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2007.11.10(Sat)

森と暮らしを破壊する「バイオエタノール」を拒否しよう 

  非常に面白い環境問題関連の記事を見つけました。

バイオブーム 燃料化、CO2増の恐れ―アジアの最前線から
http://www.asahi.com/special/070110/TKY200702100187.html
------------以下引用------------
 インドネシア・スマトラ島はイモの一種、キャッサバの産地だ。島の南部にあるインドネシア技術評価応用庁のバイオマスエネルギー開発センターの周辺にも広大なキャッサバ畑が広がる。

 キャッサバはもともと焼酎や工業用エタノールの主原料だが、センターはエタノールをバイオ燃料として自動車に活用する研究を進めている。高さ約5メートルの実験プラントの蛇口からコップに注ぎ込まれた透明の液に顔を近づけると、強烈なにおいが鼻をつく。

 ある研究者は「代替燃料の研究は70年代の石油ショック直後に盛り上がったが、その後停滞していた。今回の政府の姿勢は真剣だ」と言う。

  (中略)

 インドネシアの首都ジャカルタでは昨年9月から、アブラヤシから採ったパーム油を、エンジンに支障の出ない5%だけ軽油に混ぜたバイオディーゼルの販売が始まった。市内のガソリンスタンドには「バイオ」をPRする看板も見える。

 東南アジアのバイオ燃料導入のきっかけは、石油価格の高騰だ。経済発展が続くインドネシアは04年に石油の純輸入国に転落し、自動車燃料の値上げが続いた。植物由来のバイオ燃料を使えばその分、石油への依存度を下げられるし、二酸化炭素(CO2)の排出削減も期待できる。

   (中略)

 ただ、ブームの陰で、さまざまな弊害を指摘する声も強まっている。

 パーム油のプランテーション開発のあおりでインドネシア、マレーシア両国などでは熱帯森林の減少が続いている。サトウキビなどをバイオ燃料にすれば食糧需要と競合するとの指摘もある。

 さらに思わぬ懸念が持ち上がった。開発によってCO2がかえって増えるというのだ。

 両国では、泥炭の混じる湿地帯の森林に火をつけたり、排水したりすることで栽培地を確保する開発業者が少なくない。

 ところが国際NGO(非政府組織)の国際湿地保全連合(本部・オランダ)が昨年末に公表した調査報告によると、湿地を乾燥地に変えると泥炭から大量のCO2が排出されるという。パーム油1トンを生産するのに必要な土地の開発などで最大33トンのCO2が排出され、それなら石油を使ったほうがましとの試算も報告に盛り込まれた。

 バイオ燃料がかえって地球温暖化を進めるという報告の波紋は大きい。オランダ環境相は、パーム油を使ったバイオディーゼルの推進政策を見直し、政府補助金の対象から外す方向で検討しているという。

 年末ごとに開かれる温暖化防止の国際会議は今年、インドネシアで開かれる。同国環境省のマスネリヤルティ副大臣は「政府の指定地域に開発を限定しようとしている。泥炭地の火災を防ぐには自治体や警察との協力が必要」と話す。
------------引用以上------------

  インドネシアでのバイオエタノール用作物の栽培が異様な活況を呈しているのは、以下の記事でも分かります。(注:英語です)

Indonesia: Oil palm expansion for biofuel bringing more exploitation than development
http://www.wrm.org.uy/bulletin/112/Indonesia.html

The country now has some 6 million hectares of land under oil palm and has cleared three times as much, some 18 million hectares of forests, in the name of oil palm expansion. Existing regional plans have already allotted a further 20 million hectares for oil palm plantations, mainly in Sumatra, Kalimantan, Sulawesi and West Papua, and new plans are currently under discussion to establish the world’s largest palm oil plantation of 1.8 million hectares in the heart of Borneo.

「インドネシアは現在600万ヘクタールのパームやし用地を有し、同用地の拡張という名目でその3倍に当たる1800万ヘクタールの森林を伐採してきました。今後さらに2000万ヘクタールのパームやし農園が開発される計画で、その主な場所はスマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ諸島、および西部パプア(イリアンジャヤ)が予定されています。また、180万ヘクタールという世界最大規模のパームやし農園がボルネオ(カリマンタン)島の中心部に設立されるという計画も持ち上がっています。」

  パーム椰子は、バイオエタノールを作るときに大変効率がいいということで知られています。この植物は、熱帯でないと育ちません。もともとは食用油を精製する目的で作られていました。
  非常に問題なのは、このパーム椰子の農園を作るために、大量の熱帯雨林が破壊されていることです。
  インドネシアというのは熱帯雨林大国です。世界に存在する原生林の40%がインドネシアに存在していると言われるほどです。しかし、すでにその70%が消滅しています。以前は、紙・パルプ、熱帯木材目的の森林伐採が問題となっていたのですが、今度はそこにパーム椰子目的の森林伐採が加わってきたのです。

  これだけでも十分問題なのですが、インドネシアにはもう一つ大きな問題があるのです。それが泥炭地の乾燥による二酸化炭素の増加です。
  泥炭というのは、石炭になる前の段階の炭素の固まりです。インドネシアには泥炭地がたくさん存在していますが、耕地が足りなくなった近年はこのような泥炭地も開発する必要が出てきています。泥炭地は湿地なので、排水して乾燥させる必要がありますが、これによって、かなりの泥炭が分解し、大量の二酸化炭素が排出されるのです。
  さらに、泥炭は燃料としても用いられてきたものなので、簡単に火がつきます。だから、インドネシアでは、大規模な山火事がしばしば発生します。十分な消防設備のないインドネシアでは、初期消火ができず、泥炭地に延焼するという結果になってしまいます。

  こんなことを繰り返していたら、国土や現地住民の生活の荒廃が広がってしまいます。しかも、それが二酸化炭素を新たに排出しないということで話題(笑)のバイオエタノールによって引き起こされているのです。馬鹿馬鹿しいことこの上ありません。
  口を開けばシーオーツーだのカーボンニュートラルだの馬鹿の一つ覚えのように言っている企業や役人は、目に見えるインドネシア人の生活よりも、目に見えない二酸化炭素の方が大事だと考えているようです。

  環境だけでなく、経済問題もあります。食用油に用いられていたパーム油の需要が逼迫し、価格が高騰していることで、食料品全体の値段が上昇しているのです。それだけでなく、企業は原材料費が高騰した分を合理化で吸収しようとするので、人件費の削減につながり、デフレが促進されてしまいます。
  物価が上昇しながらデフレになるのは、スタグフレーションといい、一般庶民にとっては最悪の状況だといえます。我が国の政府と来たら、こういう現象を指をくわえてみているだけではなく、バイオエタノールの導入を推進し始めている(たとえば●こちらのリンク)のですから、怒りを通り越して笑いすらこみ上げてきます。
  どうせバイオエタノール推進派は「バイオ燃料推進が世界的な潮流」だとか「石油依存を減らす」だとかいった白々しい根拠を挙げるのでしょうが、ブラジルのようなごくごく一部の例外を除いて、ほとんどの国がガソリンに混ぜる程度のおためごかしで終わりにするのですから、石油依存は解消されるわけではありません。前者に至っては「バスに乗り遅れるな」の現代版であって、何の理由にもなっていません。

  バイオエタノールを導入するのなら、あくまでエネルギーの自給と地産地消を目的にし、本気で石油依存を解消する努力をすべきです。
  ●以前の記事でも書きましたが、そのためには、廃材や藁くずといった「セルロース系バイオマス」からエタノールを作る、もしくは膨大な資源量を確保できる「海藻バイオエタノール」といった方法をとるべきです。
  インドネシアのパーム油を輸入してバイオエタノールを作っても、森林破壊や二酸化炭素増加というマイナスがあり、しかもインドネシアという他国にエネルギー供給手段を依存することになるというリスクを負うのです。これでは、中東に石油を依存している現在と変わりません。
  そして、結局日本の家庭や企業と、インドネシアのパーム椰子畑の間をつないで中間搾取を得ようとするグローバリスト(穀物メジャーやアグリビジネス企業、さらには商社)の利益になるだけなのです。しかも、「日本のせいで破壊された熱帯雨林」という汚点を残しながら・・・。

  日経新聞やニュース番組が取り上げ、企業が熱心に取り組んでいるからといって、バイオエタノールに飛びついてはいけません。地球を破壊し、国民を貧しくするだけのバイオエタノールには断固としてノーを突きつけましょう!!

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2007.11.10(Sat)

商人の歴史(4)~グローバル帝国・唐の誕生 

  ●前回の記事で、中国の王朝の中でも隋・唐というのは非常に重要だという前振りをしました。今回は、この二つの王朝を通じて、中国が大きく変容していったということを考えてみたいです。

  隋というのは、非常に短命な王朝です。たったの4代で、30年続きませんでした。
  しかし、この王朝は、次の唐王朝への重要な橋渡しをすることになります。それが「大運河の建設」です。下記の画像をご覧下さい。
隋代の運河

  このときの大出費と国民への負担が仇になって、隋はあっけなく滅びてしまうわけですが、だからといってこの運河建設を過小評価してはいけません。
  大陸の川というのは、日本の川のように、急激に上流から下流に向かって流れていきません。どういうことかというと、遡上が可能なんです。ということは、船舶を使った大量の物資の移動が可能だということです。
  そして、この運河建設によって、中国は初めて南北が完全に結ばれたのです。具体的に言うと、通済渠と江南河が揚子江と黄河を結び、永済渠が天津と黄河を結びました。
  こういうものができて、一番嬉しいのは誰だと思いますか?もちろん、隋の皇帝は嬉しかったと思うんですが、一番嬉しいのは大商人だと思うのです。
  なぜなら、大きな商人なら、船を使って大規模な輸送ができるからです。私は●以前の記事で、「商社」が利益を出すコツは、ものが頻繁に動くこと(大量性・反復性)と、遠くからものを仕入れること(遠隔性)だという話をしましたが、そのためには有利な輸送手段が絶対に必要になります。
  だから、商人の歴史というのは、輸送手段・交通手段の発達の歴史でもあるのです。おそらく、隋の皇帝が勝手に考えたと言うより、御用商人のような連中、おそらくはシルクロードで中央アジアやヨーロッパと取引していた商人が考えたのでしょう。
  そういう人間たちが、メリットを訴えて権力者を動かしているのです。隋が滅んだのは、もちろん最大の敵である高句麗に対する遠征で過大な出費を強いられたという面もあるのですが、実は商人たちの「ニーズ」に応えすぎたことが原因じゃないかと考えています。

  完全に余談ですが、この隋を取り巻く国際関係を見ると、非常にためになることが多いです。
  当時、隋は高句麗という強敵を抱えていました。今の中国東北部から北朝鮮にかけて存在した、ツングース系の国です。この高句麗が、万里の長城の北にいる突厥(とっけつ)という遊牧民と手を組もうとしたことが、隋に高句麗遠征をさせた原因だったと言われています。
  このような隋の苦しい立場を的確に見抜いていたのが、当時の日本、要するに聖徳太子です。まあ、この人も実在したかどうかわからない人なんで、あえていうなら「蘇我氏を中心とした当時の大和朝廷中枢部」とでもいうべきかもしれません。彼(ら)は、隋から優れた制度や文物を仕入れる必要性を感じていました。そのためには、朝貢、つまり奴隷契約でない形で国交を結びたかったわけです。だから、「天子」なんていう、中国の皇帝しか使えないような称号をわざと用いた国書を届けたんですね。隋は、この失礼な国書に対して、返礼の使者をよこしました。要するに、対等にやりましょうという日本の主張を認めてしまったわけです。
  これは、現代の国際関係でも応用可能ですね。北朝鮮の存在する意味はそこにあるといっても過言ではありません。朝鮮人があれほど「高句麗・渤海史」を自分の歴史だといって譲らないのを、もっと利用した方がいいです。

  さて、そういう無理繰りをしていた隋は、簡単に滅亡しました。しかし、これはある意味、次の唐王朝の露払いをしたのだと思えば、納得がいきます。
  唐王朝は、中国の中では結構長続きした王朝です。7世紀初めに登場して、10世紀まで存続しました。
  この時代の中国というのは、はっきり言って世界最強国家といっても過言ではありません。これは、単に軍事力のことを言っているのではありません。
  この時代は中国が空前の豊かさを享受した時代でもあったわけです。もちろん、中国のことですから、別に庶民が豊かになったわけじゃありません。皇帝やその下にいる貴族連中が豊かだったということです。
  そのことは、唐代の文化にも現れています。今でも残っている「中国文化」というのは、大半がこの時代です。李白や杜甫に代表される「唐詩」、空海も学んだと言われる「書道」、今でも通用する高い技術を誇った陶磁器の「唐三彩」、それに歴史研究(修史)や真言宗・天台宗に代表される仏教の隆盛です。遣唐使船は、このような文化を日本に伝える役割をしました。
  唐が比較的簡単に全国統一を成し遂げることができたのは、隋のおかげです。隋の最後の皇帝が、李淵という北方の豪族に地位を譲り渡した、まあ禅譲というやつを行ったのもあるんですが、何より大運河が出来ていたおかげで、軍事作戦を非常に行いやすかったということがありました。
  これは推測ですが、おそらく隋代に力をつけた商業資本、隋の煬帝に運河を造らせた人々が、李淵の一族の方に乗り換えたというのが本当の原因かもしれません。もともと隋も唐も「武川鎮軍閥」といって、3世紀から6世紀にかけての南北朝時代に万里の長城の内部に移り住んだ騎馬民族でした。だから、黄河以南の漢民族と違って武力はあるわけです。この連中が内部での競争を経て強大になって、隋や唐になったということです。
  隋がなぜ中国を完全に統一できたのかと言えば、漢と同じで、シルクロードの起点に当たる中原といわれる地域を支配できたからです。具体的に言うと、今の陝西省です。

  あ、すみません。今軽くびっくりしたんですが、私の使っている一太郎2007というワープロは、「しゃんしー」って入れて変換すると、「陝西」という漢字が出てくるんですね。そういう文字入力をするニーズが相当あるんでしょう。日本と中国の相互依存がかなり進んでいる証拠ですね。
  こういう時代は、前にもありましたね。普通の人が上海を「しゃんはい」と呼び始めた時代です。ええ、第一次世界大戦後です。大陸進出のあと、ハシゴを外されて戦争へ・・・なんていう風にならないといいんですが。

  戻ります。この中原という地域を支配する、もしくは支配しそうな連中に、おそらく中国の商人たちというのは積極的に支援してきたんじゃないかという気がするんです。
  ここはシルクロードの拠点でもあるわけですが、同時にすぐそばにモンゴル高原があるのがおわかりでしょうか。要するに、遊牧民という危険な連中が商売の邪魔をしてくる可能性が高いわけです。だから、中国の支配者というのは、ここをきちんと守れる勢力でないといけないわけです。
  隋は、この点では失格でした。高句麗という、中原と何の関係もない場所にいる敵とダラダラダラダラ3回も戦って、しかも全部負けてる(笑)。だから、大運河作りに協力した商人たちに見放されてしまったんじゃないかと勝手に考えています。
  なにしろ、ローマ帝国の国庫が空になってしまうほど、中国側はシルクロード貿易で儲けていたのです。それを流通させている商人たちも、当然金を持っていたと見るべきでしょう。そして、そういう人たちが隋より唐を選んだというのが、禅譲の真相という気がしています。

  唐は、中国の支配者としてはもう文句のつけようのないくらい「優秀」でした。まず、東にいる高句麗を新羅と組んで叩きつぶし、大陸に干渉してこようとする日本とその傀儡である百済を白村江の戦いで叩きのめして、新羅を子分にして朝鮮半島を安定させました。
  これで、何の憂いもなくなった唐は、万里の長城の北にいる宿敵・突厥に大軍を差し向けて服属させます。これは大きいです。シルクロードの東端でちょっかいを出してくるチンピラ野郎が、もう悪さはしませんと誓うことになり、中国の商人たちは安心して貿易ができるようになったからです。
  こうすると、まるで何か唐の皇帝が商人たちの使いっ走り、用心棒みたいな感じすらしてきますが、それが本当なんです。つまり、大商人というのは常に国家権力と二人三脚であり、互いに補完し合っているのです。
  だから、国家権力と経済は別だという、新自由主義的な考え方というのは歴史の法則を無視した空理空論もいいところなんです。まあ、そういう連中も、国家権力を動かして自分たちが収奪しやすいキセーカンワだとかミンエーカなどという仕組みを作っているだけなんですがね・・・。

  そうやって、前代未聞の繁栄の時代を迎えた中国ですが、実はここにすでに落とし穴があったのです。歴史というのは面白いもので、ある国が繁栄の絶頂にある裏で、滅亡への青写真ができあがっていることがあまりに多いのです。唐もその例外ではありませんでした。
  
  というところで、次回に続きます。

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