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2007.10.03(Wed)

日本は「満州」の夢を捨てられるか(2) 

  前回記事●「日本は「満州」の夢を捨てられるか(1)」の続きです。
  
  前回の最後に、中国東北部がヤバイ地域である要因として「水」と「朝鮮」を挙げましたが、今回は「水」について言及したいと思います。

中国東北部の地図

  
  水と言えば農業なので、まず東北部の農業の話を簡単にしてみましょう。

  以前から、中国東北部は大豆、こうりゃん、粟といった雑穀の産地として知られました。私と同じ年代の人たちは地理の授業でそういう感じのことを習っているはずです。
  しかし、「改革・解放」が提唱された後の東北部の農作物は様相が変化しています。黒竜江省を例に取ると、大豆はもちろんとして、トウモロコシや小麦のような重要なカロリー源の比率が大きくなってきました。昔はほとんどなかった水田も、いまや耕地面積の10%を占めるほどにまで広がっています。
  そういう理由で、同省は「北大倉」(北の大穀倉地帯)とまで言われています。たとえば、以下のような記事があります。

「北大倉」2007年に穀物生産量375億キロを維持
http://www.people.ne.jp/2007/02/13/jp20070213_67844.html
--------以下引用--------
中国最大の穀物生産基地である黒竜江省の2007年における食糧作付け面積は150万ヘクタールとなり、普通の作柄なら、穀物生産量が375億キロに達し、穀物の優良率が90%となることを目指している。

中国最大の商品穀物生産基地である黒竜江省では、穀物の商品化率がすでに70%に達し、「北大倉」(中国北部における大きな穀物倉庫というたとえ)と高く評価されている。2004年いらい、中央政府と黒竜江省政府は農業税の免除、食糧作付けに対する直接補助金、優良種採用に対する補助金、農業用機械利用に対する補助金など、農民にメリットをもたらす政策を実行し、農民たちの生産意欲を引き出すことになった。2006年の黒竜江省の穀物生産総量は378億キロで、三年連続で増産の勢いを保ち続けた。

2007年、黒竜江省は標準化の生産政策を実施し、先進的な作付けの技術を広め、大型農業機械の役割を生かし、農業機械化のレベルを向上させ、干ばつを克服して播種を行い、苗の活着率を確保することに力を入れている。節水灌漑農業の発展を促し、良種の使用を広め、収量増加の潜在力を掘り起こすことに努めている。2007年において、黒竜江省の農業分野のハイテク利用耕地面積は延べ140万ヘクタールとなり、昨年同期比10万ヘクタール増となっている。省全体の穀物標準化率は90%を突破することを目指している。
--------引用以上--------

  ずいぶんと景気のいいことが書いてあります。しかし、よく見ると、記者の良心なのか、

>普通の作柄なら

  という条件がついています。

  これが2月の記事だったわけですが、7月になるとこういう事態が起こります。

深刻な干ばつ、農地132万ヘクタール耕作不能=中国黒竜江省
http://jp.epochtimes.com/jp/2007/07/html/d88350.html
--------以下引用--------
 中国北部の干ばつの影響で、黒龍江省は今年に入ってから深刻な状況が続いている。すでに132万ヘクタールの農地が水不足のため耕作不能になり、農民の生活は苦しい状況に陥っている。

 新華ネットによると、黒龍江省は6月に入ってから降雨量が少なく、高温が続いているため、すでに132万ヘクタールの農地が干ばつにより耕作不能になっている。地元各地では緊急措置を取っているが、最近はまとまった降水がないため、状況はさらに厳しくなるとみられる。

 報道によると、6月上旬、中旬において、黒龍江省の降水量は極めて少なく、特に大慶市、ハルピン市および綏化市西部、チチハル市の一部県地方での降雨量は10ミリにも満たない。前年同期と比べて3~9割減となっている。また、南部地区の降雨量は、例年の4分の1にも満たないという。

 一方、干ばつに加えて、高温も続いている。6月上旬、黒龍江省の平均気温は例年同期比2~5℃上昇しているという。報道では、黒龍江省水利庁干ばつ洪水予防対策弁公室の責任者の話を引用し、黒龍江省における今春の干ばつは例年と異なり、苗を植える時期に干ばつに当たったため、一般の対処法では効き目がなく、干ばつによる損失はさらに深刻になるとみられる。多くの農地は深刻な水不足のため、一部の苗はすでに枯れ始めたという。

 これに対して、黒龍江省当局は毎日180万人を出動させ、5万8千台分の水車などの設備を使用して水を運んでおり、すでに1億8千万元(約27億7200万円)を費やしている。さらに、水対策のために、新たに6,898箇所の井戸を掘り起こした。

 報道によると、3分の2の農地が干ばつの影響を受けているため、吉林地区はすでに2級干ばつ警報を発令した。また、遼寧地区においても、ここ30年間で最も深刻な干ばつであるため、気象局は干ばつ黄色警報(3段階のうち最低)を発令した。

 統計によると、6月に入ってから、遼寧省では127万人および47万頭の家畜が飲用水不足に陥っており、88のダムが枯渇しているという。
--------引用以上--------

  もともと中国東北部は非常に降水量が少ない地域です。黒竜江省の中心都市ハルピンでも年間降水量は550ミリ程度にしかなりません(日本の平均は1700ミリ)。
  そういう土地でどのように農業をするのかというと、基本的に「灌漑」に頼るほかありません。水のあるところから引っ張ってくるということです。
  灌漑にも二つの種類があって、川から引っ張ってくるものと、地下水を利用するものがあります。しかし、中国東北部の場合、このどちらともが非常に大きな問題を抱えています。
  たとえば、アムール川(黒竜江)の支流である松花江などは、夏になって少し雨が降らないとすぐに水位が低下することで有名です。●こちらの記事に2001年の様子が出ていますが、川底が完全に見えてしまっています。今年の7月には流量が521立方メートル毎秒と、観測史上最低値を更新したそうです。
  かと思えば、洪水を起こしたりします。●1998年の大洪水は有名です。要するに、流量が一定ではないのです。
  この松花江の暴れっぷりの原因は、どうやら源流地域である「大興安嶺」地区の森林破壊にあるようです。

中国大興安嶺林区、16年後には「伐採不能林」に
http://www.enviroasia.info/news/news_detail.php3/C03091004J
--------以下引用--------
 中国大興安嶺林区は、16年後には「生産ゼロ林」というやっかいな状態に陥ると見られている。関係専門家は、政府が速やかに森林資源の一斉調査を実施し、木材生産計画を調整して科学的に森林地域の木材生産量を定めて、天然林資源の持続可能な発展を実現させるよう提案している。
 
 中国北部国境部に位置する大興安[山令]林区は、中国の天然林の主要分布地域の1つであり、1964年より材木基地として開発が始まり、1998年初めて天然林保護プロジェクトのテストが始まった。

 「天然林保護プロジェクト」始動後、この地域に伐採制限が実施され、木材生産量は年々減っていった。しかし当地域の商品林は40年間に渡る過剰伐採で、採取可能な資源は既に限られており、現在の制限伐採の速度に照らしても、せいぜい16年間しか木材生産ができない。16年後、成長した林木も伐採の需要に応えられず、36年間の「生産ゼロ林」という状態を作り出してしまう。

 天然林保護プロジェクトは5年以上に及ぶのに、なぜ当地域の伐採可能な天然林は減る一方なのか?専門家は、これは関連部門が当地域に割り当てた商品木材生産量と実際の生産量の差が大きく、持続可能な生産を不可能にしたものと見ており、改正は必須で、更に当地域の木材生産量を減らすべきだと提案している。
--------引用以上--------

>40年間に渡る過剰伐採

  改革開放が始まるはるか昔です。現在の中国の抱える環境問題も、実はこういう風に、毛沢東の時代から種がまかれたものがたくさんあるのかもしれません。
  大興安嶺地区は木材の一大生産地でもあり、中国東北部で経済発展をするとなれば、輸送コストの面から言っても需要が高まるのは間違いありません。しかし、これを切れば松花江はさらにコントロールが難しくなっていきます。
  それなら、本流の黒竜江(アムール川)はどうなのかというと、こちらで水を大量に取り込んでしまうと非常にやっかいな問題が起こります。隣国ロシアとの国境になっているからです。
  冬場には凍結してしまうアムール川ですが、それでもロシア極東の重要な水資源になっています。アムール州では、 極東地方の穀物の62%、肉の20%、動物性油の55%が同州で生産されているほどです。アムール川の水位が低下するような事態を、ロシアが座視するとは思えません。

  では、地下水を利用すればいいのかというと、そういうわけにも行かないのです。
  中国の農業用水の実に4割が地下水のくみ出しに依存していると言われています。当たり前のことですが、地下水のくみ出すペースが貯水されるペースよりも早ければ、地下水が枯渇していきます。
  そのため、掘る井戸はどんどん深くなり、やがて「化石帯水層」と言われる氷河期の氷が溶けた時の水にも手をつけるようになっていきます。この化石帯水層に手をつけたら、もう後戻りはできません。
  それに、地下水自体の汚染もかなり深刻なものがあります。以下の記事をご覧ください。

中国の都市の半数、地下水汚染が深刻・新華社
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=2007082803267n1
--------以下引用--------
 中国の国家環境保護総局は、全国の約半数の都市で地下水の汚染が深刻になっていることを明らかにした。国営の新華社が伝えた。地下水は飲料用や工業用に使われており、人体や企業活動への影響が懸念される。開催中の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会では「水汚染防止法」の修正案が審議されており、汚染抑制へ向けて罰則の強化などが決まる見込み。
--------引用以上--------

  日経新聞の記事ですが、こんな記事を出しておく一方で「中国の発展は加速する」などという見出しの記事で国民をあおっているのですから、朝日新聞よりもよほどたちが悪いです。
  まあ、それはともかくとして、上のような地下水の汚染について、中国東北部だけが例外だとはとてもとても思えません。

  こんな状況で、満足な工業用水が確保できるわけがありません。

  仮に、今の東北部の水事情でさらなる工業化を促進した場合、どのような問題が起こるか予測してみます。

  まず、工業用水として大量の水が消費されるので、水資源はさらなる枯渇を生みます。松花江などの川からの灌漑や、地下水の汲み上げは増大し、その結果、農業用水の不足が顕著になります。
  そうなると、中国国内でのトウモロコシや小麦、大豆の生産に決定的なダメージが生じるでしょう。当然農民は失業し、都市に流入します。これが犯罪の温床になるのは想像に難くありません。
  それ以上に重大なのは、黒竜江省産の農作物の減産により、穀物価格が高騰することです。ただでさえ中国は穀物(特にトウモロコシ)を輸入している国です。間違いなく食料品の価格は暴騰するでしょう。庶民の懐にダメージを与えるのは間違いありません。
  つまり、東北部に「水」というボトルネックがある限り、工業化をすることは無理なのです。日本人なら間違いなくやめるでしょうし、欧米人や朝鮮人でさえこんな開発はやめるでしょう。
  しかし、中国は常に外国からの投資がなくては回っていかない国なのです。そのためには、なんとしても東北部を「次のホットスポット」に仕立て上げなくてはならないのです。

  中国政府もまあ一応考えてはいるようで、東北部の開発の軸にはIT産業を持ってこようとしています。また、水資源の保全についても、あわてて植林をやったり、日本から環境保護の専門家を呼んで、土壌のアルカリ化を解消したり、いろいろ努力はしています。仮に、これらの努力が実ったとしましょう。
  また、上記のような社会不安も、雇用対策やら、ありあまる外貨準備でアメリカやアルゼンチンの穀物を買いあさるやらでなんとか食い止めたとしましょう。
  そんな中国の、北京五輪・上海万博以降の発展の希望の星である東北地方に注ぐ努力をいっぺんに破壊してしまいかねない厄介者が、東北部のすぐそばに存在しています。それが「朝鮮」です。

  次回は、中国東北部を朝鮮との関係から見てみたいと思います。

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2007.10.03(Wed)

日本は「満州」の夢を捨てられるか(1) 


  世間では来年の北京オリンピックのことがそろそろ話題に上り始めてきましたが、すでに中国の経済当局、そして海外の企業は北京オリンピック、および2010年の上海万博の後をにらんで動き始めているようです。
  今回は、それらの動きを概観し、中国東北部を巡る地政学的な状況を確認してみたいと思います。

「2007中国リスク投資フォーラム」が瀋陽市で開幕
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070922/12524.html
------------以下引用------------
 「2007中国リスク投資フォーラム――東北投資振興サミット及び2007中国(東北)リスク資本・プロジェクトジョイント会」が20日、遼寧省瀋陽市で開幕した。

 「中国リスク投資フォーラム」は、1998年に初めて開催され、これまでに9回開催されている。同フォーラムはまた、中国のリスク投資分野において、最も重要な活動の1つとなっている。昨年10月に同市で開催された「第1回中国リスク投資フォーラム――東北投資振興サミット」が成功したことにより、東北3省は対外開放、グローバル化、リスク投資及び個人株式投資に対する良好な環境を築き上げることができた。

 今回のサミットで最も注目されるのは、「米マイクロソフト社のIP(知的財産)ライセンス、リスク投資家、ソフトウエア開発企業協力商談会」で、マイクロソフト社は今後、同社のソフトウエアIP技術とリスク投資基金を大量に東北のソフトウエア開発企業に提供することを予定している。このことは、東北地域のソフトウエア産業がマイクロソフトIP技術やリスク投資基金と結びつく絶好のチャンスとなる。
------------引用以上------------


[経済] 大連、東北アジアの国際航運センターに浮上
http://www.searchnavi.com/~hp/chosenzoku/news4/070921-4.htm
------------以下引用------------
最近、大連港は中心港に停泊場 56ヶ所を新たに増加し、港の建設に累計 240億元を投資、国際航運センターとしての発展要求にかなう現代化された港湾システムをほぼ構築した。

遼寧省政府によると、専門家たちの何回もの論証を経て、去る 8月 30日、国家発展改革委員会は遼寧省で研究制定した '大連東北アジア国際航運センター発展計画'を批准した。 これは国家で批准した最初の航運センター計画だ。

現在、大連東北アジア国際航運センターの建設は順調に進められている。大連港は続けて 30万トン級の原油埠頭、 30万トン級の鉱石埠頭、100万台の自動車物流埠頭、大窯湾コンテナ埠頭など国際的にも一流の埠頭を建設、埠頭の最大停泊能力を 15万トンから 30万トンに向上させ、港湾貨物通過能力を 1.1億トン新たに増加し、コンテナ通過能力を 134万標準ボックス新たに増加させた。 これは 2004年から 2006年までの 3年間に、大連港をもう一つ建設したことに匹敵する。

  (中略)

専門家によれば、大連東北アジア国際航運センターの建設は、東北老工業基地開発水準の向上、遼寧省の '5点 1線'沿海経済ベルト開発、遼寧工業基地産業の最適化・グレードアップ、地域物流資源組合などに有益だ。
------------引用以上------------

  「瀋陽」「大連」という、中国東北部の町の名前が出てきました。ここで、中国東北部の地理を確認しておきましょう。

中国東北部の地図

  瀋陽は以前「奉天」と言われていた町で、満州西部の要衝だった町です。日露戦争中、この町の郊外で大会戦が行われ、日本軍が勝利したことでも知られています。
  大連は日本からも直行便が行っている町です。満州国建国のきっかけになった「南満州鉄道」の起点である旅順のすぐ脇にある、中国東北部の玄関口です。

  中国は今この地域を経済発展の目玉として売り出そうとしています。それが「東北地区旧工業基地再開発」です。
  ●人民日報の2003年の記事ではすでにこの話題が取り上げられています。この頃にはもう北京オリンピック以後をにらんで外国からの投資を呼び込むつもりでいたのです。
  今年になってからも、●この記事にあるように、中国政府が産業振興の目玉として売り出そうとしていることがよく伝わってきます。

  中国が東北部振興にこだわる理由はいくつかあります。まず、一つが東北部、いわゆる「満州」が、戦前から一大工業地帯であり、十分な産業基盤が整っていることです。その産業基盤を開発したのは、何を隠そう我が国日本でした。
  日本はもともとアメリカやドイツに比べて、利幅の大きい重工業分野が立ち後れていました。巨額の設備投資が必要な重工業の開発が日本でやりにくかった分、大陸でその埋め合わせをしたわけです。その現れが「満州国産業開発五カ年計画」でした。その中身はソ連を模した産業の国家統制で、策定に関わったのは戦後総理にもなった岸信介です。彼を中心とする若手官僚(いわゆる「革新官僚」)がここでの成功を日本でも試したのが国家総動員体制でした。
  満州で産業開発を進めた主体は、「南満州鉄道会社(満鉄)」と「満州重工業株式会社」(満業)でした。
  満鉄は当初から様々な産業開発を手がける、いわゆる「国策会社」でした。現在の中国でも大きな産業拠点である「撫順炭田」や「鞍山製鉄所」などは、満鉄が開発した事例です。これらの国策を慣れない土地で進めるための情報収集もさかんに行っており、満鉄の調査部は日本有数の(というか当時では唯一の)シンクタンクとして活動していました。
  満業は日産コンツェルンを興した鮎川義介が作った国策企業です。後発組ですが、満鉄から譲り受けた製鉄会社や鉄道事業を手がけ、満州国内で資源から最終財の生産までを一貫して行う企業体として活発に活動しました。
  満鉄のOBがその後の「国鉄」や広告代理店の「電通」に多く入社したことや、満業の母体となった日産や日立といった企業が戦後に大きく発展したことを考えると、我が国は満州国とは少なからぬ因縁を持っています。
  満州は終戦間際にソ連の侵攻を受けました。その後これらの産業基盤はそっくりそのままソ連の盟友であった中国共産党に引き継がれます。彼らと国民党の内戦、すなわち「国共内戦」で毛沢東率いる共産党が勝利したのは、これが決定打になったと言われています。あの毛沢東も、「満州さえあれば国民党に勝てる」と豪語したほどです。中国の他の地域から見ても、産業力という点で隔絶していたことが伺えます。

  中国が東北部振興にこだわるもう一つの理由は、すでに他の地域の発展が限界に達し始めているという事情です。
  その要因はいくつかありますが、発展の中止であった華中・華南の沿岸部で、人件費や地価が急激に上昇していることがもっとも大きな要因です。外国企業や合弁企業の設立は上海やシェンチェンといった沿岸部より、それよりも少し内陸に入った安徽省などで活発になっています。もとも、内陸に入れば入ったで、今度は教育を受けた良質な労働力が不足するという事態を招きます。
  中国経済は、「安いがそれなりに働く」ことが最大かつ唯一の売りですから、これは非常に痛いところです。
  これに比べて、東北部というのは人件費が華中・華南の沿岸部に比べて安く、その割に教育程度も高い人材が多く存在しています。出稼ぎに伴う労働力移動で社会不安が高まったりするよりは、初めから質の高い人材が多いところを開発する方が合理的ではあります。

  そういうことで中国は北京五輪以降の開発の目玉として東北部を売り出しているのですが、やはりというべきか、我が国の企業は早速この餌にダボハゼのごとく飛びついているようです。

昨年の中国・遼寧省投資の日系企業3300社、中国東北地区で投資規模を拡大
http://jp.ibtimes.com/article/biznews/070921/12459.html
--------以下引用--------
 中国・瀋陽で19日に開幕した「東北アジア地区発展・協力フォーラム」において、日本の対中投資が絶えず拡大している状況の下、中国政府による東北旧工業基地の振興戦略実施により、多くの日本企業が中国での投資規模を拡大していることが明らかになった。

 日本の水野清・元建設大臣によると、2001年の中国WTO加盟後、第3次投資ブームが起こったという。中国で投資している日本企業は現時点で2万社を上回った。

 水野元建設大臣は、「遼寧省を始め東北地区は鉄鋼や自動車、装備製造業、石油化学など各工業で『旧工業基地』として名高い。2006年末時点で遼寧省に投資する日本企業は3300社と、対中投資を行う日本企業全体の16.5%を占めた。東北振興戦略の発表後、これらの日本企業は軒並み、一層の事業発展を計画している」と述べた。

 東北地区の豊富な日本語人材資源も、日中経済協力の促進に一役買っており、両国の絆を強めた。日本語人材育成の分野では、国際交流基金による日本語能力検定1級試験が全国の4分の1以上のエリアで行われており、日本貿易振興機構(JETRO)は、「BJTビジネス日本語能力テスト」を2005年から大連でもスタート、今年からは瀋陽でも実施される。
--------引用以上--------

  ここです。ここに注目してください。

>東北地区の豊富な日本語人材資源

  こういう特徴を生かしたうってつけの業種があるのです。

「中国コールセンター市場」 
http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/seikan/kokuko/shanghai/business/03/repo0303.htm
------------以下引用------------
中国のコールセンター市場は、電信や銀行、証券、電力など大企業がほとんどを占めている。Frost & SullivanとCTI Forumの共同レポートによると、 1998年頃からPBX(構内電話交換機)ベースの大型センターの導入が増加し始め、座席数(累計、以下同)でみると、 1998年の35,000席から2002年は116,000席と約3倍になった。2002年を業種別に見ると、電信が座席数で67.37%、投資額(累計、以下同)で44.8%を占め、トップの座にある。2位の銀行は座席数こそ7.84%と小さいものの、投資額は25.0%に達している。
 2002年の市場規模は累計投資額で128億元。今年は新たに22.8億元の成長が見込まれている。コールセンター市場は1999年以前は電信により、それ以降はそれに銀行が加わって発展してきたものの、現在これらからの大型投資は一段落し、投資額成長率は縮小方向にある。一方で、証券・保険・政府部門・家電・通販・Eコマースなど新しい業界で小型システムの需要が伸びると予測されている。

  (中略)

 中国コールセンター市場で中小企業向けの事業を展開しているのが沖電気である。沖電気は日本のコールセンター市場でトップシェアを誇る CTI(電話とコンピュータの融合)システム「Ctstage 4i」の中国語版を発売開始した。このシステムは顧客窓口のほか営業部門にも対応でき、顧客データの共有化、管理などで力を発揮するという。ただし、このシステムは主に50席以下のコールセンターを対象としている。
 一方TMJ(テレマーケティングジャパン)は昨年7月に上海に現地会社を設立し、12月に座席数250席のメガコールセンターを開業させた。 CRM(顧客情報マネジメント)分野で中国進出したのはTMJが初めてである。中国企業はCRMには興味持つものの、コールセンターの外部委託という概念が乏しく、今のところマーケットとしては日系・欧米企業がターゲットになっているという。
 CSKは日本と大連の間に専用回線を引き、日本の消費者からの電話を大連のコールセンターに直接繋ぐ体制を整え、「CSKシステムズ大連」を設立した。大学や専門学校を卒業して日本語が話せる人材を数十人採用し、4月にも営業を始める。
 同じく米デルコンピューターの日本法人は昨年末大連市に「アジア・サービスセンター」を設け、現地採用の約50人に日本語での接客マナーを教育している。製品の問い合わせなどをここで受ける予定で、完成後は川崎市にあるコールセンター業務の一部を大連に移す計画だという。
------------引用以上------------

  知り合いから聞いたのですが、コールセンターを請け負っている某大手企業も大連進出を計画しているそうです。
  確かに、電話回線があれば地球の裏側でも電話の受付はできるわけです。それに、顔を合わせるわけではないので、日本語でしゃべれれば問題なく仕事もできます。いわゆるBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)というやつで、インドがアメリカ相手にやった例があります。これを中国が日本相手にやろうとしているということです。
  おいおい、じゃあ日本国内にあるコールセンターはどうするんだという声が聞こえてきそうですが、その問題はここでは置いておきます。
  大連に日本語人材が多いというのは、例の南満州鉄道の関係で日本が早くから進出し、日本語の影響を受けた語彙が多く残っていることと、中国における日本語教育の中心「大連外国語学院」があることが大きいようです。大連にある学校というのはやはり大連、もしくは遼寧省の人間が多くなるものです。

  このブログをご覧になっている方の中には、「多分ろろのことだから、この後はグローバリスト云々とかいうおきまりの話が来て、中国進出はやめろとか言い出すんだろうな」という感じで、話の筋を先読みされている人もいるかもしれません(笑)が、今回は違う方向へ飛びます(笑)。

  ここまで見てきたみなさんの中で、鋭い人は疑問を持つかもしれませんね。

  「中国東北部がそんなに有望な土地なら、なぜ今までほとんど手つかずで残ってきたんだ?」

  全く以てその通りです。

  実は、この地方は本来、産業振興なんて言っている余裕がないほどヤバイ地域なのです。
  その原因をずばり挙げるとすれば、「水」「朝鮮」です。

  もしかしたら、このシリーズは長くなるかもしれません。とりあえず次回に続きます。

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