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2007.10.11(Thu)

カイカクを支える、「既得権益」に対する恨み 

  「真綿で首を絞める」という表現がありますが、日本国民がまさにそういう状態になりつつあるという気がするニュースを紹介します。ちなみに、首を絞めているのは「政府」「与党」であり、真綿には「カイカク」とか「財政均衡」という名前がついています。

公営住宅:国が入居継承を厳格化「親の死後、子は住めず」
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071010k0000e040068000c.html
--------以下引用--------
東京都渋谷区の「笹塚二丁目アパート」。都営住宅は8月25日から、継承資格が厳格化された 国が05年、都道府県に対して公営住宅の入居継承資格を厳格化するよう求めた通知を巡り、入居者に不安が広がっている。入居資格は従来、親から子へ継続できたが、通知は「入居機会の公平化のため」に継承権利者を「原則、配偶者のみ」に限定した。しかし、低家賃で住める公営住宅は、収入が少ない母子家庭や障害のある子供を持つ家族も少なくない。親たちは「自分の死後、子供は住む所がなくなってしまう」と訴えている。

 「私に何かあったら、娘と孫はどうすればいいの」。東京都渋谷区の都営住宅「笹塚二丁目アパート」に住む木村繁子さん(83)は肩を落とす。

 長女房江さん(54)と孫の隆士さん(25)と3人暮らし。房江さんは糖尿病で、毎日4回インスリン注射をしながら週6日、スーパーでパートをこなす。隆士さんは知的障害4度。一時は福祉作業所を利用したが、障害者自立支援法では受け取る工賃より自己負担の方が高額となるため、今は通っていない。

 房江さんのパート代や繁子さんの月12万円の年金などで、月収は多くて30万円程度。生活費や月2万円弱かかる房江さんの治療費でほぼ消える。繁子さんは自分が死亡し年金収入がなくなっても、家賃が1万円超の都営住宅なら、娘と孫の2人で何とか暮らしていけると思ってきた。

 ところが、国土交通省は05年12月、継承権利者を「原則、現に同居している配偶者」に限るよう都道府県に通知した。これを受け、都は継承制度を改正し、8月25日に施行した。結果、房江さんは継承できなくなった。

 通知は、高齢者や障害者など「特に居住の安定を図る必要がある者」には例外的に、配偶者以外への継承を認めるが、判断は都道府県に委ねられている。都の場合、知的障害4度は「軽度」とみなされ、隆士さんは特例の対象外だ。繁子さんは「娘と孫はホームレスになれと言うのでしょうか」と訴える。

 こうした例は都営住宅に限らない。鳥取県倉吉市の県営住宅では5月、母子家庭の母親が19歳と17歳の息子2人を残し、がんで他界した。大学浪人中の長男は10月に成人になるため、その後半年以内に兄弟は退去しなければならないという。親族は「同じようなケースが今後、全国で相次ぐのでは」と懸念する。

 ◇「親子間の継承は不公平」

 国土交通省によると、公営住宅の戸数は近年、全国約220万戸で横ばいだが、05年度の応募倍率は全国平均9.9倍で、97年度以降8年連続で上昇した。継承申請は04年度、東京・大阪で7424件、子供への継承は2割を占めた。国交省は継承資格の厳格化を「長年、同一親族が居住し、入居機会の公平性を損なっている」と説明する。

 東京都は通常で倍率30倍前後、高い時は50倍に上る。都担当者は「親子間の継承は不公平。重度の障害者や高齢者は例外中の例外だ」と指摘する。親を亡くした子供については「成人すれば自立できる。『20歳過ぎだが収入がない』と言われても、無収入で家賃を払えなければ、そもそも公営住宅に住めない」と特例扱いを否定する。

 住宅政策と社会保障の問題に詳しい大本圭野・東京経済大経済学部教授は「公営住宅の高い倍率は、国の経済政策で格差が拡大し、貧困層が増えた結果。継承資格の厳格化は、社会の不公平は放置して限られた牌(ぱい)を低所得者間で競わせるやり方で、公平とは言い難い。厳格化が進めば、『住宅のセーフティーネット』という公営住宅の意義がなくなる」と指摘する。
--------引用以上--------

  私が加入している「ソーシャル・ネットワーキング・サービス」とやらでは、ニュースを引用して日記でコメントをつけることができる機能があるのですが、そこでの上記ニュースについての意見を見てみると面白いです。

  一つ目の意見はこういうものです。(プライバシーに配慮して、言い回しを若干変えてあります)

「市営住宅が建て替えられた。マンションと見間違える外観と作りだ。
しかし、いつも不在…聞けばいつもは隣町の子供の家に居るそうだ。本来は低所得者向けのはずが駐車場にはハマーや国産、外車の高級車がずらりと並んでいる。退去すると勿体無いから物置代わりに使ってるのだろうか。子供も収入で再審査したらいい」


  それに対するコメント。

「ニュースからきました。おっしゃる通り。既得権強すぎです。」

  二つ目の意見です。

「親の知り合いにも公営に住んで楽してる人いました。働けるようになってもあまり働かないらしい。苦労してる人たちに迷惑だ。公営に限らず住んでる人への法律は甘いです。家賃滞納もすぐに追い出せればいいのに、なかなか追い出せません。追い出せても残された荷物は捨ててはいけないとかわけわからん法律がある。よく生活できなくなるとかの言い訳を聞くが、赤字になるとこっちも生活できなくなるんだが」

  上の二つの意見とコメントに、共通する「何か」を感じませんか?

  そうです。「公営住宅入居者はみんな既得権益の保持者だ」という先入観です。

  上の通達が出されているのは2005年です。ちょうど「小泉カイカク」の真っ只中だった時期です。
  小泉氏のカイカク路線というのは、郵政民営化に代表されるように、既得権益と言われるものを破壊し、それによって公平な社会を生み出すのだという論理に支えられていました。それ以前からのマスコミの規制緩和に肯定的な論調もあり、彼の任期5年間でこの論理は国民の間に広く浸透することになりました。
  上の意見は、そういう論理を真に受けているものだと言えそうです。果たして妥当なのかどうか検討しましょう。

  確かに、公営住宅の賃借権は、大して困ってもいないくせに親から受け継いでいるという例もあり、公正な運用がなされているかといえば、そうだと断言できるものではありません。また、とても「公営」といえないような●このリンクにあるような、異常な事件もあったりします。
  しかし、そういう常軌を逸した例は個別に対処が可能です。そうではなくて、それ以外の事例についても、公平性の担保を厳守しろということになったら、おそらくその事務処理負担でさらにコストがかかることは目に見えています。たとえるなら、スピード違反は許せないから、あらゆる場所でいつ何時でも、制限速度を少しでも超えているスピード違反も取り締まれという話に似ています。非現実的です。
  ところが、そういうことを公務員という他人に求めながら、コストを切り詰めなければ首にすべきだと主張する人が後を絶ちません。自分はいったいどれだけ効率的で合理的な生活を送っているというのでしょうか。

  それなら、「公営住宅なんて全廃しろ(どうせ俺は住んでいないし)」とかいう人もいるでしょうね。そうなると、引用記事のような悲惨な人までまとめて放り出されてしまうことになってしまいます。それを仕方のない犠牲だ、というような人は、自分がどれだけ非情かわかっているのでしょうか。おそらく、理想を実現するためなら他人なんて死んでもいいんだ、と頭の中で思っているような人なんでしょう。
  そういう論理を振りかざす人は増えているような気がします。ネット上では確実に増殖しています。2ちゃんねるや、私のいるSNSの日記なんかを見るとすぐに分かります。

  要するに、「公営住宅から既得権益を追放しろ」(入居者でない自分には関係ない)とか「既得権益になるくらいなら全廃しろ。困窮者も努力すればいい」(自分は努力するつもりなどない)などという人は、自分より少しでも有利な立場にいる人間が憎くてたまらないのではないでしょうか。
  だから、そういう人たちを引きずりおろしたい。みじめで、望まない日々を送らざるを得ない自分のポジションにいる人間を少しでも増やしてやりたい。自分は努力したくないから、小泉さんや安倍さんが「こいつだ」と言った連中を集団リンチして暗い情熱を満たしたい。
  そんな感じじゃないんでしょうか。哲学者のニーチェが言うところの「ルサンチマン」です。

●ルサンチマン
--------以下引用--------
ニーチェの用語。被支配者あるいは弱者が、支配者や強者への憎悪やねたみを内心にため込んでいること。この心理のうえに成り立つのが愛とか同情といった奴隷道徳であるという。怨恨。
--------引用以上--------

  「強者」を「公営住宅入居者」に、「愛とか同情」という部分を、「自己責任」や「カイカク」と置き換えれば、そっくりそのまま今回のケースに当てはまりますね。まあ、魔女狩りの原動力になったような心理だといってもいいかもしれません。
  ネットで朝鮮人を執拗にたたいたり、カイカクを進めて既得権益をぶっつぶせと言っている連中は、要するにルサンチマン保持者なのです。

  ここで笑えるのは、このようなルサンチマン保持者の要求するような「既得権益の破壊」やら「公正な社会実現のためのカイカク」とやらがどれだけ進行しても、ルサンチマン保持者にはそれによって生じた利益を享受する余地がほとんどないということです。
  どういうことか、公営住宅の例で見てみましょう。東京都の都営住宅で、一般世帯向けの物件を見てみると、●こちらにあるように、全物件の平均応募倍率が38倍です。しかも、年1回の収入報告に基づいて再審査をおこない、審査の結果に基づく退去命令に従わない場合は強制執行(昨年は5~60件執行判決があったらしい。筆者が都庁の職員に電話できいた)もちゃんとやっていて、この倍率です。これでは、親から子への賃借権の承継が認められたからと言って、ルサンチマン保持者が公営住宅にありつける可能性が劇的に上昇するということはまずありません。
  全国平均で9,9倍ですから、人口比を考えれば、東京以外でも似たような現象が進行しているのでしょう。要するに、既得権益者をいくらつるし上げても無駄なのです。
  それでも既得権益叩きに夢中になっている連中は、小泉さんや安倍さんが社会が公正さを取り戻してくれれば、自分たちも豊かになれる・・・そういう夢を勝手に見ているだけなのです。そういう奴こそ「自己責任」で「自助努力」をしろ、と言いたくなるのは私だけでしょうか。
  だいいち、本当に生きることに必死だったら、他人が月にいくら得をしているなんてどうでもいいはずです。要するに暇なんです。それなのに、願望や欲望だけはあるからストレスは溜まっていく。でも、それを自分のせいにしたくない。学校でイジメをやるような、つまらない人間と、メンタリティがものすごく共通していますね。
  そういう自分の惨めさ、頭の悪さを、さも財政危機だからとか公正な社会の実現だとか、正当化するのはやめてもらいたいです。何でもいいから理屈をつけて気に入らないやつを排除しろ、というのは中世の魔女狩りと同じです。

  そういう連中のルサンチマンを背に受けて、小泉内閣はカイカクとやらを進めることができたのでしょう。安倍前総理が失敗したのは、ルサンチマンを持っている人間の身になってその望むところをくみ取り、徹底的に煽ることができなかったからだとも言うことが出来ます。

  思うに、公的機関が弱者救済をやるとなったら、前出の、同和住宅に住んでいる公務員が家賃を滞納するなどという馬鹿げた事態は除くとして、多少のロスは生じるのが当然なのです。それを排除していたら、弱者救済そのものができなくなります。
  ところが、小泉カイカク・安倍カイカクを礼賛してきた人は、そういう「無駄」を許すことが出来ないのです。ある意味潔癖な人々だといえます。
  しかし、その潔癖さが本当に困窮している人間までを結果的に追いやることになっているのだとしたら、やはりもう一度考え直してもらいたいなと思うしだいです。
  他人を憎み、排除することにかまけていると、本当に戦う相手が見えてきません。弱者同士で共食いをしていては、グローバリストのように、権力を利益誘導に利用している人々に踊らされるだけです。
  ちょうど、中世の魔女狩りを利用して、カトリック教会が財産家から財産を奪い取り、若い女性に性的陵辱を加えたのと同じ事態が進行中なのです。既得権益を持つ人間をリンチして非人間的な喜びに浸ることなどやめて、魔女狩りの主犯であるカイカク推進派を糾弾すべきです。
  もしあなたが、ルサンチマンがあることを自覚し、それを克服したいと願うのなら・・・ですが。

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