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2007.08.05(Sun)

日本はなぜ外交が弱いのか~ロシアの原潜解体事業から学ぶ 

  我が国が本当に、情けなくなるくらいに弱いのが、「外交」と呼ばれる分野です。

  従軍慰安婦だの南京何とかといった話題は、他の愛国・保守ブログの方が沢山取り上げているので、ここではあえて触れません。国民の目の届きにくいところでコソコソやっている阿呆外交の実例を紹介しておきましょう。

原潜3隻の解体で契約 外務省政務官が訪ロ
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007080201001076.html

--------以下引用--------
 ロシア極東を訪問中の関口昌一外務政務官は2日、沿海地方ボリショイカメニで、日本がロシアに支援を約束した退役原子力潜水艦の解体作業のうち、3隻分についてロシア企業に委託する契約を結ぶ署名式に立ち会った。

 日本は、ロシア原潜の解体協力事業を盛り込んだ2003年の日ロ行動計画に基づき、04年末に1隻目の解体を完了。05年には、新たに5隻の解体でロシア側と合意し、うち1隻については現在、既に解体作業に着手している。
--------引用以上--------

>ロシア原潜の解体協力事業

  ・・・みなさん、こんな事業を日本がやっていることを知っていましたか?正直に言いますが、私は全く知りませんでした。
  それに、よく見ると妙な箇所があります。

>原子力潜水艦の解体作業のうち、
>3隻分についてロシア企業に委託する契約

  5隻の内の3隻分を、ロシア企業が手がけるそうです。つまり、過半数の解体はロシアの企業がやるので、日本は金を出すだけでいい、ということです。原潜の解体にかこつけて、ロシアに金をくれてやっているだけ・・・と思うのは私だけでしょうか?

  どうやら、この「協力」事業とやらは、だいぶ前から決まっていたフシがあります。外務省のホームページにも、ちゃんと出ていました。

ロシア退役原潜解体協力事業「希望の星」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kaku/kyuso/star_of_hope.html

--------以下引用--------
1.事業の概要
 日露非核化協力委員会を通じ、ロシア極東における退役原潜の解体事業に関する日本・ロシア間の協力を行うもの。

2.背景
 現在、ロシア極東地域(ウラジオストク近郊及びカムチャッカ)には、約20隻の退役原潜が未処理のまま係留されており、このまま放置すれば放射能汚染や核物質の盗難などが発生する危険性がある。これらの安全かつ迅速な解体は、核軍縮・不拡散の観点に加え、日本海の環境保護の観点からも緊急の課題である。
 退役原潜の解体は、第一義的にはロシアの責任で実施すべきものであり、ロシアも自国で解体を進めているが、ロシアだけで全ての原潜を解体するには時間がかかるため、諸外国からの協力を必要としている。

3.経緯
(1)2000年、ロシア政府との合意の下、極東における退役原潜の解体に関するプロジェクト・スタディーを実施。

(2)2002年11月、新藤義孝外務大臣政務官(当時)がウラジオストクを訪問し、原潜解体事業についてロシア側関係者と協議。

(3)2003年1月、小泉総理の訪露時に採択された「日露行動計画」に、極東における原潜解体事業の着実な実施が盛り込まれ、このとき同事業が「希望の星」と命名された。

(4)2003年2月、日露両国は、「希望の星」の最初の事業として、ヴィクターIII級退役多目的原潜304号の解体を決定。同年6月、川口外務大臣(当時)のウラジオストク訪問の際、同解体事業に関する実施取決めが署名された。同年12月、解体を行うための契約が締結され、これを受けて我が国の協力による解体作業が開始された。

(5)同原潜の解体作業(使用済核燃料の搬出(露側資金で実施)、艦体の切断(3分割)、艦首・艦尾の機材の撤去・断片化、原子炉区画の形成・移送等)は順調に進み、2004年12月、事業を完了した。我が国が拠出した事業費は約7億9,000万円である。

(6)本件事業は、2002年のカナナスキス・サミットでG8により合意された「G8グローバル・パートナーシップ(G8GP)」の一環として位置づけられるものであり、2003年6月のエビアン・サミットにおいても、本件事業の進展が評価されている。また、2004年6月、オーストラリア政府は、G8グローバル・パートナーシップ(G8GP)への参加をを表明するとともに、同パートナーシップの一環として、極東ロシアにおける原潜解体事業のために、1,000万オーストラリア・ドル(約7.4億円)を日露非核化協力委員会に拠出した。

(7)プーチン大統領、ラヴロフ外相などロシア側の様々なレベルからも、我が国の協力に対する評価・謝意表明がなされている。

4.最近の動き
(1)「希望の星」の第2号となる協力については、日露両国は、2005年1月の町村外務大臣の訪露時に、日露非核化協力委員会第24回総務会を開催し、以下の5隻の退役原潜の解体に関する協力の実施を検討することを決定した。その後、日露両国は、同5隻の原潜解体事業の実施取決めについて協議を重ねた結果、同年8月、同実施取決め案に基本合意し、同年11月のプーチン大統領の訪日の際に署名した。

ヴィクターI級原潜1隻
ヴィクターIII級原潜3隻
チャーリーI級原潜1隻

(2)5隻のうち、ヴィクターI級原潜については、第21回総務会(2004年5月)の決定を受け、上述の実施取決めの協議と同時並行で解体に関するフィージビリティ・スタディを実施し、2005年6月、同スタディを完了した。

(3)5隻の原潜解体事業については、まずは、ヴィクターI級原潜の解体から着手することとし(第26回総務会の決定(2005年9月))、2006年9月、解体契約を締結した。

(4)5隻のうち、残り4隻のヴィクターIII級原潜は、ウラジオストクで、チャーリーI級原潜は、カムチャツカで解体する予定であり、ロシア側との間で協議を進めている。

(5)2006年12月、日露非核化協力委員会第28会総務会を開催し、韓国による日露非核化協力委員会に対する25万米ドルの拠出金を受け入れることを決定した。

(6)2007年3月、日露非核化協力委員会第30回総務会を開催し、豪州及び韓国による日露非核化協力委員会に対する拠出金をヴィクターI級原潜解体プロジェクトに充当することを決定した。

5.その他
 2007年1月、日露非核化協力委員会第29回総務会を開催し、原潜解体関連事業として、極東ロシアに建設中の原子炉区画陸上保管施設に対する建設に協力することを決定した。
--------引用以上--------

>日露非核化協力委員会

  こんな委員会があったのを、私は初めて知りました。●こちらにあるように、旧ソ連の保有している原子力兵器を安全に武装解除するためのプロジェクトらしいです。要するに、国際社会の合意に基づいて行われている事業ということです。

>日本海の環境保護の観点からも緊急の課題である。

  日本海の環境汚染なら、●こういう目に見える汚染の方がよほど深刻だというのはとりあえず置いておきましょう。ここで重要なのは、ロシアに金を出すという行為が、環境保護という名目で正当化されているということです。これは重要です。なぜなら、中身や結果を検討せずに、「環境保護なら良いか」と思ってしまうのが普通だからです。

>ロシアも自国で解体を進めているが、ロシアだけで
>全ての原潜を解体するには時間がかかる

  確かにそうです。しかし、そうだとしたら、その「喫緊の課題」とやらを、ロシアの企業に金を払って委託していることには疑問符をつけざるを得ません。外務省は、●こういうロシア人の気質を知らない人たちばかりなのでしょうか?

>小泉総理の訪露時に採択された「日露行動計画」

  原潜の解体事業というのは、恐らくこの小泉訪露とやらの手みやげにされたのでしょう。もちろん、ロシア側と日本側双方にキックバックが行くような形になっているはずです。同じ政治家の「訪朝」もそうでした。

  そういうことを書くと、反論がありそうです。それはおそらく、

>本件事業は、2002年のカナナスキス・サミットでG8により合意された
>「G8グローバル・パートナーシップ(G8GP)」の一環として位置づけられる

  ということなのだから、小泉政権はこれに従っただけなのだというものでしょう。

  しかし、私から言わせれば、我が国の外交はこういう国際会議の場でカモにされているだけなのではないでしょうか。どうも、日本の外交行動を見ていると、多国間の枠組みで決まったことに対して唯々諾々と従っているという印象が拭えません。うがった見方をすれば、その「国際的な合意」にかこつけて、勝手に仕事を増やし、利権めいたものを得ている人たちがいるという感じすらするのです。

  国際的な合意に従うという考え自体は決して間違ったものではありません。しかし、その合意に至るまでに、一体どういう風に戦っているのか、また、合意に至っても後から何かできることがあるのではないか、考えてみることは重要です。
  たとえば、●ロシア当局による漁船銃撃・乗組員殺害事件は、いきなり民間の船を銃撃している凶悪な行為だったので、「これでは相互信頼に基づいた協力事業の先行きが不安だ」ぐらいの発言をすることは許されるでしょう。
  あるいは、ロシアは資源高のおかげで景気がいいということなのですから、「お金くらい自分で出して下さい。うちは財政危機なんです」とでも言えないものでしょうか。
  ちなみに、財政危機というのは、そうやって外国に対して大義名分として使うべき事柄であり、国民を脅すために使うものではありません(詳しくは●こちらのブログ記事を参照)。
  当然、ロシアはG8での合意を楯にとって履行を迫ると思うのですが、事業の概要は二国間協議で決まっているのですから、履行の停止を匂わせるだけで有利な状況を作り出せる可能性はあります。なにより、日本は危害を加えられたら黙っていない国だということを、対外的に示すことができます。

  それこそが、安倍政権が掲げる「主張する外交」というやつなのではありませんかね?

  しかし、もっと根本的なところで認識がずれている可能性があります。外務官僚が、こういった事例を「実績」だと勘違いしている点です。
  外務省に「チャイナスクール」とか「ロシアスクール」とかいうような集まりがあるということが言われます。鈴木宗男議員も●質問していますが、在外研修をやって、その国とべったりになってしまう職員のことを指しているようです。
  もしかしたら、中国やロシアがこういった人たちに接待だとか性的サービスを提供して籠絡しているという可能性もありますが、私はそれ以前の問題だと思っています。日本の外交官(例えばその何とかスクールに入っている人々)に、相手国との間の仕事が増えることはいいことだという信念があり、それを実現するために盲目的に国際的な合意や二国間協議を推進している傾向があると思うのです。
  その結果、必ずしも日本にとって利益にならない形で協力事業が行われたり、あるいは本来あるべき姿とは全く違った形で、外交上の懸案が決着してしまう例があまりに多いと思うのです。これでは、相手国の思う壺です。交渉になど初めからなりません。「主張する」以前の問題なのです。
  断っておきますが、私はこういう外交上の問題を、憲法を改正して国軍を持てば解決するなどと思っていません。カイカクすれば生活がよくなると信じ込んでいた人々と同じように、都合のいい夢を見ているだけです。武器がなければ主張ができないという人間は、結局武器があってもろくな主張はできないでしょう。

  こういう馬鹿げた事例を増やさないためには、政治家が外交官をきちんとコントロールすることと、国民が外交行動を監視できる状態にしておくことが必要です。

  コントロールだの監視だのといっても、オーバーなことではありません。基本的なことばかりです。

(1)外国とは相手に有利な条件の合意はなるべくしないことを原則にする

  外交の目的は自国が独立を維持するためのものです。そうだとすれば、相手にはなるべく不利な状態でいてもらうべきでしょう。特に、ロシアのように、国境を隣接していて直接危害を及ぼしてくる相手に対しては、この理がよく当てはまります(いわゆる遠交近攻)。
  問題はタイミングです。今回の例を見るように、外交行動というのは、当該合意から数年をおいて履行されることが普通です。国際会議の席で、政治家が覚書や協定にサインするときこそ注意すべきです。

(2)合意の利害得失、その後の道筋や最終的な決着について、事前に情報を開示する

  (1)のようなことを書くと「情けは人のためならず」という反論をしてくる人がいると思います。そうだとすれば、その点について、きちんと情報を開示して、約束させるべきです。そうすれば、原潜の解体を協力するのに、何で金だけ出して後はロシアにやらせるんだ、という批判が出てくるでしょう。もし、技術的な問題があるんだというのなら、そこできちんと説明すればいいだけの話です。
  国民は馬鹿だからそんなことをしても無駄だ、という外交官は、日本国憲法の前文と第1条を穴が空くほど読むべきです。国民主権というのが謳われているはずですから・・・。
 
(3)合意を反故にする機会を常にうかがい、何かあったらすぐに不履行を示唆する

  言うまでもありません。

  たとえば、どうして安倍政権は、●「ピョンヤン宣言」という「双方が適切と考える期間」(要するに北朝鮮がこれで十分と言う時)まで金を出し続けるなどというひどい合意を、核開発の時点で反故にしておかなかったのでしょう。それどころか、六カ国協議で再確認までしてしまいました。ここまで来ると立派な売国です。

(4)以上について国会でどんどん質問する、してもらうようにメール等で働きかける

  質問時間が短い政党でも、そういうことはできます。●「質問主意書」という便利な武器があるからです。先ほど取り上げた鈴木宗男氏は、この仕組みを最大限に活用している一人です。
  そういうのを私怨を晴らすだとか、行政活動を阻害しているとかいう見方しかできない人は、テレビに映っている(多くの場合が茶番劇に過ぎない)一般質問だけを国会議員の活動だと思いこんでいるだけか、二大政党制などという選択の余地が実質的にゼロになる仕組みを礼賛しているアホか、どちらかなのでしょう。
  この点に関して非常に残念なことがあります。それは、日本の国会が、衆議院の議院運営委員会で、「事前に主意書の内容を議院運営委員会の理事がチェックする」、要するに検閲を許すことで合意していることです。いろいろ事情があったのでしょうが、イギリスで文書質問が年間5万件なのが日本では年間1000件にも満たないのはあまりにも異常です。質問主意書の「検閲」など許すべきではありません。

  ロシアのようなランドパワー(大陸国家)はゴム紐をカバンに詰めて押し売りに来るヤクザのようなものなのですから、喜んで貢いでもリターンが(国レベルでは)皆無であり、それどころかもっと金をよこせと図に乗るのが普通です。
  せめて、押し売りを押し売りだと認識できるような状態にできるために、政治家の方々の奮闘を求めたいものです。

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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済

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