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2007.10.29(Mon)

食品偽装の真の原因〜人間のための経済を取り戻せ! 

  ●以前の記事で取り上げた比内地鶏の偽装問題の続報です。

「比内鶏」正社員15人解雇へ
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20071029gr02.htm
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 秋田県大館市の食肉加工・製造会社「比内鶏」(藤原誠一社長)が比内地鶏の製品を偽装していた問題で、藤原社長が同社の正社員15人全員に対し、解雇の方針を伝えたことが28日、わかった。

 同社の桜井久美営業課長によると、27日、同社に全社員を集めて説明会が行われた。藤原社長は冒頭、偽装問題を起こしたことについて、「迷惑をかけて申し訳なかった」と謝罪した上で、「会社の存続が難しい」と解雇の理由を説明したという。
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  ある意味「当然」の結果ではあります。しかし、人口減少率が全国でトップクラスの秋田県で、しかも県庁所在地でない都市で正社員の雇用が15人分なくなるのはかなり痛いです。
  こういう事態を指をくわえて見ているわけにはいかないと、行政も動き始めました。  

「比内地鶏」確認書を発行=ブランドの信頼回復へ−秋田県
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007102601204
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 秋田県大館市の食肉加工会社「比内鶏」による「比内地鶏」の偽装問題で県は26日、ブランド回復に向けた当面の措置として、生産者などに対して本物の比内地鶏であることを示す知事名の確認書の発行を始めた。1カ月をめどに新たな認証制度も創設する。
 県によると、対象は比内地鶏の生産者とひな供給業者で、適正に生産、管理、出荷されていることが確認できれば、県が「他の鶏と混じることのないよう生産管理されていることを確認した」と書かれた確認書を発行。小売店などは、生産者などから渡された確認書の写しを店頭に表示できる。
−−−−−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−−−−−

  そもそも、秋田県がなぜこのような認証制度を始めるのか。別に住民を助けたいわけではありません。税収がなくなるのが困るからです。つまり、地方企業だけではなく、地方自治体もまた日本円という貨幣の獲得に血道を上げているわけです。

  その地方自治体ですが、現在は「構造カイカク」という兵糧攻めによって、正常に稼働するための金銭さえも足りなくなってきています。
  たとえば、平成10年に約770億円あった秋田県の一般会計予算でうすが、平成19年には約690億円しかありません(特別会計の約261億円も前年比で26億円減)。公共事業費など、ピーク時の3分の1にまで落ち込んでいます。
  こういう状況で、比内地鶏の認証制度の運営のために割く予算や人員が確保できるのでしょうか。私には疑問です。

  このような地方財政の悪化にはちゃんと仕掛けた人間たちがいるのですが、この動きの「犯人」たちが、最近新しい動きを見せました。

都道府県ごとに経済財政モデル、年度内に作成へ
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20071027i413.htm?from=navr
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 政府の経済財政諮問会議メンバーらが地方都市を訪れる「経済財政に関する地方会議」が27日、高松市で開かれた。
 大田経済財政相のほか、民間議員の伊藤隆敏・東大教授、八代尚宏・国際基督教大教授が参加し、四国地方の経済人と意見交換した。今後、月1回のペースで開く計画で、2回目は11月に青森市で実施する。

 大田経財相は終了後の記者会見で、都道府県ごとの経済財政モデルを新たに作成し、社会保障などの分野で給付と負担の先行き見通しを年度内に示す方針を明らかにした。「社会保障制度の変更は、高齢化の進んだ地域ほど影響を受ける。地域ごとに細かく見ることが必要」と述べた。年齢ごとの人口構成の推移などに基づいて、先行き10年程度の予想値を示す見通しだ。今後の年金制度改革などの議論に生かす狙いがある。

 この日の会議では、愛媛県のタオル製造会社社長、高知県の運送会社社長などが出席した。「高速道路網を早期に整備して」「公共事業を急激に減らさないでほしい」など歳出増を求める声が相次いだ。

 諮問会議は地域再生の柱の一つとして、農地を集約して大規模化するとの方針を示している。これに対し、会場からは「徳島県は山間地の比率が高く、大規模化したくてもできない。全国一律の施策は問題だ」と厳しい意見が出た。

 内閣府が地方の経済人との意見交換の場を設けたのは、福田内閣が地方再生を重要施策の一つと位置付けたのを受け、諮問会議の審議に地方の声を反映させるためだ。
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経済財政諮問会議

  ●以前の記事でも紹介しましたが、この団体こそ日本におけるグローバリストの大本営です。民間議員と称して、グローバリスト企業の役員が参加しているだけでなく、進行役である大田経済財政相は竹中平蔵の弟子である筋金入りの新自由主義者です。

>年齢ごとの人口構成の推移などに基づいて、先行き10年程度の
>予想値を示す見通しだ。

  これでとりわけ悲惨な人口構成を見せ「ショーシコーレーカ」という魔法の呪文で、歳出削減を正当化するつもりです。

>農地を集約して大規模化するとの方針

  あのライブドアの堀江元社長が「農業は儲かる」と発言していたのは、これがあるからです。大規模化された農地をモンサントやドールのような外資系アグリビジネス企業が買い取り、そこに中国人やベトナム人、フィリピン人(研修生という名目ですでに大量に入ってきている)を送り込んで、奴隷のようにこき使う。これこそ、21世紀型のプランテーションです。まさか、日本でこれをやろうと思っている人間がいるとは思いませんでした。
  このように、経済財政諮問会議の目的は、地場産業である農業や食品加工産業をさらに衰退させ、農地を大企業が支配し、失業者を増大させることで雇用市場を買い手市場化することです。名目はもちろん「国際競争力の強化」です。みなさんは、絶対にこんな言葉に騙されてはいけません。

  次期政権を担う非自民党政権には、是非この悪の巣窟を叩き潰してもらいたいものですが、この団体は既存のシステムを効率よく回すためのエージェントに過ぎません。本当の問題は彼らを生み出している仕組みなのです。

  そもそも、なぜ食糧自給率が高く(167%)、秋田杉のような木材も算出し、ハタハタに代表されるように漁業資源も豊富なはずの秋田県が、なぜ財政悪化で苦しめられ、生活が危なくなっているのか、みなさんはお考えになったことがあるでしょうか?

  秋田県は公共事業に頼ってばかりで、自助努力が足りないから?

  そう考えている人がいるとしたら、はっきり言って馬鹿です。あなたはグローバリストに洗脳されています。今すぐテレビや2ちゃんねるを見るのをやめた方がいいです。

  それでは、その公共事業とやらに秋田県が頼らざるを得ないのはどうしてでしょうか?簡単です。そうやって貨幣価値(要するにカネ)を分配しないと、住民の生活が成り立たないような仕組みができあがっているからです。
  比内地鶏を燻製にして全国に販売しているのも、同じなのです。秋田県は人口が少ないので、総需要には限界があります。そんな中で、以前も述べたように、企業は金利の負担を抱えながら事業規模を拡大することを余儀なくされる場合が多々あります。
  そこで、県外に需要を求めることで、生活の糧である日本円という通貨を獲得しているということなのです。

  しかし、ここで問題になるのは、このような手段で貨幣を獲得したとしても、結局地方は大都市の資本に屈服する運命にあるということです。

  たとえば、秋田県であれば、公共事業を続けるための補助金や地方交付税を中央政府に握られている形になっています。自分たちの利害を代表してくれる勢力(たとえば、●郵政造反組の野呂田方正議員)が中央政界でそれなりの力を持っていれば問題はあまり起きません。しかし、小泉・安倍政権の自民党のように、都市の浮動票や、都市型の宗教勢力(創価学会や統一協会)、そして何よりグローバリストが跋扈している財界を基盤とする勢力が伸張すれば、真っ先に切り捨てられる運命にあります。
  それじゃあ、地方分権を進めればいいのかというと意見もありそうです。明言しますが、地方分権を進めたら地方はもっと荒廃します。
  財源の委譲を進めれば、財政の自主性が確保できる、などと、安倍晋三前首相、竹中平蔵元大臣(典型的なグローバリストの犬)や総務省の官僚がよく言っていましたが、だからといって東京で取った税金が秋田県に委譲されるわけではありません。秋田県は、秋田県が取った税金を自由に使える、というだけです。
  そうなると、人口のパイが少ないところは圧倒的に不利になります。財政は今以上に悪化することが必至です。
  こんなことも分からずに、地方分権を支持している人間は、因果関係というもっとも基本的な論理を理解できない、しようとしない本物の馬鹿か、地方を切り捨てようという極悪人です。前者の典型が安倍氏、後者の典型が竹中氏でしょう。

  はっきり言いますが、今の経済の仕組みは、どんなに抵抗しても最後には「東京」「大企業」「中央政府」が勝つ仕組みになっているのです。
  その最大の原因は何か、と言えば、もう答えは一つしかないのです。「通貨」です。

  通貨というのは、持っていれば持っているほど得をするという、おそらく世界で唯一の道具です。タンスやゲーム機は何十個もほしいという人はいません。しかし、お金があればそれらを必要に応じて買うことができます。
  これは、交換の手段としては便利なのですが、二つ前の記事で述べた「金利」という仕組みと結びつくと、カネを持っているだけで豊かになる一方の人間と、カネを借りることでどんどん貧しくなっていく人間とに二分されていくという特徴があります。
  そして、重要なのは、地方は常にカネを借りることで貧しくなっていく側にいるということです。秋田県やその中の市町村は、政府に対して地方債を引き受けてもらっています。比内地鶏の企業は銀行にカネを借りています。そうやって、金を出した人間のいいなりになっているというのが現状なのです。
  やっかいなことに、交通事情の改善や規制の緩和によって、ここに大都市の資本や消費者が直接乗り込んできてしまうという事態が生じています。ジャスコのような大型店舗が地方にたくさん進出していること、そして、比内地鶏の燻製が東京や大阪にもたくさん出荷されていたことは、その現れです。こうなるともう、地方の企業や農家は、常に都会の顔色をうかがいながらやっていくしかありません。通貨がなければ、生活できなくなってしまっているからです。
  こういう観点からすると、最近特に進んでいる東京や大都市への一極集中というのは、非常に合理的な仕組みなのです。仕事や需要は、通貨がたくさん回っているところでしか発生しないからです。
  これに地方企業が勝とうとすれば、常軌を逸したコストダウン、すなわち保存料などの化学物質の多用(土産物は結構添加物が多い)だとか、偽装だとかに頼らざるを得ないのです。これは、努力で何とかなるレベルではありません。お金がたくさん回っている東京や名古屋の論理で、何でも妥当な判断ができると思ったら大間違いです。

  そこで、提案したいのが、「地域通貨」という考えです。

  この考えは、●オーストリアのヴェルグルという町での成功例があり、●ドイツのキームガウアーでも順調に運営されています。
  それらと大筋で変わりませんが、私の考えをここで述べておきましょう。
  地域通貨というのは、簡単に言ってしまえば、ポイントカードのようなものです。CDを買ったり、カラオケボックスを利用したりすると、変なカードにスタンプを押してくれることがあります。10個貯まると何かサービスが受けられるというあれです。
  そのポイントカードを、初めからやってしまおうというのが地域通貨です。

  もちろん、「地域」通貨ですから、特定の地域だけでしか使えませんが、そこが味噌なのです。ここにその地域の農産品などを結びつけることによって、「地産地消」が促進されるのです。
  私が考えているのは、「一次産品」「自然エネルギー」を地域通貨で取引するというものです。
  秋田県を例に取りましょう。秋田県は食糧自給率が高いので、地元産の米や野菜(秋田県だけでも●これだけある)、魚などを買えるようにするのです。
  農家の肥料や耕耘機の費用はどうするんだ、という疑問がありそうですが、それこそ堆肥や人手という「エコロジカル」な発想をすべきです。また、大型機械を必要としない●無農薬無肥料栽培という方法を導入するのもいいでしょう。
  さらに、秋田県は風力発電もさかんです。冬の時期に北西の季節風が吹いてくるからです。この電力を、地域通貨で買えるようにするのです。春夏は、秋田杉に代表される森林資源を利用して「バイオエタノール」や薪炭を作り、これを地域通貨で購入できるようにしておけばいいのです。
  そうして、あとは家賃の分だけ稼げばよくなり(ここもできれば地域通貨で支払えるようにしたい)、生活が楽になります。公営住宅をタダにしてしまうのが一番いいでしょう。そうすれば、飢えて死ぬということはとりあえずなくなります。このように、地域通貨には、セーフティーネットという役割もあるわけです。
  では、それ以外のたとえば工業製品はどうやって買うのかといえば、これは従来通りの日本円で構いません。地域通貨は「使える」ということが大事なのであって、日本円を閉め出すことが目的ではありません。会社の給料は日本円で払うという仕組みを買える必要はありません
。こうすれば、日本が外貨獲得手段にしている二次産品の売り上げを低下させる必要がなくなります。
  そして、最後には社会福祉を地域通貨で行うようにするのです。たとえば、ヘルパーを頼んだら、支払いは地域通貨でやるのです。こうすれば、福祉予算を増大させる必要がなくなります。地元に住んでいて老人のヘルプをやれば、とりあえず飢えて死ぬことがなくなるという状況が出来てくるでしょう。
  そればかりでなく、その地域に住んでいる人たちで、地域の老人の面倒をみるという、本来あるべき介護の姿に立ち戻ることができるというメリットもあります。介護の現場で暴力やらセクハラが相次いでいるというのは、金だけでつながっている関係だからです。そうではなくて、地域のつながりの中で互いが助け合うようになれば、恥とか申し訳なさが手伝って、そういう問題は激減します。人材は地域住民にヘルパーの講習を無料でやれば済むだけのことです。現行の民間育成機関にしても、どうせ金だけ取ってたいした人材育成をしているわけではありません。
  じゃあ、その地域はどうやって日本円を獲得すればいいんだ、という話ですが、地域通貨で回しきれない分を地域外に「輸出」すればいいだけの話です。本来、交易というのはそういう形を取っていたはずです。グローバリストがやっているような、遠隔地を結びつける大量消費志向の貿易(たとえば、●ウナギの輸入と大量消費)というのは、自然に反しているのです。こんなものに人間の生存を依存させてはいけません。
  でも、地域通貨を発行しまくったら、インフレになるんじゃない?という声が聞こえてきそうですが、ご安心ください。この通貨は、一定期間が来たら使えなくなる(減価通貨)にするのです。
  野菜は放っておいたら腐ります。米も、普通の室内であれば、そのうちコクゾウムシがついたり傷んだりして1年持てばいい方です。発電した電力はその場で使わなければ意味がありません。
  自然界にあるものは、このようにすべからく「減価」するのです。通貨もそれに合わせておけば、物と金の不均衡(インフレやデフレ)は起こりようがありません。
  しかも、減価すれば「貯めておいて他人に貸し、金利を取る」という、諸悪の根源になっている仕組みを取ることができなくなります。これによって、地元企業は救われるでしょう。規模を拡大する必要も、まぜものをする必要もないのですから。
  当然金融業は規模を縮小したり、場合によっては廃業をせざるを得なくなりますが、それによって借り手が一緒に死ぬという状況はなくなります。
  
  これがなぜ実現できないのかといえば、理由は簡単で、グローバリストが地域通貨を恐れているからです。

  特に、上のような状況を一番恐れているのは、「日本銀行」と「商社」でしょう。日銀は実は営利企業です(東証二部に上場している)。彼らが儲かるためには、金利を取って金を貸すという商売がどんどん拡大することが必須です。そして、通貨の需給調整を行っているのも日銀です。「商社」は、遠隔地取引が少なくなればもうけが少なくなると言う意味で、地産地消を敵視している可能性が最も高い企業です。
  しかし、彼らは力こそあれ、あくまで少数派です。多数派である国民、特に地方の住民が束になれば、地域通貨の導入で経済を半分くらい自立させることが可能です。
  いきなり全部の自治体でやる必要はなく、秋田県だったら大館市からとか、そういう風にやれるところから漸次導入する方がいいでしょう。財政破綻した夕張市など、絶好のケースになりうると思われます。
  
  何度でも強調しますが、現行の経済の仕組みを取っている限り、第二、第三の赤福、ミートホープ事件の再発は必ず起こります。

  出てくるたびにモグラ叩きのように潰していても、何も改善しません。グローバリストの地方企業つぶしに荷担しているだけです。特に「メディアリテラシー」の高さを自負していらっしゃる「保守」のみなさんに言いたいのですが、彼らやマスコミに踊らされていていいんでしょうか?
  とりあえず、経済の仕組みがおかしいからこういう事件が起こるのだと言えば、大騒ぎする必要もなくなります。そして、その仕組みを改めて、地方が自律的な経済を営むことができるきっかけこそが、「地域通貨」なのだということです。

  普通に生活を営んでいて、ものをお金で買うことが当たり前になっていると見えてきませんが、もともと経済というのは我々人間が生きていくための手段だったはずです。ところが、バーチャルな通貨の力がどんどん増していくに従って、人間が経済のための道具になってしまいました。グローバリゼーションというのは、その究極の形だと思います。
  このことが、結局は環境破壊や資源の浪費、貧富の差の拡大につながっているのです。どれだけの人がこのことで不幸になっているか分かりません。
  人間あっての経済、人間を不幸にしないためにあるのが経済なのです。

  その点をご理解いただけると、政治や経済の見方も変わってくるんじゃないかと思っています。

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2007.10.28(Sun)

食品偽装はなくならない!? 

  ●前回の記事の続きです。

  前回私は、一連の「食品偽装」は現在の経済の仕組みが続いている限り、絶対になくなることはないと述べました。その辺をもう少し詳しく突き詰めてみたいと思います。

  現時点で、とにかく第二の「赤福」や「ミートホープ」を出さないようにするとなれば、以下の二つの方法が考えられます。

(1)経営者の倫理・道徳を向上させる
(2)立ち入り検査などの監視システムを強化する


  まず、(1)についてですが、多くのマスメディアが食品偽装の問題の結論として掲げているものです。「消費者の気持ちになって」とか「経営者として恥ずかしくない行動を」とか、そんな感じです。
  しかし、私に言わせれば、順序が逆です。赤福にしろミートホープにしろ、消費者の気持ちになっている経営者だからこそ虚偽表示だとか混ぜものとか、そういう道義的には不当な行為に踏み切ったと言うべきです。
  バブル崩壊以降、現在に至るまでの日本がそうですが、購買力が低下している局面では、どうしても価格が全ての基準になってしまいがちです。消費者が低価格を求める以上、企業側がそれに応えようとするのは当然でしょう。低価格で高品質など無理なのですが、「企業努力」「コストカット」という美辞麗句が、企業に常識ではありえない低価格路線を歩ませるのです。「激安」などという言葉をはやらせたマスコミにも責任の一端はあるのですが・・・。
  おそらく、業界は消費者に対して、「どうせ彼らは品質など分からないから」という観念を持っているのだと思います。いい悪いではないのです。消費者全体を大きくとらえると、そういうものだからです。特に、大量生産が義務づけられている企業は、どうしてもスケールメリットや製造原価の方に重点を置きがちです。
  その代わり、企業はどうしているのかというと、「イメージ」でものを売ろうとしているのです。非常に深いテーマなので、また別の機会に取り上げようと思っていますが、現代の消費活動は「中身よりもイメージ」なのです。
  簡単な例が、ペットボトルの緑茶です。中身は夏場の安い茶葉(農薬が大量に使われるため取引価格が下がる)もしくは中国産の馬鹿みたいに安い茶葉なのですが、そういう中身については言及せず、「濁っている」とか「甘い」とか、変なコンセプトで作られていてたり、昔から有名なお茶の店の名前を掲げていたりします。そして、必ずギャラの高そうな有名人(たとえば松嶋菜々子)が、いかにも日本という感じのCMに出ています。茶葉の値段より、松嶋菜々子と広告代理店に払うお金の方が高いかもしれません。良い悪いは別として、お茶というのはそうやって売られているものだということです。
  こういう状況ですから、消費者に本物の味を、といってもなかなか通じません。むしろ、パッケージにだけ「本物の味」だの「国産素材使用」(たとえ90%が中国産でも虚偽表示にはならない)だのという文字だけ出しておいて、そのイメージで消費者に気持ちよく買っていただこう(=騙されてもらおう)という企業が出てきてもおかしくはありません。
  これらは全て、安く作って高く売るというグローバリスト(意味は●こちらを参照)的価値観に基づいているものです。いわば、商人の基本みたいなものですが、現代のグローバリストとの違いは、政府やマスメディアも動員して買い手を騙し、そういう悪行に都合のいい考え方をいろいろな形で発信しているということです。
  残念ながらというべきか、赤福やミートホープはあくまでローカルな企業だったので、情報管理体制が甘く、関係諸処に手を回すことが出来なかったということなのだと思います。今回はたまたま露見してしまいましたが、根本的に行動様式を変えることはないでしょう。そんなことをしたら、競争に勝てないことは明白だからです。

  では、監視態勢の強化についてはどうでしょうか。

  たとえば、食品の原材料表示については、日本農林規格(JAS)法というものがあります。たとえば、この規定を厳格なものにして、抜き打ち検査や市場調査を頻繁に行う、などという方法がいいかもしれません。

  しかし、この方法には今のご時世ではかなり痛い欠点があります。それは、役所が負担する費用や人員が膨大なものになるという点です。
  たとえば、食品の市場調査(モニタリング)をやる人間を増やすというケースを考えましょう。モニタリング用に公務員を増やすというのはなかなかできません。そのため、自治体は消費生活調査員みたいな人を雇っています。当たり前ですが有給です。この分、税金の負担は増えます。調査にかかる経費も税金から出ます。こういう税金を、素直に出す気になる人はあまりいません。
  こういうことを言うと、「そんなのは他の部分の経費を削ったり、公務員が人一倍働いてなんとかすべきだ!公僕だろう!」とか言い出す馬鹿が必ず出てきます。そして、どうもそういう人間に限って、「赤福はひどい。行政は何をやっているんだ」などと文句を言うことが多いように思うのです。公務員を税金泥棒などと非難する人は、公的機関など一切信用しなければいいとおもうのですが、そういう人に限って公務員に過度な期待をしていることがよくあるのです。変な話ですね。
  公務員と言っても、労働者であることは変わりないわけで、みんなが3時間かかっている仕事を30分で終えられるようなスーパーマン揃いではないのです。高密度の仕事をやってほしいなら、それに応じた高額の給料を出すべきか、人員の増加を認めるべきなのです。それなのに、公務員に限ってはそういう常識が無視されて、とにかく減らせ、みんなのために馬車馬のように働け、などという論調が多いように思います。
  JAS法にしてもそうですが、行政はそれなりの仕事をしているのです。しかし、世の中で扱われる商品が膨大であり、以下の例のようなあくどい手口の業者がいたりするわけです。

北朝鮮産アサリ、5業者転々「国産」に
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20050415uj24.htm
−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−
 北朝鮮産アサリの産地不正表示問題で、農林水産省が九州の2業者に改善を指示したアサリは、輸入後の流通過程で五つの業者を経由する間に、産地表示が中国産から無表示、さらに国産へと変わっていったことが、同省の調査や関係者の話で分かった。

(中略)

 農水省は1月からアサリの産地表示調査を全国で実施。福岡県久留米市の小売店で「熊本産砂ヌキアサリ」と表示された産地不明のアサリが見つかったことから、同省が流通ルートをさかのぼって調べた。

 その結果、問題のアサリは、民間輸入業者「福岡県魚市場」(福岡市)が北朝鮮から中国の業者を介して輸入、2月までの約1年2か月間に計約8000トンを仕入れ、うち1000トン余が卸売業者(福岡県)に販売されたことが分かった。

 その際、「海州(ヘジュ)」など北朝鮮の地名が産地として表示されていたが、卸売業者は、鮮度回復や出荷調整を行う蓄養業者(同)に対し、これを「中国産」として引き渡していたことも判明した。

 アサリはその後、蓄養業者から産地表示のない状態で別の卸売業者(同)に渡り、さらに複数の小売業者に販売された。

 このうち久留米市の小売店を経営する「あんくるふじや」(佐賀市)が、一部の中国産アサリとともに計1280キロを「熊本産」として売っていた。日本農林規格法(JAS法)に基づく適正な国名表記は、どの過程にも見られなかった。

 福岡県魚市場は、読売新聞の取材に「北朝鮮産アサリに関しては、地名を表示して商談をしている。国名を併記すべきだったが、(北朝鮮産であることを)隠してはいない」と説明。

(中略)

 北朝鮮産アサリは、輸入後に複数の卸売業者が介在したり、出荷調整などで国内の干潟にいったん蓄養したりするなど、今回のような流通ルートをたどることが多く、不正表示がどの段階で行われたかは把握しづらい。

 アサリの昨年の全輸入量のうち「福岡県魚市場」が輸入したのは約2割で、今回判明したルートは一部に過ぎないのが実情だ。

 ◆アサリの産地表示調査=農水省が全国の約1300の小売店で1月15日から実施。約1700の商品について、仕入れ伝票と突き合わせるなどして、アサリの産地表示が適正かどうかを調べた。その結果、アサリの国内消費量の約4割を占めるはずの北朝鮮産アサリと表示されたものは、2商品しか見つからなかった。
−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−

  まあ別に北朝鮮産に将軍様が毒を入れろと言っているわけではないので食べても問題ないのですが、やはりイメージの問題なのでしょう。
  しかし、この不正表示摘発は、当時の小泉政権が北朝鮮に対して(表面上)強硬姿勢だったからこそ農水省が動いた、つまり政治的な側面が濃かった事例なのです。いつもいつもこういう検査態勢を取れるわけではありません。
  このような検査をあらゆる食品についてやるにも関わらず、人員が今のままとなると、現場の公務員が過労死します。●公務員虐殺ショーにばかり熱心な基地外政治家を支持するネット右翼や、食糧自給率に触れもしない自称愛国ブログなどは、そうやって公務員が追い詰められるのを逆に喝采するのでしょう。しかし、問題は何も解決しません。

  そもそも、何で日本で育てることが可能なシジミを、わざわざ北朝鮮から買わなくてはいけないかという問題から考えないと駄目なのです。同じように、なぜ赤福が中国産の原料を使ったり賞味期限切れの食品を再利用しなくてはならないのか、なぜ比内地鶏のスモークに近所の農家の普通の鶏が使われてしまうのか、そこから考えないと、この問題は解決しません。

  そうなると、必ず思い当たるはずです。

  そもそも、人が食べるものを、安く買って高く売るという行動原理に基づいて扱うべきではないのではないか? 
 
  そのへんを次回は考えてみたいと思います。時間がないため、記事が切れ切れになってしまい申し訳ありません。

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EDIT  |  08:38 |  経済とグローバリゼーション  | TB(4)  | CM(6) | Top↑
2007.10.24(Wed)

なぜ「食品偽装」が起こるのか 

  最近、加工食品を安心して口に入れることが出来なくなった人も多いのかもしれません。こんなところまで来たか、というニュースが出てきました。

比内地鶏の薫製を偽装 秋田の業者「10年前から」
http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200710200169.html
−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−
 秋田県の特産で、「日本三大地鶏」の一つとして知られる比内地鶏で、加工商品として出荷した薫製の肉や卵に、比内地鶏でない鶏を使用した疑いがあるとして、秋田県は20日、同県大館市の食肉加工会社「比内鶏」(藤原誠一社長)を景品表示法などに触れるとして立ち入り調査した。同社は偽装を認めているという。

 比内地鶏の県内の消費は全体の2割ほどで、8割は県外に出荷している。「比内鶏」社は通信販売で商品を出荷しており、全国の消費者に影響を及ぼしそうだ。

 県などによると今月15日、「薫製の卵に比内地鶏以外の鶏を使っている」との匿名の電話が県に寄せられたため調べた。藤原社長は県の調査に対して「自分が就任した約10年前からすでに偽装がされていた」と話しており、使用された肉は周辺の農家から仕入れたニワトリのものだという。

 同社は今月17日から製造を中止、商品の回収を始めた。比内地鶏の肉かどうかを確定する検査方法はないため、県は今後、仕入れから出荷までの経路を伝票や聞き取りなどから調べる。

 民間の信用調査機関によると、「比内鶏」社は、全国に店舗を持つスーパーや百貨店、食品メーカーを取引先に持ち、今年3月期決算の売上高は4億円。大手スーパーのホームページからも同社の商品がインターネットで購入できるようになっている。

 同社は薫製のほか、きりたんぽセットや精肉なども扱っているが、薫製以外の商品については比内地鶏を使用していると話しているという。

 同社の石川徹総務課長は朝日新聞の取材に、「調査結果が確定するまでコメントは差し控えたい」と話している。

 加藤雅広・県生活環境文化部長は「信頼にかかわる問題。事実関係を明らかにし、信頼回復に努めたい」とした。
−−−−−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−−−−−

  私は家にテレビがないので、ワイドショーやニュース番組が何を言っているのか知りませんが、おそらく無意味に危機感を煽るような言動をコメンテーターとかいう得体の知れない連中がしているのでしょう。民法のテレビのやっている番組というのは、スポンサーの宣伝のおまけです。CMとCMの間の短い時間についている付録だと思って見ていた方がいいでしょう。
  割とまともなことを言っているマスメディアを見つけたので、そちらをたたき台にしてこの問題を掘り下げてみます。

食品偽装/社会的責任の自覚欠如(日本農業新聞社説)
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=347
−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−
 ミートホープ、「白い恋人」、名古屋コーチン、「赤福」、そして比内地鶏。賞味期限の改ざんや食品表示の偽装が後を絶たない。これだけ続くと、誰もが手にとる食品一つ一つを「大丈夫か」と疑ってしまう。食べ物を買う際に、最も注意深く見るのは表示だ。その表示と異なる中身であれば、何を選択の基準にすればいいのか分からなくなる。価格競争など厳しい販売環境が背景にあるとしても、不正は食品全体への信頼を損なう。メーカーの、食品企業としての社会的な責任を、あらためて喚起したい。

 最近の一連の事件で共通しているのは、不正が長期間行われていたこと、匿名による通報がきっかけとなったことだ。比内地鶏を偽装した秋田県の食肉加工会社では、社長自身が「就任した10年ほど前に既に偽装が行われていた」と認めている。その時点で事実を公表すれば、まだ食品企業としての最低限のモラルがあったと言えるが、不正を隠ぺいし続けてしまった。経営者として失格といえる。

 しかし、「悪事千里を走る」だ。「赤福」でも比内地鶏の問題でも、内部精通者が公の機関に通報したことで不正が発覚した。多くの従業員が携わる食品製造では法令違反などを内々に処理したり、いつまでも隠ぺいしたりすることはまず不可能だ。昨年4月に公益通報者保護法が施行されたことで、内部告発や匿名通報は今後も増えることは間違いない。食品企業は、先例を教訓とする体質に早急に転換してもらいたい。

 食品の不正で怖いのは、問題を起こした企業だけで事が済まないことだ。ミートホープの問題が発生した時も、スーパーに陳列してある牛肉コロッケの売れ行きが一時落ちた。風評に惑わされる消費者が多いとは思わないが、さりとて同じような商品をわざわざ購入する消費者も少ない。万が一、長期化でもすれば生産・販売に与える影響は大きく、資本力の乏しい企業は事業の先行きさえ危うくなる。

 それにしても、食品にかかわる法令違反や不正がなぜ頻発するのか。バブル崩壊以降続く価格競争が、少なからず影響している。消費低迷の長期化の下で小売りは激しい価格競争を強いられている。そのあおりを受けて食品メーカーも、できるだけ安い原材料を仕入れ商品化することを迫られている。その結果、商品の「価値と価格」のバランスが失われ、「より安く価値のあるもの」が求められる。いわば異常ともいえる商品開発が起きているのだ。

 もちろん、厳しい消費環境の下でも懸命に企業努力を続けるメーカーもある。食品偽装はいかなる理由があろうと許されるわけではない。そう断った上で、食品に表示してある価格は商品価値を判断する一つの材料だと指摘したい。価格を軽視した商品には落とし穴があることを、消費する側もいま一度考えたい。
−−−−−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−−−−−

>消費低迷の長期化の下で小売りは激しい価格競争を強いられている。
>そのあおりを受けて食品メーカーも、できるだけ安い原材料を
>仕入れ商品化することを迫られている。その結果、商品の
>「価値と価格」のバランスが失われ、「より安く価値のあるもの」が
>求められる。いわば異常ともいえる商品開発が起きているのだ。

  これは半分当たってもいますが、半分間違ってもいます。

  昨今頻発している食品関連の偽装が、国内の消費低迷に端を発することが多いのは確かです。たとえば、国産原料を売りにしていた伊勢名物の「赤福」に外国産の材料が使われ始めたのが1994年でしたが、この年は、「価格破壊」という言葉が流行になった
年でもあります。バブルが崩壊したにも関わらず円高が続き(ここをきちんと説明できないところが、市場原理主義的な経済学の限界だと考える。アメリカの誘導によって作られた「政治的円高」)、急激なデフレが進んだ時期でもあります。
  しかし、それだけで説明するのは無理があります。「赤福」が製造日の偽装や消費期限切れ製品の再利用をし始めたのは30年ほど前だということですし、上記の比内地鶏の偽装も20年の「歴史」があります。バブル崩壊後の消費低迷だけに原因を求めるのは妥当ではありません。
  
  私は、最近の食品偽装事件は流通というもののはらむ根本的な問題が現れたものだと理解しています。

  私が「赤福」という商品を初めて見たのは、確か新大阪駅だったという記憶があります。ここからして何か変です。赤福というのは、江戸時代のお伊勢参りの時期に売られ始めた商品だったはずで、だからこそ「伊勢名物」なのです。伊勢の品物をどうして大坂で売るのか。ここに、根本的な問題が潜んでいるのです。

  本来であれば、赤福にしても比内地鶏にしても、当初は地元での消費を前提とした商品だったはずです。それでもなんとかなっていたのは、農家やお茶屋さんが本業の傍らで生産していたからです。副業ならば、浮き沈みがあっても本業さえきちんとやっていれば生活はできます。
  ところが、現代ではこういった地方の名産銘品が「会社経営」になってしまっています。会社として経営する以上は、ものを売ってお金(貨幣)を稼ぎ出さなければ存続できません。これがそもそもの「転落」の始まりなのです。
  会社経営というのは、いかにして売るかということももちろん大事なのですが、それと同じくらい大事なのは、「借金をいかに返すか」という命題です。全て自前の資本で運営しているという会社はほとんどありません。どの会社も、銀行など金融機関からの借入金で凌いでいるというのが現状です
  そして、この借入金には金利がついてきます。放っておくとどんどん借金がふくらむのです。だから、これを返済する、もしくは金利分だけでも払い続けるということが大きな目標の一つになります。
  このような制約がある以上、純粋に「もうけ」を得ようとすると、金利の負担を上回るペースで利益を上げるしかなくなります。具体的に言うと、会社の売り上げのパイを増やすしかないという結論になります。だから、赤福の工場を大きくして、名古屋駅や新大阪駅で売ったり、比内地鶏の燻製を作って全国出荷したりするのです。
  そうなると、設備投資や販売促進費用、新商品の開発費などでまたお金が必要になるわけで、またぞろ借入金が必要になります。するとこれにまた金利の負担がかかり・・・という感じで、結局借金に追われるように経営を続けざるを得なくなるのです。
  もちろん、地元で観光客や、グルメマニアだけを対象にした経営をしていてもかまいません。しかし、それでは存続ができません。それが現実です。

  つまり、現在の経済の仕組みを前提にすれば、食品は必ず「価格競争」が生じ、いずれ「価格破壊」に突き進むことは当然の理ということです。

  日本農業新聞の社説では、

>メーカーの、食品企業としての社会的な責任を、あらためて喚起したい。 

  と主張し、その一方で、

>価格を軽視した商品には落とし穴があることを、消費する側もいま一度考えたい。

  と、消費者に対する注意を喚起しています。

  不思議だと思いませんか。食品の偽装に関する事件が出てくると、最後に出てくる結論は、このようにだいたいは当事者や消費者の倫理を問題にしてしまうのです。
  しかし、食品を扱う主体が企業であり、売り上げ増大や事業規模の拡大を至上命題にしている以上、このようなかけ声はあまり意味がありません。ほとぼりが冷めれば、また同じような事件が出てくるでしょう。あるいは、もっと上手に隠蔽がなされる可能性もあります。

  かといって、この事態を放置するわけにもいきません。「消費者も騙されてやっていると思えばいいじゃないか」「安全な食品なんて今の世の中ありえない」などと言ってはいけないということです。
  私が思うに、このような食品関連の偽装事件が「頻発」している、もしくは、上の記事にあるような「公益通報者保護法」が制定されたのは、ある狙いに基づいていると思っています。
 
  その狙いとは、ズバリ言うと、「グローバリストによる地方企業絶滅作戦」です。

  何をオーバーな・・・と思わず、もう少しお付き合いください。
 
  グローバリストというのは、利益を極大化するために、自国への影響を考慮せず積極的に海外に進出し、国家間の垣根を取り払おうとする勢力のことをいいます(詳しくは●こちらを参照)。特に「商社」「大型スーパー」の最大の武器は、日本と海外の価格差を利用した薄利多売です。これを、マスコミを通じた広告で消費者に売り込むのです。こういう連中にとっては、デフレはかえってチャンスです。低価格競争になれば、中国やアメリカという低価格な原材料調達先とパイプがあるグローバリスト企業には圧倒的に有利であり、デフレになればダンピング(シェアを奪うための値下げ)をしかけて、競合他社を潰すことができるからです。
  そのような行動の邪魔になるのは、地元に根付いている企業です。彼らがいるだけで自分たちのシェアが低下するからです。赤福にしろ、「白い恋人」にしろ、「ミートホープ」にしろ、共通しているのは、地元で長年営業している企業だということです。こういう企業が特定の市場に根を張っていると、グローバリストにとっては非常に邪魔なのです。
  そこで、バブル崩壊後の「価格破壊」で価格競争に持ち込み、偽装問題で息の根を止めようとしている、というわけです。マスコミというのは大企業がスポンサーについているので、そういう動きには喜んで荷担するでしょう。
  よく考えてみて下さい。なぜこれだけ食品の偽装が騒がれているのに、伊藤ハムだとかハウス食品や森永製菓のような大手食品企業や、ジャスコのような大型スーパーの「内部通報者」が出てこないのか。
  大手だから気をつけている・・・というのもあるかもしれません。たとえば、小麦製品からほとんど殺虫剤が検出されない日清食品のような例もあります。しかし、それが一般的だという保証はありません。
  簡単な話です。グローバリスト企業やその系列の企業は、もうそういう面での配慮などしていないのです。その代わり、聞かれない代わり触れないし、いざというときに外国のせいに出来るように中国産やタイ産を使っているのです。
  へたをすると、もうあと10年もすれば、赤福のような地方に根付いた名物企業は日本から姿を消すかもしれません。以下の記事のような状況があるからです。

まだまだ続く? 相次ぐ値上げ、企業努力そろそろ限界
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/business/m20071024032.html
−−−−−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−−−−−
 食パンにカップめん、カレー、トイレットペーパー、ガソリン…。この秋、生活必需品の値上げが相次いだ。新興国の需要拡大などで原料高騰に直面した食品業界が値上げの先陣を切り、原油価格の高騰がタクシー、電力・ガス料金の値上げへと影響のすそ野を広げ、家計を直撃する。今のところ大手スーパーが巨大な商品調達力をバックにした値上げ拒否姿勢でそのダメージをやわらげているが、本当の影響はこれからが本番だ。

 食品原料の高騰は、中国など新興国の消費拡大に加え、需要が高まるバイオエタノール生産向けに振り向けられるなど食料争奪戦が背景にある。最近のパンやめん類の原料となる小麦価格は、政府売り渡し価格の引き上げもあり、平成12年の1・8倍に上昇。日清フーズが11月から家庭用パスタや小麦粉を17年ぶりに値上げするのに続き、カップめん、パン、うどんへと連鎖している。

 大手商社は、今後は13億人の胃袋を抱える中国が穀物輸入大国となり、「穀物や食品原料の価格は高止まりし、畜産農家が飼料コストを吸収できずに食肉の値上げにも波及する」とみる。

 原油価格の高騰による生活品への影響も大きい。学生やサラリーマンに身近な文具品では、大手のコクヨが10月からのコピー用紙に続き、来年1月からはノート類も値上げする。

 古紙や重油などのコスト増で製紙各社も悲鳴をあげる。日本製紙連合会の鈴木正一郎会長(王子製紙会長)は22日、「もう一度価格改定をお願いせざるを得ない」と追加値上げを示唆した。ティッシュやトイレットペーパーは11月出荷分から7月に続く第2弾の値上げを打ち出したばかり。スーパーの特売作戦にも影響が出そうだ。

 家庭向けの電力、ガスにも値上げの波が押し寄せている。電力料金は燃料となる石油、ガスの値上がりを反映して「(来年1〜3月分を)値上げすることになる」(東京電力・勝俣恒久社長)見通しだ。

 第一生命保険経済研究所は、今年7月までの生活必需品の値上げによって、17年12月時点と比べて家計負担が実質で年間1万9018円増加したと試算する。今後の電気料金などの影響を考慮すると負担額は膨らむ一方だ。

 ただし、相次ぐ食品メーカーの値上げ表明に対して、大手スーパーなどには受け入れを拒否する動きもある。「100円ショップ」を展開するザ・ダイソー(広島県東広島市)も「110円ショップになったらお客さまに申し訳ない」と、当面は企業努力で乗り切る方針だ。

 さらに、花王の尾崎元規社長は23日の中間決算発表の席上、原料高の影響は避けられないが、化粧品などの消費財は当面企業努力でコストを吸収する姿勢を強調している。

 とはいえ、企業努力が限界に達するのは時間の問題。消費者の懐具合にもジワリと影響が広がるのは間違いない。
−−−−−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−−−−−

  中国の経済発展はグローバリストである国際金融資本やトヨタのような輸出依存企業の投資によるものですし、バイオエタノールでうれしい悲鳴を上げているのは「カーギル」や「モンサント」のようなアメリカのグローバリスト企業です。
  そして、各国では中小企業が青息吐息になり、大手企業や大規模な流通業者がシェアを伸ばすチャンスになっている・・・もう、何か出来レースを見せられているようで腹が立ちます。

  では、こういう流れをどうやって止めるか、という問題になります。はっきり言っておきますが、今の経済の仕組みを前提にしたままで、この問題を解決することはできません。

  いったん切って、続きを書くことにします。「話し言葉で歴史を語る」の続編は、もう少々お待ちください。

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2007.10.24(Wed)

【商人の歴史1】商業が生まれてきたころ 

  前回のフランス革命と明治維新の話が結構受けたので、二番煎じじゃないですが、やってみたいと思います。変なタイトルですが、適当にしゃべっているものですが、一応今回は商業とは何かという話をしてみたいと思っています。
  
  これは本当に余談なんですが、どうも2ちゃんねるかどっかで、●「どうすれば日本は戦争をせずに済むか」という記事を「歴史を知らない奴が背伸びして書いてるわい」とかなんとか揶揄してくれていたんですね(笑)。ああ、俺も少しは有名になったのかな(笑)とかわけわからん感慨を覚えましたが、ああいうのは多分、歴史マニアだとか専門家の卵みたいな人が書くんでしょうね。つまり、私みたいな素人が歴史を語るとは何事かと。
  こういう事態は愉快ですね。歴史って言うのは、教科書を書いている人間のものじゃないというのが私の考えです。つまり、国だとか、そこからおこぼれを頂戴している専門家さんたちが独占して、支配の道具とか金儲けの道具にするような状態は望ましくないということです。私が客観的な史料を基に研究された歴史をながめて、どういうことを考えたかがこのカテゴリーの記事になっていますから、みなさんも同じように歴史について考えてみるといいと思います。

  さて、なんでまた商人の歴史なんていうテーマを選んだのかというと、このブログでは「グローバリゼーション」ということをかなり批判的にとらえていろいろな記事を書いているということがあります。
  以前から記事を書いていて思ったのは、グローバリゼーション、まあ簡単に言うと貿易や経済の地球規模化ですが、それは別につい最近とか帝国主義の19世紀に始まったものではなくて、もしかしたら商業というものが本質的にはらんでいる問題なんじゃないかということです。つまり、ものを売ったり買ったりという活動そのものの中に、人間社会を破壊する原理みたいなものが含まれているんじゃないかということです。
  そうはいったものの、もしかしたら商業の歴史というのは人類の歴史でもあるわけで、かなり長大な物語になるような予感がしています。まあ、要するにだらだら続くかもしれないよということですが(笑)。多分、かなり脇にそれたり、
  今回はとりあえず、商業が成立する基盤というものについて、原理的なお話だけしておこうと思います。次に古代中国なんかの話が入ってきて、ヨーロッパの話や日本の話も入れていって、最後に最近の話をして、今の経済や商業をどう考えるかという流れになると思います。

  さて、商業ってそもそも何なんでしょうか。

  商業って、不思議な職業だと思いませんか。どうしてかっていうと、そもそも商業の担い手である商人という人種は、自分では何もものを生産していないんです。それなのに、どうして生計を立てていられるんだろうか・・・確か、中学の歴史の先生が、中国の「孔子」を取り上げた時にそんなことを言っていた記憶があります。

  私が勝手に思っているんですが、おそらく初めは商人という職業が独立してあったわけじゃないと思うんですね。

  経済というのは、どこの社会でもまずは現物経済です。自分たちで木の実やらイノシシやら取ってきて、自分たちで消費するという形です。この時は、家族やらそれがでかくなった部族みたいな単位で経済が営まれています。
  狩猟採集の時代の最大の特徴は何かというと、「余剰」というものが発生しないことです。余剰というのは、消費しきれないで余った物ということです。これには二つ理由があって、まず一つはそもそも狩猟採集で獲得できる物に限界があるということです。もう一つは、余剰なんて必要ないということです。
  特に後者は重要です。この頃に経済学で言うところの「財」というものが存在するとしたら、食べ物だけです。この食べ物は、放っておくと腐ってなくなってしまいます。だから、必要以上にとっておいてもしょうがないわけです。

  これが激変するのが、農耕の開始です。日本ではこのへんがかなり錯綜しているのが現状ですが、一応教科書なんかで広く知られているのは、本格的に農耕が始まった時代は弥生時代だということです。外国ではもっと古くて、紀元前9000年くらいにメソポタミア文明といのが始まっていますが、このとき農耕が始まっているようです。日本の近くで言うと、中国北部の黄河文明、特に紀元前4000年くらいからの仰韶(ヤンシャオ)文化なんかで組織的な農耕が行われていた跡があるようです。
  農業が始まったということなんですが、これによってある社会の中に余剰が蓄積されるようになったわけです。もちろん小麦とか米なんで永久にというわけにはいきませんが、それまでのイノシシの肉と違って長期間保存ができます。しかも、ドングリの実なんかと違って、主食と言われるほど高カロリーで、これさえ作っていればとりあえず飢えて死ぬことはなくなったという、非常に便利なものでした。
  ああ、言っておきますけど、この頃は今と桁違いに生産力が低いというのは忘れないでください。2000円くらいで5キロの米を簡単に買える今とは比較にならないくらい物が少ないということです。
  しかし、それでも余剰は出てくるんですね。そして、重要なのが、その余剰が集まっていく場所は権力者のもとだということです。
  おそらく、商人というのは、この権力者に委託されて、余剰物を管理したり交換したりした人たちから始まったんじゃないかなと思うんです。よく、「御用商人」という言葉が使われますが、おそらく商人というのは初めはみんな御用商人だったんじゃないかということです。
  つまり、古代の社会では、一般国民である農民が生産した物が、いったん権力者のところに集まり、そこで権力者が消費しきれなくなったものを運用していたのが商人だったということです。エジプト古王国(紀元前2686頃〜)の時代に、すでに「フェニキア人」というのがいて、エジプトの金や穀物と、レバノンの木材、●レバノンの国旗にも書かれている「杉」ですが、あれを交換していたといいます。エジプトはナイル川の周りは全部乾燥帯ですから、レバノンの木材はありがたかったんじゃないかと思います。
  もう少し時代が進むと、こういう余剰は、単なる生産活動ではなく、戦争の結果としても増大していきます。古代エジプトを例に取ると、今のスーダン一帯、この時代に「ヌビア」と言われていた地域を征服した時に、大量の金を獲得しています。これが中王国(紀元前2040年〜)という頃なんですが、新王国(紀元前1500年前後〜)の時期になると、シリアやパレスチナにも遠征して、膨大な戦利品を得ています。まあ、早い話が強盗みたいなもんなんですが、権力者である王のもとには、珊瑚で作られた像だとか鉄製の武器だとか、そういうものがたくさん入ってきます。
  こういうものを交換して、権力者がほしいものを手に入れるよう動いていたのが商人です。エジプトだと中王国の時代から、メソポタミアにある国々と交易をしていたという記録が残っています。エジプト新王国の時代になると、いよいよ「商人」という意味の言葉が誕生することになります。この時代の商人は、シリア人です。エジプトとメソポタミア、アッシリアといったオリエント地域を結ぶ中間に住んでいたので、ちょうどよかったんでしょうね。さっき出てきたフェニキア人でいえば、今のレバノンやイスラエルにあった古代都市とエジプトの間を地中海でつないでいたというわけです。
  しかし、あくまでこの時代の経済主体は権力者に限られています。生産した物が権力者のもとに集まってくるので、それを運用する御用商人が誕生したということです。

  エジプトの話をしていると多分知識のない管理人のボロがどんどん出てくると思うので、次回は、日本や中国あたりの話に移りたいと思います。

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2007.10.22(Mon)

柏崎は今(新潟その2) 

信濃川の夕暮れ


  最近非常に多忙なため、記事の更新が遅れて申し訳ございません。新潟旅行の記事の続きです。

  10月8日のことですが、中越沖地震で被災した柏崎市を訪れました。

  地図を見ておきましょう。


拡大地図を表示

  (吹き出しは、右上の×印をクリックするとなくなります。)

  さきの地震でも被害を受けた「柏崎・刈羽原発」は、市街から北東に5キロほど離れた場所にあります。現地に入ってわかったのですが、昼1時頃まで見学用のバスが出ているそうです。知っていれば乗ってみたのですが・・・ちゃんと下調べしなかったことを後悔しました。
  もっとも、今回は原発うんぬんよりも、地震で被害を受けた場所の市民生活がどうなっているかという点を見てみたかったので、駅に着くと早速町中をぶらついてみました。

  柏崎の駅は、上の地図で見てもらうとわかるのですが、駅が北口しかありません。南側には、駅に隣接した地下道を通っていくことができます(地元のFMラジオが流れている・・・寂しい雰囲気を紛らわすため?)。
  まずは、駅の北側から見て回ることにしました。海水浴場へ向かう目抜き通りを北へ向かいます。
  商店街の歩道の脇に、こんなものを見つけました。
柏崎歩道

  例の地震で歩道のブロックがめくれてしまったようです。撤去されることもなく、こうしてあちこちに積まれています。しかし、商店街の町並み自体はそれほどダメージを受けているように見えません。
  この通りには、イトーヨーカドー丸大(地元資本の丸大とフランチャイズ契約をしているらしい)という大きなスーパーもあります。私は観光スポットより、普通の人がどういう生活をしているかが気になる方なので、すかさずのぞいてみました。
  もちろん、人でにぎわっていましたが、おもしろいものを見つけました。
まいたけパン

  地元新潟の「雪国まいたけ」を使った菓子パンです。
  新潟のスーパーは、どこへ行っても「新潟産コシヒカリ」しか置いていないので、県内産の食料品が多いのだなと思って取り上げてみましたが、やられました。正真正銘の東京産(笑)でした。見ると、どうも某大手パンメーカーが新潟向けに作ったというだけのようです。
  新潟県産のまいたけを東京の工場に持って行き、そこからトラックで出荷して柏崎のイトーヨーカドーで売る・・・ここに何か、不自然なものを感じるのは私だけでしょうか。

  職場向けの土産などを買って店を出ると、海岸の方へ向かいます。

  周囲と不釣り合いなほどきれいで大きな建物があるのでのぞいてみると、TEPCOプラザ柏崎という建物でした。1階が無料で使用できるラウンジのようになっていて、中学生や高校生が勉強や談笑に利用しています。
  ロビーには、原子力発電関係のPRチラシがたくさん置いてありました。なるほど、「地元の理解」を得るために、東京電力が作った施設というわけです。
  行政が作った箱物というと、マスコミや都会の人間に無駄だの既得権益だの好き勝手言われているようですが、ここは商工会議所や、新潟最大手の進学塾などが入居しており、きちんと利用されているようです。やはり、施設は人が集まるところに作らないと生かされませんね。
  そのTEPCOプラザ柏崎を出てすぐのところにあったのが、これです。
柏崎街灯

  けっこうな繁華街にあるのに、曲がったまま放置されている街灯です。東京から来た私に、「こんな地震があったんだぞ」と訴えているようです。
  その後、雨が降ったりやんだりしている中、海水浴場の方へ向かいます。気温が急に低くなってきて、肌寒さを感じ始めました。
  海水浴場はシーズンも過ぎているので、ただの砂浜でしかありませんでした。しかし、そのすぐそばにあったのがこれです。
仮設住宅

  仮設住宅です。失礼になるので敷地内までは入りませんでしたが、人の気配が確かにします。車の数などから見ても、どうやら「満杯」状態のようです。
  ここだけではありません。市役所周辺や駅の南側にもあり、かなりの数の仮設住宅がいまだに利用されているのです。
  一日二日で済むならいいのでしょうが、被災された方はもう3ヶ月近くこういう場所に住むことを余儀なくされているのだと思うと、やるせない気分になります。
  
  帰り道に、目抜き通りから少し奥に入ってみると、さらに気分が重くなりました。
  全壊したまま放置されている家が、何軒もあるのです。ロープが張られてはいますが、建築計画を示した立て札もなく、いまだに再建のめどがたっていないようです。
  外観はしっかりしているのに、全く人気のない家もかなりあります。そういうところには、例外なくこのような張り紙が出ています。
危険表示1

危険表示2

  これが現実なのか、と、肩を落としました。イトーヨーカドーで買い物をしていた人たちの中にも、我が家に帰るに帰れない人が混じっていたのでしょう。
  他にも、アーケードが傾いたままになっていたり、歩道の陥没がそのまま放置されていたり、復興も糞もないような状態が市内のあちこちに見られます。

  地元の新聞である●柏崎日報を見てみたのですが、どうも復興にむけた動きも芳しくないようです。
  なにしろ、未だに有名人による「慰問」が地元の話題になっているほどなのです。●例の軍隊式ダイエットで有名なビリー・ブランクスさんや、●歌手の小林幸子さんが最近も柏崎を訪れています。
  それすらも、東京に本拠地のあるテレビ局やインターネット上のニュースでは、原子力発電関連のニュースをのぞいてほとんど報道されていません。中越沖地震という地震の存在もすっかり忘れ去られているようです。
  印象に残ったのが、柏崎日報に出ていた地元信用金庫の理事長の話です。経営的に苦しいのはわかっているが、それでも赤字覚悟で融資をせざるを得ない。住宅の再建を躊躇すれば、市外県外の親戚を頼って引っ越しするケースが増えて、人口流出につながる。そうなったら信用金庫もやっていけないのだ・・・という話でした。
  私有財産である個人の住宅ならまだわかるのですが、繁華街の歩道に大きな穴が開いていても、埋めることすらままならないのです。よほど公共事業用のお金がないのでしょう。今の政府にとっては、●トヨタの部品工場さえ動いていれば、その周りにある市民生活はどうでもいいのかもしれません。
  新潟県の政治は田中真紀子衆院議員の影響もあって民主党が優勢です。そういうことも関係があるのかもしれません。これが山口県、というか長州だったら、不自然に多い新幹線の駅や大工場の数同様、真っ先に中央政府の金が回ってくるんでしょうね。
  つくづく、新潟や東北は冷遇されていると感じずにいられません。大災害が起こったら、立ち直れなくなる地方も出てきそうです。そういう事態にならないように、災害があったら十分な手当をすることで、人口流出を防ぐことができるのだと思うのですが・・・。

  以上の「被害」は、全て駅の改札がある町の北側で実際に見たものです。
  
  では、駅の南側はどうなのかというと、これがまた北側と好対照なのです。
  何が一番違うのかというと、店の大きさや種類です。柏崎駅の北側にもイトーヨーカドーがありましたが、南側には郊外型の大型店舗が目白押しです。「ガスト」や「ミスタードーナツ」といった、東京で見慣れた店もかなりあります。
  どうやら、駅の南側に国道8号線が通っているのが関係ありそうです。いわゆる国道16号線化という現象です。
  こちらに、関連した記事が出ています。

“国道16号線化する風景”
http://r25.jp/index.php/m/WB/a/WB001120/id/200704191107
−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−
「どこも似てるな…」。郊外の国道沿いを走っていて、こんな感覚に陥ったことはないだろうか? 沿道にはファミレスやスーパーが建ち並び、どこでも均質的な風景が展開されてゆく…。

 (中略)

社会学者の北田暁大氏に話を聞いてみると…。

「東京周辺の郊外を走る国道16号線沿いなどに顕著な風景ですね。これに対する批判は確かに多々あります。例えば、通り沿いがチェーン店で埋め尽くされることで、地域の持つ歴史的景観が破壊され、文化や愛着心が育たない、という批判です。ほかにも、大型店の進出により駅前の商店がつぶれる“シャッター商店街化”の問題もあります」

 (中略。「そういう風景に親しみを感じる」という意見に対して)

「それが普通の感覚ですよ。特に若い世代には。僕も田舎でコンビニを見つけると安心します。もはや現代人の重要な居場所なんですよ、そういう場所って。チェーン店だらけの道沿いに、違和感どころか、生活のリアリティを感じる人は多いはず。だから批判するだけでは仕方ないと思います」
−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−
 
  まあ、都会の若者向けで軽いノリのフリーペーパー向けの記事ですから、あまり深い内容は期待してはいけないかもしれませんが、だいたいこういうことです。
  確かに、この社会学者とかいう人物の言っていることは一面真理ではあります。私は夜中に柏崎を出るバスに乗る予定だったのですが、北口にはどこも時間を潰す場所がありませんでした。仕方なく、南側の「ガスト」で3時間近く粘る羽目になりました。そうなると不思議なもので、妙に落ち着くのです。都会で見慣れた、マスプロの空間にいるからでしょう。

  しかし、これが「いいこと」なのかというと、私は全くそう思っていません。

  理由は簡単です。このような現象が、都会の大資本による地方からの利潤収奪に他ならないからです。
  「ガスト」にしろ「ミスタードーナツ」にしろ、本社は東京にあり、地元の商店とは桁違いの資金運用力があるわけです。また、家族経営ではないため、長時間の店舗の運営も、アルバイトのシフトを組み合わせるなどして可能です。コストを下げるための物流システムや、原材料の価格自体を低下させる方法(たとえば、中国からの輸入)も持っています。
  本来であれば、そういう資本は大都会にいて、地方には出てこないはずなのですが、道路の整備によってその状況がすっかり変わってしまいました。物流システムを整えれば、短時間かつ頻繁な輸送が可能になったのです。
  これに追い打ちをかけたのが「大規模小売店舗法」の緩和と、円高でした。前者は長年アメリカが改正を要求しており(この時点で●グローバリストの策動だということがバレバレ)していた法律で、94年に規制が緩和されました。また、円高は1985年の「プラザ合意」以降決定的になった流れであり、これによって輸入が有利になってファミリーレストランが一躍消費の主役格に躍り出ることになります。
  そうやって都会の大資本が地方に殴り込みをかけ、地元の商店を駆逐していくことになります。
  利便性が向上するならいいじゃないか、などという人は、経済というものを何も分かっていません。東京の資本が地方で利益を上げたら、その利益が再び地元に還元されることはありません。その会社の利益になり、拡大再生産や株主への配当に回るだけです。雇用の改善に役立つなどというのも虚妄です。なにしろ、そういう店舗はマネージャー以外はみんなアルバイトであり、そのマネージャーも地元出身者ではなく単身赴任や県外からの移住というケースが多いのです。
  地方としては金が出て行く方が多いのですから、じり貧になるのは目に見えています。嫌な仕組みです。こんなものを礼賛できる人間は、車で東京から遊びに来ている人間や、上の引用記事に出ている(おそらく東京在住の)馬鹿学者、カイカク真理教信者といったアホだけでしょう。
  南側の道路沿いは、どこにも地震の被害のあとが見られません。大規模店舗の持ち主である大企業が自分の庭を素早く補修したからでしょう。道路も国道ですから、国土交通省がいち早く整備したに違いありません。未だに歩道に穴が開いていて、車道にはみ出さないと通れないところがある北側とはえらい違いです。
  どうも、今の日本では、至る所で「利潤の持ち出し」が目につくようになっています。都会の大資本が地方から利潤を持ち出し、その都会の大資本から、株主配当や利子返済という形で外国資本が利益を持ち出し・・・貧しい人や地域はどんどん貧しくなるという方向へ間違いなく動いています。
  それに対する反発が、さきの参議院選挙での自民党の大敗という形になって現れたのでしょう。
  今後は、企業の利益が地元にダイレクトに還流される仕組みを作らなくてはなりません。原子力発電所を作る代わりに、TEPCOプラザを作れば済む問題ではないのです。地元で出来ること、たとえば食糧生産やバイオマスエネルギーの生産、さらには単純な二次産品については、地元にやらせるべきです。
  先ほど出てきた「雪国まいたけパン」のようになってはいけないのです。ましてや、中国産の食品をふんだんに用いたファミレスが隆盛を極めるようなことはあってはなりません。見せかけだけの利便性向上に名を借りた利潤の収奪行為だととらえるべきです。そういう「侵略者」を導き入れることは、結局地方の経済がやせ細ることを意味し、やがて衰滅することになりかねません。

  柏崎駅の北側で夕食を取ったお店は、家族経営のようで、高校生くらいの娘さんがお店に出ていました。その子が、父親らしい店主の方に電卓片手に何か話しかけています。内容はよくわからなかったのですが、商品の計算の仕方を娘さんが工夫したようです。彼女の嬉しそうな口調と笑顔が印象に残りました。
  店のお客さんも、近所の家族連ればかりです。考えてみればこの日は祝日だったのです。休みの日の夜は、お母さんも大変だろうし、外でみんなでご飯を・・・という感じなのでしょう。

  一昔前の日本では、こういう光景が当たり前だったのかもしれません。

  忘れてはならないのは、地方にまだ残っている緊密な人的関係も、それを支える経済があって初めて成立するということです。学校で日本の伝統を教えたり、国を愛する態度を教えてからといって戻ってくるものではありません。そういうことを勘違いしている「自称保守」が多すぎます(どうせ、都会の人間なのだろう)。
  地方というのは、単なる場所ではなく、そこに生きる人々の結びつきなのです。私が住んでいる東京西部には、もうなくなってしまったものが、柏崎駅の北側にはまだ残っているはずです。中越沖地震の復興スローガンは、「がんばろう!輝く柏崎!」というものですが、駅の北側に活気が戻ってきてこそ柏崎という町も輝き始めるのだと思います。

  柏崎の町の、一日も早い復興を祈っております。

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EDIT  |  09:43 |  日本探訪  | TB(1)  | CM(7) | Top↑
2007.10.19(Fri)

前回の記事について 

  その後いろいろ調べた見た結果、自分の知見にかなりの誤りがあることが分かりました。よって、記事を削除いたしました。

  コメントいただいた方がたには大変申し訳なく思っております。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願いします。
EDIT  |  23:44 |  お知らせ  | TB(0)  | CM(1) | Top↑
2007.10.16(Tue)

「21世紀の出島」となれ〜国際港湾都市・新潟の未来図(新潟その1) 

  10月7日と8日の二日間、新潟県を回ってきました。

  今回の目的は二つありました。(1)越後国一の宮(その地方の神社の親分)である「弥彦神社」訪問と(2)日本海側で初めて政令指定都市になった新潟市と、中越沖地震の被災地となった柏崎市の現状を、じかに目で見て回ることです。
  私は東京在住なので、新潟まで夜行の高速バスを利用することにしました。これなら土曜日の勤務後にすぐ出発でき、時間を有効に利用することが出来るからです。
  新潟行きの高速バスは池袋駅前から発車しています。同じことを考えている人はたくさんいるようで、かなりの乗客がいました。4号車まで満員です。結構繁盛しているようですね。
  高速バスの魅力は、なんといってもその値段です。新潟まで片道わずか5000円ほどで行けます(ちなみに新幹線だと約10000円)。しかも、朝一番に現地で活動することができる夜行があるので、短期間の観光には実にありがたい存在です。

  もっとも、新潟方面のバスの欠点は、「四列シート」であることです。長距離のバスでは「三列シート」が採用されていることが多く、これなら隣の乗客と干渉しあわずにトイレに行くことができます。四列だとまず無理です。
  四列シートのバスに乗るときは、出来る限り乗車前にトイレをすませておく方がいいでしょう。
  また、中で眠れるかどうかも大きいです。四列の場合窮屈だというハンデがあるのですが、同じくらい重要なのが「シートピッチ」と「リクライニングの程度」です。行きの越後交通のバスはリクライニングの角度が浅く、かなり頻繁に起きてしまう羽目になりました(帰りの頸城交通のバスはかなり快適だった)。
  この辺は、高速バス用の時刻表で確かめておくしかありません。夜行バスは、格安のバスと新潟方面をのぞいては、ほとんどが三列シートのようです。

  さて、バスが新潟駅前に着くのは朝の5時です。当然、周囲は真っ暗でした。10月7日は弥彦神社を訪ねる予定でしたので、電車が動き出さないと意味がありません。
  新潟の駅前であれば、24時間営業している「ロイヤルホスト」というファミリーレストランがあるので、そこで休憩することにしました。6時半くらいまで粘って、いざ出発です。

  弥彦神社のある弥彦村は、新潟市から1時間ほどで到着します。

  新潟県


  越後線という在来線で柏崎方面に向かい、途中吉田駅で弥彦線に乗り換えます。新幹線で行く場合、燕三条から弥彦線一本で行くことができます。
  弥彦駅から10分ほど歩くと、弥彦神社に到着します。

弥彦神社入口


  この周辺は、いわゆる門前町を形成していて、温泉も出るために観光旅館が何軒もあります。
  では、境内に入ってみましょう。

良寛和尚の詩碑


  神社のご神木です。傍らに、歌人・俳人としても有名な●良寛和尚が読んだ詩碑があります。

  弥彦神社の成立は古く、万葉集にもその存在が見られます。越後国を開いたと言われている「天香山命(あめのかごやまのみこと)」が祀られている神社です。
  
弥彦神社境内


  写真でも分かるように、鬱蒼とした森に囲まれています。伊勢神宮をはじめとして、奈良以前の古い神社というのはこのような山林の中に建てられています。おそらく、木材や食料となる鳥獣、さらには水源としても機能している森林に、神秘的なものを感じていたのでしょう。
  神社を訪れる意味は、その神秘的な何かを感じ取ることにあるように思います。

  さて、一番奥にあるのが天香山命が祀られている本殿です。

弥彦神社本殿前


  背後にあるのが弥彦山です。この日は非常に天気がよかったので、このような壮大な景色を味わうことができました。

  氏子なのでしょうか、お父さんと中学生くらいの娘さんが私より先に本殿を拝んでいきました。山門を出る際、お父さんだけでなく、お嬢さんの方も神様にお辞儀をして去っていったのが印象に残りました。
  明治維新以降、近代化(国民教育と科学崇拝)によって破壊され続けてきた「神様をうやまう」という精神が、この地にまだ息づいていることに、私は安堵を覚えました。やはり、子供は親御さんの背中を見て育つのでしょう。

  この後、裏山にあたる「弥彦山」に登ることにしました。

  弥彦山は600メートル程度の標高しかありません。山頂にはロープウェイが行っているのですが、最近駅まで20分ほどの道を徒歩で通っている私は、粋がって徒歩での登頂に挑戦しました。

  目で見た感じでは、たいした高さがなかったのですが、なかなかこれがつらかったです。ずいぶん登ったな、あと少しかと思ったら、まだ2合目(笑)。途中、五合目あたりで少し平坦なところがあったときは、思わずほっとしました。
  七合目まで来ると、もう足がなかなか上がらなくなってきましたが、わき水で顔を洗って気合いを入れ、最後の力を振り絞りました。
  九合目を過ぎると、木々の隙間に日本海らしき青いものが見えてきます。しかし、もったいぶっているのか、山頂まではっきりとは見えません。
  そして、1時間半かかってやっと登頂しました。頂上からの眺めです。

弥彦山山頂より


  日本海です。うっすらとではありますが、鮮魚の直売で有名な「寺泊」の港が見えます。実に爽快です。

  その後山頂の弥彦神社のご分祀にお参りをして帰ったのですが、さすがにロープウェイで下ってしまいました(笑)。昔なら、徒歩で何度も行ったり来たりしたのでしょう。昔の人にはかなわないなと思いました。

  その後は、新潟市の中心部まで戻り、夜まで散策して見ることにしました。
  以前訪問した山形市や米沢市と随分違うのは、若者向けの店がずいぶんと多いということです。特に、中心街の古町(アクセントは「降る町」と同じ)にそれが目立ちます。
  まあ、山形県全体で人口が120万人弱で、新潟市だけで80万人いるという違いはあるのでしょうが、そればかりでない勢いを感じます。これが、政令指定都市効果というやつでしょうか。
  しかし、東京に日本中から人が集まるように、新潟市だけが栄えてあとがさっぱり・・・というのでは、結局地方の没落は早まっていくだけでしょう。
  そこで、面白い案を考えてみました。


拡大地図を表示

  新潟空港を中心とした地図です(グーグルの地図を埋め込んでいるので、よろしければ左下の「拡大図」をクリックしてみてください)。すぐ近くに新潟市中心部と、新潟港があります。少し大きくしてみます。


拡大地図を表示

  こちらも、「拡大図」の方をクリックしてもらうとよくわかりますが、海を隔てて、ロシア・韓国・北朝鮮と向かい合っています。このブログでも何度も取り上げている「中国東北部」も近くです。
  現実に、新潟空港は中国の上海、ハルピン(東北部)や、ロシアのウラジオストクなどとも国際便で結ばれており、新潟港および東港にはロシアや韓国の船が頻繁に来港します。
  それだけでなく、市内には北陸道が走っており、大阪や京都ともつながっています。長岡まで出れば関越道経由で東京もすぐです。つまり、新潟は日本海側の交通の要衝なのです。

  そこで、考えました。

  この地の利を生かして、新潟を日本の中心にしてしまえばいいのではないか?

  要するに、新潟を国際貿易都市、それも戦前の神戸や横浜に並ぶほどの「外国への窓」にしてしまおうということです。

  え?このブログって、外国との交流はなるべくするなって言ってなかったっけ?

  その通りです。しかし、それは「貿易を完全にやめる」ということではありません。限定された場所で、管理された形での貿易はむしろ続けるべきだという考えなのです。
  そのためには、外国に開かれた場所が必要です。新潟は、そのための条件を備えているのです。

  では、具体的にどうするのか。

  まず、新潟港を中心にして、「新井郷川」「県道204号線」「新潟サンライズゴルフクラブ」に囲まれた地域を「日本海国際貿易特区」に指定します。
  その上で、県道204号線をそのまま運河にして、特区を取り囲むようにし、新井郷川も川幅を広げる工事をします。これで「21世紀の出島」ができあがりです。
  そうして、この日本海国際貿易特区についてのみ、環日本海の諸国に対してのビザなし渡航を認めるのです。狙いは、貿易・商業活動の活発化です。
  もちろん、安全保障に考慮して、新潟港には海上自衛隊基地を置き、イージス艦の母港にします。さらに海上保安庁の基地も設置します。だめ押しで、新発田市(既存の駐屯地を拡張)および阿賀野市に陸上自衛隊を配置し、「出島」を完全包囲するのです。
  「出島」への出入りは、新潟港との間の高速船、および新潟空港東南に新設する船着き場だけに限定します。運河には海上保安庁の巡視船を24時間就航させます。物資輸送用のゲートは阿賀野川沿岸に一カ所だけ作り、陸上自衛隊が警備に当たることにします。北陸道とも直結させて、大量の物流にも対応できるようにするといいでしょう。
  
  それだけではありません。これに平行して陸上自衛隊を新潟県中越地域に大規模に誘致するのです。
  主たる狙いは、もちろん「出島」監視部隊の控えです(緊張が強いられるので、三ヶ月に一度程度でローテーションする)。しかし、それに加えて、彼らには平時に農作業をやってもらいます。休耕田を耕して、食料生産をさせるのです。その食料は、自衛隊と「出島」で消費します。余ったら、越後山脈の山腹に冷暗所を作って備蓄すればいいのです。
  この部隊は、柏崎・刈羽原発の警備や、新潟県特有の雪害にも威力を発揮します。「出島」との物資の行き来が活発になるので、除雪作業は今まで異常に重要になります。それをやってもらうのです。
  そして、最近新潟に多い豪雨被害などの時も、迅速な救助活動を行うことができます。新潟県民にとって、いいことばかりです。
  以前、●対馬に防衛特区を作ろうという提案をしましたが、それと同じです。
  
  政府も、借金だの少子化だの財政均衡だの、暗くなるようなことばかり言ってないで、こういう景気のいい、夢のある話をしてみたらどうでしょうか?

  明るい話をしてばかりいましたが、今度は少し深刻な話になるかもしれません。つい最近中越沖地震で被災した柏崎市の話題を扱います。

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EDIT  |  17:38 |  日本探訪  | TB(2)  | CM(7) | Top↑
2007.10.14(Sun)

民営化至上主義者がわめく「便利さ」の誤謬 

  前回●郵政民営化の話題を扱った記事を挙げたので、ついでに気になっていた話題を取り上げます。

年賀状郵便局が印刷 図柄や差出人の住所・氏名
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2007101302056086.html
−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−
 郵便局会社は十二日、年賀はがきを購入する顧客を対象に、見本から選んだ好みの図柄や、本人の住所と氏名を印刷して自宅に届ける「年賀状印刷ビジネス」を始めると発表した。

 年賀はがきを購入した人はこれまで、自分で印刷会社に名前などの印刷を頼んでいた。民営化で印刷会社への仲介業務が可能になり、新サービスで年賀はがきの需要を掘り起こす。

 簡易郵便局を除く全国の郵便局で取り扱い、申込期間は十五日から十二月十四日まで。販売目標は約五千万枚。

 顧客は、約八十種の図案を載せたカタログの中から希望のデザインを選び、申込書に自分の住所や電話番号などを記入して窓口で申し込めば、十日ほどで発送する。年賀はがきの送り先の氏名、住所の印刷は受け付けない。

 送料を含んだ印刷価格は、フルカラーの「おすすめ年賀状」の場合、百枚で七千四百円で、はがき代は別料金。自宅まで配送するため郵便局会社は「コンビニが扱う同様の商品よりやや高い」としている。
−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−

  私がこの記事を見て、まず思ったことは、「人員不足で遅配や誤配が相次いでいるのに、その上また仕事が増えて郵便局の人も大変だなぁ」というものでした。
  前回の記事でも扱いましたが、年賀状の遅配が多く、郵便局には前年比2割増のクレームが来たそうです。いまさら年賀状の印刷の取り次ぎなんて、やっている余裕はないという感じもします。
  
  まあ、それをなんとかクリアできるとしても、私はこの「ビジネスモデル」がいいものだとは到底思えません。なぜなら、限られた年賀状の印刷需要を、郵便局が根こそぎ奪うことになれば、今まで年賀状の印刷を受け付けてきた印刷工場などが仕事を奪われる形になるからです。
  根こそぎ奪うなんて馬鹿な事態が起こるわけないだろう、という人もいるでしょう。しかし、郵便局が事実上年賀状印刷を独占できるやり方もあるのです。
  まず、超繁忙期である年賀状の配達時期の郵便配達料金を何割か上げます。今は難しいでしょうが、完全に民営化すれば十分に可能です。ヤマト運輸のメール便が、翌日到着だと値段が上がるのと同じように、「高度なサービスには特別な料金を」というのが、民間の常識だと言われればそれまでだからです。
  その上で、年賀はがきを大量に買う客に対して、「購入予約の際に郵便局で印刷を早めに申し込めば、配達料金を安くしますよ」と特別割引を持ちかけます。販売と同時にというのがコツです。
  コンビニだって同じようなことをやっているじゃないか、という人もいるでしょうが、大量の年賀はがきを扱う郵便局は料金をダンピングすれば競争相手を潰すことも出来ます。そんなことをしなくても、「郵便局の窓口に予約が多いから」と、企業向けの年賀はがきの卸価格をつり上げてしまえばいいのです。年賀はがきの販売については独占企業なのですから、こういうこともやろうと思えば出来ます。
  そうすれば、年賀はがき印刷は郵便局の独占状態にすることも可能になるのです。
  
  え?普通の印刷所や、ヤマト運輸なんかの民間運送会社も、「企業努力」をして値段を下げればいいじゃないかって?

  その立論は理論上は正解ですが、実際の経済社会にあてはめると100%間違っています。
  まず、年賀はがきという商品自体が、きわめて短期かつ膨大な需要なので、そのための設備投資が他の時期には利益のマイナスに働くという点です。日本郵便には各中央郵便局がありますから、初期導入コストが安く済みます。しかし、同じようなことを、はがきという特殊な運送物について、ヤマト運輸や佐川急便がやったら、絶対に採算割れします。
  そんな事業を「社会を便利にするために」進んでやろうという企業経営者がいるわけがありません。これで、ヤマトや佐川がこの事業に参入するという論理は破綻します。

  もっと重要なことは、年賀はがきというのは、いまさら大きな需要増を見込める業界ではないということです。
  電子メールなどのせいで、手軽に連絡を取り合うことができるようになっているからです。2007年の新年向け年賀はがきの発行枚数は37億9978枚で、前年度より7%減少しています。ピーク時の44億5936万枚(平成16年用)に比べるとかなり減っています。販売実績はこれよりさらに低いでしょう。

  ここで重要な法則があります。

「総需要が限定されている状態での競争強化は、短期的には経済の活性化を生むが、長期的には最強の経済主体を残して総崩れになる結果を生む」

  ということです。

  限られた需要である以上、競争が激化しても各経済主体が思うように利益を上げられません。そうなると、他者のシェアを奪うことでしか生き残れないので、共食い・共倒れという事態を招きます。そして結局、一番経営体力のある一社が勝つのです。
  これを大量の年賀はがき印刷でみれば、間違いなく生き残るのは郵便局でしょう。郵便局には財務的な余裕がありますから、ダンピングをしても赤字決算でしのぐことが可能です。しかし、他の業者、特に中小の印刷会社は、年賀状印刷の需要を奪われたら、かなりの経営悪化を招くでしょう。それがそのまま倒産につながるというケースがあり得ます。東京のような他にも需要開拓が期待できるような場所なら別ですが、地方の印刷会社は苦しいでしょうね・・・。

  「郵便局がまた便利になりました!」の結果が、これです。

  もちろん、郵便局も民営化した以上、他人の利益を食ってでも生きていかなければならないのであり、郵便局を責めるのは筋違いです。郵便局は、「便利さ」を商品化しただけであり、営利企業として生き残るにはやむを得ないことなのです。
  今度詳しく記事にしようと思っているのですが、こういう現象は国鉄の民営化でも見られた現象なのです。具体的に言えば「駅ナカ」と言われる商業施設です。あれによって、ただでさえ青息吐息だった駅前商店街が、さらに打撃を受けたという例を耳にします。
  JRにしても郵便局にしても、需要の根っこの部分(駅や郵便窓口)を握っていて、やり方によっては外に出て行く需要を全て青田買いすることが可能であるという点が共通しています。
  そして、それに対して、周囲にいる民間企業はすべからく無防備です。そりゃあそうでしょう。もともとそこにいたのは非営利企業であり、それを前提にして自分たちは営業していたわけです。それがいきなり民営化して、自分たちの競争相手になったのですから、対応できずにバタバタ倒れていくのは当然です。
  じゃあNTTはどうなんだ?という人がいるかもしれませんが、全く反論になっていません。NTTの場合は、IT技術の発達、特にインターネットの登場で、民営化以来総需要が拡大していく局面ばかりでした。これを、総需要が限定されている「駅周辺の購買力」や「年賀はがき需要」と同視するわけにはいきません。

  そうなると、今考えなくてはいけないのは、利便性の向上や財政負担の軽減を目的に公営企業を何でも民営化することが果たして国民経済全体にとって正しいことなのかということです。

  民営化以前は、民間は民間、郵便局は郵便局という風に、きちんとした棲み分けが出来ていたのです。不思議なもので、こういう棲み分けが出来ている方が経済的には成長するのです。過当競争が生じにくいからでしょう。
  ところが、巨大公営企業が突然民営化すると、その膨大な経営インフラを駆使して、油断している同業他社を潰しまくる「モンスター」になるのです。JRや日本郵便に銀行や外資が資本参加し、利益至上主義の経営を求めれば、そういう傾向に拍車がかかるでしょう。
  
  こういう負の側面は、他に需要がいくらでもある都会、なかんずく東京では見えてきません。たとえば、民営化しても、東京では簡易郵便局もつぶれませんし、ほとんどの郵便局は「統括支店」や「支店」といった有利な扱いを受けています(前回記事のrcp様の指摘による。また、●こちらのリンクも参照)支店が1店舗しかない高知県東部の不便さは、都民にとってはどこ吹く風なのです。
  表面的な「便利さ」を旗頭にして導入されていることが、どこかで大きな犠牲を生んでいることもあるのです。利便性を向上さえすればなんとかなるような東京での生活が日本の今だと思ったら大間違いです。

  次回は、10月7日から9日にかけての新潟訪問(新潟市および柏崎)について記事にしたいと思っています。

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EDIT  |  13:18 |  経済とグローバリゼーション  | TB(2)  | CM(10) | Top↑
2007.10.13(Sat)

郵政民営化凍結法案、提出へ 

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  このブログで、正面から扱っていなかった話題なので、是非この期に取り上げておきます。
 
郵政民営化見直し法案 民主、国民新と提出へ
http://www.asahi.com/politics/update/1013/TKY200710120346.html
−−−−−−−−以下引用−−−−−−−−
 民主党は12日、国民新党が求めている今国会への郵政民営化見直し法案の共同提出に、応じることを決めた。両党の参院での統一会派構想が9月に不調に終わり、調整が難航していたが、小沢代表の指示で民主党が対応を軟化させた。これを受け、国民新党は野党共闘の凍結を解除し、統一会派に向けた協議も再開する方針だ。

 法案は、今月からの郵政民営化で全国での公平なサービス提供に支障が出るかどうかを検討したうえで必要な見直しをし、その間は政府が保有する持ち株会社の日本郵政の株式売却を禁じる内容。

 民主党の総務金融部門合同会議に、国民新党の長谷川憲正副幹事長が出席し、法案の骨子を説明。原口一博「次の内閣」総務相が「国民の郵政事業における権利を保障するための骨子は共有できる。小沢代表から国民新党案を最短コースでまとめてくれと言われている」と述べ、共同提案が了承された。

 原口氏は、法案を野党多数の参院に早期に提出する意向も表明。長谷川氏は統一会派構想について「当然いい方向に進むだろう」と語った。民主党の鳩山由紀夫幹事長も記者会見で、「統一会派の方向に進むきっかけになる」と語り、週明けに両党幹事長間で協議する考えを示した。

 参院では、民主党と新党日本の統一会派所属議員が計115人。4人の国民新党とも統一会派を組むと、過半数の122人まであと3人となる。
−−−−−−−−引用以上−−−−−−−−

>今月からの郵政民営化で全国での公平なサービス提供に
>支障が出るかどうかを検討したうえで必要な見直しをし、
>その間は政府が保有する持ち株会社の日本郵政の株式売却を禁じる


  悪くない内容です。

  郵政民営化が実現していくにつれ、様々な弊害が生じてきました。簡単に列挙すると、

▲4696局の集配局のうち1048局が無集配局に

  「合理化」に名を借りた人減らしが露骨に行われている結果です。国民新党の自見庄三郎参院議員が実例を紹介しています。

集配廃止の福岡県芦屋局を見る