を壊滅状態に追いやっているのを一応理解しているようです。

消費税「完全目的税に」・民主税制改正大綱骨格
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071211AT3S1001L10122007.html
--------以下引用--------
 民主党税制調査会(藤井裕久会長)は10日、2008年度税制改正大綱の骨格をまとめた。消費税を「最低保障年金」の財源として目的税化するほか、地方財政制度を見直して人口が少ない地域ほど補助金や地方交付税を手厚く配分する。租税特別措置(租特)は政府案の修正で考えを反映させる。「生活第一」の政策に重点を置きつつ、与党との対決色をにじませた。
 藤井氏が10日、日本経済新聞の取材で明らかにした。民主税調は与党が13日に税制改正大綱を固めるのを踏まえ、来週以降に大綱を公表する段取りで議論を加速させる。
--------引用以上--------

  しかし、上のような案に不満がないわけではありません。大衆課税である消費税を、「最低保障年金」の財源にしても、低所得者から別の低所得者へお金が回るだけ(金持ちは個人年金や運用利益があるから)です。なにより不満なのが、「税率は3%から上げない」ということを明言していないことでしょう。つまり、民主党税調の主張も、経団連が繰り返し提唱している「消費税率を段階的に引き上げて16(17)%に」というテーマと矛盾はしていないわけです。
  ここに、民主党という政党の最大の弱点があると思うのです。自民党を徹底的に攻撃するには、彼らのグローバリスト優遇策、すなわち「輸出依存企業」「外資・金融資本」「商社」などを優遇する一連の政策に徹底して反対するのがもっとも早道なのですが、それがなかなか貫けない。
  おそらく、民主党という党自体、内部が大きく二つに分裂しているのだと感じます。その分裂を引き起こしている犯人は、

  「前原誠司」

  だと断言しても差し支えありません。

  一応紹介しておきますが、前原誠司は小沢一郎代表の前に民主党代表を務めていた人物です。経歴は、●こちらにありますが、この政治家のパーソナリティーを理解するためのポイントは「松下政経塾出身」という点と、「勤労経験がない」という点でしょう。

  それはさておき、とりあえず前原議員に関するニュースを二つ見てみましょう。

武器輸出3原則緩和を・民主前原氏、共同生産や開発視野に
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071210STXKA005309122007.html
--------以下引用--------
 民主党の前原誠司副代表は9日のフジテレビ番組で、武器輸出三原則を緩和する方向で見直すべきだとの認識を示した。当初の三原則は(1)共産圏諸国(2)国連決議で禁止した国(3)紛争当事国―が対象だったが、三木内閣が適用範囲を拡大し武器輸出を事実上禁じた事実に触れた上で、当初の三原則が望ましいとの考えを強調した。

 その理由として、武器に関し「これから(各国の)共同生産、共同開発が主流になる。同じものを皆が配備するのは互いの信頼醸成になる」と指摘。「そういうもの(枠組み)に入れないような、ハードルが上がった今の三原則は見直すべきだ」と述べた。
--------引用以上--------

民主・前原氏、首相問責提出に慎重
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071210AT3S0900810122007.html
--------以下引用--------
 民主党の前原誠司副代表は9日のテレビ朝日番組で、与党が給油新法案を衆院での再議決で成立させた場合に福田康夫首相の問責決議案を野党多数の参院に提出するかどうかについて「慎重であるべきだ。(首相が衆院を)解散してもよいという覚悟がないと出してはいけない」と述べた。

 同日のフジテレビ番組では武器輸出三原則を緩和すべきだとの見解を示した。「これからは(米国などとの)共同生産、共同開発が主流になる」と指摘した。
--------引用以上--------

  前原は以前から「タカ派」として知られており、防衛政策についてはむしろ自民党内の好戦的勢力(たとえば安倍晋三)と近いものがあります。石破茂防衛大臣とは雑誌で何度も対談しており、「中国は脅威だ」という発言までしています。
  まあ、言ってみれば、山田洋行みたいな連中に頭を撫で撫でされる要素は十分に持っていたわけです。マスコミが全然追及しませんが、この人もそういう筋から便宜を計らってもらっていたかも知れません。状況証拠は以下のニュースです。

防衛関連団体の理事退任 民主・前原副代表
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071206/stt0712061757001-n1.htm
--------以下引用--------
 民主党の前原誠司副代表が、防衛商社「山田洋行」をめぐる不正経理事件で逮捕された元専務の宮崎元伸容疑者が昨年まで理事を務めていた防衛関連の社団法人「日平和・文化交流協会」の理事を退任していたことが6日、分かった。

 協会のホームページによると退任は5日付。前原氏の事務所は「8月末に党副代表に就任する際、退任を申し出ていた」と説明している。民主党議員で理事を務めていたのは前原氏だけだった。同協会の秋山直紀専務理事は安全保障関係議員に広い人脈を持つとされる。逮捕された前防衛事務次官の守屋武昌容疑者は証人喚問で、久間章生元防衛相や宮崎容疑者との宴席に秋山氏が同席していたと証言した。
--------引用以上--------

  団体名からして、アメリカの軍需産業とのつながりも感じますね。

  さらに、福田首相の解散の意志に配慮したかのような「問責決議しちゃだめ」発言までしています。建前としては解散総選挙につなげられるように効果的なタイミングを図れ、ということなのでしょうが、そういうことを言ってくれる人間が民主党内で一定の勢力を保っていると、参議院でただでさえ法案審議を妨害されている自民党・公明党には非常に助かります。

  そして、何より重要なのが、この記事を紹介しているのが「日本経済新聞」だということです。
  はっきり言っておきますが、この新聞は「グローバリストの広報誌」です。消費税は上げて当然という姿勢を隠しませんし、外資が企業乗っ取りに使えるようアメリカが年次改革要望書でねじ込んできた「三角合併」についても批判らしい批判は全くしません。はては、どう考えても●好景気ムードを捏造するような記事まで書いています。
  こういうメディアにとっては、今の自民党政権が続いてくれる方がいいのであって、自民党の構造カイカク路線に対して同調的で、日本の軍需産業を応援する(笑)前原のような人間は非常に都合が良いのです。

  しかも、前原は相当な「タカ派」です。どっかの国を不用意に脅威だと口にしたり、防衛予算はどんどん増やせと言ったり、あげくは、党代表を公然と批判して●独自の軍事行動をやろうと提唱したり、まあ表面的には非常に勇ましいオボッチャンという感じです。何か、安倍晋三と相通ずるものを感じるのは私だけでしょうか。
  自民党政権を正当化することしか頭にない「ネット右翼」や「自称保守」が、この前原を褒めちぎるのはこういう理由があるからです。
  
  この前原が、「松下政経塾」出身だということは、非常に重要です。
  当たり前ですが、この団体は、松下電器産業を作った「松下幸之助」の思想がベースになっています。その思想を簡単に言ってしまうと、
  こちらのリンクに面白い分析があります。

日本を滅ぼす松下政経塾(経済コラムマガジン)
http://www.adpweb.com/eco/eco217.html
--------以下引用--------
実際、松下幸之助氏は経済学者グループに「税金のない国家」の構想を作ることを要請した。この作業の結論が「日本再編計画ー無税国家への道」と言う書籍である。

 (中略)

松下政経塾イズムの考え方のもう一つの問題点は、収入(税収)と支出(財政支出)をタイトに捉えることである。したがって全ての財政支出に財源の裏付けを求めることになる。これまでは財政を赤字にすることによって、マクロ経済において民間の需要不足を補うことを行ってきた。しかしこれが日本の過剰貯蓄の一つの解消方法であった。松下政経塾イズムは、政府のこの機能を否定しているのである。
--------引用以上--------

  松下政経塾以外社会人経験がなく(笑)、何かといえば恩師である高坂正堯の文章を引用して格好つけたがる(笑)そんな前原クンが、小泉政権の郵政民営化を「徹底していない」と、さらに過激な民営化策を打ち出したのは、こういう思想が背景にあったからです。
  まあ、一言で言えば、「世間知らずの権威好き」、要するに民主党版安倍晋三です。安倍晋三の方が、父の秘書やら神戸製鋼でのサラリーマン(何をやっていたかは不明)をやっていた分だけまだマシかも知れません(笑)。


  さて、一つ疑問があります。どう考えても「自民党清和会」や「小泉チルドレン(笑)」辺りがお似合いな前原クンが、なぜ民主党にいるのでしょうか?

  理由は簡単で、前原クンは自民党の別働部隊なのです。

  こういうのを、「トロイの木馬」と言います。トロイの木馬というのは、古代ギリシアの叙事詩「オデュッセイア」に出てくる巨大な木馬で、中に人が隠れることができるようになっています。難攻不落の町だったトロイアは、この木馬を中に導き入れてしまい、トロイア側が勝利の美酒に酔っているうちに、中に隠れていたオデュッセウスらが味方を城内に引き入れたという筋書きです。
  まさに、孫子「謀攻編」そのままに、戦わずして勝つことができるわけです。正面決戦のために軍備を整えるより、こういう木馬を作る方が、結果的には安く済む上に、失敗した時の犠牲も少なくていいのです。
  興味深いのは、木馬を市内に引き入れる場面です。あまりにも大きいので、トロイアの自慢だった城壁の門を壊してしまおうという提案があったとき、ラオコーンとカサンドラという人物が反対するのです。そうすると、なぜか海から二匹の大蛇が出てきて、ラオコーンとその息子を絞め殺してしまいました。これを見て、市民も考えを変えて、やっぱり木馬を引き込もうということになったのです。
  つまり、トロイの木馬は、それ単体ではなく、側面から支援する「大蛇」のような役割があるとさらに成功しやすくなるということです。

  木馬を前原クン、大蛇を日経新聞をはじめとする大手メディア、そして、ラオコーンを小沢一郎代表だと思ってしまうのは、私だけでしょうか?

  今は参院選の対象があったおかげで、小沢代表のリーダーシップが効いているようです。しかし、今後、トロイの木馬の活動はいっそう活発化することでしょう。
  前原クンこそ自民・民主の大連立に最高の人材ですから、彼が再び代表の座に返り咲いたあかつきには、前原クンが敬愛する小泉サンや、中立性ゼロで連立政権樹立に走っちゃった読売新聞さんの肝いりで、「前原防衛大臣」もしかしたら「前原総理大臣」が誕生しちゃうかもしれません。
  そこで、民主党支持の方で、「無税国家は素晴らしい」などという妄想を信奉していないまともな神経の持ち主で、しかも京都市の左京区、山科区、東区にお住まいの方にお願いです。

  自民党民主党支部所属の前原クンを落選させてください!!(笑)

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2007.12.10(Mon)

「国際協調」という病気 

  日本人は「平和ぼけ」にかかっているなどとよく言いますが、私は「国際協調ノイローゼ」の方がよほど深刻だと思っています。
  我が国の首相からして、この病気の患者だということがよくわかる記事がありました。

福田首相、日本の存在感の薄れ懸念 外交政策勉強会
http://www.asahi.com/politics/update/1210/TKY200712100043.html
--------以下引用--------
 福田首相が外交課題について有識者から意見を聴く「外交政策勉強会」(座長=五百旗頭真・防衛大学校長)の初会合が9日夜、東京都内のホテルで開かれた。首脳外交の戦略を練る場として立ち上げた勉強会で、月1回のペースで開く予定だ。

 五百旗頭氏によると、首相は冒頭、日本の国民総生産(GNP)の世界に占める割合の低下をはじめ、外交や経済で日本の存在感が薄れていることに懸念を示し、「日本の国際社会の中でのシェアが小さくなっている。我々はどう努力していったらいいか意見を聞きたい」と述べた。

 出席者からは「日本の国際的プレゼンスが非常に低下し、中国や韓国、インドなどが活躍している」などとして、積極的な外交の展開を求める声が相次ぎ、中国との関係を重視すべきだとの意見も大勢を占めた。中国側も経済成長一辺倒ではなく、環境やエネルギー分野で対日関係を重視する動きが出ているとして協力強化をめざすべきだとする指摘もあった。
--------引用以上--------

>日本の国民総生産(GNP)の世界に占める割合の低下

  どこかの政党が進めている「カイカク」とやらが内需を破壊しまくっているからじゃないんでしょうか?

  あと、安倍内閣の頃は「実質GDPが成長しているから経済成長しているんだ!」とか言っていませんでしたっけ?まあ、デフレがどんどん進行すれば名目GDPが下がっても数字が上がり続ける実質GDPなど、たいした意味はありませんが、9月まで喧伝していたことと全く違うことを口にしている与党というのもどんなもんなんでしょうね。

>日本の国際社会の中でのシェアが小さくなっている。

  日本製の工作機械やロボットや精密部品が世界で使われなくなっているなんて話はどこでも聞きませんが・・・日本人研究者の書いた論文の引用数も、かなり高い水準にあります(●こちらのPDFを参照)。貿易も活発に行われており(これはこれ自体かなり問題があるのだが)、日本製品は世界中で使われていて、ODAの金額でも上位に入っています。
  まさか、福田首相は日本がイギリスやアメリカみたいな国際政治のプレーヤーになってほしいとか思っているんでしょうか?
  はっきり言いますが無理です。国際政治というのはヨーロッパや中東でやっているものです。たとえば、イスラエルの核開発が疑われているとかいう話になった時、日本は独自に動いてイスラエルに働きかけたり、イスラエル国内の情報を取ってきたり、そういう活動ができるでしょうか?できるわけがありません。そんなコネも人材も日本はないからです。
   まともな諜報機関も防諜機関もない日本が、謀略渦巻く世界に飛び込んでいけるわけがありません。そんな国なら、福田首相のように「留学生を100万人呼ぼう」などと、自国の文化破壊や治安悪化を招く間抜けなことを言っている阿呆が国家のリーダーに選ばれるなんていうことはありません。(アメリカの大統領は例外だが・・・)

  だいいち、国際社会の中で「でかい面」をして、日本にとってどういうメリットがあるんですか?

  戦前、そういう「でかい面」をして、何かいいことがあったでしょうか。●人種差別撤廃を訴えたら、同盟相手だった植民地支配バリバリのイギリスから白眼視されて、日英同盟を解消されるきっかけになりました。白人をアジアから追い出して日本が盟主になるんだとかいう●東亜新秩序を提唱して、行き着いた先は米英との戦争と300万人の死者でした。
  
  この首相もそうですが、今の日本には「国際的な貿易だとか友好関係がないと日本は終わりだ」「外国からよい評価を受け続けなければいけない」という人間が多すぎます。それを私は「国際協調ノイローゼ」と言ったわけです。
  他国と協調するといいますが、要するに他国に余計なことをしないのが一番なのではないでしょうか。たとえば、企業が進出すれば、地元企業の雇用を奪ったり、利益をその国から奪ったり、環境を破壊したりするわけです。それなら、初めからそんなことはせず、日本国内で日本人を相手に商売をしていればいいではありませんか。
  それなら、その利益を当該国に還元すればいいじゃないかという人もいそうですが、馬鹿げています。そんな回りくどいことをする必要はありません。仕事が増えれば、それだけ公務員の人員も税金もかかるのです。
  だいいち、この論理がおかしいのは、企業の海外進出が当然だという暗黙の前提があるところです。そういうことを根っこの部分から考えないから、「産業の空洞化」という言葉は知っていても、現状を変えられないのです。

  そういう風に考えると、国際協調ノイローゼというのは、グローバリスト企業が世界に向けて進出していく(その分日本人と日本経済をないがしろにする)ためのプロパガンダの結果だと思えなくもありません。「国際的」という美辞麗句があれば、左翼は喜ぶでしょうし、右翼も反対しないからです。

  先日●「呉清源・極みの棋譜」という映画を見ました。内容についての評価はさておき、この映画には一つとても興味深い点があります。それは日中戦争直前の日本には中国人をはじめとする外国人がたくさんいて、想像以上に「国際化」していたということです。
  当時の日本は、第一次大戦を契機に工業生産を拡大して、様々な国、特にアジアに対して輸出を伸ばしていました。そして、中国を初めとするアジア各国から留学生をたくさん受け入れていたのです。呉清源氏のように、日本に活躍の場を求める中国人もたくさんいたでしょう。そして、映画の中で見られたように、中国人に対する日本人の姿勢は、戦争が始まるまではかなり穏やかなものでした(帰化したら差別もされず、徴兵の対象にさえなる場面が出てくる!)。
  そういう時代だったにもかかわらず、いや、そういう時代だからこそ、戦争になったのです。当時の日本の支配層は、冷静な国策選択ができませんでした。いろんな利害に絡み取られていたからです。
  今の日本の政治家たちは、その時の教訓を生かせる人たちでしょうか?私にはそうは思えません。

  日本は日本でしかありません。せっかく人口もいて産業も発達しており、世界的に枯渇する水資源にも恵まれているのですから、もっと国内のことに目を向けてもいいのではないでしょうか?
  国内政策のミスを、国外で山を当ててチャラにする、という考えは危険です。構造改革や財政均衡志向によって国内需要を破壊したことと、「国際社会でもっと注目されたい」という福田首相(自民党清和会)の感情は、決して相反するものではないのです。

  このことに、もっと多くの人たちが気づいてほしいと思います。

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EDIT  |  12:06 |  地政学・国際関係  | TB(2)  | CM(9) | Top↑
2007.12.06(Thu)

商人の歴史(5)~律令制について 

  題名を見て「また始まったか」とか思わないでくださいね(笑)。

  さて、だいぶ前になりますが、唐の反映が絶頂を極めた裏に、既に滅亡に至るメカニズムが内包されていたという話をしました。

  専門的に細かく見ると、府兵制についての話とか、いろいろあると思うのですが、私はもう思い切って話を三つに絞ってみたいと思います。すなわち、唐という最強国家が最強国家となり、また没落していったその要因は、

  「律令」

  「科挙」

  「辺境防衛策」


  この三つだけだと断定してしまいます(笑)。もちろん、専門的な視点からすれば、とんでもないという批判は承知の上です。

  さて、まず一つ目の「律令」から見てみましょう。

  律令というのは、簡単に言えば「成文法」のことです。「律」というのは刑法のことです。「令」というのは、それ以外の法律、たとえば行政法だと思えばいいでしょう。一応付け加えると、これだけだと細かい部分の調整がきかないので、あとから「格式」というものも追加されることがほとんどです。要するに、「規則」「施行令」みたいなもんです。「延喜式」とか日本史でも出てきましたが、あれです。
  何でこれが唐が滅んだ原因なんだよ、という人もいそうですが、それはひとまず置いておいて、何で律令なんかわざわざ作ったのか、というところが問題です。
  目に見えるように書いてあるルールが成文法です。だから、何をやったらダメかということが、圧倒的に分かりやすいのが特徴です。まあ、法学の世界なんかでは「大陸法」っていってフランスとかドイツがそういう感じだとかよく言われます。イギリスはそうじゃなくて「慣習法
」だとか。
  でも、そういう区別とかはあまり重要ではありません。イギリスでも、新しいことや未知の分野を規定するときは、成文法を使っています。選挙法が良い例ですね。そうなんです。実は、成文法には、「未知の事柄も枠内にあてはめて飼い慣らすことができる」という特徴があるんです。
  唐や、その土台を作った隋がなぜこんなものを導入したのかといえば、簡単に言えば未知のものを飼い慣らす必要があったからです。要するに「異民族」です。
  もともと隋も唐も、「武川鎮軍閥」といって、万里の長城の内側に無理矢理住み着いちゃった騎馬民族です。民族で言うと鮮非(せんぴ)系です。だから、揚子江の辺りとか、シルクロードの先の方にいる連中なんていうのは人種が違うんです。
  ひょっとしたら、言葉も違ったかも知れない。この時代の写真が残っていれば一発でわかるんでしょうが、多分「中国」というのは顔も言葉も違う連中の集まりだったんじゃないかなと思うんです。

  でも、それだと都合の悪い人たちがいますよね。それが「商人」なんですよ。

  以前、唐が隋から禅譲を受けたのは、商人、ここでは商業資本といった方が適当でしょうか、そういう連中が唐の方に乗り換えたからじゃないか、という話をしました。その理由は、隋と違ってシルクロードを守ってくれそうな勢力になりうるからじゃないかということも話しました。
  商人というものの発端が御用商人で、権力者の周りで御用商人が動き回るために作られたのが「都市」なのだとしたら、ごく初期の、たとえば孔子が生きていた時代の中国では、いろんな場所にプチ権力者(笑)みたいなのがいて、それぞれ商圏を形成していたのでしょう。「○王」とか言われる連中がそれです。
  しかし、秦や漢のような統一王朝が出来た辺りで、度量衡の統一や貨幣の大規模な鋳造が行われて、「中国」という統一市場が出来たのだと思います。まあ、この辺は国家がどうやって出来るかという難しい話になってしまうので、もうやめておきましょう。
  中国の商人たちにとって、一番儲かるのはシルクロードを使った交易です。絹織物、塩、茶、唐の時期になると陶磁器なんかも加わってきますが、そういった中国ならではの商品は、外国でよく売れるんです。やっぱり、気候風土なんかの制約があって、中国ほどのものは作れないからでしょう。塩に関しては、内陸の人間が活動領域を広げるためにどうしても必要でした。岩塩は?という人もいそうですが、海水塩とどっちが使いやすいかは一目瞭然です。
  そのシルクロードを使った交易を効率よく行うには、「大量」の物資を「速く」「安全に」動かす必要があるのです。どうですか、推進力は違うけれども、ベクトルは今の中国進出企業とか商社なんかと全く同じでしょう。
  要するに、いつの時代でも商人、特に商業資本と言われるほどの大きな商人は「グローバリスト」になる資格があるということです。「グローバリスト」というのは、このブログが勝手に悪用している言葉で(笑)、利益を極大化するために、自国への影響を考慮せず積極的に海外に進出し、国家間の垣根を取り払おうとする勢力のことを言います。中国の商人には、そういう原型かあるんじゃないかという気がしています。
  そういう商人たちにとっては、律令というのは非常にありがたい仕組みだと思うんです。なぜなら、権力者が変わっても、フォーマットが同じですから、誰が何をやるのかが簡単に分かります。これが「人治」だったらこうは行かないんです。煬帝は賄賂を出せば何でもやってくれたけれど、その息子は潔癖で、商人の言うことを聞いてくれない、なんていうのじゃ困りますからね。
  中国は「人治」国家だと言われたりします。何をするのもルールではなくて人が動かしているのだということらしいです。多分中国の方が遅れているということを言いたいのだと思いますね。愛国ブログみたいなのが、よく中国は決まりを守らない、金のためならルールをすぐ破るとか書いていますが、そういうときにも人治国家だというのを言っていたりします。
  しかし、私の考えは逆で、中国というのは隋唐以降間違いなく法治国家だったと思うのです。それは、中国の歴代王朝が律令制を踏襲していったからです。多分、冷戦時代に流布した、毛沢東の時期の中国のイメージにとらわれすぎていて、中国という国を見誤っている人が多いような気がしますね。右も左もそうだと思います。
  律令という制度のキモは、「仕組みさえ覚えれば誰でも操作できる」「特定の民族や文化にかかわらず支配が可能である」という点でしょう。唐王朝の支配層は鮮非ですから、中国人じゃありません。まあ、もうこの頃は中国化していたんでしょうけど、多分食べるものとか南の方と全然違ったはずです。余談ですが、今でも中国は、北は小麦(麺)、南は米の文化ですね。でも、そういう違いは律令制では問題ではない。極端な話、漢文という共通語が使えて、律令の仕組みを理解できる人ならば、日本人でも政治を動かせるはずです。
  それはなぜかというと、律令は非常に合理的な仕組みだからです。ある分野の仕事はその専門の部署がやるべきだとか、税金を納めるのは一家の男を単位にするとか、頭で考えれば理解できることです。八百万の神にお米を納めて収穫を感謝するとかいう仕組みと、根本的に違います。ああ、言っておきますけど、別に新嘗祭が遅れているなんて言っていませんからね。
  中でも、唐の律令というのは合理的だったと思います。均田制という土地管理の仕組み、駅伝制に代表される情報伝達システム、わかりやすく明確な租庸調という税制・・・だから、唐の周りにいる国はみんな律令制を採用することにしました。
  ていうか、実は私、ここは順序が逆なんじゃないかと思っているんです。本当は、律令が良い仕組みだから取り入れたんじゃなくて、律令を使った方が国を治めやすかった連中がいるんじゃないかと思うんですよ。日本でいえば、ずばり「渡来人」です。
  律令っていうのは、オペレーターの人種だとか文化を問いませんから、外国の人間が乗っ取りに使うのに非常に都合が良いんですよね。多分、新羅やベトナム、吐蕃(今のチベット)も、インテリ亡命中国人みたいな連中が支配層になるために、その国のリーダーに「これなんかいいですよ」とか薦めた結果、律令制を導入したんじゃないかと思うんです。
  そして、その後押しをしていたのが、ある国を統一したシステムで統治してほしいと思う商人層じゃないかと思うんです。日本でも、大宝律令が施行されている前後に、和同開珎が流通し始めているのがその証拠です。
  ただ、日本の場合は、土着勢力の持っている感化力みたいなのが圧倒的に強かったんでしょうね。だから、中国のようにはならなかった。次の科挙のところでもお話しますが、中国はここで「超合理的国家」になってしまったことで、もう坂道を転げ落ちるようにしておかしくなっていくんですね。まあ、最後にはまとまる予定ですので、みなさんとしては一応「律令制は民族や文化を超えた合理的システムだ」ということだけ覚えておいていただければ結構です。
  
  そして、律令とフィットする人材登用システムが、「科挙」だったというわけです。

  すみません。時間がないので次回に回します。多分明日には更新できますので、引き続きお楽しみ下さい。

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2007.12.03(Mon)

日本の役所は欧米に学ばなければ何も出来ないのか? 

  世の中で騒がれているとき、ふと目に入るニュースこそ大きな意味を持っていることがあります。もしかしたら、これもそうかもしれません。

人事院、中堅官僚の米省庁派遣研修制度新設へ
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071202ia01.htm
--------以下引用--------
 人事院は来年度、中堅官僚が米政府の省庁に派遣され、省庁の一員として働く研修制度を新設する。

 他国の官僚の仕事を実地で体験し、国際的な視野や人脈を持った人材を育成するのが狙い。初年度は数人を半年から1年間派遣する。

 人事院は今後、欧州連合(EU)などにも中堅官僚を派遣し各国政府職員との関係強化につなげたい考えだ。
--------引用以上--------

  このニュースから伝わってくることはいくつかあります。

  まず、一体アメリカに派遣されて何を学んでくるのか、という疑問です。
  当たり前ですが、日本とアメリカでは制度の成り立ちが違います。日本は大宝律令以降、中央集権的な官僚制度が整備されています。一方のアメリカは、建国してまで230年しか経っていない若い国で、連邦制度を取っているために、行政の実態は州によってまちまちだというのが実情です。
  アメリカの仕組みは合理的だというのなら、どこがどのように合理的なのか、そういうものをきちんと納税者である国民や、その代表である国会議員に示すべきです。そんな手続きもせずに、いきなり「新設する」というのは、少々度が過ぎているのではないでしょうか。
  日本の官僚制度は腐敗している・・・などというひとは、よく分かっていない人です。「トランスペアレンシー」というNPOが発表した2005年の腐敗認識指数という数字で見ると、日本は17位でフランスやアメリカよりも順位が上です。EUの中で負けているのは北欧とイギリス(12位)、ドイツ(16位)くらいです。(●こちらのリンクを参照)

  同時に感じるのは、このような仕組みが、欧米諸国が日本の官僚をコントロールする手段になりはしないか、という懸念です。
  留学というのは、実は結構怖いものです。なぜなら、受け身的に学ぶ立場に置かれると、そこで価値観の洗脳を受ける可能性があるからです。
  歴史上これをうまく使った国があります。イギリスです。幕藩体制を覆し、極東に権益を築くために、薩摩や長州出身の若者を留学生として受け入れました。代表例が●「長州ファイブ」です。
  他にも、以前このブログで取り上げた●森有礼もそうです。森の場合は、アメリカ留学まで経験しています。だからこそ、「国語英語化論」などという頭のいかれた発想ができるのでしょう。
  留学の多くは若い時期に行われますから、どうしても学んだことが世界の全てだという認識をしがちです。逆に、英米はそれを利用して世界中にシンパというか、「トロイの木馬」みたいな連中を作り上げているのです。
  他のヨーロッパの旧宗主国が植民地から留学生を受け入れているというのも、基本的には同じです。その国を動かしていく人材を、母国の「遅れた」文化伝統から切り離して、自分たちにとって都合の良い思考体系を植え付ける・・・こうすれば、交渉や争いごとを経ずにコントロールが可能になるわけで、実にコストパフォーマンスのいい「間接侵略」の一類型です。
  今回は中堅官僚が派遣されるとのことですが、これでも危険は危険です。
  官僚というのは、受験エリート的な人が多いですから、「思考」より「学習」を優先させてしまうところがあります。また、派遣されたということは、組織内での自分の優位性を示す手段にもなります
  だから、覚えたことをそのまま日本の法制度に適用してしまう可能性があります。制度の上っ面、美点だけを飲み込んで(向こうは、自分たちの弱みである制度の欠点など教えはしない)くると、そういう事態に陥る可能性があるのです。
  当該官僚が、欧米(白人)コンプレックスが強い人だと、なおさらそういう危険が高まります。

  そして、何より「財政危機」だとか「プライマリーバランス」だとか、財務省だの自民党だのがギャーギャー喚いているご時世に、そんなことをする費用がもったいなくないかということです。
  官僚さんの滞在費用や、日本を留守にする間の代替要因の人件費、さらには「休業」中の給料はどこから出ているのかというのは、小学生でもわかる問題です。地方公務員の各種手当てをギャーギャーと騒ぎ立てるマスコミが、どうしてこういうニュースを批判的に取り上げないのか不思議ではあります。
  もっとも、何となく理由は分かります。マスコミの人間自身が、欧米に学ぶことは当然だという劣等感を持っているからです。「コーポレートガバナンス」だとか「グローバルスタンダード」だとか「アカウンタビリティ」とかいった横文字を出されると、何も考えずにその意味を覚えようとするタイプです。
  学ぶのも結構だと思うのですが、それなりにうまく行っており、運用実績も前例も十分に蓄積されているシステムを、いまさら別の国と同じように変える必要もないでしょう。それを変えるというのなら、十分な理由や必要性を挙げる必要があります。そこに来て、

>国際的な視野や人脈を持った人材を育成する

  などというのは、ちゃんちゃらおかしいというものです。国際的な視野などというものは、大学を卒業するまでに身につけておくべきで、本来の仕事をうっちゃらかして、さらに相手方に迷惑をかけて、税金をつぎ込んでまで学ぶものではないでしょう。
  さらに言えば、半年から1年で人脈なんぞ作れると思っているのもお笑いですし、だいいちそんな人脈を作ってどうしようというのでしょうか、日本の公務員の仕事の査定をやる人事院という役所の人間が。
  「国際的」という言葉をつければ、何でも予算がつくというのは、国民や国会議員をあまりにも馬鹿にしていると言わざるを得ません。
 
  「欧米に学べ」というのは、明治維新とともに始まりました。そうだとすると、明治維新という近代化で失った一番大きなものは、日本という国に対する自負なのではないかと思ってしまいます。
  愛国心うんぬんを叫ぶ人々は、そういうところまできちんと考えているのでしょうか?

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