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2007.10.24(Wed)

なぜ「食品偽装」が起こるのか 

  最近、加工食品を安心して口に入れることが出来なくなった人も多いのかもしれません。こんなところまで来たか、というニュースが出てきました。

比内地鶏の薫製を偽装 秋田の業者「10年前から」
http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200710200169.html
------------以下引用------------
 秋田県の特産で、「日本三大地鶏」の一つとして知られる比内地鶏で、加工商品として出荷した薫製の肉や卵に、比内地鶏でない鶏を使用した疑いがあるとして、秋田県は20日、同県大館市の食肉加工会社「比内鶏」(藤原誠一社長)を景品表示法などに触れるとして立ち入り調査した。同社は偽装を認めているという。

 比内地鶏の県内の消費は全体の2割ほどで、8割は県外に出荷している。「比内鶏」社は通信販売で商品を出荷しており、全国の消費者に影響を及ぼしそうだ。

 県などによると今月15日、「薫製の卵に比内地鶏以外の鶏を使っている」との匿名の電話が県に寄せられたため調べた。藤原社長は県の調査に対して「自分が就任した約10年前からすでに偽装がされていた」と話しており、使用された肉は周辺の農家から仕入れたニワトリのものだという。

 同社は今月17日から製造を中止、商品の回収を始めた。比内地鶏の肉かどうかを確定する検査方法はないため、県は今後、仕入れから出荷までの経路を伝票や聞き取りなどから調べる。

 民間の信用調査機関によると、「比内鶏」社は、全国に店舗を持つスーパーや百貨店、食品メーカーを取引先に持ち、今年3月期決算の売上高は4億円。大手スーパーのホームページからも同社の商品がインターネットで購入できるようになっている。

 同社は薫製のほか、きりたんぽセットや精肉なども扱っているが、薫製以外の商品については比内地鶏を使用していると話しているという。

 同社の石川徹総務課長は朝日新聞の取材に、「調査結果が確定するまでコメントは差し控えたい」と話している。

 加藤雅広・県生活環境文化部長は「信頼にかかわる問題。事実関係を明らかにし、信頼回復に努めたい」とした。
------------引用以上------------

  私は家にテレビがないので、ワイドショーやニュース番組が何を言っているのか知りませんが、おそらく無意味に危機感を煽るような言動をコメンテーターとかいう得体の知れない連中がしているのでしょう。民法のテレビのやっている番組というのは、スポンサーの宣伝のおまけです。CMとCMの間の短い時間についている付録だと思って見ていた方がいいでしょう。
  割とまともなことを言っているマスメディアを見つけたので、そちらをたたき台にしてこの問題を掘り下げてみます。

食品偽装/社会的責任の自覚欠如(日本農業新聞社説)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=347
------------以下引用------------
 ミートホープ、「白い恋人」、名古屋コーチン、「赤福」、そして比内地鶏。賞味期限の改ざんや食品表示の偽装が後を絶たない。これだけ続くと、誰もが手にとる食品一つ一つを「大丈夫か」と疑ってしまう。食べ物を買う際に、最も注意深く見るのは表示だ。その表示と異なる中身であれば、何を選択の基準にすればいいのか分からなくなる。価格競争など厳しい販売環境が背景にあるとしても、不正は食品全体への信頼を損なう。メーカーの、食品企業としての社会的な責任を、あらためて喚起したい。

 最近の一連の事件で共通しているのは、不正が長期間行われていたこと、匿名による通報がきっかけとなったことだ。比内地鶏を偽装した秋田県の食肉加工会社では、社長自身が「就任した10年ほど前に既に偽装が行われていた」と認めている。その時点で事実を公表すれば、まだ食品企業としての最低限のモラルがあったと言えるが、不正を隠ぺいし続けてしまった。経営者として失格といえる。

 しかし、「悪事千里を走る」だ。「赤福」でも比内地鶏の問題でも、内部精通者が公の機関に通報したことで不正が発覚した。多くの従業員が携わる食品製造では法令違反などを内々に処理したり、いつまでも隠ぺいしたりすることはまず不可能だ。昨年4月に公益通報者保護法が施行されたことで、内部告発や匿名通報は今後も増えることは間違いない。食品企業は、先例を教訓とする体質に早急に転換してもらいたい。

 食品の不正で怖いのは、問題を起こした企業だけで事が済まないことだ。ミートホープの問題が発生した時も、スーパーに陳列してある牛肉コロッケの売れ行きが一時落ちた。風評に惑わされる消費者が多いとは思わないが、さりとて同じような商品をわざわざ購入する消費者も少ない。万が一、長期化でもすれば生産・販売に与える影響は大きく、資本力の乏しい企業は事業の先行きさえ危うくなる。

 それにしても、食品にかかわる法令違反や不正がなぜ頻発するのか。バブル崩壊以降続く価格競争が、少なからず影響している。消費低迷の長期化の下で小売りは激しい価格競争を強いられている。そのあおりを受けて食品メーカーも、できるだけ安い原材料を仕入れ商品化することを迫られている。その結果、商品の「価値と価格」のバランスが失われ、「より安く価値のあるもの」が求められる。いわば異常ともいえる商品開発が起きているのだ。

 もちろん、厳しい消費環境の下でも懸命に企業努力を続けるメーカーもある。食品偽装はいかなる理由があろうと許されるわけではない。そう断った上で、食品に表示してある価格は商品価値を判断する一つの材料だと指摘したい。価格を軽視した商品には落とし穴があることを、消費する側もいま一度考えたい。
------------引用以上------------

>消費低迷の長期化の下で小売りは激しい価格競争を強いられている。
>そのあおりを受けて食品メーカーも、できるだけ安い原材料を
>仕入れ商品化することを迫られている。その結果、商品の
>「価値と価格」のバランスが失われ、「より安く価値のあるもの」が
>求められる。いわば異常ともいえる商品開発が起きているのだ。

  これは半分当たってもいますが、半分間違ってもいます。

  昨今頻発している食品関連の偽装が、国内の消費低迷に端を発することが多いのは確かです。たとえば、国産原料を売りにしていた伊勢名物の「赤福」に外国産の材料が使われ始めたのが1994年でしたが、この年は、「価格破壊」という言葉が流行になった
年でもあります。バブルが崩壊したにも関わらず円高が続き(ここをきちんと説明できないところが、市場原理主義的な経済学の限界だと考える。アメリカの誘導によって作られた「政治的円高」)、急激なデフレが進んだ時期でもあります。
  しかし、それだけで説明するのは無理があります。「赤福」が製造日の偽装や消費期限切れ製品の再利用をし始めたのは30年ほど前だということですし、上記の比内地鶏の偽装も20年の「歴史」があります。バブル崩壊後の消費低迷だけに原因を求めるのは妥当ではありません。
  
  私は、最近の食品偽装事件は流通というもののはらむ根本的な問題が現れたものだと理解しています。

  私が「赤福」という商品を初めて見たのは、確か新大阪駅だったという記憶があります。ここからして何か変です。赤福というのは、江戸時代のお伊勢参りの時期に売られ始めた商品だったはずで、だからこそ「伊勢名物」なのです。伊勢の品物をどうして大坂で売るのか。ここに、根本的な問題が潜んでいるのです。

  本来であれば、赤福にしても比内地鶏にしても、当初は地元での消費を前提とした商品だったはずです。それでもなんとかなっていたのは、農家やお茶屋さんが本業の傍らで生産していたからです。副業ならば、浮き沈みがあっても本業さえきちんとやっていれば生活はできます。
  ところが、現代ではこういった地方の名産銘品が「会社経営」になってしまっています。会社として経営する以上は、ものを売ってお金(貨幣)を稼ぎ出さなければ存続できません。これがそもそもの「転落」の始まりなのです。
  会社経営というのは、いかにして売るかということももちろん大事なのですが、それと同じくらい大事なのは、「借金をいかに返すか」という命題です。全て自前の資本で運営しているという会社はほとんどありません。どの会社も、銀行など金融機関からの借入金で凌いでいるというのが現状です
  そして、この借入金には金利がついてきます。放っておくとどんどん借金がふくらむのです。だから、これを返済する、もしくは金利分だけでも払い続けるということが大きな目標の一つになります。
  このような制約がある以上、純粋に「もうけ」を得ようとすると、金利の負担を上回るペースで利益を上げるしかなくなります。具体的に言うと、会社の売り上げのパイを増やすしかないという結論になります。だから、赤福の工場を大きくして、名古屋駅や新大阪駅で売ったり、比内地鶏の燻製を作って全国出荷したりするのです。
  そうなると、設備投資や販売促進費用、新商品の開発費などでまたお金が必要になるわけで、またぞろ借入金が必要になります。するとこれにまた金利の負担がかかり・・・という感じで、結局借金に追われるように経営を続けざるを得なくなるのです。
  もちろん、地元で観光客や、グルメマニアだけを対象にした経営をしていてもかまいません。しかし、それでは存続ができません。それが現実です。

  つまり、現在の経済の仕組みを前提にすれば、食品は必ず「価格競争」が生じ、いずれ「価格破壊」に突き進むことは当然の理ということです。

  日本農業新聞の社説では、

>メーカーの、食品企業としての社会的な責任を、あらためて喚起したい。 

  と主張し、その一方で、

>価格を軽視した商品には落とし穴があることを、消費する側もいま一度考えたい。

  と、消費者に対する注意を喚起しています。

  不思議だと思いませんか。食品の偽装に関する事件が出てくると、最後に出てくる結論は、このようにだいたいは当事者や消費者の倫理を問題にしてしまうのです。
  しかし、食品を扱う主体が企業であり、売り上げ増大や事業規模の拡大を至上命題にしている以上、このようなかけ声はあまり意味がありません。ほとぼりが冷めれば、また同じような事件が出てくるでしょう。あるいは、もっと上手に隠蔽がなされる可能性もあります。

  かといって、この事態を放置するわけにもいきません。「消費者も騙されてやっていると思えばいいじゃないか」「安全な食品なんて今の世の中ありえない」などと言ってはいけないということです。
  私が思うに、このような食品関連の偽装事件が「頻発」している、もしくは、上の記事にあるような「公益通報者保護法」が制定されたのは、ある狙いに基づいていると思っています。
 
  その狙いとは、ズバリ言うと、「グローバリストによる地方企業絶滅作戦」です。

  何をオーバーな・・・と思わず、もう少しお付き合いください。
 
  グローバリストというのは、利益を極大化するために、自国への影響を考慮せず積極的に海外に進出し、国家間の垣根を取り払おうとする勢力のことをいいます(詳しくは●こちらを参照)。特に「商社」「大型スーパー」の最大の武器は、日本と海外の価格差を利用した薄利多売です。これを、マスコミを通じた広告で消費者に売り込むのです。こういう連中にとっては、デフレはかえってチャンスです。低価格競争になれば、中国やアメリカという低価格な原材料調達先とパイプがあるグローバリスト企業には圧倒的に有利であり、デフレになればダンピング(シェアを奪うための値下げ)をしかけて、競合他社を潰すことができるからです。
  そのような行動の邪魔になるのは、地元に根付いている企業です。彼らがいるだけで自分たちのシェアが低下するからです。赤福にしろ、「白い恋人」にしろ、「ミートホープ」にしろ、共通しているのは、地元で長年営業している企業だということです。こういう企業が特定の市場に根を張っていると、グローバリストにとっては非常に邪魔なのです。
  そこで、バブル崩壊後の「価格破壊」で価格競争に持ち込み、偽装問題で息の根を止めようとしている、というわけです。マスコミというのは大企業がスポンサーについているので、そういう動きには喜んで荷担するでしょう。
  よく考えてみて下さい。なぜこれだけ食品の偽装が騒がれているのに、伊藤ハムだとかハウス食品や森永製菓のような大手食品企業や、ジャスコのような大型スーパーの「内部通報者」が出てこないのか。
  大手だから気をつけている・・・というのもあるかもしれません。たとえば、小麦製品からほとんど殺虫剤が検出されない日清食品のような例もあります。しかし、それが一般的だという保証はありません。
  簡単な話です。グローバリスト企業やその系列の企業は、もうそういう面での配慮などしていないのです。その代わり、聞かれない代わり触れないし、いざというときに外国のせいに出来るように中国産やタイ産を使っているのです。
  へたをすると、もうあと10年もすれば、赤福のような地方に根付いた名物企業は日本から姿を消すかもしれません。以下の記事のような状況があるからです。

まだまだ続く? 相次ぐ値上げ、企業努力そろそろ限界
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/m20071024032.html
------------以下引用------------
 食パンにカップめん、カレー、トイレットペーパー、ガソリン…。この秋、生活必需品の値上げが相次いだ。新興国の需要拡大などで原料高騰に直面した食品業界が値上げの先陣を切り、原油価格の高騰がタクシー、電力・ガス料金の値上げへと影響のすそ野を広げ、家計を直撃する。今のところ大手スーパーが巨大な商品調達力をバックにした値上げ拒否姿勢でそのダメージをやわらげているが、本当の影響はこれからが本番だ。

 食品原料の高騰は、中国など新興国の消費拡大に加え、需要が高まるバイオエタノール生産向けに振り向けられるなど食料争奪戦が背景にある。最近のパンやめん類の原料となる小麦価格は、政府売り渡し価格の引き上げもあり、平成12年の1・8倍に上昇。日清フーズが11月から家庭用パスタや小麦粉を17年ぶりに値上げするのに続き、カップめん、パン、うどんへと連鎖している。

 大手商社は、今後は13億人の胃袋を抱える中国が穀物輸入大国となり、「穀物や食品原料の価格は高止まりし、畜産農家が飼料コストを吸収できずに食肉の値上げにも波及する」とみる。

 原油価格の高騰による生活品への影響も大きい。学生やサラリーマンに身近な文具品では、大手のコクヨが10月からのコピー用紙に続き、来年1月からはノート類も値上げする。

 古紙や重油などのコスト増で製紙各社も悲鳴をあげる。日本製紙連合会の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)は22日、「もう一度価格改定をお願いせざるを得ない」と追加値上げを示唆した。ティッシュやトイレットペーパーは11月出荷分から7月に続く第2弾の値上げを打ち出したばかり。スーパーの特売作戦にも影響が出そうだ。

 家庭向けの電力、ガスにも値上げの波が押し寄せている。電力料金は燃料となる石油、ガスの値上がりを反映して「(来年1~3月分を)値上げすることになる」(東京電力・勝俣恒久社長)見通しだ。

 第一生命保険経済研究所は、今年7月までの生活必需品の値上げによって、17年12月時点と比べて家計負担が実質で年間1万9018円増加したと試算する。今後の電気料金などの影響を考慮すると負担額は膨らむ一方だ。

 ただし、相次ぐ食品メーカーの値上げ表明に対して、大手スーパーなどには受け入れを拒否する動きもある。「100円ショップ」を展開するザ・ダイソー(広島県東広島市)も「110円ショップになったらお客さまに申し訳ない」と、当面は企業努力で乗り切る方針だ。

 さらに、花王の尾崎元規社長は23日の中間決算発表の席上、原料高の影響は避けられないが、化粧品などの消費財は当面企業努力でコストを吸収する姿勢を強調している。

 とはいえ、企業努力が限界に達するのは時間の問題。消費者の懐具合にもジワリと影響が広がるのは間違いない。
------------引用以上------------

  中国の経済発展はグローバリストである国際金融資本やトヨタのような輸出依存企業の投資によるものですし、バイオエタノールでうれしい悲鳴を上げているのは「カーギル」や「モンサント」のようなアメリカのグローバリスト企業です。
  そして、各国では中小企業が青息吐息になり、大手企業や大規模な流通業者がシェアを伸ばすチャンスになっている・・・もう、何か出来レースを見せられているようで腹が立ちます。

  では、こういう流れをどうやって止めるか、という問題になります。はっきり言っておきますが、今の経済の仕組みを前提にしたままで、この問題を解決することはできません。

  いったん切って、続きを書くことにします。「話し言葉で歴史を語る」の続編は、もう少々お待ちください。

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2007.10.24(Wed)

【商人の歴史1】商業が生まれてきたころ 

  前回のフランス革命と明治維新の話が結構受けたので、二番煎じじゃないですが、やってみたいと思います。変なタイトルですが、適当にしゃべっているものですが、一応今回は商業とは何かという話をしてみたいと思っています。
  
  これは本当に余談なんですが、どうも2ちゃんねるかどっかで、●「どうすれば日本は戦争をせずに済むか」という記事を「歴史を知らない奴が背伸びして書いてるわい」とかなんとか揶揄してくれていたんですね(笑)。ああ、俺も少しは有名になったのかな(笑)とかわけわからん感慨を覚えましたが、ああいうのは多分、歴史マニアだとか専門家の卵みたいな人が書くんでしょうね。つまり、私みたいな素人が歴史を語るとは何事かと。
  こういう事態は愉快ですね。歴史って言うのは、教科書を書いている人間のものじゃないというのが私の考えです。つまり、国だとか、そこからおこぼれを頂戴している専門家さんたちが独占して、支配の道具とか金儲けの道具にするような状態は望ましくないということです。私が客観的な史料を基に研究された歴史をながめて、どういうことを考えたかがこのカテゴリーの記事になっていますから、みなさんも同じように歴史について考えてみるといいと思います。

  さて、なんでまた商人の歴史なんていうテーマを選んだのかというと、このブログでは「グローバリゼーション」ということをかなり批判的にとらえていろいろな記事を書いているということがあります。
  以前から記事を書いていて思ったのは、グローバリゼーション、まあ簡単に言うと貿易や経済の地球規模化ですが、それは別につい最近とか帝国主義の19世紀に始まったものではなくて、もしかしたら商業というものが本質的にはらんでいる問題なんじゃないかということです。つまり、ものを売ったり買ったりという活動そのものの中に、人間社会を破壊する原理みたいなものが含まれているんじゃないかということです。
  そうはいったものの、もしかしたら商業の歴史というのは人類の歴史でもあるわけで、かなり長大な物語になるような予感がしています。まあ、要するにだらだら続くかもしれないよということですが(笑)。多分、かなり脇にそれたり、
  今回はとりあえず、商業が成立する基盤というものについて、原理的なお話だけしておこうと思います。次に古代中国なんかの話が入ってきて、ヨーロッパの話や日本の話も入れていって、最後に最近の話をして、今の経済や商業をどう考えるかという流れになると思います。

  さて、商業ってそもそも何なんでしょうか。

  商業って、不思議な職業だと思いませんか。どうしてかっていうと、そもそも商業の担い手である商人という人種は、自分では何もものを生産していないんです。それなのに、どうして生計を立てていられるんだろうか・・・確か、中学の歴史の先生が、中国の「孔子」を取り上げた時にそんなことを言っていた記憶があります。

  私が勝手に思っているんですが、おそらく初めは商人という職業が独立してあったわけじゃないと思うんですね。

  経済というのは、どこの社会でもまずは現物経済です。自分たちで木の実やらイノシシやら取ってきて、自分たちで消費するという形です。この時は、家族やらそれがでかくなった部族みたいな単位で経済が営まれています。
  狩猟採集の時代の最大の特徴は何かというと、「余剰」というものが発生しないことです。余剰というのは、消費しきれないで余った物ということです。これには二つ理由があって、まず一つはそもそも狩猟採集で獲得できる物に限界があるということです。もう一つは、余剰なんて必要ないということです。
  特に後者は重要です。この頃に経済学で言うところの「財」というものが存在するとしたら、食べ物だけです。この食べ物は、放っておくと腐ってなくなってしまいます。だから、必要以上にとっておいてもしょうがないわけです。

  これが激変するのが、農耕の開始です。日本ではこのへんがかなり錯綜しているのが現状ですが、一応教科書なんかで広く知られているのは、本格的に農耕が始まった時代は弥生時代だということです。外国ではもっと古くて、紀元前9000年くらいにメソポタミア文明といのが始まっていますが、このとき農耕が始まっているようです。日本の近くで言うと、中国北部の黄河文明、特に紀元前4000年くらいからの仰韶(ヤンシャオ)文化なんかで組織的な農耕が行われていた跡があるようです。
  農業が始まったということなんですが、これによってある社会の中に余剰が蓄積されるようになったわけです。もちろん小麦とか米なんで永久にというわけにはいきませんが、それまでのイノシシの肉と違って長期間保存ができます。しかも、ドングリの実なんかと違って、主食と言われるほど高カロリーで、これさえ作っていればとりあえず飢えて死ぬことはなくなったという、非常に便利なものでした。
  ああ、言っておきますけど、この頃は今と桁違いに生産力が低いというのは忘れないでください。2000円くらいで5キロの米を簡単に買える今とは比較にならないくらい物が少ないということです。
  しかし、それでも余剰は出てくるんですね。そして、重要なのが、その余剰が集まっていく場所は権力者のもとだということです。
  おそらく、商人というのは、この権力者に委託されて、余剰物を管理したり交換したりした人たちから始まったんじゃないかなと思うんです。よく、「御用商人」という言葉が使われますが、おそらく商人というのは初めはみんな御用商人だったんじゃないかということです。
  つまり、古代の社会では、一般国民である農民が生産した物が、いったん権力者のところに集まり、そこで権力者が消費しきれなくなったものを運用していたのが商人だったということです。エジプト古王国(紀元前2686頃~)の時代に、すでに「フェニキア人」というのがいて、エジプトの金や穀物と、レバノンの木材、●レバノンの国旗にも書かれている「杉」ですが、あれを交換していたといいます。エジプトはナイル川の周りは全部乾燥帯ですから、レバノンの木材はありがたかったんじゃないかと思います。
  もう少し時代が進むと、こういう余剰は、単なる生産活動ではなく、戦争の結果としても増大していきます。古代エジプトを例に取ると、今のスーダン一帯、この時代に「ヌビア」と言われていた地域を征服した時に、大量の金を獲得しています。これが中王国(紀元前2040年~)という頃なんですが、新王国(紀元前1500年前後~)の時期になると、シリアやパレスチナにも遠征して、膨大な戦利品を得ています。まあ、早い話が強盗みたいなもんなんですが、権力者である王のもとには、珊瑚で作られた像だとか鉄製の武器だとか、そういうものがたくさん入ってきます。
  こういうものを交換して、権力者がほしいものを手に入れるよう動いていたのが商人です。エジプトだと中王国の時代から、メソポタミアにある国々と交易をしていたという記録が残っています。エジプト新王国の時代になると、いよいよ「商人」という意味の言葉が誕生することになります。この時代の商人は、シリア人です。エジプトとメソポタミア、アッシリアといったオリエント地域を結ぶ中間に住んでいたので、ちょうどよかったんでしょうね。さっき出てきたフェニキア人でいえば、今のレバノンやイスラエルにあった古代都市とエジプトの間を地中海でつないでいたというわけです。
  しかし、あくまでこの時代の経済主体は権力者に限られています。生産した物が権力者のもとに集まってくるので、それを運用する御用商人が誕生したということです。

  エジプトの話をしていると多分知識のない管理人のボロがどんどん出てくると思うので、次回は、日本や中国あたりの話に移りたいと思います。

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