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2007.11.14(Wed)

「日米交流強化のためのイニシアチブ」を、少し斜めに読んでみる 

  さて、今からニュースを一つ紹介します。このニュースが日本にとって持つ意味をちょっと考えてみてください。

福田首相:日米交流強化へ人材育成 首脳会談で表明へ
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071114k0000m010161000c.html
--------以下引用--------
 福田康夫首相は13日、ワシントンで16日に行うブッシュ大統領との日米首脳会談で、日米同盟の土台を担う人材を育成する「日米交流強化のためのイニシアチブ」を表明し、日米両国の人的交流を一層深化させる必要性を訴える方針を固めた。

 イニシアチブは(1)知的交流(2)草の根交流(3)日本語教育--の3本柱。知的交流分野はブルッキングス、戦略国際問題研究所(CSIS)など米国の政策に強い影響力を持つ主要シンクタンクと長期にわたって連携、安全保障、経済、環境などのセミナーを開催する。

 草の根交流分野は在米総領事館を中心に在日米軍OB、米日協会などを組織化するなどの交流を活発化させる。また、日本語学習ブームに着目、大学で日本語を学ぶと飛び級をしやすくするなどの施策を働きかける。

 これに関連して首相は首脳会談後、シンクタンク研究員、日系人、日本語教師ら約30人との懇談を予定している。
--------引用以上--------

  さて、このニュースが持つ意味です。

  0点の答えを先に紹介しておきましょう。

  「日米同盟の強化のための布石」
  「アメリカとの関係強化によって国際政治をやりやすくする」

  申し訳ありませんが、こういう答えをすぐに出してしまう人は今後の世界情勢や国際関係について論じるのはやめた方がいいです。メディアや相手国の公的発言に簡単に騙されて、ババをつかまされることは間違いないからです。

  あくまで私の考えですが、外国が何かをするというのは、その国の利益になるからです。
  この法則に、ほとんど例外はありません。唯一例外と言えそうなのは、不平等条約を結んでいるなど、外国が当該国に支配を受けている場合だけです。この場合でも、被支配国は支配国に害を与えられないように振る舞っているのがほとんどですから、マイナスを打ち消すという意味での利益は得ていると言えます。
  こういうのは、ある意味、人間というものを徹底的に信用しないドライな視点ですが、この程度の考えも出来ない人間が国際関係だの外交だのを論じる資格はありません。希望的観測を現状認識より優先させる人間、要するに「こうあってほしい」という感情で物事を眺める人間のは、こと国際政治というものを考えるべきではないということです。

  そういう点を踏まえて、今回のニュースを見ると、どんなことが見えてくるでしょうか。

  思うに、何とかイニシアチブと呼ばれる措置(たとえば、●いわゆる「年次改革要望書」)をいくつか拾い上げて眺めてみると、全て日本においてアメリカもしくは米国企業が活動を拡大するための措置になっていることが分かります。
  これに対して、「日本は規制が多すぎるからカイカクが必要だ」という反論をしても全く意味がありません。何とかイニシアチブによって、米国企業が日本での活動を活発化させていることは現実に起こっていることであり、これを「カイカクが必要」という価値判断で否定することはできないからです。
  この、「価値判断と現状認識をごちゃまぜにする」というのは、日本の政治当局や評論家、知識人が陥ってしまう一番典型的な間違いです。みなさんも、くれぐれも注意してください。
  上のような「現状認識」から、合理的に推測します。そうなると、今回の「日米交流強化のためのイニシアチブ」も、何らかの形でアメリカや米国企業にとって有利に働く措置が盛り込まれているのだということになります。

  具体的に検討します。

>米国の政策に強い影響力を持つ主要シンクタンクと長期にわたって連携

  米国の政策立案についての情報を提供してもらうつもりなのでしょうが、現実はそうはならないでしょう。日本にとって正しい情報を与えればアメリカが不利になるという場合、アメリカ側がそのような情報を与えるわけがないからです。
  それどころか、「こうすれば日本のためになるのだ」という、誤った情報や提案を授かる可能性すらあります。そうすれば、政府の公的声明という形すら通さず、直に日本政府をコントロールできるからです。
  上の二つの考えは、「アメリカはアメリカの利益を考える」という原則、というか公理に乗っ取って考えれば、全く無理はありません。
  アメリカ側に100%日本にとって有益な情報を出させるには、日本側に何らかの担保が必要です。しかし、日本にはバーターに出来る情報もありません(すでにCIAが入手しているだろう)し、そのようなバーター取引をしようとする人材もいません。100%アメリカ側の善意に期待するしかないという形になっているのです。

  断っておきますが、私は別に民族感情など交えてはいません。アメリカの立場に立てば当然そうなるという論理的帰結を述べているだけです。

>在米総領事館を中心に在日米軍OB、米日協会などを組織化
>するなどの交流を活発化させる。

  これは、活発化させたあとの結果を考えてみるといいでしょう。こういう団体が、日本に対してロビー活動を行いやすくなるという結論が出てきます。
  「日本のシンパをこういう団体の中に作り出せばいいのだ」と考えた方がいらっしゃったら、繰り返しになりますが、もう貴方は国際政治とか外交について考えるのをやめてください。米軍OBというのは退役軍人省から年金をもらっている人たちなのです。日本のために動くマリオネットになることに何の利益もありません。

  私が外務省の担当者だったらこんなことをしません。軍人なら、帰化移民の軍人、それもイスラム系の元軍人だけを狙います。団体であれば米日協会ではなく、マイノリティが組織している団体(ヒスパニック、ムスリム、黒人など)との交流を深める方を選びます。
  こういうやり方で次々と外国を侵略していった国があります。イギリスです。インドでは、イスラム系のムガール帝国を潰すためにヒンドゥー教徒のラージプート族を使い、分割統治に成功しました。日本に対しては、江戸幕府に薩摩長州をぶつけて倒幕に成功させました。中国に関しては、そんなことをする必要もなく、勝手にアヘンという害毒を摂取してくれましたが・・・。
  マイノリティーは現状に不満を持っており、外国と提携してもマイナスがありません。だから、協力してくれる可能性が高いのです。

  こういう話は、道義的に正しいかどうかとか、あの民族は好きだとか嫌いだとかいう価値判断と全く別の話です。

>日本語学習ブームに着目、大学で日本語を学ぶと飛び級を
>しやすくするなどの施策を働きかける。

  日本語を学ぶ人間が多くなると、日本を好きになってくれて、アメリカが日本にとって有利な政策を選んでくれるようになる。この何とかイニシアチブを立案した人間は、そう思っているのかもしれません。そういう日本人がかなり多いからです。
  こういう因果関係を頭の中で作り上げることができるというのは、ある意味幸福です。ただし、その幸福さは、日本という国の利益とは全く結びついていません。ていうか、有害です。
  今の政府は「日本は財政危機だ」(国債があれほど低金利なのに)とか言っているのですから、そういう活動につかう無駄金は日本にはないはずなんじゃないでしょうか?
  
  だいいち、日本語ブームというのも怪しいものです。向こうの当事者から伝えられたこと(たとえば、捏造したした日本語学習者数増加のデータ)を、よく調べもせずに政策に取り込んでいる可能性があります。
  そうしてしまう時点で、外国との交渉や条件闘争に従事するには不適切です。
 
  このように、何とかイニシアチブの例に漏れず、アメリカが日本をおいしく食べるための調味料だというのが正解のようです。
  福田首相が訪米に当たって、このような「手みやげ」を持参した理由は何となく分かります。あまり頭のよろしくない前任者が、アメリカを差し置いて中国韓国を訪問したことを、福田はよく覚えているのでしょう。だから、まずアメリカを手みやげ持参で訪問し、飼い犬としての優秀ぶりをアピールしておきたかった・・・そんな感じでしょう。
  もしかしたら、交換条件やブラフもなしに、そうやってアメリカに尽くしておけば、あとで見返りが返ってくると思っているのかもしれません。よく、親米保守やそれに近い立場の方のブログを見ると、「アメリカはロシアや中国と違って約束を守る」とかいう言葉が出てきます。

  では、そういう方におききしたいのですが、日本はアメリカに具体的に何か約束をさせているのですか?

  約束が破られた時、どうやって担保するのですか?

  そういうことを考えない、考えようともしないのは、貴方が現状認識よりも希望的観測(アメリカは日本と同じ民主主義国家だから、中国や北朝鮮よりも丁寧に扱ってくれるはず)を優先してしまっているからです。
  そんな貴方にはっきり言っておきましょう。「その程度のものの見方で、偉そうに国際関係や外交を論じるな」と。
  そういう自分が嫌なら、●こちらのサイトや、●こちらのブログで国際政治を動かしている法則なり傾向をきちんと勉強すべきです。
  念のため言っておきますが、「日本とアメリカはシーパワー同士だから仲良くできる」という希望的観測なんかしないように(笑)。

  さて、今回の記事をまとめておきましょう。

「ある国は、その国の利益だけを考えて動く」
「そのような国に自分の要求を呑ませるには、交換条件が必要」
「外国を動かしたいなら、主流派でなくマイノリティーを狙う」


  そして、何より、

「希望的観測を現状認識に優先させない」

  勉強になった・・・と思っていただければ幸いです。

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